JPWO2004058959A1 - PNPaseの製造法 - Google Patents
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Abstract
高効率で簡便にPNPaseを製造することができ、また医薬品原料としての核酸重合体の合成において問題となるエンドトキシンの混入を低減できる、PNPaseの製造法を提供することである。PNPase遺伝子とT7プロモーターとを連結する発現ベクターにより、T7 RNAポリメラーゼ遺伝子を有する大腸菌等を形質転換したものを用いることなどにより、PNPaseを製造する。また、PNPaseの精製工程をより簡便にするために、タグ遺伝子を有する発現ベクターを利用したり、培養時間を長くする。
Description
本発明は、合成核酸重合体を製造するために有用な酵素であるPNPase(ポリヌクレオチドホスホリラーゼ)の製造法に関するものである。
PNPaseは、1955年にS.Ochoaにより発見された酵素であり、リボヌクレオシド二リン酸の可逆的重合を触媒し、無機リンを放出する酵素である。この酵素は、細菌に広く分布しているが、動物には存在しない。
試験管内でこの酵素を作用させればリボヌクレオシド二リン酸の重合を行うことができるので、高分子量のホモポリマー、コポリマー、または配列の決まったオリゴマーを合成するのに有用である。
PNPaseは、古典的には細菌から分離抽出して得ることができるが、組換えDNA手法により微生物内で大量に製造しうる方法も知られている(米国特許第4912496号)。特許文献1では酵素遺伝子の発現量を上昇させるために適当な発現制御シグナルを含むベクターにPNPase遺伝子(以下、「pnp遺伝子」ともいう)を組み込み、形質転換した菌体内でPNPaseを大量に蓄積させた後、菌体破砕を行いPNPaseを抽出精製する方法が示されている。
T7 RNAポリメラーゼ(Genbank登録番号M38308)は、高効率にかつ特異的にT7プロモーター下流の遺伝子の転写を促進する(米国特許第4912496号・米国特許第5693489号・米国特許第5869320号)。
試験管内でこの酵素を作用させればリボヌクレオシド二リン酸の重合を行うことができるので、高分子量のホモポリマー、コポリマー、または配列の決まったオリゴマーを合成するのに有用である。
PNPaseは、古典的には細菌から分離抽出して得ることができるが、組換えDNA手法により微生物内で大量に製造しうる方法も知られている(米国特許第4912496号)。特許文献1では酵素遺伝子の発現量を上昇させるために適当な発現制御シグナルを含むベクターにPNPase遺伝子(以下、「pnp遺伝子」ともいう)を組み込み、形質転換した菌体内でPNPaseを大量に蓄積させた後、菌体破砕を行いPNPaseを抽出精製する方法が示されている。
T7 RNAポリメラーゼ(Genbank登録番号M38308)は、高効率にかつ特異的にT7プロモーター下流の遺伝子の転写を促進する(米国特許第4912496号・米国特許第5693489号・米国特許第5869320号)。
本発明は、従来から知られている方法よりも高効率で簡便にPNPaseを製造することができ、また医薬品原料としての核酸重合体の合成において問題となるエンドトキシンの混入を低減できる、PNPaseの製造法を主として提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、pnp遺伝子とT7プロモーターとを連結する発現ベクターにより、T7 RNAポリメラーゼ遺伝子を有する大腸菌等を形質転換したものを用いることなどにより、上記課題を解決することができ、本発明を完成した。
本発明として、例えば、下記のものを挙げることができる。
(1)少なくとも次の工程を含有するPNPaseの製造法。
A.発現制御シグナルであるT7プロモーターを有するプラスミドに原核生物由来のPNPase遺伝子を組み込んだ発現ベクターを構築する工程;
B.当該ベクターを用いて、T7 RNAポリメラーゼ遺伝子を有する大腸菌又はその類縁菌を形質転換する工程;
C.当該形質転換体にPNPase遺伝子を発現させることによって、PNPaseを菌体内に蓄積させる工程;
D.PNPaseが蓄積された菌体を回収し、PNPaseを抽出精製する工程。
または、
(2)少なくとも次の工程を含有するPNPaseの製造法。
A.発現制御シグナルであるT7プロモーターを有するプラスミドに原核生物由来のPNPase遺伝子を組み込んだ発現ベクターを構築する工程;
B.当該ベクターを用いて、T7 RNAポリメラーゼ遺伝子を有する大腸菌又はその類縁菌を形質転換する工程;
C’.当該形質転換体にPNPase遺伝子を発現させることによって、PNPaseを菌体内に蓄積させ、さらに菌体が壊れPNPaseが菌体外上清中に滲出するまで発現を続ける工程;
D’.上清中に滲出したPNPaseを回収精製する工程。
この中、上記(2)の製造法が好ましい。
pnp遺伝子の起源は特に制限されず、例えば、大腸菌(例、K12株、O157株)やその類縁菌(例、Salmonella typhimurium)を挙げることができる。本発明においては、特に大腸菌(特に、K12株)由来のpnp遺伝子が好ましい。
発現制御シグナルであるT7プロモーターを有するプラスミドとしては、T7プロモーターを有するプラスミドであれば特に制限されないが、菌体内で複製可能であり、特定の制限酵素切断部位を有し、菌体内のコピー数の高い当該プラスミドベクターを用いるのが好ましい。具体例としては、pET系プラスミド(ノバゲン社製)、pRSET−A、p−RSET−B、pRSET−C(インヴィトロゲン社製)を挙げることができる。
また、当該プラスミドについては、本発明に係るPNPase(以下、当該酵素ともいう)にいわゆるタグを付与することができる、タグ遺伝子を有するものが好ましい。このようなタグ遺伝子としては、例えば、Hisタグ遺伝子、T7タグ遺伝子、Sタグ遺伝子、Nusタグ遺伝子、GSTタグ遺伝子、DsbAタグ遺伝子、DsbCタグ遺伝子、CBDcexタグ遺伝子、CBDcenAタグ遺伝子、CBDclosタグ遺伝子、Trxタグ遺伝子、HSVタグ遺伝子、3×FLAGタグ遺伝子を挙げることができる。特にHisタグ遺伝子が適当である。
宿主としての大腸菌又はその類縁菌としては、T7 RNAポリメラーゼ遺伝子を有するものであれば特に制限されないが、組換えDNA実験で使用されるものが好ましい。具体例としては、BL21[DE3]大腸菌、BL21[DE3]pLysS株大腸菌、BLR[DE3]株大腸菌、Rosetta[DE3]株大腸菌、B834[DE3]株大腸菌を挙げることができる。
本発明によって製造された当該酵素を用いれば、核酸ホモポリマー、核酸コポリマー、オリゴ核酸など種々の核酸重合体を合成することができる。合成しうる核酸重合体の具体例としては、ポリイノシン酸、ポリシチジル酸、ポリウリジル酸、ポリアデニル酸、ポリグアニル酸、ポリ(5−ブロモシチジル酸)、ポリ(2−チオシチジル酸)、ポリ(7−デアザイノシン酸)、ポリ(2’−アジドイノシン酸)、ポリ(シチジン−5’−チオリン酸)、ポリ(1−ビニルシチジル酸)、ポリ(シチジル酸、ウリジル酸)、ポリ(シチジル酸、4−チオウリジル酸)、ポリ(アデニル酸、ウリジル酸)を挙げることができる。
本発明を実施するための操作自体は、全て公知の方法により行うことができる。
I.工程A〜Dについて
工程A:
例えば、大腸菌の染色体DNAから常法によりpnp遺伝子をクローニングすることができる。具体例として、コロニーハイブリダイゼーション法によるクローニングを挙げることができる。
次に、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR法)により、pnp遺伝子の開始コドンにNdeI切断点を導入し、また終止コドン下流にEcoRI切断点を導入し、常法によりこのNdeI切断点から、pnp遺伝子を含んだEcoRI切断点までのDNA断片を得ることができる。
このDNA断片を、予めNdeIおよびEcoRIで切断し、5’末端を脱リン酸化した、T7プロモーターを有するプラスミドと常法により混合し結合反応を行うことにより、目的とする発現ベクターを構築することができる。
工程B:
上記により得られた発現ベクターを用いて、常法によりT7 RNAポリメラーゼ遺伝子を有する大腸菌又はその類縁菌を形質転換することができる。形質転換された大腸菌等は、常法により凍結保存することができる。
形質転換法としては、常法により行うことができ特に限定されない。具体的には、例えば、塩化カルシウム法、エレクトロポレーション法などの方法を挙げることができる。
工程C、C’:
当該形質転換体は、増殖可能な培地中で常法により培養増殖することができる。培養増殖に際しては、37℃で例えば一晩、前培養することが好ましい。そして、本培養を開始して適当な濁度まで到達した後(例えば、600nmでの濁度が0.4〜1.0)、適当な発現誘導剤を適当量添加してpnp遺伝子を発現させ、当該酵素を菌体内に誘導することができる。当該誘導剤添加後、例えば7〜9時間培養を行えば、菌体内への当該酵素の蓄積が通常最大になるが、さらに例えば24時間培養を続ければ、通常、菌体が自己消化し当該酵素を培養上清に滲出させることができる。当該酵素を培養上清に滲出させる方が、菌体破壊過程と抽出過程がないためそれだけ純度の高い当該酵素を得ることができ、またエンドトキシンの混入を低減することができる。
上記発現誘導剤としては、例えばイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(以下、IPTGという)、ラクトースを挙げることができる。
形質転換体の培養は、炭素源、窒素源などの微生物の増殖に必要な栄養源を含有する培地を用いて常法により行うことができる。当該培地としては、例えば、2×YT培地、LB培地、M9CA培地など通常の大腸菌培養に用いられる培地を用いることができる。培養は、例えば20〜40℃の培養温度で必要により通気、攪拌しながら行うことができる。また、培養中におけるプラスミドの脱落を防ぐために適当な抗生物質(プラスミドの薬剤耐性マーカーに応じて、アンピシリン、カナマイシンなど)を適当量培養液に加えて培養することもできる。その際、培養後期の発泡によるオーバーフローを防ぐために、適当な消泡剤(例えば、アデカノールLG−109(旭電化工業社製)、AntifoamAF Emulsion(ナカライテスク社製))を適当量添加することもできる。
工程D、D’:
培養・誘導を終えた菌体を回収し、当該酵素を抽出・精製する方法としては、常法により行うことができる。
まず、菌体内に当該酵素が蓄積されている場合には、適当な緩衝液中に菌体を懸濁させ、超音波処理、フレンチプレス処理などの方法により物理的に菌体を破壊し、菌体残渣を除去して当該酵素を得ることができる。精製が必要な場合には、硫酸アンモニウムによる塩析処理、透析処理、エタノールなどの溶媒処理、各種クロマトグラフィー処理、限外濾過などで当該酵素を精製することができる。
長時間の培養・誘導により、当該酵素が培養上清に滲出している場合には、上記のような菌体破壊の工程を省略することができる。
タグ付きで発現した当該酵素の場合には、常法により更に容易に回収精製を行うことができる。例えば、回収した上清を、付与されたタグに適したカラムで処理することにより精製することができる。
本発明方法により製造された当該酵素は、医薬品として使用可能なエンドトキシンフリーの核酸重合体を合成するためにエンドトキシン除去カラムで処理することもできる。なお、長時間の培養・誘導により、培養上清に滲出させて当該酵素を製造した場合には、菌体の破壊という工程が不要であるため、エンドトキシンの混入をそれだけ防ぐことができる。
II.核酸重合体の合成方法
リボヌクレオシド二リン酸に、本発明方法で得られた当該酵素を常法により作用させることにより、核酸重合体を合成することができる。タグが付与されている当該酵素は、そのまま用いることができるが、常法によりタグを外して用いることもできる。
本発明者らは、鋭意検討した結果、pnp遺伝子とT7プロモーターとを連結する発現ベクターにより、T7 RNAポリメラーゼ遺伝子を有する大腸菌等を形質転換したものを用いることなどにより、上記課題を解決することができ、本発明を完成した。
本発明として、例えば、下記のものを挙げることができる。
(1)少なくとも次の工程を含有するPNPaseの製造法。
A.発現制御シグナルであるT7プロモーターを有するプラスミドに原核生物由来のPNPase遺伝子を組み込んだ発現ベクターを構築する工程;
B.当該ベクターを用いて、T7 RNAポリメラーゼ遺伝子を有する大腸菌又はその類縁菌を形質転換する工程;
C.当該形質転換体にPNPase遺伝子を発現させることによって、PNPaseを菌体内に蓄積させる工程;
D.PNPaseが蓄積された菌体を回収し、PNPaseを抽出精製する工程。
または、
(2)少なくとも次の工程を含有するPNPaseの製造法。
A.発現制御シグナルであるT7プロモーターを有するプラスミドに原核生物由来のPNPase遺伝子を組み込んだ発現ベクターを構築する工程;
B.当該ベクターを用いて、T7 RNAポリメラーゼ遺伝子を有する大腸菌又はその類縁菌を形質転換する工程;
C’.当該形質転換体にPNPase遺伝子を発現させることによって、PNPaseを菌体内に蓄積させ、さらに菌体が壊れPNPaseが菌体外上清中に滲出するまで発現を続ける工程;
D’.上清中に滲出したPNPaseを回収精製する工程。
この中、上記(2)の製造法が好ましい。
pnp遺伝子の起源は特に制限されず、例えば、大腸菌(例、K12株、O157株)やその類縁菌(例、Salmonella typhimurium)を挙げることができる。本発明においては、特に大腸菌(特に、K12株)由来のpnp遺伝子が好ましい。
発現制御シグナルであるT7プロモーターを有するプラスミドとしては、T7プロモーターを有するプラスミドであれば特に制限されないが、菌体内で複製可能であり、特定の制限酵素切断部位を有し、菌体内のコピー数の高い当該プラスミドベクターを用いるのが好ましい。具体例としては、pET系プラスミド(ノバゲン社製)、pRSET−A、p−RSET−B、pRSET−C(インヴィトロゲン社製)を挙げることができる。
また、当該プラスミドについては、本発明に係るPNPase(以下、当該酵素ともいう)にいわゆるタグを付与することができる、タグ遺伝子を有するものが好ましい。このようなタグ遺伝子としては、例えば、Hisタグ遺伝子、T7タグ遺伝子、Sタグ遺伝子、Nusタグ遺伝子、GSTタグ遺伝子、DsbAタグ遺伝子、DsbCタグ遺伝子、CBDcexタグ遺伝子、CBDcenAタグ遺伝子、CBDclosタグ遺伝子、Trxタグ遺伝子、HSVタグ遺伝子、3×FLAGタグ遺伝子を挙げることができる。特にHisタグ遺伝子が適当である。
宿主としての大腸菌又はその類縁菌としては、T7 RNAポリメラーゼ遺伝子を有するものであれば特に制限されないが、組換えDNA実験で使用されるものが好ましい。具体例としては、BL21[DE3]大腸菌、BL21[DE3]pLysS株大腸菌、BLR[DE3]株大腸菌、Rosetta[DE3]株大腸菌、B834[DE3]株大腸菌を挙げることができる。
本発明によって製造された当該酵素を用いれば、核酸ホモポリマー、核酸コポリマー、オリゴ核酸など種々の核酸重合体を合成することができる。合成しうる核酸重合体の具体例としては、ポリイノシン酸、ポリシチジル酸、ポリウリジル酸、ポリアデニル酸、ポリグアニル酸、ポリ(5−ブロモシチジル酸)、ポリ(2−チオシチジル酸)、ポリ(7−デアザイノシン酸)、ポリ(2’−アジドイノシン酸)、ポリ(シチジン−5’−チオリン酸)、ポリ(1−ビニルシチジル酸)、ポリ(シチジル酸、ウリジル酸)、ポリ(シチジル酸、4−チオウリジル酸)、ポリ(アデニル酸、ウリジル酸)を挙げることができる。
本発明を実施するための操作自体は、全て公知の方法により行うことができる。
I.工程A〜Dについて
工程A:
例えば、大腸菌の染色体DNAから常法によりpnp遺伝子をクローニングすることができる。具体例として、コロニーハイブリダイゼーション法によるクローニングを挙げることができる。
次に、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR法)により、pnp遺伝子の開始コドンにNdeI切断点を導入し、また終止コドン下流にEcoRI切断点を導入し、常法によりこのNdeI切断点から、pnp遺伝子を含んだEcoRI切断点までのDNA断片を得ることができる。
このDNA断片を、予めNdeIおよびEcoRIで切断し、5’末端を脱リン酸化した、T7プロモーターを有するプラスミドと常法により混合し結合反応を行うことにより、目的とする発現ベクターを構築することができる。
工程B:
上記により得られた発現ベクターを用いて、常法によりT7 RNAポリメラーゼ遺伝子を有する大腸菌又はその類縁菌を形質転換することができる。形質転換された大腸菌等は、常法により凍結保存することができる。
形質転換法としては、常法により行うことができ特に限定されない。具体的には、例えば、塩化カルシウム法、エレクトロポレーション法などの方法を挙げることができる。
工程C、C’:
当該形質転換体は、増殖可能な培地中で常法により培養増殖することができる。培養増殖に際しては、37℃で例えば一晩、前培養することが好ましい。そして、本培養を開始して適当な濁度まで到達した後(例えば、600nmでの濁度が0.4〜1.0)、適当な発現誘導剤を適当量添加してpnp遺伝子を発現させ、当該酵素を菌体内に誘導することができる。当該誘導剤添加後、例えば7〜9時間培養を行えば、菌体内への当該酵素の蓄積が通常最大になるが、さらに例えば24時間培養を続ければ、通常、菌体が自己消化し当該酵素を培養上清に滲出させることができる。当該酵素を培養上清に滲出させる方が、菌体破壊過程と抽出過程がないためそれだけ純度の高い当該酵素を得ることができ、またエンドトキシンの混入を低減することができる。
上記発現誘導剤としては、例えばイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(以下、IPTGという)、ラクトースを挙げることができる。
形質転換体の培養は、炭素源、窒素源などの微生物の増殖に必要な栄養源を含有する培地を用いて常法により行うことができる。当該培地としては、例えば、2×YT培地、LB培地、M9CA培地など通常の大腸菌培養に用いられる培地を用いることができる。培養は、例えば20〜40℃の培養温度で必要により通気、攪拌しながら行うことができる。また、培養中におけるプラスミドの脱落を防ぐために適当な抗生物質(プラスミドの薬剤耐性マーカーに応じて、アンピシリン、カナマイシンなど)を適当量培養液に加えて培養することもできる。その際、培養後期の発泡によるオーバーフローを防ぐために、適当な消泡剤(例えば、アデカノールLG−109(旭電化工業社製)、AntifoamAF Emulsion(ナカライテスク社製))を適当量添加することもできる。
工程D、D’:
培養・誘導を終えた菌体を回収し、当該酵素を抽出・精製する方法としては、常法により行うことができる。
まず、菌体内に当該酵素が蓄積されている場合には、適当な緩衝液中に菌体を懸濁させ、超音波処理、フレンチプレス処理などの方法により物理的に菌体を破壊し、菌体残渣を除去して当該酵素を得ることができる。精製が必要な場合には、硫酸アンモニウムによる塩析処理、透析処理、エタノールなどの溶媒処理、各種クロマトグラフィー処理、限外濾過などで当該酵素を精製することができる。
長時間の培養・誘導により、当該酵素が培養上清に滲出している場合には、上記のような菌体破壊の工程を省略することができる。
タグ付きで発現した当該酵素の場合には、常法により更に容易に回収精製を行うことができる。例えば、回収した上清を、付与されたタグに適したカラムで処理することにより精製することができる。
本発明方法により製造された当該酵素は、医薬品として使用可能なエンドトキシンフリーの核酸重合体を合成するためにエンドトキシン除去カラムで処理することもできる。なお、長時間の培養・誘導により、培養上清に滲出させて当該酵素を製造した場合には、菌体の破壊という工程が不要であるため、エンドトキシンの混入をそれだけ防ぐことができる。
II.核酸重合体の合成方法
リボヌクレオシド二リン酸に、本発明方法で得られた当該酵素を常法により作用させることにより、核酸重合体を合成することができる。タグが付与されている当該酵素は、そのまま用いることができるが、常法によりタグを外して用いることもできる。
第1図は、Hisタグを付与したPNPase(His−PNPase)発現プラスミドpET28a・E.coli・His−PNPaseのプラスミドマップを示す。
第2図は、Hisタグを付与しないPNPase(native−PNPase)発現プラスミドpET30a・E.coli・native−PNPaseのプラスミドマップを示す。
第3図は、Hisタグを付与したPNPaseの活性を示す。縦軸はPNPaseの活性(U/L培養液)を、横軸は発現誘導後の培養時間(時間)を、それぞれ示す。また、黒いカラムは菌体破砕液中のPNPase活性を、白いカラムは培養上清中のPNPase活性を示す。
第4図は、Hisタグを付与していないPNPaseの活性を示す。縦軸はPNPaseの活性(U/L培養液)を、横軸は発現誘導後の培養時間(時間)を、それぞれ示す。また、黒いカラムは菌体破砕液中のPNPase活性を、白いカラムは培養上清中のPNPase活性を示す。
第5図は、ポリイノシン酸の合成反応収率と平均鎖長を示す。左縦軸は合成反応収率(%)を、右縦軸は平均鎖長(塩基数)を、横軸は時間(時間)をそれぞれ表す。−●−は合成反応収率の推移を、−−−○−−−は平均鎖長の推移をそれぞれ表す。
第6図は、ポリシチジル酸の合成反応収率と平均鎖長を示す。左縦軸は合成反応収率(%)を、右縦軸は平均鎖長(塩基数)を、横軸は時間(時間)をそれぞれ表す。−●−は合成反応収率の推移を、−−−○−−−は平均鎖長の推移をそれぞれ表す。
第2図は、Hisタグを付与しないPNPase(native−PNPase)発現プラスミドpET30a・E.coli・native−PNPaseのプラスミドマップを示す。
第3図は、Hisタグを付与したPNPaseの活性を示す。縦軸はPNPaseの活性(U/L培養液)を、横軸は発現誘導後の培養時間(時間)を、それぞれ示す。また、黒いカラムは菌体破砕液中のPNPase活性を、白いカラムは培養上清中のPNPase活性を示す。
第4図は、Hisタグを付与していないPNPaseの活性を示す。縦軸はPNPaseの活性(U/L培養液)を、横軸は発現誘導後の培養時間(時間)を、それぞれ示す。また、黒いカラムは菌体破砕液中のPNPase活性を、白いカラムは培養上清中のPNPase活性を示す。
第5図は、ポリイノシン酸の合成反応収率と平均鎖長を示す。左縦軸は合成反応収率(%)を、右縦軸は平均鎖長(塩基数)を、横軸は時間(時間)をそれぞれ表す。−●−は合成反応収率の推移を、−−−○−−−は平均鎖長の推移をそれぞれ表す。
第6図は、ポリシチジル酸の合成反応収率と平均鎖長を示す。左縦軸は合成反応収率(%)を、右縦軸は平均鎖長(塩基数)を、横軸は時間(時間)をそれぞれ表す。−●−は合成反応収率の推移を、−−−○−−−は平均鎖長の推移をそれぞれ表す。
以下、実施例、試験例により本発明を更に詳述する。但し、本発明が下記実施例に限定されないことは言うまでもない。
(1)pnp遺伝子を組み込んだ発現ベクターの構築
大腸菌C600K株の染色体DNAからコロニーハイブリダイゼーション法によりpnp遺伝子をクローニングし、PCR法により、pnp遺伝子の開始コドンにNdeI切断点を導入し、また終止コドン下流にEcoRI切断点を導入し、常法によりこのNdeI切断点から、pnp遺伝子を含んだEcoRI切断点までのDNA断片を得た。
このDNA断片を、予めNdeIおよびEcoRIで切断し、5’末端を脱リン酸化した発現ベクタープラスミドpET28a(Hisタグ遺伝子を含む。ノバゲン社製)と混合し結合反応を行い、タグ遺伝子を有する発現ベクターを構築した。
この発現ベクターは、約2400塩基対のDNA断片が挿入されたpET28aDNAで構成され、このプラスミドをpET28a・E.coli・His−PNPaseと命名した(図1参照)。ベクター由来の一部分を含めて、pnp遺伝子の全DNA配列を解読した結果、ベクター由来部分はノバゲン社が発表している配列と一致し、pnp遺伝子部分は公的遺伝子データベースGenbank登録番号NC000913に記載されている大腸菌K12株のpnp遺伝子相当部分のDNA配列と完全に一致した。
また、pET28a・E.coli・His−PNPase DNAをNdeIおよびEcoRIで切断し、アガロースゲル電気泳動を行い、約2400塩基対のNdeI−EcoRI DNA断片を抽出した。次にこのDNA断片を、予めNdeIおよびEcoRIで切断し、5’末端を脱リン酸化した発現ベクタープラスミドpET30a(タグ遺伝子を含まない。ノバゲン社製)と混合し結合反応を行い、タグ遺伝子を有しない発現ベクターを構築した。
この発現ベクターは、約2400塩基対のDNA断片が挿入されたpET30aDNAで構成され、このプラスミドをpET30a・E.coli・native−PNPaseと命名した(図2参照)。
(2)形質転換体の調製
上記プラスミドpET28a・E.coli・His−PNPaseないしpET30a・E.coli・native−PNPaseを用いて、大腸菌BL21[DE3]株(ノバゲン社製)を常法により形質転換して、各々の形質転換体を調製した。
(3)当該酵素の産出
pET28a・E.coli・His−PNPaseを含む大腸菌BL21[DE3]株の形質転換体ないしpET30a・E.coli・native−PNPaseを含む大腸菌BL21[DE3]株の形質転換体を、カナマイシンを添加した変法terrific broth培地(24g/L酵母エキス(ナカライテスク社製)、12g/Lトリプトン(ナカライテスク社製)、0.4%[v/v]グリセロール)中で37℃、約16時間往復振盪培養(MR−200L振盪培養機、高崎科学社製)し、前培養した。
10L容卓上型ジャーファーメンター(オリエンタル酵母社製、LS−10)にLB培地(LB BROTH BASE、インビトロゲン社製、cat No.12780−052)を仕込み、前培養液を植菌し(培養開始時点での600nmでの濁度は約0.2)、37℃、1vvm、500rpmで通気培養を行った。600nmでの濁度が0.5〜0.7に達した時、IPTG(ナカライテスク社製)を0.4mMとなるよう添加し、発現誘導を行うことにより2つの当該酵素をそれぞれ産出した。
なお、発現ベクターの脱落を阻止するため、カナマイシンを25mg/Lとなるよう添加した。消泡剤としてアデカノールLG−109(旭電化工業社製)を、培地7L当たり約0.2mL添加した。
(4)回収、抽出、精製
▲1▼まず、IPTG添加による発現誘導3時間後の培養液112L(7L培養×16回)から集めた菌体より、Hisタグを付与された当該酵素の精製を行った。
菌体を培養液量の約1/60量の抽出用緩衝液A(20mM Tris−HCl pH8.0、0.5M塩化ナトリウム、10%グリセロール)に懸濁し、50mg/Lとなるよう卵白リゾチームを加え、室温で30分振盪した後、−80℃で凍結した。37℃で凍結菌体を急速に融解した後、アストラソン社製超音波細胞破砕機XL2020およびcat No.200の破砕ホーンを用いて、最大出力にて約5分間超音波破砕した。菌体破砕液を20,000×g、4℃、60分間遠心し、上清を採取し、1.6Lの菌体粗抽出液を調製した。菌体粗抽出液をNi+親和性クロマトグラフ(φ2.6×20、His Bind Flactogel M、ノバゲン社製)にかけ、Hisタグが付与された当該酵素を精製した。菌体粗抽出液を抽出用緩衝液Aで平衡化したカラムに5mL/minにアプライした後、樹脂を1Lの抽出用緩衝液Aで洗浄し、最後に1Lの0.5Mイミダゾールを含む抽出用緩衝液AでHisタグが付与された当該酵素をカラムから溶出した。次に、pHの変更、塩化ナトリウムおよびイミダゾールを除去する目的で、限外濾過膜を用いたダイアフィルトレーションを行った。当該酵素を含む1Lの溶出液を、限外濾過カートリッジ(PREP/SCALE−TFF、分画分子量:10,000、ミリポア社製)を用いて約600mLまで濃縮し、次に液量を一定に保つように緩衝液(50mM Tris−HCl pH7.0、0.15M塩化ナトリウム、5%グリセロール)を添加しながら限外濾過を行った。濾液が7Lに達するまで限外濾過を続け、当該酵素溶液の緩衝液組成を変更した。次にこの酵素液をエンドトキシン除去カラム(Kurimover II、φ2.6×10cm、栗田工業社製)にかけた。酵素液を1.7mL/minで活性化したKurimoverIIカラムに通し、通過画分を集めた。次に、pHの変更、塩化ナトリウムを除去する目的で、限外濾過カートリッジを用いたダイアフィルトレーションを行った。酵素液の液量を一定に保つように緩衝液(20mM Tris−HCl pH8.0、5%グリセロール)を添加しながら、限外濾過を行った。濾液が7Lに達するまで限外濾過を続け、当該酵素溶液の緩衝液組成を変更した後、−20℃で凍結保存した。精製の各工程で試料を採取し、当該酵素の活性測定とエンドトキシン量の測定を行った。
その結果を表1に示す。
表1から明らかなように、112L培養菌体(誘導後3時間培養)から約20万ユニットの当該酵素を得ることができた。また、1回目のダイアフィルトレーション後に多量に含まれていたエンドトキシンは、KurimoverIIカラム処理によりほとんど除去され、最終産物にはPNPase 1ユニット当たり、9.3EUのエンドトキシンが含まれるのみであった。
▲2▼次に、IPTG添加による発現誘導7時間後の培養液56L(7L培養×8回)から集めた菌体より、Hisタグが付与された当該酵素の精製を行った。菌体を培養液量の約1/30量の抽出用緩衝液B(20mM Tris−HCl pH8.0、0.5M塩化ナトリウム、5%グリセロール)に懸濁し、50mg/Lとなるよう卵白リゾチームを加え、室温で30分間振盪した後、−80℃で凍結した。37℃で凍結菌体を急速に融解した後、アストラソン社製超音波細胞破砕機XL2020およびcat No.200の破砕ホーンを用いて、最大出力にて約5分間超音波破砕した。菌体破砕液を20,000×g、4℃、60分間遠心し、上清を採取し、1.5Lの菌体粗抽出液を調製した。菌体粗抽出液をNi+親和性クロマトグラフにかけ、Hisタグが付与された当該酵素を精製した。菌体粗抽出液を抽出用緩衝液Bで平衡化したカラムに5mL/minにアプライした後、樹脂を1Lの抽出用緩衝液Bで洗浄し、最後に1Lの0.5Mイミダゾールを含む抽出用緩衝液BでHisタグが付与されたタンパク質をカラムから溶出した。次に、pHの変更、塩化ナトリウムおよびイミダゾールを除去する目的で、限外濾過膜を用いたダイアフィルトレーションを行った。当該酵素を含む1Lの溶出液を、限外濾過カートリッジを用いて約600mLまで濃縮し、次に液量を一定に保つように緩衝液(50mM Tris−HCl pH7.0、0.15M塩化ナトリウム、5mM塩化マグネシウム、5%グリセロール)を添加しながら限外濾過を行った。濾液が7Lに達するまで限外濾過を続け、当該酵素溶液の緩衝液組成を変更した。次にこの酵素液をKurimoverIIカラムにかけた。活性化したKurimoverIIカラムに酵素液を1.7mL/minで処理し、通過画分を集めた。次に、pHの変更、塩化ナトリウムを除去する目的で、限外濾過カートリッジを用いたダイアフィルトレーションを行った。酵素液の液量を一定に保つように緩衝液(20mM Tris−HCl pH8.0、5mM塩化マグネシウム、5%グリセロール)を添加しながら、限外濾過を行った。濾液が7Lに達するまで限外濾過を続け、当該酵素溶液の緩衝液組成を変更した後、−20℃で凍結保存した。精製の各工程で試料を採取し、当該酵素の活性測定とエンドトキシン量の測定を行った。
その結果を表2に示す。
表2から明らかなように、56L培養菌体(誘導後7時間培養)から約17万ユニットの当該酵素を得ることができた。これは、誘導後3時間培養112L菌体から精製した当該酵素量とほぼ同じであり、培養時間を延長することで当該酵素収量を増大させることを証明した結果となった。また、1回目のダイアフィルトレーション後に多量に含まれていたエンドトキシンは、KurimoverIIカラム処理によりほとんど除去され、最終産物には当該酵素1ユニット当たり、1.0EUのエンドトキシンが含まれるのみであった。この数値は、誘導後3時間培養112L菌体から精製した当該酵素に含まれるエンドトキシン量(9.3EU/U−PNPase)を下回っていた。
▲3▼次に、IPTG添加による発現誘導24時間後の培養液28L(7L培養×4回)から集めた培養上清より、Hisタグが付与された当該酵素の精製を行った。培養上清を、150mL/minの速度で、予め20mM Tris−HCl pH8.0で平衡化した陰イオン交換カラム(QAE−TOYOPERL 550C、φ140×70mm)にかけた。カラムを5Lの20mM Tris−HCl pH8.0、0.1M塩化ナトリウムを含む緩衝液で洗浄した後、イオン交換樹脂に吸着した当該酵素を5Lの20mM Tris−HCl pH8.0、0.5M塩化ナトリウムを含む緩衝液で溶出し粗酵素液を得た。粗酵素液をNi+親和性クロマトグラフにかけ、Hisタグが付与された当該酵素を精製した。粗酵素液を抽出用緩衝液Bで平衡化したカラムに5mL/minにアプライした後、樹脂を1Lの抽出用緩衝液B、および1Lの50mMイミダゾールを含む抽出用緩衝液Bで洗浄し、最後に0.5Lの0.5Mイミダゾールを含む抽出用緩衝液BでHisタグが付与された当該酵素をカラムから溶出した。次に、pHの変更、塩化ナトリウムおよびイミダゾールを除去する目的で、限外濾過膜を用いたダイアフィルトレーションを行った。当該酵素を含む1Lの溶出液を、限外濾過カートリッジ(PREP/SCALE−TFF、分画分子量:30,000、ミリポア社製)を用いて約500mLまで濃縮し、次に液量を一定に保つように緩衝液(50mM Tris−HCl pH7.0、0.15M塩化ナトリウム)を添加しながら限外濾過を行った。濾液が7Lに達するまで限外濾過を続け、当該酵素溶液の緩衝液組成を変更した。次にこの酵素液をKurimoverIIカラムにかけた。活性化したKurimoverIIカラムに酵素液を1.7mL/minで処理し、通過画分を集めた。次に、pHの変更、塩化ナトリウムを除去する目的で、限外濾過膜(PREP/SCALE−TFF、分画分子量:30,000、ミリポア社製)を用いたダイアフィルトレーションを行った。酵素液の液量を一定に保つように緩衝液(20mM Tris−HCl pH8.0、5mM塩化マグネシウム、5%グリセロール)を添加しながら、限外濾過を行った。濾液が7Lに達するまで限外濾過を続け、当該酵素溶液の緩衝液組成を変更した後、−20℃で凍結保存した。精製の各工程で試料を採取し、当該酵素の活性測定とエンドトキシン量の測定を行った。
その結果を表3に示す。
表3から明らかなように、28L培養上清(誘導後24時間培養)から約5万ユニットの当該酵素を得ることができた。本酵素は、SDS−PAGE/クマシーブルー染色によるタンパク質純度検定において、他のタンパク質の存在をほとんど認めなかった。また、1回目のダイアフィルトレーション後に多量に含まれていたエンドトキシンは、KurimoverIIカラム処理によりほとんど除去され、最終産物には当該酵素1ユニット当たり、1.2EUのエンドトキシンが含まれるのみであった。この数値は、誘導後3時間培養112L菌体から精製した当該酵素に含まれるエンドトキシン量(9.3EU/U−PNPase)を下回っていた。このことから、培養上清からの当該酵素精製は、菌体破砕というスケールアップが困難な過程を省略することができ、かつ純度の高い当該酵素を得る方法であると言うことができる。
試験例1 当該酵素の活性測定
発現誘導後(IPTG添加後)、0、1、2、3、5、7、9、24時間に試料の採取を行い、当該酵素の活性を測定した。
その結果、図3および図4に示す通り、Hisタグが付与された当該酵素およびタグが付与されていない当該酵素ともに、誘導後7〜9時間で菌体内への蓄積が最大となり、24時間後には減少していた。誘導後24時間では、誘導後7〜9時間で菌体内へ蓄積した量を上回る量の当該酵素が培養上清中に放出されていた(図3、図4参照)。
▲1▼当該酵素の活性測定用の試料調製
500mLの遠心管に400mLの培養液を採取し、5,000×g、室温、5分の遠心分離(日立工機社製 SCR−20BA)により菌体を回収した。上澄みは培養上清として保存した。菌体を30mLの50mg/L卵白リゾチームを含む緩衝液(20mM Tris−HCl pH8.0、0.15M塩化ナトリウム、10%[v/v]グリセロール、1mM Tris−carboxyethylphosphine HCl)に懸濁し、室温で15分間放置した後、−80℃保存した。凍結/融解を2回繰り返し、大腸菌を穏和に破砕した後、アストラソン社製超音波細胞破砕機XL2020およびcat No.200の破砕ホーンを用いて、最大出力にて約30秒間超音波破砕した。菌体破砕液を10,000×g、4℃、10分間遠心し、上清を採取し、菌体粗抽出液を調製した。
▲2▼当該酵素の活性測定
1.5mL容遠心チューブ(エッペンドルフ社製)に20μLの酵素液と80μLの当該酵素反応液(125mM Tris−HCl pH9.0、0.25mg/mL牛血清アルブミン、0.5mM EDTA二ナトリウム、6mM塩化マグネシウム、25mMアデノシン二リン酸三ナトリウム塩)を加えて穏やかに混合し、37℃で15分間保温した。0.9mLの氷冷した4%過塩素酸ナトリウム水溶液を加えて反応を止めた後、氷上で10分間放置した。4℃、15,000rpm、5分間(トミー精工社製、MR−150)の遠心により、上清を分離した。次に、反応上清中に遊離した無機リン酸を定量するために、96穴プレート(コーニング社製)に50μLの上清と50μLのTassky−Shorr試薬(0.5M硫酸、10g/Lモリブデン酸アンモニウム、50g/L硫酸第一鉄)を加えて30秒間攪拌した後、室温で5分間放置した。660nmの吸光度を測定し(Model 550、Bio−Rad社製)、当該酵素の活性を算出した。ここで定義する1Uとは、37℃、pH9.0、15分間の反応により1μmoleの無機リン酸を遊離させる酵素量である。
実施例2 ポリイノシン酸の合成
112L培養菌体から精製した当該酵素を用いて、ポリイノシン酸(RNAホモポリマー)の合成を行った。予め、小スケールの合成反応を行い、反応収率が高く平均鎖長の長いポリマーが合成できる条件を決定した。ポリイノシン酸の合成は、総容量350mL、反応液組成(100mM 2−[4−(2−hydroxyethyl)−1−piperazinyl]ethanesulfonic acid(HEPES)−NaOH pH7.5、0.4mM EDTA二ナトリウム、50mM塩化マグネシウム、0.1g/Lイノシン二リン酸三ナトリウム塩(ヤマサ醤油社製)、11.43U/mL His−PNPase)、37℃で行った。経時的に試料を採取し、その一部を変性条件下(7M尿素存在下)でのゲル濾過HPLCで分析し、平均鎖長と反応収率を計算した。
鎖長は、pUC119(宝酒造社製)の制限酵素EcoRI、NarIおよびNspI(New England Bio Lab社製)による分解物を指標として決定した。
その結果を図5に示す。図5から明らかなように、37℃、11時間の反応により、反応収率約50%で平均鎖長が約2200塩基のポリイノシン酸が得られた。
実施例3 ポリシチジル酸の合成
同様にしてポリシチジル酸の合成を行った。総容量350mL、反応液組成(100mM glycine−NaOH pH9.0、0.4mM EDTA二ナトリウム、25mM塩化マグネシウム、0.1g/Lシチジン二リン酸三ナトリウム塩(ヤマサ醤油社製)、11.43U/mL His−PNPase)、37℃で行った。経時的に試料を採取し、その一部を変性条件下でのゲル濾過HPLCで分析し、平均鎖長と反応収率を計算した。
その結果を図6に示す。図6から明らかなように、37℃、7時間の反応により、反応収率約65%で平均鎖長が約2200塩基のポリシチジル酸が得られた。
大腸菌C600K株の染色体DNAからコロニーハイブリダイゼーション法によりpnp遺伝子をクローニングし、PCR法により、pnp遺伝子の開始コドンにNdeI切断点を導入し、また終止コドン下流にEcoRI切断点を導入し、常法によりこのNdeI切断点から、pnp遺伝子を含んだEcoRI切断点までのDNA断片を得た。
このDNA断片を、予めNdeIおよびEcoRIで切断し、5’末端を脱リン酸化した発現ベクタープラスミドpET28a(Hisタグ遺伝子を含む。ノバゲン社製)と混合し結合反応を行い、タグ遺伝子を有する発現ベクターを構築した。
この発現ベクターは、約2400塩基対のDNA断片が挿入されたpET28aDNAで構成され、このプラスミドをpET28a・E.coli・His−PNPaseと命名した(図1参照)。ベクター由来の一部分を含めて、pnp遺伝子の全DNA配列を解読した結果、ベクター由来部分はノバゲン社が発表している配列と一致し、pnp遺伝子部分は公的遺伝子データベースGenbank登録番号NC000913に記載されている大腸菌K12株のpnp遺伝子相当部分のDNA配列と完全に一致した。
また、pET28a・E.coli・His−PNPase DNAをNdeIおよびEcoRIで切断し、アガロースゲル電気泳動を行い、約2400塩基対のNdeI−EcoRI DNA断片を抽出した。次にこのDNA断片を、予めNdeIおよびEcoRIで切断し、5’末端を脱リン酸化した発現ベクタープラスミドpET30a(タグ遺伝子を含まない。ノバゲン社製)と混合し結合反応を行い、タグ遺伝子を有しない発現ベクターを構築した。
この発現ベクターは、約2400塩基対のDNA断片が挿入されたpET30aDNAで構成され、このプラスミドをpET30a・E.coli・native−PNPaseと命名した(図2参照)。
(2)形質転換体の調製
上記プラスミドpET28a・E.coli・His−PNPaseないしpET30a・E.coli・native−PNPaseを用いて、大腸菌BL21[DE3]株(ノバゲン社製)を常法により形質転換して、各々の形質転換体を調製した。
(3)当該酵素の産出
pET28a・E.coli・His−PNPaseを含む大腸菌BL21[DE3]株の形質転換体ないしpET30a・E.coli・native−PNPaseを含む大腸菌BL21[DE3]株の形質転換体を、カナマイシンを添加した変法terrific broth培地(24g/L酵母エキス(ナカライテスク社製)、12g/Lトリプトン(ナカライテスク社製)、0.4%[v/v]グリセロール)中で37℃、約16時間往復振盪培養(MR−200L振盪培養機、高崎科学社製)し、前培養した。
10L容卓上型ジャーファーメンター(オリエンタル酵母社製、LS−10)にLB培地(LB BROTH BASE、インビトロゲン社製、cat No.12780−052)を仕込み、前培養液を植菌し(培養開始時点での600nmでの濁度は約0.2)、37℃、1vvm、500rpmで通気培養を行った。600nmでの濁度が0.5〜0.7に達した時、IPTG(ナカライテスク社製)を0.4mMとなるよう添加し、発現誘導を行うことにより2つの当該酵素をそれぞれ産出した。
なお、発現ベクターの脱落を阻止するため、カナマイシンを25mg/Lとなるよう添加した。消泡剤としてアデカノールLG−109(旭電化工業社製)を、培地7L当たり約0.2mL添加した。
(4)回収、抽出、精製
▲1▼まず、IPTG添加による発現誘導3時間後の培養液112L(7L培養×16回)から集めた菌体より、Hisタグを付与された当該酵素の精製を行った。
菌体を培養液量の約1/60量の抽出用緩衝液A(20mM Tris−HCl pH8.0、0.5M塩化ナトリウム、10%グリセロール)に懸濁し、50mg/Lとなるよう卵白リゾチームを加え、室温で30分振盪した後、−80℃で凍結した。37℃で凍結菌体を急速に融解した後、アストラソン社製超音波細胞破砕機XL2020およびcat No.200の破砕ホーンを用いて、最大出力にて約5分間超音波破砕した。菌体破砕液を20,000×g、4℃、60分間遠心し、上清を採取し、1.6Lの菌体粗抽出液を調製した。菌体粗抽出液をNi+親和性クロマトグラフ(φ2.6×20、His Bind Flactogel M、ノバゲン社製)にかけ、Hisタグが付与された当該酵素を精製した。菌体粗抽出液を抽出用緩衝液Aで平衡化したカラムに5mL/minにアプライした後、樹脂を1Lの抽出用緩衝液Aで洗浄し、最後に1Lの0.5Mイミダゾールを含む抽出用緩衝液AでHisタグが付与された当該酵素をカラムから溶出した。次に、pHの変更、塩化ナトリウムおよびイミダゾールを除去する目的で、限外濾過膜を用いたダイアフィルトレーションを行った。当該酵素を含む1Lの溶出液を、限外濾過カートリッジ(PREP/SCALE−TFF、分画分子量:10,000、ミリポア社製)を用いて約600mLまで濃縮し、次に液量を一定に保つように緩衝液(50mM Tris−HCl pH7.0、0.15M塩化ナトリウム、5%グリセロール)を添加しながら限外濾過を行った。濾液が7Lに達するまで限外濾過を続け、当該酵素溶液の緩衝液組成を変更した。次にこの酵素液をエンドトキシン除去カラム(Kurimover II、φ2.6×10cm、栗田工業社製)にかけた。酵素液を1.7mL/minで活性化したKurimoverIIカラムに通し、通過画分を集めた。次に、pHの変更、塩化ナトリウムを除去する目的で、限外濾過カートリッジを用いたダイアフィルトレーションを行った。酵素液の液量を一定に保つように緩衝液(20mM Tris−HCl pH8.0、5%グリセロール)を添加しながら、限外濾過を行った。濾液が7Lに達するまで限外濾過を続け、当該酵素溶液の緩衝液組成を変更した後、−20℃で凍結保存した。精製の各工程で試料を採取し、当該酵素の活性測定とエンドトキシン量の測定を行った。
その結果を表1に示す。
表1から明らかなように、112L培養菌体(誘導後3時間培養)から約20万ユニットの当該酵素を得ることができた。また、1回目のダイアフィルトレーション後に多量に含まれていたエンドトキシンは、KurimoverIIカラム処理によりほとんど除去され、最終産物にはPNPase 1ユニット当たり、9.3EUのエンドトキシンが含まれるのみであった。
▲2▼次に、IPTG添加による発現誘導7時間後の培養液56L(7L培養×8回)から集めた菌体より、Hisタグが付与された当該酵素の精製を行った。菌体を培養液量の約1/30量の抽出用緩衝液B(20mM Tris−HCl pH8.0、0.5M塩化ナトリウム、5%グリセロール)に懸濁し、50mg/Lとなるよう卵白リゾチームを加え、室温で30分間振盪した後、−80℃で凍結した。37℃で凍結菌体を急速に融解した後、アストラソン社製超音波細胞破砕機XL2020およびcat No.200の破砕ホーンを用いて、最大出力にて約5分間超音波破砕した。菌体破砕液を20,000×g、4℃、60分間遠心し、上清を採取し、1.5Lの菌体粗抽出液を調製した。菌体粗抽出液をNi+親和性クロマトグラフにかけ、Hisタグが付与された当該酵素を精製した。菌体粗抽出液を抽出用緩衝液Bで平衡化したカラムに5mL/minにアプライした後、樹脂を1Lの抽出用緩衝液Bで洗浄し、最後に1Lの0.5Mイミダゾールを含む抽出用緩衝液BでHisタグが付与されたタンパク質をカラムから溶出した。次に、pHの変更、塩化ナトリウムおよびイミダゾールを除去する目的で、限外濾過膜を用いたダイアフィルトレーションを行った。当該酵素を含む1Lの溶出液を、限外濾過カートリッジを用いて約600mLまで濃縮し、次に液量を一定に保つように緩衝液(50mM Tris−HCl pH7.0、0.15M塩化ナトリウム、5mM塩化マグネシウム、5%グリセロール)を添加しながら限外濾過を行った。濾液が7Lに達するまで限外濾過を続け、当該酵素溶液の緩衝液組成を変更した。次にこの酵素液をKurimoverIIカラムにかけた。活性化したKurimoverIIカラムに酵素液を1.7mL/minで処理し、通過画分を集めた。次に、pHの変更、塩化ナトリウムを除去する目的で、限外濾過カートリッジを用いたダイアフィルトレーションを行った。酵素液の液量を一定に保つように緩衝液(20mM Tris−HCl pH8.0、5mM塩化マグネシウム、5%グリセロール)を添加しながら、限外濾過を行った。濾液が7Lに達するまで限外濾過を続け、当該酵素溶液の緩衝液組成を変更した後、−20℃で凍結保存した。精製の各工程で試料を採取し、当該酵素の活性測定とエンドトキシン量の測定を行った。
その結果を表2に示す。
表2から明らかなように、56L培養菌体(誘導後7時間培養)から約17万ユニットの当該酵素を得ることができた。これは、誘導後3時間培養112L菌体から精製した当該酵素量とほぼ同じであり、培養時間を延長することで当該酵素収量を増大させることを証明した結果となった。また、1回目のダイアフィルトレーション後に多量に含まれていたエンドトキシンは、KurimoverIIカラム処理によりほとんど除去され、最終産物には当該酵素1ユニット当たり、1.0EUのエンドトキシンが含まれるのみであった。この数値は、誘導後3時間培養112L菌体から精製した当該酵素に含まれるエンドトキシン量(9.3EU/U−PNPase)を下回っていた。
▲3▼次に、IPTG添加による発現誘導24時間後の培養液28L(7L培養×4回)から集めた培養上清より、Hisタグが付与された当該酵素の精製を行った。培養上清を、150mL/minの速度で、予め20mM Tris−HCl pH8.0で平衡化した陰イオン交換カラム(QAE−TOYOPERL 550C、φ140×70mm)にかけた。カラムを5Lの20mM Tris−HCl pH8.0、0.1M塩化ナトリウムを含む緩衝液で洗浄した後、イオン交換樹脂に吸着した当該酵素を5Lの20mM Tris−HCl pH8.0、0.5M塩化ナトリウムを含む緩衝液で溶出し粗酵素液を得た。粗酵素液をNi+親和性クロマトグラフにかけ、Hisタグが付与された当該酵素を精製した。粗酵素液を抽出用緩衝液Bで平衡化したカラムに5mL/minにアプライした後、樹脂を1Lの抽出用緩衝液B、および1Lの50mMイミダゾールを含む抽出用緩衝液Bで洗浄し、最後に0.5Lの0.5Mイミダゾールを含む抽出用緩衝液BでHisタグが付与された当該酵素をカラムから溶出した。次に、pHの変更、塩化ナトリウムおよびイミダゾールを除去する目的で、限外濾過膜を用いたダイアフィルトレーションを行った。当該酵素を含む1Lの溶出液を、限外濾過カートリッジ(PREP/SCALE−TFF、分画分子量:30,000、ミリポア社製)を用いて約500mLまで濃縮し、次に液量を一定に保つように緩衝液(50mM Tris−HCl pH7.0、0.15M塩化ナトリウム)を添加しながら限外濾過を行った。濾液が7Lに達するまで限外濾過を続け、当該酵素溶液の緩衝液組成を変更した。次にこの酵素液をKurimoverIIカラムにかけた。活性化したKurimoverIIカラムに酵素液を1.7mL/minで処理し、通過画分を集めた。次に、pHの変更、塩化ナトリウムを除去する目的で、限外濾過膜(PREP/SCALE−TFF、分画分子量:30,000、ミリポア社製)を用いたダイアフィルトレーションを行った。酵素液の液量を一定に保つように緩衝液(20mM Tris−HCl pH8.0、5mM塩化マグネシウム、5%グリセロール)を添加しながら、限外濾過を行った。濾液が7Lに達するまで限外濾過を続け、当該酵素溶液の緩衝液組成を変更した後、−20℃で凍結保存した。精製の各工程で試料を採取し、当該酵素の活性測定とエンドトキシン量の測定を行った。
その結果を表3に示す。
表3から明らかなように、28L培養上清(誘導後24時間培養)から約5万ユニットの当該酵素を得ることができた。本酵素は、SDS−PAGE/クマシーブルー染色によるタンパク質純度検定において、他のタンパク質の存在をほとんど認めなかった。また、1回目のダイアフィルトレーション後に多量に含まれていたエンドトキシンは、KurimoverIIカラム処理によりほとんど除去され、最終産物には当該酵素1ユニット当たり、1.2EUのエンドトキシンが含まれるのみであった。この数値は、誘導後3時間培養112L菌体から精製した当該酵素に含まれるエンドトキシン量(9.3EU/U−PNPase)を下回っていた。このことから、培養上清からの当該酵素精製は、菌体破砕というスケールアップが困難な過程を省略することができ、かつ純度の高い当該酵素を得る方法であると言うことができる。
試験例1 当該酵素の活性測定
発現誘導後(IPTG添加後)、0、1、2、3、5、7、9、24時間に試料の採取を行い、当該酵素の活性を測定した。
その結果、図3および図4に示す通り、Hisタグが付与された当該酵素およびタグが付与されていない当該酵素ともに、誘導後7〜9時間で菌体内への蓄積が最大となり、24時間後には減少していた。誘導後24時間では、誘導後7〜9時間で菌体内へ蓄積した量を上回る量の当該酵素が培養上清中に放出されていた(図3、図4参照)。
▲1▼当該酵素の活性測定用の試料調製
500mLの遠心管に400mLの培養液を採取し、5,000×g、室温、5分の遠心分離(日立工機社製 SCR−20BA)により菌体を回収した。上澄みは培養上清として保存した。菌体を30mLの50mg/L卵白リゾチームを含む緩衝液(20mM Tris−HCl pH8.0、0.15M塩化ナトリウム、10%[v/v]グリセロール、1mM Tris−carboxyethylphosphine HCl)に懸濁し、室温で15分間放置した後、−80℃保存した。凍結/融解を2回繰り返し、大腸菌を穏和に破砕した後、アストラソン社製超音波細胞破砕機XL2020およびcat No.200の破砕ホーンを用いて、最大出力にて約30秒間超音波破砕した。菌体破砕液を10,000×g、4℃、10分間遠心し、上清を採取し、菌体粗抽出液を調製した。
▲2▼当該酵素の活性測定
1.5mL容遠心チューブ(エッペンドルフ社製)に20μLの酵素液と80μLの当該酵素反応液(125mM Tris−HCl pH9.0、0.25mg/mL牛血清アルブミン、0.5mM EDTA二ナトリウム、6mM塩化マグネシウム、25mMアデノシン二リン酸三ナトリウム塩)を加えて穏やかに混合し、37℃で15分間保温した。0.9mLの氷冷した4%過塩素酸ナトリウム水溶液を加えて反応を止めた後、氷上で10分間放置した。4℃、15,000rpm、5分間(トミー精工社製、MR−150)の遠心により、上清を分離した。次に、反応上清中に遊離した無機リン酸を定量するために、96穴プレート(コーニング社製)に50μLの上清と50μLのTassky−Shorr試薬(0.5M硫酸、10g/Lモリブデン酸アンモニウム、50g/L硫酸第一鉄)を加えて30秒間攪拌した後、室温で5分間放置した。660nmの吸光度を測定し(Model 550、Bio−Rad社製)、当該酵素の活性を算出した。ここで定義する1Uとは、37℃、pH9.0、15分間の反応により1μmoleの無機リン酸を遊離させる酵素量である。
実施例2 ポリイノシン酸の合成
112L培養菌体から精製した当該酵素を用いて、ポリイノシン酸(RNAホモポリマー)の合成を行った。予め、小スケールの合成反応を行い、反応収率が高く平均鎖長の長いポリマーが合成できる条件を決定した。ポリイノシン酸の合成は、総容量350mL、反応液組成(100mM 2−[4−(2−hydroxyethyl)−1−piperazinyl]ethanesulfonic acid(HEPES)−NaOH pH7.5、0.4mM EDTA二ナトリウム、50mM塩化マグネシウム、0.1g/Lイノシン二リン酸三ナトリウム塩(ヤマサ醤油社製)、11.43U/mL His−PNPase)、37℃で行った。経時的に試料を採取し、その一部を変性条件下(7M尿素存在下)でのゲル濾過HPLCで分析し、平均鎖長と反応収率を計算した。
鎖長は、pUC119(宝酒造社製)の制限酵素EcoRI、NarIおよびNspI(New England Bio Lab社製)による分解物を指標として決定した。
その結果を図5に示す。図5から明らかなように、37℃、11時間の反応により、反応収率約50%で平均鎖長が約2200塩基のポリイノシン酸が得られた。
実施例3 ポリシチジル酸の合成
同様にしてポリシチジル酸の合成を行った。総容量350mL、反応液組成(100mM glycine−NaOH pH9.0、0.4mM EDTA二ナトリウム、25mM塩化マグネシウム、0.1g/Lシチジン二リン酸三ナトリウム塩(ヤマサ醤油社製)、11.43U/mL His−PNPase)、37℃で行った。経時的に試料を採取し、その一部を変性条件下でのゲル濾過HPLCで分析し、平均鎖長と反応収率を計算した。
その結果を図6に示す。図6から明らかなように、37℃、7時間の反応により、反応収率約65%で平均鎖長が約2200塩基のポリシチジル酸が得られた。
本発明ではタグを付けた当該酵素を発現させることにより精製が非常に簡便になり、また大腸菌の当該酵素生産量が2倍程度増加するという予想外の効果が得られた。また、培養法の工夫により、当該酵素が菌体内に蓄積せず培養上清中に放出されるようになり、菌体破砕による大量のエンドトキシンの混入を防ぐことができるなど、大量培養からでも迅速かつ簡便に当該酵素を精製できる。
Claims (9)
- 少なくとも次の工程を含有するPNPaseの製造法。
(A)発現制御シグナルであるT7プロモーターを有するプラスミドに原核生物由来のPNPase遺伝子を組み込んだ発現ベクターを構築する工程;
(B)当該発現ベクターを用いて、T7 RNAポリメラーゼ遺伝子を有する大腸菌又はその類縁菌を形質転換する工程;
(C)当該形質転換体にPNPase遺伝子を発現させることによって、PNPaseを菌体内に蓄積させる工程;
(D)PNPaseが蓄積された菌体を回収し、PNPaseを抽出精製する工程。 - 上記C)D)の工程が、各々下記C’)D’)の工程である、請求項1記載の製造法。
(C’)当該形質転換体にPNPase遺伝子を発現させることによって、PNPaseを菌体内に蓄積させ、さらに菌体が壊れPNPaseが菌体外上清中に滲出するまで発現を続ける工程;
(D’)上清中に滲出したPNPaseを回収精製する工程。 - 当該プラスミドが、製造されるPNPaseにタグを付与することができるタグ遺伝子を有するものである請求項1または2記載の製造法。
- タグ遺伝子が、Hisタグ遺伝子、T7タグ遺伝子、Sタグ遺伝子、Nusタグ遺伝子、GSTタグ遺伝子、DsbAタグ遺伝子、DsbCタグ遺伝子、CBDcexタグ遺伝子、CBDcenAタグ遺伝子、CBDclosタグ遺伝子、Trxタグ遺伝子、HSVタグ遺伝子、又は3×FLAGタグ遺伝子である請求項3記載の製造法。
- 原核生物が、大腸菌である請求項1〜4のいずれかに記載の製造法。
- 大腸菌が、K12株大腸菌、又はO157株大腸菌である請求項5記載の製造法。
- T7 RNAポリメラーゼ遺伝子を有する大腸菌が、BL21[DE3]株大腸菌、BL21[DE3]pLysS株大腸菌、BLR[DE3]株大腸菌、Rosetta[DE3]株大腸菌、又はB834[DE3]株大腸菌である請求項1〜6記載の製造法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の製造法により製造されたPNPaseを用いて製造された合成核酸重合体。
- 合成核酸重合体が、ポリイノシン酸、ポリシチジル酸、ポリウリジル酸、ポリアデニル酸、ポリグアニル酸、ポリ(5−ブロモシチジル酸)、ポリ(2−チオシチジル酸)、ポリ(7−デアザイノシン酸)、ポリ(2’−アジドイノシン酸)、ポリ(シチジン−5’−チオリン酸)、ポリ(1−ビニルシチジル酸)、ポリ(シチジル酸、ウリジル酸)、ポリ(シチジル酸、4−チオウリジル酸)、又はポリ(アデニル酸、ウリジル酸)である請求項8記載の合成核酸重合体。
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