JPWO2004050654A1 - ピロリジン化合物の合成とその塩 - Google Patents

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隆行 奥野
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Abstract

式(I):で表わされる化合物のp−トルエンスルホン酸塩、硫酸塩、塩酸塩、またはその溶媒和物、またはそれらの結晶、およびそれらの製造方法を見出した。

Description

本発明は、cPLA阻害活性を有するピロリジン化合物の塩、結晶、それらの製造方法、および中間体に関する。
ホスホリパーゼA(PLA)は、リン脂質の2位のエステル結合を加水分解する酵素の総称で、生体膜リン脂質の新生と代謝に関わるとともに、プロスタノイドなどの脂質メディエーター産生にいたるアラキドン酸カスケードの開始酵素として機能する。現在、哺乳動物では多様なPLAの存在が明らかにされており、その局在性、分子量、基質特異性等に基づいて、分泌型PLA(sPLA)、Ca2+非依存型PLA(iPLA)、細胞質型PLA(cPLA)などのファミリーに分類されている。
cPLA阻害活性を有する、2位側鎖にチアゾリジンジオンを有するピロリジン誘導体化合物が、特許文献1、2、および3、ならびに非特許文献1および2に記載されている。いずれの文献にも、式(I):
Figure 2004050654
で表わされる化合物の塩およびその結晶についての記載はなく、その塩を用いた精製方法についても記載はない。また、医薬品として使用可能な純度を有する式(I)で表される化合物の工業的製造方法についての記載もない。
国際公開第97/05135号パンフレット 国際公開第98/33797号パンフレット 国際公開第01/30387号パンフレット J.Med.Chem.2000,43(6),p.1042−11044 Biochimica et Biophysica Acta 2001,1513 p.160−166
cPLA阻害活性を有する結晶性の低いピロリジン化合物を医薬品として提供するために、医薬品として使用しうる純度を有する該化合物の工業的製造方法が望まれていた。
本発明者らは以上の点に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、高純度のピロリジン化合物を提供するために用いることができる塩およびその結晶、ならびにそれらの製造方法を見出した。非結晶のピロリジン化合物を塩の結晶とすることで精製し、さらに脱塩反応に付することで医薬品として使用可能な程度の純度を有する該化合物を得ることができる。
すなわち、本発明は、1)式(I):
Figure 2004050654
で表わされる化合物のp−トルエンスルホン酸塩、硫酸塩、塩酸塩、またはその溶媒和物、に関する。
さらに詳しくは、以下の2)から27)に関する。
2)p−トルエンスルホン酸塩である1)記載の塩、またはその溶媒和物。
3)硫酸塩である1)記載の塩、またはその溶媒和物。
4)式(I):
Figure 2004050654
で表わされる化合物のp−トルエンスルホン酸塩、硫酸塩、塩酸塩、またはその溶媒和物の、結晶。
5)p−トルエンスルホン酸塩またはその溶媒和物の結晶である4)記載の結晶。
6)粉末X線回折パターンにおいて、面間隔(d)が6.34、12.04、19.06、23.78、24.76、25.44、および25.76(単位:Å)に主なるピークを示す、5)記載の結晶。
7)硫酸塩またはその溶媒和物の結晶である4)記載の結晶。
8)粉末X線回折パターンにおいて、面間隔(d)が14.04、16.22、19.60、22.02、および22.28(単位:Å)に主なるピークを示す、7)記載の結晶。
9)式(I):
Figure 2004050654
で表わされる化合物またはその溶媒和物を、p−トルエンスルホン酸、硫酸、または塩酸と反応させることを特徴とする、式(I)で表される化合物のp−トルエンスルホン酸塩、硫酸塩、塩酸塩、それらの溶媒和物、またはそれらの結晶の製造方法。
10)p−トルエンスルホン酸塩、硫酸塩、塩酸塩、またはそれらの溶媒和物の、結晶の製造法である9)記載の製造方法。
11)p−トルエンスルホン酸塩またはその溶媒和物の、結晶の製造法である10)記載の製造方法。
12)硫酸塩またはその溶媒和物の、結晶の製造法である10)記載の製造方法。
13)式(I):
Figure 2004050654
で表わされる化合物のp−トルエンスルホン酸塩、硫酸塩、塩酸塩、またはそれらの溶媒和物の、結晶を脱塩処理することを特徴とする、式(I)で表わされる化合物、またはその溶媒和物の製造方法。
14)式(I)で表わされる化合物のp−トルエンスルホン酸塩またはその溶媒和物の、結晶を脱塩処理することを特徴とする13)記載の製造方法。
15)式(I)で表わされる化合物の硫酸塩またはその溶媒和物の、結晶を脱塩処理することを特徴とする13)記載の製造方法。
16)p−トルエンスルホン酸、硫酸、または塩酸と反応させることにより、式(I):
Figure 2004050654
で表わされる化合物のp−トルエンスルホン酸塩、硫酸塩、塩酸塩、またはそれらの溶媒和物の、結晶を得る工程、および、得られたp−トルエンスルホン酸塩、硫酸塩、塩酸塩、またはそれらの溶媒和物の、結晶を脱塩反応に付する工程、からなる式(I)で表わされる化合物、またはその溶媒和物の製造方法。
17)p−トルエンスルホン酸と反応させることにより、式(I)で表わされる化合物のp−トルエンスルホン酸塩またはその溶媒和物の、結晶を得る工程、および、得られたp−トルエンスルホン酸塩またはそれらの溶媒和物の、結晶を脱塩反応に付する工程、からなる16)記載の製造方法。
18)硫酸と反応させることにより、式(I)で表わされる化合物の硫酸塩またはその溶媒和物の、結晶を得る工程、および、得られた硫酸塩またはそれらの溶媒和物の、結晶を脱塩反応に付する工程、からなる16)記載の製造方法。
19)式:
Figure 2004050654
で表わされる化合物、その溶媒和物、またはそれらの塩。
20)塩酸塩である19)記載の塩。
21)式(II):
Figure 2004050654
で表わされる化合物、その溶媒和物、またはそれらの塩を、式(III):
Figure 2004050654
(式中、Xはハロゲンまたはヒドロキシである)
で表わされる化合物、その溶媒和物、またはそれらの塩と反応させ、式(I):
Figure 2004050654
で表わされる化合物、またはその溶媒和物を得る工程;および
得られた化合物またはその溶媒和物をp−トルエンスルホン酸、硫酸、または塩酸と反応させる工程;
を含む、式(I):
Figure 2004050654
で表わされる化合物のp−トルエンスルホン酸塩、硫酸塩、塩酸塩、それらの溶媒和物、またはそれらの結晶の製造方法。
22)p−トルエンスルホン酸塩、硫酸塩、塩酸塩、またはそれらの溶媒和物の、結晶の製造方法である21)記載の製造方法。
23)p−トルエンスルホン酸塩またはその溶媒和物の、結晶の製造方法である22)記載の製造方法。
24)硫酸塩またはその溶媒和物の、結晶の製造方法である22)記載の製造方法。
25) 式(IV):
Figure 2004050654
で表わされる化合物、その溶媒和物、またはそれらの塩。
26) 式(IV)で表わされる化合物の、p−トルエンスルホン酸塩、シュウ酸塩、またはギ酸塩である25)記載の塩。
27) p−トルエンスルホン酸塩である26)記載の塩。
式(I)、式(II)、および式(IV)で表わされる化合物は、可能なすべての光学異性体およびラセミ体を含む光学異性体の混合物を包含するものである。
本明細書中、「溶媒和物」とは、例えば有機溶媒との溶媒和物、水和物等を包含する。水和物を形成する時は、任意の数の水分子と配位していてもよい。
本明細書で使用する化合物の塩としては、無機酸(塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、硝酸等)、および有機酸(酢酸、シュウ酸、クエン酸、マレイン酸、フマル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ギ酸等)との塩、またはアルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム等)、アンモニウム、有機塩基およびアミノ酸との塩、が挙げられる。これらの塩は、通常行われる方法によって形成させることができる。
本明細書中、式(I):
Figure 2004050654
で表わされる化合物の塩、およびその溶媒和物の塩としては、無機酸塩または有機酸塩が好ましい。無機酸塩としては、硫酸塩、塩酸塩が好ましく、有機酸塩としては、p−トルエンスルホン酸塩が好ましい。特に、硫酸塩またはp−トルエンスルホン酸塩が好ましい。
p−トルエンスルホン酸塩、硫酸塩、および塩酸塩は結晶として得ることができる。これらの結晶は、不純物の含有量が少ない純度の高いものとして得られる。特に、p−トルエンスルホン酸塩および硫酸塩を結晶として得た場合は、不純物の含有量が非常に少ない、純度の高い結晶として得ることができる。したがって、式(I)で表される化合物を、上記の塩、特にp−トルエンスルホン酸塩または硫酸塩に導き、結晶化を行なった後、脱塩反応に付することによって該化合物の精製を行なうことができる。上記の方法で精製することにより、医薬品として利用可能な純度を有する式(I)で表わされる化合物を、工業的に製造することができる。
本明細書中、式(II):
Figure 2004050654
で表わされる化合物、その溶媒和物、それらの塩、またはそれらの結晶は、式(I)で表される化合物を製造するための中間体として好ましい。特に、上記化合物の塩酸塩が好ましい。
本明細書中、式(IV):
Figure 2004050654
で表わされる化合物、その溶媒和物、それらの塩、またはそれらの結晶は、式(I)で表される化合物を製造するための中間体として好ましい。特に、上記化合物、および上記化合物のシュウ酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、またはギ酸塩は中間体としての利用価値が高い。上記化合物または上記化合物のp−トルエンスルホン酸塩が最も好ましい。
本明細書中、式:
Figure 2004050654
(式中、Msはメタンスルホニル、Bocはt−ブトキシカルボニルを示す)
で表わされる化合物、その溶媒和物、それらの塩、またはそれらの結晶は、式(I)で表される化合物を製造するための中間体として好ましい。。
本明細書中、式:
Figure 2004050654
(式中、Bocは前記と同意義)
で表わされる化合物、その溶媒和物、それらの塩、またはそれらの結晶は、式(I)で表される化合物を製造するための中間体として好ましい。
本明細書中、脱塩反応とは式(I)で表される化合物の塩、例えば無機酸塩または有機酸塩を、式(I)で表される化合物に変換する反応をいう。具体的には、化合物(I)で表される化合物の塩をアルカリ水溶液で処理することにより行なうことができる。
図1は、実施例10により得られた化合物(Ia)の結晶の粉末X線測定結果である。
図2は、実施例12により得られた化合物(Ib)の結晶の粉末X線測定結果である。
A1工程
式(1)で表わされる化合物を塩へと導く工程を以下に示す。
Figure 2004050654
(式中、Tsはp−トルエンスルホニルを示す。)
塩(Ia)の調製
化合物(I)を溶媒に溶かし、p−トルエンスルホン酸の溶液を加え、攪拌、ろ過後、塩(Ia)を得ることができる。
p−トルエンスルホン酸塩の反応溶媒(結晶溶媒)としては、酢酸エチル、メタノール、アセトン、エタノール、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、塩化メチレン、エチルエーテル、またはそれらの混合溶液等の溶媒が挙げられる。酢酸エチルとメタノールの混合溶媒が好ましい。
また、p−トルエンスルホン酸の溶液としては、酢酸エチル、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、塩化メチレン、エチルエーテル等の溶液が挙げられる。酢酸エチル溶液が好ましい。
反応温度としては、0℃〜50℃が挙げられる。5℃〜35℃が好ましい。
反応時間としては、0.5時間〜5.0時間が挙げられる。0.5時間〜3.5時間が好ましい。
同様にして、硫酸、塩酸、硝酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、またはギ酸等を加えると、それぞれ硫酸塩、塩酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、またはギ酸塩を得ることができる。特に、硫酸塩と塩酸塩が好ましい。
硫酸塩の反応溶媒としてはメタノールが、結晶溶媒としては、メチルエチルケトンが好ましい。
塩酸塩の結晶溶媒としては、アセトンが好ましい。
A2工程
脱塩反応の工程を以下に示す。
Figure 2004050654
(式中、Tsは前記と同意義)
本工程は、p−トルエンスルホン酸塩(Ia)を脱塩反応に付し、化合物(I)を得る工程である。
塩(Ia)に溶媒を加えた後、アルカリ水溶液を加え、攪拌して、化合物(I)を得ることができる。
溶媒としては、酢酸エチル、メタノール、エタノール、アセトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド等の溶媒が挙げられるが、酢酸エチルが好ましい。
アルカリ水溶液としては、炭酸水素ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等があげられるが、炭酸水素ナトリウム水溶液が好ましい。
反応温度としては、0℃〜50℃が挙げられるが、0℃〜35℃が好ましい。
反応時間としては、5分〜3.0時間が挙げられるが、10分〜1.5時間が好ましい。化合物(I)は、上記の方法にて固体にすることができる。
また、同様の脱塩反応により、硫酸塩、塩酸塩等の塩を化合物(I)に導くことができる。
式(I)で表わされる化合物はWO01/30387記載の方法により合成できるが、以下に示す方法によっても合成することができる。
A3工程
Figure 2004050654
(式中、Bocは前記と同意義)
本工程は1位保護基であるBoc基を脱保護する工程である。
化合物(8)を溶媒に溶解し、酸(ルイス酸を含む)を加え、攪拌後、化合物(IV)を得ることができる。
溶媒としては、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、塩化メチレン、ジオキサン、水等が挙げられる。酢酸エチルとメタノールの混合溶媒が好ましい。
酸(ルイス酸を含む)としては、塩酸、トリフルオロ酢酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸、塩化アルミニウム、シリカゲル等が挙げられる。塩酸が好ましい。また、塩酸は、酢酸エチル溶液として加えるのが好ましい。
反応温度としては、0℃〜50℃が挙げられる。5℃〜45℃が好ましい。
反応時間としては、1.0時間〜5.0時間が挙げられる。1.0時間〜4.0時間が好ましい。
A4工程
Figure 2004050654
(式中、Bocは前記と同意義、p−TsOHはp−トルエンスルホン酸を示す)
本工程は化合物(IV)のp−トルエンスルホン酸塩を得る工程である。
化合物(IV)を溶媒に溶解し、p−トルエンスルホン酸を加え、攪拌後、生成した結晶をろ過し、塩(IVb)を得ることができる。
溶媒としては、酢酸エチル、酢酸ブチルエステル、メタノール、エタノール、プロパノール、メチルエチルケトン、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、エチルエーテル、またはそれらの混合溶液等があげられる。酢酸ブチルエステルと酢酸エチルの混合溶媒が好ましい。
p−トルエンスルホン酸は、必要ならば、p−トルエンスルホン酸の酢酸エチル、メタノール、エタノール、プロパノール、メチルエチルケトン、酢酸ブチルエステル等の溶液として加えることもできる。酢酸エチルの溶液として加えるのが好ましい。
シュウ酸、ギ酸、塩酸、硫酸、硝酸等の酸と反応させることにより、化合物(IV)に対応するシュウ酸塩、ギ酸塩、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩を得ることができる。シュウ酸塩、ギ酸塩が好ましい。
シュウ酸塩を得る場合には、酢酸エチルとn−プロパノールの混合溶媒とすることが好ましい。また、シュウ酸塩を加える場合には、酢酸エチルとn−プロパノールの混液で加えるのが好ましい。
ギ酸塩を得る場合には、メチルエチルケトンを溶媒とすることが好ましい。
反応温度としては、0℃〜50℃が挙げられる。5℃〜45℃が好ましい。
反応時間としては、1.0時間〜5.0時間が挙げられる。1.5時間〜4.5時間が好ましい。
A5工程
Figure 2004050654
(式中、Bocおよびp−TsOHは前記と同意義)
本工程は、1位N−Boc基の脱保護と、塩の生成反応を1工程で行う工程である。
化合物(8)の溶液にp−トルエンスルホン酸一水和物を加える。反応後、結晶化するために溶媒を加え、攪拌して、結晶化した後、目的とする塩(IVb)を得る。
化合物(8)を溶解するための溶媒としては、酢酸エチル、酢酸ブチルエステル、メタノール、アセトン、エタノール、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、塩化メチレン、エチルエーテル、またはそれらの混合溶液等があげられる。酢酸エチルが好ましい。
反応温度としては、0℃〜50℃が挙げられる。30℃〜45℃が好ましい。
反応時間としては、1.0時間〜5.0時間が挙げられる。2.0時間〜4.0時間が好ましい。
結晶化するために加える溶媒としては、酢酸ブチルエステル、エチルエーテル、クロロホルム、塩化メチレン等が挙げられる。酢酸エチルと酢酸ブチルエステルとの混合溶媒が好ましい。
結晶化するための温度としては、−10℃〜45℃が挙げられる。−5℃〜45℃が好ましい。
結晶化するための時間としては、1.0時間〜5.0時間が挙げられる。2.0時間〜4.0時間が好ましい。
A6工程
Figure 2004050654
本工程は1位に、置換されたベンゾイル基を導入する工程である。
1位側鎖に対応するカルボン酸(V)を溶媒に溶解し、少量のジメチルホルムアミドとハロゲン化剤を加え、攪拌後、1位側鎖に対応する酸ハロゲン化物を得る。
酸ハロゲン化物を合成する際の溶媒としては、アセトニトリル、塩化メチレン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。アセトニトリルが好ましい。
ハロゲン化剤としては、塩化チオニル、オキシ塩化リン、塩化オキザリル、五塩化リン等が挙げられる。塩化チオニルが好ましい。
反応温度としては、0℃〜50℃が挙げられる。10℃〜30℃が好ましい。
反応時間としては、0.5時間〜3.5時間が挙げられる。1.0時間〜3.0時間が好ましい。
化合物(IV)の溶媒中、塩基および上記の酸ハロゲン化物の溶液を加え、攪拌後、化合物(VI)を得ることができる。
酸ハロゲン化物と化合物(IV)との反応溶媒としては、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、ジオキサン等が挙げられる。テトラヒドロフランが好ましい。
塩基としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン等が挙げられる。トリエチルアミンが好ましい。
反応温度としては、−10℃〜50℃が挙げられる。0℃〜35℃が好ましい。
反応時間としては、5時間〜24時間が挙げられる。10時間〜20時間が好ましい。
A7工程
Figure 2004050654
本工程は2位側鎖のアミド基をシアノ基に変換する工程である。
化合物(VI)を溶媒に溶解し、塩基および脱水剤の溶液を加え、攪拌後、化合物(VII)を得ることができる。
溶媒としては、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、クロロホルム、ジオキサン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等があげられる。テトラヒドロフランが好ましい。
塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン等が挙げられる。トリエチルアミンが好ましい。
脱水剤としては、塩化トリクロロアセチル、オキシ塩化リン、塩化オキザリル、トリフルオロ酢酸無水物、塩化チオニル等が挙げられる。塩化トリクロロアセチルが好ましい。
反応温度としては、−10℃〜100℃が挙げられる。−5℃〜15℃が好ましい。
反応時間としては、0.5時間〜5.0時間が挙げられる。0.5時間〜2.0時間が好ましい。
A8工程
Figure 2004050654
本工程は2位側鎖であるシアノ基を還元してアミノ基に変換する工程である。
化合物(VII)の溶液に、アンモニア溶液、および触媒を加え、水添した後、触媒をろ別し、化合物(II)を得ることができる。
化合物(II)およびアンモニアの溶液としては、エタノール、メタノール、イソプロパノール、水、テトラヒドロフラン、酢酸エチル等の溶液が挙げられる。エタノール溶液が好ましい。
触媒としては、Raney−Ni(登録商標)、パラジウム−炭素、酸化白金、水酸化パラジウム−炭素等が挙げられる。Raney−Ni(登録商標)が好ましい。
反応温度としては、0℃〜50℃が挙げられる。5℃〜40℃が好ましい。
反応時間としては、1.0時間〜10時間が挙げられる。2.0時間〜7.0時間が好ましい。
さらに、化合物(II)を溶媒に溶解し、塩酸と反応させることにより、塩酸塩(IIa)を得ることができる。
塩酸塩(IIa)を得るための溶媒としては、酢酸エチル、メタノール、アセトン、エタノール、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、塩化メチレン、エチルエーテル等が挙げられる。酢酸エチルが好ましい。
硫酸、酢酸、硝酸、p−トルエンスルホン酸、シュウ酸、ギ酸、クエン等の酸と反応させることにより、化合物(II)に対応する硫酸塩、酢酸塩、硝酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、シュウ酸塩、ギ酸塩、クエン塩等の塩を得ることができる。
A9工程
Figure 2004050654
(式中、Xはハロゲンまたはヒドロキシである)
本工程は、化合物(II)またはその塩の2位に側鎖を導入する工程である。
化合物(II)またはその塩を溶媒に溶解し、塩基を加えた後、2位側鎖の酸または酸ハロゲン化物(III)を加え、攪拌後、化合物(I)を得ることができる。
出発物質としては、化合物(II)の塩が好ましい。特に、塩酸塩が好ましい。
化合物(III)としては、酸ハロゲン化物が好ましい。特に、酸クロリドが好ましい。
溶媒としては、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、ジオキサン等が挙げられる。アセトニトリルが好ましい。
塩基としては、トリブチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン等が挙げられる。トリブチルアミンが好ましい。
反応温度としては、−20℃〜30℃が挙げられる。−20℃〜5℃が好ましい。
反応時間としては、0.5時間〜5.0時間が挙げられる。2.0時間〜4.0時間が好ましい。
ここで、A4工程の出発原料である化合物(8)は、以下に示す第1工程〜第7工程により合成できる。
第1工程
Figure 2004050654
(式中、Bocは前記と同意義)
この工程はピロリジンの1位をBoc基で保護する工程である。
トランス−4−ヒドロキシ−L−ブロリン(1)を溶媒中、塩基の存在下、Boc化剤を加え、反応させることにより、化合物(2)を得ることができる。
溶媒としては、メタノール、ブタノール、ジオキサン等が挙げられる。メタノールが好ましい。
塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ水溶液が挙げられる。水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
Boc化剤としては、ジ−tert−ブチルジカーボネート、ボックアジド(tert−ブトキシカルボニルアジド)、ボックオン([2−(tert−ブトキシカルボニルオキシイミノ)−2−フェニルアセトニトリル])等が挙げられる。ジ−tert−ブチルジカーボネートが好ましい。Boc化剤は必要に応じて、テトラヒドロフラン、ジオキサンの溶液として使用することができる。テトラヒドロフラン溶液が好ましい。
反応温度としては、−5.0℃〜35℃が挙げられる。0℃〜35℃が好ましい。
反応時間としては、1.0時間〜10時間が挙げられる。3.0時間〜5.0時間が好ましい。
第2工程
Figure 2004050654
(式中、BocおよびMsは前記と同意義)
本工程は、4位のヒドロキシル基をメシル化する工程である。
化合物(2)を溶媒中、塩基、メシル化剤をこの順で加え、攪拌後、化合物(3)を得ることができる。
溶媒としては、酢酸エチル、塩化メチレン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。酢酸エチルが好ましい。
塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、トリブチルアミン等が挙げられる。トリエチルアミンが好ましい。
スルホニル化剤としては、メタンスルホニルクロリド、無水メタンスルホン酸等が挙げられる。メタンスルホニルクロリドが好ましい。
反応温度としては、−20℃〜25℃が挙げられる。−15℃〜0℃が好ましい。
反応時間としては、0.5時間〜10時間が挙げられる。1.0時間〜5.0時間が好ましい。
第3工程
Figure 2004050654
(式中、BocおよびMsは前記と同意義)
この工程は2位のカルボン酸と4位のメシル基を環化させて、ラクトン化する工程である。
化合物(3)の溶液に、溶媒および塩基を加え、攪拌後、化合物(4)を得ることができる。
溶媒としては、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン等があげられる。酢酸エチル、ジメチルホルムアミドが好ましい。
塩基としては無水炭酸ナトリウム、無水炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等があげられる。特に、無水炭酸ナトリウムが好ましい。
反応温度としては、50℃〜100℃、好ましくは75℃〜90℃があげられる。
反応時間としては、0.5時間〜3.0時間、好ましく0.5時間〜1.5時間があげられる。
第4工程
Figure 2004050654
(式中、Bocは前記と同意義)
化合物(4)を開環して化合物(5)を合成する工程である。
化合物(4)を溶媒中、アンモニア水を加え、攪拌後、化合物(5)を得ることができる。
溶媒としては、酢酸エチル、イソプロパノール、テトラヒドロフラン等が挙げられる。酢酸エチルが好ましい。
反応温度としては、−20℃〜25℃が挙げられる。−10℃〜25℃が好ましい。
反応時間としては、20分〜5.0時間が挙げられる。20分〜2.5時間が好ましい。
第5工程
Figure 2004050654
(式中、BocおよびMsは前記と同意義)
本工程は、4位のヒドロキシル基をメシル化する工程である。
化合物(5)を溶媒中、塩基、メシル化剤を加え、攪拌後、化合物(6)を得ることができる。
溶媒としては、テトラヒドロフラン、酢酸エチル等が挙げられる。テトラヒドロフランが好ましい。
塩基としては、ジイソプロピルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン等が挙げられる。ジイソプロピルアミンが好ましい。
メシル化剤としては、メタンスルホニルクロリド、無水メタンスルホン酸等が挙げられる。メタンスルホニルクロリドが好ましい。
反応温度としては、−20℃〜15℃が挙げられる。−10℃〜5℃が好ましい。
反応時間としては、0.5時間〜5時間が挙げられる。1時間〜3時間が好ましい。
第6工程
Figure 2004050654
(式中、BocおよびMsは前記と同意義)
本工程は、4位側鎖をイソブチルアミノ基に変換する工程である。
化合物(6)をイソブチルアミンと反応させて、化合物(7)を得ることができる。
溶媒としては、水、ジメチルスルホキシド、クロロホルム、アセトニトリル、メタノール、ジメチルホルムアミド等の溶媒が挙げられる。特に、水が好ましい。
反応温度としては、50℃〜100℃が、好ましくは60℃〜90℃が挙げられる。
反応時間としては、5.0時間〜15時間、好ましく8.0時間〜12時間があげられる。
第7工程
Figure 2004050654
(式中、Bocは前記と同意義)
本工程は、4位側鎖にベンジルアミノ基を導入する工程である。
化合物(7)を溶媒中、2−フェニル−ベンジルハライドおよび塩基と反応させ、化合物(8)を得る。
溶媒としては、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、トルエン等が挙げられる。アセトニトリルが好ましい。
2−フェニル−ベンジルハライドとしては、2−フェニル、ベンジルクロリド、2−フェニル−ベンジルブロミド等が挙げられる。2−フェニル−ベンジルブロミドが好ましい。
塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等があげられる。炭酸ナトリウムが好ましい。
反応温度としては、20℃〜60℃、好ましくは40℃〜50℃が挙げられる。
反応時間としては、5.0時間〜24時間、好ましくは7.0時間〜10時間が挙げられる。
化合物(1)〜(8)、(VI)、(VII)は可能なすべての光学異性体およびラセミ体を含む光学異性体の混合物を包含するものである。
以下に実施例をあげて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。化合物(I)、(Ia)、(II)、および(IV)は以下のスキームに示す工程で合成した。参考例1〜15および実施例1〜13に各工程の詳細を記す。
実施例中、以下の略号を用いる。
Boc:tert−ブトキシカルボニル
Ms:メタンスルホニル
Ts:p−トルエンスルホニル
Figure 2004050654
Figure 2004050654
参考例1
Figure 2004050654
ヒドロキシ体(2)の合成
トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン(1)1000g(7.63 mol)のメタノール3.6L懸濁液に、水酸化ナトリウム317.8g(96%,7.63mol)を水1.5Lに溶解した溶液を5〜8℃で加えた。この溶液にジ−tert−ブチルジカーボネート 1831g(8.39mol)のテトラヒドロフラン 150mL溶液を3〜9℃にて1時間10分間で滴下し、室温で3時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残留液3.44kgを酢酸エチルで2回洗浄し、有機層は水で抽出した。水層は合併し、濃塩酸でpH2.0に調整し、食塩を加え塩析して酢酸エチルで3回抽出した。有機層は飽和食塩水で洗浄後減圧濃縮した。得られた残留液に酢酸エチルを加え、減圧濃縮する操作を3回繰り返し(水分が基質の1%以下になるまで)、ヒドロキシ体(2)の酢酸エチル溶液3.50kgを得た。この溶液を次工程に使用した。
参考例2
Figure 2004050654
メシレート体(3)の合成
ヒドロキシ体(2)の酢酸エチル溶液 3.50kg(7.63mol相当)に酢酸エチル15.7Lを加え、次いでトリエチルアミン 2551mL(d0.726,18.3mol)を−3〜−7℃で加えた。この混合物にメタンスルホニルクロリド1299mL(d1.48,16.8mol)を−5〜−9℃にて1時間55分間で滴下し、−5〜−8℃で1時間30分間攪拌した。次いで、水4.5Lと無水炭酸ナトリウム1617g(15.3 mol)を水4.5Lに溶解した溶液を加え、15〜24℃で2時間20分間攪拌した。反応液を濃塩酸でpH2.0に調整し、分液した。水層は酢酸エチルで抽出し、有機層は飽和食塩水で2回洗浄後減圧濃縮した。得られた残留液に酢酸エチルを加え、減圧濃縮し(水分を基質の1%以下にした)、メシレート体(3)の酢酸エチル溶液3.50kgを得た。この溶液を次工程に使用した。
参考例3
Figure 2004050654
ラクトン体(4)の合成
メシレート体(3)の酢酸エチル溶液3.50kg(7.63mol相当)に酢酸エチル1.0L、ジメチルホルムアミド4.7Lおよび無水炭酸ナトリウム970g(9.15mol)を加え、80〜86℃で1時間18分間攪拌した。反応液は冷却後酢酸524mL(d1.049,9.15mol)の氷水14.1kgの溶液に加え、酢酸エチルで2回抽出した。有機層は水で3回洗浄後減圧濃縮し、ラクトン体(4)の酢酸エチル溶液5.06kgを得た。この溶液を次工程に使用した。
参考例4
Figure 2004050654
アミド体(5)の合成
ラクトン体(4)の酢酸エチル溶液5.06kg(7.63mol相当)に酢酸エチル3.5Lを加え、28%アンモニア水650mL(d0.995,10.6mol)を10〜17℃にて32分間で滴下し、16〜20℃で1時間20分間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残査に酢酸エチルを加え、再度減圧濃縮した。得られた結晶性残査を酢酸エチル/トルエン(1/1)で洗浄してアミド体(5)を1442g(4工程通算収率82.1%)無色結晶(融点164〜166℃)として得た。
Anal.Calcd for C1018.C,52.16;H,7.88;N,12.17.Found C,52.13;H,7.87;N,12.31;HO,0.31.
[α]−3.1±0.4°,[α]365−19.8±0.6°(MeOH,cl.004,25℃)
参考例5
Figure 2004050654
メシレート体(6)の合成
アミド体(5)1300g(5.65mol)のテトラヒドロフラン15.6L懸濁液に、ジイソプロピルアミン959mL(d0.715,6.78mol)を−3〜−3.5℃で加え、次いでメタンスルホニルクロリド 481mL(d1.48,6.21mol)を−5〜2℃にて45分間で滴下し、1〜−2℃で1時間攪拌した。反応液に1mol/L HCl 1.2Lの氷水8.8kgの溶液及び食塩(1.9kg)を加え、酢酸エチルで3回抽出した。有機層は飽和食塩水で2回洗浄後減圧濃縮した。得られた残査を酢酸エチル/トルエンより結晶化し、メシレート体(6)を1670g(収率95.9%)無色結晶(融点112〜114℃)として得た。
Anal.Calcd for C1120S.C,42.85;H,6.54;N,9.08;S,10.40.Found C,42.55;H,6.45;N,9.22;S,10.34;HO,0.31.
[α]−24.9±0.7°(MeOH,c1.000,25℃)
参考例6
Figure 2004050654
イソブチルアミノ体(7)の合成
メシレート体(6)1500g(4.87mol)をイソブチルアミン2417mL(d0.736,24.3mol)および水495mLに溶解し、10時間30分間還流攪拌した。反応液は減圧濃縮して得られた油状残査に酢酸エチルを加え、減圧濃縮する操作を2回繰り返した。得られた油状残査に酢酸エチル、氷水および20%炭酸ナトリウム水溶液を加え、抽出した。水層は酢酸エチルで抽出し、有機層を10%食塩水で洗浄後減圧濃縮した。得られた油状残査をアセトニトリルに溶解し、再度減圧濃縮し、イソブチルアミノ体(7)1.50kgを油状物として得た。
参考例7
Figure 2004050654
ベンジルアミノ体(8)の合成
イソブチルアミノ体1.56kg(4.83mol分)のアセトニトリル9L溶液に2−フエニル−ベンジルブロミド 1260g(純度補正1202g;1eq)と炭酸ナトリウム774g(1.5eq)を加え45〜46℃で8.5時間攪拌した。一夜放置後ろ紙粉末で濾過し減圧濃縮して目的物(8)の油状残渣2.50kg(理論量2183g)を得た。
参考例8
(以下参考例10までは4位側鎖2−フェニルベンジルブロミド(15)の合成に関する。)
Figure 2004050654
2.フェニル安息香酸(13)の合成
9−フルオレノン(12)(1000g,5.55mol)にトルエン(7L)を加えて室温で攪拌しながら、水酸化カリウム(1245g,22.20mol)を投入し80℃〜90℃に加温した。約2時間後、50℃に冷却して水(4L)を注加し、さらにトルエン(500mL)、水(3L)を加えて抽出、分液した。有機層に10%水酸化カリウム水溶液(3L)、水層にトルエン(3L)を加えて抽出した後、前者の水層と後者の有機層を合わせて再び抽出して水層を合併した。この水層(pH=14.68)に濃塩酸(1.7L)を加えてpH=7.00とした後、酢酸エチル(7L)、濃塩酸(670mL)を加えてpH=0.98として抽出した。有機層は水(4L)で3回洗浄し、水層および洗浄水層は酢酸エチル(3L)で逆抽出した。有機層を合併し硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。その残渣にヘキサン(3L)を加え50℃で15分温浸した後、1時間氷冷攪拌した。析出した結晶を濾過し、冷ヘキサン(1L)洗浄、室温乾燥して、2−フェニル安息香酸(13)(1040.3g,94.6%)を得た。
参考例9
Figure 2004050654
2−フェニルベンジルアルコール(14)の合成
2−フェニル安息香酸(13)(1040g,5.25mol)にテトラヒドロフラン(5.2L)を加えて−15℃で攪拌しながら、トリエチルアミン(878mL,6.30mol)、クロロ炭酸エチル(602mL,6.30mL)を5℃以下で滴下した。約30分後、生成したトリエチルアミン塩酸塩を濾過し、濾液を再び−15℃に冷却した。この溶液に水素化ホウ素ナトリウム(397g,10.50mol)、冷水(2L)の懸濁液を4分割して5℃以下で滴下した。約40分後、濃塩酸(880mL)、氷水(3.5L)中に反応液をゆっくり加え、酢酸エチル(11L)、濃塩酸(280mL)を加えpH=0.75として抽出した。有機層は水(5L)で2回、5%炭酸水素ナトリウム水溶液(10L)で3回、さらに水(5L)で2回洗浄し、水層および洗浄水層は酢酸エチル(3L)で逆抽出した。有機層を合併し硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、2−フェニルベンジルアルコール(14)(895g,92.5%)を得た。
参考例10
Figure 2004050654
2−フェニルベンジルブロミド(15)の合成
47%臭化水素酸(3.04L,27.36mol)溶液中にアセトニトリル(1L)に溶解した2−フェニルベンジルアルコール(14)(995g,5.40mol)を25℃〜40℃で滴下した。滴下後、50℃に加温し2時間反応した。室温に冷却した後、酢酸エチル(10L)、塩化ナトリウム(500g)を加えて抽出した。有機層は水(5L)で3回洗浄し、水層および洗浄水層は酢酸エチル(5L)で逆抽出した。有機層を合併し硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、2−フェニルベンジルブロミド(15)(1244.5g,93.3%)を得た。
H NMR(CDCl):δ4.45(s,2H),7.23−7.54(m,9H)
参考例11
(以下参考例13までは、2位側鎖の合成に関する。)
Figure 2004050654
3−(4−ホルミルフェニル)−アクリル酸(17)の合成
2L4頚コルベンにテレフタルアルデヒド(16)75.00g(0.559mol)、マロン酸64.00g(0.615mol)、イソプロパノール375mLを投入し、ピリジン45.2mL(0.559mol)滴下後90℃で4時間攪拌した。トルエン750mLを滴下後、90℃0.5時間攪拌し、水冷下0.5時間攪拌し、氷冷下1.5時間攪拌した。析出晶を濾過し、氷冷したトルエン600mLで結晶を洗浄後、乾燥し、無色結晶79.48g得た。(見かけの収率80.6%、HPLCでの定量値より、3−(4−ホルミルフェニル)−アクリル酸(17)68%、3−[4−(28カルボキシビニル)−フェニル]−アクリル酸(18)10%)
参考例12
Figure 2004050654
3−[4−(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イリデンメチル)−フェニル]−アクリル酸(III)
2L4頚コルベンに上記で合成した、3−(4−ホルミルフェニル)−アクリル酸(17)と3−[4−(2−カルボキシビニル)−フェニル]−アクリル酸(18)の混ざりの結晶79.20g、チアゾリジンジオン72.04g(0.615mol)、イソプロパノール750mLを投入し、ピペリジン55.4mL(0.559mol)滴下後90℃で6時間攪拌した。塩酸水(濃塩酸61.2gを水で375mLに薄めた溶液)を60℃以上で滴下した後、水冷下1時間攪拌し、終夜で放置した。翌日析出晶を濾過し、50%イソプロパノール水375mL及びイソプロパノール375mLで洗浄後、乾燥し、薄黄色結晶129.05gを得た。
2L4頚コルベンに上記で得られた結晶129.05g、水1.03L、水酸化カリウム65.76g(1.17mol)投入し、60℃で1時間攪拌した、不溶物を濾紙粉末を用いて濾別した後、濾液を70℃で攪拌を行い、濃塩酸で中和後、水冷下1時間攪拌した。析出晶を濾過し、50%メタノール水375mL及びメタノール375mLで洗浄後、通気乾燥し、黄色結晶を109.66g得た。
2L4頚コルベンに上記で得られた結晶109.66g、水650mL、ジメチルホルムアミド650mL投入し、70℃で攪拌した。濃塩酸でpH=2とした後、水冷下1時間攪拌した。析出晶を濾過し、50%ジメチルホルムアミド水520mL及びメタノール520mLで洗浄後、通気乾燥し、薄黄色結晶(III)91.28g得た。(0.332mol、収率73.8%、テレフタルアルデヒドから2工程通算59.5%)
3−[4−(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イリデンメチル)−フェニル]−アクリル酸(19)
mp300℃<.
H NMR(d−DMSO,300MHz):6.64(1H,d,J=16.2Hz),7.62(1H,d,J=16.2Hz),7.63(2H,d,J=8.1Hz),7.82(2H,d,J=8.1Hz),7.83(1H,d,J=16.2Hz).Anal.Calcd for C13NOS(HO)0.1:C,56.35;H,3.35;N,5.06;S,11.57;HO,0.65.Found:C,56.26;H,3.29;N,5.07;S,11.42;HO,0.65.
参考例13
Figure 2004050654
3−[4−(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イリデンメチル)−フェニル]−アクリル酸クロリド(IIIA)
化合物(III)(55g,0.2mol)のアセトニトリル(1.1L)溶液にジメチルホルムアミド(7.74ml,0.01eq)、塩化オキザリル(34.9ml,0.4mol)を加え、70〜72℃で2時間30分攪拌した。室温まで冷却後、析出晶をろ過、アセトニトリル(0.5L)で洗浄した。乾燥して目的物(IIIA)(55.5g,94.5%)を得た。
H NMR(d−DMSO);δ6.64(1H,d,J=15.9Hz),7.55−7.90(5H,m),12.69(1H,s)
参考例14
(参考例14と参考例15は、1位側鎖である2−(1,3−ジフルオロベンゾイル)安息香酸(V)合成に関する。)
Figure 2004050654
フリーデル・クラフツ法
AlCl(720g,5.40mol)に1,3−ジフルオロベンゼン(22)(795mL,8.10mol)を加えて室温で攪拌しながら、無水フタル酸(21)(400g,2.70mol)を約5分かけて投入した。この反応液を70℃〜73℃に加温して約5時間30分攪拌反応を行った。反応終了後、60℃〜70℃で酢酸エチル(720mL)を約15分かけて滴下した。この後の後処理は同一スケールの別ロットと合わせて行った。反応液を酢酸エチル(6L)、氷水(2L)を用いて氷水(9L)中に熱時注加し、分液した。有機層は1mol/L塩酸(6L)で2回、水(5L)で3回洗浄し、水層および洗浄水層は酢酸エチル(3L)で逆抽出した。有機層を合併し硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。その残渣にトルエン(2.83L)を加え60℃で15分温浸した後、室温に冷却しさらに5℃で一晩静置した。析出した結晶を濾過し、冷トルエン(1L)洗浄、室温乾燥して、2−(1,3−ジフルオロベンゾイル)安息香酸(V)(1117.1g,78.9%)を得た。また、濾液を減圧濃縮した後、同様の操作を行い二番晶として(V)(97.2g,6.9%)を得た。
(合計収量1214.3g、合計収率85.8%)
m.p.129−131℃,
Anal.Calcd for C14:C.64.13,H.3.08,F.14.49,Found:1−XL.C.64.20,H.2.96,F.14.22.2−XL.C.64.10,H..3.06,F.13.99.
参考例15
Figure 2004050654
グリニャール法
マグネシウム(731mg,30mmol)のテトラヒドロフラン(20ml)溶液に2,4−ジフロロブロモベンゼン(24)(5.81g,30mmol)のテトラヒドロフラン(25ml)溶液を50℃以下で滴下して、グリニャール試薬(25)を調製した。この溶液に無水フタル酸(21)(3.56g,24mmol)を−60℃で加え、−20℃に昇温し2時間攪拌した。反応液を希塩酸(50ml)に注ぎ込み、、酢酸エチル(50ml×2)で抽出した。有機層を水洗、乾燥した後減圧下濃縮した。
得られた粗生成物には原料(21)由来の副生成物であるフタル酸(26)が含まれているので、以下の方法で精製を行なった。濃縮残渣を酢酸エチルに溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で抽出した。この炭酸水素ナトリウム水溶液に2N塩酸を加えることによりpHを4.5に調整し、酢酸エチルで抽出した。水層に再度2N塩酸を加えることでpHを4.5に調整し、酢酸エチルで抽出した。この操作をさらに2度繰り返した。有機層を合わせた後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮を行った。濃縮残渣をトルエンから再結晶させたところ白色結晶である目的物(V)(4.66g,74%)を得た。
この工程は、マグネシウムと溶媒に2,4−ジフロロブロモベンゼンの溶液を加えことによりグリニャール試薬(25)を調製する工程、得られたグリニャール試薬と無水フタル酸を反応させることにより、未精製の2−(1,3−ジフルオロベンゾイル)安息香酸(V)を得る工程、得られた粗生成物をpHを調節することにより2−(1,3−ジフルオロベンゾイル)安息香酸(V)を精製する工程からなる、2−(1,3−ジフルオロベンゾイル)安息香酸(V)の製造方法に関する。
前述のフリーデル・クラフツ法の場合では、原料である1,3−ジフルオロベンゼンを3当量程度用いる必要があるが、この方法ではグリニャール試薬に対し、フタル酸は必要以上に過剰に用いる必要はない利点がある。例えば、フタル酸1当量に対するグリニャール試薬の割合は、2当量〜0.5当量が好ましく、特に1.5当量〜0.7当量が好ましい。
粗生成物からフタル酸(26)を除去する精製工程においてpHを検討した結果、目的物(23)と副生成物(26)は、pHが約5未満の時に分離することができる。特に、pHが4.5以下の時に効果的に分離される。
グリニャール試薬を調製する際の溶媒及びグリニャール試薬とフタル酸との反応に用いる溶媒としては、テトラヒドロフラン、エーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン−トルエン混合溶媒等が挙げられる。テトラヒドロフランが好ましい。
グリニャール試薬を調製する反応温度としては、0℃〜55℃が挙げられる。−10℃〜50℃が好ましい。
グリニャール試薬を調製する反応時間としては、0.2時間〜4時間が挙げられる。0.5時間〜2時間が好ましい。
無水フタル酸と反応させる温度としては、−70℃〜35℃が挙げられる。−65℃〜5℃が好ましい。
無水フタル酸と反応させる時間としては、0.5時間〜10時間が挙げられる。1時間〜5時間が好ましい。
Figure 2004050654
1−NH体(IV)の合成
ベンジルアミノ体(8)2.47kg(4.77mol分)の酢酸エチル4.3L、メタノール1.1L溶液に4mol/L塩酸/酢酸エチル溶液5.96L(5eq)を11〜19℃で滴下した。25〜28℃で1時間25分攪拌後氷水を加え分液した。水層を酢酸エチル4.3Lで洗浄、酢酸エチル層は水4.3Lで抽出した。水層に氷を加え15〜19℃で冷4N水酸化ナトリウム水溶液(6L)を滴下しpH9.5に調整後酢酸エチル7.5L、4.3Lで順次抽出した。酢酸エチル層を10%食塩水7.5L×2で順次洗浄後減圧濃縮して目的物(IV)の油状残渣1.52kg(90.6%,理論量1677g)を得た。
Figure 2004050654
1−NH シュウ酸塩(IVa)の合成
化合物(IV)15gの酢酸エチル25mLとn−プロパノール105mL溶液にシュウ酸4.61g(2.2eq)/酢酸エチル5mL、n−プロパノール15mLの混液を40℃で加えた。40℃で2時間攪拌後さらに室温で2時間、氷冷で1.5時間攪拌して結晶化した。結晶を濾過し冷却した酢酸エチル:n−プロパノール=8:2溶液50mLで洗浄、減圧乾燥して白色のシュウ酸塩(IVa)14.1g(74.2%)を得た。
Anal.Calcd.for C2229O・2.0C・0.2HO:C,64,76;H,7.11;N,9.44;HO,0.81.Found;C,64.78;H,7.12;N,9.59;HO,0.69.
Figure 2004050654
1−NH p−トルエンスルホン酸塩(IVb)の合成
化合物(IV)1457gの酢酸n−ブチルエステル19.28Lと酢酸エチル5.86Lの溶液にp−トルエンスルホン酸一水和物1392g(1.6eq)/酢酸エチル7L溶液を40℃で加えた。40℃で2時間攪拌後さらに室温で2時間攪拌して結晶化した。結晶を濾過し酢酸n−ブチルエステル/酢酸エチル=2/1 3.2Lと酢酸n−ブチルエステル/酢酸エチル=5/1 3.2Lで順次洗浄、加温減圧乾燥して白色のp−トルエンスルホン酸塩(IVb)2238g(69%from6)を得た。
Anal.Calcd.for C2229O・2.0C−0.1HO:C,61.97;H,6.53;N,6.02;S,9.19;HO,0.26.Found:C,61.43;H,6.49;N,6.10;S,9.38;HO,0.19
Figure 2004050654
1−NH ギ酸塩(IVc)の合成
化合物(IV)1.6gのメチルエチルケトン21mL溶液に98%ギ酸0.36mL(2.0eq)を加え室温で2時間攪拌後、結晶を濾過し冷メチルエチルケトン12mLで洗浄、減圧乾燥して、白色のギ酸塩(IVc)1.2g(59.2%)を得た。
Figure 2004050654
1−NH p−トルエンスルホン酸塩(IVb)の直接法
化合物(8)2341gの酢酸エチル13.4Lの溶液にp−トルエンスルホン酸一水和物2266g(2.5eq)を加えた。40℃で3時間攪拌後、酢酸n−ブチルエステル20.1Lを加え40℃から室温さらに氷冷で攪拌して結晶化した。結晶を濾過し酢酸n−ブチルエステル/酢酸エチル=2/1 3.35Lと酢酸n−ブチルエステル/酢酸エチル=5/1 3.35Lで順次洗浄、加温減圧乾燥して白色のp−トルエンスルホン酸塩(IVb)2135g(63.7%)を得た。
Figure 2004050654
1−アシル体(VI)の合成
1−位側鎖カルボン酸(V)(320g,1.22mol)のアセトニトリル(2.56L)溶液にジメチルホルムアミド(3ml)、塩化チオニル(107ml,1.464mol)を室温で加え、同温度で2時間攪拌した。減圧濃縮して油状物質385gをえた。化合物(IV)(フリー体、440g,1.25mol)のテトラヒドロフラン(2.4L)溶液に、トリエチルアミン(510ml,3.66mol)、上記の油状物質のテトラヒドロフラン(2L)溶液を10℃以下で加えた。3−9℃で0.5時間攪拌後、室温で17.5時間攪拌した。希塩酸(5L)中に反応液を注ぎこみ、酢酸エチル(3L×2)で抽出した。各々有機層は5%炭酸ナトリウム水溶液(3L×2)、水(3L×2)、食塩水(3L)で洗浄した。溶媒を留去して、目的物質(VI)(740g,99%)を得た。
Figure 2004050654
2−ニトリル体(VII)の合成
化合物(VI)(280g,0.432mol)のテトラヒドロフラン(1.12L)溶液に、トリエチルアミン(180ml,1.296mol),塩化トリクロロアセチル(72.4ml,0.648)のテトラヒドロフラン(280ml)溶液を10℃以下で加えた。2−10℃で1時間攪拌後希塩酸(1.5L)中に反応液を注ぎこみ、酢酸エチル(1L×2)で抽出した。各々有機層は5%炭酸ナトリウム水溶液(1L×2)、水(1L×2)、食塩水(1L)で洗浄した。溶媒を留去して、目的物質(VII)(262g,98%)を得た。
Figure 2004050654
2−アミノメチル体(IIa)の合成
化合物(VII)(188g,0.3mol)のエタノール(300ml)溶液に、4mol/Lアンモニアのエタノール(300ml,1.2mol)溶液、Raney−Ni(登録商標)(376ml)を加え、室温にて6時間水添した。触媒をろ別し、酢酸エチル(900ml)で洗浄した。酢酸エチル溶液は水(600ml×2)、食塩水(300ml)で洗浄した。各水層は、酢酸エチル(300ml)で抽出した。酢酸エチル層は合併し、硫酸ナトリウムで乾燥後、4mol/L塩酸の酢酸エチル(240ml)を加え室温で16時間攪拌した。析出晶をろ過、酢酸エチル(500ml)で洗浄した。減圧乾燥して、目的物(IIa)(120g,61%)を得た。
Figure 2004050654
化合物(I)の合成
化合物(IIa)(10g,15.3mol)のアセトニトリル(200ml L)溶液に、n−トリブチルアミン(12.7ml)を3℃で加えた。次いで、2−位側鎖の酸クロリド(IIIA)(4.49g,15.3mol)を、−11〜−14℃で加え、更に同温度にて3.5時間攪拌後、水(150ml)に反応液を注ぎこみ、酢酸エチル(150ml,100ml)で抽出した。各々有機層は1mol/L塩酸(150ml)、5%炭酸ナトリウム水溶液(150ml)、水(1L×2)、食塩水(150ml)で洗浄した。溶媒を留去して、目的物質(17.5g)を得た。別ロットを合わせ(total60g)エタノール:アセトン(9:1)(300ml)の溶液を5%食塩水に室温にて滴下し、同温で2時間攪拌後ろ過した。水(200ml×3)で洗浄した後乾燥し、化合物(I)(53.35g,88.95%)を得た。
Anal,Calcd.for C4944S・0.5HO.:C,69.40;H,6.53;F,4.48;N,6.61;S,3.78;HO,0.26.Found;C,69.45;H,5.35;F,4.47;N,6.64;S,3.85;HO,1.83,Na<0.1,Cl<0.1%.
H NMR(CDCl)δ0.72(d,3H,J=6.3Hz),0.78(d,3H,J=6.6Hz),1.47−1.56(m,1H),1.68−1.75(m,1H),1.94−2.17(m,4H),2.95−3.01(m,1H),3.13−3.19(m,1H),3.39−3.71(m,5H),4.41−4.57(m,1H),6.52(d,1H,J=15.9Hz),6.84−7.00(m,2H),7.12−7.75(m,21H).
Figure 2004050654
p−トルエンスルホン酸塩(Ia)の調製
化合物(I)(8.96g)を酢酸エチル(25.2ml)とメタノール(8.4ml)に溶解し、p−トルエンスルホン酸(1.9g,1.0eq)の酢酸エチル(5.2ml)溶液を加え、室温3時間攪拌した。析出晶をろ過し、酢酸エチル(50ml)で洗浄した。減圧乾燥し、p−トルエンスルホン酸塩(Ia)(9.07g,88.1%)を得た。Mp118℃,
Anal.Calcd.for C5652・1.6HO:C,64.67;H,5.35;F,3.65;N55.39;S,6.17,Found;C,64.73;H,5.43;F,3.46;N,5.34;S,5.92;HO,1.95,Ash<0.1.
Figure 2004050654
p−トルエンスルホン酸塩(Ia)の脱塩処理
p−トルエンスルホン酸塩(Ia)(9.07g)の酢酸(90ml)けん濁液に5%重曹水(90ml)を加え、室温にて17分攪拌した。分液した水層は酢酸エチル(32ml)で抽出した。各々酢酸エチル層は、食塩水(32ml×2)で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下濃縮して化合物(I)残渣(7.88g)を得た。
Figure 2004050654
硫酸塩(Ib)の調製
化合物(I)1.4g(1.66mmol)をメタノール(25.2ml)に溶解後、硫酸(44.2μl,0.5eq)を加え、室温1時間放置後、メタノールを留去した。残渣の一部200mgをメチルエチルケトン(0.8ml)溶解し、5℃にて攪拌した。析出晶を濾取後、57mgの硫酸塩(Ib)を得た。
また、残渣の一部200mgをアセトン(0.6ml)溶解し、少量のエーテルを加えて、5℃にて攪拌した。析出晶を濾取後、60mgの硫酸塩(Ib)を得ることができた。
Anal.Calcd.for C4944S・HSO:C,62.80;H,4.95;F,4.06;N,5.98;S,6.84;Found:C,62.34;H,5.08;F,3.97;N,6.08;S,6.72.
Figure 2004050654
塩酸塩(Ic)の調製
窒素雰囲気下、化合物(I)(20.0g,0.024mol)のアセトン(200mL)と水(8mL)の混合溶液に、濃塩酸(3.03mL,0.036mol)を22℃から25℃で3分以上かけて加える。種晶を加えた後、反応液を室温で20時間放置する。スラリー状態の反応液からろ過により、生成した沈澱物を分離する。アセトンで洗浄後、減圧下、乾燥して、目的物である塩(Ic)(19.8g,yield95%)を結晶として得る。
Det(UV):350nm,peak area%=96.1%,
[α]24 −93.7±1.3°,(c1.011,DMSO),
IR(Nujol):3352,1736,1699,1653,1606,789cm−1
H NMR(d6−DMSO);δ0.60−0.90(6H,m),1.40−3.50(m),3.60,4.50(4H,m),6.60−6.80(1H,m),7.10−8.00(21H,m),8.35−8.55(1H,m),9.50−10.20(1H,m),12.65(1H,s),
Anal.Calcd for C4944S−HCl:C,67.23;H,5.18;Cl,4.05;F,4.34;N,6.40;S,3.66.Found:C,66.55;H,5.32;Cl,4.14;F,4.03,N,6.37;S,3.69.
cPLA阻害活性を有するピロリジン化合物の塩および結晶を用いることにより、医薬品として使用可能な純度を有する該化合物を工業的に得ることができる。

Claims (27)

  1. 式(I):
    Figure 2004050654
    で表わされる化合物のp−トルエンスルホン酸塩、硫酸塩、塩酸塩、またはそれらの溶媒和物。
  2. p−トルエンスルホン酸塩である請求の範囲第1項記載の塩、またはその溶媒和物。
  3. 硫酸塩である請求の範囲第1項記載の塩、またはその溶媒和物。
  4. 式(I):
    Figure 2004050654
    で表わされる化合物のp−トルエンスルホン酸塩、硫酸塩、塩酸塩、またはそれらの溶媒和物の、結晶。
  5. p−トルエンスルホン酸塩またはその溶媒和物の結晶である請求の範囲第4項記載の結晶。
  6. 粉末X線回折パターンにおいて、面間隔(d)が6.34、12.04、19.06、23.78、24.76、25.44、および25.76(単位:Å)に主なるピークを示す、請求の範囲第5項記載の結晶。
  7. 硫酸塩またはその溶媒和物の結晶である請求の範囲第4項記載の結晶。
  8. 粉末X線回折パターンにおいて、面間隔(d)が14.04、16.22、19.60、22.02、および22.28(単位:Å)に主なるピークを示す、請求の範囲第7項記載の結晶。
  9. 式(I):
    Figure 2004050654
    で表わされる化合物またはその溶媒和物を、p−トルエンスルホン酸、硫酸、または塩酸と反応させることを特徴とする、式(I)で表される化合物のp−トルエンスルホン酸塩、硫酸塩、塩酸塩、それらの溶媒和物、またはそれらの結晶の製造方法。
  10. p−トルエンスルホン酸塩、硫酸塩、塩酸塩、またはそれらの溶媒和物の、結晶の製造法である請求の範囲第9項記載の製造方法。
  11. p−トルエンスルホン酸塩またはその溶媒和物の、結晶の製造法である請求の範囲第10項記載の製造方法。
  12. 硫酸塩またはその溶媒和物の、結晶の製造法である請求の範囲第10項記載の製造方法。
  13. 式(I):
    Figure 2004050654
    で表わされる化合物のp−トルエンスルホン酸塩、硫酸塩、塩酸塩、またはそれらの溶媒和物の、結晶を脱塩処理することを特徴とする、式(I)で表わされる化合物、またはその溶媒和物の製造方法。
  14. 式(I)で表わされる化合物のp−トルエンスルホン酸塩またはその溶媒和物の、結晶を脱塩処理することを特徴とする請求の範囲第13項記載の製造方法。
  15. 式(I)で表わされる化合物の硫酸塩またはその溶媒和物の、結晶を脱塩処理することを特徴とする請求の範囲第13項記載の製造方法。
  16. p−トルエンスルホン酸、硫酸、または塩酸と反応させることにより、式(I):
    Figure 2004050654
    で表わされる化合物のp−トルエンスルホン酸塩、硫酸塩、塩酸塩、またはそれらの溶媒和物の、結晶を得る工程、および、得られたp−トルエンスルホン酸塩、硫酸塩、塩酸塩、またはそれらの溶媒和物の、結晶を脱塩反応に付する工程、からなる式(I)で表わされる化合物、またはその溶媒和物の製造方法。
  17. p−トルエンスルホン酸と反応させることにより、式(I)で表わされる化合物のp−トルエンスルホン酸塩またはその溶媒和物の、結晶を得る工程、および、得られたp−トルエンスルホン酸塩またはそれらの溶媒和物の、結晶を脱塩反応に付する工程、からなる請求の範囲第16項記載の製造方法。
  18. 硫酸と反応させることにより、式(I)で表わされる化合物の硫酸塩またはその溶媒和物の、結晶を得る工程、および、得られた硫酸塩またはそれらの溶媒和物の、結晶を脱塩反応に付する工程、からなる請求の範囲第16項記載の製造方法。
  19. 式(II):
    Figure 2004050654
    で表わされる化合物、その溶媒和物、またはそれらの塩。
  20. 塩酸塩である請求の範囲第19項記載の塩。
  21. 式(II):
    Figure 2004050654
    で表わされる化合物、その溶媒和物、またはそれらの塩を、式(III):
    Figure 2004050654
    (式中、Xはハロゲンまたはヒドロキシである)
    で表わされる化合物、その溶媒和物、またはそれらの塩と反応させ、式(I):
    Figure 2004050654
    で表わされる化合物、またはその溶媒和物を得る工程;および
    得られた化合物またはその溶媒和物をp−トルエンスルホン酸、硫酸、または塩酸と反応させる工程;
    を含む、式(I):
    Figure 2004050654
    で表わされる化合物のp−トルエンスルホン酸塩、硫酸塩、塩酸塩、それらの溶媒和物、またはそれらの結晶の製造方法。
  22. p−トルエンスルホン酸塩、硫酸塩、塩酸塩、またはそれらの溶媒和物の、結晶の製造方法である請求の範囲第21項記載の製造方法。
  23. p−トルエンスルホン酸塩またはその溶媒和物の、結晶の製造方法である請求の範囲第22項記載の製造方法。
  24. 硫酸塩またはその溶媒和物の、結晶の製造方法である請求の範囲第22項記載の製造方法。
  25. 式(IV):
    Figure 2004050654
    で表わされる化合物、その溶媒和物、またはそれらの塩。
  26. 式(IV)で表わされる化合物の、p−トルエンスルホン酸塩、シュウ酸塩、またはギ酸塩である請求の範囲第25項記載の塩。
  27. p−トルエンスルホン酸塩である請求の範囲第26項記載の塩。
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