JPWO2004026763A1 - 内包フラーレンの製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Abstract
より収率性よく内包フラーレンを製造することが可能な内包フラーレンの製造方法及び製造装置を提供すること。真空容器1と、内包対象原子のプラズマ流2を形成するための手段3,4と、プラズマ流2にフラーレンを導入するための手段8と、プラズマ流2の下流に配置する同心円状に分割された複数の分割プレート5a,5b,5cを保持するための保持手段6と、各分割プレート5a,5b,5cに任意のバイアス電圧を印加するためのバイアス印加手段7a,7b,7cとを有している。
Description
本発明は、内包フラーレンの製造方法及び製造装置に係る。
内包フラーレンの製造技術としては、第5図に示す技術が提案されている(プラズマ・核融合学会誌 第75巻第8号 1999年8月)。
この技術は、真空容器内において、内包対象原子のプラズマ流に、フラーレンを噴射し、プラズマ流の下流に配置した堆積プレートに内包フラーレンを堆積させることにより内包フラーレンを製造する技術である。
この技術によれば、低温において、収率よく内包フラーレンを製造することが可能となる。
しかし、この技術においては、プレートの中心部においては内包率が良くないという問題点を有している。すなわち、内包フラーレンはほとんどプラズマ流の半径方向外側の部分に堆積しており、プラズマ流の半径方向内側には内包フラーレンはほとんど堆積しないという問題点を有している。
また、近時、内包フラーレンの各種有用性が着目され、より収率性良く内包フラーレンを製造することが可能な技術が望まれている。
本発明は、より収率性よく内包フラーレンを製造することが可能な内包フラーレンの製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
この技術は、真空容器内において、内包対象原子のプラズマ流に、フラーレンを噴射し、プラズマ流の下流に配置した堆積プレートに内包フラーレンを堆積させることにより内包フラーレンを製造する技術である。
この技術によれば、低温において、収率よく内包フラーレンを製造することが可能となる。
しかし、この技術においては、プレートの中心部においては内包率が良くないという問題点を有している。すなわち、内包フラーレンはほとんどプラズマ流の半径方向外側の部分に堆積しており、プラズマ流の半径方向内側には内包フラーレンはほとんど堆積しないという問題点を有している。
また、近時、内包フラーレンの各種有用性が着目され、より収率性良く内包フラーレンを製造することが可能な技術が望まれている。
本発明は、より収率性よく内包フラーレンを製造することが可能な内包フラーレンの製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
本発明の内包フラーレンの製造方法は、真空容器内において、ホットプレートに向けて内包対象原子を導入することにより内包対象原子のプラズマ流を形成し、該プラズマ流の下流に配置したプレートに内包フラーレンを堆積させる内包フラーレンの製造方法において、該プレートを同心円状に分割した複数の分割されたプレートとし、中心部の分割プレートにバイアス電圧を印加しながら成膜を行うことを特徴とする。
前記中心部の分割プレートへ、−5V<Δφap<+20Vのバイアス電圧Δφapを印加することを特徴とする。
前記ホットプレートの半径をRとして、中心部に配置された分割プレートの半径がR+5mm以下であることを特徴とする。
前記プレート手前にプラズマ流中におけるフラーレンイオンと内包対象原子イオンの密度分布を測定するための手段を設けておき、該手段からの信号に基づき、バイアス電圧を制御することを特徴とする。
該プラズマ流の途中に、R+5mm以上の内半径を有する筒を設け、該筒の外周からフラーレンを導入することを特徴とする。
本発明の内包フラーレンの製造方法は、真空容器内において、内包対象原子のプラズマ流に、フラーレンを導入し、プラズマ流の下流に配置したプレートに内包フラーレンを堆積させる内包フラーレンの製造方法において、該プラズマ流の途中に、R+5mm以上の内半径を有する筒を設け、該筒の外周からフラーレンを導入することを特徴とする。
前記内包対象原子はアルカリ金属原子であることを特徴とする。
前記プラズマ流は、ホットプレートに向けて内包対象原子を導入することにより形成することを特徴とする。
本発明の内包フラーレンの製造装置は、真空容器と、内包対象原子のプラズマ流を形成するための手段と、該プラズマ流にフラーレンを導入するための手段と、該プラズマ流の下流に配置する同心円状に分割された複数の分割プレートを保持するための保持手段と、各分割プレートに任意のバイアス電圧を印加するためのバイアス印加手段とを有することを特徴とする。
前記バイアス印加手段は可変であることを特徴とする。
前記バイアスは、中心部に配置された分割プレートへ−5V<Δφap<+20Vのバイアス電圧Δφapを印加するようにしたことを特徴とする。
前記ホットプレートの半径をRとして、中心部に配置された分割プレートの半径がR+5mm以下であることを特徴とする。
前記プレート手前にプラズマ流中におけるフラーレンイオンと内包対象原子イオンの密度分布を測定するための手段を設けておき、該手段からの信号に基づき、バイアスを制御するようにしたことを特徴とする。
該プラズマ流の途中に、R+5mm以上の内半径を有する筒を設けたことを特徴とする。
本発明の内包フラーレンの製造装置は、真空容器内において、内包対象原子のプラズマ流に、フラーレンを導入し、プラズマ流の下流に配置したプレートに内包フラーレンを堆積させる内包フラーレンの製造装置において、該プラズマ流の途中に、R+5mm以上の内半径を有する筒を設けたことを特徴とする。
前記筒の下流側端から前記プレートまでの距離ldと筒の長さlcとの関係を、ld≧2lcとしたことを特徴とする。
前記内包対象原子はアルカリ金属原子であることを特徴とする。
前記プラズマ流を形成するための手段は、ホットプレートと該ホットプレートに向けて内包対象原子を導入するためのノズルとにより構成されていることを特徴とする。少なくとも前記筒の下流側端から下流側における前記真空容器の壁を冷却するための冷却手段を設けたことを特徴とする。
前記中心部の分割プレートへ、−5V<Δφap<+20Vのバイアス電圧Δφapを印加することを特徴とする。
前記ホットプレートの半径をRとして、中心部に配置された分割プレートの半径がR+5mm以下であることを特徴とする。
前記プレート手前にプラズマ流中におけるフラーレンイオンと内包対象原子イオンの密度分布を測定するための手段を設けておき、該手段からの信号に基づき、バイアス電圧を制御することを特徴とする。
該プラズマ流の途中に、R+5mm以上の内半径を有する筒を設け、該筒の外周からフラーレンを導入することを特徴とする。
本発明の内包フラーレンの製造方法は、真空容器内において、内包対象原子のプラズマ流に、フラーレンを導入し、プラズマ流の下流に配置したプレートに内包フラーレンを堆積させる内包フラーレンの製造方法において、該プラズマ流の途中に、R+5mm以上の内半径を有する筒を設け、該筒の外周からフラーレンを導入することを特徴とする。
前記内包対象原子はアルカリ金属原子であることを特徴とする。
前記プラズマ流は、ホットプレートに向けて内包対象原子を導入することにより形成することを特徴とする。
本発明の内包フラーレンの製造装置は、真空容器と、内包対象原子のプラズマ流を形成するための手段と、該プラズマ流にフラーレンを導入するための手段と、該プラズマ流の下流に配置する同心円状に分割された複数の分割プレートを保持するための保持手段と、各分割プレートに任意のバイアス電圧を印加するためのバイアス印加手段とを有することを特徴とする。
前記バイアス印加手段は可変であることを特徴とする。
前記バイアスは、中心部に配置された分割プレートへ−5V<Δφap<+20Vのバイアス電圧Δφapを印加するようにしたことを特徴とする。
前記ホットプレートの半径をRとして、中心部に配置された分割プレートの半径がR+5mm以下であることを特徴とする。
前記プレート手前にプラズマ流中におけるフラーレンイオンと内包対象原子イオンの密度分布を測定するための手段を設けておき、該手段からの信号に基づき、バイアスを制御するようにしたことを特徴とする。
該プラズマ流の途中に、R+5mm以上の内半径を有する筒を設けたことを特徴とする。
本発明の内包フラーレンの製造装置は、真空容器内において、内包対象原子のプラズマ流に、フラーレンを導入し、プラズマ流の下流に配置したプレートに内包フラーレンを堆積させる内包フラーレンの製造装置において、該プラズマ流の途中に、R+5mm以上の内半径を有する筒を設けたことを特徴とする。
前記筒の下流側端から前記プレートまでの距離ldと筒の長さlcとの関係を、ld≧2lcとしたことを特徴とする。
前記内包対象原子はアルカリ金属原子であることを特徴とする。
前記プラズマ流を形成するための手段は、ホットプレートと該ホットプレートに向けて内包対象原子を導入するためのノズルとにより構成されていることを特徴とする。少なくとも前記筒の下流側端から下流側における前記真空容器の壁を冷却するための冷却手段を設けたことを特徴とする。
第1図は、本発明の実施の形態に係る内包フラーレンの製造装置を示す概念図である。
第2図は、第1図の分割プレートを示す正面図である。
第3図は、実施例1におけるフラーレンイオンの密度分布を示すグラフである。
第4図は、実施例3におけるフラーレンイオンの密度分布を示すグラフである。
第5図は、従来の内包フラーレンの製造技術を示す概念図である。
第2図は、第1図の分割プレートを示す正面図である。
第3図は、実施例1におけるフラーレンイオンの密度分布を示すグラフである。
第4図は、実施例3におけるフラーレンイオンの密度分布を示すグラフである。
第5図は、従来の内包フラーレンの製造技術を示す概念図である。
1 真空容器
2 プラズマ流
3 ホットプレート
4 内包対象原子オーブン
5、5a,5b,5c 分割プレート
6 導入手段(支持手段)
7a,7b,7c バイアス電圧の印加手段
8 フラーレン昇華用オーブン
10 排気ポンプ
11 電磁コイル(外部磁場印加用コイル)
13 筒
14 イオン測定用プローブ
15 プローブ回路
16 コンピューター
2 プラズマ流
3 ホットプレート
4 内包対象原子オーブン
5、5a,5b,5c 分割プレート
6 導入手段(支持手段)
7a,7b,7c バイアス電圧の印加手段
8 フラーレン昇華用オーブン
10 排気ポンプ
11 電磁コイル(外部磁場印加用コイル)
13 筒
14 イオン測定用プローブ
15 プローブ回路
16 コンピューター
第1図に本発明の実施の形態に係る内包フラーレンの製造装置を示す。
この装置は、真空容器1と、内包対象原子のプラズマ流2を形成するための手段3,4と、プラズマ流2にフラーレンを導入するための手段8と、プラズマ流2の下流に配置する同心円状に分割された複数の分割プレート5a,5b,5cを導入するとともに保持するための保持手段6と、各分割プレート5a,5b,5cに任意のバイアス電圧を印加するためのバイアス印加手段7a,7b,7cとを有している。
以下この装置を詳細に説明する。
本例においては、内包対象原子のプラズマ流の形成手段は、ホットプレート3とアルカリ金属(内包対象原子の例)の蒸発用オーブンとから構成されている。約2500℃に加熱されたタングステンホットプレート3に向けてアルカリ金属蒸発用オーブン4から内包対象原子であるアルカリ金属を噴射すると、接触電離によってプラズマが生成する。生成したプラズマは電磁コイル11により形成された均一磁場(B=2〜7kG)に沿って真空容器1内の軸方向に閉じ込められる。ホットプレート3の直径がほぼプラズマ流の直径となる。従って、プラズマ流の径はホットプレートの直径を変えることにより、装置の大きさなどに対応させて適宜の大きさに任意に選択することができる。
なお、真空容器1の外周には冷却手段(図示せず)を設けてある。冷却手段により真空容器1の内壁は冷却され、真空容器1の内壁において中性ガス分子をトラップするようにしてある。中性ガス分子を内壁にトラップすることにより不純物を含まないプラズマが生成可能となり、プレート上には純度の高い内包フラーレンを得ることが可能となる。特に、筒13を設けた場合はその筒13の下流側端からプレート5までの間の真空容器1の内壁を少なくとも冷却するようにすることが好ましい。真空容器1の内壁温度としては、室温以下とすることが好ましく、0℃以下とすることがより好ましい。かかる温度とすることにより中性分子のトラップが行われやすくなり、より高純度の内包フラーレンを得ることが可能となる。
本例では、プラズマ流2の途中にプラズマ流を覆うように、銅製の筒13を設けてある。この筒13には孔が設けてあり、この孔からフラーレンをプラズマ流2に導入する。その際、筒13は、400〜650℃に加熱される。筒13に導入された後にプラズマ中でイオン化されずに内面に付着したフラーレンは再昇華される。筒13の温度が400℃より低い場合には効率よく再昇華が行われず、650℃より高い場合にはC60が余分に再昇華されるため、Naとの反応による内包フラーレンの生成に寄与しないC60が増えることになり、C60が効率的に利用されないという問題がある。従って、筒13の温度としては、400〜650℃とすることが好ましい。
筒13の内半径としては、ホットプレートの半径をRとすると、R+5mm以上とすることが好ましい。
筒13の内半径がR+5mm未満の場合には、プラズマ流と筒13との相互作用が大きくなり、プラズマ保持が低下して内包フラーレンの収率が減少してしまう。
また、筒13の内半径が大きすぎる場合には、装置が大型になる、筒13によるプラズマの閉じ込め効果が小さくなるなどの問題がある。従って、筒13の内半径は、好ましくは、R+5cm以下とする。筒13の内半径がR+5cm以下であれば、プラズマの閉じ込め効果が得られる。また、筒13の内半径は、より好ましくは、R+2cm以下とする。R+2cm以下とすることにより、プラズマの密度を十分高くすることができ、内包フラーレンの形成に必要な、イオンの反応が高い確率で起きる。
第5図に示した装置においては、装置ごとに収率が異なっていた。本発明者は、筒の内半径が収率に影響することを見出したのである。特に、プラズマ流の半径と関係することを見出したのである。さらに、(R+5mm)〜(R+2cm)というある限られた範囲において収率が著しく高くなることを見出したのである。
筒3に設けられたフラーレンを導入する際におけるフラーレンの導入角度の拡がり角度θとしては、90〜120°が好ましい。θをこの範囲とすることによりプラズマへのフラーレンの導入が高効率化し、内包フラーレンの収率が向上する。なお、θを変化させるためには、フラーレンの導入ノズルの径と長さとの比を変えればよい。
なお、第1図に示す例では、フラーレンは、図面上下方から導入しているが、図面上の側面から導入してもよい。また、両方から導入してもよい。
フラーレンの導入速度は、フラーレン昇華用オーブンの温度上昇率により制御すればよい。温度上昇率としては、100℃/分以上が好ましい。上限としては、突沸が生じない温度上昇率である。
筒13の上流側(図面上左)端と、ホットプレートとの間の距離luは、(1.5〜2.0)×(πDH2/4)となるように設定することが好ましい。DHはホットプレートの外径である。かかるluとすることにより筒13は、ホットプレートからの熱による影響を受けることを回避することができより経時的にも安定したプラズマの維持を図ることが可能となる。
真空容器1内において、分割プレート5の手前側には、イオンの密度分布を測定するためのイオン測定用プローブ14が設けてある。プローブ14からの信号は、プローブ回路15及びコンピューター16に送られ、信号に基づき、分割プレート5に印加するバイアス電圧を制御するようになっている。
測定されたイオン密度分布によるバイアス電圧制御は、例えば、以下のように行う。イオン測定用プローブ14は、プローブにプラズマの電位に対するバイアス電圧を印加してプローブに流れる電流を測定し、測定したプローブ電流値からイオン密度を計算により求める。プローブに正のバイアス電圧を印加すると、負イオンであるフラーレンイオンがプローブに流入し、フラーレンのイオン密度を測定できる。また、プローブに負のバイアス電圧を印加すると、正イオンであるNaなどの内包対象原子のイオン密度を測定できる。このように、プローブに対するバイアス電圧の極性を切り替え、プローブをプラズマ流の径方向に移動させてプローブ電流を測定することにより、フラーレンイオンと内包対象原子のイオンの密度分布を測定する。測定したイオン密度分布により、以下のように内包フラーレン堆積プレートに印加するバイアス電圧を制御する。
各分割プレートに対応する測定位置において、
(1) フラーレンのイオン密度 > 内包対象原子のイオン密度
−> 対応する分割プレートのバイアス電圧を小さくする。
(2) フラーレンのイオン密度 < 内包対象原子のイオン密度
−> 対応する分割プレートのバイアス電圧を大きくする。
(3) フラーレンのイオン密度 ≒ 内包対象原子のイオン密度
−> 対応する分割プレートのバイアス電圧は変化させない。
バイアス電圧を変化する程度は、フラーレンと内包対象原子の密度の差により制御する。
プラズマ流2の端には、分割プレート5が導入手段(保持手段)6により保持されている。
分割プレート5は第2図に示すように、同心円状に分割されている。第2図に示す例では、3つの分割プレート5a,5b,5cに分割されている。すなわち、中心部の分割プレート5aは円形をなし、この分割プレート5aの外周には、分割プレート5aとは電気的に絶縁されてリング状の分割プレート5b、5cが配置されている。なお、分割プレートの数は3つに限定するものではなく、2つでもよいし4つ以上でもよい。それぞれの分割プレート5a,5b,5cには、バイアス電圧を独立に印加することができるように、バイアス印加手段7a,7b,7cが設けられている。なお、分割プレートの形状は、真空容器の形状に制限がなければ円形乃至円状リングに限らず、例えば四角形乃至四角形状リングあるいはその他の形状でもよい。
中心部の分割プレート5aの半径は、ホットプレートの半径をRとして、中心部に配置された分割プレートの半径がR+5mm以下とすることが好ましい。R+5mmより大きい堆積プレートを使用しても、堆積プレート上のR+5mmより外側の部分で内包フラーレンが形成される確率は低い。背景真空度の向上や、真空引き時間の短縮などの点から、製造装置を小型化することが好ましく、生成したプラズマを無駄なく利用して、かつ製造装置を小型化するという点からは、中心部に配置された分割プレートの半径をR+5mm以下とすることが好ましい。ただし、プレートを分割せずに、プレート全面を同一のバイアス電圧にする場合でも、堆積条件を最適化することにより内包フラーレンを形成することは可能である。
磁場強度Bの磁界により閉じ込められたプラズマ流の半径は、プラズマを発生させるホットプレートの半径に対し、プラズマを構成するイオンのラーモア半径RLだけ大きくなる。RLはBに反比例し、たとえば、B=0.3T、プラズマ温度2500℃の条件では、
NaのRL=1.1mm,C60のRL=4.0mm
と見積もることができる。従って、磁場強度や、プラズマ温度などの製造条件の適用範囲を考慮して、R+5mmを基準として、分割プレートの大きさを設計することが好ましい。
中心部の分割プレート5aには、バイアス電圧を印加する。正のバイアス電圧を印加することが好ましい。これにより、内包対象原子イオンとフラーレンイオンとの相互作用が大きくなり、内包対象原子が内包されやすくなる。ただし、中心部の分割プレート5aにバイアス電圧を印加せずに、浮遊電位状態にする場合であっても、堆積条件を最適化することにより内包フラーレンを形成することは可能である。
また、中心部の分割プレート5aに、バイアス電圧を印加する場合に、フラーレンイオンがプラズマ流2の中心にそのピークを有する分布となるように、バイアス電圧を制御することにより内包率を高くすることができる。その最適バイアス電圧は内包対象原子、フラーレンの種類その他の成膜条件によって変化するが予め実験により把握しておけばよい。
例えば、内包対象原子としてアルカリ金属を用い、フラーレンとしてC60を用いる場合には、中心部の分割プレート5には、−5V<φap<+20Vのバイアス電圧を印加することが好ましい。0V≦φap≦+18Vが特に好ましい。
中心部の分割プレート5a以外の分割プレート5b、5cは浮遊電位状態にしておいてもよい。浮遊状態の場合であっても、分割プレート5bの部分には、従来におけると同様の量の内包フラーレンが堆積する。従って、中心部の分割プレート5aにおいて収率が高くなった分全体としての収率が高くなる。
もちろん、成膜条件の変動により、分割プレート5bに対応する部分のフラーレンイオンの密度が低くなる場合は、分割プレート5bにもバイアス電圧を印加してフラーレンイオンの密度を高くしてもよい。成膜中に、イオン測定用プローブ11により常時分布を測定し、コンピューター16により分割プレート5b、5cへ印加するバイアス電圧を自動的に制御すればよい。分割プレート5aへの印加の自動制御も同様である。
真空容器1には、ポンプ10が設けられ、真空容器1内を真空に排気可能となっている。
本発明におけるフラーレンとしては、例えば、Cn(n=60,70,74,82,84、...)があげられる。
前記筒の下流側端から前記プレートまでの距離ldと筒の長さlcとの関係を、ld≧2lcとした場合には、プレート上に堆積する膜中における中性フラーレンの濃度を一層低くすることができる。すなわち、膜中における内包フラーレンの濃度をより一層高くすることが可能となる。
この装置は、真空容器1と、内包対象原子のプラズマ流2を形成するための手段3,4と、プラズマ流2にフラーレンを導入するための手段8と、プラズマ流2の下流に配置する同心円状に分割された複数の分割プレート5a,5b,5cを導入するとともに保持するための保持手段6と、各分割プレート5a,5b,5cに任意のバイアス電圧を印加するためのバイアス印加手段7a,7b,7cとを有している。
以下この装置を詳細に説明する。
本例においては、内包対象原子のプラズマ流の形成手段は、ホットプレート3とアルカリ金属(内包対象原子の例)の蒸発用オーブンとから構成されている。約2500℃に加熱されたタングステンホットプレート3に向けてアルカリ金属蒸発用オーブン4から内包対象原子であるアルカリ金属を噴射すると、接触電離によってプラズマが生成する。生成したプラズマは電磁コイル11により形成された均一磁場(B=2〜7kG)に沿って真空容器1内の軸方向に閉じ込められる。ホットプレート3の直径がほぼプラズマ流の直径となる。従って、プラズマ流の径はホットプレートの直径を変えることにより、装置の大きさなどに対応させて適宜の大きさに任意に選択することができる。
なお、真空容器1の外周には冷却手段(図示せず)を設けてある。冷却手段により真空容器1の内壁は冷却され、真空容器1の内壁において中性ガス分子をトラップするようにしてある。中性ガス分子を内壁にトラップすることにより不純物を含まないプラズマが生成可能となり、プレート上には純度の高い内包フラーレンを得ることが可能となる。特に、筒13を設けた場合はその筒13の下流側端からプレート5までの間の真空容器1の内壁を少なくとも冷却するようにすることが好ましい。真空容器1の内壁温度としては、室温以下とすることが好ましく、0℃以下とすることがより好ましい。かかる温度とすることにより中性分子のトラップが行われやすくなり、より高純度の内包フラーレンを得ることが可能となる。
本例では、プラズマ流2の途中にプラズマ流を覆うように、銅製の筒13を設けてある。この筒13には孔が設けてあり、この孔からフラーレンをプラズマ流2に導入する。その際、筒13は、400〜650℃に加熱される。筒13に導入された後にプラズマ中でイオン化されずに内面に付着したフラーレンは再昇華される。筒13の温度が400℃より低い場合には効率よく再昇華が行われず、650℃より高い場合にはC60が余分に再昇華されるため、Naとの反応による内包フラーレンの生成に寄与しないC60が増えることになり、C60が効率的に利用されないという問題がある。従って、筒13の温度としては、400〜650℃とすることが好ましい。
筒13の内半径としては、ホットプレートの半径をRとすると、R+5mm以上とすることが好ましい。
筒13の内半径がR+5mm未満の場合には、プラズマ流と筒13との相互作用が大きくなり、プラズマ保持が低下して内包フラーレンの収率が減少してしまう。
また、筒13の内半径が大きすぎる場合には、装置が大型になる、筒13によるプラズマの閉じ込め効果が小さくなるなどの問題がある。従って、筒13の内半径は、好ましくは、R+5cm以下とする。筒13の内半径がR+5cm以下であれば、プラズマの閉じ込め効果が得られる。また、筒13の内半径は、より好ましくは、R+2cm以下とする。R+2cm以下とすることにより、プラズマの密度を十分高くすることができ、内包フラーレンの形成に必要な、イオンの反応が高い確率で起きる。
第5図に示した装置においては、装置ごとに収率が異なっていた。本発明者は、筒の内半径が収率に影響することを見出したのである。特に、プラズマ流の半径と関係することを見出したのである。さらに、(R+5mm)〜(R+2cm)というある限られた範囲において収率が著しく高くなることを見出したのである。
筒3に設けられたフラーレンを導入する際におけるフラーレンの導入角度の拡がり角度θとしては、90〜120°が好ましい。θをこの範囲とすることによりプラズマへのフラーレンの導入が高効率化し、内包フラーレンの収率が向上する。なお、θを変化させるためには、フラーレンの導入ノズルの径と長さとの比を変えればよい。
なお、第1図に示す例では、フラーレンは、図面上下方から導入しているが、図面上の側面から導入してもよい。また、両方から導入してもよい。
フラーレンの導入速度は、フラーレン昇華用オーブンの温度上昇率により制御すればよい。温度上昇率としては、100℃/分以上が好ましい。上限としては、突沸が生じない温度上昇率である。
筒13の上流側(図面上左)端と、ホットプレートとの間の距離luは、(1.5〜2.0)×(πDH2/4)となるように設定することが好ましい。DHはホットプレートの外径である。かかるluとすることにより筒13は、ホットプレートからの熱による影響を受けることを回避することができより経時的にも安定したプラズマの維持を図ることが可能となる。
真空容器1内において、分割プレート5の手前側には、イオンの密度分布を測定するためのイオン測定用プローブ14が設けてある。プローブ14からの信号は、プローブ回路15及びコンピューター16に送られ、信号に基づき、分割プレート5に印加するバイアス電圧を制御するようになっている。
測定されたイオン密度分布によるバイアス電圧制御は、例えば、以下のように行う。イオン測定用プローブ14は、プローブにプラズマの電位に対するバイアス電圧を印加してプローブに流れる電流を測定し、測定したプローブ電流値からイオン密度を計算により求める。プローブに正のバイアス電圧を印加すると、負イオンであるフラーレンイオンがプローブに流入し、フラーレンのイオン密度を測定できる。また、プローブに負のバイアス電圧を印加すると、正イオンであるNaなどの内包対象原子のイオン密度を測定できる。このように、プローブに対するバイアス電圧の極性を切り替え、プローブをプラズマ流の径方向に移動させてプローブ電流を測定することにより、フラーレンイオンと内包対象原子のイオンの密度分布を測定する。測定したイオン密度分布により、以下のように内包フラーレン堆積プレートに印加するバイアス電圧を制御する。
各分割プレートに対応する測定位置において、
(1) フラーレンのイオン密度 > 内包対象原子のイオン密度
−> 対応する分割プレートのバイアス電圧を小さくする。
(2) フラーレンのイオン密度 < 内包対象原子のイオン密度
−> 対応する分割プレートのバイアス電圧を大きくする。
(3) フラーレンのイオン密度 ≒ 内包対象原子のイオン密度
−> 対応する分割プレートのバイアス電圧は変化させない。
バイアス電圧を変化する程度は、フラーレンと内包対象原子の密度の差により制御する。
プラズマ流2の端には、分割プレート5が導入手段(保持手段)6により保持されている。
分割プレート5は第2図に示すように、同心円状に分割されている。第2図に示す例では、3つの分割プレート5a,5b,5cに分割されている。すなわち、中心部の分割プレート5aは円形をなし、この分割プレート5aの外周には、分割プレート5aとは電気的に絶縁されてリング状の分割プレート5b、5cが配置されている。なお、分割プレートの数は3つに限定するものではなく、2つでもよいし4つ以上でもよい。それぞれの分割プレート5a,5b,5cには、バイアス電圧を独立に印加することができるように、バイアス印加手段7a,7b,7cが設けられている。なお、分割プレートの形状は、真空容器の形状に制限がなければ円形乃至円状リングに限らず、例えば四角形乃至四角形状リングあるいはその他の形状でもよい。
中心部の分割プレート5aの半径は、ホットプレートの半径をRとして、中心部に配置された分割プレートの半径がR+5mm以下とすることが好ましい。R+5mmより大きい堆積プレートを使用しても、堆積プレート上のR+5mmより外側の部分で内包フラーレンが形成される確率は低い。背景真空度の向上や、真空引き時間の短縮などの点から、製造装置を小型化することが好ましく、生成したプラズマを無駄なく利用して、かつ製造装置を小型化するという点からは、中心部に配置された分割プレートの半径をR+5mm以下とすることが好ましい。ただし、プレートを分割せずに、プレート全面を同一のバイアス電圧にする場合でも、堆積条件を最適化することにより内包フラーレンを形成することは可能である。
磁場強度Bの磁界により閉じ込められたプラズマ流の半径は、プラズマを発生させるホットプレートの半径に対し、プラズマを構成するイオンのラーモア半径RLだけ大きくなる。RLはBに反比例し、たとえば、B=0.3T、プラズマ温度2500℃の条件では、
NaのRL=1.1mm,C60のRL=4.0mm
と見積もることができる。従って、磁場強度や、プラズマ温度などの製造条件の適用範囲を考慮して、R+5mmを基準として、分割プレートの大きさを設計することが好ましい。
中心部の分割プレート5aには、バイアス電圧を印加する。正のバイアス電圧を印加することが好ましい。これにより、内包対象原子イオンとフラーレンイオンとの相互作用が大きくなり、内包対象原子が内包されやすくなる。ただし、中心部の分割プレート5aにバイアス電圧を印加せずに、浮遊電位状態にする場合であっても、堆積条件を最適化することにより内包フラーレンを形成することは可能である。
また、中心部の分割プレート5aに、バイアス電圧を印加する場合に、フラーレンイオンがプラズマ流2の中心にそのピークを有する分布となるように、バイアス電圧を制御することにより内包率を高くすることができる。その最適バイアス電圧は内包対象原子、フラーレンの種類その他の成膜条件によって変化するが予め実験により把握しておけばよい。
例えば、内包対象原子としてアルカリ金属を用い、フラーレンとしてC60を用いる場合には、中心部の分割プレート5には、−5V<φap<+20Vのバイアス電圧を印加することが好ましい。0V≦φap≦+18Vが特に好ましい。
中心部の分割プレート5a以外の分割プレート5b、5cは浮遊電位状態にしておいてもよい。浮遊状態の場合であっても、分割プレート5bの部分には、従来におけると同様の量の内包フラーレンが堆積する。従って、中心部の分割プレート5aにおいて収率が高くなった分全体としての収率が高くなる。
もちろん、成膜条件の変動により、分割プレート5bに対応する部分のフラーレンイオンの密度が低くなる場合は、分割プレート5bにもバイアス電圧を印加してフラーレンイオンの密度を高くしてもよい。成膜中に、イオン測定用プローブ11により常時分布を測定し、コンピューター16により分割プレート5b、5cへ印加するバイアス電圧を自動的に制御すればよい。分割プレート5aへの印加の自動制御も同様である。
真空容器1には、ポンプ10が設けられ、真空容器1内を真空に排気可能となっている。
本発明におけるフラーレンとしては、例えば、Cn(n=60,70,74,82,84、...)があげられる。
前記筒の下流側端から前記プレートまでの距離ldと筒の長さlcとの関係を、ld≧2lcとした場合には、プレート上に堆積する膜中における中性フラーレンの濃度を一層低くすることができる。すなわち、膜中における内包フラーレンの濃度をより一層高くすることが可能となる。
第1図に示す装置を用いてのナトリウム内包C60(Na@C60)フラーレンの形成を行った。
本例では、真空容器1として、直径100mm、長さ1200mmのものを用いた。
また、本例ではホットプレートとして、φ20mmのタングステンホットプレートを用いた。すなわち、半径Rが10mmのホットプレートを用いた。さらに、タングステンホットプレート3を2500℃に加熱した。加熱されたタングステンホットプレート3に向けてオーブン4からナトリウムを導入した。なお、真空容器1内は、1×10−4Paとし、磁場強度BはB=0.3Tとした。
プラズマ流2の途中には、孔を有する銅製の筒13を設けた。銅製の筒13は、その内半径が30mmのものを用いた。筒13は約400℃に加熱した。
次いで、筒13の孔からフラーレンを導入した。
一方、分割プレートとして3分割タイプのものを用いた。中心部の分割プレート5aの直径は14mm、その外側の分割プレート5bの直径は32mm、さらに外側の分割プレートの直径は50mmとした。
中心部の分割プレート5aにはバイアス電圧Δφap(=φap−φs)としてΔφap=5Vを印加した。分割プレート5b、5cは浮遊電位の状態とした。なお、φapは直流電圧、φsはプラズマ空間電位である。
イオン測定用プローブ14により成膜途中におけるイオン分布を測定したところ、第3図(b)に実線で示すような半径r方向の分布をしていた。すなわち、Na+イオンは中心領域に集中する結果が得られた。
成膜を30分行った後、分割プレート上に堆積した内包フラーレン(本例ではNa@C60)含有薄膜を分析した。中心部における分割プレート5a上には内包フラーレンが高い含有率で形成されていた。また、中心部の外側における分割プレート5b上には内包フラーレン含有の堆積膜が認められた。
なお、質量分析結果を第3図(a)に示す。
本例では、真空容器1として、直径100mm、長さ1200mmのものを用いた。
また、本例ではホットプレートとして、φ20mmのタングステンホットプレートを用いた。すなわち、半径Rが10mmのホットプレートを用いた。さらに、タングステンホットプレート3を2500℃に加熱した。加熱されたタングステンホットプレート3に向けてオーブン4からナトリウムを導入した。なお、真空容器1内は、1×10−4Paとし、磁場強度BはB=0.3Tとした。
プラズマ流2の途中には、孔を有する銅製の筒13を設けた。銅製の筒13は、その内半径が30mmのものを用いた。筒13は約400℃に加熱した。
次いで、筒13の孔からフラーレンを導入した。
一方、分割プレートとして3分割タイプのものを用いた。中心部の分割プレート5aの直径は14mm、その外側の分割プレート5bの直径は32mm、さらに外側の分割プレートの直径は50mmとした。
中心部の分割プレート5aにはバイアス電圧Δφap(=φap−φs)としてΔφap=5Vを印加した。分割プレート5b、5cは浮遊電位の状態とした。なお、φapは直流電圧、φsはプラズマ空間電位である。
イオン測定用プローブ14により成膜途中におけるイオン分布を測定したところ、第3図(b)に実線で示すような半径r方向の分布をしていた。すなわち、Na+イオンは中心領域に集中する結果が得られた。
成膜を30分行った後、分割プレート上に堆積した内包フラーレン(本例ではNa@C60)含有薄膜を分析した。中心部における分割プレート5a上には内包フラーレンが高い含有率で形成されていた。また、中心部の外側における分割プレート5b上には内包フラーレン含有の堆積膜が認められた。
なお、質量分析結果を第3図(a)に示す。
本例では、筒13の径の影響を調べた。
筒13の内半径Dを15mm、20mm、25mm、35mm、40mm、50mmとし、実施例1と同様の成膜を行ない、内包フラーレンの収率を調べた。
実施例1の場合(Dc=30mmの場合)における中心部の分割プレート上での収率を1とすると次のような収率が得られた。
15mm(R+5mm) 0・9
20mm(R+10mm) 0.9
25mm(R+15mm) 0.95
30mm(R+20mm) 1
35mm(R+25mm) 0.8
40mm(R+30mm) 0.7
50mm(R+40mm) 0.5
ホットプレートの半径Rに対し、筒13の内半径がR+15mmからR+20mmの範囲においては、他の範囲のものに比べると収率が非常に優れていることがわかる。
筒13の内半径Dを15mm、20mm、25mm、35mm、40mm、50mmとし、実施例1と同様の成膜を行ない、内包フラーレンの収率を調べた。
実施例1の場合(Dc=30mmの場合)における中心部の分割プレート上での収率を1とすると次のような収率が得られた。
15mm(R+5mm) 0・9
20mm(R+10mm) 0.9
25mm(R+15mm) 0.95
30mm(R+20mm) 1
35mm(R+25mm) 0.8
40mm(R+30mm) 0.7
50mm(R+40mm) 0.5
ホットプレートの半径Rに対し、筒13の内半径がR+15mmからR+20mmの範囲においては、他の範囲のものに比べると収率が非常に優れていることがわかる。
本例では、中心の分割プレートへのバイアス値を−10V〜20Vの範囲で変化させて内包フラーレンの堆積を行った。
その結果を第4図に示す。
−5V<φap<+20Vの範囲で優れた収率がしめされている。0V≦φap≦+18Vの範囲でより優れた収率が示されている。
その結果を第4図に示す。
−5V<φap<+20Vの範囲で優れた収率がしめされている。0V≦φap≦+18Vの範囲でより優れた収率が示されている。
本発明によれば、基板であるプレートの中心部においても内包フラーレンを得ることが可能となり、内包フラーレンの収率性を高くすることが可能となる。
Claims (19)
- 真空容器内において、ホットプレートに向けて内包対象原子を導入することにより内包対象原子のプラズマ流を形成し、前記プラズマ流にフラーレンを導入し、該プラズマ流の下流に配置した堆積プレートに内包フラーレンを堆積させる内包フラーレンの製造方法において、該堆積プレートを同心円状に分割した複数の分割プレートとし、中心部の分割プレートにバイアス電圧を印加しながら堆積を行うことを特徴とする内包フラーレンの製造方法。
- 前記中心部の分割プレートへ、−5V<Δφap<+20Vのバイアス電圧Δφapを印加することを特徴とする請求項1記載の内包フラーレンの製造方法。
- 前記ホットプレートの半径をRとして、中心部に配置された分割プレートの半径がR+5mm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の内包フラーレンの製造方法。
- 前記堆積プレート手前にプラズマ流中におけるフラーレンイオンと内包対象原子イオンの密度分布を測定するための手段を設けておき、該手段からの信号に基づき、前記バイアス電圧を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の内包フラーレンの製造方法。
- 前記ホットプレートの半径をRとして、該プラズマ流の途中に、R+5mm以上の内半径を有する筒を設け、該筒の外周からフラーレンを導入することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の内包フラーレンの製造方法。
- 真空容器内において、ホットプレートに向けて内包対象原子を導入することにより内包対象原子のプラズマ流を形成し、前記プラズマ流にフラーレンを導入し、プラズマ流の下流に配置した堆積プレートに内包フラーレンを堆積させる内包フラーレンの製造方法において、前記ホットプレートの半径をRとして、該プラズマ流の途中に、R+5mm以上の内半径を有する筒を設け、該筒の外周からフラーレンを導入することを特徴とする内包フラーレンの製造方法。
- 前記内包対象原子はアルカリ金属原子であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の内包フラーレンの製造方法。
- 真空容器と、内包対象原子のプラズマ流を形成するための手段と、該プラズマ流にフラーレンを導入するための手段と、該プラズマ流の下流に配置する同心状に分割された複数の分割プレートを保持するための保持手段と、各分割プレートのそれぞれに任意のバイアス電圧を印加するためのバイアス印加手段とを有することを特徴とする内包フラーレンの製造装置。
- ホットプレートに向けて内包対象原子を導入することにより内包対象原子のプラズマ流を形成することを特徴とする請求項8記載の内包フラーレンの製造装置。
- 前記バイアス印加手段は可変であることを特徴とする請求項8記載の内包フラーレンの製造装置。
- 前記バイアスは、中心部に配置された分割プレートへ−5V<Δφap<20Vのバイアス電圧Δφapを印加するようにしたことを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項記載の内包フラーレンの製造装置。
- 前記ホットプレートの半径をRとして、中心部に配置された分割プレートの半径がR+5mm以下であることを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項記載の内包フラーレンの製造装置。
- 前記堆積プレート手前にプラズマ流中におけるフラーレンイオンと内包対象原子イオンの密度分布を測定するための手段を設けておき、該手段からの信号に基づき、印加するバイアス電圧を制御するようにしたことを特徴とする請求項8乃至12のいずれか1項記載の内包フラーレンの製造装置。
- 前記ホットプレートの半径をRとして、該プラズマ流の途中に、R+5mm以上の内半径を有する筒を設けたことを特徴とする請求項8乃至13のいずれか1項記載の内包フラーレンの製造装置。
- 真空容器内において、ホットプレートに向けて内包対象原子を導入することにより内包対象原子のプラズマ流を形成し、前記プラズマ流にフラーレンを導入し、該プラズマ流の下流に配置した堆積プレートに内包フラーレンを堆積させる内包フラーレンの製造装置において、前記プラズマ流の半径をRとして、該プラズマ流の途中に、R+5mm以上の内半径を有する筒を設けたことを特徴とする内包フラーレンの製造装置。
- 前記筒の下流側端から前記堆積プレートまでの距離ldと筒の長さlcとの関係を、ld≧2lcとしたことを特徴とする請求項14又は15記載の内包フラーレンの製造装置。
- 前記内包対象原子はアルカリ金属原子であることを特徴とする請求項8乃至16のいずれか1項記載の内包フラーレンの製造装置。
- 前記プラズマ流を形成するための手段は、ホットプレートと該ホットプレートに向けて内包対象原子を導入するためのノズルとにより構成されていることを特徴とする請求項8乃至17のいずれか1項記載の内包フラーレンの製造装置。
- 少なくとも前記筒の下流側端から下流側における前記真空容器の壁を冷却するたの冷却手段を設けたことを特徴とする請求項8ないし18のいずれか1項記載の内包フラーレンの製造装置。
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