JPWO2004004943A1 - 微細鍛造加工方法,液体噴射ヘッドの製造方法および液体噴射ヘッド - Google Patents

微細鍛造加工方法,液体噴射ヘッドの製造方法および液体噴射ヘッド

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Abstract

窪部の隔壁部を精密に成形し、圧力発生室等のための窪み形状を高精度の下で加工する微細鍛造加工方法やそれによる液体噴射ヘッド等を提供する。 所定ピッチで配列される溝状窪部33を形成する微細鍛造加工方法であって、仮成形パンチ51bが配列された第1パンチ51aで素材55に各溝状窪部33を仮成形した後、上記仮成形された溝状窪部33に対して仕上げ成形パンチ51dが配列された第2パンチ51cで仕上げ成形を行い、また、突条部53c,53dの端部に傾斜面63,64,65を設けて、溝状窪部33端部の加工形状を精密に求める。このような方法で加工された液体噴射ヘッド1は、その液体噴射特性が安定したものとなり、鍛造による加工簡素化により製造原価を低減できる。

Description

本発明は、液体噴射ヘッド等の部品製造に採用できる微細鍛造加工方法,液体噴射ヘッドの製造方法および液体噴射ヘッドに関する。
加圧された液体をノズル開口から液滴として吐出させる液体噴射ヘッドは、種々な液体を対象にしたものが知られている。このような液体噴射ヘッドは、主としてプリンタやプロッタ等の画像記録装置用の記録ヘッドとして用いられているが、最近では極く少量の液体を所定位置に正確に供給できるという特長を生かして各種の製造装置に応用されている。例えば、液晶ディスプレー等のカラーフィルタを製造する製造装置用の色材噴射ヘッド,有機EL(Electro Luminescence)ディスプレーやFED(面発光ディスプレー)等の電極を形成する製造装置用の電極材噴射ヘッド,バイオチップ(生物化学素子)を製造する製造装置用の生体有機物噴射ヘッドに応用されている。そして、記録ヘッドでは液状のインクを吐出し、色材噴射ヘッドではR(Red)・G(Green)・B(Blue)の各色材の溶液を吐出する。また、電極材噴射ヘッドでは液状の電極材料を吐出し、生体有機物噴射ヘッドでは生体有機物の溶液を吐出する。
代表的なものとして、インクジェット式記録ヘッドをあげることができ、従来の技術を上記インクジェット式記録ヘッドを例にとって説明する。
インクジェット式記録ヘッド(以下、記録ヘッドと称する。)には種々の形式があるが、広く普及している所謂オン・デマンド方式のものは、共通インク室から圧力発生室を経てノズル開口に至る一連の流路を、ノズル開口に対応させて複数備えている。そして、小型化の要請から各圧力発生室は、記録密度に対応した細かいピッチで形成する必要がある。このため、隣り合う圧力発生室同士を区画する隔壁部の肉厚は極めて薄くなっている。また、圧力発生室と共通インク室とを連通するインク供給口は、圧力発生室内のインク圧力をインク滴の吐出に効率よく使用するため、その流路幅が圧力発生室よりもさらに絞られている。このような微細形状の圧力発生室及びインク供給口を寸法精度良く作製する観点から、従来の記録ヘッドでは、シリコン基板が好適に用いられている。すなわち、シリコンの異方性エッチングにより結晶面を露出させ、この結晶面で圧力発生室やインク供給口を区画形成している。
また、ノズル開口が形成されるノズルプレートは、加工性等の要請から金属板により作製されている。そして、圧力発生室の容積を変化させるためのダイヤフラム部は、弾性板に形成されている。この弾性板は、金属製の支持板上に樹脂フィルムを貼り合わせた二重構造であり、圧力発生室に対応する部分の支持板を除去することで作製されている。
発明が解決しようとする課題
ところで、上記した従来の記録ヘッドでは、隔壁部の肉厚が極めて薄いために、圧力発生室の窪み形状を正確に求めて、圧力発生室等の液体収容容積を均一に設定することが困難であった。特に、この窪み形状は一般に細長い形状とされている場合が多く、長手方向で見た窪み形状の端部の形状を精密に求めることが、上記隔壁部の形状を画然と仕上げることにとって重要である。
また、シリコンと金属との線膨張率の差が大きいため、シリコン基板、ノズルプレート及び弾性板の各部材を貼り合わせるにあたり、比較的低温の下で長時間をかけて接着する必要があった。このため、生産性の向上が図り難く、製造コストが嵩む一因となっていた。
そこで、この種の液体噴射ヘッドでは、生産性の向上を図る等のため、金属製の圧力室形成板に液体流路を設ける試みがなされている(例えば、特許文献1,2参照。)。即ち、これらの特許文献には、金属板に対する塑性加工(面押し加工やプレス加工)により、リザーバと圧力室との間を連通する供給口、圧力室となる凹部溝、及び、圧力室とノズル開口との間を連通する連通口を形成する方法が開示されている。
ところが、圧力発生室が極めて微細であること、及び、インク供給口の流路幅を圧力発生室よりも狭くする必要があること等から加工が困難であり、生産効率の向上が図り難いという問題点があった。
一方、この種の液体噴射ヘッドは、吐出する液滴の量を極く少なくすることが求められている。例えば、インクジェット記録ヘッドでは、インク滴の量を極く少なくすることで、単位面積内に着弾させ得るドットの数を従来よりも増やすことができ、粒状感の少ない高画質な画像を記録できるからである。また、色材噴射ヘッドでは、吐出量を極く少なくすることで、1画素の面積をより小さくでき、高い解像度のディスプレー(フィルタ)を製造できるからである。また、電極材噴射ヘッドでは、電極材料の量を極く少なくすることで、極めて細い導体を所望のパターンで作製できるからである。
なお、上記の特許文献1とは特開昭55−14283号公報(第2頁,図6)であり、特許文献2とは特開2000−263799号公報(第6−8頁,図4−14)である。
しかしながら、上記各特許文献の方法で現在の要求に応え得る液体噴射ヘッドを作製しようとした場合、いくつかの不具合が生じることが判った。その1つが気泡の排出性の問題である。
即ち、極く少量の液滴を吐出可能な液体噴射ヘッドを作製するには、圧力室となる溝状の窪部(以下、溝状窪部という。)の幅寸法が極く小さくなってしまう。また、複数の溝状窪部を溝幅方向に近接して設ける必要もある。この場合、上記各特許文献の方法では、全ての連通口を溝状窪部における長手方向の一端に設けることは困難である。例えば、図25(a)に示すように、各連通口34…を溝状窪部33の長手側端面(窪部端面)70から溝長手方向に離隔した位置に設けざるを得ない。これは、窪部端面70の位置ばらつきによるものである。
この場合において、複数の溝状窪部33…をプレス加工で作製すると、窪部端面70の位置が各溝状窪部33…でばらついてしまう。このため、図25(b)に示すように、連通口34を溝状窪部33における長手方向の際に設けようとすると、一部のパンチが金属板における厚手の部分を打ち抜いてしまうことになる。このパンチは極めて細いので、厚手の部分を打ち抜こうとすると、撓んでしまったり座屈してしまったりする虞がある。従って、各連通口34…を作製するにあたっては、全てのパンチが溝状窪部33内に位置するようにマージンを持たせて位置合わせする必要がある。その結果、パンチが窪部端面70から溝長手方向に離隔して配置され、連通口34も窪部端面70から離隔して設けられてしまうことになる。
このように、連通口34が窪部端面70から離隔して設けられると、窪部端面70と連通口34との間には平坦部71が形成される。この平坦部71は気泡滞留の原因となり、この気泡の除去を阻害する要因となる。即ち、この平坦部71が存在することによって圧力室内を流れる液体には淀みが生じ、液体中の気泡が淀みに停滞して除去が困難となる。さらに、この気泡が成長して大きくなると、液滴の吐出特性(例えば、飛行速度や吐出量)に影響を及ぼす虞があるし、液体の流れを妨げてしまう虞もある。
このように、金属製基板を塑性加工することによって圧力発生室を形成すると、圧力発生室内面の成形形状や、圧力発生室とノズル開口を連通させる連通口まわりの形状によっては、インクに乱流が生じたり気泡の停滞が生じたりしてしまい、液体の吐出特性に悪影響を及ぼしかねないという問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、隔壁部をその両端部を含めて精密に成形し、圧力発生室等のための窪み形状を高精度の下で加工することにより、圧力発生室内のインクの流れをスムーズにするとともに気泡の停滞を防止すること、すなわち、溝状窪部の端部形状を工夫することにより、気泡の排出性を向上させることを第1の目的としている。
さらに、本発明は、隔壁部をその両端部を含めて精密に成形し、圧力発生室等のための窪み形状を高精度の下で加工することを第2の目的としている。
上記目的を達成するため、本発明の微細鍛造加工方法は、所定ピッチで配列される窪部を形成する微細鍛造加工方法であって、仮成形パンチが配列された第1パンチで素材に各窪部を仮成形した後、上記仮成形された窪部に対して仕上げ成形パンチが配列された第2パンチで仕上げ成形を行うことを要旨とする。
すなわち、仮成形パンチが配列された第1パンチで素材に各窪部を仮成形した後、上記仮成形された窪部に対して仕上げ成形パンチが配列された第2パンチで仕上げ成形を行う微細鍛造加工方法である。
このため、第1パンチによる仮成形で、最終形状には至らない形状の段階までまず成形しておき、その後、第2パンチで上記仮成形に引き続いて仕上げ成形が行われる。したがって、段階的にすなわち第1パンチ,第2パンチによる徐々な塑性加工が施されるので、微細な形状であっても、異常な形状になったり素材に割れが発生したりする等の問題がなく、所定どおりの加工形状が正確に求められる。さらに、このような微細な構造の加工成形としては、一般に、異方性エッチングの手法が採用されるのであるが、このような手法は加工工数が多大なものとなるので、製造原価の面で不利である。それに対して、上記の微細鍛造加工方法であれば、加工工数が大幅に削減され、原価的にも極めて有利である。さらに、各窪部の容積を均一に加工できるので、例えば、液体噴射ヘッド圧力発生室等を成形するような場合においては、液体噴射ヘッドの噴射特性を安定させる等の面で非常に有効である。
本発明の微細鍛造加工方法において、上記第1パンチに配列された仮成形パンチ間の空隙部と第2パンチに配列された仕上げ成形パンチ間の空隙部により、上記窪部間に配置される隔壁部を成形する場合には、第1パンチによる仮成形で、最終形状には至らない隔壁部の形状の段階までまず成形しておき、その後、第2パンチで上記仮成形に引き続いて隔壁部の仕上げ成形が行われる。したがって、段階的にすなわち第1パンチ,第2パンチによる徐々な塑性加工が施されるので、肉厚の薄い隔壁部であっても、異常な形状になったり素材に割れが発生したりする等の問題がなく、所定どおりの加工形状が正確に求められる。
本発明の微細鍛造加工方法において、上記第2パンチの仕上げ成形時の素材に対する押込み深さは、第1パンチの仮成形時の素材に対する押込み深さよりも深く押込む場合には、仕上げ成形における第2パンチの押込み深さが第1パンチのそれよりも深いことにより、第1パンチによる仮成形の形状を確実に変形させて仕上げ成形に転じることができ、所定の形状を確実に求めることが可能となる。
本発明の微細鍛造加工方法において、上記第1パンチの仮成形パンチと上記第2パンチの仕上げ成形パンチが平行に配列された突条部とされ、これらの突条部により上記窪部が平行に配列された溝状窪部として成形される場合には、第1パンチの仮成形と第2パンチの仕上げ成形により、細長い上記溝状窪部の幅,長さ,深さ等の各種寸法や形状を精密に加工することができる。
本発明の微細鍛造加工方法において、上記第1パンチと第2パンチの各突条部の幅と長さは略等しく設定されている場合には、第1パンチの仮成形に引き続いた第2パンチの仕上げ成形が、略等しくされた寸法の各突条部によって行われるので、仮成形で成形された形状は、それが異常に変形したりすることがなく、仕上げ成形へと移行することができて、最終的に精密な溝状窪部がえられる。
本発明の微細鍛造加工方法において、上記第1パンチの突条部の長手方向端部に角度の異なる面取り状の傾斜面が設けられている場合には、傾斜面の角度を選定することにより、突条部の長手方向端部によって流動させられる素材の量や範囲を最適化して、溝状窪部端部の成形形状を正確にもとめることができる。このような素材流動は溝状窪部端部における溝状窪部の幅方向の素材流動成分をより多くするので、溝状窪部端部付近における隔壁部の厚さや形状が溝状窪部の端部まで画然と成形できる。
本発明の微細鍛造加工方法において、上記傾斜面は上記突条部の先端部分に近づけて配置した第1傾斜面と上記突条部の先端部分から離隔させて配置した第2傾斜面から構成され、第1パンチの押込み方向に対する上記第1,第2両傾斜面の傾斜角度は第1傾斜面の方が大きく設定されている場合には、傾斜角度の大きな第1傾斜面が溝状窪部端部から離隔した箇所で素材に押込まれるので、溝状窪部端部への素材の流動の影響が少ない状態で溝状窪部の初期成形が開始される。したがって、この初期段階においては溝状窪部の端部付近における長手方向の素材移動が少なく、むしろ溝状窪部の幅方向の素材移動が積極的に推進される。
その後、第1傾斜面が素材中に押込まれると、溝状窪部端部に近い側の傾斜角度の小さな第2傾斜面が素材に押込まれて行くので、今度は、溝状窪部の幅方向の素材移動よりも溝状窪部端部に向かう素材移動が行われる。この場合、第2傾斜面は傾斜角度が小さいので、溝状窪部の長手方向に対する素材の移動量が可及的に少なくとどめられることとなり、溝状窪部端部付近の素材の移動量も抑制されて、溝状窪部端部の形状が画然と形成される。すなわち、第2傾斜面が押込まれて行く段階においても、やはり溝状窪部端部における溝状窪部の幅方向の素材流動成分をより多くするので、溝状窪部端部付近における隔壁部の厚さや形状が溝状窪部の端部まで画然と成形できる。
本発明の微細鍛造加工方法において、上記第2パンチの突条部の長手方向の端部に面取り状の仕上げ傾斜面が形成され、この仕上げ傾斜面の第2パンチの押込み方向に対する傾斜角度は、上記第2傾斜面の傾斜角度よりも小さく設定されている場合には、仕上げの押込みストロークの段階での溝状窪部端部に向かう素材移動が、上記仕上げ傾斜面の傾斜角度が小さいことにより極力抑制されるので、溝状窪部端部付近の溝状窪部長手方向の素材の移動量も抑制されて、溝状窪部端部の形状が画然と形成される。すなわち、仕上げ傾斜面が押込まれて行く段階においても、やはり溝状窪部端部における溝状窪部の幅方向の素材流動成分をより多くするので、溝状窪部端部付近における隔壁部の厚さや形状が溝状窪部の端部まで画然と成形できる。
本発明の微細鍛造加工方法において、上記第1パンチの仮成形時に上記第1傾斜面と第2傾斜面により素材に第1仮成形面と第2仮成形面を成形し、上記第2パンチの仕上げ傾斜面の先端部が上記第1仮成形面に押付けられてから第2パンチで仕上げ成形を行う場合には、溝状窪部の深さ方向で見て第2仮成形面よりも深い箇所にあり、しかも溝状窪部の長手方向で見て溝状窪部端部から第2仮成形面よりも離隔した箇所にある第1仮成形面に対して第2パンチの上記先端部が押付けられて塑性変形がなされる。したがって、第2パンチによる仕上げ成形は、溝状窪部端部に素材移動の面でほとんど影響することなく行われ、溝状窪部端部の形状が画然と形成される。また、第2パンチの仕上げ傾斜面の傾斜角度が小さく設定してあるので、第1仮成形面の表面部は素材の内部の方へ移動されることとなり、いわゆる「返り」が生じたりしない。したがって、溝状窪部間の隔壁部は溝状窪部の端部の箇所まで正確に成形される。
本発明の微細鍛造加工方法において、上記第2パンチの仕上げ成形により、少なくとも上記第2仮成形面と上記仕上げ成形によって成形された仕上げ成形面とで溝状窪部の端部に最終仕上げ形状が形成される場合には、第1仮成形面,第2仮成形面の傾斜角度よりも小さな傾斜角度の第2パンチの仕上げ傾斜面で仕上げ加工を行うので、仕上げ傾斜面で第1仮成形面が押込まれて消滅した後においても、第2仮成形面の表面に上記仕上げ傾斜面が面接触することがなく、仕上げ傾斜面により第2仮成形面の端部の素材を押込み方向に移動させることとなる。したがって、溝状窪部端部には少なくとも第2仮成形面とそれに連続した仕上げ成形面が確実に形成され、溝状窪部端部の形状が正確に構成できる。
本発明の微細鍛造加工方法において、上記第2仮成形面と上記第1仮成形面と上記仕上げ成形によって成形された仕上げ成形面とで溝状窪部の端部に最終仕上げ形状が形成される場合には、第1仮成形面の傾斜角度よりも小さな傾斜角度の第2パンチの仕上げ傾斜面で仕上げ加工を行うので、第1仮成形面の表面に上記仕上げ傾斜面が面接触することがなく、仕上げ傾斜面により第1仮成形面の端部の素材を押込み方向に移動させることとなる。そして、この移動により第1仮成形面を消滅させないで一部を残存させることにより、溝状窪部端部には第2仮成形面,第1仮成形面およびそれに連続した仕上げ成形面が確実に形成され、溝状窪部端部の形状が正確に構成できる。
本発明の微細鍛造加工方法において、上記第1パンチおよび第2パンチの突条部には、それらの先端に形成した山形の斜面により楔状の先端部分が形成され、突条部の両側面と上記斜面との境界部が滑らかに接続された形状とされている場合には、溝状窪部の低部をV字型の形状にして溝状窪部の容積を可及的に大きく確保するとともに、隔壁部の基部の剛性を高めて強度的に安定した隔壁部を構成することができる。
本発明の微細鍛造加工方法において、上記第2パンチの突条部間のピッチは、上記第1パンチの突条部間のピッチよりも大きく設定されている場合には、第2パンチによる仕上げ成形の際に、最終的な仕上げ形状を円滑にしかも確実に求めることが可能となる。すなわち、第1パンチの突条部により加圧成形された素材は、第1パンチを素材から後退させると、仮成形されて解放された素材の各部寸法が若干大きくなる現象がある。このような現象にともなって第1パンチで成形された溝状窪部のピッチも第1パンチの突条部のピッチよりも若干大きくなる。そこで、このように大きくなった溝状窪部のピッチに合わせた突条部間ピッチを第2パンチに設定しておくことにより、仮成形寸法に適合した第2パンチの突条部間ピッチで正確な仕上げ成形が、無理な素材変形をともなうことなく円滑にしかも確実に行うことができる。上記第2パンチの突条部間ピッチを0.3mm以下とすることにより、例えば、液体噴射ヘッド等の部品加工等においてより好適な仕上げとなる。
つぎに、上記目的を達成するため、本発明の液体噴射ヘッドの製造方法は、圧力発生室となる溝状窪部が列設されると共に、各溝状窪部の一端に板厚方向に貫通する連通口を形成した金属製の圧力発生室形成板と、上記連通口と対応する位置にノズル開口を穿設した金属製のノズルプレートと、溝状窪部の開口面を封止すると共に、溝状窪部の他端に対応する位置に液体供給口を穿設した金属材製の封止板とを備え、圧力発生室形成板における溝状窪部側に封止板を、反対側にノズルプレートをそれぞれ接合してなる液体噴射ヘッドの製造方法であって、上記圧力発生室形成板の溝状窪部を請求項1〜14のいずれか一項に記載の微細鍛造加工方法によって形成するようにしたことを特徴としている。
したがって、請求項1〜14に掲げた微細鍛造加工方法の有利な作用効果を駆使して、素材である圧力発生室形成板に溝状窪部が加工される。上記の有利な作用効果に基づく圧力発生室形成板の加工の例を列記すると、つぎのとおりである。
すなわち、上記液体噴射ヘッドの上記圧力発生室形成板の溝状窪部を請求項1〜14のいずれか一項に記載の微細鍛造加工方法によって形成している。例えば、第1パンチによる仮成形で、最終形状には至らない形状の段階までまず成形しておき、その後、第2パンチで上記仮成形に引き続いて仕上げ成形が行われる。したがって、段階的にすなわち第1パンチ,第2パンチによる徐々な塑性加工が施されるので、微細な形状であっても、異常な形状になったり素材に割れが発生したりする等の問題がなく、所定どおりの加工形状が正確に求められる。さらに、このような微細な構造の加工成形としては、一般に、異方性エッチングの手法が採用されるのであるが、このような手法は加工工数が多大なものとなるので、製造原価の面で不利である。それに対して、上記の微細鍛造加工方法であれば、加工工数が大幅に削減され、原価的にも極めて有利である。さらに、各窪部の容積を均一に加工できるので、例えば、液体噴射ヘッド圧力発生室等を成形するような場合においては、液体噴射ヘッドの噴射特性を安定させる等の面で非常に有効である。
あるいは、第1パンチの突条部の長手方向端部に角度の異なる面取り状の傾斜面が設けられ、上記傾斜面は上記突条部の先端部分に近づけて配置した第1傾斜面と突条部の先端部分から離隔させて配置した第2傾斜面から構成され、第1パンチの押込み方向に対する上記第1,第2両傾斜面の傾斜角度は第1傾斜面の方が大きく設定されていることにより、傾斜角度の大きな第1傾斜面が溝状窪部端部から離隔した箇所で圧力発生室形成板に押込まれるので、溝状窪部端部への素材の流動の影響が少ない状態で溝状窪部の初期成形が開始される。したがって、この初期段階においては溝状窪部の端部付近における長手方向の素材移動が少なく、むしろ溝状窪部の幅方向の素材移動が積極的に推進される。
その後、第1傾斜面が圧力発生室形成板中に押込まれると、溝状窪部端部に近い側の傾斜角度の小さな第2傾斜面が素材に押込まれて行くので、今度は、溝状窪部の幅方向の素材移動よりも溝状窪部端部に向かう素材移動が行われる。この場合、第2傾斜面は傾斜角度が小さいので、溝状窪部の長手方向に対する素材の移動量が可及的に少なくとどめられることとなり、溝状窪部端部付近の素材の移動量も抑制されて、溝状窪部端部の形状が画然と形成される。すなわち、第2傾斜面が押込まれて行く段階においても、やはり溝状窪部端部における溝状窪部の幅方向の素材流動成分をより多くするので、溝状窪部端部付近における隔壁部の厚さや形状が溝状窪部の端部まで画然と成形できる。したがって、溝状窪部間の隔壁部は溝状窪部の端部の箇所まで正確に成形され、精密に仕上げられた圧力発生室等の形状がえられる。
さらに、上記第1パンチの仮成形時に上記第1傾斜面と第2傾斜面により圧力発生室形成板に第1仮成形面と第2仮成形面を成形し、上記第2パンチの仕上げ傾斜面の先端部が上記第1仮成形面に押付けられてから第2パンチで仕上げ成形を行う場合には、溝状窪部の深さ方向で見て第2仮成形面よりも深い箇所にあり、しかも溝状窪部の長手方向で見て溝状窪部端部から第2仮成形面よりも離隔した箇所にある第1仮成形面に対して第2パンチの上記先端部が押付けられて塑性変形がなされる。したがって、第2パンチによる仕上げ成形は、溝状窪部端部に素材移動の面でほとんど影響することなく行われ、溝状窪部端部の形状が画然と形成される。したがって、溝状窪部間の隔壁部は溝状窪部の端部の箇所まで正確に成形され、精密に仕上げられた圧力発生室等の形状がえられる。
また、本発明の第2の液体噴射ヘッドの製造方法は、圧力発生室となる溝状窪部が列設されると共に、各溝状窪部の一端に板厚方向に貫通する連通口を形成した金属製の圧力発生室形成板と、上記連通口と対応する位置にノズル開口を穿設した金属製のノズルプレートと、溝状窪部の開口面を封止すると共に、溝状窪部の他端に対応する位置に液体供給口を穿設した金属材製の封止板とを備え、圧力発生室形成板における溝状窪部側に封止板を、反対側にノズルプレートをそれぞれ接合してなる液体噴射ヘッドの製造方法であって、上記溝状窪部を、その長手方向端部に少なくとも1つの傾斜成形面を設けるよう第1パンチを用いて成形する第1工程と、上記第1工程の後に上記傾斜成形面に第2パンチを圧入する第2工程とを少なくとも含むことを特徴とする。
このように、上記溝状窪部を、その長手方向端部に少なくとも1つの傾斜成形面を設けるよう第1パンチを用いて成形する第1工程と、上記第1工程の後に上記傾斜成形面に第2パンチを圧入する第2工程とを少なくとも含み、上記第2パンチが傾斜成形面に対して圧入されることから、第2パンチによる成形は、溝状窪部端部に素材移動の面でほとんど影響することなく行われ、溝状窪部端部の形状が画然と形成される。そして、傾斜成形面の表面部は素材の内部の方へ移動されることとなり、いわゆる「返り」が生じたりしない。したがって、溝状窪部間の隔壁部は溝状窪部の端部の箇所まで正確に成形される。このように、溝状窪部の端部の最終仕上げ形状が均一にしかも「返り」のない状態で確保できるので、各圧力発生室の容積や形状が一定になりインクの吐出特性が一定に維持でき、また、「返り」等のない形状特性により溝状窪部の端部におけるインク流に乱流が発生したり気泡が停滞したりしない。
上記液体噴射ヘッドの製造方法において、上記第1工程で使用する第1パンチには溝状窪部を成形する突条部と、上記溝状窪部間に配置される隔壁部を成形する空隙部とが設けられている場合には、細長い上記溝状窪部の幅,長さ,深さ等の各種寸法や形状を精密に加工することができ、肉厚の薄い隔壁部であっても、異常な形状になったり素材に割れが発生したりする等の問題がなく、所定どおりの加工形状が正確に求められる。
上記液体噴射ヘッドの製造方法において、上記第1パンチの突条部の長手方向端部に面取り状の傾斜面が設けられ、上記第1工程において上記傾斜面により傾斜成形面を成形し、第2工程において上記傾斜成形面に第2パンチを圧入する場合には、傾斜面の角度を選定することにより、突条部の長手方向端部によって流動させられる素材の量や範囲を最適化して、溝状窪部端部の成形形状を正確にもとめることができる。
上記液体噴射ヘッドの製造方法において、上記第1パンチの突条部の長手方向端部に角度の異なる面取り状の傾斜面が設けられ、上記第1工程において上記傾斜面により複数の傾斜成形面を成形し、第2工程において上記傾斜成形面のいずれかに第2パンチを圧入する場合には、傾斜面の角度を選定することにより、突条部の長手方向端部によって流動させられる素材の量や範囲を最適化して、溝状窪部端部の成形形状を正確にもとめることができる。このような素材流動は溝状窪部端部における溝状窪部の幅方向の素材流動成分をより多くするので、溝状窪部端部付近における隔壁部の厚さや形状が溝状窪部の端部まで画然と成形できる。
上記液体噴射ヘッドの製造方法において、上記傾斜面は上記突条部の先端部分に近づけて配置した第1傾斜面と上記突条部の先端部分から離隔させて配置した第2傾斜面から構成され、第1パンチの押込み方向に対する上記第1,第2両傾斜面の傾斜角度は第1傾斜面の方が大きく設定されている場合には、傾斜角度の大きな第1傾斜面が溝状窪部端部から離隔した箇所で素材に押込まれるので、溝状窪部端部への素材の流動の影響が少ない状態で溝状窪部の初期成形が開始される。したがって、この初期段階においては溝状窪部の端部付近における長手方向の素材移動が少なく、むしろ溝状窪部の幅方向の素材移動が積極的に推進される。
その後、第1傾斜面が素材中に押込まれると、溝状窪部端部に近い側の傾斜角度の小さな第2傾斜面が素材に押込まれて行くので、今度は、溝状窪部の幅方向の素材移動よりも溝状窪部端部に向かう素材移動が行われる。この場合、第2傾斜面は傾斜角度が小さいので、溝状窪部の長手方向に対する素材の移動量が可及的に少なくとどめられることとなり、溝状窪部端部付近の素材の移動量も抑制されて、溝状窪部端部の形状が画然と形成される。すなわち、第2傾斜面が押込まれて行く段階においても、やはり溝状窪部端部における溝状窪部の幅方向の素材流動成分をより多くするので、溝状窪部端部付近における隔壁部の厚さや形状が溝状窪部の端部まで画然と成形できる。
上記液体噴射ヘッドの製造方法において、上記第1工程において第1パンチの第1傾斜面と第2傾斜面により素材に第1傾斜成形面と第2傾斜成形面を成形し、第2工程において上記第1傾斜成形面に第2パンチを圧入する場合には、突条部の長手方向端部によって流動させられる素材の量や範囲を最適化して、溝状窪部端部の成形形状を正確にもとめることができる。このような素材流動は溝状窪部端部における溝状窪部の幅方向の素材流動成分をより多くするので、溝状窪部端部付近における隔壁部の厚さや形状が溝状窪部の端部まで画然と成形できる。
上記液体噴射ヘッドの製造方法において、上記第2工程で用いる第2パンチには溝状窪部を成形する突条部と、上記溝状窪部間に配置される隔壁部を成形する空隙部とが設けられ、上記第1工程において第1パンチで素材に溝状窪部を仮成形し、上記第2工程において上記仮成形された溝状窪部に対して仕上げ成形を行う場合には、第1パンチによる仮成形で、最終形状には至らない形状の段階までまず成形しておき、その後、第2パンチで上記仮成形に引き続いて仕上げ成形が行われる。したがって、段階的にすなわち第1パンチ,第2パンチによる徐々な塑性加工が施されるので、微細な形状であっても、異常な形状になったり素材に割れが発生したりする等の問題がなく、所定どおりの加工形状が正確に求められる。さらに、このような微細な構造の加工成形としては、一般に、異方性エッチングの手法が採用されるのであるが、このような手法は加工工数が多大なものとなるので、製造原価の面で不利である。それに対して、上記の微細鍛造加工方法であれば、加工工数が大幅に削減され、原価的にも極めて有利である。さらに、各窪部の容積を均一に加工できるので、例えば、液体噴射ヘッド圧力発生室等を成形するような場合においては、液体噴射ヘッドの噴射特性を安定させる等の面で非常に有効である。
上記液体噴射ヘッドの製造方法において、上記第2工程における第2パンチの素材に対する押込み深さは、第1工程における第1パンチの素材に対する押込み深さよりも深く押込む場合には、第2パンチの押込み深さが第1パンチのそれよりも深いことにより、第1パンチによる成形の形状を確実に変形させることができ、所定の形状を確実に求めることが可能となる。
上記液体噴射ヘッドの製造方法において、上記第2パンチの突条部の長手方向の端部に面取り状の仕上げ傾斜面が形成され、この仕上げ傾斜面の第2パンチの押込み方向に対する傾斜角度は、上記第2傾斜面の傾斜角度よりも小さく設定されている場合には、仕上げの押込みストロークの段階での溝状窪部端部に向かう素材移動が、上記仕上げ傾斜面の傾斜角度が小さいことにより極力抑制されるので、溝状窪部端部付近の溝状窪部長手方向の素材の移動量も抑制されて、溝状窪部端部の形状が画然と形成される。すなわち、仕上げ傾斜面が押込まれて行く段階においても、やはり溝状窪部端部における溝状窪部の幅方向の素材流動成分をより多くするので、溝状窪部端部付近における隔壁部の厚さや形状が溝状窪部の端部まで画然と成形できる。
上記液体噴射ヘッドの製造方法において、上記第2パンチの仕上げ成形により、少なくとも上記第2仮成形面と上記仕上げ成形によって成形された仕上げ成形面とで溝状窪部の端部に仕上げ形状が形成される場合には、第1仮成形面,第2仮成形面の傾斜角度よりも小さな傾斜角度の第2パンチの仕上げ傾斜面で仕上げ加工を行うので、仕上げ傾斜面で第1仮成形面が押込まれて消滅した後においても、第2仮成形面の表面に上記仕上げ傾斜面が面接触することがなく、仕上げ傾斜面により第2仮成形面の端部の素材を押込み方向に移動させることとなる。したがって、溝状窪部端部には少なくとも第2仮成形面とそれに連続した仕上げ成形面が確実に形成され、溝状窪部端部の形状が正確に構成できる。
上記液体噴射ヘッドの製造方法において、上記第2仮成形面と上記第1仮成形面と上記仕上げ成形によって成形された仕上げ成形面とで溝状窪部の端部に仕上げ形状が形成される場合には、第1仮成形面の傾斜角度よりも小さな傾斜角度の第2パンチの仕上げ傾斜面で仕上げ加工を行うので、第1仮成形面の表面に上記仕上げ傾斜面が面接触することがなく、仕上げ傾斜面により第1仮成形面の端部の素材を押込み方向に移動させることとなる。そして、この移動により第1仮成形面を消滅させないで一部を残存させることにより、溝状窪部端部には第2仮成形面,第1仮成形面およびそれに連続した仕上げ成形面が確実に形成され、溝状窪部端部の形状が正確に構成できる。
上記液体噴射ヘッドの製造方法において、上記第2工程で用いる第2パンチは連通口を開口する穴あけパンチであり、上記第2工程は、第1工程で成形された溝状窪部に対して連通口を開口する場合には、上記連通口は傾斜成形面に対して穴あけパンチが圧入されて形成されることから、連通口の成形は、溝状窪部端部に素材移動の面でほとんど影響することなく行われ、溝状窪部端部の形状が画然と形成される。そして、傾斜成形面の表面部は素材の内部の方へ移動されることとなり、いわゆる「返り」が生じたりしない。したがって、溝状窪部間の隔壁部は溝状窪部の端部の箇所まで正確に成形される。このように、溝状窪部の端部の連通口まわりの仕上げ形状が均一にしかも「返り」のない状態で確保できるので、連通口の部分におけるインク流に乱流が発生したり気泡が停滞したりせず、インクの吐出特性が一定に維持できる。
上記液体噴射ヘッドの製造方法において、上記第1工程では、溝状窪部を成形する突条部が配列された仮加工パンチで素材に溝状窪部を仮成形した後、上記仮成形された溝状窪部に対して溝状窪部を成形する突条部が配列された仕上加工パンチで仕上げ成形を行い、上記第2工程では、上記第1工程で成形された溝状窪部に対して穴あけパンチにより連通口を開口する場合には、仮成形で最終形状には至らない形状の段階までまず成形しておき、その後、上記仮成形に引き続いて仕上げ成形が行われる。したがって、段階的に徐々な塑性加工が施されるので、微細な形状であっても、異常な形状になったり素材に割れが発生したりする等の問題がなく、所定どおりの加工形状が正確に求められる。さらに、このような微細な構造の加工成形としては、一般に、異方性エッチングの手法が採用されるのであるが、このような手法は加工工数が多大なものとなるので、製造原価の面で不利である。それに対して、上記の微細鍛造加工方法であれば、加工工数が大幅に削減され、原価的にも極めて有利である。さらに、各窪部の容積を均一に加工できるので、例えば、液体噴射ヘッド圧力発生室等を成形するような場合においては、液体噴射ヘッドの噴射特性を安定させる等の面で非常に有効である。
また、上記連通口は傾斜成形面に対して穴あけパンチが圧入されて形成されることから、連通口の成形は、溝状窪部端部に素材移動の面でほとんど影響することなく行われ、溝状窪部端部の形状が画然と形成される。そして、傾斜成形面の表面部は素材の内部の方へ移動されることとなり、いわゆる「返り」が生じたりしない。したがって、溝状窪部間の隔壁部は溝状窪部の端部の箇所まで正確に成形される。このように、溝状窪部の端部の連通口まわりの仕上げ形状が均一にしかも「返り」のない状態で確保できるので、連通口の部分におけるインク流に乱流が発生したり気泡が停滞したりせず、インクの吐出特性が一定に維持できる。
上記液体噴射ヘッドの製造方法において、上記仕上加工パンチの仕上げ成形時の素材に対する押込み深さは、仮加工パンチの仮成形時の素材に対する押込み深さよりも深く押込む場合には、仕上加工パンチの押込み深さが仮加工パンチのそれよりも深いことにより、仮加工パンチによる成形の形状を確実に変形させることができ、所定の形状を確実に求めることが可能となる。
上記液体噴射ヘッドの製造方法において、上記仮加工パンチの突条部の長手方向端部に角度の異なる面取り状の傾斜面が設けられている場合には、傾斜面の角度を選定することにより、突条部の長手方向端部によって流動させられる素材の量や範囲を最適化して、溝状窪部端部の成形形状を正確にもとめることができる。このような素材流動は溝状窪部端部における溝状窪部の幅方向の素材流動成分をより多くするので、溝状窪部端部付近における隔壁部の厚さや形状が溝状窪部の端部まで画然と成形できる。
上記液体噴射ヘッドの製造方法において、上記傾斜面は上記突条部の先端部分に近づけて配置した第1傾斜面と上記突条部の先端部分から離隔させて配置した第2傾斜面から構成され、仮加工パンチの押込み方向に対する上記第1,第2両傾斜面の傾斜角度は第1傾斜面の方が大きく設定されている場合には、傾斜角度の大きな第1傾斜面が溝状窪部端部から離隔した箇所で素材に押込まれるので、溝状窪部端部への素材の流動の影響が少ない状態で溝状窪部の初期成形が開始される。したがって、この初期段階においては溝状窪部の端部付近における長手方向の素材移動が少なく、むしろ溝状窪部の幅方向の素材移動が積極的に推進される。
その後、第1傾斜面が素材中に押込まれると、溝状窪部端部に近い側の傾斜角度の小さな第2傾斜面が素材に押込まれて行くので、今度は、溝状窪部の幅方向の素材移動よりも溝状窪部端部に向かう素材移動が行われる。この場合、第2傾斜面は傾斜角度が小さいので、溝状窪部の長手方向に対する素材の移動量が可及的に少なくとどめられることとなり、溝状窪部端部付近の素材の移動量も抑制されて、溝状窪部端部の形状が画然と形成される。すなわち、第2傾斜面が押込まれて行く段階においても、やはり溝状窪部端部における溝状窪部の幅方向の素材流動成分をより多くするので、溝状窪部端部付近における隔壁部の厚さや形状が溝状窪部の端部まで画然と成形できる。
上記液体噴射ヘッドの製造方法において、上記仕上加工パンチの突条部の長手方向の端部に面取り状の仕上げ傾斜面が形成され、この仕上げ傾斜面の仕上加工パンチの押込み方向に対する傾斜角度は、上記第2傾斜面の傾斜角度よりも小さく設定されている場合には、仕上げの押込みストロークの段階での溝状窪部端部に向かう素材移動が、上記仕上げ傾斜面の傾斜角度が小さいことにより極力抑制されるので、溝状窪部端部付近の溝状窪部長手方向の素材の移動量も抑制されて、溝状窪部端部の形状が画然と形成される。すなわち、仕上げ傾斜面が押込まれて行く段階においても、やはり溝状窪部端部における溝状窪部の幅方向の素材流動成分をより多くするので、溝状窪部端部付近における隔壁部の厚さや形状が溝状窪部の端部まで画然と成形できる。
上記液体噴射ヘッドの製造方法において、上記仮加工パンチの仮成形時に上記第1傾斜面と第2傾斜面により素材に第1仮成形面と第2仮成形面を成形し、上記仕上加工パンチの仕上げ傾斜面の先端部が上記第1仮成形面に押付けられてから仕上加工パンチで仕上げ成形を行う場合には、溝状窪部の深さ方向で見て第2仮成形面よりも深い箇所にあり、しかも溝状窪部の長手方向で見て溝状窪部端部から第2仮成形面よりも離隔した箇所にある第1仮成形面に対して仕上加工パンチの上記先端部が押付けられて塑性変形がなされる。したがって、仕上加工パンチによる仕上げ成形は、溝状窪部端部に素材移動の面でほとんど影響することなく行われ、溝状窪部端部の形状が画然と形成される。また、仕上加工パンチの仕上げ傾斜面の傾斜角度が小さく設定してあるので、第1仮成形面の表面部は素材の内部の方へ移動されることとなり、いわゆる「返り」が生じたりしない。したがって、溝状窪部間の隔壁部は溝状窪部の端部の箇所まで正確に成形される。
上記液体噴射ヘッドの製造方法において、上記仕上加工パンチの仕上げ成形により、上記第2仮成形面と上記第1仮成形面と上記仕上げ成形によって成形された仕上げ成形面とで溝状窪部の端部に仕上げ形状が形成される場合には、第1仮成形面の傾斜角度よりも小さな傾斜角度の仕上加工パンチの仕上げ傾斜面で仕上げ加工を行うので、第1仮成形面の表面に上記仕上げ傾斜面が面接触することがなく、仕上げ傾斜面により第1仮成形面の端部の素材を押込み方向に移動させることとなる。そして、この移動により第1仮成形面を消滅させないで一部を残存させることにより、溝状窪部端部には第2仮成形面,第1仮成形面およびそれに連続した仕上げ成形面が確実に形成され、溝状窪部端部の形状が正確に構成できる。
上記液体噴射ヘッドの製造方法において、上記第2工程では、上記第1工程で成形された溝状窪部の端部に形成された仕上げ形状における第1仮成形面、第2仮成形面、仕上げ成形面のいずれかに対して穴あけパンチを圧入することにより連通口を開口する場合には、上記連通口は傾斜成形面に対して穴あけパンチが圧入されて形成されることから、連通口の成形は、溝状窪部端部に素材移動の面でほとんど影響することなく行われ、溝状窪部端部の形状が画然と形成される。そして、傾斜成形面の表面部は素材の内部の方へ移動されることとなり、いわゆる「返り」が生じたりしない。したがって、溝状窪部間の隔壁部は溝状窪部の端部の箇所まで正確に成形される。このように、溝状窪部の端部の連通口まわりの仕上げ形状が均一にしかも「返り」のない状態で確保できるので、連通口の部分におけるインク流に乱流が発生したり気泡が停滞したりせず、インクの吐出特性が一定に維持できる。
さらに、上記目的を達成するため、本発明の液体噴射ヘッドは、圧力発生室となる溝状窪部が列設されると共に、各溝状窪部の一端に板厚方向に貫通する連通口を形成した金属製の圧力発生室形成板と、上記連通口と対応する位置にノズル開口を穿設した金属製のノズルプレートと、溝状窪部の開口面を封止する金属材製の封止板とを備え、圧力発生室形成板における溝状窪部側に封止板を、反対側にノズルプレートをそれぞれ接合してなる液体噴射ヘッドであって、上記溝状窪部の長手方向端部に傾斜部が設けられ、上記傾斜部に連続した成形面が上記傾斜部と異なる傾斜角度で形成されていることを特徴とする。
このように、上記溝状窪部の長手方向端部に傾斜部が設けられ、上記傾斜部に連続した成形面が上記傾斜部と異なる傾斜角度で形成されていることから、パンチの押し込み時において金属が円滑に流れ、極く微細な形状の溝状窪部であっても、端部の寸法精度を高めることができ、隔壁部の高さを十分確保することができる。また、圧力発生室の端部において液体は、傾斜面に沿って淀みなく流れる。このため、上記端部における気泡の停滞を防止できるし、圧力発生室内に入り込んでしまった気泡を液体の流れに乗せて確実に排出することができる。
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記成形面の傾斜角度は、傾斜部の傾斜角度よりも急な傾斜角度である場合には、圧力発生室の端部における気泡の停滞を有効に防止できるし、圧力発生室内に入り込んでしまった気泡を液体の流れに乗せて確実に排出することができる。
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記傾斜部は、角度の異なる2つの傾斜面から構成されている場合には、圧力発生室の端部において液体は、2つの傾斜面から成形面に沿って淀みなく流れるため、上記端部における気泡の停滞を防止できるし、圧力発生室内に入り込んでしまった気泡を液体の流れに乗せて確実に排出することができる。
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記角度の異なる2つの傾斜面は、溝状窪部の底部に近い第1傾斜面と、溝状窪部の底部から離隔した第2傾斜面であり、上記第1傾斜面に連続して成形面が形成されている場合には、圧力発生室の端部において液体は、第1傾斜面、第2傾斜面および成形面に沿って淀みなく流れるため、この端部における気泡の停滞を防止できるし、圧力発生室内に入り込んでしまった気泡を液体の流れに乗せて確実に排出することができる。
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記第1傾斜面の傾斜よりも第2傾斜面の方が急な傾斜である場合には、窪部底部に近い傾斜面が比較的緩やかな勾配になるので、第2パンチの押込み時に当該傾斜面の少なくとも一部に打ち込むときの第2パンチに与える負担が少ない。このため、第2パンチの耐久性を維持しつつ、端面の傾斜下端に隣接させて第2パンチを押込める。また、第2パンチを傾斜面に対して打ち込むため、第1パンチにより形成された傾斜面と第2パンチにより形成された傾斜面との間に窪部底部と平行な平面が生じないため、圧力発生室内に入り込んだ気泡の停滞が防止される。さらに、端面における窪部開口に近い部分については傾斜が急峻になるので、窪部の端部における容積を可及的に少なくすることができ、液体の淀みを少なくすることができる。
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記傾斜部に連続した成形面が、圧力発生室の端部形状を形成する面である場合には、圧力発生室の端部における気泡の停滞を防止でき、圧力発生室内に入り込んでしまった気泡を液体の流れに乗せて確実に排出することができる。
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記傾斜部に連続した成形面が、上記連通口である場合にも、圧力発生室の端部から連通口にわたる部分における気泡の停滞を防止でき、圧力発生室内に入り込んでしまった気泡を液体の流れに乗せて確実に排出することができる。
また、本発明の請求項43に記載のものは、圧力発生室を通ってノズル開口に至る一連の液体流路を流路ユニット内に形成し、圧力発生素子によって圧力発生室内の液体に圧力変動を生じさせてノズル開口から液滴を吐出可能に構成した液体噴射ヘッドにおいて、
前記流路ユニットは、
圧力発生室となる複数の溝状窪部を溝幅方向に列設すると共に、各溝状窪部の長手方向一端側の底部から板厚方向を貫通する連通口を形成した金属製の圧力発生室形成板と、
この圧力発生室形成板の一方の表面に接合され、前記溝状窪部の開口を封止する封止板と、
前記ノズル開口が穿設されると共に圧力発生室形成板の他方の表面に接合されるノズルプレートとを備え、
上記溝状窪部の長手方向端部に傾斜部が設けられ、上記傾斜部にかかるように連通口が形成されていることを特徴とする液体噴射ヘッドである。
請求項44記載のものは、上記傾斜部は、溝状窪部における連通口側の端面が窪部開口に向けて拡開する傾斜面によって構成されたものであり、該連通口側端面の傾斜下端に隣接させて上記連通口を開設した請求項43記載の液体噴射ヘッドである。
請求項45に記載のものは、上記連通口側端面の窪部底部に対する起立角度を45度以上90度未満に設定したことを特徴とする請求項44に記載の液体噴射ヘッドである。
ここで、「起立角度」とは、溝長手方向の外側に向けて該窪部底部と平行に設定された基準線からの起立角度を意味する。
請求項46に記載のものは、上記連通口側端面を、窪部底部に対する起立角度が異なる複数段の傾斜面で構成したことを特徴とする請求項43または請求項45に記載の液体噴射ヘッドである。
請求項47に記載のものは、上記連通口側端面を、窪部底部から離隔する程に該窪部底部に対する起立角度が急峻となる複数段の傾斜面で構成したことを特徴とする請求項44または請求項45に記載の液体噴射ヘッドである。
請求項48に記載のものは、上記連通口側端面を、窪部底部から離隔する程に該窪部底部に対する起立角度が急峻となる彎曲傾斜面で構成したことを特徴とする請求項44または請求項45に記載の液体噴射ヘッドである。
請求項49に記載のものは、上記連通口側端面の傾斜上端から上記連通口の一端側開口縁までの距離を、上記溝状窪部の深さよりも短くしたことを特徴とする請求項44〜請求項48のいずれかに記載の液体噴射ヘッドである。
請求項50に記載のものは、上記溝状窪部の長手方向他端側に位置する供給側端面を、窪部開口に向けて拡開する傾斜面によって構成したことを特徴とする請求項44〜請求項49のいずれかに記載の液体噴射ヘッドである。
請求項51に記載のものは、上記供給側端面の窪部底部に対する起立角度を45度以上90度未満に設定したことを特徴とする請求項50に記載の液体噴射ヘッドである。
請求項52に記載のものは、上記供給側端面を、窪部底部に対する起立角度が異なる複数段の傾斜面で構成したことを特徴とする請求項50または請求項51に記載の液体噴射ヘッドである。
請求項53に記載のものは、上記供給側端面を、窪部底部から離隔する程に該窪部底部に対する起立角度が急峻となる複数段の傾斜面で構成したことを特徴とする請求項50または請求項51に記載の液体噴射ヘッドである。
請求項54に記載のものは、上記供給側端面を、窪部底部から離隔する程に該窪部底部に対する起立角度が急峻となる彎曲傾斜面で構成したことを特徴とする請求項50または請求項51に記載の液体噴射ヘッドである。
図1は、インクジェット式記録ヘッドの分解斜視図である。
図2は、インクジェット式記録ヘッドの断面図である。
図3は(A)及び(B)は、振動子ユニットを説明する図である。
図4は、圧力発生室形成板の平面図である。
図5は、圧力発生室形成板の説明図であり、(a)は図4におけるX部分の拡大図、(b)は(a)におけるA−A断面図、(c)は(a)におけるB−B断面図である。
図6は、弾性板の平面図である。
図7は、弾性板の説明図であり、(a)は図6におけるY部分の拡大図、(b)は(a)におけるC−C断面図である。
図8(a)及び(b)は、溝状窪部の形成に用いる雄型を説明する図である。
図9(a)及び(b)は、溝状窪部の形成に用いる雌型を説明する図である。
図10(a)〜(c)は、溝状窪部の形成を説明する模式図である。
図11は、第1パンチと素材との関係を示す斜視図である。
図12は、本発明の第1の実施の形態における、第1パンチ,第2パンチを示す図であり、(A)は第1パンチが素材に押込まれた状態を示す断面図、(B)は第2パンチが素材に押込まれた状態を示す断面図、(C)は第1パンチの側面図、(D)は第2パンチの側面図、(E)は(C)の(E)−(E)断面図、(F)は(D)の(F)−(F)断面図である。
図13は、仮成形パンチ,仕上げ成形パンチの突条部端部の形状を示す斜視図である。
図14は、各突条部端部の傾斜面と素材の変形状態を示す縦断側面図である。
図15は、本発明の第2の実施の形態を示す図であり、(A)は第1工程で溝状窪部を成形する状態、(B)および(C)は第2工程で連通口を成形する状態である。
図16は、本発明の第3の実施の形態を示す図であり、(A)および(B)は第1工程で溝状窪部を成形する状態、(C)および(D)は第2工程で連通口を成形する状態である。
図17は、本発明の第4の実施の形態における、溝状窪部を説明する図であり、(a)は窪部開口側から見た図、(b)は溝長手方向に切断した断面図、(c)は(b)におけるC−C断面図である。
図18は、溝状窪部形成工程を説明する図であり、(a)〜(c)は1回目のパンチングを説明する図である。
図19は、溝状窪部形成工程を説明する図であり、(a)〜(c)は2回目のパンチングを説明する図である。
図20は、連通口形成工程を説明する図であり、(a)〜(d)は上半部分の形成工程を説明する図である。
図21は、連通口形成工程を説明する図であり、(a)〜(c)は下半部分の形成工程を説明する図である。
図22は、本発明の第5の実施形態を説明する図である。
図23(a)〜(d)はそれぞれ、連通口側端面の変形例を説明する図である。
図24は、圧力発生素子として発熱素子を用いた記録ヘッドへの適用例を説明する図である。
図25(a),(b)は、従来技術を説明する図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明において製造の対象となっている液体噴射ヘッドは、上述のように種々な液体を対象にして機能させることができ、図示の実施の形態においてはその代表的な事例として、この液体噴射ヘッドをインクジェット式記録ヘッドに適用した例を示している。なお、本発明は他の液体噴射ヘッド、例えば、色材噴射ヘッド,電極材噴射ヘッド,生体有機物噴射ヘッド等にも同様に適用できる。
図1及び図2に示すように、記録ヘッド1は、ケース2と、このケース2内に収納される振動子ユニット3と、ケース2の先端面に接合される流路ユニット4と、先端面とは反対側のケース2の取付面上に配置される接続基板5と、ケース2の取付面側に取り付けられる供給針ユニット6等から概略構成されている。
上記の振動子ユニット3は、図3に示すように、櫛歯状の圧電振動子10からなる圧電振動子群7と、この圧電振動子群7が接合される固定板8と、圧電振動子群7に駆動信号を供給するためのフレキシブルケーブル9とから概略構成される。
圧電振動子群7は、列状に形成された複数の圧電振動子10…を備える。各圧電振動子10…は、圧力発生素子の一種であり、電気機械変換素子の一種でもある。これらの各圧電振動子10…は、列の両端に位置する一対のダミー振動子10a,10aと、これらのダミー振動子10a,10aの間に配置された複数の駆動振動子10b…とから構成されている。そして、各駆動振動子10b…は、例えば、50μm〜100μm程度の極めて細い幅の櫛歯状に切り分けられ、この例では1ユニットあたり180本設けられる。また、ダミー振動子10aは、駆動振動子10bよりも十分広い幅であり、駆動振動子10bを衝撃等から保護する保護機能と、振動子ユニット3を所定位置に位置付けるためのガイド機能とを有する。
各圧電振動子10…は、固定端部を固定板8上に接合することにより、自由端部を固定板8の先端面よりも外側に突出させている。すなわち、各圧電振動子10…は、いわゆる片持ち梁の状態で固定板8上に支持されている。そして、各圧電振動子10…の自由端部は、圧電体と内部電極とを交互に積層して構成されており、対向する電極間に電位差を与えることで素子長手方向に伸縮する。
フレキシブルケーブル9は、各圧電振動子10に駆動信号を供給するための可撓性を有するテープ状の配線部材である。上記フレキシブルケーブル9は、固定板8とは反対側となる固定端部の側面で圧電振動子10と電気的に接続されている。そして、このフレキシブルケーブル9の表面には、圧電振動子10の駆動等を制御するための制御用IC11が実装されている。また、各圧電振動子10…を支持する固定板8は、圧電振動子10からの反力を受け止め得る剛性を備えた板状部材であり、ステンレス板等の金属板が好適に用いられる。
上記のケース2は、例えば、エポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂で成型されたブロック状部材である。ここで、ケース2を熱硬化性樹脂で成型しているのは、この熱硬化性樹脂は、一般的な樹脂よりも高い機械的強度を有しており、線膨張係数が一般的な樹脂よりも小さく、周囲の温度変化による変形が小さいからである。そして、このケース2の内部には、振動子ユニット3を収納可能な収納空部12と、インクの流路の一部を構成するインク供給路13とが形成されている。また、ケース2の先端面には、共通インク室(リザーバ)14となる先端凹部15が形成されている。
収納空部12は、振動子ユニット3を収納可能な大きさの空部である。この収納空部12の先端側部分はケース内壁が側方に向けて部分的に突出しており、この突出部分の上面が固定板当接面として機能する。そして、振動子ユニット3は、各圧電振動子10の先端が収納空部12の先端側開口から臨む状態で収納空部12内に収納される。各圧電振動子24…の先端面が開口から臨む状態で収納空部17内に収納され固定される。この収納状態において、固定板8の先端面は固定板当接面に当接した状態で接着されている。そして、この収納状態で各圧電振動子10…の先端面は、流路ユニット4の島部47に接合される。従って、圧電振動子10が伸縮することで島部47が押されたり引っ張られたりしてダイヤフラム部44が変形する。
先端凹部15は、ケース2の先端面を部分的に窪ませることにより作製されている。この先端凹部15は、後述するように流路ユニット4の弾性板32によって封止されてリザーバ(共通インク室)14となる。そして、インク供給路13の取付面側の端部は、この先端凹部15内に臨んでいる。本実施形態の先端凹部15は、収納空部12よりも左右外側に形成された略台形状の凹部であり、収納空部12側に台形の下底が位置するように形成されている。
インク供給路13は、ケース2の高さ方向を貫通するように形成され、先端が先端凹部15に連通している。また、インク供給路13における取付面側の端部は、取付面から突設した接続口16内に形成されている。
上記の接続基板5は、記録ヘッド1に供給する各種信号用の電気配線が形成されると共に、信号ケーブルを接続可能なコネクタ17が取り付けられた配線基板である。そして、この接続基板5は、ケース2における取付面上に配置され、フレキシブルケーブル9の電気配線が半田付け等によって接続される。また、コネクタ17には、制御装置(図示せず)からの信号ケーブルの先端が挿入される。
上記の供給針ユニット6は、インク(液体状のインクであり、本発明の液体の一種である。)を貯留したインクカートリッジ(図示せず)が接続される部分であり、針ホルダ18と、インク供給針19と、フィルタ20とから概略構成される。
インク供給針19は、インクカートリッジ内に挿入される部分であり、インクカートリッジ内に貯留されたインクを導入する。このインク供給針19の先端部は円錐状に尖っており、インクカートリッジ内に挿入し易くなっている。また、この先端部には、インク供給針19の内外を連通するインク導入孔が複数穿設されている。そして、本実施形態の記録ヘッド1は2種類のインクを吐出可能であるため、このインク供給針19を2本備えている。
針ホルダ18は、インク供給針19を取り付けるための部材であり、その表面にはインク供給針19の根本部分を止着するための台座21を2本分横並びに形成している。この台座21は、インク供給針19の底面形状に合わせた円形状に作製されている。また、台座底面の略中心には、針ホルダ18の板厚方向を貫通するインク排出口22を形成している。また、この針ホルダ18には、フランジ部を側方に延出している。
フィルタ20は、埃や成型時のバリ等のインク内の異物の通過を阻止する部材であり、例えば、目の細かな金属網によって構成される。このフィルタ20は、台座21内に形成されたフィルタ保持溝に接着されている。
そして、この供給針ユニット6は、図2に示すように、ケース2の取付面上に配設される。この配設状態において、供給針ユニット6のインク排出口22とケース2の接続口16とは、パッキン23を介して液密状態で連通する。
このような構成の記録ヘッド1では、インクカートリッジに貯留されたインクをインク供給針19を介してインク供給路13に導く。このインクは、共通インク室14、圧力発生室29、及び、連通口34を満たす。そして、圧電振動子10が素子長手方向に伸縮すると、ダイヤフラム部44が変形して圧力発生室29の容積が変動する。この容積変動によって圧力発生室29内に貯留されているインクに圧力変動が生じ、ノズル開口48からインク滴が吐出される。例えば、中間容積にある圧力発生室29を一旦膨張させた後に急激に収縮させると、膨張に伴う減圧によって共通インク室14からのインクが圧力発生室29に供給され、収縮に伴う加圧によってノズル開口48からインク滴が吐出される。
次に、上記の流路ユニット4について説明する。この流路ユニット4は、圧力発生室形成板30の一方の面にノズルプレート31を、圧力発生室形成板30の他方の面に弾性板32を接合した構成である。
上記流路ユニット4は、インク供給口45(液体供給口の一種)から圧力発生室29を通ってノズル開口48に至る一連のインク流路(本発明における液体流路の一種)を内部に形成した部材である。この流路ユニット4は、圧力発生室29となる溝状窪部33、及び、連通口34を形成した金属製の圧力発生室形成板30と、複数のノズル開口48…を形成した金属製のノズルプレート31と、ダイヤフラム部44及びインク供給口45を形成した弾性板32(本発明における封止板の一種)とを備えている。
この流路ユニット4は、圧力発生室形成板30の一方の表面に弾性板32を接合し、他方の表面にノズルプレート31を接合することで作製されている。ここで、各部材32,30,31の接合には例えばシート状の接着剤が好適に用いられる。そして、各部材を接合することにより、溝状窪部33の開口(以下、窪部開口という。)が弾性板32のダイヤフラム部44によって封止されて圧力発生室29が区画形成される。この圧力発生室29の一端部とノズル開口48との間は連通口34によって連通され、圧力発生室29の他端部にはインク供給口45が臨んでいる。
そして、この流路ユニット4は、弾性板32をケース2側に向けた状態でケース先端面に接合される。例えば、シート状の接着剤によって接着される。これにより、共通インク室14が区画形成されると共に、共通インク室14と圧力発生室29とがインク供給口45を通じて連通する。
圧力発生室形成板30は、図4に示すように、溝状窪部33と、連通口34と、逃げ凹部35とを形成した金属製の板状部材である。本実施形態では、この圧力発生室形成板30を、厚さ0.35mmのニッケル製の基板を塑性加工することで作製している。
ここで、基板としてニッケルを選定した理由について説明する。第1の理由は、このニッケルの線膨張係数が、ノズルプレート31や弾性板32の主要部を構成する金属(本実施形態では後述するようにステンレス)の線膨張係数と略等しいからである。すなわち、流路ユニット4を構成する圧力発生室形成板30、弾性板32及びノズルプレート31の線膨張係数が揃うと、これらの各部材を加熱接着した際において、各部材は均等に膨張する。このため、膨張率の相違に起因する反り等の機械的ストレスが発生し難い。その結果、接着温度を高温に設定しても各部材を支障なく接着することができる。また、記録ヘッド1の作動時に圧電振動子10が発熱し、この熱によって流路ユニット4が加熱されたとしても、流路ユニット4を構成する各部材30,31,32が均等に膨張する。このため、記録ヘッド1の作動に伴う加熱と作動停止に伴う冷却とが繰り返し行われても、流路ユニット4を構成する各部材30,31,32に剥離等の不具合は生じ難い。
第2の理由は、防錆性に優れているからである。すなわち、この種の記録ヘッド1では水性インクが好適に用いられているので、長期間に亘って水が接触しても錆び等の変質が生じないことが肝要である。その点、ニッケルは、ステンレスと同様に防錆性に優れており、錆び等の変質が生じ難い。
第3の理由は、展性に富んでいるからである。すなわち、圧力発生室形成板30を作製するにあたり、本実施形態では後述するように塑性加工(例えば、鍛造加工)で行っている。そして、圧力発生室形成板30に形成される溝状窪部33や連通口34は、極めて微細な形状であり、且つ、高い寸法精度が要求される。そして、基板にニッケルを用いると、展性に富んでいることから塑性加工であっても溝状窪部33や連通口34を高い寸法精度で形成することができる。
なお、圧力発生室形成板30に関し、上記した各要件、すなわち、線膨張係数の要件、防錆性の要件、及び、展性の要件を満たすならば、ニッケル以外の金属で構成してもよい。
溝状窪部33は、圧力発生室29となる溝状の窪部であり、図5に拡大して示すように、直線状の溝によって構成されている。本実施形態では、幅約0.1mm,長さ約1.5mm,深さ約0.1mmの溝を溝幅方向に180個列設している。この溝状窪部33の底面は、深さ方向(すなわち、奥側)に進むに連れて縮幅されてV字状に窪んでいる。底面をV字状に窪ませたのは、隣り合う圧力発生室29,29同士を区画する隔壁部28の剛性を高めるためである。すなわち、底面をV字状に窪ませることにより、隔壁部28の根本部分(底面側の部分)の肉厚が厚くなって隔壁部28の剛性が高まる。
そして、隔壁部28の剛性が高くなると、隣の圧力発生室29からの圧力変動の影響を受け難くなる。すなわち、隣の圧力発生室29からのインク圧力の変動が伝わり難くなる。また、底面をV字状に窪ませることにより、溝状窪部33を塑性加工によって寸法精度よく形成することもできる(後述する)。そして、このV字の角度は、加工条件によって規定されるが、例えば90度前後である。さらに、隔壁部28における先端部分の肉厚が極く薄いことから、各圧力発生室29…を密に形成しても必要な容積を確保することができる。
また、本実施形態における溝状窪部33に関し、その長手方向両端部は、奥側に進むにつれて内側に下り傾斜している。すなわち、溝状窪部33の長手方向両端部は、面取形状に形成されている。このように構成したのも、溝状窪部33を塑性加工によって寸法精度よく形成するためである。塑性加工による溝状窪部33の形成工程および溝状窪部33の形状は、後に詳しく説明する。
さらに、両端部の溝状窪部33,33に隣接させてこの溝状窪部33よりも幅広なダミー窪部36を1つずつ形成している。このダミー窪部36は、インク滴の吐出に関与しないダミー圧力発生室となる溝状の窪部である。本実施形態のダミー窪部36は、幅約0.2mm,長さ約1.5mm,深さ約0.1mmの溝によって構成されている。そして、このダミー窪部36の底面は、W字状に窪んでいる。これも、隔壁部28の剛性を高めるため、及び、ダミー窪部36を塑性加工によって寸法精度よく形成するためである。
そして、各溝状窪部33…及び一対のダミー窪部36,36によって窪部列が構成される。本実施形態では、この窪部列を横並びに2列形成している。
連通口34は、溝状窪部33の一端から板厚方向を貫通する貫通孔として形成している。この連通口34は、溝状窪部33毎に形成されており、1つの窪部列に180個形成されている。本実施形態の連通口34は、開口形状が矩形状であり、圧力発生室形成板30における溝状窪部33側から板厚方向の途中まで形成した第1連通口37と、溝状窪部33とは反対側の表面から板厚方向の途中まで形成した第2連通口38とから構成されている。
そして、第1連通口37と第2連通口38とは断面積が異なっており、第2連通口38の内寸法が第1連通口37の内寸法よりも僅かに小さく設定されている。これは、連通口34をプレス加工によって作製していることに起因する。すなわち、この圧力発生室形成板30は、厚さ0.35mmのニッケル板を加工することで作製しているため、連通口34の長さは、溝状窪部33の深さを差し引いても0.25mm以上となる。そして、連通口34の幅は、溝状窪部33の溝幅よりも狭くする必要があるので、0.1mm未満に設定される。このため、連通口34を1回の加工で打ち抜こうとすると、アスペクト比の関係で雄型(ポンチ)が座屈するなどしてしまう。そこで、本実施形態では、加工を2回に分け、1回目の加工では第1連通口37を板厚方向の途中まで形成し、2回目の加工で第2連通口38を形成している。なお、この連通口34の加工手順については、後で説明する。
また、ダミー窪部36にはダミー連通口39が形成されている。このダミー連通口39は、上記の連通口34と同様に、第1ダミー連通口40と第2ダミー連通口41とから構成されており、第2ダミー連通口41の内寸法が第1ダミー連通口40の内寸法よりも小さく設定されている。
なお、本実施形態では、上記の連通口34及びダミー連通口39に関し、開口形状が矩形状の貫通孔によって構成されたものを例示したが、この形状に限定されるものではない。例えば、円形に開口した貫通孔によって構成してもよい。
逃げ凹部35は、共通インク室14におけるコンプライアンス部の作動用空間を形成する。本実施形態では、ケース2の先端凹部15と略同じ形状であって、深さが溝状窪部33と等しい台形状の凹部によって構成している。なお、逃げ凹部35を圧力発生室形成板30を板厚方向に貫通する貫通口としてもよい。
次に、上記の弾性板32について説明する。この弾性板32は、封止板の一種であり、例えば、支持板42上に弾性体膜43を積層した二重構造の複合材(本発明の金属材の一種)によって作製される。本実施形態では、支持板42としてステンレス板を用い、弾性体膜43としてPPS(ポリフェニレンサルファイド)を用いている。
図6に示すように、弾性板32には、ダイヤフラム部44と、インク供給口45と、コンプライアンス部46とを形成している。
ダイヤフラム部44は、圧電振動子10の伸縮(変形)によって変形する部分であり、圧力発生室29の一部を区画する部分である。すなわち、ダイヤフラム部44は溝状窪部33の開口面を封止し、この溝状窪部33と共に圧力発生室29を区画形成する。このダイヤフラム部44は、図7(a)に示すように、溝状窪部33に対応した細長い形状であり、溝状窪部33を封止する封止領域に対し、各溝状窪部33…毎に形成されている。具体的には、ダイヤフラム部44の幅は溝状窪部33の溝幅と略等しく設定され、ダイヤフラム部44の長さは溝状窪部33の長さよりも多少短く設定されている。長さに関し、本実施形態では、溝状窪部33の長さの約2/3に設定されている。そして、形成位置に関し、図2に示すように、ダイヤフラム部44の一端を、溝状窪部33の一端(連通口34側の端部)に揃えている。
このダイヤフラム部44は、図7(b)に示すように、溝状窪部33に対応する部分の支持板42をエッチング等によって環状に除去して弾性体膜43のみとすることで作製され、この環内には島部47を形成している。即ち、剛体部としての島部47の周辺に変形部としての弾性体膜43を設けた構成である。そして、上記したように、この島部47には圧電振動子10の先端面が接合され、圧電振動子10の伸縮によって島部47が移動すると共に弾性体膜43が変形する。この弾性体膜43の変形によって圧力発生室29が膨張或いは収縮する。
インク供給口45は、圧力発生室29と共通インク室14とを連通するための孔であり、弾性板32の板厚方向を貫通している。このインク供給口45も、ダイヤフラム部44と同様に、溝状窪部33に対応する位置に各溝状窪部33…毎に形成されている。このインク供給口45は、図2に示すように、連通口34とは反対側の溝状窪部33の他端に対応する位置に穿設されている。また、このインク供給口45の直径は、溝状窪部33の溝幅よりも十分に小さく設定されている。本実施形態では、23ミクロンの微細な貫通孔によって構成している。
このようにインク供給口45を微細な貫通孔にした理由は、圧力発生室29と共通インク室14との間に流路抵抗を付与するためである。すなわち、この記録ヘッド1では、圧力発生室29内のインクに付与した圧力変動を利用してインク滴を吐出させている。このため、インク滴を効率よく吐出させるためには、圧力発生室29内のインク圧力をできるだけ共通インク室14側に逃がさないようにすることが肝要である。この観点から本実施形態では、インク供給口45を微細な貫通孔によって構成している。
そして、本実施形態のように、インク供給口45を貫通孔によって構成すると、加工が容易であり、高い寸法精度が得られるという利点がある。すなわち、このインク供給口45は貫通孔であるため、レーザー加工による作製が可能である。従って、微細な直径であっても高い寸法精度で作製でき、作業も容易である。
コンプライアンス部46は、共通インク室14の一部を区画する部分である。すなわち、コンプライアンス部46と先端凹部15とで共通インク室14を区画形成する。このコンプライアンス部46は、先端凹部15の開口形状と略同じ台形状であり、支持板42の部分をエッチング等によって除去し、弾性体膜43だけにすることで作製される。そして、このコンプライアンス部44は、共通インク室14内のインク圧力に応じて変形し、圧力変動を吸収する作用を奏する。
なお、弾性板32を構成する支持板42及び弾性体膜43は、この例に限定されるものではない。例えば、弾性体膜43としてポリイミドを用いてもよい。また、弾性板32を金属板のみによって構成することもできる。例えば、変形し難い厚肉部と弾性を備える程度の薄さの薄肉部とを設けた金属板を用い、ダイヤフラム部44の島部47を上記の厚肉部によって構成し、ダイヤフラム部44の変形部とコンプライアンス部46とを上記の薄肉部によって構成してもよい。
次に、上記のノズルプレート31について説明する。ノズルプレート31は、ノズル開口48を列設した金属製の板状部材である。本実施形態ではステンレス板を用い、ドット形成密度に対応したピッチで複数のノズル開口48…を開設している。本実施形態では、合計180個のノズル開口48…を列設してノズル列を構成し、このノズル列を2列横並びに形成している。そして、このノズルプレート31を圧力発生室形成板30の他方の表面、すなわち、弾性板32とは反対側の表面に接合すると、対応する連通口34に各ノズル開口48…が臨む。
そして、上記の弾性板32を、圧力発生室形成板30の一方の表面、すなわち、溝状窪部33の形成面に接合すると、ダイヤフラム部44が溝状窪部33の開口面を封止して圧力発生室29が区画形成される。同様に、ダミー窪部36の開口面も封止されてダミー圧力発生室が区画形成される。また、上記のノズルプレート31を圧力発生室形成板30の他方の表面に接合するとノズル開口48が対応する連通口34に臨む。この状態で島部47に接合した圧電振動子10を伸縮すると、島部周辺の弾性体膜43が変形し、島部47が溝状窪部33側に押されたり、溝状窪部33側から離隔する方向に引かれたりする。この弾性体膜43の変形により、圧力発生室29が膨張したり収縮したりして圧力発生室29内のインクに圧力変動が付与される。
さらに、弾性板32(すなわち、流路ユニット4)をケース2に接合すると、コンプライアンス部46が先端凹部15を封止する。このコンプライアンス部46は、共通インク室14に貯留されたインクの圧力変動を吸収する。すなわち、貯留されたインクの圧力に応じて弾性体膜43が膨張したり収縮したりして変形する。そして、上記の逃げ凹部35は、弾性体膜43の膨張時において、弾性体膜43が膨らむための空間を形成する。
上記構成の記録ヘッド1は、インク供給針19から共通インク室14までの共通インク流路と、共通インク室14から圧力発生室29を通って各ノズル開口48…に至る個別インク流路とを有する。そして、インクカートリッジに貯留されたインクは、インク供給針19から導入されて共通インク流路を通って共通インク室14に貯留される。この共通インク室14に貯留されたインクは、個別インク流路を通じてノズル開口48から吐出される。
例えば、圧電振動子10を収縮させると、ダイヤフラム部44が振動子ユニット3側に引っ張られて圧力発生室29が膨張する。この膨張により圧力発生室29内が負圧化されるので、共通インク室14内のインクがインク供給口45を通って各圧力発生室29に流入する。その後、圧電振動子10を伸張させると、ダイヤフラム部44が圧力発生室形成板30側に押されて圧力発生室29が収縮する。この収縮により、圧力発生室29内のインク圧力が上昇し、対応するノズル開口48からインク滴が吐出される。
そして、この記録ヘッド1では、圧力発生室29(溝状窪部33)の底面がV字状に窪んでいる。このため、隣り合う圧力発生室29,29同士を区画する隔壁部28は、その根本部分の肉厚が先端部分の肉厚よりも厚く形成される。これにより、隔壁部28の剛性を従来よりも高めることができる。従って、インク滴の吐出時において、圧力発生室29内にインク圧力の変動が生じたとしても、その圧力変動を隣の圧力発生室29に伝わり難くすることができる。その結果、所謂隣接クロストークを防止でき、インク滴の吐出を安定化できる。
また、本実施形態では、共通インク室14と圧力発生室29とを連通するインク供給口45を、弾性板32の板厚方向を貫通する微細孔によって構成したので、レーザー加工等によって高い寸法精度が容易に得られる。これにより、各圧力発生室29…へのインクの流入特性(流入速度や流入量等)を高いレベルで揃えることができる。さらに、レーザー光線によって加工を行った場合には、加工も容易である。
また、本実施形態では、列端部の圧力発生室29,29に隣接させてインク滴の吐出に関与しないダミー圧力発生室(すなわち、ダミー窪部36と弾性板32とによって区画される空部)を設けたので、これらの両端の圧力発生室29,29に関し、片側には隣りの圧力発生室29が形成され、反対側にはダミー圧力発生室が形成されることになる。これにより、列端部の圧力発生室29,29に関し、その圧力発生室29を区画する隔壁の剛性を、列途中の他の圧力発生室29…における隔壁の剛性に揃えることができる。その結果、一列全ての圧力発生室29のインク滴吐出特性を揃えることができる。
さらに、このダミー圧力発生室に関し、列設方向側の幅を各圧力発生室29…の幅よりも広くしている。換言すれば、ダミー窪部36の幅を溝状窪部33の幅よりも広くしている。これにより、列端部の圧力発生室29と列途中の圧力発生室29の吐出特性をより高い精度で揃えることができる。
さらに、本実施形態では、ケース2の先端面を部分的に窪ませて先端凹部15を形成し、この先端凹部15と弾性板32とにより共通インク室14を区画形成しているので、共通インク室14を形成するための専用部材が不要であり、構成の簡素化が図れる。また、このケース2は樹脂成型によって作製されているので、先端凹部15の作製も比較的容易である。
次に、上記記録ヘッド1の製造方法について説明する。なお、この製造方法では、上記の圧力発生室形成板30の製造工程に特徴を有しているので、圧力発生室形成板30の製造工程を中心に説明することにする。なお、この圧力発生室形成板30は、順送り型による鍛造加工によって作製される。また、圧力発生室形成板30の素材として使用する帯板は、上記したようにニッケル製である。
圧力発生室形成板30の製造工程は、溝状窪部33を形成する溝状窪部形成工程と、連通口34を形成する連通口形成工程とからなり、順送り型によって行われる。なお、溝状窪部33の長手方向端部の成形については、後述する。
溝状窪部形成工程では、図8に示す雄型51と図9に示す雌型52とを用いる。この雄型51は、溝状窪部33を形成するための金型である。この雄型には、溝状窪部33を形成するための突条部53を、溝状窪部33と同じ数だけ列設してある。また、列設方向両端部の突条部53に隣接させてダミー窪部36を形成するためのダミー突条部(図示せず)も設ける。突条部53の先端部分53aは先細りした山形とされており、例えば図8(b)に示すように、幅方向の中心から45度程度の角度で面取りされている。すなわち、突条部53の先端に形成した山形の斜面により楔状の先端部分53aが形成されている。これにより、長手方向から見てV字状に尖っている。また、先端部分53aにおける長手方向の両端は、図8(a)に示すように、45度程度の角度で面取りしてある。このため、突条部53の先端部分53aは、三角柱の両端を面取りした形状となっている。
また、雌型52には、その上面に筋状突起54が複数形成されている。この筋状突起54は、隣り合う圧力発生室29,29同士を区画する隔壁の形成を補助するものであり、溝状窪部33,33同士の間に位置する。この筋状突起54は四角柱状であり、その幅は、隣り合う圧力発生室29,29同士の間隔(隔壁の厚み)よりも若干狭く設定されており、高さは幅と同程度である。また、筋状突起54の長さは溝状窪部33(突条部53)の長さと同程度に設定されている。
そして、溝状窪部形成工程では、まず、図10(a)に示すように、雌型52の上面に素材であるとともに圧力発生室形成板である帯板55を載置し、帯板55の上方に雄型51を配置する。次に、図10(b)に示すように、雄型51を下降させて突条部53の先端部を帯板55内に押し込む。このとき、突条部53の先端部分53aをV字状に尖らせているので、突条部53を座屈させることなく先端部分53aを帯板55内に確実に押し込むことができる。この突条部53の押し込みは、図10(c)に示すように、帯板55の板厚方向の途中まで行う。
突条部53の押し込みにより、帯板55の一部分が流動し、溝状窪部33が形成される。ここで、突条部53の先端部分53aがV字状に尖っているので、微細な形状の溝状窪部33であっても、高い寸法精度で作製することができる。すなわち、先端部分53aで押された部分が円滑に流れるので、形成される溝状窪部33は突条部53の形状に倣った形状に形成される。このときに、先端部分53aで押し分けられるようにして流動した素材は、突条部53のあいだに設けられた空隙部53b内に流入し隔壁部28が成形される。さらに、先端部分53aにおける長手方向の両端も面取りしてあるので、当該部分で押圧された帯板55も円滑に流れる。従って、溝状窪部33の長手方向両端部についても高い寸法精度で作製できる。
また、突条部53の押し込みを板厚方向の途中で止めているので、貫通孔として形成する場合よりも厚い帯板55を用いることができる。これにより、圧力発生室形成板30の剛性を高めることができ、インク滴の吐出特性の向上が図れる。また、圧力発生室形成板30の取り扱いも容易になる。
また、突条部53で押圧されたことにより、帯板55の一部は隣り合う突条部53,53の空間内に隆起する。ここで、雌型52に設けた筋状突起54は、突条部53,53同士の間に対応する位置に配置されているので、この空間内への帯板55の流れを補助する。これにより、突条部53間の空間に対して効率よく帯板55を導入することができ、隆起部を高く形成できる。
本発明の前提となる溝状窪部33の成形は、基本的には上述のとおりである。
上記前提のもとに、本発明の第1の実施の形態を説明する。
ここで、溝状窪部33の成形精度、とりわけ溝状窪部33の長手方向端部における成形処理が隔壁部28の端部付近を画然と成形するために重要となる。このような要請に応えるために、本発明では上述の加工工程を、仮成形工程(本発明の第1工程の一態様)と仕上げ成形工程に分割するとともに、突条部53の端部の面取り形状を、上記仮成形工程と仕上げ成形工程(本発明の第2工程の一態様)に適合した特殊な形状としている。
図11〜図14は上記のような微細鍛造加工方法,液体噴射ヘッドの製造方法および液体噴射ヘッドの実施の形態を示す。なお、すでに説明された部位と同じ機能を果たす部位については、同一の符号を図中に記載してある。
なお、前述の雄型51および雌型52により帯板(素材)55に塑性加工を行うときには、常温の温度条件下であり、また、以下に説明する塑性加工においても同様に常温の温度条件で塑性加工を行っている。
仮成形用の雄型51aすなわち第1パンチに、多数の仮成形パンチ51bが配列されている。溝状窪部33を成形するために、この仮成形パンチ51bを細長く変形して、突条部53cとされている。また、隔壁部28を成形するために、上記仮成形パンチ51bのあいだに空隙部53b(図8,図10参照)が設けられている。上記第1パンチ51aが素材である圧力発生室形成板55に押込まれた状態が、図12(A)に示してある。
一方、図11のような斜視図の形態では図示していないが、図12(B)に示すように、仕上げ成形用の雄型51cすなわち第2パンチに、多数の仕上げ成形パンチ51dが上記仮成形パンチ51bと同様にして配列されている。溝状窪部33を仕上げ成形するために、この仕上げ成形パンチ51dを細長く変形して、突条部53dとされている。また、隔壁部28を成形するために、上記仕上げ成形パンチ51dのあいだに空隙部53e(図示されていない)が設けられている。上記第2パンチ51cが素材である圧力発生室形成板55に押込まれた状態が、図12(B)に示してある。図12(B)に符号Sで示すように、第2パンチ51cの押込み深さは、第1パンチ51aの押込み深さよりも深さSだけ深く設定されている。
上記第1パンチ51a,第2パンチ51cの各突条部53c,53dは、それらの幅と長さが略等しく設定されている。
上記第1パンチ51aの突条部53cの長手方向端部には、角度の異なる面取り状の傾斜面が配置されている。この傾斜面は、先端部分53aに近づけて配置した第1傾斜面63と先端部分53aから離隔させて配置した第2傾斜面64が図13(A)に示すように連続して設けられている。図14(A)に示すように、第1パンチ51aの押込み方向(押込み方向線L)に対する第1傾斜面63の傾斜角度をθ1で表し、同じく第2傾斜面64の傾斜角度をθ2で表してあり、両角度の大小関係はθ1>θ2とされている。
一方、仕上げ成形用の第2パンチ51cには、突条部53dの長手方向端部に面取り状の仕上げ傾斜面65が設けられ、図14(B)に2点鎖線で示すように、第2パンチ51cの押込み方向(押込み方向線L)に対する仕上げ傾斜面65の傾斜角度をθ3で表し、θ2>θ3の大小関係とされている。したがって、第1傾斜面63,第2傾斜面64,仕上げ傾斜面65の各傾斜角度は、θ1>θ2>θ3なる大小関係となる。なお、第1傾斜面63,第2傾斜面64,仕上げ傾斜面65は、図13(A)(B)に示すように、平坦な面で構成され、各突条部53c,53dの厚さ方向と平行な向きに配置されている。
第1パンチ51aがニッケル製の素材55に仮成形として押込まれ、その後、第1パンチ51aが後退させられると、図14(B)等に示すように、第1仮成形面63Aと第2仮成形面64Aが成形される。上記仕上げ傾斜面65と先端部分53aの交わっている箇所が、仕上げ傾斜面65の先端部66である。第2パンチ51cが仕上げストロークで押込まれてきたときには、上記先端部66がまず最初に上記第1仮成形面63Aに押付けられるように、第1仮成形面63Aと先端部との相対位置が設定されている(図14(B)参照)。
つぎに、上記の第1パンチ51a,第2パンチ51cの素材55に対する加工動作を説明する。
まず、第1パンチ51aによる仮成形で、最終形状には至らない形状の段階までまず成形しておき、その後、第2パンチ51cで上記仮成形に引き続いて仕上げ成形が行われる。したがって、段階的にすなわち第1パンチ51a,第2パンチ51cによる徐々な塑性加工が施されるので、微細な形状であっても、異常な形状になったり素材に割れが発生したりする等の問題がなく、所定どおりの加工形状が正確に求められる。さらに、このような微細な構造の加工成形としては、一般に、異方性エッチングの手法が採用されるのであるが、このような手法は加工工数が多大なものとなるので、製造原価の面で不利である。それに対して、上記の微細鍛造加工方法であれば、加工工数が大幅に削減され、原価的にも極めて有利である。さらに、各窪部の容積を均一に加工できるので、例えば、液体噴射ヘッド圧力発生室等を成形するような場合においては、液体噴射ヘッドの噴射特性を安定させる等の面で非常に有効である。
上記の仮成形の工程において、第1パンチ51aが素材55に押付けられると、仮成形パンチ51b間の空隙部53bに素材55が流入し隔壁部28が仮成形される。それに引続いた仕上げ成形の工程において、第2パンチ51cに配列された仕上げ成形パンチ51d間の空隙部53eに素材55が流入し隔壁部28が仕上げ成形される。この隔壁部28の成形においても、第1パンチ51aによる仮成形で、最終形状には至らない隔壁部28の形状の段階までまず仮成形しておき、その後、第2パンチ51cで上記仮成形に引き続いて隔壁部28の仕上げ成形が行われる。したがって、段階的にすなわち第1パンチ51a,第2パンチ51cによる徐々な塑性加工が施されるので、肉厚の薄い隔壁部28であっても、異常な形状になったり素材に割れが発生したりする等の問題がなく、所定どおりの加工形状が正確に求められる。
上記の成形動作において、図12(B)に示すように、第2パンチ51cの仕上げ成形時の素材55に対する押込み深さは、第1パンチ51aの仮成形時の素材55に対する押込み深さよりも深さSだけ深く押込まれるように、第2パンチ51cの動作ストロークが設定されている。そして、第1パンチ51aの仮成形パンチ51bと第2パンチ51cの仕上げ成形パンチ51dが平行に配列された突条部53c,53dの状態で素材55に押込まれる。さらに、第1パンチ51aと第2パンチ51cの各突条部53c,53dの幅と長さは略等しく設定きれた状態で両パンチの押し込みがなされる。
したがって、突条部53c,53dにより上記窪部が平行に配列された溝状窪部33として成形され、仕上げ成形における第2パンチ51cの押込み深さが第1パンチ51aのそれよりも深いことにより、第1パンチ51aによる仮成形の形状を確実に変形させて仕上げ成形に転じることができる。また、第1パンチ51aの仮成形に引き続いた第2パンチ51cの仕上げ成形が、略等しくされた寸法の各突条部53c,53dによって行われるので、仮成形で成形された形状は、それが異常に変形したりすることがなく、仕上げ成形へと移行することができて、最終的に精密な溝状窪部33がえられる。
一方、第2パンチ51cの突条部53d間のピッチは、第1パンチ51aの突条部53c間のピッチよりも大きく設定されている。すなわち、第1パンチ51aの突条部53cにより加圧成形された素材55は、第1パンチ51aを素材55から後退させると、仮成形されて解放された素材の各部寸法が若干大きくなる現象がある。このような現象にともなって第1パンチ51aで成形された溝状窪部33のピッチも第1パンチ51aの突条部53cのピッチよりも若干大きくなる。そこで、このように大きくなった溝状窪部33のピッチに合わせた突条部53d間ピッチを第2パンチ51cに設定しておくことにより、仮成形寸法に適合した第2パンチ51cの突条部53d間ピッチで正確な仕上げ成形が、無理な素材変形をともなうことなく円滑にしかも確実に行うことができる。
第2パンチ51cの突条部53d間ピッチを0.3mm以下とすることにより、例えば、液体噴射ヘッド等の部品加工等においてより好適な仕上げとなる。このピッチは好ましくは0.2mm以下,より好ましくは0.15mm以下である。
上記第1パンチ51aによる仮成形においては、突条部の先端部分53aに近づけて配置した第1傾斜面63と突条部の先端部分53aから離隔させて配置した第2傾斜面64から構成された傾斜面が、第1パンチ51aの押込みにより、先ず最初に素材55に対して第1傾斜面63が圧接される。このときには、第1傾斜面63の傾斜角度θ1が第2傾斜面の傾斜角度θ2よりも大きく設定されているので、傾斜角度の大きな第1傾斜面63が溝状窪部33端部から離隔した箇所で素材55に押込まれ、溝状窪部33端部への素材55の流動の影響が少ない状態で溝状窪部33の初期成形が開始される。したがって、この初期段階においては溝状窪部33の端部付近における長手方向の素材移動が少なく、むしろ溝状窪部33の幅方向の素材移動が積極的に推進される。
その後、第1傾斜面63が素材55中に押込まれると、溝状窪部33端部に近い側の傾斜角度の小さな第2傾斜面64が素材55に押込まれて行くので、今度は、溝状窪部33の幅方向の素材移動よりも溝状窪部33端部に向かう素材移動が行われる。この場合、第2傾斜面64は傾斜角度θ2が小さいので、溝状窪部33の長手方向に対する素材55の移動量が可及的に少なくとどめられることとなり、溝状窪部33端部付近の素材55の移動量も抑制されて、溝状窪部33端部の形状が画然と形成される。すなわち、第2傾斜面64が押込まれて行く段階においても、やはり溝状窪部33端部における溝状窪部33の幅方向の素材流動成分をより多くするので、溝状窪部33端部付近における隔壁部28の厚さや形状が溝状窪部の端部まで画然と成形される。
上記第1パンチ51aの仮成形時に第1傾斜面63と第2傾斜面64により素材55に第1仮成形面(本発明の傾斜成形面すなわち第1傾斜成形面の一態様)63Aと第2仮成形面(本発明の傾斜成形面すなわち第2傾斜成形面の一態様)64Aが成形され、第2パンチ51cの仕上げ傾斜面65の先端部66が第1仮成形面63Aに押付けられてから第2パンチ51cで仕上げ成形が行われる。この動作においては、溝状窪部33の深さ方向で見て第2仮成形面64Aよりも深い箇所にあり、しかも溝状窪部33の長手方向で見て溝状窪部33端部から第2仮成形面64Aよりも離隔した箇所にある第1仮成形面63Aに対して第2パンチの上記先端部66が押付けられて塑性変形がなされる。
したがって、第2パンチ51cによる仕上げ成形は、溝状窪部33端部に素材移動の面でほとんど影響することなく行われ、溝状窪部33端部の形状が画然と形成される。上記の仕上げ傾斜面65の傾斜角度θ3は第2仮成形面64Aや第1仮成形面63Aの傾斜角度(上記θ2やθ1と同じ角度となっている)よりも小さくしてあるので、仕上げ傾斜面65の押込み変位による素材55の溝状窪部33の長手方向の移動量をきわめて少なくすることができ、溝状窪部33端部の正確な成形に有効に機能している。
図14(B)や(C)に示したように、第2パンチ51cの先端部66が第1仮成形面63Aに押込まれてさらに変形が進行すると、最終仕上げ形状67は、第2仮成形面64A,第1仮成形面63A,仕上げ傾斜面65で新たに成形された仕上げ成形面68によって形成される。これは、第1仮成形面63Aの傾斜角度θ1よりも小さな傾斜角度θ3の第2パンチ51cの仕上げ傾斜面65で仕上げ加工を行うので、第1仮成形面63Aの表面に上記仕上げ傾斜面65が面接触することがなく、仕上げ傾斜面65により第1仮成形面63Aの端部の素材55を押込み方向に移動させることとなる。したがって、この押込みで第1仮成形面63Aが消滅してしまうと、溝状窪部33端部には少なくとも第2仮成形面64Aとそれに連続した仕上げ成形面68が確実に形成される。
また、第2仮成形面64Aに連続した第1仮成形面63Aが消滅しないで部分的に残っている場合には、第2仮成形面64A,第1仮成形面63A,仕上げ成形面68による最終仕上げ形状67となる。このようにして、仕上げ傾斜面65の傾斜角度θ3が最も小さく設定されていることにより、溝状窪部33端部の形状が正確に構成できる。
図14(C)の符号Cで示したように、第2パンチ51cで最終的に押込みが完了した状態では、隙間Cが存在している。これは、仕上げ傾斜面65の傾斜角度θ3が第2仮成形面64Aの傾斜角度θ2よりも小さく設定してあるためで、溝状窪部33の端部開口側を溝状窪部33の長手方向に押し広げるような力が作用しないので、溝状窪部33端部の形状を正確に仕上げることにとって有益である。
上記のように仕上げ傾斜面65が第1仮成形面63Aを押込んで行くときには、第1仮成形面63Aの表面部が素材55の内部の方へ押込まれるような移動をする。したがって、第2パンチ51cを後退させたときには、溝状窪部33端部には「返り」のない形状がえられる。
図13(C)(D)に示すように、第1傾斜面63,第2傾斜面64,仕上げ傾斜面65を山形にすることにより、溝状窪部33の幅方向に素材を少しでも多く移動させて、溝状窪部33端部の形状を精密に仕上げることもできる。これら図示の山形は傾斜と稜線によって構成されているが、これを丸みのある凸状の曲面にしても、同様の効果がある。
上記第1パンチ51aおよび第2パンチ51cの突条部53c,53dには、それらの先端に形成した山形の斜面により楔状の先端部分53aが形成され、突条部53c,53dの両側面と上記斜面との境界部69が丸みのある滑らかな接続形状とされている。このため、上記空隙部53b,53eへの素材の流動性を円滑にして隔壁部28の形状が容易に求められる。また、溝状窪部33の低部をV字型の形状にして溝状窪部33の容積を可及的に大きく確保するとともに、隔壁部28の基部の剛性を高めて強度的に安定した隔壁部28を構成することができる。
つぎに、上記微細鍛造加工方法を用いた液体噴射ヘッドの製造方法について説明する。
本発明の液体噴射ヘッドの製造方法は、圧力発生室29となる溝状窪部33が列設されると共に、各溝状窪部33の一端に板厚方向に貫通する連通口34を形成した金属製の圧力発生室形成板30と、上記連通口34と対応する位置にノズル開口48を穿設した金属製のノズルプレート31と、溝状窪部33の開口面を封止すると共に、溝状窪部33の他端に対応する位置にインク供給口45を穿設した金属材製の封止板とを備え、圧力発生室形成板30における溝状窪部33側に封止板を、反対側にノズルプレート31をそれぞれ接合してなる液体噴射ヘッド1の製造方法であって、上記圧力発生室形成板30の溝状窪部33を上記の各微細鍛造加工方法によって形成するようにしている。
したがって、上述の微細鍛造加工方法の有利な作用効果を駆使して、素材である圧力発生室形成板30に溝状窪部33が加工される。上記の有利な作用効果に基づく圧力発生室形成板30の加工の例を列記すると、つぎのとおりである。
例えば、第1パンチ51aによる仮成形で、最終形状には至らない形状の段階までまず成形しておき、その後、第2パンチ51cで上記仮成形に引き続いて仕上げ成形が行われる。したがって、段階的にすなわち第1パンチ51a,第2パンチ51cによる徐々な塑性加工が施されるので、微細な形状であっても、異常な形状になったり素材に割れが発生したりする等の問題がなく、所定どおりの溝状窪部33の加工形状が正確に求められる。さらに、このような微細な構造の加工成形としては、一般に、異方性エッチングの手法が採用されるのであるが、このような手法は加工工数が多大なものとなるので、製造原価の面で不利である。それに対して、上記の微細鍛造加工方法であれば、加工工数が大幅に削減され、原価的にも極めて有利である。さらに、各溝状窪部33の容積を均一に加工できるので、液体噴射ヘッド1の噴射特性を安定させる等の面で非常に有効である。
あるいは、第1パンチ51aの突条部53cの長手方向端部に角度の異なる面取り状の傾斜面が設けられ、上記傾斜面は突条部53cの先端部分に近づけて配置した第1傾斜面63と突条部53cの先端部分53aから離隔させて配置した第2傾斜面64から構成され、第1パンチ51aの押込み方向に対する上記第1,第2両傾斜面63,64の傾斜角度θ1,θ2は第1傾斜面63の方が大きく設定されていることにより、傾斜角度の大きな第1傾斜面63が溝状窪部33端部から離隔した箇所で圧力発生室形成板30に押込まれるので、溝状窪部33端部への素材の流動の影響が少ない状態で溝状窪部33の初期成形が開始される。したがって、この初期段階においては溝状窪部33の端部付近における長手方向の素材移動が少なく、むしろ溝状窪部33の幅方向の素材移動が積極的に推進される。
その後、第1傾斜面63が圧力発生室形成板30中に押込まれると、溝状窪部33端部に近い側の傾斜角度θ2の小さな第2傾斜面64が素材(30)に押込まれて行くので、今度は、溝状窪部33の幅方向の素材移動よりも溝状窪部33端部に向かう素材移動が行われる。この場合、第2傾斜面64は傾斜角度θ2が小さいので、溝状窪部33の長手方向に対する素材(30)の移動量が可及的に少なくとどめられることとなり、溝状窪部33端部付近の素材(30)の移動量も抑制されて、溝状窪部33端部の形状が画然と形成される。すなわち、第2傾斜面64が押込まれて行く段階においても、やはり溝状窪部33端部における溝状窪部33の幅方向の素材流動成分をより多くするので、溝状窪部33端部付近における隔壁部28の厚さや形状が溝状窪部33の端部まで画然と成形できる。したがって、溝状窪部33間の隔壁部28は溝状窪部33の端部の箇所まで正確に成形され、精密に仕上げられた圧力発生室29の形状がえられる。
さらに、上記第1パンチ51aの仮成形時に上記第1傾斜面63と第2傾斜面64により圧力発生室形成板30に第1仮成形面63Aと第2仮成形面64Aを成形し、上記第2パンチ51cの仕上げ傾斜面65の先端部66が上記第1仮成形面63Aに押付けられてから第2パンチ51cで仕上げ成形を行う場合には、溝状窪部33の深さ方向で見て第2仮成形面64Aよりも深い箇所にあり、しかも溝状窪部33の長手方向で見て溝状窪部33端部から第2仮成形面64Aよりも離隔した箇所にある第1仮成形面63Aに対して第2パンチ51cの上記先端部66が押付けられて塑性変形がなされる。したがって、第2パンチ51cによる仕上げ成形は、溝状窪部33端部に素材移動の面でほとんど影響することなく行われ、溝状窪部33端部の形状が画然と形成される。したがって、溝状窪部33間の隔壁部28は溝状窪部33の端部の箇所まで正確に成形され、精密に仕上げられた圧力発生室29の形状がえられる。
つぎに、上記微細鍛造加工方法によってえられた液体噴射ヘッドについて説明する。
本発明の液体噴射ヘッド1は、所定ピッチで配列される溝状窪部33が素材である圧力発生室形成板30に形成されたものであって、仮成形パンチ51bが配列された第1パンチ51aで上記圧力発生室形成板30に各溝状窪部33を仮成形した後、上記仮成形された溝状窪部33に対して仕上げ成形パンチ51dが配列された第2パンチ51cで仕上げ成形が行われたものである。
したがって、上記微細鍛造加工方法や液体噴射ヘッドの製造方法において述べたように、微細な形状の溝状窪部33が、異常な形状になったり素材に割れが発生したりする等の問題がなく、所定どおりの加工形状が正確に求められる。さらに、通常の異方性エッチングの手法よりも簡単な製法であるから、製造原価の面で有利である。
さらに、各溝状窪部33の容積を均一に加工できるので、圧力発生室29の部分精度が著しく向上し、液体噴射ヘッド1の噴射特性を安定させる等の面で非常に有効である。また、圧力発生室形成板30を、例えば、ニッケルを素材として製作すれば、流路ユニットを構成する圧力発生室形成板30,弾性板32及びノズルプレート31の線膨張係数が略揃うので、これらの各部材を加熱接着した際において、各部材は均等に膨張する。このため、膨張率の相違に起因する反り等の機械的ストレスが発生し難い。その結果、接着温度を高温に設定しても各部材を支障なく接着することができる。また、記録ヘッド1の作動時に圧電振動子7が発熱し、この熱によって流路ユニットが加熱されたとしても、流路ユニットを構成する各部材が均等に膨張する。このため、記録ヘッド1の作動に伴う加熱と作動停止に伴う冷却とが繰り返し行われても、流路ユニットを構成する各部材に剥離等の不具合は生じにくくなる。
仕上げ成形においては、溝状窪部33の深さ方向で見て第2仮成形面64Aよりも深い箇所にあり、しかも溝状窪部33の長手方向で見て溝状窪部33端部から第2仮成形面64Aよりも離隔した箇所にある第1仮成形面63Aに対して第2パンチ51cの上記先端部66が押付けられて塑性変形がなされる。したがって、第2パンチ51cによる仕上げ成形は、溝状窪部33端部に素材移動の面でほとんど影響することなく行われ、溝状窪部33端部の形状が画然と形成される。また、第2パンチ51cの仕上げ傾斜面65の傾斜角度θ3が小さく設定してあるので、第1仮成形面63Aの表面部は素材(30)の内部の方へ移動されることとなり、いわゆる「返り」が生じたりしない。したがって、溝状窪部間の隔壁部は溝状窪部の端部の箇所まで正確に成形される。
このように溝状窪部33端部の最終仕上げ形状67が均一にしかも「返り」のない状態で確保できるので、各圧力発生室29の容積が一定になりインクの吐出特性が一定に維持でき、また、「返り」がないので溝状窪部33端部におけるインク流に乱流が発生したり気泡が停滞したりしない。
さらに、上述のような各傾斜角度θ1,θ2,θ3の設定により、第2パンチ51cの仕上げ成形で、少なくとも第2仮成形面64Aと仕上げ成形面68とで溝状窪部33の端部に最終仕上げ形状67が形成される。上記成形面64A,68に加えて第1仮成形面63Aを含んだ最終仕上げ形状67がえられる。これらの最終仕上げ形状67は上記傾斜角度の設定により均一にえられるので、溝状窪部33の端部形状の加工品質を向上させ、インク滴の吐出特性の安定化に有効なものとなる。
上記のように溝状窪部33の幅方向の素材移動に重点をおいた加工方法で圧力発生室形成板30に溝状窪部33が成形されるので、圧力発生室形成板30の板圧方向の素材変形が可及的に少量化される。したがって、加工後の圧力発生室形成板30の表面平面度が著しく良好となるので、最終仕上げの研磨加工も簡素化された、原価的に有利な液体噴射ヘッドがえられる。
さらに、上記液体噴射ヘッドでは、溝状窪部33における端面を、溝状窪部33開口に向けて拡開する傾斜面によって構成したので、圧力発生室29の一端部において液体は、傾斜面に沿って淀みなく流れ、この一端部における気泡の停滞を防止できるし、圧力発生室29内に入り込んでしまった気泡を液体の流れに乗せて確実に排出することができる。また、端面が溝状窪部33開口に向けて拡開する傾斜面で作製されていることから、パンチの押し込み時において金属が円滑に流れ、極く微細な形状の溝状窪部33であっても、端面の寸法精度を高めることができ、隔壁部28の高さを十分確保することができる。
また、溝状窪部33の端面を、溝状窪部33底部から離隔する程に該窪部底部に対する起立角度が急峻となる複数段の傾斜面で構成したため、窪部底部に近い傾斜面が比較的緩やかな勾配になるので、第2パンチ51cでの加工の時に当該傾斜面の少なくとも一部を打ち抜いても第2パンチ51cに与える負担が少ない。このため、第2パンチ51cの耐久性を維持できる。さらに、端面における溝状窪部33開口に近い部分については傾斜が急峻になるので、溝状窪部33の一端部における容積を可及的に少なくすることができ、液体の淀みを少なくすることができる。
この場合において、端面を、溝状窪部底部から離隔する程に該窪部底部に対する起立角度が急峻となる彎曲傾斜面で構成することもできる。このようにした場合には、窪部底部に近い傾斜面が比較的緩やかな勾配になるので、連通口の作製時に当該傾斜面の少なくとも一部を打ち抜いても第2パンチ51cに与える負担が少ない。このため、第2パンチ51cの耐久性を維持できる。さらに、端面における窪部開口に近い部分については傾斜が急峻になるので、溝状窪部33の一端部における容積を可及的に少なくすることができ、液体の淀みを少なくすることができる。
つぎに、本発明の第2の実施の形態を説明する。なお、前提となる溝状窪部33は、基本的には上述した第1の実施の形態と同様である。
この例は、第1工程において溝状窪部33を成形し、第2工程において穴あけパンチにより連通口34を開口するようにしたものである。
図15(A)に示すように、第1パンチ72は、その突条部53cの長手方向端部に、角度の異なる面取り状の傾斜面が配置されている。この傾斜面は、先端部分53aに近づけて配置した第1傾斜面63と先端部分53aから離隔させて配置した第2傾斜面64が連続して設けられている。第1パンチ72の押込み方向に対する第1傾斜面63の傾斜角度をθ1よりも、第2傾斜面64の傾斜角度をθ2の方が大きくなるように設定されている。
そして、第1工程では、上記第1パンチ72を素材に押込んで溝状窪部33を成形する。この第1工程において第1パンチ72を素材に押込んで成形された溝状窪部33の端面は、溝状窪部33底部から離隔する程に該窪部底部に対する起立角度が急峻となる複数段の傾斜面すなわち第1傾斜成形面75A,第2傾斜成形面75Bで構成されている。
ついで、第2工程では、図15(B)に示すように、上記第1傾斜成形面75Aに対して穴あけパンチ(A)73の端部が当るように穴あけパンチ(A)73を素材の厚み途中まで押込んで凹部76を形成したのち、図15(C)に示すように、上記凹部76の底部に穴あけパンチ(B)74を打ち込んで、連通口34を形成する。このように、第2工程の穴あけは、2段階の加工によって連通口34を形成する場合を含む趣旨である。
このとき、溝状窪部33における連通口34側の端面を、窪部開口に向けて拡開する傾斜面によって構成し、該連通口34側端面の傾斜下端に隣接させて連通口34が開設されるので、圧力発生室29の一端部において液体は、傾斜面に沿って連通口34側端面から連通口34に向けて淀みなく流れる。このため、この一端部における気泡の停滞を防止できるし、圧力発生室29内に入り込んでしまった気泡を液体の流れに乗せて確実に排出することができる。
また、連通口34側端面が窪部開口に向けて拡開する傾斜面で作製されていることから、穴あけパンチ73,74の押し込み時において金属が円滑に流れる。これにより、極く微細な形状の溝状窪部33であっても、連通口34側端面の寸法精度を高めることができ、隔壁部28の高さを十分確保することができる。
また、連通口34側端面を、窪部底部から離隔する程に該窪部底部に対する起立角度が急峻となる複数段の傾斜面で構成したため、窪部底部に近い傾斜面のが比較的緩やかな勾配になるので、連通口34の作製時に当該傾斜面の少なくとも一部を打ち抜いても穴あけパンチ(A)73に与える負担が少ない。このため、穴あけパンチ(A)73の耐久性を維持しつつ、連通口34側端面の傾斜下端に隣接させて連通口34を開設できる。さらに、連通口34側端面における窪部開口に近い部分については傾斜が急峻になるので、窪部の一端部における容積を可及的に少なくすることができ、液体の淀みを少なくすることができる。
また、この場合において、連通口34側端面を、窪部底部から離隔する程に該窪部底部に対する起立角度が急峻となる彎曲傾斜面で構成することもできる。このようにした場合には、窪部底部に近い傾斜面が比較的緩やかな勾配になるので、連通口34の作製時に当該傾斜面の少なくとも一部を打ち抜いても穴あけパンチ(A)73に与える負担が少ない。このため、穴あけパンチ(A)73の耐久性を維持しつつ、連通口34側端面の傾斜下端に隣接させて連通口34を開設できる。さらに、連通口34側端面における窪部開口に近い部分については傾斜が急峻になるので、窪部の一端部における容積を可及的に少なくすることができ、液体の淀みを少なくすることができる。
なお、この第2の実施の形態では、溝状窪部33の連通口側の端部の特性についてのみ説明したが、溝状窪部33の反対側のすなわち供給口側の端部においても同様の加工が行なわれてそれによる加工形状が得られ、連通口側の端部と同様の特性が発揮される。
つぎに、本発明の第3の実施の形態を説明する。なお、前提となる溝状窪部33は、基本的には上述した第1の実施の形態と同様である。
この例は、第1工程において、第1の実施の形態のように仮加工と仕上加工の2段階の加工により溝状窪部33を成形し、第2工程において穴あけパンチにより連通口34を開口するようにしたものである。
まず、第1工程では、図16(A)に示すように第1パンチ51aにより仮成形を行なった後、図16(B)に示すように第2パンチ51cによる仕上げ成形を行なって溝状窪部33を成形する。これらに用いる第1パンチ51a,第2パンチ51cは基本的には第1の実施の形態で説明したものと同様である。
すなわち、第1パンチ51aは、その突条部53cの長手方向端部に、角度の異なる面取り状の傾斜面が配置されている。この傾斜面は、先端部分53aに近づけて配置した第1傾斜面63と先端部分53aから離隔させて配置した第2傾斜面64が連続して設けられている。第1パンチ51aの押込み方向に対する第1傾斜面63の傾斜角度θ1よりも、第2傾斜面64の傾斜角度θ2の方が大きくなるように設定されている。
そして、上記第1工程の仮成形では、上記第1パンチ51aを素材に押込んで溝状窪部33を仮成形する。この仮成形工程において第1パンチ51aを素材に押込んで成形された溝状窪部33の端面は、溝状窪部33底部から離隔する程に該窪部底部に対する起立角度が急峻となる複数段の傾斜面すなわち第1傾斜成形面75A,第2傾斜成形面75Bで構成されている。
ついで、第2パンチ51cは、突条部53dの長手方向端部に面取り状の仕上げ傾斜面65が設けられ、第2パンチ51cの押込み方向に対する仕上げ傾斜面65の傾斜角度θ3は、上記第1パンチ51aの第2傾斜面の傾斜角度θ2よりも小さくなるよう設定されている。したがって、第1傾斜面63,第2傾斜面64,仕上げ傾斜面65の各傾斜角度は、θ1>θ2>θ3なる大小関係となる。
そして、第1工程の仕上げ成形では、上記第1パンチ51aにより素材55に形成された第1傾斜成形面75Aと第2傾斜成形面75Bが成形され、第2パンチ51cの仕上げ傾斜面65の先端部66が第1傾斜成形面75Aに押付けられてから第2パンチ51cで仕上げ成形が行われる。
これら第1工程における仮成形と仕上げ成形における加工の挙動は、上述した第1の実施の形態で述べたものと同様である。
つぎに、第2工程では、図16(C)に示すように、上記第1傾斜成形面75Aに対して穴あけパンチ(A)73の端部が当るように穴あけパンチ(A)73を素材の厚み途中まで押込んで凹部76を形成したのち、図16(D)に示すように、上記凹部76の底部に穴あけパンチ(B)74を打ち込んで、連通口34を形成する。このように、第2工程の穴あけは、2段階の加工によって連通口34を形成する場合を含む趣旨である。
このとき、溝状窪部33における連通口34側の端面を、窪部開口に向けて拡開する傾斜面によって構成し、該連通口34側端面の傾斜下端に隣接させて連通口34が開設されるので、圧力発生室29の一端部において液体は、傾斜面に沿って連通口34側端面から連通口34に向けて淀みなく流れる。このため、この一端部における気泡の停滞を防止できるし、圧力発生室29内に入り込んでしまった気泡を液体の流れに乗せて確実に排出することができる。
また、連通口34側端面が窪部開口に向けて拡開する傾斜面で作製されていることから、穴あけパンチ73,74の押し込み時において金属が円滑に流れる。これにより、極く微細な形状の溝状窪部33であっても、連通口34側端面の寸法精度を高めることができ、隔壁部28の高さを十分確保することができる。
また、連通口34側端面を、窪部底部から離隔する程に該窪部底部に対する起立角度が急峻となる複数段の傾斜面で構成したため、窪部底部に近い傾斜面が比較的緩やかな勾配になるので、連通口34の作製時に当該傾斜面の少なくとも一部を打ち抜いても穴あけパンチ(A)73に与える負担が少ない。このため、穴あけパンチ(A)73の耐久性を維持しつつ、連通口34側端面の傾斜下端に隣接させて連通口34を開設できる。さらに、連通口34側端面における窪部開口に近い部分については傾斜が急峻になるので、窪部の一端部における容積を可及的に少なくすることができ、液体の淀みを少なくすることができる。
また、この場合において、連通口34側端面を、窪部底部から離隔する程に該窪部底部に対する起立角度が急峻となる彎曲傾斜面で構成することもできる。このようにした場合には、窪部底部に近い傾斜面が比較的緩やかな勾配になるので、連通口34の作製時に当該傾斜面の少なくとも一部を打ち抜いても穴あけパンチ(A)73に与える負担が少ない。このため、穴あけパンチ(A)73の耐久性を維持しつつ、連通口34側端面の傾斜下端に隣接させて連通口34を開設できる。さらに、連通口34側端面における窪部開口に近い部分については傾斜が急峻になるので、窪部の一端部における容積を可及的に少なくすることができ、液体の淀みを少なくすることができる。
なお、この第3の実施の形態では、溝状窪部33の連通口側の端部の特性についてのみ説明したが、溝状窪部33の反対側のすなわち供給口側の端部においても同様の加工が行なわれてそれによる加工形状が得られ、連通口側の端部と同様の特性が発揮される。
つぎに、本発明の第4の実施の形態を説明する。なお、前提となる溝状窪部33は、基本的には上述した第1の実施の形態と同様である。
溝状窪部33は、圧力発生室29となる溝状の窪部であり、図17(a)に示すように、開口形状が矩形の溝によって構成されている。本実施形態では、幅CWを約0.1mmに、長さCLを約1.6mmに、深さCDを約0.1mmにそれぞれ設定した溝を、溝幅方向に180個並設して窪部列とし、この窪部列を2列設けている。そして、5溝状窪部33の底面は、図17(c)に示すように、深さ方向(即ち、奥側)に進むに連れて縮幅されてV字状に窪んでいる。即ち、この溝状窪部33は、略ホームベース状の五角形断面に作製されている。ここで、底面をV字状に窪ませたのは、溝状窪部33をパンチによる塑性加工(プレス加工)で作製しているためである。即ち、パンチの先端を山形に尖らせることで、ニッケルの流れが促進されて溝状窪部33を寸法精度良く作製できるからである。なお、この溝状窪部33において、V字の谷部33aが溝状窪部33における最も深い場所であり、本発明における窪部底部に相当する。
また、図17(b)に示すように、この溝状窪部33において、その長手方向両端面、即ち、連通口34に近い連通口側端面81、及び、インク供給口45側に近い供給側端面82とに関し、これらの両端面81,82を窪部開口に向けて拡開する傾斜面によって構成している。換言すれば、深さ方向の奥側に進むに連れて長手方向内側に下り傾斜した傾斜面によって作製している。本実施形態では、これらの両端面81,82を、V字状谷部33aから離隔する程に該谷部33aに対する起立角度が急峻となる2段の傾斜面によって構成している。即ち、谷部33a側であって傾斜が緩やかな下側傾斜面81a,82aと窪部開口側であって傾斜が急峻な上側傾斜面81b,82bとによって構成している。
なお、起立角度とは、溝長手方向の外側に向けて、谷部33aと平行に且つこの谷部33aを通るように設定された基準線L1からの起立角度のことである。また、この起立角度は、基準線L1と連通口側端面81とのなす角度(交差角度)とも表現できる。
上記の連通口34は、溝状窪部33の一端部から板厚方向を貫通する貫通孔として、溝状窪部33毎に開設されている。即ち、1つの窪部列に対して180個設けられている。本実施形態の連通口34は、溝状窪部33と同様に塑性加工(プレス加工)で作製されることから開口形状を矩形としている。ここで、溝状窪部33の底面における板厚は周囲の板厚よりも薄いので、連通口34をこの溝状窪部33の開口内に形成することでパンチへの負荷が軽減され、座屈等を防止できる。なお、本実施形態では、連通口34を、開口形状が矩形状の貫通孔によって構成されたものを例示したが、この形状に限定されるものではない。例えば、円形に開口した貫通孔によって構成してもよい。
この連通口34は、溝状窪部33の長手方向一側に位置する連通口側端面81の傾斜下端、詳しくは、下側傾斜面81aの傾斜下端に隣接した位置に設けている。このように構成したのは、塑性加工による寸法精度を確保しつつ、圧力発生室29内における気泡の排出性を向上させるためである。
即ち、連通口側端面81の傾斜下端に隣接させて連通口34を開設することにより、下り傾斜している下側傾斜面81aと連通口34とが一連に繋がる。このため、当該部分、即ち、溝状窪部33における連通口34よりも溝長手方向の外側部分において、流路が連通口34側に向けて連続的に縮幅することになり、インクが淀みなく流れる。なお、以下の説明において、この部分、具体的には、図17(b)に符号Dで示す範囲、即ち、連通口34の一端側開口縁から連通口側端面81の傾斜上端までの範囲を、便宜上、外側膨出部ということにする。
そして、インクが淀みなく流れることから、この外側膨出部において気泡の滞留を防止することができる。また、万一、圧力発生室29内に気泡が入り込んでしまっても、この気泡の停滞を防止できると共に、インクの流れに乗せて気泡を排出することもできる。
また、この連通口側端面81は、溝の深さ方向に進むに連れて溝長手方向の内側に下り傾斜しているので、溝状窪部33の作製時に用いるパンチもその長手方向端部が斜めに面取りされる。このため、溝状窪部33を作製すべくパンチを金属基板(帯板)に押し込んだ際に、パンチの長手方向端部に接する金属の流れが円滑になって連通口側端面81を寸法精度良く作製することができる。
ところで、圧力発生室29内におけるインクの淀みを防止する目的からすれば、外側膨出部の容積は可及的に少ない方が良い。この点に鑑み本実施形態では、連通口側端面81のV字状谷部33aに対する起立角度を45度以上90度未満に設定している。具体的には、下側傾斜面81aの谷部33aに対する起立角度θ1を45度に、上側傾斜面81bの谷部33aに対する起立角度θ2を65度に設定している。さらに、下側傾斜面81aの上端を溝状窪部33の深さCDの半分よりも下(谷部33a側)、詳しくは、この溝部深さCDの1/4程度の位置に設定している。これにより、連通口側端面81の傾斜上端から連通口34の一端側開口縁までの距離dを可及的に短くしている。この距離dに関し、実験的には、溝部深さCDの1/2以下に設定することが好ましいことが判った。このため、本実施形態では、この距離dを溝部深さCDの1/2である0.05mmに設定している。
また、下側傾斜面81aの起立角度θ1を上側傾斜面81bの起立角度θ2よりも緩やかに設定したのは、連通口34を形成するためのパンチの耐久性を高めるためである。後で詳しく説明するように、この連通口34は溝状窪部33の底面を板厚方向に打ち抜くことで作製される。この場合において、連通口側端面81の形成位置は溝長手方向に多少ばらついてしまう。
そこで、連通口34の作製時において、パンチの一端側(溝長手方向の一端側)の部分を下側傾斜面81aの上方に位置させて、この下側傾斜面81aの一部分をも打ち抜くようにする。この場合、下側傾斜面81aの起立角度θ1を45度程度までなだらかにしているので、下側傾斜面81aの一部を打ち抜いたとしてもパンチへの負担が少なく、耐久性を高めることができる。
このように、本実施形態では、連通口側端面81を傾斜面とすることで溝状窪部33の寸法精度を高めており、この傾斜面を比較的なだらかな下側傾斜面81aと比較的急峻な上側傾斜面81bによって構成することで、パンチの耐久性を高めて連通口34の作製の効率化を図ると共に外側膨出部の容積を可及的に小さくして気泡の排出性を高めている。
一方、上記したように、連通口側端面81とは反対側の供給側端面82についても複数段の傾斜面によって構成している。これは、当該部分における寸法精度を高めること、インクの淀みを少なくすること、及び、インクを積極的に連通口34側(溝状窪部33の一端側)に流すことを意図している。
本実施形態では、供給側端面82のV字状谷部33aに対する起立角度についても45度以上90度未満に設定している。詳しくは、下側傾斜面82aの谷部33aに対する起立角度θ3(基準線L1´と下側傾斜面82aとがなす角度)を45度に設定し、上側傾斜面82bの谷部33aに対する起立角度θ4を60度に設定している。このように、供給側端面82を傾斜面によって作製することで、パンチを帯板に押し込んだ際に、金属の流れが円滑になって供給側端面82を寸法精度良く作製することができる。
また、上記のインク供給口45がこの供給側端面82に対応する位置、詳しくは、符号Eで示す範囲内(窪部開口側から見て供給側端面82が投影される投影範囲内)に臨んでいるので、リザーバ14側から圧力発生室29内に流入したインクは、この供給側端面82に沿って流れる。これにより、インクの淀みを少なくすることができるし、インクを積極的に連通口34側に流すことができる。
さらに、インク供給口45から遠い下側傾斜面82aの起立角度θ3を、インク供給口45に近い上側傾斜面82bの起立角度θ4よりも緩やかに設定しているので、換言すれば、溝状窪部33の谷部33aに近づくに連れて、供給側端面82の傾斜を緩やかに設定しているので、この点でもインクの淀みを少なくすることができる。
次に、上記記録ヘッド1の製造方法について説明する。なお、この製造方法では、上記の圧力発生室形成板30の製造工程に特徴を有しているので、圧力発生室形成板30の製造工程を中心に説明することにする。そして、この圧力発生室形成板30は、順送り型による塑性加工(プレス加工)によって作製される。また、圧力発生室形成板30の素材として使用する帯板は、上記したようにニッケル製である。
圧力発生室形成板30の製造工程は、溝状窪部33を形成する溝状窪部形成工程(本発明の第1工程の一態様)と、連通口34を形成する連通口形成工程(本発明の第2工程の一態様)とに大別される。
溝状窪部形成工程は、図18及び図19に模式的に示すように、溝状窪部33に対応した先端形状の第1パンチ(雄型)72を同じ場所に2回押し込むことでなされる。まず、図18に示すように、帯板55に対し、窪部深さの途中まで第1パンチ72を押し込む(図18(a)〜(b)の状態。)。この第1パンチ72の押し込み動作、即ち、パンチングにより、帯板55が部分的に流動して塑性変形し、溝部深さよりも浅い浅溝部33´が形成される。
ここで、第1パンチ72の先端部分が幅方向から見てV字状に尖っているため、この先端部分で押された部分が円滑に流れ、形成される浅溝部33´は先端形状に倣った形状に作製される。さらに、先端部分における長手方向の両端も連通口側端面81及び供給側端面82の形状に面取りしてあるので、当該部分で押圧された部分も円滑に流れる。従って、浅溝部33´の長手方向両端部についても先端形状に倣った形状に作製される。
次に、押し込んだ第1パンチ72を上昇させて帯板55から一旦離隔し(図18(c)の状態。)、続いて2回目のパンチングを行う。即ち、同じ形状のパンチ(便宜上、第1パンチ72という。)を帯板55の同じ位置に再度押し込む(図19(a)〜(b)の状態。)。この2回目のパンチングでは、第1パンチ72の先端部分を溝状窪部33の溝部深さCD(図17(c)参照。)まで押し込む。
この第1パンチ72の押し込みにより、1回目のパンチングで作製された浅溝部33´に第1パンチ72が再度押し込まれ、帯板55に溝状窪部33が作製される。この場合において、パンチングを2回に分けて行っているので、1回のパンチングで作製する場合よりも深い窪部を作製できる。
このようにして溝状窪部33を形成したならば、連通口形成工程に移行して連通口34を形成する。この連通口形成工程では、まず、図20に示すように、連通口34に対応した先端形状の穴あけパンチである第2パンチ85を帯板55における溝状窪部33側の表面から板厚方向の途中まで押し込んで連通口34の上半部分34´を作製する。このとき、図20(b)に示すように、第2パンチ85における溝長手方向の一端側の部分を下側傾斜面81aの上方(即ち、符号Gで示す傾斜範囲内)に位置させる。従って、この第2パンチ85によるパンチングでは、下側傾斜面81aの一部分をも打ち抜く。この場合において、上記したように、下側傾斜面81aの起立角度θ1が45度程度であるので、下側傾斜面81aの一部を打ち抜いたとしても第2パンチ85への負担は少ない。その結果、第2パンチ85の耐久性を高めることができる。
そして、下側傾斜面81aの一部(傾斜下端部分)を第2パンチ85で打ち抜くようにしたので、連通口側端面81の形成位置が多少溝長手方向にばらついたとしても下側傾斜面81aの傾斜範囲Gを打ち抜くことで、気泡停滞の原因となる平坦部は作られない。なお、このような機能を有する下側傾斜面81aについては、「第2パンチ85によって塑性変形される塑性加工部を備えた傾斜面」ということもできる。
連通口34の上半部分34´を形成したならば、続いて連通口34の下半部分を作製する。この下半部分の作製は、第2パンチ85よりも一回り細い先端形状の第3パンチ86を用いて行う。即ち、図21に示すように、この第3パンチ86を、第2パンチ85で作製した上半部分34´に挿入して押し込み、この上半部分34´の底部を打ち抜く。このようにして連通口34を作製したならば、帯板55における溝状窪部33側の表面及び反対側の表面を研磨して平坦化する。
以上の各工程により圧力発生室形成板30を作製したならば、別途作製された弾性板32とノズルプレート31とを圧力発生室形成板30に接合して流路ユニット4を作製する。本実施形態では、これらの各部材の接合を接着により行う。流路ユニット4を作製したならば、この流路ユニット4を別途作製されたケース2の先端面に接着し、その後、振動子ユニット3をケース2内に収納固定する。ケース2に、振動子ユニット3と流路ユニット4とを接合したならば、振動子ユニット3のフレキシブルケーブル9と接続基板5とを半田付けし、その後、供給針ユニット6を取り付ける。
ところで、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の変形が可能である。
例えば、連通口側端面81及び供給側端面82を構成する傾斜面に関し、谷部33aに対する起立角度を変えてもよい。また、供給側端面82については、窪部開口側の部分をV字状谷部33aと直交する垂直面によって構成してもよい。
例えば、図22に示す第5実施形態は、連通口側端面81の一部を構成する上側傾斜面81bに関し、谷部33aに対する起立角度θ2´を80度に設定している。これにより、外側膨出部(範囲Dの部分)の容積を可及的に小さく設定している。また、供給側端面82については、谷部33aに近い側の下側傾斜面82aと、この下側傾斜面82aの上端縁から上方に形成された上側垂直面82b´とによって構成し、下側傾斜面82aと谷部33aに対する起立角度θ3´を60度に設定すると共に上側垂直面82b´と谷部33aに対する起立角度θ4´を90度に設定している。
そして、この第5実施形態でも、連通口側端面81(下側傾斜面81a)の傾斜下端に連通口34が形成されているので、インクを淀み難くすることができ、気泡の停滞を防止できる。また、外側膨出部の容積を可及的に小さくできるので、やはりインクの淀みを防止でき、万一、圧力発生室29内に気泡が入り込んでしまっても、この気泡を確実に排出することができる。
また、供給側端面82に関し、下側傾斜面82aの投影領域内(図22に符号Eで示す領域内)にインク供給口45を臨ませているので、リザーバである共通インク室14側からのインクを淀みなく連通口34側に流すことができる。
また、連通口側端面81及び供給側端面82に関し、谷部33aに対する起立角度が異なる2段の傾斜面に限らない。例えば、連通口側端面81に関し、図23(a)に示すように、単一の傾斜面81Aによって構成してもよい。この例では、谷部33aに対する起立角度θ5が60度に設定された単一の傾斜面81Aによって連通口側端面81を構成している。
なお、この起立角度θ5については、60度に限らず適宜設定することができる。そして、第1パンチ72への負担を軽減する観点からは起立角度θ5は緩やかな方がよく、外側膨出部の容積を少なくする観点からは起立角度θ5は急峻な方がよい。そして、これらの要件を勘案すると、起立角度θ5は45度〜60度の範囲で設定することが好ましい。
また、連通口側端面81及び供給側端面82を、谷部33aに対する起立角度が異なる3段以上の傾斜面によって構成してもよい。例えば、連通口側端面81に関し、図23(b)に示すように、谷部33aから上方に離隔する程に谷部33aに対する起立角度が急峻となる3段の傾斜面81B、即ち、起立角度θ6の下側傾斜面81cと、起立角度θ7の中傾斜面81dと、起立角度θ8の上側傾斜面81eとによって構成してもよい。
なお、この例では、起立角度θ6を45度,起立角度θ7を60度,起立角度θ8を80度としているが、これに限定されるものではない。例えば、起立角度θ6を30度,起立角度θ7を45度,起立角度θ8を60度としてもよい。また、図23(c)に示すように、中傾斜面81dの起立角度θ7´が他の傾斜面(下側傾斜面81c,上側傾斜面81d)の起立角度θ6´,θ8´よりも緩やかな3段の傾斜面81Cによって構成してもよい。
また、連通口側端面81及び供給側端面82を、谷部33aから離隔する程に谷部33aに対する起立角度が急峻となる彎曲傾斜面で構成してもよい。例えば、連通口側端面に関し、図23(d)に示すように、谷部33aから上方に離隔する程に谷部33aに対する起立角度が徐々に急峻となる彎曲傾斜面81Dによって構成しても良い。この構成においても、連通口34と接する部分の起立角度θ9は、45度以上であることが好ましい。
また、溝状窪部33の底面形状はV字状に限られない。例えば、溝状窪部33の底部を、下底が上底よりも短い逆台形状に窪ませてもよい。
また、圧力発生素子に関し、圧電振動子10以外の素子を用いてもよい。例えば、静電アクチュエータや磁歪素子等の電気機械変換素子を用いてもよい。さらに、圧力発生素子として発熱素子を用いてもよい。
上述の各実施の形態は、インクジェット式記録ヘッドであるが、本発明による液体噴射ヘッドは、インクジェット式記録装置用のインクだけを対象にするのではなく、グルー,マニキュア,導電性液体(液体金属)等を噴射することができる。
図24に例示した記録ヘッド1´は、本発明を適用することのできる事例であり、圧力発生素子として発熱素子61を用いたものである。この例では、上記の弾性板32に代えて、コンプライアンス部46とインク供給口45とを設けた封止基板62を用い、この封止基板62によって圧力発生室形成板30における溝状窪部33側を封止している。また、この例では、圧力発生室29内における封止基板62の表面に発熱素子61を取り付けている。この発熱素子61は電気配線を通じて給電されて発熱する。なお、圧力発生室形成板30やノズルプレート31等、その他の構成は上記実施形態と同様であるので、その説明は省略する。
この記録ヘッド1では、発熱素子61への給電により、圧力発生室29内のインクが突沸し、この突沸によって生じた気泡が圧力発生室29内のインクを加圧する。この加圧により、ノズル開口48からインク滴が吐出される。そして、この記録ヘッド1でも、圧力発生室形成板30を金属の塑性加工で作製すると共に、溝状窪部33における連通口側端面81及び供給側端面82を窪部開口に向けて拡開する傾斜面によって構成し、且つ、連通口側端面81の傾斜下端に隣接させて連通口34を開設しているので、上記実施形態と同様の作用効果を奏する。
また、連通口34に関し、上記実施形態では、溝状窪部33の一端部に設けた例を説明したが、これに限らない。例えば、連通口34を溝状窪部33における長手方向略中央に形成して、溝状窪部33の長手方向両端にインク供給口45及びそれと連通する共通インク室14を配置してもよい。このようにすることにより、インク供給口45から連通口34に至る圧力発生室29内におけるインクの淀みを防止できるので好ましい。
発明の効果
以上のように、本発明の微細鍛造加工方法および液体噴射ヘッドの製造方法によれば、第1パンチによる仮成形で、最終形状には至らない形状の段階までまず成形しておき、その後、第2パンチで上記仮成形に引き続いて仕上げ成形が行われる。したがって、段階的にすなわち第1パンチ,第2パンチによる徐々な塑性加工が施されるので、微細な形状であっても、異常な形状になったり素材に割れが発生したりする等の問題がなく、所定どおりの加工形状が正確に求められる。さらに、このような微細な構造の加工成形としては、一般に、異方性エッチングの手法が採用されるのであるが、このような手法は加工工数が多大なものとなるので、製造原価の面で不利である。それに対して、上記の微細鍛造加工方法であれば、加工工数が大幅に削減され、原価的にも極めて有利である。さらに、各窪部の容積を均一に加工できるので、例えば、液体噴射ヘッド圧力発生室等を成形するような場合においては、液体噴射ヘッドの噴射特性を安定させる等の面で非常に有効である。
さらに、本発明の液体噴射ヘッドによれば、第1パンチによる仮成形で、最終形状には至らない形状の段階までまず成形しておき、その後、第2パンチで上記仮成形に引き続いて仕上げ成形が行われる。したがって、段階的にすなわち第1パンチ,第2パンチによる徐々な塑性加工が施されるので、微細な形状であっても、異常な形状になったり素材に割れが発生したりする等の問題がなく、所定どおりの加工形状が正確に求められる。さらに、このような微細な構造の加工成形としては、一般に、異方性エッチングの手法が採用されるのであるが、このような手法は加工工数が多大なものとなるので、製造原価の面で不利である。それに対して、本液体噴射ヘッドであれば、加工工数が大幅に削減され、原価的にも極めて有利である。
さらに、各窪部の容積を均一に加工できるので、圧力発生室等の部分精度が著しく向上し、液体噴射ヘッドの噴射特性を安定させる等の面で非常に有効である。また、圧力発生室形成板を、例えば、ニッケルを素材として製作すれば、流路ユニットを構成する圧力発生室形成板,弾性板及びノズルプレートの線膨張係数が略揃うので、これらの各部材を加熱接着した際において、各部材は均等に膨張する。このため、膨張率の相違に起因する反り等の機械的ストレスが発生し難い。その結果、接着温度を高温に設定しても各部材を支障なく接着することができる。また、記録ヘッドの作動時に圧電振動子が発熱し、この熱によって流路ユニットが加熱されたとしても、流路ユニットを構成する各部材が均等に膨張する。このため、記録ヘッドの作動に伴う加熱と作動停止に伴う冷却とが繰り返し行われても、流路ユニットを構成する各部材に剥離等の不具合は生じにくくなる。
また、本発明によれば以下の効果を奏する。
即ち、溝状窪部における端面を、窪部開口に向けて拡開する傾斜面によって構成し、該端面の傾斜下端に隣接させて第2パンチを押込んで成形したので、圧力発生室の一端部において液体は、傾斜面に沿って淀みなく流れる。このため、この一端部における気泡の停滞を防止できるし、圧力発生室内に入り込んでしまった気泡を液体の流れに乗せて確実に排出することができる。
また、端面が窪部開口に向けて拡開する傾斜面で作製されていることから、パンチの押し込み時において金属が円滑に流れる。これにより、極く微細な形状の溝状窪部であっても、連通口側端面の寸法精度を高めることができ、隔壁部の高さを十分確保することができる。
また、端面を、窪部底部から離隔する程に該窪部底部に対する起立角度が急峻となる複数段の傾斜面で構成した場合には、窪部底部に近い傾斜面が比較的緩やかな勾配になるので、第2パンチの押込み時に当該傾斜面の少なくとも一部を打ち抜いても第2パンチに与える負担が少ない。このため、第2パンチの耐久性を維持しつつ、端面の傾斜下端に隣接させて第2パンチを押込める。さらに、端面における窪部開口に近い部分については傾斜が急峻になるので、窪部の一端部における容積を可及的に少なくすることができ、液体の淀みを少なくすることができる。
また、端面を、窪部底部から離隔する程に該窪部底部に対する起立角度が急峻となる彎曲傾斜面で構成した場合には、窪部底部に近い傾斜面が比較的緩やかな勾配になるので、第2パンチの押込み時に当該傾斜面の少なくとも一部を打ち抜いても第2パンチに与える負担が少ない。このため、第2パンチの耐久性を維持しつつ、端面の傾斜下端に隣接させて第2パンチを押込める。さらに、端面における窪部開口に近い部分については傾斜が急峻になるので、窪部の一端部における容積を可及的に少なくすることができ、液体の淀みを少なくすることができる。
さらに、本発明によれば以下の効果を奏する。
即ち、溝状窪部における連通口側の端面を、窪部開口に向けて拡開する傾斜面によって構成し、該連通口側端面の傾斜下端に隣接させて連通口を開設したので、圧力室の一端部において液体は、傾斜面に沿って連通口側端面から連通口に向けて淀みなく流れる。このため、この一端部における気泡の停滞を防止できるし、圧力室内に入り込んでしまった気泡を液体の流れに乗せて確実に排出することができる。
また、連通口側端面が窪部開口に向けて拡開する傾斜面で作製されていることから、パンチの押し込み時において金属が円滑に流れる。これにより、極く微細な形状の溝状窪部であっても、連通口側端面の寸法精度を高めることができ、隔壁部28の高さを十分確保することができる。
また、連通口側端面を、窪部底部から離隔する程に該窪部底部に対する起立角度が急峻となる複数段の傾斜面で構成した場合には、窪部底部に近い傾斜面が比較的緩やかな勾配になるので、連通口の作製時に当該傾斜面の少なくとも一部を打ち抜いてもパンチに与える負担が少ない。このため、パンチの耐久性を維持しつつ、連通口側端面の傾斜下端に隣接させて連通口を開設できる。さらに、連通口側端面における窪部開口に近い部分については傾斜が急峻になるので、窪部の一端部における容積を可及的に少なくすることができ、液体の淀みを少なくすることができる。
また、連通口側端面を、窪部底部から離隔する程に該窪部底部に対する起立角度が急峻となる彎曲傾斜面で構成した場合には、窪部底部に近い傾斜面が比較的緩やかな勾配になるので、連通口の作製時に当該傾斜面の少なくとも一部を打ち抜いてもパンチに与える負担が少ない。このため、パンチの耐久性を維持しつつ、連通口側端面の傾斜下端に隣接させて連通口を開設できる。さらに、連通口側端面における窪部開口に近い部分については傾斜が急峻になるので、窪部の一端部における容積を可及的に少なくすることができ、液体の淀みを少なくすることができる。

Claims (54)

  1. 所定ピッチで配列される窪部を形成する微細鍛造加工方法であって、仮成形パンチが配列された第1パンチで素材に各窪部を仮成形した後、上記仮成形された窪部に対して仕上げ成形パンチが配列された第2パンチで仕上げ成形を行うことを特徴とする微細鍛造加工方法。
  2. 上記第1パンチに配列された仮成形パンチ間の空隙部と第2パンチに配列された仕上げ成形パンチ間の空隙部により、上記窪部間に配置される隔壁部を成形する請求項1記載の徴細鍛造加工方法。
  3. 上記第2パンチの仕上げ成形時の素材に対する押込み深さは、第1パンチの仮成形時の素材に対する押込み深さよりも深く押込む請求項1または2記載の微細鍛造加工方法。
  4. 上記第1パンチの仮成形パンチと上記第2パンチの仕上げ成形パンチが平行に配列された突条部とされ、これらの突条部により上記窪部が平行に配列された溝状窪部として成形される請求項1〜3のいずれか一項に記載の微細鍛造加工方法。
  5. 上記第1パンチと第2パンチの各突条部の幅と長さは略等しく設定されている請求項4記載の微細鍛造加工方法。
  6. 上記第1パンチの突条部の長手方向端部に角度の異なる面取り状の傾斜面が設けられている請求項4または5記載の微細鍛造加工方法。
  7. 上記傾斜面は上記突条部の先端部分に近づけて配置した第1傾斜面と上記突条部の先端部分から離隔させて配置した第2傾斜面から構成され、第1パンチの押込み方向に対する上記第1,第2両傾斜面の傾斜角度は第1傾斜面の方が大きく設定されている請求項6記載の微細鍛造加工方法。
  8. 上記第2パンチの突条部の長手方向の端部に面取り状の仕上げ傾斜面が形成され、この仕上げ傾斜面の第2パンチの押込み方向に対する傾斜角度は、上記第2傾斜面の傾斜角度よりも小さく設定されている請求項7記載の微細鍛造加工方法。
  9. 上記第1パンチの仮成形時に上記第1傾斜面と第2傾斜面により素材に第1仮成形面と第2仮成形面を成形し、上記第2パンチの仕上げ傾斜面の先端部が上記第1仮成形面に押付けられてから第2パンチで仕上げ成形を行う請求項7または8記載の微細鍛造加工方法。
  10. 上記第2パンチの仕上げ成形により、少なくとも上記第2仮成形面と上記仕上げ成形によって成形された仕上げ成形面とで溝状窪部の端部に最終仕上げ形状が形成される請求項9記載の微細鍛造加工方法。
  11. 上記第2仮成形面と上記第1仮成形面と上記仕上げ成形によって成形された仕上げ成形面とで溝状窪部の端部に最終仕上げ形状が形成される請求項10記載の微細鍛造加工方法。
  12. 上記第1パンチおよび第2パンチの突条部には、それらの先端に形成した山形の斜面により楔状の先端部分が形成され、突条部の両側面と上記斜面との境界部が滑らかに接続された形状とされている請求項4〜11のいずれか一項に記載の微細鍛造加工方法。
  13. 上記第2パンチの突条部間のピッチは、上記第1パンチの突条部間のピッチよりも大きく設定されている請求項4〜12のいずれか一項に記載の微細鍛造加工方法。
  14. 上記第2パンチの突条部間のピッチは、0.3mm以下とされている請求項13記載の微細鍛造加工方法。
  15. 圧力発生室となる溝状窪部が列設されると共に、各溝状窪部の一端に板厚方向に貫通する連通口を形成した金属製の圧力発生室形成板と、上記連通口と対応する位置にノズル開口を穿設した金属製のノズルプレートと、溝状窪部の開口面を封止すると共に、溝状窪部の他端に対応する位置に液体供給口を穿設した金属材製の封止板とを備え、圧力発生室形成板における溝状窪部側に封止板を、反対側にノズルプレートをそれぞれ接合してなる液体噴射ヘッドの製造方法であって、上記圧力発生室形成板の溝状窪部を請求項1〜14のいずれか一項に記載の微細鍛造加工方法によって形成するようにしたことを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  16. 圧力発生室となる溝状窪部が列設されると共に、各溝状窪部の一端に板厚方向に貫通する連通口を形成した金属製の圧力発生室形成板と、上記連通口と対応する位置にノズル開口を穿設した金属製のノズルプレートと、溝状窪部の開口面を封止すると共に、溝状窪部の他端に対応する位置に液体供給口を穿設した金属材製の封止板とを備え、圧力発生室形成板における溝状窪部側に封止板を、反対側にノズルプレートをそれぞれ接合してなる液体噴射ヘッドの製造方法であって、
    上記溝状窪部を、その長手方向端部に少なくとも1つの傾斜成形面を設けるよう第1パンチを用いて成形する第1工程と、上記第1工程の後に上記傾斜成形面に第2パンチを圧入する第2工程とを少なくとも含むことを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  17. 上記第1工程で使用する第1パンチには溝状窪部を成形する突条部と、上記溝状窪部間に配置される隔壁部を成形する空隙部とが設けられている請求項16記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  18. 上記第1パンチの突条部の長手方向端部に面取り状の傾斜面が設けられ、上記第1工程において上記傾斜面により傾斜成形面を成形し、第2工程において上記傾斜成形面に第2パンチを圧入する請求項17記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  19. 上記第1パンチの突条部の長手方向端部に角度の異なる面取り状の傾斜面が設けられ、上記第1工程において上記傾斜面により複数の傾斜成形面を成形し、第2工程において上記傾斜成形面のいずれかに第2パンチを圧入する請求項17記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  20. 上記傾斜面は上記突条部の先端部分に近づけて配置した第1傾斜面と上記突条部の先端部分から離隔させて配置した第2傾斜面から構成され、第1パンチの押込み方向に対する上記第1,第2両傾斜面の傾斜角度は第1傾斜面の方が大きく設定されている請求項19記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  21. 上記第1工程において第1パンチの第1傾斜面と第2傾斜面により素材に第1傾斜成形面と第2傾斜成形面を成形し、第2工程において上記第1傾斜成形面に第2パンチを圧入する請求項20記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  22. 上記第2工程で用いる第2パンチには溝状窪部を成形する突条部と、上記溝状窪部間に配置される隔壁部を成形する空隙部とが設けられ、上記第1工程において第1パンチで素材に溝状窪部を仮成形し、上記第2工程において上記仮成形された溝状窪部に対して仕上げ成形を行う請求項16〜21のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  23. 上記第2工程における第2パンチの素材に対する押込み深さは、第1工程における第1パンチの素材に対する押込み深さよりも深く押込む請求項22記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  24. 上記第2パンチの突条部の長手方向の端部に面取り状の仕上げ傾斜面が形成され、この仕上げ傾斜面の第2パンチの押込み方向に対する傾斜角度は、上記第2傾斜面の傾斜角度よりも小さく設定されている請求項23記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  25. 上記第2パンチの仕上げ成形により、少なくとも上記第2仮成形面と上記仕上げ成形によって成形された仕上げ成形面とで溝状窪部の端部に仕上げ形状が形成される請求項24記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  26. 上記第2仮成形面と上記第1仮成形面と上記仕上げ成形によって成形された仕上げ成形面とで溝状窪部の端部に仕上げ形状が形成される請求項25記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  27. 上記第2工程で用いる第2パンチは連通口を開口する穴あけパンチであり、上記第2工程は、第1工程で成形された溝状窪部に対して連通口を開口する請求項16〜21のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  28. 上記第1工程では、溝状窪部を成形する突条部が配列された仮加工パンチで素材に溝状窪部を仮成形した後、上記仮成形された溝状窪部に対して溝状窪部を成形する突条部が配列された仕上加工パンチで仕上げ成形を行い、上記第2工程では、上記第1工程で成形された溝状窪部に対して穴あけパンチにより連通口を開口する請求項16記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  29. 上記仕上加工パンチの仕上げ成形時の素材に対する押込み深さは、仮加工パンチの仮成形時の素材に対する押込み深さよりも深く押込む請求項28記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  30. 上記仮加工パンチの突条部の長手方向端部に角度の異なる面取り状の傾斜面が設けられている請求項28または29記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  31. 上記傾斜面は上記突条部の先端部分に近づけて配置した第1傾斜面と上記突条部の先端部分から離隔させて配置した第2傾斜面から構成され、仮加工パンチの押込み方向に対する上記第1,第2両傾斜面の傾斜角度は第1傾斜面の方が大きく設定されている請求項30記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  32. 上記仕上加工パンチの突条部の長手方向の端部に面取り状の仕上げ傾斜面が形成され、この仕上げ傾斜面の仕上加工パンチの押込み方向に対する傾斜角度は、上記第2傾斜面の傾斜角度よりも小さく設定されている請求項31記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  33. 上記仮加工パンチの仮成形時に上記第1傾斜面と第2傾斜面により素材に第1仮成形面と第2仮成形面を成形し、上記仕上加工パンチの仕上げ傾斜面の先端部が上記第1仮成形面に押付けられてから仕上加工パンチで仕上げ成形を行う請求項7または8記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  34. 上記仕上加工パンチの仕上げ成形により、上記第2仮成形面と上記第1仮成形面と上記仕上げ成形によって成形された仕上げ成形面とで溝状窪部の端部に仕上げ形状が形成される請求項33記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  35. 上記第2工程では、上記第1工程で成形された溝状窪部の端部に形成された仕上げ形状における第1仮成形面、第2仮成形面、仕上げ成形面のいずれかに対して穴あけパンチを圧入することにより連通口を開口する請求項34記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  36. 圧力発生室となる溝状窪部が列設されると共に、各溝状窪部の一端に板厚方向に貫通する連通口を形成した金属製の圧力発生室形成板と、上記連通口と対応する位置にノズル開口を穿設した金属製のノズルプレートと、溝状窪部の開口面を封止する金属材製の封止板とを備え、圧力発生室形成板における溝状窪部側に封止板を、反対側にノズルプレートをそれぞれ接合してなる液体噴射ヘッドであって、上記溝状窪部の長手方向端部に傾斜部が設けられ、上記傾斜部に連続した成形面が上記傾斜部と異なる傾斜角度で形成されていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  37. 上記成形面の傾斜角度は、傾斜部の傾斜角度よりも急な傾斜角度である請求項36記載の液体噴射ヘッド。
  38. 上記傾斜部は、角度の異なる2つの傾斜面から構成されている請求項37記載の液体噴射ヘッド。
  39. 上記角度の異なる2つの傾斜面は、溝状窪部の底部に近い第1傾斜面と、溝状窪部の底部から離隔した第2傾斜面であり、上記第1傾斜面に連続して成形面が形成されている請求項38記載の液体噴射ヘッド。
  40. 上記第1傾斜面の傾斜よりも第2傾斜面の方が急な傾斜である請求項39記載の液体噴射ヘッド。
  41. 上記傾斜部に連続した成形面が、圧力発生室の端部形状を形成する面である請求項37〜40のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  42. 上記傾斜部に連続した成形面が、上記連通口である請求項37〜40のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  43. 圧力発生室を通ってノズル開口に至る一連の液体流路を流路ユニット内に形成し、圧力発生素子によって圧力発生室内の液体に圧力変動を生じさせてノズル開口から液滴を吐出可能に構成した液体噴射ヘッドにおいて、
    前記流路ユニットは、
    圧力発生室となる複数の溝状窪部を溝幅方向に列設すると共に、各溝状窪部の長手方向一端側の底部から板厚方向を貫通する連通口を形成した金属製の圧力発生室形成板と、
    この圧力発生室形成板の一方の表面に接合され、前記溝状窪部の開口を封止する封止板と、
    前記ノズル開口が穿設されると共に圧力発生室形成板の他方の表面に接合されるノズルプレートとを備え、
    上記溝状窪部の長手方向端部に傾斜部が設けられ、上記傾斜部にかかるように連通口が形成されていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  44. 上記傾斜部は、溝状窪部における連通口側の端面が窪部開口に向けて拡開する傾斜面によって構成されたものであり、該連通口側端面の傾斜下端に隣接させて上記連通口を開設した請求項43記載の液体噴射ヘッド。
  45. 上記連通口側端面の窪部底部に対する起立角度を45度以上90度未満に設定したことを特徴とする請求項44に記載の液体噴射ヘッド。
  46. 上記連通口側端面を、窪部底部に対する起立角度が異なる複数段の傾斜面で構成したことを特徴とする請求項44または請求項45に記載の液体噴射ヘッド。
  47. 上記連通口側端面を、窪部底部から離隔する程に該窪部底部に対する起立角度が急峻となる複数段の傾斜面で構成したことを特徴とする請求項44または請求項45に記載の液体噴射ヘッド。
  48. 上記連通口側端面を、窪部底部から離隔する程に該窪部底部に対する起立角度が急峻となる彎曲傾斜面で構成したことを特徴とする請求項44または請求項45に記載の液体噴射ヘッド。
  49. 上記連通口側端面の傾斜上端から上記連通口の一端側開口縁までの距離を、上記溝状窪部の深さよりも短くしたことを特徴とする請求項44〜請求項48のいずれかに記載の液体噴射ヘッド。
  50. 上記溝状窪部の長手方向他端側に位置する供給側端面を、窪部開口に向けて拡開する傾斜面によって構成したことを特徴とする請求項44〜請求項49のいずれかに記載の液体噴射ヘッド。
  51. 上記供給側端面の窪部底部に対する起立角度を45度以上90度未満に設定したことを特徴とする請求項50に記載の液体噴射ヘッド。
  52. 上記供給側端面を、窪部底部に対する起立角度が異なる複数段の傾斜面で構成したことを特徴とする請求項50または請求項51に記載の液体噴射ヘッド。
  53. 上記供給側端面を、窪部底部から離隔する程に該窪部底部に対する起立角度が急峻となる複数段の傾斜面で構成したことを特徴とする請求項50または請求項51に記載の液体噴射ヘッド。
  54. 上記供給側端面を、窪部底部から離隔する程に該窪部底部に対する起立角度が急峻となる彎曲傾斜面で構成したことを特徴とする請求項50または請求項51に記載の液体噴射ヘッド。
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