JPWO2004001865A1 - 熱電素子とそれを用いた電子部品モジュールおよび携帯用電子機器 - Google Patents
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Abstract
熱電素子1は、支持部材2、3間に配列されたN型熱電半導体4とP型熱電半導体5とを具備する。N型およびP型熱電半導体4、5は、これらの端部に接合された吸熱電極6と放熱電極7とで直列接続されている。放熱電極7には第1の熱伝達部材8が一体的に設けられている。吸熱電極6には第2の熱伝達部材9が一体的に設けられており、第2の熱伝達部材9は第1の熱伝達部材8と同方向(もしくは反対方向)に突設されている。第2の熱伝達部材9は熱電素子1の非稼動時に放熱媒体として機能し、被冷却部品16の熱は第2の熱伝達部材9を介して放熱空間に放散される。
Description
本発明は、熱電半導体を利用した熱電素子とそれを用いた電子部品モジュールおよび携帯用電子機器に関する。
ビスマス(Bi)−テルル(Te)系、鉄(Fe)−シリコン(Si)系、コバルト(Co)−アンチモン(Sb)系などの熱電半導体を利用した熱電素子は、冷却もしくは加熱装置や発電素子などとして使用されている。熱電素子を用いた各種装置は、熱電半導体のペルチェ効果もしくはゼーベック効果を利用したものである。
熱電素子は小型・薄型で、かつ液体や気体などの熱媒体(冷媒など)を使用することなく冷却の実施が可能であることから、冷温蔵庫や半導体製造装置の温度制御などを始めとして、各種の分野で冷却装置や加熱装置として使用されている。また最近では、コンピュータのCPUなどの冷却装置としても注目され始めている。
熱電素子は、例えばN型熱電半導体とP型熱電半導体とを交互に配列した熱電半導体群を有している。これら複数個のN型およびP型熱電半導体は、一方の端部側に配置される電極と他方の端部側に配置される電極とで直列に接続されている。このような熱電素子において、熱電半導体群に直流電流を流すと、N型熱電半導体からP型熱電半導体に向けて電流が流れる電極(吸熱電極)側ではペルチェ効果により吸熱が起こる。P型熱電半導体からN型熱電半導体に向けて電流が流れる電極(放熱電極)側では放熱(発熱)が起こる。従って、被冷却物(各種の部材、部品、装置など)は熱電素子の吸熱側に配置することで冷却される。
熱電素子の具体的な構造としては、例えば以下に示すようなπ型構造が知られている(例えば特開平9−298319号公報、特開2001−332773号公報など参照)。すなわち、支持部材には第1の金属電極群が形成されたセラミックス基板などが用いられる。第1の金属電極群上にはそれぞれN型熱電半導体とP型熱電半導体とが交互に配置される。N型熱電半導体とP型熱電半導体の上端部側には第2の金属電極群が配置される。全ての熱電半導体が電気的に直列接続されるように、各金属電極とN型およびP型熱電半導体とが接合される。
上記したような熱電素子をCPUなどの高発熱部品の冷却装置として使用する場合には、例えば特開平9−298319号公報に記載されているように、熱電素子の吸熱側支持部材を発熱部品の上面に装着する。熱電素子の放熱側支持部材上には、ヒートシンクや放熱フィンなどが装着される。このような発熱部品から吸収した熱を速やかに発散させるモジュール構造が採用されている。
熱電素子を常に稼動させる場合には、上記したモジュール構造で半導体部品の冷却を良好に実施することができる。ただし、CPUなどの半導体部品は負荷により発熱量が異なることから、従来の放熱ファンなどを適用した冷却装置は、省電力のために低温時は放熱ファンを動作させず、高発熱状態になってから放熱ファンを動作させる場合がある。特に、ノートブック型コンピュータのようなパーソナルコンピュータ(PC)では、このような動作ルールが採用されることが多い。
上述したような冷却装置の動作ルールを熱電素子にも適用した場合、熱電素子の非稼動時には熱電素子自体が逆に熱伝達を阻害する要因になってしまう。すなわち、ヒートシンクや放熱フィンなどの放熱部材と半導体部品との間に存在する熱電素子は、その非稼動時においては半導体部品(発熱部品)から放熱部材への熱伝達を阻害する要因となる。特に、Bi−Te系に代表される、熱電素子を構成する熱電半導体は、一般に熱伝導率が低いことから、熱伝達の阻害が著しくなる。
このように、半導体部品などの被冷却物からの発熱量が増大した場合のみに熱電素子を稼動させる動作環境を設定した際には、非通電時や故障時などの非稼動時に熱電素子が熱伝達を阻害する要因となる。このため、熱電素子が非稼動の状態においては、熱電素子を使用していない構造に比べて、被冷却物の冷却効率を逆に低下させてしまうという問題がある。一方、熱電素子を常時稼動させた場合には、当然ながら熱電素子の消費電力が問題となる。
なお、特開平5−63244号公報、特開平7−131077号公報、特開平7−297453号公報には、吸熱電極と一体的に設けられた吸熱用熱交換プレート(吸熱フィン)と、放熱電極と一体的に設けられた放熱用熱交換プレート(放熱フィン)とを有する熱電変換装置が記載されている。この熱電変換装置においては、吸熱フィンと放熱フィンとが熱電半導体群に対してそれぞれ異なる方向に突設されている。
上記した熱電変換装置における吸熱フィンと放熱フィンはそれぞれ熱交換部分を構成するものである。吸熱フィンには熱電変換装置で冷却する被冷却流体が接触する。放熱フィンには熱電変換装置自体を冷却する冷却流体が接触する。これら熱交換フィンのうち、吸熱フィンはあくまでも被冷却流体の熱を吸収する吸熱熱交換器であり、それ以外の利用は意図されていない。
本発明の目的は、例えばコンピュータのCPUのような被冷却物を、熱電素子を用いて冷却するにあたって、非通電時や故障時などの非稼動時における被冷却物の冷却特性の低下を抑制した熱電素子を提供することにある。本発明の他の目的は、そのような熱電素子を使用することによって、熱電素子の稼動時の冷却特性を維持した上で、非稼動時における被冷却物の冷却特性の低下をも抑制することを可能にした電子部品モジュール、およびそれを用いた携帯用電子機器を提供することにある。
熱電素子は小型・薄型で、かつ液体や気体などの熱媒体(冷媒など)を使用することなく冷却の実施が可能であることから、冷温蔵庫や半導体製造装置の温度制御などを始めとして、各種の分野で冷却装置や加熱装置として使用されている。また最近では、コンピュータのCPUなどの冷却装置としても注目され始めている。
熱電素子は、例えばN型熱電半導体とP型熱電半導体とを交互に配列した熱電半導体群を有している。これら複数個のN型およびP型熱電半導体は、一方の端部側に配置される電極と他方の端部側に配置される電極とで直列に接続されている。このような熱電素子において、熱電半導体群に直流電流を流すと、N型熱電半導体からP型熱電半導体に向けて電流が流れる電極(吸熱電極)側ではペルチェ効果により吸熱が起こる。P型熱電半導体からN型熱電半導体に向けて電流が流れる電極(放熱電極)側では放熱(発熱)が起こる。従って、被冷却物(各種の部材、部品、装置など)は熱電素子の吸熱側に配置することで冷却される。
熱電素子の具体的な構造としては、例えば以下に示すようなπ型構造が知られている(例えば特開平9−298319号公報、特開2001−332773号公報など参照)。すなわち、支持部材には第1の金属電極群が形成されたセラミックス基板などが用いられる。第1の金属電極群上にはそれぞれN型熱電半導体とP型熱電半導体とが交互に配置される。N型熱電半導体とP型熱電半導体の上端部側には第2の金属電極群が配置される。全ての熱電半導体が電気的に直列接続されるように、各金属電極とN型およびP型熱電半導体とが接合される。
上記したような熱電素子をCPUなどの高発熱部品の冷却装置として使用する場合には、例えば特開平9−298319号公報に記載されているように、熱電素子の吸熱側支持部材を発熱部品の上面に装着する。熱電素子の放熱側支持部材上には、ヒートシンクや放熱フィンなどが装着される。このような発熱部品から吸収した熱を速やかに発散させるモジュール構造が採用されている。
熱電素子を常に稼動させる場合には、上記したモジュール構造で半導体部品の冷却を良好に実施することができる。ただし、CPUなどの半導体部品は負荷により発熱量が異なることから、従来の放熱ファンなどを適用した冷却装置は、省電力のために低温時は放熱ファンを動作させず、高発熱状態になってから放熱ファンを動作させる場合がある。特に、ノートブック型コンピュータのようなパーソナルコンピュータ(PC)では、このような動作ルールが採用されることが多い。
上述したような冷却装置の動作ルールを熱電素子にも適用した場合、熱電素子の非稼動時には熱電素子自体が逆に熱伝達を阻害する要因になってしまう。すなわち、ヒートシンクや放熱フィンなどの放熱部材と半導体部品との間に存在する熱電素子は、その非稼動時においては半導体部品(発熱部品)から放熱部材への熱伝達を阻害する要因となる。特に、Bi−Te系に代表される、熱電素子を構成する熱電半導体は、一般に熱伝導率が低いことから、熱伝達の阻害が著しくなる。
このように、半導体部品などの被冷却物からの発熱量が増大した場合のみに熱電素子を稼動させる動作環境を設定した際には、非通電時や故障時などの非稼動時に熱電素子が熱伝達を阻害する要因となる。このため、熱電素子が非稼動の状態においては、熱電素子を使用していない構造に比べて、被冷却物の冷却効率を逆に低下させてしまうという問題がある。一方、熱電素子を常時稼動させた場合には、当然ながら熱電素子の消費電力が問題となる。
なお、特開平5−63244号公報、特開平7−131077号公報、特開平7−297453号公報には、吸熱電極と一体的に設けられた吸熱用熱交換プレート(吸熱フィン)と、放熱電極と一体的に設けられた放熱用熱交換プレート(放熱フィン)とを有する熱電変換装置が記載されている。この熱電変換装置においては、吸熱フィンと放熱フィンとが熱電半導体群に対してそれぞれ異なる方向に突設されている。
上記した熱電変換装置における吸熱フィンと放熱フィンはそれぞれ熱交換部分を構成するものである。吸熱フィンには熱電変換装置で冷却する被冷却流体が接触する。放熱フィンには熱電変換装置自体を冷却する冷却流体が接触する。これら熱交換フィンのうち、吸熱フィンはあくまでも被冷却流体の熱を吸収する吸熱熱交換器であり、それ以外の利用は意図されていない。
本発明の目的は、例えばコンピュータのCPUのような被冷却物を、熱電素子を用いて冷却するにあたって、非通電時や故障時などの非稼動時における被冷却物の冷却特性の低下を抑制した熱電素子を提供することにある。本発明の他の目的は、そのような熱電素子を使用することによって、熱電素子の稼動時の冷却特性を維持した上で、非稼動時における被冷却物の冷却特性の低下をも抑制することを可能にした電子部品モジュール、およびそれを用いた携帯用電子機器を提供することにある。
本発明の熱電素子は、N型熱電半導体およびP型熱電半導体を有する熱電半導体群と、前記熱電半導体群の一方の端部に接合された吸熱電極と、前記N型熱電半導体およびP型熱電半導体の少なくとも一部が交互に直列接続されるように、前記熱電半導体群の他方の端部に接合された放熱電極と、前記吸熱電極および放熱電極のそれぞれに対して一体的に設けられていると共に、冷却媒体と接するように配置され、前記冷却媒体に対して放熱する機能を有する熱伝達部材とを具備することを特徴としている。
本発明の熱電素子においては、放熱電極のみならず、吸熱電極にも放熱媒体として機能する熱伝達部材が設けられている。吸熱電極に設けられた熱伝達部材は、熱電半導体を介さずに、冷却媒体が存在する放熱空間に配置されている。この熱伝達部材は熱電素子の非稼動時に放熱媒体として機能するため、非稼動時における被冷却物の放熱性を高めることができる。従って、熱電素子の通電稼動時の冷却特性を低下させることなく、非稼動時の被冷却物の冷却特性を維持することが可能となる。
本発明の他の熱電素子は、支持部材と、前記支持部材に沿って配列されたN型熱電半導体およびP型熱電半導体を有する熱電半導体群と、前記熱電半導体群の一方の端部に接合された吸熱電極と、前記N型熱電半導体およびP型熱電半導体の少なくとも一部が交互に直列接続されるように、前記熱電半導体群の他方の端部に接合された放熱電極と、前記放熱電極と一体的に設けられ、かつ放熱空間に突設させた第1の熱伝達部材と、前記吸熱電極と一体的に設けられ、かつ前記放熱空間に対して前記第1の熱伝達部材と同方向に突設させた第2の熱伝達部材とを具備することを特徴としている。
上記した熱電素子においては、吸熱電極に対して第1の熱伝達部材と同方向に突設させた第2の熱伝達部材を設けている。第2の熱伝達部材は放熱電極に設けた第1の熱伝達部材と同一の放熱空間に位置している。第2の熱伝達部材は熱電素子の非稼動時に放熱媒体として機能する。このような第2の熱伝達部材によって、熱電素子の非稼動時における被冷却物の放熱性を高めることができる。従って、熱電素子の通電稼動時の冷却特性を低下させることなく、非稼動時の被冷却物の冷却特性を維持することが可能となる。
本発明のさらに他の熱電素子は、支持部材と、前記支持部材に沿って配列されたN型熱電半導体およびP型熱電半導体を有する熱電半導体群と、前記熱電半導体群の一方の端部に接合された吸熱電極と、前記N型熱電半導体およびP型熱電半導体の少なくとも一部が交互に直列接続されるように、前記熱電半導体群の他方の端部に接合された放熱電極と、前記放熱電極と一体的に設けられ、かつ第1の放熱空間に位置するように前記放熱電極の外側に突設させた第1の熱伝達部材と、前記吸熱電極と一体的に設けられ、かつ第2の放熱空間に位置するように前記吸熱電極の外側に突設させた第2の熱伝達部材と、前記第2の熱伝達部材の前記吸熱電極とは反対側の端部と熱伝達可能に結合され、被冷却物との接触部を構成する吸熱部材とを具備することを特徴としている。
上記した熱電素子においては、吸熱電極に対してその外側に突設させた第2の熱伝達部材を設けている。第2の熱伝達部材は放熱電極に設けられた第1の放熱電極とは異なる方向に突設しており、第2の放熱空間に位置している。第2の熱伝達部材は熱電素子の非稼動時に放熱媒体として機能する。このような第2の熱伝達部材によって、熱電素子の非稼動時における被冷却物の放熱性を高めることができる。従って、熱電素子の通電稼動時の冷却特性を低下させることなく、非稼動時の被冷却物の冷却特性を維持することが可能となる。
本発明の熱電素子においては、放熱電極のみならず、吸熱電極にも放熱媒体として機能する熱伝達部材が設けられている。吸熱電極に設けられた熱伝達部材は、熱電半導体を介さずに、冷却媒体が存在する放熱空間に配置されている。この熱伝達部材は熱電素子の非稼動時に放熱媒体として機能するため、非稼動時における被冷却物の放熱性を高めることができる。従って、熱電素子の通電稼動時の冷却特性を低下させることなく、非稼動時の被冷却物の冷却特性を維持することが可能となる。
本発明の他の熱電素子は、支持部材と、前記支持部材に沿って配列されたN型熱電半導体およびP型熱電半導体を有する熱電半導体群と、前記熱電半導体群の一方の端部に接合された吸熱電極と、前記N型熱電半導体およびP型熱電半導体の少なくとも一部が交互に直列接続されるように、前記熱電半導体群の他方の端部に接合された放熱電極と、前記放熱電極と一体的に設けられ、かつ放熱空間に突設させた第1の熱伝達部材と、前記吸熱電極と一体的に設けられ、かつ前記放熱空間に対して前記第1の熱伝達部材と同方向に突設させた第2の熱伝達部材とを具備することを特徴としている。
上記した熱電素子においては、吸熱電極に対して第1の熱伝達部材と同方向に突設させた第2の熱伝達部材を設けている。第2の熱伝達部材は放熱電極に設けた第1の熱伝達部材と同一の放熱空間に位置している。第2の熱伝達部材は熱電素子の非稼動時に放熱媒体として機能する。このような第2の熱伝達部材によって、熱電素子の非稼動時における被冷却物の放熱性を高めることができる。従って、熱電素子の通電稼動時の冷却特性を低下させることなく、非稼動時の被冷却物の冷却特性を維持することが可能となる。
本発明のさらに他の熱電素子は、支持部材と、前記支持部材に沿って配列されたN型熱電半導体およびP型熱電半導体を有する熱電半導体群と、前記熱電半導体群の一方の端部に接合された吸熱電極と、前記N型熱電半導体およびP型熱電半導体の少なくとも一部が交互に直列接続されるように、前記熱電半導体群の他方の端部に接合された放熱電極と、前記放熱電極と一体的に設けられ、かつ第1の放熱空間に位置するように前記放熱電極の外側に突設させた第1の熱伝達部材と、前記吸熱電極と一体的に設けられ、かつ第2の放熱空間に位置するように前記吸熱電極の外側に突設させた第2の熱伝達部材と、前記第2の熱伝達部材の前記吸熱電極とは反対側の端部と熱伝達可能に結合され、被冷却物との接触部を構成する吸熱部材とを具備することを特徴としている。
上記した熱電素子においては、吸熱電極に対してその外側に突設させた第2の熱伝達部材を設けている。第2の熱伝達部材は放熱電極に設けられた第1の放熱電極とは異なる方向に突設しており、第2の放熱空間に位置している。第2の熱伝達部材は熱電素子の非稼動時に放熱媒体として機能する。このような第2の熱伝達部材によって、熱電素子の非稼動時における被冷却物の放熱性を高めることができる。従って、熱電素子の通電稼動時の冷却特性を低下させることなく、非稼動時の被冷却物の冷却特性を維持することが可能となる。
図1は本発明の第1の実施形態による熱電素子の概略構造を示す断面図である。
図2は図1に示す熱電素子における熱電半導体群の配列構造の一例を示す図である。
図3は図1に示す熱電素子における熱電半導体群の配列構造の他の例を示す図である。
図4は図1に示す熱電素子に用いられる電極と熱伝達部材とを一体化した部材の一構成例を示す斜視図である。
図5は図1に示す熱電素子に用いられる電極と熱伝達部材とを一体化した部材の他の構成例を示す斜視図である。
図6は図1に示す熱電素子の第1の変形例を示す断面図である。
図7は図1に示す熱電素子の第2の変形例を示す断面図である。
図8は本発明の熱電素子に用いられる熱伝達部材の他の構成例を示す断面図である。
図9は本発明の熱電素子に用いられる熱伝達部材のさらに他の構成例を示す断面図である。
図10は本発明の第2の実施形態による熱電素子の概略構造を示す断面図である。
図11は本発明の第3の実施形態による熱電素子の概略構造を示す断面図である。
図12は図11に示す熱電素子の変形例を示す断面図である。
図13は本発明の他の実施形態による熱電素子の概略構造を示す断面図である。
発明を実施するための形態
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は本発明の第1の実施形態による熱電素子の概略構造を模式的に示す断面図である。同図に示す熱電素子1は、上下に支持部材2、3を有しており、これら下部支持部材2と上部支持部材3とは対向配置されている。この実施形態の熱電素子1は、下部支持部材2側が吸熱面、上部支持部材3側が放熱面とされている。すなわち、下部支持部材2は吸熱側支持部材であり、上部支持部材3は放熱側支持部材である。吸熱側支持部材2は後述する被冷却物との接触部を構成するものである。
なお、放熱側支持部材3は必ずしも必要ではなく、省略することができる。また、放熱側支持部材3の配置位置も特に限定されるものではなく、後述するような配置を適用することも可能である。さらに、支持部材は上下一対の支持部材2、3に限られるものではなく、一つの支持部材で素子構造を支持することも可能である。このような素子構造については後に詳述する。
上述した支持部材2、3のうち、吸熱側支持部材(下部支持部材)2は熱電素子1の構造支持体として機能するものであり、例えばアルミナ基板、窒化アルミニウム基板、窒化珪素基板などの絶縁性セラミックス基板が好ましく用いられる。特に、熱伝導率が高い窒化アルミニウム基板は吸熱側支持部材2の構成材料として有効である。
放熱側支持部材(上部支持部材)3には、吸熱側支持部材2と同様に絶縁性基板であるセラミックス基板を用いることができる。さらに、吸熱側支持部材2で素子構造全体を支持することが可能であれば、放熱側支持部材3には絶縁性樹脂基板や絶縁性樹脂フィルムなどを適用することが好ましい。これらの樹脂部材は加工性に優れることから、熱電素子1の製造が容易になる。
吸熱側支持部材2と放熱側支持部材3との間には、複数のN型熱電半導体4とP型熱電半導体5とが交互に配列されており、これらは素子全体としてはマトリックス状に配置されて熱電半導体群を構成している。言い換えると、N型熱電半導体4とP型熱電半導体5とは吸熱側支持部材2の一主面に沿って交互に配列されている。
熱電半導体4、5には各種公知の材料を使用することができ、その代表例としてBi−Te系熱電半導体が挙げられる。Bi−Te系熱電半導体としては、BiおよびSbから選ばれる少なくとも1種の元素と、TeおよびSeから選ばれる少なくとも1種の元素とを必須元素として含み、さらに必要に応じてI、Cl、Br、Hg、Au、Cuなどの添加元素を含む化合物半導体が知られている。熱電半導体4、5には、このようなBi−Te系熱電半導体が好適である。
なお、熱電半導体4、5は上記したBi−Te系熱電半導体に限られるものではなく、例えばFe−Si系、Co−Sb系などの熱電半導体を適用することができる。さらに、熱電半導体4、5にはFe−Mn系ハーフホイスラー合金など、N型とP型の組合せに基づいてペルチェ効果を示す各種の半導体を使用することが可能である。
複数のN型熱電半導体4およびP型熱電半導体5は、N型熱電半導体4、P型熱電半導体5、N型熱電半導体4、P型熱電半導体5…の順に直流電流が流れるように、吸熱側支持部材2に設けられた吸熱電極6と放熱側支持部材3に設けられた放熱電極7とにより電気的に直列に接続されている。これら吸熱電極6および放熱電極7はそれぞれ複数個で電極群を構成している。なお、各電極6、7は例えば銅板やアルミニウム板などの金属板により構成することができる。
吸熱側支持部材2の表面には、複数の吸熱電極6が設けられている。一方、放熱側支持部材3側には放熱電極7が複数配置されている。吸熱電極6は、隣り合うN型熱電半導体4とP型熱電半導体5とをこの順で直列接続する形状を有している。吸熱電極6ではこの熱電半導体4、5の接続順序に基づいて吸熱が生じる。一方、放熱電極7は両端部の電極(リード引出し電極)を除いて、隣り合うP型熱電半導体5とN型熱電半導体4とをこの順で直列接続する形状を有している。放熱側電極7ではこの熱電半導体5、4の接続順序に基づいて放熱(発熱)が生じる。
N型熱電半導体4およびP型熱電半導体5の下側端部(吸熱側端部)は、例えば図示を省略した半田層を介して、それぞれ吸熱電極6に接合されている。N型熱電半導体4およびP型熱電半導体5の上側端部(放熱側端部)は、同様に図示を省略した半田層を介して放熱電極7に接合されている。このように、隣り合うN型熱電半導体4とP型熱電半導体5とを、それぞれ吸熱電極6と放熱電極7とで順に接続することによって、熱電素子1全体として見た場合に、複数のN型熱電半導体4と複数のP型熱電半導体5とが交互に直列接続された構造が形成されている。
熱電半導体群の配列構造としては、例えば図2に示すように、複数のN型熱電半導体4と複数のP型熱電半導体5とが交互に直列接続されるように、吸熱側支持部材2上に折返し状態で配置した構造が適用される。図2に示す熱電半導体群の配列構造は、全てのN型熱電半導体4およびP型熱電半導体5が交互に直列接続されている。
なお、熱電半導体群は少なくとも一部が直列接続されていればよく、例えば図3に示すような配列構造を適用することも可能である。図3はN型熱電半導体4とP型熱電半導体5とが交互に直列接続された列を複数配置した構造を示している。複数の熱電半導体列はリード引出し電極7A、7Bに対して並列に接続されている。このように、複数の熱電半導体列を並列接続した素子構造によれば、いずれかの熱電半導体列に接続不良や故障などが生じたとしても、他の熱電半導体列は動作環境が維持される。冷却効率などは図2に示す配列の方が優れているが、図3の配列は熱電素子1の信頼性の向上に寄与する。
放熱側電極群を構成する各放熱電極7には、それぞれ第1の熱伝達部材8が一体的に設けられている。第1の熱伝達部材8は放熱電極7の裏面(熱電半導体4、5の接合面とは反対側の面)に対して略垂直方向に延びるように設けられている。第1の熱伝達部材8は、放熱電極7との間の熱伝達を阻害しないように、放熱電極7と一体的に形成されている。放熱電極7と第1の熱伝達部材8とは熱的に一体化されている。
同様に、吸熱側電極群を構成する各吸熱電極6には、それぞれ第2の熱伝達部材9が一体的に設けられている。第2の熱伝達部材9は吸熱電極6の表面(熱電半導体4、5の接合面)に対して略垂直方向に延びるように設けられている。第2の熱伝達部材9は、吸熱電極6との間の熱伝達を阻害しないように、吸熱電極6と一体的に形成されている。吸熱電極6と第2の熱伝達部材9とは熱的に一体化されている。これら熱伝達部材8、9は、例えば銅、アルミニウム、もしくはそれらの合金のような熱伝導率に優れる金属材料で構成することが好ましい。
図4は、吸熱電極6と第2の熱伝達部材9とを一体化した部材10および放熱電極7と第1の熱伝達部材8とを一体化した部材11の一構成例を示している。これら吸熱側部材10および放熱側部材11はいずれもT字形状を有しており、吸熱側部材10は吸熱電極板6の表面に板状の第2の熱伝達部材9を一体的に突設した構造を有している。放熱側部材11は放熱電極板7の裏面に板状の第1の熱伝達部材8を一体的に突設した構造を有している。
これら電極板6、7と熱伝達部材9、8との一体化には、熱伝達を阻害しない方法であれば種々の方法を適用することができる。例えば、電極板6、7と熱伝達部材9、8とは、ろう接や溶接などの接合法を使用して一体化させることができる。また、機械加工や塑性加工などでT字型形状やL字型形状などを有する吸熱側部材10や放熱側部材11を形成するようにしてもよい。
吸熱側部材10や放熱側部材11の形状は、T字形状に限られるものではない。電極板6、7と熱伝達部材9、8とが一体化されていると共に、熱伝達部材9、8を突設させた形状であれば、種々の形状を適用することができる。図5は電極板6、7に対して板状の熱伝達部材9、8をL字状に突設した形状を有する吸熱側部材10および放熱側部材11を示している。このように、電極板6、7と熱伝達部材9、8との一体化形状は適宜に選択することができる。
放熱電極7と一体化された第1の熱伝達部材8および吸熱電極6と一体化された第2の熱伝達部材9は、それぞれ放熱電極7の外側、さらには放熱側支持部材3の外側の空間12に突設されている。空間12は冷却媒体が存在する放熱空間である。具体的には、放熱空間12には空気などの冷却流体が流れている。冷却流体は空気に限らず、不活性気体や場合によっては液体などを適用することができる。第1および第2の熱伝達部材8、9は冷却流体と接するように放熱空間12内に配置されている。この放熱空間12において、第1および第2の熱伝達部材8、9は放熱媒体として機能するものである。
このように、第2の熱伝達部材9は第1の熱伝達部材8と同方向に突設している。放熱電極7で生じた熱は第1の熱伝達部材8を介して放熱空間12に放散される。同様に、吸熱電極6に伝達された熱(後に詳述する)は、第2の熱伝達部材9を介して放熱空間12に放散される。なお、第1の熱伝達部材8および第2の熱伝達部材9は、それぞれ放熱側支持部材3に設けられた貫通孔を介して放熱空間12に達している。
図1は吸熱電極6と一体化された第2の熱伝達部材9を放熱側支持部材3の外側の放熱空間12に配置した素子構造を示している。第2の熱伝達部材9は、例えば図6に示すように、放熱電極7の内側の空間13に配置してもよい。この空間13はN型熱電半導体4とP型熱電半導体5が配置されている空間であり、このような空間13にも冷却流体が流れている。空間13は空間12と同様に放熱空間として機能するものであり、第2の熱伝達部材9は放熱空間13で放熱媒体として機能する。
ただし、第2の熱伝達部材9による冷却効率を高める上で、第2の熱伝達部材9は放熱側支持部材3の外側の放熱空間12に達するように配置することが好ましい。なお、図6は放熱側支持部材3を省略した素子構造を示している。このように、熱電素子1は放熱側支持部材3を必ずしも必要とするものではない。図6に示す熱電素子1は吸熱側支持部材2のみで素子構造を維持している。
熱伝達部材8、9の設置数は、1つの電極板6、7当たりに1個に限られるものではない。例えば図7に示すように、1つの電極板当たりに複数個の熱伝達部材を設置してもよい。これによって、放熱特性をより一層高めることができる。図7は1つの放熱電極7に対して2個の第1の熱伝達部材8を設置した状態を示している。第2の熱伝達部材9についても、スペースに余裕があれば複数設置することができる。
また、1つの電極板当たりに複数個の熱伝達部材を設置する場合には、U字形状やコ字形状などを有する一体化部材(吸熱側部材10や放熱側部材11)を用いることができる。なお、図7は放熱側支持部材3を熱伝達部材8、9上に配置した素子構造を示している。このように、放熱側支持部材3の設置位置は特に限定されるものではなく、また前述したように省略することも可能である。
放熱媒体として機能する熱伝達部材8、9の形状は、図4や図5に示したような板状に限られるものではない。熱伝達部材8、9の放熱部の形状としては、放熱空間12に位置する部分の表面積を増大させるような形状を適用することができる。図8は熱伝達部材8、9の放熱部(放熱空間12に位置する部分)に補助フィン14を設けた一体化部材10、11を示している。図9は熱伝達部材8、9の放熱部を曲折形状とし、表面積を増大させた一体化部材10、11を示している。これら以外にも各種の表面積増大形状を適用することができ、それらによって熱伝達部材8、9からの放熱特性をより一層高めることができる。
上述したような熱電素子1に直流電源15から熱電半導体4、5に直流電流を流すと、ペルチェ効果によって熱電半導体4、5の下端部側では吸熱が起こり、上端部側では放熱が起こる。すなわち、隣り合うN型熱電半導体4からP型熱電半導体5に向けて直流電流が流れる吸熱電極6では吸熱が生じる。一方、P型熱電半導体5からN型熱電半導体4に向けて直流電流が流れる放熱電極7では放熱が生じる。
この実施形態の熱電素子1においては、吸熱側支持部材2が被冷却物16との接触部となる。吸熱側支持部材2は吸熱部材として機能するものである。従って、熱電素子1は被冷却物16と吸熱側支持部材2が接触するように被冷却物16上に装着される。これらによって、冷却機能を有する電子部品モジュール17が構成されている。
被冷却物16としては、例えばCPUのような高集積回路素子やレーザ素子などの高発熱タイプの半導体部品が挙げられる。被冷却物16はこれらに限られるものではなく、冷却を必要とする各種の部品や部材に対して熱電素子1を適用することができる。熱電素子1はノートブック型PCのCPUのように、冷却装置を随時稼動とする電子部品に対して特に好適に用いられる。
熱電素子1を適用した電子部品モジュール17においては、被冷却部品16の発熱量が増大した際に熱電素子1に通電して稼動させ、被冷却部品16の熱を吸熱して冷却する。一方、被冷却部品16の発熱量が熱電素子1の稼動が必要なほどの熱量に達していないときは、熱電素子1への通電を遮断して非稼動とする。
熱電素子1の非稼動状態においては、被冷却部品16からの熱は吸熱側支持部材2および吸熱電極6を介して第2の熱伝達部材9に伝達され、この第2の熱伝達部材9から冷却流体が流れる放熱空間12に放散される。なお、図1、図6および図7に示す熱電素子1は、第2の熱伝達部材9の放熱部を被冷却部品16から見て熱電半導体4、5の冷却面より遠い位置に配置している。
この実施形態の熱電素子1は、第2の熱伝達部材9が熱電半導体4、5を介することなく、直接吸熱電極6から放熱空間12に達している。このため、被冷却部品16の熱を吸熱側支持部材2および吸熱電極6から第2の熱伝達部材9を介して、直接的に放熱空間12に放散させることができる。このように、第2の熱伝達部材9は熱電素子1の非通電時や故障時に放熱媒体として機能するため、熱電素子1の非稼動時における被冷却部品16の放熱性を、従来の熱電半導体4、5を介して放熱していた素子構造に比べて大幅に高めることができる。
従って、熱電素子1を被冷却部品16の発熱量に応じて随時稼動とした場合においても、熱電素子1の稼動時のみならず、熱電素子1の非稼動時においても冷却特性を維持することができる。熱電素子1の故障時も同様である。このように、熱電素子1は非稼動時における被冷却部品16の冷却特性の低下を抑制したものである。また付随的効果として、従来熱電素子と冷却フィンを別々の部品として作製、組み付けていたものが、一体化された部品とすることでコストの低減が図れる。
熱電素子1を適用した電子部品モジュール17は、ノートブック型PC(ラップトップ型PC)、タブレットPC、PDA、携帯電話などの携帯用電子機器に好適に用いられるものである。本発明の携帯用電子機器の実施形態としては、このような電子部品モジュール17を具備するノートブック型PC、タブレットPC、PDA、携帯電話などの各種携帯用電子機器が挙げられる。
上述したような携帯用電子機器は電池で駆動されているため、CPUなどの被冷却部品16に付設される冷却装置は省電力化のために随時稼動とされる。すなわち、発熱量が少ないときは冷却装置の稼動を停止する。このような冷却装置の動作ルールを適用する場合においても、熱電素子1は非稼動時における被冷却部品(CPUなど)の冷却特性の低下を抑制しているため、携帯用電子機器の動作特性などを安定に維持することが可能となる。
次に、本発明の第2の実施形態について、図10を参照して説明する。図10に示す熱電素子18は、第2の熱伝達部材9の吸熱電極6とは反対側の端部に設けられた吸熱部材19を有している。この吸熱部材19は被冷却部品16との接触部となる。第2の熱伝達部材9と吸熱部材19とは、良好な熱伝達を維持し得るような結合構造、言い換えると熱伝達を阻害する部材などを介さない結合構造に基づいて結合されている。具体的には、電極板6、7と熱伝達部材8、9との一体化方法と同様な方法で一体化することが好ましい。
図10に示す熱電素子18は、図1と同様に放熱側支持部材3の外側空間(放熱空間)12に対して同方向に突設させた第1および第2の熱伝達部材8、9を有している。熱電素子18は第2の熱伝達部材9の端部に設けた吸熱部材19が被冷却部品16と当接するように装着される。第2の熱伝達部材9は吸熱電極6の一部としての機能と放熱媒体としての機能を併せ持っている。第2の熱伝達部材9は被冷却部品16に対して吸熱部材19を介して電気的に絶縁されて取り付けられている。
熱電素子18は放熱側支持部材3が被冷却部品16側に位置するように配置されている。図10に示す熱電素子18は、図1とは上下が逆転した配置構造とされている。熱電素子18と被冷却部品16との間には、冷却流体が流れる放熱空間12が設けられている。なお、図10に示す熱電素子18において、吸熱側支持部材2と放熱側支持部材3はいずれも省略することができる。図10は第2の熱伝達部材9の放熱部を被冷却部品16と熱電半導体4、5の冷却面との中間に配置した素子構造を示したものである。
上記した熱電素子18を適用した電子部品モジュール17においては、被冷却部品16の発熱量が増大した際に熱電素子18に通電して稼動させ、被冷却部品16の熱を吸熱して冷却する。この際、第2の熱伝達部材9は吸熱部材19から吸熱電極6への伝熱媒体(吸熱電極6の一部)として機能する。この第2の熱伝達部材9を使用した伝熱構造に基づいて、被冷却部品16は熱電素子18により冷却される。
一方、被冷却部品16の発熱量が少ないときは、熱電素子18への通電を遮断して非稼動とする。熱電素子18が非稼動の状態においては、被冷却部品16の熱は吸熱部材19および第2の熱伝達部材9から直接的に冷却流体が流れる放熱空間12に放散される。言い換えると、熱電素子18が非稼動状態における被冷却部品16の冷却は、第2の熱伝達部材9を介して冷却流体に放熱することで実施される。なお、放熱空間12は第2の熱伝達部材9を脚部として熱電素子18を装着した際に、この脚部により形成される空間である。
このように、第2の実施形態においては、第2の熱伝達部材9は熱電素子18が稼動時には吸熱部材19から吸熱電極6への伝熱媒体として機能すると共に、熱電素子18が非稼動時には吸熱部材19から冷却流体への放熱媒体として機能するものである。この第2の実施形態の熱電素子18においても、第2の熱伝達部材9が熱電素子18の非稼動時に放熱媒体として機能するため、熱電素子18の非稼動時における被冷却部品16の放熱性を従来構造に比べて大幅に高めることができる。従って、熱電素子18を被冷却部品16の発熱量に応じて随時稼動とした場合においても、良好な冷却特性を維持することが可能となる。
さらに、第2の実施形態の熱電素子18は、熱電素子18と被冷却部品16との間の熱膨張差に基づく疲労破壊などを抑制することができる。これは、第2の熱伝達部材9を脚部として、熱電素子18を被冷却部品16に装着しているためである。すなわち、冷熱動作を繰返し行った場合、熱電素子18には被冷却部品16との熱膨張差に基づく熱疲労が生じて疲労破壊などが発生しやすい。このような点に対して、熱電素子18に対する拘束力を第2の熱伝達部材9のしなりで低減して応力集中を緩和することで、熱電素子18の疲労破壊などを抑制することができる。これは熱電素子18の信頼性の向上に寄与するものである。
次に、本発明の第3の実施形態について、図11を参照して説明する。なお、図1と同一部分については同一符号を付して説明を一部省略する。同図に示す熱電素子21は、吸熱側支持部材2と放熱側支持部材3との間に、複数のN型熱電半導体4とP型熱電半導体5とが交互に配列されている。これらN型熱電半導体4およびP型熱電半導体5は、素子全体としてはマトリックス状に配置されて熱電半導体群を構成している。
なお、吸熱側支持部材2と放熱側支持部材3は素子構造を形成する上で必須ではなく、省略することができる。吸熱側支持部材2と放熱側支持部材3を適用する場合の構成材料には、加工のしやすさなどから絶縁性樹脂基板や絶縁性樹脂フィルムなどを使用することが好ましい。さらに、図12に示すように、素子構造を保持する支持部材(構造用支持部材/図1の吸熱側支持部材2が相当する)22は、N型熱電半導体4およびP型熱電半導体5の中間位置に配置してもよい。この場合にも、吸熱側支持部材2と放熱側支持部材3を省略することができる。
吸熱側支持部材2側には吸熱電極6が配置されている。また、放熱側支持部材3側には放熱電極7が配置されている。これら吸熱電極6および放熱電極7によって、複数のN型熱電半導体4とP型熱電半導体5とが交互に直列接続されている。前述したように、複数のN型熱電半導体4およびP型熱電半導体5は、その少なくとも一部が交互に直列接続されていればよい。
なお、熱電半導体4、5や電極6、7の具体的な構造や構成材料、電極6、7による熱電半導体4、5の接続構造などについては、前述した第1の実施形態と同様である。支持部材2、3による熱電半導体4、5の支持状態が不十分な場合には、支持部材2、3の両側からカシメ具やケースなどで支持するようにしてもよい。さらに、支持部材2、3を用いることなく、カシメ具やケースなどで支持するような構造を適用することも可能である。
放熱側電極群を構成する各放熱電極7の裏面側には、それぞれ第1の熱伝達部材8が一体的に設けられている。これら第1の熱伝達部材8は放熱側支持部材3の外側空間23に達するように突設されている。空間23は第1の放熱空間を構成するものである。同様に、吸熱側電極群を構成する各吸熱電極6の裏面側には、それぞれ吸熱電極6の一部として機能する第2の熱伝達部材9が一体的に設けられている。これら第2の熱伝達部材9は吸熱側支持部材2の外側空間24に達するように突設されている。空間24は第2の放熱空間を構成するものである。
第1の熱伝達部材8は放熱側支持部材3に設けられた貫通孔を介して第1の放熱空間22に達している。また、第2の熱伝達部材9は吸熱側支持部材2に設けられた貫通孔を介して第2の放熱空間23に達している。第1および第2の放熱空間23には、それぞれ冷却流体が流れている。なお、電極6、7と熱伝達部材9、8との一体化構造は、前述した実施形態と同様なT字形状やL字形状とすることができる。さらに、熱伝達部材8、9の電極7、6との一体化方法、設置数、構成材料、形状などについても同様である。
吸熱電極6と一体化された第2の熱伝達部材8の反対側の端部には、吸熱部材19が設けられている。吸熱部材19は被冷却部品16との接触部を構成するものであり、例えば電気絶縁物で構成されている。第2の熱伝達部材9は吸熱部材19を介して被冷却部品16に電気的に絶縁されて取り付けられている。吸熱電極6と一体化された第2の熱伝達部材9は、熱電素子21が稼動時には吸熱部材19から吸熱電極6への伝熱媒体として機能し、熱電素子21が非稼動時には放熱媒体として機能するものである。放熱電極7と一体化された第1の熱伝達部材8は、熱電素子21の稼動時に放熱媒体として機能する。
図11に示す熱電素子21を用いた電子部品モジュール25は、第2の熱伝達部材9の端部に設けられた吸熱部材19が被冷却部品16に当接するように、熱電素子21を被冷却部品16に装着した構造を有している。熱電素子21の配置構造は、吸熱側支持部材2が被冷却部品16の側に位置する構造とされており、熱電素子21と被冷却部品16との間には第2の放熱空間24が設けられている。第2の放熱空間24は脚部としての第2の熱伝達部材9によって形成される空間である。図11は第2の熱伝達部材9の放熱部を被冷却部品16と熱電半導体4、5の冷却面との中間に配置した構造を示している。
上述したような熱電素子21に直流電源15から熱電半導体4、5に直流電流を流すと、熱電半導体4、5の下端部側では吸熱が、また上端部側では放熱が起こる。被冷却部品16の発熱量が増大した際に、熱電素子21に通電して稼動させると、被冷却部品16の熱が第2の熱伝達部材(伝熱媒体)9を介して吸熱されて冷却される。一方、被冷却部品16の発熱量が少ない場合には、熱電素子21への通電を遮断して非稼動とする。熱電素子21の非稼動状態において、被冷却部品16の熱は吸熱部材19および第2の熱伝達部材9から直接的に第2の放熱空間24に放散される。
上述した第3の実施形態の熱電素子21において、第2の熱伝達部材9は吸熱部材19から直接第2の放熱空間24に達しているため、被冷却部品16の熱を第2の放熱空間24に直接的に放散させることができる。すなわち、第2の熱伝達部材9は熱電素子21の非稼動時に放熱媒体として機能する。このような第2の熱伝達部材9によって、熱電素子21の非稼動時における被冷却部品16の放熱性を、従来の素子構造に比べて大幅に高めることができる。
従って、熱電素子21を被冷却部品16の発熱量に応じて随時稼動とした場合においても、被冷却部品16の冷却特性を維持することが可能となる。さらに、第2の実施形態の熱電素子18と同様に、第2の熱伝達部材9のしなりを利用して、熱電素子21と被冷却部品16との間の熱膨張差に基づく熱電素子21の疲労破壊などを抑制することができる。熱電素子21を用いた電子部品モジュール25は、第1の実施形態と同様に、ノートブック型PC、タブレットPC、PDA、携帯電話などの携帯用電子機器に好適に用いられるものである。
上述した各実施形態は本発明の熱電素子をπ型構造に適用したものであるが、本発明はこれに限られるものではない。例えば図13に示すように、本発明の熱電素子はN型熱電半導体4とP型熱電半導体5とを直列構造で配置した熱電素子31に適用することも可能である。
図13に示す熱電素子31において、N型熱電半導体4からP型熱電半導体5に向けて電流が流れる部分には、第2の熱伝達部材が一体化された吸熱電極32が介在されている。P型熱電半導体5からN型熱電半導体4に向けて電流が流れる部分には、第1の熱伝達部材が一体化された放熱電極33が介在されている。
第2の熱伝達部材が一体化された吸熱電極32は、熱電素子31の一方の主面が露出する空間34に向けて突設されており、その先端には吸熱部材19が一体的に設けられている。第1の熱伝達部材が一体化された放熱電極33は、熱電素子31の他方の主面が露出する空間35に向けて突設されている。第1の熱伝達部材および第2の熱伝達部材は、それぞれ冷却流体が流れる放熱空間34、35に配置されている。
このような構造の熱電素子31においても、図11に示した熱電素子21と同様に、被冷却部品16の熱を放熱空間34に直接的に放散させることができる。従って、熱電素子31の稼動時のみならず、非通電時や故障時などの非稼動時においても被冷却部品16を効率よく冷却することができる。すなわち、熱電素子31の非稼動時における被冷却部品16の冷却特性の低下を抑制することが可能となる。
図2は図1に示す熱電素子における熱電半導体群の配列構造の一例を示す図である。
図3は図1に示す熱電素子における熱電半導体群の配列構造の他の例を示す図である。
図4は図1に示す熱電素子に用いられる電極と熱伝達部材とを一体化した部材の一構成例を示す斜視図である。
図5は図1に示す熱電素子に用いられる電極と熱伝達部材とを一体化した部材の他の構成例を示す斜視図である。
図6は図1に示す熱電素子の第1の変形例を示す断面図である。
図7は図1に示す熱電素子の第2の変形例を示す断面図である。
図8は本発明の熱電素子に用いられる熱伝達部材の他の構成例を示す断面図である。
図9は本発明の熱電素子に用いられる熱伝達部材のさらに他の構成例を示す断面図である。
図10は本発明の第2の実施形態による熱電素子の概略構造を示す断面図である。
図11は本発明の第3の実施形態による熱電素子の概略構造を示す断面図である。
図12は図11に示す熱電素子の変形例を示す断面図である。
図13は本発明の他の実施形態による熱電素子の概略構造を示す断面図である。
発明を実施するための形態
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は本発明の第1の実施形態による熱電素子の概略構造を模式的に示す断面図である。同図に示す熱電素子1は、上下に支持部材2、3を有しており、これら下部支持部材2と上部支持部材3とは対向配置されている。この実施形態の熱電素子1は、下部支持部材2側が吸熱面、上部支持部材3側が放熱面とされている。すなわち、下部支持部材2は吸熱側支持部材であり、上部支持部材3は放熱側支持部材である。吸熱側支持部材2は後述する被冷却物との接触部を構成するものである。
なお、放熱側支持部材3は必ずしも必要ではなく、省略することができる。また、放熱側支持部材3の配置位置も特に限定されるものではなく、後述するような配置を適用することも可能である。さらに、支持部材は上下一対の支持部材2、3に限られるものではなく、一つの支持部材で素子構造を支持することも可能である。このような素子構造については後に詳述する。
上述した支持部材2、3のうち、吸熱側支持部材(下部支持部材)2は熱電素子1の構造支持体として機能するものであり、例えばアルミナ基板、窒化アルミニウム基板、窒化珪素基板などの絶縁性セラミックス基板が好ましく用いられる。特に、熱伝導率が高い窒化アルミニウム基板は吸熱側支持部材2の構成材料として有効である。
放熱側支持部材(上部支持部材)3には、吸熱側支持部材2と同様に絶縁性基板であるセラミックス基板を用いることができる。さらに、吸熱側支持部材2で素子構造全体を支持することが可能であれば、放熱側支持部材3には絶縁性樹脂基板や絶縁性樹脂フィルムなどを適用することが好ましい。これらの樹脂部材は加工性に優れることから、熱電素子1の製造が容易になる。
吸熱側支持部材2と放熱側支持部材3との間には、複数のN型熱電半導体4とP型熱電半導体5とが交互に配列されており、これらは素子全体としてはマトリックス状に配置されて熱電半導体群を構成している。言い換えると、N型熱電半導体4とP型熱電半導体5とは吸熱側支持部材2の一主面に沿って交互に配列されている。
熱電半導体4、5には各種公知の材料を使用することができ、その代表例としてBi−Te系熱電半導体が挙げられる。Bi−Te系熱電半導体としては、BiおよびSbから選ばれる少なくとも1種の元素と、TeおよびSeから選ばれる少なくとも1種の元素とを必須元素として含み、さらに必要に応じてI、Cl、Br、Hg、Au、Cuなどの添加元素を含む化合物半導体が知られている。熱電半導体4、5には、このようなBi−Te系熱電半導体が好適である。
なお、熱電半導体4、5は上記したBi−Te系熱電半導体に限られるものではなく、例えばFe−Si系、Co−Sb系などの熱電半導体を適用することができる。さらに、熱電半導体4、5にはFe−Mn系ハーフホイスラー合金など、N型とP型の組合せに基づいてペルチェ効果を示す各種の半導体を使用することが可能である。
複数のN型熱電半導体4およびP型熱電半導体5は、N型熱電半導体4、P型熱電半導体5、N型熱電半導体4、P型熱電半導体5…の順に直流電流が流れるように、吸熱側支持部材2に設けられた吸熱電極6と放熱側支持部材3に設けられた放熱電極7とにより電気的に直列に接続されている。これら吸熱電極6および放熱電極7はそれぞれ複数個で電極群を構成している。なお、各電極6、7は例えば銅板やアルミニウム板などの金属板により構成することができる。
吸熱側支持部材2の表面には、複数の吸熱電極6が設けられている。一方、放熱側支持部材3側には放熱電極7が複数配置されている。吸熱電極6は、隣り合うN型熱電半導体4とP型熱電半導体5とをこの順で直列接続する形状を有している。吸熱電極6ではこの熱電半導体4、5の接続順序に基づいて吸熱が生じる。一方、放熱電極7は両端部の電極(リード引出し電極)を除いて、隣り合うP型熱電半導体5とN型熱電半導体4とをこの順で直列接続する形状を有している。放熱側電極7ではこの熱電半導体5、4の接続順序に基づいて放熱(発熱)が生じる。
N型熱電半導体4およびP型熱電半導体5の下側端部(吸熱側端部)は、例えば図示を省略した半田層を介して、それぞれ吸熱電極6に接合されている。N型熱電半導体4およびP型熱電半導体5の上側端部(放熱側端部)は、同様に図示を省略した半田層を介して放熱電極7に接合されている。このように、隣り合うN型熱電半導体4とP型熱電半導体5とを、それぞれ吸熱電極6と放熱電極7とで順に接続することによって、熱電素子1全体として見た場合に、複数のN型熱電半導体4と複数のP型熱電半導体5とが交互に直列接続された構造が形成されている。
熱電半導体群の配列構造としては、例えば図2に示すように、複数のN型熱電半導体4と複数のP型熱電半導体5とが交互に直列接続されるように、吸熱側支持部材2上に折返し状態で配置した構造が適用される。図2に示す熱電半導体群の配列構造は、全てのN型熱電半導体4およびP型熱電半導体5が交互に直列接続されている。
なお、熱電半導体群は少なくとも一部が直列接続されていればよく、例えば図3に示すような配列構造を適用することも可能である。図3はN型熱電半導体4とP型熱電半導体5とが交互に直列接続された列を複数配置した構造を示している。複数の熱電半導体列はリード引出し電極7A、7Bに対して並列に接続されている。このように、複数の熱電半導体列を並列接続した素子構造によれば、いずれかの熱電半導体列に接続不良や故障などが生じたとしても、他の熱電半導体列は動作環境が維持される。冷却効率などは図2に示す配列の方が優れているが、図3の配列は熱電素子1の信頼性の向上に寄与する。
放熱側電極群を構成する各放熱電極7には、それぞれ第1の熱伝達部材8が一体的に設けられている。第1の熱伝達部材8は放熱電極7の裏面(熱電半導体4、5の接合面とは反対側の面)に対して略垂直方向に延びるように設けられている。第1の熱伝達部材8は、放熱電極7との間の熱伝達を阻害しないように、放熱電極7と一体的に形成されている。放熱電極7と第1の熱伝達部材8とは熱的に一体化されている。
同様に、吸熱側電極群を構成する各吸熱電極6には、それぞれ第2の熱伝達部材9が一体的に設けられている。第2の熱伝達部材9は吸熱電極6の表面(熱電半導体4、5の接合面)に対して略垂直方向に延びるように設けられている。第2の熱伝達部材9は、吸熱電極6との間の熱伝達を阻害しないように、吸熱電極6と一体的に形成されている。吸熱電極6と第2の熱伝達部材9とは熱的に一体化されている。これら熱伝達部材8、9は、例えば銅、アルミニウム、もしくはそれらの合金のような熱伝導率に優れる金属材料で構成することが好ましい。
図4は、吸熱電極6と第2の熱伝達部材9とを一体化した部材10および放熱電極7と第1の熱伝達部材8とを一体化した部材11の一構成例を示している。これら吸熱側部材10および放熱側部材11はいずれもT字形状を有しており、吸熱側部材10は吸熱電極板6の表面に板状の第2の熱伝達部材9を一体的に突設した構造を有している。放熱側部材11は放熱電極板7の裏面に板状の第1の熱伝達部材8を一体的に突設した構造を有している。
これら電極板6、7と熱伝達部材9、8との一体化には、熱伝達を阻害しない方法であれば種々の方法を適用することができる。例えば、電極板6、7と熱伝達部材9、8とは、ろう接や溶接などの接合法を使用して一体化させることができる。また、機械加工や塑性加工などでT字型形状やL字型形状などを有する吸熱側部材10や放熱側部材11を形成するようにしてもよい。
吸熱側部材10や放熱側部材11の形状は、T字形状に限られるものではない。電極板6、7と熱伝達部材9、8とが一体化されていると共に、熱伝達部材9、8を突設させた形状であれば、種々の形状を適用することができる。図5は電極板6、7に対して板状の熱伝達部材9、8をL字状に突設した形状を有する吸熱側部材10および放熱側部材11を示している。このように、電極板6、7と熱伝達部材9、8との一体化形状は適宜に選択することができる。
放熱電極7と一体化された第1の熱伝達部材8および吸熱電極6と一体化された第2の熱伝達部材9は、それぞれ放熱電極7の外側、さらには放熱側支持部材3の外側の空間12に突設されている。空間12は冷却媒体が存在する放熱空間である。具体的には、放熱空間12には空気などの冷却流体が流れている。冷却流体は空気に限らず、不活性気体や場合によっては液体などを適用することができる。第1および第2の熱伝達部材8、9は冷却流体と接するように放熱空間12内に配置されている。この放熱空間12において、第1および第2の熱伝達部材8、9は放熱媒体として機能するものである。
このように、第2の熱伝達部材9は第1の熱伝達部材8と同方向に突設している。放熱電極7で生じた熱は第1の熱伝達部材8を介して放熱空間12に放散される。同様に、吸熱電極6に伝達された熱(後に詳述する)は、第2の熱伝達部材9を介して放熱空間12に放散される。なお、第1の熱伝達部材8および第2の熱伝達部材9は、それぞれ放熱側支持部材3に設けられた貫通孔を介して放熱空間12に達している。
図1は吸熱電極6と一体化された第2の熱伝達部材9を放熱側支持部材3の外側の放熱空間12に配置した素子構造を示している。第2の熱伝達部材9は、例えば図6に示すように、放熱電極7の内側の空間13に配置してもよい。この空間13はN型熱電半導体4とP型熱電半導体5が配置されている空間であり、このような空間13にも冷却流体が流れている。空間13は空間12と同様に放熱空間として機能するものであり、第2の熱伝達部材9は放熱空間13で放熱媒体として機能する。
ただし、第2の熱伝達部材9による冷却効率を高める上で、第2の熱伝達部材9は放熱側支持部材3の外側の放熱空間12に達するように配置することが好ましい。なお、図6は放熱側支持部材3を省略した素子構造を示している。このように、熱電素子1は放熱側支持部材3を必ずしも必要とするものではない。図6に示す熱電素子1は吸熱側支持部材2のみで素子構造を維持している。
熱伝達部材8、9の設置数は、1つの電極板6、7当たりに1個に限られるものではない。例えば図7に示すように、1つの電極板当たりに複数個の熱伝達部材を設置してもよい。これによって、放熱特性をより一層高めることができる。図7は1つの放熱電極7に対して2個の第1の熱伝達部材8を設置した状態を示している。第2の熱伝達部材9についても、スペースに余裕があれば複数設置することができる。
また、1つの電極板当たりに複数個の熱伝達部材を設置する場合には、U字形状やコ字形状などを有する一体化部材(吸熱側部材10や放熱側部材11)を用いることができる。なお、図7は放熱側支持部材3を熱伝達部材8、9上に配置した素子構造を示している。このように、放熱側支持部材3の設置位置は特に限定されるものではなく、また前述したように省略することも可能である。
放熱媒体として機能する熱伝達部材8、9の形状は、図4や図5に示したような板状に限られるものではない。熱伝達部材8、9の放熱部の形状としては、放熱空間12に位置する部分の表面積を増大させるような形状を適用することができる。図8は熱伝達部材8、9の放熱部(放熱空間12に位置する部分)に補助フィン14を設けた一体化部材10、11を示している。図9は熱伝達部材8、9の放熱部を曲折形状とし、表面積を増大させた一体化部材10、11を示している。これら以外にも各種の表面積増大形状を適用することができ、それらによって熱伝達部材8、9からの放熱特性をより一層高めることができる。
上述したような熱電素子1に直流電源15から熱電半導体4、5に直流電流を流すと、ペルチェ効果によって熱電半導体4、5の下端部側では吸熱が起こり、上端部側では放熱が起こる。すなわち、隣り合うN型熱電半導体4からP型熱電半導体5に向けて直流電流が流れる吸熱電極6では吸熱が生じる。一方、P型熱電半導体5からN型熱電半導体4に向けて直流電流が流れる放熱電極7では放熱が生じる。
この実施形態の熱電素子1においては、吸熱側支持部材2が被冷却物16との接触部となる。吸熱側支持部材2は吸熱部材として機能するものである。従って、熱電素子1は被冷却物16と吸熱側支持部材2が接触するように被冷却物16上に装着される。これらによって、冷却機能を有する電子部品モジュール17が構成されている。
被冷却物16としては、例えばCPUのような高集積回路素子やレーザ素子などの高発熱タイプの半導体部品が挙げられる。被冷却物16はこれらに限られるものではなく、冷却を必要とする各種の部品や部材に対して熱電素子1を適用することができる。熱電素子1はノートブック型PCのCPUのように、冷却装置を随時稼動とする電子部品に対して特に好適に用いられる。
熱電素子1を適用した電子部品モジュール17においては、被冷却部品16の発熱量が増大した際に熱電素子1に通電して稼動させ、被冷却部品16の熱を吸熱して冷却する。一方、被冷却部品16の発熱量が熱電素子1の稼動が必要なほどの熱量に達していないときは、熱電素子1への通電を遮断して非稼動とする。
熱電素子1の非稼動状態においては、被冷却部品16からの熱は吸熱側支持部材2および吸熱電極6を介して第2の熱伝達部材9に伝達され、この第2の熱伝達部材9から冷却流体が流れる放熱空間12に放散される。なお、図1、図6および図7に示す熱電素子1は、第2の熱伝達部材9の放熱部を被冷却部品16から見て熱電半導体4、5の冷却面より遠い位置に配置している。
この実施形態の熱電素子1は、第2の熱伝達部材9が熱電半導体4、5を介することなく、直接吸熱電極6から放熱空間12に達している。このため、被冷却部品16の熱を吸熱側支持部材2および吸熱電極6から第2の熱伝達部材9を介して、直接的に放熱空間12に放散させることができる。このように、第2の熱伝達部材9は熱電素子1の非通電時や故障時に放熱媒体として機能するため、熱電素子1の非稼動時における被冷却部品16の放熱性を、従来の熱電半導体4、5を介して放熱していた素子構造に比べて大幅に高めることができる。
従って、熱電素子1を被冷却部品16の発熱量に応じて随時稼動とした場合においても、熱電素子1の稼動時のみならず、熱電素子1の非稼動時においても冷却特性を維持することができる。熱電素子1の故障時も同様である。このように、熱電素子1は非稼動時における被冷却部品16の冷却特性の低下を抑制したものである。また付随的効果として、従来熱電素子と冷却フィンを別々の部品として作製、組み付けていたものが、一体化された部品とすることでコストの低減が図れる。
熱電素子1を適用した電子部品モジュール17は、ノートブック型PC(ラップトップ型PC)、タブレットPC、PDA、携帯電話などの携帯用電子機器に好適に用いられるものである。本発明の携帯用電子機器の実施形態としては、このような電子部品モジュール17を具備するノートブック型PC、タブレットPC、PDA、携帯電話などの各種携帯用電子機器が挙げられる。
上述したような携帯用電子機器は電池で駆動されているため、CPUなどの被冷却部品16に付設される冷却装置は省電力化のために随時稼動とされる。すなわち、発熱量が少ないときは冷却装置の稼動を停止する。このような冷却装置の動作ルールを適用する場合においても、熱電素子1は非稼動時における被冷却部品(CPUなど)の冷却特性の低下を抑制しているため、携帯用電子機器の動作特性などを安定に維持することが可能となる。
次に、本発明の第2の実施形態について、図10を参照して説明する。図10に示す熱電素子18は、第2の熱伝達部材9の吸熱電極6とは反対側の端部に設けられた吸熱部材19を有している。この吸熱部材19は被冷却部品16との接触部となる。第2の熱伝達部材9と吸熱部材19とは、良好な熱伝達を維持し得るような結合構造、言い換えると熱伝達を阻害する部材などを介さない結合構造に基づいて結合されている。具体的には、電極板6、7と熱伝達部材8、9との一体化方法と同様な方法で一体化することが好ましい。
図10に示す熱電素子18は、図1と同様に放熱側支持部材3の外側空間(放熱空間)12に対して同方向に突設させた第1および第2の熱伝達部材8、9を有している。熱電素子18は第2の熱伝達部材9の端部に設けた吸熱部材19が被冷却部品16と当接するように装着される。第2の熱伝達部材9は吸熱電極6の一部としての機能と放熱媒体としての機能を併せ持っている。第2の熱伝達部材9は被冷却部品16に対して吸熱部材19を介して電気的に絶縁されて取り付けられている。
熱電素子18は放熱側支持部材3が被冷却部品16側に位置するように配置されている。図10に示す熱電素子18は、図1とは上下が逆転した配置構造とされている。熱電素子18と被冷却部品16との間には、冷却流体が流れる放熱空間12が設けられている。なお、図10に示す熱電素子18において、吸熱側支持部材2と放熱側支持部材3はいずれも省略することができる。図10は第2の熱伝達部材9の放熱部を被冷却部品16と熱電半導体4、5の冷却面との中間に配置した素子構造を示したものである。
上記した熱電素子18を適用した電子部品モジュール17においては、被冷却部品16の発熱量が増大した際に熱電素子18に通電して稼動させ、被冷却部品16の熱を吸熱して冷却する。この際、第2の熱伝達部材9は吸熱部材19から吸熱電極6への伝熱媒体(吸熱電極6の一部)として機能する。この第2の熱伝達部材9を使用した伝熱構造に基づいて、被冷却部品16は熱電素子18により冷却される。
一方、被冷却部品16の発熱量が少ないときは、熱電素子18への通電を遮断して非稼動とする。熱電素子18が非稼動の状態においては、被冷却部品16の熱は吸熱部材19および第2の熱伝達部材9から直接的に冷却流体が流れる放熱空間12に放散される。言い換えると、熱電素子18が非稼動状態における被冷却部品16の冷却は、第2の熱伝達部材9を介して冷却流体に放熱することで実施される。なお、放熱空間12は第2の熱伝達部材9を脚部として熱電素子18を装着した際に、この脚部により形成される空間である。
このように、第2の実施形態においては、第2の熱伝達部材9は熱電素子18が稼動時には吸熱部材19から吸熱電極6への伝熱媒体として機能すると共に、熱電素子18が非稼動時には吸熱部材19から冷却流体への放熱媒体として機能するものである。この第2の実施形態の熱電素子18においても、第2の熱伝達部材9が熱電素子18の非稼動時に放熱媒体として機能するため、熱電素子18の非稼動時における被冷却部品16の放熱性を従来構造に比べて大幅に高めることができる。従って、熱電素子18を被冷却部品16の発熱量に応じて随時稼動とした場合においても、良好な冷却特性を維持することが可能となる。
さらに、第2の実施形態の熱電素子18は、熱電素子18と被冷却部品16との間の熱膨張差に基づく疲労破壊などを抑制することができる。これは、第2の熱伝達部材9を脚部として、熱電素子18を被冷却部品16に装着しているためである。すなわち、冷熱動作を繰返し行った場合、熱電素子18には被冷却部品16との熱膨張差に基づく熱疲労が生じて疲労破壊などが発生しやすい。このような点に対して、熱電素子18に対する拘束力を第2の熱伝達部材9のしなりで低減して応力集中を緩和することで、熱電素子18の疲労破壊などを抑制することができる。これは熱電素子18の信頼性の向上に寄与するものである。
次に、本発明の第3の実施形態について、図11を参照して説明する。なお、図1と同一部分については同一符号を付して説明を一部省略する。同図に示す熱電素子21は、吸熱側支持部材2と放熱側支持部材3との間に、複数のN型熱電半導体4とP型熱電半導体5とが交互に配列されている。これらN型熱電半導体4およびP型熱電半導体5は、素子全体としてはマトリックス状に配置されて熱電半導体群を構成している。
なお、吸熱側支持部材2と放熱側支持部材3は素子構造を形成する上で必須ではなく、省略することができる。吸熱側支持部材2と放熱側支持部材3を適用する場合の構成材料には、加工のしやすさなどから絶縁性樹脂基板や絶縁性樹脂フィルムなどを使用することが好ましい。さらに、図12に示すように、素子構造を保持する支持部材(構造用支持部材/図1の吸熱側支持部材2が相当する)22は、N型熱電半導体4およびP型熱電半導体5の中間位置に配置してもよい。この場合にも、吸熱側支持部材2と放熱側支持部材3を省略することができる。
吸熱側支持部材2側には吸熱電極6が配置されている。また、放熱側支持部材3側には放熱電極7が配置されている。これら吸熱電極6および放熱電極7によって、複数のN型熱電半導体4とP型熱電半導体5とが交互に直列接続されている。前述したように、複数のN型熱電半導体4およびP型熱電半導体5は、その少なくとも一部が交互に直列接続されていればよい。
なお、熱電半導体4、5や電極6、7の具体的な構造や構成材料、電極6、7による熱電半導体4、5の接続構造などについては、前述した第1の実施形態と同様である。支持部材2、3による熱電半導体4、5の支持状態が不十分な場合には、支持部材2、3の両側からカシメ具やケースなどで支持するようにしてもよい。さらに、支持部材2、3を用いることなく、カシメ具やケースなどで支持するような構造を適用することも可能である。
放熱側電極群を構成する各放熱電極7の裏面側には、それぞれ第1の熱伝達部材8が一体的に設けられている。これら第1の熱伝達部材8は放熱側支持部材3の外側空間23に達するように突設されている。空間23は第1の放熱空間を構成するものである。同様に、吸熱側電極群を構成する各吸熱電極6の裏面側には、それぞれ吸熱電極6の一部として機能する第2の熱伝達部材9が一体的に設けられている。これら第2の熱伝達部材9は吸熱側支持部材2の外側空間24に達するように突設されている。空間24は第2の放熱空間を構成するものである。
第1の熱伝達部材8は放熱側支持部材3に設けられた貫通孔を介して第1の放熱空間22に達している。また、第2の熱伝達部材9は吸熱側支持部材2に設けられた貫通孔を介して第2の放熱空間23に達している。第1および第2の放熱空間23には、それぞれ冷却流体が流れている。なお、電極6、7と熱伝達部材9、8との一体化構造は、前述した実施形態と同様なT字形状やL字形状とすることができる。さらに、熱伝達部材8、9の電極7、6との一体化方法、設置数、構成材料、形状などについても同様である。
吸熱電極6と一体化された第2の熱伝達部材8の反対側の端部には、吸熱部材19が設けられている。吸熱部材19は被冷却部品16との接触部を構成するものであり、例えば電気絶縁物で構成されている。第2の熱伝達部材9は吸熱部材19を介して被冷却部品16に電気的に絶縁されて取り付けられている。吸熱電極6と一体化された第2の熱伝達部材9は、熱電素子21が稼動時には吸熱部材19から吸熱電極6への伝熱媒体として機能し、熱電素子21が非稼動時には放熱媒体として機能するものである。放熱電極7と一体化された第1の熱伝達部材8は、熱電素子21の稼動時に放熱媒体として機能する。
図11に示す熱電素子21を用いた電子部品モジュール25は、第2の熱伝達部材9の端部に設けられた吸熱部材19が被冷却部品16に当接するように、熱電素子21を被冷却部品16に装着した構造を有している。熱電素子21の配置構造は、吸熱側支持部材2が被冷却部品16の側に位置する構造とされており、熱電素子21と被冷却部品16との間には第2の放熱空間24が設けられている。第2の放熱空間24は脚部としての第2の熱伝達部材9によって形成される空間である。図11は第2の熱伝達部材9の放熱部を被冷却部品16と熱電半導体4、5の冷却面との中間に配置した構造を示している。
上述したような熱電素子21に直流電源15から熱電半導体4、5に直流電流を流すと、熱電半導体4、5の下端部側では吸熱が、また上端部側では放熱が起こる。被冷却部品16の発熱量が増大した際に、熱電素子21に通電して稼動させると、被冷却部品16の熱が第2の熱伝達部材(伝熱媒体)9を介して吸熱されて冷却される。一方、被冷却部品16の発熱量が少ない場合には、熱電素子21への通電を遮断して非稼動とする。熱電素子21の非稼動状態において、被冷却部品16の熱は吸熱部材19および第2の熱伝達部材9から直接的に第2の放熱空間24に放散される。
上述した第3の実施形態の熱電素子21において、第2の熱伝達部材9は吸熱部材19から直接第2の放熱空間24に達しているため、被冷却部品16の熱を第2の放熱空間24に直接的に放散させることができる。すなわち、第2の熱伝達部材9は熱電素子21の非稼動時に放熱媒体として機能する。このような第2の熱伝達部材9によって、熱電素子21の非稼動時における被冷却部品16の放熱性を、従来の素子構造に比べて大幅に高めることができる。
従って、熱電素子21を被冷却部品16の発熱量に応じて随時稼動とした場合においても、被冷却部品16の冷却特性を維持することが可能となる。さらに、第2の実施形態の熱電素子18と同様に、第2の熱伝達部材9のしなりを利用して、熱電素子21と被冷却部品16との間の熱膨張差に基づく熱電素子21の疲労破壊などを抑制することができる。熱電素子21を用いた電子部品モジュール25は、第1の実施形態と同様に、ノートブック型PC、タブレットPC、PDA、携帯電話などの携帯用電子機器に好適に用いられるものである。
上述した各実施形態は本発明の熱電素子をπ型構造に適用したものであるが、本発明はこれに限られるものではない。例えば図13に示すように、本発明の熱電素子はN型熱電半導体4とP型熱電半導体5とを直列構造で配置した熱電素子31に適用することも可能である。
図13に示す熱電素子31において、N型熱電半導体4からP型熱電半導体5に向けて電流が流れる部分には、第2の熱伝達部材が一体化された吸熱電極32が介在されている。P型熱電半導体5からN型熱電半導体4に向けて電流が流れる部分には、第1の熱伝達部材が一体化された放熱電極33が介在されている。
第2の熱伝達部材が一体化された吸熱電極32は、熱電素子31の一方の主面が露出する空間34に向けて突設されており、その先端には吸熱部材19が一体的に設けられている。第1の熱伝達部材が一体化された放熱電極33は、熱電素子31の他方の主面が露出する空間35に向けて突設されている。第1の熱伝達部材および第2の熱伝達部材は、それぞれ冷却流体が流れる放熱空間34、35に配置されている。
このような構造の熱電素子31においても、図11に示した熱電素子21と同様に、被冷却部品16の熱を放熱空間34に直接的に放散させることができる。従って、熱電素子31の稼動時のみならず、非通電時や故障時などの非稼動時においても被冷却部品16を効率よく冷却することができる。すなわち、熱電素子31の非稼動時における被冷却部品16の冷却特性の低下を抑制することが可能となる。
以上の実施形態からも明らかなように、本発明の熱電素子は非稼動時における被冷却部品の放熱特性の低下を抑制したものである。従って、被冷却部品を熱電素子で冷却するにあたって、熱電素子の稼動時はもとより、非稼動時においても被冷却部品の冷却特性を維持することが可能となる。本発明の熱電素子は電子部品モジュールに好適に用いられ、また本発明の電子部品モジュールは携帯用電子機器に好適に用いられる。
Claims (18)
- N型熱電半導体およびP型熱電半導体を有する熱電半導体群と、
前記熱電半導体群の一方の端部に接合された吸熱電極と、
前記N型熱電半導体およびP型熱電半導体の少なくとも一部が交互に直列接続されるように、前記熱電半導体群の他方の端部に接合された放熱電極と、
前記吸熱電極および放熱電極のそれぞれに対して一体的に設けられていると共に、冷却媒体と接するように配置され、前記冷却媒体に対して放熱する機能を有する熱伝達部材と
を具備することを特徴とする熱電素子。 - 請求項1記載の熱電素子において、
前記吸熱電極は被冷却物に対して電気的に絶縁されて取り付けられており、かつ前記熱電素子が非通電状態における前記被冷却物の熱は前記吸熱電極および前記熱伝達部材を介して前記冷却媒体に放熱されることを特徴とする熱電素子。 - 請求項1記載の熱電素子において、
前記吸熱電極に設けられた前記熱伝達部材は、被冷却物に対して電気的に絶縁されて取り付けられていると共に、前記冷却媒体に直接放熱する機能と前記吸熱電極の一部としての機能を併せ持ち、かつ前記熱電素子が非通電状態における前記被冷却物の熱は前記熱伝達部材を介して前記冷却媒体に放熱されることを特徴とする熱電素子。 - 請求項1記載の熱電素子において、
前記吸熱電極に設けられた前記熱伝達部材は、前記冷却媒体に放熱するための部位が被冷却物から見て前記熱電半導体群の冷却面より遠い位置に存在することを特徴とする熱電素子。 - 請求項1記載の熱電素子において、
前記吸熱電極に設けられた前記熱伝達部材は、前記冷却媒体に放熱するための部位が被冷却物と前記熱電半導体群の冷却面との間に存在することを特徴とする熱電素子。 - 支持部材と、
前記支持部材に沿って配列されたN型熱電半導体およびP型熱電半導体を有する熱電半導体群と、
前記熱電半導体群の一方の端部に接合された吸熱電極と、
前記N型熱電半導体およびP型熱電半導体の少なくとも一部が交互に直列接続されるように、前記熱電半導体群の他方の端部に接合された放熱電極と、
前記放熱電極と一体的に設けられ、かつ放熱空間に突設させた第1の熱伝達部材と、
前記吸熱電極と一体的に設けられ、かつ前記放熱空間に対して前記第1の熱伝達部材と同方向に突設させた第2の熱伝達部材と
を具備することを特徴とする熱電素子。 - 請求項6記載の熱電素子において、
前記支持部材は電気的絶縁物からなり、かつ被冷却物との接触部を構成する吸熱用支持部材であることを特徴とする熱電素子。 - 請求項7記載の熱電素子において、
前記第2の熱伝達部材は、前記熱電素子が非稼動時に前記被冷却物の熱を前記放熱空間に放散させる放熱媒体として機能することを特徴とする熱電素子。 - 請求項6記載の熱電素子において、
さらに、前記第2の熱伝達部材の前記吸熱電極とは反対側の端部と熱伝達可能に結合された吸熱部材を具備し、前記吸熱部材は被冷却物との接触部を構成することを特徴とする熱電素子。 - 請求項9記載の熱電素子において、
前記第2の熱伝達部材は、前記吸熱部材から前記吸熱電極への伝熱媒体としての機能と、前記吸熱部材から前記放熱空間への放熱媒体としての機能とを有することを特徴とする熱電素子。 - 請求項10記載の熱電素子において、
前記第2の熱伝達部材は、前記熱電素子が非稼動時に前記被冷却物の熱を前記放熱空間に放散させる放熱媒体として機能することを特徴とする熱電素子。 - 支持部材と、
前記支持部材に沿って配列されたN型熱電半導体およびP型熱電半導体を有する熱電半導体群と、
前記熱電半導体群の一方の端部に接合された吸熱電極と、
前記N型熱電半導体およびP型熱電半導体の少なくとも一部が交互に直列接続されるように、前記熱電半導体群の他方の端部に接合された放熱電極と、
前記放熱電極と一体的に設けられ、かつ第1の放熱空間に位置するように前記放熱電極の外側に突設させた第1の熱伝達部材と、
前記吸熱電極と一体的に設けられ、かつ第2の放熱空間に位置するように前記吸熱電極の外側に突設させた第2の熱伝達部材と、
前記第2の熱伝達部材の前記吸熱電極とは反対側の端部と熱伝達可能に結合され、被冷却物との接触部を構成する吸熱部材と
を具備することを特徴とする熱電素子。 - 請求項12記載の熱電素子において、
前記第2の熱伝達部材は、前記吸熱部材から前記吸熱電極への伝熱媒体としての機能と、前記吸熱部材から前記第2の放熱空間への放熱媒体としての機能とを有することを特徴とする熱電素子。 - 請求項13記載の熱電素子において、
前記第2の熱伝達部材は、前記熱電素子が非稼動時に前記被冷却物の熱を前記第2の放熱空間に放散させる放熱媒体として機能することを特徴とする熱電素子。 - 被冷却部品と、
前記被冷却部品に装着された、請求項1記載の熱電素子と
を具備することを特徴とする電子部品モジュール。 - 被冷却部品と、
前記被冷却部品と前記吸熱用支持部材とが接するように、前記被冷却部品に装着された、請求項7記載の熱電素子と
を具備することを特徴とする電子部品モジュール。 - 請求項15記載の電子部品モジュールを具備することを特徴とする携帯用電子機器。
- 請求項16記載の電子部品モジュールを具備することを特徴とする携帯用電子機器。
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