JPWO2003098658A1 - 光電子増倍管及びその使用方法 - Google Patents

光電子増倍管及びその使用方法 Download PDF

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Abstract

複数の導電性仕切り部材(25)が、各導電性仕切部材(25)が対応する2つの隣り合うアノード片(21)の間に位置し、2つの隣り合うチャンネルを仕切るように、設けられている。導電性仕切部材(25)には、最終段ダイノード電位とアノード電位との中間の電位が印加されているため、最終段ダイノード(8)の各チャンネル(A)から放出された電子を対応するアノード片(21)に適切に導き、かつ、当該対応するアノード片(21)から隣のアノード片(21)へ電子が放出されるのを抑えることができる。従って、アノードにおけるクロストークを防止し、チャンネル毎のエネルギーの分解能を向上させることができる。

Description

技術分野
本発明は光電子増倍管及びその使用方法に関し、特に、マルチアノードタイプの光電子増倍管及びその使用方法に関する。
背景技術
日本国特開平3−180725号公報は、多極型検出用アノード構造を提案している。この多極型検出用アノード構造では、絶縁性基板上に複数のアノードが設けられており、分割電極が隣り合うアノード間に設けられている。分割電極は、アノードの電位と実効的に同電位あるいはアノード電位より高電位となっており、アノード間に到来した電子を捕捉する。したがって、アノード間の絶縁体領域に電子が入射してマイナス電荷が蓄積されることを防止することができる。なお、本公報には、アノード間に到来した電子を分割電極により捕捉できるのであれば、分割電極の電位がアノード電位より一時的に低くなったり連続的にわずかに小さくてもよいことが記載されている。
一方、従来より、第1図に示すようなマルチアノードタイプの光電子増倍管も知られている。
かかる従来の光電子増倍管100では、受光面板103の内面に光電面103aが形成されている。収束電極113が、光電面103aに対向して配置されている。収束電極113の下方には、複数段のダイノード108が積層された積層型の電子増倍部109が設けられている。電子増倍部109の下側には、多極型のアノード112が設けられている。アノード112は、複数のアノード片121が、電子増倍部109の複数のチャンネルに対応して配置されて構成されている。
この例では、電子増倍部109には、複数のチャンネルが1次元アレイ状に配列されている。すなわち、各段のダイノード108において、複数の二次電子放出片124が、X軸方向に平行に、1次元状にリニアに配列されている。このため、アノード112においても、複数のアノード片121が1次元状にリニアに配列されている。具体的には、例えば、第2(A)図及び第2(B)図に示すように、アノード片121が、アノード基板120上に、X軸方向に平行に、1次元状にリニアに配列されている。
なお、電子増倍部109において複数のチャンネルが2次元マトリックス状に配列されている場合、すなわち、複数の二次電子放出片124が各段のダイノード108において2次元マトリックス状に配列されている場合には、アノード112においても、複数のアノード片121を2次元マトリックス状に配列する。例えば、第3(A)図及び第3(B)図に示すように、複数のアノード片121を2次元マトリックス状に配列する。
上記構成の従来の光電子増倍管100では、光が受光面板103に入射すると、光電面103aから電子が放出され、この電子が、収束電極113にてチャンネル毎に収束され、複数段のダイノード108にてチャンネル毎に多段増倍される。こうしてチャンネル毎に増倍された電子は、対応するアノード片121にて収集されることで、チャンネル毎の出力が得られる。
このように、電子増倍部109が積層型のチャンネルダイノード構造を有していれば、電子をチャンネル毎に多段増倍することができる。このため、電子増倍部109で増倍された電子が隣り合うアノード片121間のアノード基板120上に到来することはほとんどない。
発明の開示
しかしながら、本発明者らは、上記従来の光電子増倍管100では、アノード片121間のクロストークが生じてしまい、チャンネル毎のエネルギーの分解能が不十分であることを発見した。
そこで、本発明者らは、電子増倍部109から放出された電子について考察した。その結果、アノード片121に入射した電子が更に当該アノード片121から二次電子を放出させ、この行き場のない二次電子が隣のアノード片121に入射してクロストークを発生させてしまっていることを発見した。
そこで、本発明は、上記課題を解決し、アノードにおけるクロストークを防止し、チャンネル毎のエネルギーの分解能を向上させるようにした光電子増倍管及びその使用方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、光の入射によって電子を放出する光電面と、複数段のダイノードを有し、該複数段のダイノードが、該光電面の側から、第1段目から最終段目まで、この順に積層状に配置され、各段のダイノードが複数のチャンネルを規定し、該光電面から放出された電子を対応するチャンネル毎に多段増倍させる積層型チャンネルダイノード部と、複数のアノード電極を、該最終段目のダイノードに対向して、かつ、該複数のチャンネルに1対1に対応して備え、該積層型チャンネルダイノード部の該複数のチャンネルで多段増倍された電子に基づいてチャンネル毎の出力信号を送出するアノードと、複数の導電性仕切り部材を該最終段目のダイノードに対向して備え、各導電性仕切り部材が、対応する2つの隣り合うアノード電極の間に設けられ、かつ、該各導電性仕切り部材に、該各アノード電極に印加される所定のアノード電位と該最終段目のダイノードに印加される所定の最終段ダイノード電位との間の電位が印加される遮蔽電極と、を備えていることを特徴とする光電子増倍管を提供している。
かかる構成の本発明の光電子増倍管においては、電位が光電面からアノードに向かって順次高くなるように、光電面と第1段目乃至最終段目のダイノードとアノードとに対し電圧が印加される。したがって、最終段目のダイノードに印加される最終段ダイノード電位より、アノード電極に印加されるアノード電位の方が高い。光電面の任意の位置に光が入射すると、光電面の当該位置から電子が放出される。この電子は、第1段目乃至最終段目のダイノードにおける対応するチャンネルにて多段増倍され、最終段目のダイノードから放出される。
ここで、導電性仕切り部材が、各2つの隣り合うアノード電極の間に、各2つの隣り合うチャンネルを仕切るように設けられている。そして、この導電性仕切り部材に、アノード電位と最終段ダイノード電位との間の電位、すなわち、最終段ダイノード電位より高く、かつ、アノード電位より低い電位が印加される。このため、最終段ダイノードの任意のチャンネルから放出された電子を、対応するアノード電極のみに入射させることができ、かつ、該対応するアノード電極への電子の入射に応じて該アノード電極から二次電子が放出されるのを抑制することができる。したがって、アノードにおけるクロストークを防止し、チャンネル毎のエネルギーの分解能を向上させることができる。
より詳しくは、各アノード電極の両側には、最終段ダイノード電位より高い電位が印加された2つの導電性仕切り部材が配置されている。このため、最終段ダイノードの任意のチャンネルから放出された電子は、対応するアノード電極の両側に配置されている2つの導電性仕切り部材に電気的に引きつけられつつ、更に高い電位の当該対応するアノード電極へ導かれる。このため、各チャンネルからの電子を、確実に、対応するアノード電極に導くことができる。したがって、アノード電極間におけるクロストークを防止し、チャンネル毎の分解能を向上させることができる。
しかも、導電性仕切り部材の電位はアノード電位より低いため、電子がアノード電極に到達した際アノード電極より電子が放出されにくくなっている。たとえ、当該アノード電極より電子が放出されても、この放出電子は、アノード電極の両側に配置されているこれら2つの導電性仕切り部材の低い電位により電気的に押し戻される。したがって、この放出電子は、導電性仕切り部材や隣のアノード電極には到達できず、元のアノード電極へ戻っていく。このように、本発明では、アノード電極からの電子の放出を押さえ込む、すなわち、アノード電極から電子が放出されにくくし、たとえ放出されても当該放出電子を確実に当該アノード電極に戻すことができる。したがって、アノード電極間のクロストークを確実に防止することができる。
ここで、各導電性仕切り部材は、アノード電極から放出された電子が隣のアノード電極に入力できないよう、隣り合うアノード電極間を遮蔽する大きさとなっているのが好ましい。例えば、導電性仕切り部材の最終段ダイノードに向かって延びる高さが、各アノード電極の最終段ダイノードに向かって延びる高さより高く、各アノード電極から隣のアノード電極が見通せない、すなわち、各アノード電極が隣のアノード電極を直線的に直接望むことができないようにすれば良い。たとえ電子がアノード電極から放出されても、電子が隣のアノード電極に入射するのを防止することができる。
更に、各導電性仕切り部材は、最終段ダイノードの各チャンネルから放出された電子が対応するアノード電極の隣のアノード電極に入力できないように、最終段ダイノードの各チャンネルと、対応するアノード電極の隣のアノード電極とを遮蔽することができる大きさとなっているのが好ましい。例えば、導電性仕切り部材の最終段ダイノードに向かって延びる高さを、最終段ダイノードの各チャンネルが対応するアノード電極の隣のアノード電極を見通せない、すなわち、直線上に直接望むことができないような大きさにすれば良い。具体的には、各段のダイノードは複数の二次電子放出片を有しており、導電性仕切り部材の最終段ダイノードに向かって延びる高さが、導電性仕切り部材の上端部が最終段ダイノードの対応する二次電子放出片の下端部に近接する大きさであり、最終段ダイノードの各チャンネルから隣のチャンネルのアノード電極が見通せないようにすれば良い。最終段ダイノードの各チャンネルから放出された電子が隣のチャンネルのアノード電極に入射するのを防止することができる。
導電性仕切り部材に印加すべき電位の値は、アノード電位の値と最終段ダイノード電位の値との中間の値であって、最終段ダイノードの各チャンネルから放出された電子が対応するアノード電極に適切に入射でき、かつ、当該電子が当該アノード電極の両側に位置している導電性仕切り部材に直接又は間接的に入射するのを防止できる範囲内の値であることが好ましい。
導電性仕切り部材に、アノード電位より高い電位が印加されると、最終段ダイノードから出た電子は、対応するアノード電極ではなく、このアノード電極の両側に位置する導電性仕切り部材のいずれかに直接入射してしまい、アノード電極の出力が低下してしまう。また、最終段ダイノードから出た電子がアノード電極に正しく入射しても、かかる入射に伴いアノード電極から二次電子が放出され、アノード電位より高い電位の導電性仕切り部材に電気的に引き寄せられて、導電性仕切り部材に入射してしまう。この場合にも、アノード電極の出力が低下してしまう。
また、アノード電位と同電位、もしくは、アノード電位より低くてもアノード電位との差が小さいような電位を導電性仕切り部材に印加したのでは、最終段ダイノードから出た電子は、やはり、導電性仕切り部材に、直接入射してしまい、アノード電極の出力が低くなってしまう可能性がある。また、最終段ダイノードから出た電子がアノード電極に正しく入射しても、アノード電位と導電性仕切り部材の電位との電位差が、アノード電極で生じる二次電子のエネルギー(放出スピード)に比べ小さいため、二次電子の放出を押さえ込むことができない。したがって、この場合にも、二次電子がアノード電極より放出され、導電性仕切り部材もしくは隣のアノード電極に到達してしまう。すると、アノード電極の出力が低下してしまう。二次電子が隣のアノード電極に到達した場合には、クロストークも生じてしまう。
その一方で、逆に、導電性仕切り部材に対し、アノード電位より十分低く最終段ダイノード電位との差が小さいような電位を印加すると、最終段ダイノードから出た電子は、導電性仕切り部材が生成する電子レンズの影響により、対応するアノード電極に入射できなくなってしまう。
したがって、導電性仕切り部材に印加される電位と最終段ダイノード電位との差が、最終段ダイノードの各チャンネルから放出された電子を対応するアノード電極に適切に入射させる大きさを有し、導電性仕切り部材に印加される電位とアノード電位との差が、最終段ダイノードの各チャンネルから放出された電子が対応するアノード電極の両側に位置している導電性仕切り部材に入射すること、及び、アノード電極で生じる二次電子が対応するアノード電極の隣のアノード電極に入射するのを防止する大きさを有しているのが好ましい。
例えば、導電性仕切り部材に印加すべき電位は、最終段ダイノード電位より高く、アノード電位より低く、アノード電位との差が、アノード電位と最終段ダイノード電位との差の約5%以上約70%以下の範囲内であるような電位であることが好ましい。例えば、アノード電位が0ボルト、最終段ダイノードが所定の負の電位である場合には、導電性仕切り部材には、負の電位であって、その絶対値が最終段ダイノードの電位の絶対値の約5%以上約70%以下であるような範囲内の電位を印加すれば良い。例えば、導電性仕切り部材に印加される電位とアノード電位との差が、アノード電位と最終段ダイノード電位との差の約半分、即ち、約50%であるような電位を印加すれば良い。
ここで、アノードは、セラミック基板からなるアノード基板を更に備え、複数のアノード電極がアノード基板上に複数のチャンネルに1対1に対応して設けられていることが好ましい。そして、遮蔽電極は、枠状部材を更に備え、複数の導電性仕切り部材がこの枠状部材に対し一体的に形成されていることが好ましい。この場合、遮蔽電極を、各導電性仕切り部材が対応する2つの隣り合うアノード電極間に位置するように、アノード基板上に配置するだけで、簡単に、アノード電極と導電性仕切り部材とを適切な位置に配置することができる。
なお、積層型チャンネルダイノード部において複数のチャンネルがリニアに一方向に配列されている場合には、複数のアノード電極も当該方向に略平行に一次元的に配列される。したがって、各導電性仕切り部材は、当該1次元方向において、対応する2つの隣り合うアノード電極の間に設けられる。一方、複数のチャンネルが二次元マトリックス的に配列されている場合には、複数のアノード電極も二次元マトリックス的に配列される。したがって、各導電性仕切り部材は、当該二次元方向の各方向において、対応する2つの隣り合うアノード電極の間に設けられる。
ここで、本発明の光電子増倍管は、前記アノードと前記最終段ダイノードとの間に設けられ、複数の収束片を有し、各隣り合う2つの収束片がその間に1つの開口部を規定することで複数の開口部を規定し、前記最終段ダイノードの各チャンネルから放出された電子を対応する開口部で収束して対応するアノード電極に導くことにより、該最終段ダイノードから放出された電子をチャンネル毎に収束する収束電極を、更に備えていることが好ましい。
この場合、収束電極には、最終段ダイノードの各チャンネルから放出された電子を収束して対応するアノード電極に導くための電子レンズを形成するための電位が印加される。例えば、収束電極には、最終段ダイノード電位と略同一の電位が印加されるのが好ましい。かかる収束電極により、最終段ダイノードの任意のチャンネルから放出された電子を、対応するアノード電極へ、確実に導くことができ、クロストークをより確実に防止することができる。しかも、導電性仕切り部材には、最終段ダイノード電位とアノード電位との中間電位が印加されているため、アノード電極からの電子の放出を確実に押さえ込むことができ、クロストークを更に確実に防止することができる。
ここで、本発明の光電子増倍管は、前記光電面と前記積層型チャンネルダイノード部との間に設けられ、複数の別の収束片を有し、各隣り合う2つの別の収束片がその間に1つの開口部を規定することで複数の開口部を規定し、前記光電面の任意の位置から放出された電子を対応する開口部で収束して該積層型チャンネルダイノード部の対応するチャンネルに導くことにより、該光電面の任意の位置から放出された電子をチャンネル毎に収束する別の収束電極を、更に備えていることが好ましい。例えば、該別の収束電極には、該光電面と略同一の電位が印加されるのが好ましい。
このように、光電面と積層型チャンネルダイノード部との間に、チャンネル毎に電子を収束させる別の収束電極を設ければ、光電面の任意の位置から放出された電子を、より確実に、積層型チャンネルダイノード部の対応するチャンネルに導くことができる。
本発明の光電子増倍管は、更に、受光面板と、該受光面板と共に真空領域を形成するための、例えば、側管とステムとからなる壁部とを備えていることが好ましい。この場合、光電面は、受光面板の内面であって該真空領域内部に形成され、積層型チャンネルダイノード部、アノード、遮蔽電極、及び、収束電極が、この真空領域内部に設けられる。このため、光が受光面板を透過し光電面の任意の位置に入射すると、光電面の当該位置から電子が放出される。この電子が、対応するチャンネルにて増倍され、対応するチャンネルの出力信号が生成される。
さらに、受光面板内に各チャンネルに対応させて光吸収ガラスの仕切り部を設け、受光面板の外側表面に各チャンネルに対応した集光装置を設け、各収束片の表面に光無反射処理を施し、複数段のダイノードのうちの光電面側から第1段目及び第2段目に位置するダイノードの各チャンネルを規定する各二次電子放出片の表面に光無反射処理を施し、更に、該別の収束電極の各チャンネルを規定する各収束片の長さを長くして、第1段目及び第2段目に位置するダイノードの前記各チャンネルを規定する該各二次電子放出片の表面で反射した光が該光電面内の隣のチャンネル位置に戻ることを防止すれば、光のクロストークをも抑制して、分解能を更に向上させることが可能となる。
また、本発明は、光の入射によって電子を放出する光電面と、複数段のダイノードを有し、該複数段のダイノードが、該光電面の側から、第1段目から最終段目まで、この順に積層状に配置され、各段のダイノードが複数のチャンネルを規定し、該光電面から放出された電子を対応するチャンネル毎に多段増倍させる積層型チャンネルダイノード部と、複数のアノード電極を、該最終段目のダイノードに対向して、かつ、該複数のチャンネルに1対1に対応して備え、該積層型チャンネルダイノード部の該複数のチャンネルで多段増倍された電子に基づいてチャンネル毎の出力信号を送出するアノードと、複数の導電性仕切り部材を該最終段目のダイノードに対向して備え、各導電性仕切り部材が対応する2つの隣り合うアノード電極の間に設けられる遮蔽電極と、を備えた光電子増倍管において、該各アノード電極に所定のアノード電位を印加し、該最終段目のダイノードに所定の最終段ダイノード電位を印加し、該各導電性仕切り部材に、該アノード電位と該最終段ダイノード電位との間の電位を印加することを特徴とする光電子増倍管の使用方法を提供している。
かかる構成の本発明の光電子増倍管の使用方法においては、電位が光電面からアノードに向かって順次高くなるように、光電面と第1段目乃至最終段目のダイノードとアノードとに対し電圧が印加される。導電性仕切り部材に印加される電位は、最終段ダイノード電位より高く、かつ、アノード電位より低い電位である。このため、該最終段ダイノードの任意のチャンネルから放出された電子を、対応するアノード電極に入射させ、かつ、該対応するアノード電極への電子の入射に応じて該アノード電極から二次電子が放出されるのを抑制することができる。したがって、アノードにおけるクロストークを防止し、チャンネル毎のエネルギーの分解能を向上させることができる。
ここで、前記導電性仕切り部材に印加される電位と前記最終段ダイノード電位との差が、該最終段ダイノードの各チャンネルから放出された電子を対応するアノード電極に適切に入射させる大きさを有し、該導電性仕切り部材に印加される電位と該アノード電位との差が、該最終段ダイノードの各チャンネルから放出された電子が該対応するアノード電極の両側に位置している該導電性仕切り部材に入射すること、及び、該アノード電極で生じる二次電子が該対応するアノード電極の隣のアノード電極に入射するのを防止する大きさを有していることが好ましい。したがって、アノード電極間のクロストークを確実に防止することができる。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の実施の形態に係る光電子増倍管及びその使用方法について図を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態による光電子増倍管及びその使用方法について第4図乃至第7(B)図に基づき説明する。
第4図に示すように、本実施の形態に係る光電子増倍管1は、略角筒形状の金属製側管2を有している。なお、金属製側管2の管軸方向をZ軸とする。Z軸に対して垂直で第4図の紙面に平行な軸をX軸とする。また、X軸とZ軸とに垂直で第4図の紙面に直交する軸をY軸とする。
側管2の管軸方向の一側の開口端にはガラス製の受光面板3が固定されている。受光面板3の内表面には、光を電子に変換する光電面3aが形成されている。光電面3aは、受光面板3に予め蒸着させておいたアンチモンにアルカリ金属蒸気を反応させることで形成されたものである。また、側管2の管軸方向の他側の開口端には、フランジ部2aが形成されている。フランジ部2aには、金属製のステム4の周縁部が、抵抗溶接等で固定されている。このように、側管2と受光面板3とステム4とによって密封容器5が構成されている。
また、ステム4の中央には金属製の排気管6が固定されている。排気管6は、光電子増倍管1の組立て作業終了後、密封容器5の内部を真空ポンプ(図示せず)によって排気して真空状態にするのに利用されると共に、光電面3aの形成時にアルカリ金属蒸気を密封容器5内に導入させる管としても利用される。複数のステムピン10が、ステム4を貫通するように、設けられている。これら複数のステムピン10は、複数のダイノード用のステムピン10と、複数のアノード用ステムピンと、1本の遮蔽電極用ステムピンとを、含んでいる。
密封容器5内には、ブロック状で積層タイプの電子増倍器7が固定されている。電子増倍器7は、10枚(10段)のダイノード8を積層させた電子増倍部9を有している。ダイノード8は例えばステンレス製である。電子増倍器7は、ステム4に設けられた複数のステムピン10によって密封容器5内で支持されている。なお、各ダイノード8が、対応するダイノード用ステムピン10と電気的に接続されている。
更に、電子増倍器7は、光電面3aと電子増倍部9との間に配置された平板状の第1の収束電極13を有している。第1の収束電極13も例えばステンレス製である。第1の収束電極13は、互いに平行に配列された複数本の直線状の収束片23を有している。隣接する収束片23間にスリット状の開口部13aが形成されている。したがって、複数本の開口部13aが、一方向(X軸に平行な方向)にリニアに配列されている。
電子増倍部9は、複数段のダイノード8が積層された積層型チャンネルダイノードである。この例では、電子増倍部9には、全10段のダイノード8(ダイノードDy1〜ダイノードDy10)が、光電面3aの側から後述するアノード12の側へこの順に積層されている。ここで、各段のダイノード8(ダイノードDyi(ここで、iは、1以上10以下の整数)は、互いに平行に配列された複数本の直線状の二次電子放出片24を有している。隣接する二次電子放出片24間にスリット状の電子増倍孔8aが形成されている。したがって、各段のダイノード8(Dyi)には、複数本(開口部13aと同数)のスリット状の電子増倍孔8aが、一方向(X軸に平行な方向)にリニアに配列されている。
各電子増倍経路Lが、全段のダイノード8(Dy1〜Dy10)の各電子増倍孔8aが段方向に配列されることにより規定されている。各電子増倍経路Lと収束電極板13の各開口部13aとが、一対一で対応されており、1つのチャンネルAが規定されている。したがって、収束電極板13の複数の開口部13aと、電子増倍部9の各段における複数の電子増倍孔8aとにより、複数のチャンネルAが規定されている。これら複数のチャンネルAは、一方向(X軸に平行な方向)にリニアに配列されている。
また、電子増倍器7の最下部には、最終段ダイノード8(ダイノードDy10)に対向して多極型の平板状アノード12が配置されている。このアノード12では、第4図及び第5(A)図、第5(B)図に示すように、複数本の棒状アノード片21が、最終段ダイノード8(Dy10)の複数のチャンネルAに一対一で対応するように、セラミック製の基板20上に配置されている。このように、アノード12は、複数のアノード片21が一方向(X軸に平行な方向)にリニアに配列されて構成されたリニア構造を有している。各アノード片21は、例えば、ステンレス(SUS)製である。各アノード片21は、対応するアノード用ステムピン10に接続されている。かかる構成により、アノード用のステムピン10を介して個別的な出力を外部に取り出すことができるようになっている。
本実施の形態では、更に、第4図と、第5(A)図及び第5(B)図に示すように、平板状の遮蔽電極15が、アノード12のセラミック基板20上に配置されている。この遮蔽電極15は、導電性を有する材料で作成されている。この例では、遮蔽電極15は、ステンレス製である。なお、遮蔽電極15は、ニッケル、鉄ニッケル(合金)、アルミニウム等の金属でも良い。この遮蔽電極15は、枠板22と、この枠板22に対し一体的に形成され、互いに平行に配列された複数本の直線状の導電性仕切り部材25とから構成されている。隣接する導電性仕切り部材25間には、スリット状の開口部15aが形成されている。かかる構成の遮蔽電極15は、複数本の導電性仕切り部材25と複数本の開口部15aとが一方向(X軸に平行な方向)にリニアに配列されるような向きで、かつ、各開口部15a内に1つのアノード片21が位置するように、セラミック基板20上に配置されている。このため、各導電性仕切り部材25は、対応する2つの隣接するアノード片21の間に位置し、隣り合うチャンネルAを仕切るようになっている。
各導電性仕切り部材25は、第5(B)図に示すように、アノード片21から放出された電子が隣のアノード片21に入力できないよう、隣り合うアノード片21間を遮蔽するような形状及び大きさとなっている。具体的には、導電性仕切り部材25の管軸方向(Z軸方向)の断面高さ(最終段ダイノード8(ダイノードDy10)の対応する二次電子放出片24の方向へ延びる断面高さ)z1を、各アノード片21の管軸方向の断面高さ(最終段ダイノード8(ダイノードDy10)の対応するチャンネルAの方向へ延びる断面高さ)z2より高くしている。これにより、各アノード片21が隣のアノード片21を見通せない、すなわち、各アノード片21が隣のアノード片21を直線的に直接望むことができない。このため、たとえアノード片21から二次電子が放出されても、この二次電子が隣のアノード片21に入射するのを防止することができる。
しかも、各導電性仕切り部材25は、第4図に示すように、最終段ダイノード8(ダイノードDy10)の各チャンネルAから放出された電子が対応するアノード片21の隣のアノード片21に入力できないように、最終段ダイノード8の各チャンネルAと、対応するアノード片21の隣のアノード片21とを遮蔽するような形状及び大きさとなっている。具体的には、導電性仕切り部材25の管軸方向の断面高さz1を高くして、その上端を最終段ダイノード8の対応する二次電子放出片24の下端に近接させることにより、各アノード片21から最終段ダイノード8の対応するチャンネルAの隣のチャンネルAが見通せないようになっている。言い換えれば、最終段ダイノード8の各チャンネルAから隣のチャンネルAのアノード片21が見通せない。すなわち、最終段ダイノード8の各チャンネルAは、隣のチャンネルAのアノード片21を直線上に直接望むことができない。このため、最終段ダイノード8(Dy10)の各チャンネルAから放出された電子が隣のチャンネルAのアノード片21に入射することを防止することができる。
以上のように、上記断面高さz1を有する各導電性仕切り部材25によれば、最終段ダイノード8の各チャンネルAからの電子が隣のチャンネルのアノード片21に入力することを防止でき、かつ、アノード片21から放出された電子が隣のアノード片21に入射することをも防止できる。
ここで、本実施の形態では、各アノード片21は、断面円形状の棒状をしており、その断面の直径(すなわち、管軸方向の高さz2)は0.35mmである。一方、各導電性仕切り部材25は、断面矩形状の棒状をしており、その断面高さ(すなわち、管軸方向の高さ)z1は0.5mmである。各導電性仕切り部材25の上端と最終段ダイノード8(Dy10)の二次電子放出片24の下端との距離は、0.15mmである。
ただし、各アノード片21は上記のような断面円形状でなくてもいい。例えば、各アノード片21は、第2(B)図に示したような断面矩形状等、任意の断面形状とすることができる。また、各導電性仕切り部材25も、上記の断面矩形状に限らず、任意の断面形状とすることができる。
以上のように、電子増倍器7は、リニアに配列された複数のチャンネルAを有している。そして、電子増倍器7内の電子増倍部9、アノード12、及び、遮蔽電極15には、ステムピン10を介して、図示しないブリーダ回路からなる電圧印加装置60より所定の電圧が供給される。ここで、光電面3aと収束電極板13には、同電位の電圧(例えば、負の電位)が印加される。また、電子増倍部9の全10段のダイノード8とアノード12には、光電面3aに最も近い第1段からアノード12に最も近い第10段、さらに、アノード12に向かって、電位が順次高くなるように、電圧が印加される。例えば、光電面3aに−800ボルトを印加し、アノード12のアノード片21を0ボルトとする場合には、第1段〜第10段のダイノード8(Dy1〜Dy10)には、−800Vより順次(800)/11=約72.7ボルトずつ増加する電位が、印加される。具体的には、第1段ダイノード8(Dy1)には、約−727.3ボルト、第2段ダイノード8(Dy2)には、約−654.6ボルト、・・・、そして、最終段(第10段)ダイノード8(Dy10)には、約−72.7ボルトが印加される。遮蔽電極15には、後述するように、最終段ダイノード8(Dy10)とアノード12との中間電位、例えば、−(800)/11ボルトの半分=約−36.4ボルトが、印加される。
受光面板3内には、光吸収ガラスからなる複数の仕切り部(スリット)26が複数のチャンネルAに1対1に対応するように埋設されている。すなわち、各仕切り部26は、第1の収束電極13の収束片23に対応する位置に設けられている。この結果、受光面板3内が仕切り部26によってチャンネルA毎に仕切られ、受光面板3内で光のクロストークが適切に防止されている。仕切り部26には、例えば、着色(例えば、黒色)が施された薄板ガラスが設けられており、光の吸収を可能ならしめている。
更に、受光面板3aの外側表面29には、集光部材30が接着剤によって固定されている。集光部材30は、外部からの光を各チャンネルA内に確実に入射させるためのものである。より詳しくは、集光部材30は、複数個(すなわち、チャンネルAの数)のガラス製の集光レンズ部32からなる。各集光レンズ部32は、1つの凸レンズ面31を有している。これら複数個の集光レンズ部32が、一方向(X軸に平行な方向)に並設された状態で、受光面板3aの外側表面29に固定されている。かかる構造の集光部材30は、外部からの光を凸レンズ面31によって仕切り部26間で集光させながら、光電面3aに確実に入射させることができる。したがって、光の集光性が高められると同時に光のクロストーク対策を確実なものとしている。なお、集光部材30として光ファイバ等のライトガイドを使用しても良い。
また、第1の収束電極13の各収束片23の表面には、図示しない酸化膜が形成されており、各収束片23での光の反射を無くしている。従って、たとえ、受光面3を透過した光がさらに光電面3aを抜け出ていずれかの収束片23に入射しても、この光が収束片23で反射することが防止される。このため、かかる反射光が光電面3aに戻ることにより光電面3aから無用な電子を放出させ光のクロストークを生じさせることを防止できる。このように、第1の収束電極13は、反射防止メッシュとして機能している。
また、多段状に整列された全10段のダイノード8のうち光電面3a側の第1段目及び第2段目のダイノード8(Dy1、Dy2)の各二次電子放出片24は、光電面3a側から見た場合に見通せる位置にあり、一方、他の段のダイノード8(Dy3〜Dy10)は、電子増倍経路Lが蛇行している故に、光電面3a側から見通すことができない。したがって、光電面3aから抜け出た光が第1段目及び第2段目のダイノード8(Dy1、Dy2)の各二次電子放出片24に入射する可能性がある。このため、第1段目及び第2段目のダイノード8の二次電子放出片24の表面にも図示しない酸化膜が形成されており、これらでの光の反射を無くして、反射光による無用な電子を光電面3aから放出させないようにし、光のクロストークを防止している。なお、第1の収束電極13の収束片23や第1段・第2段ダイノード8には、光無反射処理として、酸化膜の代わりに、例えば、ブラックアルミのような光吸収性の物質を蒸着等により形成してもよい。
さらに、第1の収束電極13の各収束片23の管軸方向の長さを長くして、各収束片23の上部を光電面3aに近接させ、第1段目及び第2段目のダイノード8(Dy1、Dy2)の各チャンネルAの二次電子放出片24の表面から、光電面3a内の隣のチャンネル位置が見通せないようになっている。したがって、第1段目及び第2段目のダイノード8の各チャンネルAの二次電子放出片24の表面は、光電面3a内の隣のチャンネル位置を直線上に直接望むことができない。このため、たとえ第1段目及び第2段目のダイノード8の二次電子放出片24の表面にて光が多少反射したとしても、その光が光電面3aの隣のチャンネル位置に戻ることが防止されており、光のクロストークがより確実に防止されている。なお、各収束片23の管軸方向の長さを長くすることによって、各収束片23の下部をも第1段ダイノード8(Dy1)に近接させるようにしても良い。
上記構造を有する本実施の形態の光電子増倍管1では、受光面板3を透過した光は、光電面3aの任意の位置に入射すると、電子に変換され、その電子は、対応するチャンネルA内に入射することになる。なお、光電面3aに入射した光の一部が光電面3aを抜け出てしまっても、この光は第1の収束電極13や第1段、第2段ダイノード8にて反射されず、また、たとえ、第1段、第2段ダイノード8にて反射されても、収束電極13の収束片23により遮られて、光電面3aの隣のチャンネルAに戻ってしまうことが防止される。したがって、光電面3aから無用な電子が放出されるのが防止され、光のクロストークが防止されている。
光電面3aの任意の位置で光から変換された電子は、対応するチャンネルAにおいて、まず、第1の収束電極13における対応する開口部13aを通過し、その際、収束される。さらに、電子増倍部9における対応する電子増倍経路Lを通りながら、全段のダイノード8で多段増倍されて、最終段ダイノード8の対応するチャンネルAから放出される。こうして多段増倍され最終段ダイノード8の対応するチャンネルAから放出された電子は、対応するアノード片21に入射する。この結果、当該所定のチャンネルAのアノード片21から、受光面板3の対応する位置に入射した光の量を個別的に示す所定の出力信号が出力される。
ここで、電子増倍部9は積層型チャンネルダイノードであるため、最終段ダイノードの二次電子放出片24から放出された電子のほとんどは、対応するアノード片21へ向かう経路上を飛行する。しかも、遮蔽電極15、すなわち、導電性仕切り部材25には、アノード片21の電位と最終段ダイノード8(Dy10)の電位との間の電位が与えられている。そのため、最終段ダイノード8(Dy10)から出た電子は、対応するアノード片21の両側に設けられている導電性仕切り部材25により、電気的に引っ張られながら、より高電位の対応するアノード片21へ確実に導かれる。
ここで、電子がアノード片21に到達すると、アノード片21は二次電子を放出する可能性がある。しかしながら、かかる二次電子は、当該アノード片21の両側に設けられたより低い電位の導電性仕切り部材25により、電気的に押さえ込まれている。したがって、二次電子は、アノード片21から、放出されにくくなっている。また、たとえ放出されても、導電性仕切り部材25や他のアノード片21に到達することができず、元のアノード片21へ引き戻される。
以下、遮蔽電極15に印加すべき電位(シールド電位)と、アノード電位及び最終段ダイノード電位との関係について、より詳細に説明する。
導電性仕切り部材25がアノード片21より高電位である場合には、最終段ダイノード8からの電子の多くが導電性仕切り部材25に直接入射してしまい、アノード片21の出力感度が低下してしまう。たとえ、最終段ダイノード8(Dy10)からの電子の一部がアノード片21に正しく入射しても、かかる入射に伴い二次電子がアノード片21より放出され、アノード電位より高い電位の導電性仕切り部材25に電気的に引き寄せられて、導電性仕切り部材25に入射してしまい、アノード片出力が低下してしまう。
また、導電性仕切り部材25の電位が、アノード片21と同電位か、もしくはアノード片21の電位より低いもののアノード電位との差が小さい場合には、最終段ダイノード8(Dy10)からの電子の一部が、導電性仕切り部材25に直接入射してしまい、やはり、アノード出力が低くなってしまう。また、たとえ、最終段ダイノード8からの電子が対応するアノード片21に適切に入射しても、この入射の際にアノード片21で生成される二次電子のエネルギー(放出スピード)の方が導電性仕切り部材25の電位とアノード片21の電位との差に比べ大きいために、当該二次電子は、アノード片21から放出され、導電性仕切り部材25もしくは隣のアノード片21に入射してしまう。かかる二次電子の放出により、アノード片21の出力感度が落ちてしまう。また、二次電子が隣のアノード片21に入射すると、クロストークが生じてしまう。
一方、導電性仕切り部材25の電位がアノード片21の電位より低く、かつ、アノード片電位との差がある程度大きければ、最終段ダイノード8(Dy10)からの電子を、適切に、対応するアノード片21に入射させることができる。しかも、その入射の際にアノード片21で生成される二次電子のエネルギー(放出スピード)が導電性仕切り部材25の電位とアノード片21の電位との差に比べ小さいため、当該二次電子をアノード片21に押さえ込むことができる。すなわち、アノード片21から二次電子を放出されにくくし、また、たとえ放出されても当該アノード片21に押し戻すことができる。
ただし、導電性仕切り部材25の電位がアノード電位より十分低くなり最終段ダイノード電位に近くなってくると、導電性仕切り部材25が発生する電子レンズ効果により、最終段ダイノード8からの電子は、対応するチャンネルのアノード片21へ適切に導かれなくなってしまう。
したがって、導電性仕切り部材25(遮蔽電極15)に印加すべき電位は、最終段ダイノード電位とアノード電位との中間電位であって、導電性仕切り部材25が最終段ダイノード8の各チャンネルAから出力された電子を対応するアノード片21に適切に導くことができ、かつ、最終段ダイノード8からの放出電子あるいはアノード片21からの放出電子が導電性仕切り部材25に入射してしまわない範囲内に設定する。例えば、遮蔽電極15の電位を、そのアノード電位との差が、アノード電位と最終段ダイノード電位との差の、例えば、約5%以上約70%以下の範囲内に設定することが好ましい。
(実験)
本発明者らは、遮蔽電極15、すなわち、各導電性仕切り部材25に印加すべき電圧の好ましい範囲を調べるための実験を行った。
なお、この実験においても、光電子増倍管1の光電面3aに−800Vを印加し、アノード12を0Vとし、全第10段のダイノード8(Dy1〜Dy10)に、−800Vより順次(800)/11=約72.7Vずつ増加する電位を印加した。したがって、最終段ダイノード8には、−(800)/11=−72.7Vが印加された。
そして、遮蔽電極15(すなわち、各導電性仕切り部材25)の電位(シールド電位)を−70V〜+70Vの間で変化させていき、アノード片出力がどのように変わるかを調べた。
第6図は、遮蔽電極15の電位を変化させた結果得られたアノード出力の変化を示すグラフである。ここで、アノード出力電流がプラスであるとは、最終段ダイノード8からアノード片21に入射する電子の数よりアノード片21から放出される電子の数が多いことを示している。逆に、アノード出力電流がマイナスであるとは、最終段ダイノード8からアノード片21に入った電子が適切にアノード片21で吸収されていることを示す。
このグラフより明らかなように、遮蔽電極15の電圧が約−20Vの時アノード片21で最高出力が得られ、遮蔽電極15の電圧が約−50V以上約−5V以下の時、アノード片21で許容範囲(最高出力の約8割以上)の出力が得られた。
以上の実験より、電子増倍部9が10段構成のダイノード8を備えている場合において、光電面3aに−800ボルト、アノード12に0Vを印加し、第1段〜第10段のダイノード8に、−800ボルトより、順次、(800)/11=約72.7ボルトずつ増加する電位を印加する場合には、導電性仕切り部材25、すなわち、遮蔽電極15には、最終段ダイノード8とアノード12との中間電位として、例えば、約−50ボルト以上約−5ボルト以下の範囲の電位を印加するのが好ましいことがわかった。例えば、−(800)/11ボルトの半分=約−36.4ボルトの電位を印加すれば良い。
また、遮蔽電極15に−36.4ボルトの電位を印加して実験を行ったところ、クロストークが減少されチャンネル毎の分解能が向上していることが確認された。
以上のように、本実施の形態の光電子増倍管1は、受光面板3に入射した光によって電子を放出する光電面3aを有し、光電面3aから放出された電子をチャンネル毎に増倍させる複数段のダイノード8からなる電子増倍部9を有し、光電面3aと電子増倍部9との間でチャンネル毎に電子を収束させる第1の収束電極13を有し、電子増倍部9の各チャンネルで増倍させた電子に基づいてチャンネル毎に出力信号を送出するアノード12を有している。ここで、電子増倍部9は、積層型チャンネルダイノードであり、複数段のダイノード8が、光電面3aの側からアノード12の側へ向かって、第1段目(Dy1)から最終段目(Dy10)まで、この順に積層状に配置され、各段のダイノード8が複数のチャンネルAを規定し、光電面3aから放出された電子を対応するチャンネル毎に多段増倍させる。アノード12は、複数のアノード片21を、最終段目のダイノード8に対向して、かつ、複数のチャンネルAに1対1に対応して備え、電子増倍部9の複数のチャンネルAで多段増倍された電子に基づいてチャンネル毎の出力信号を送出する。
ここで、複数の導電性仕切り部材25を備えた遮蔽電極15が、各導電性仕切り部材25が対応する2つの隣り合うアノード片21の間に位置し、2つの隣り合うチャンネルを仕切るように、設けられている。ここで、導電性仕切り部材25は、隣り合うアノード片21が互いに見通せず、かつ、最終段ダイノード8の各チャンネルAから対応するアノード片21の隣のアノード片21が見通せないような形状及び大きさを有している。このため、導電性仕切り部材25は、隣り合うアノード片21を互いに遮蔽し、かつ、最終段ダイノード8の各チャンネルから対応するアノード片21の隣のアノード片21を遮蔽している。導電性仕切り部材25には、最終段ダイノード電位とアノード電位との中間の電位が印加されている。したがって、最終段ダイノード8の各チャンネルAから放出された電子が対応するアノード片21の隣のアノード片21に入射するのを防止して当該対応するアノード片21のみに適切に導き、かつ、当該対応するアノード片21から隣のアノード片21へ電子が放出されるのを抑えることができる。このため、アノード12におけるクロストークを防止することができ、チャンネル毎の分解能を高めることができる。
しかも、第1の収束電極13の各収束片23の表面に酸化膜が形成されているので、各収束片23での光の反射を防止して、反射光による無用な電子を光電面3aから放出させない。また、第1段目及び第2段目のダイノード8の各二次電子放出片24の表面にも酸化膜が形成されているので、当該第1段目及び第2段目のダイノード8での光の反射を防止して、反射光による無用な電子を光電面3aから放出させないようにしている。更に、各収束片23の管軸方向の長さを長くすることにより、第1段目及び第2段目のダイノード8により光が多少反射されてもその反射光が光電面3aの隣のチャンネルに戻るのを防止し、無用な電子を光電面3aから放出させない。更に、受光面板3内に光吸収ガラスの仕切り部26を設けて、受光面板3内でのチャンネルA間での光のクロストークを防止している。しかも、受光面板3の外側表面29上に、集光レンズ部32をチャンネルA毎に対応して並べることで、各チャンネルA毎の光の集光を確実にしている。以上のように、受光面3に仕切り部26を形成し、第1の収束電極13の各収束片23を管軸方向に長くし、第1の収束電極13の各収束片23と第1段、第2段ダイノード8の各二次電子放出片24に酸化膜を形成し、かつ、集光レンズ32を設け、光のクロストークを抑えるように構成したので、チャンネルA間のクロストークを確実に抑え、チャンネル毎の分解能を向上させている。
なお、上記説明では、電子増倍部9において複数のチャンネルAが1次元アレイ状に配列されていた。このため、アノード12においても、第5(A)図及び第5(B)図に示すように、複数の棒状アノード片21が1次元状にリニアに配列されていた。
しかしながら、電子増倍部9においては、複数のチャンネルAが2次元マトリックス状に配列されていても良い。すなわち、各段のダイノード8において、複数の二次電子増倍片24が、X軸に平行な方向とY軸に平行な方向との両方からなる2次元方向にマトリックス状に配列されていても良い。
かかる場合には、アノード12においても、第5(A)図及び第5(B)図を参照して説明した1次元リニア配置構造の代わりに、例えば、第7(A)図及び第7(B)図に示すような2次元配置構造とすれば良い。より詳しくは、複数の略正方形板状のアノード片21を、セラミック基板20上に、X軸に平行な方向とY軸に平行な方向との両方からなる2次元方向にマトリックス状に配列すれば良い。遮蔽電極15においても、複数の導電性仕切り部材25を二次元メッシュ(格子)状に配列し枠板22に接続すれば良い。この結果、隣り合う導電性仕切り部材25の間に略正方形状の開口部15aが形成される。かかる構造の遮蔽電極15を、各アノード片21が対応する開口部15a内に位置するように、セラミック基板20上に配置する。
なお、かかる2次元配置構造の場合にも、第7(B)図に示すように、各導電性仕切り部材25の管軸方向の高さz1を、アノード片21の高さz2より高くして、隣り合うアノード片21が互いに見通せないようにし、隣り合うアノード片21を互いに遮蔽すれば良い。たとえアノード片21から二次電子が放出されても、この二次電子が隣のアノード片21に入射するのを防止することができる。しかも、各導電性仕切り部材25の管軸方向の高さz1を高くしてその上端を最終段ダイノード8の対応する二次電子放出片24の下端に近接させることにより、最終段ダイノード8の各チャンネルAから対応するアノード片21の隣のアノード片21が見通せないようにすれば良い。最終段ダイノード8の各チャンネルAに対し、対応するアノード片21の隣のアノード片21を遮蔽できるため、最終段ダイノード8の各チャンネルAから放出された電子が隣のアノード片21に入射するのを防止することができる。
また、第7(B)図においては、アノード片21も導電性仕切り部材25も、共に、断面矩形状であったが、他の任意の断面形状とすることができる。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態による光電子増倍管及びその使用方法について第8図に基づき説明する。
本実施の形態の光電子増倍管1は、第8図に示すように、最終段(第10段)ダイノード8とアノード12との間に、第2の収束電極17が設けられている点を除き、第4図、第5(A)図、第5(B)図を参照して説明した第1の実施の形態の光電子増倍管1と同一である。
本実施の形態では、第2の収束電極17は、互いに平行に配列された複数本の直線状の収束片27を有している。隣接する収束片27間にスリット状の開口部17aが形成されている。したがって、複数本の開口部17aが、一方向(X軸に平行な方向)にリニアに配列されている。これら複数の開口部17aは、電子増倍部9の複数の電子増倍経路L(複数のチャンネルA)と、一対一で対応している。各開口部17aは、電子増倍部9の最終段ダイノード8(Dy10)の対応するチャンネルAから放出された電子を収束し、対応するアノード片21に導くためのものである。
ここで、第2の収束電極17には、電子を最終段ダイノード8の各チャンネルAから対応するアノード片21に導くために適した電子レンズを形成するために必要な所定の電位が印加される。例えば、第2の収束電極17には、最終段ダイノード8と同一の電位が印加される。具体的には、既述の例のように、光電面3aに−800Vを印加しアノード電位を0Vとする場合には、最終段(第10段)ダイノード8と第2の収束電極17に、互いに等しい−72.7Vを印加し、遮蔽電極15に−36.4Vを印加すれば良い。
かかる構成によれば、電子増倍部9の最終段ダイノード8の任意のチャンネルA(任意の電子増倍経路L)から放出された電子は、第2の収束電極17の対応する開口部17aを通過し、その際、収束され、対応するアノード片21により確実に導かれる。
本実施の形態によれば、第2の収束電極17により、最終段ダイノード8の任意のチャンネルAから放出された電子を、より確実に、対応するアノード片21へ導くことができる。したがって、電子が隣のアノード片21に誤って到達してしまうことをより確実に防止することができる。しかも、最終段ダイノード8とアノード12との中間電位が印加されている遮蔽電極15により、二次電子をアノード片21に対し確実に押さえ込むことができる。
なお、本実施の形態でも、電子増倍部9において複数のチャンネルAが2次元マトリックス状に配置されている場合には、第1の実施の形態の場合と同様、アノード12は、第5(A)図、第5(B)図のような1次元リニア構造ではなく、第7(A)図、第7(B)図のような2次元配置構造とすれば良い。
本発明による光電子増倍管及びその使用方法は上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
例えば、上記実施の形態では、複数の導電性仕切部材25が枠板22に対し一体的に形成されることにより、遮蔽電極15が形成されていた。そして、遮蔽電極15がセラミック基板20上に配置されていた。しかしながら、複数の導電性仕切部材25を個別に作成し、各導電性仕切部材25が2つの隣り合うアノード片21間に位置するように、セラミック基板20上に配置するのでも良い。
上記実施の形態では、アノード片21をセラミック基板20上に配置していた。しかしながら、かかる構成ではなくても良い。例えば、アノード片21を絶縁性基板に蒸着して作成しても良い。
各アノード片21及び各導電性仕切部材25の形状及び配置状態は、上記実施の形態に限られず、各導電性仕切部材25が、最終段ダイノード8の各チャンネルからの電子が隣のチャンネルのアノード片21に入射できないように遮蔽し、かつ、アノード片21から放出された電子が隣のアノード片21に入射できないよう隣り合うアノード片間を遮蔽する機能を有する限り、任意のものとすることができる。
上記実施の形態では、光電面3aを透過した光によるクロストークを防止する様々な構成を採用していた。しかしながら、かかる構成は採用しなくても良い。したがって、第1の収束電極13の収束片23や第1段・第2段ダイノード8に光無反射処理を施さなくても良い。また、第1の収束電極13の収束片23は管軸方向に長くなくてもいい。受光面板3には、仕切り部26を形成しなくても良い。受光面板3上に集光部材30を形成しなくても良い。
産業上の利用可能性
本発明に係る光電子増倍管及びその使用方法は、検出分野等で使用されるレーザスキャニング顕微鏡やDNAシーケンサ等、微弱な光を検出する用途に幅広く用いられる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、従来の光電子増倍管の断面図である。
第2(A)図は、第1図の光電子増倍管において、複数のアノード片が基板上に配置されている状態の一例を示す、電子の入射方向から見た平面図である。
第2(B)図は、第2(A)図におけるIIB−IIB’線断面図である。
第3(A)図は、第1図の光電子増倍管の変更例において、複数のアノード片が基板上に配置されている状態の一例を示す、電子の入射方向から見た平面図である。
第3(B)図は、第3(A)図におけるIIIB−IIIB’線断面図である。
第4図は、本発明の第1の実施の形態による光電子増倍管の断面図である。
第5(A)図は、第4図の光電子増倍管において、遮蔽電極と複数のアノード片とがセラミック基板上に配置されている状態を示す、電子の入射方向から見た平面図である。
第5(B)図は、第5(A)図におけるVB−VB’線断面図である。
第6図は、第4図の光電子増倍管において遮蔽電極に供給する電位を変えていった時のアノード出力の変化を示すグラフである。
第7(A)図は、第4図の光電子増倍管の変更例において、遮蔽電極と複数のアノード片とがセラミック基板上に配置されている状態を示す、電子の入射方向から見た平面図である。
第7(B)図は、第7(A)図におけるVIIB−VIIB’線断面図である。
第8図は、本発明の第2の実施の形態による光電子増倍管の断面図である。
【0006】
対応するアノード電極の隣のアノード電極とを遮蔽することができる大きさとなっているのが好ましい。例えば、導電性仕切り部材の最終段ダイノードに向かって延びる高さを、最終段ダイノードの各チャンネルが対応するアノード電極の隣のアノード電極を見通せない、すなわち、直線上に直接望むことができないような大きさにすれば良い。具体的には、各段のダイノードは複数の二次電子放出片を有しており、導電性仕切り部材は最終段ダイノードに向かって延びており、導電性仕切り部材の上端部と最終段ダイノードの対応する二次電子放出片の下端部との距離が、最終段ダイノードの各チャンネルから隣のチャンネルのアノード電極が見通せない大きさであるようにすれば良い。最終段ダイノードの各チャンネルから放出された電子が隣のチャンネルのアノード電極に入射するのを防止することができる。
導電性仕切り部材に印加すべき電位の値は、アノード電位の値と最終段ダイノード電位の値との中間の値であって、最終段ダイノードの各チャンネルから放出された電子が対応するアノード電極に入射でき、かつ、当該電子が当該アノード電極の両側に位置している導電性仕切り部材に直接又は間接的に入射するのを防止できる範囲内の値であることが好ましい。
導電性仕切り部材に、アノード電位より高い電位が印加されると、最終段ダイノードから出た電子は、対応するアノード電極ではなく、このアノード電極の両側に位置する導電性仕切り部材のいずれかに直接入射してしまい、アノード電極の出力が低下してしまう。また、最終段ダイノードから出た電子がアノード電極に正しく入射しても、かかる入射に伴いアノード電極から二次電子が放出され、アノード電位より高い電位の導電性仕切り部材に電気的に引き寄せられて、導電性仕切り部材に入
【0007】
射してしまう。この場合にも、アノード電極の出力が低下してしまう。
また、アノード電位と同電位、もしくは、アノード電位より低くてもアノード電位との差が小さいような電位を導電性仕切り部材に印加したのでは、最終段ダイノードから出た電子は、やはり、導電性仕切り部材に、直接入射してしまい、アノード電極の出力が低くなってしまう可能性がある。また、最終段ダイノードから出た電子がアノード電極に正しく入射しても、アノード電位と導電性仕切り部材の電位との電位差が、アノード電極で生じる二次電子のエネルギー(放出スピード)に比べ小さいため、二次電子の放出を押さえ込むことができない。したがって、この場合にも、二次電子がアノード電極より放出され、導電性仕切り部材もしくは隣のアノード電極に到達してしまう。すると、アノード電極の出力が低下してしまう。二次電子が隣のアノード電極に到達した場合には、クロストークも生じてしまう。
その一方で、逆に、導電性仕切り部材に対し、アノード電位より十分低く最終段ダイノード電位との差が小さいような電位を印加すると、最終段ダイノードから出た電子は、導電性仕切り部材が生成する電子レンズの影響により、対応するアノード電極に入射できなくなってしまう。
したがって、導電性仕切り部材に印加される電位と最終段ダイノード電位との差が、最終段ダイノードの各チャンネルから放出された電子を対応するアノード電極に入射させる大きさを有し、導電性仕切り部材に印加される電位とアノード電位との差が、最終段ダイノードの各チャンネルから放出された電子が対応するアノード電極の両側に位置している導電性仕切り部材に入射することを防止し、かっ、アノード電極で生じる二次電子が対応するアノード電極の隣のアノード電極に入射することを防止する大きさを有しているのが好ましい。
【0008】
例えば、導電性仕切り部材に印加すべき電位は、最終段ダイノード電位より高く、アノード電位より低く、アノード電位との差が、アノード電位と最終段ダイノード電位との差の5%以上70%以下の範囲内であるような電位であることが好ましい。例えば、アノード電位が0ボルト、最終段ダイノードが所定の負の電位である場合には、導電性仕切り部材には、負の電位であって、その絶対値が最終段ダイノードの電位の絶対値の5%以上70%以下であるような範囲内の電位を印加すれば良い。例えば、導電性仕切り部材に印加される電位とアノード電位との差が、アノード電位と最終段ダイノード電位との差の半分、即ち、50%であるような電位を印加すれば良い。
ここで、アノードは、セラミック基板からなるアノード基板を更に備え、複数のアノード電極がアノード基板上に複数のチャンネルに1対1に対応して設けられていることが好ましい。そして、遮蔽電極は、枠状部材を更に備え、複数の導電性仕切り部材がこの枠状部材に対し一体的に形成されていることが好ましい。この場合、遮蔽電極を、各導電性仕切り部材が対応する2つの隣り合うアノード電極間に位置するように、アノード基板上に配置するだけで、簡単に、アノード電極と導電性仕切り部材とを適切な位置に配置することができる。
なお、積層型チャンネルダイノード部において複数のチャンネルがリニアに一方向に配列されている場合には、複数のアノード電極も当該方向に略平行に一次元的に配列される。したがって、各導電性仕切り部材は、当該1次元方向において、対応する2つの隣り合うアノード電極の間に設けられる。一方、複数のチャンネルが二次元マトリックス的に配列されている場合には、複数のアノード電極も二次元マトリックス的に配列される。したがって、各導電性仕切り部材は、当該二次元方向の各方向において、対応する2つの隣り合うアノード電極の間に設けられる。
【0009】
ここで、本発明の光電子増倍管は、前記アノードと前記最終段ダイノードとの間に設けられ、複数の収束片を有し、各隣り合う2つの収束片がその間に1つの開口部を規定することで複数の開口部を規定し、前記最終段ダイノードの各チャンネルから放出された電子を対応する開口部で収束して対応するアノード電極に導くことにより、該最終段ダイノードから放出された電子をチャンネル毎に収束する収束電極を、更に備えていることが好ましい。
この場合、収束電極には、最終段ダイノードの各チャンネルから放出された電子を収束して対応するアノード電極に導くための電子レンズを形成するための電位が印加される。例えば、収束電極には、最終段ダイノード電位と同一の電位が印加されるのが好ましい。かかる収束電極により、最終段ダイノードの任意のチャンネルから放出された電子を、対応するアノード電極へ、確実に導くことができ、クロストークをより確実に防止することができる。しかも、導電性仕切り部材には、最終段ダイノード電位とアノード電位との中間電位が印加されているため、アノード電極からの電子の放出を確実に押さえ込むことができ、クロストークを更に確実に防止することができる。
ここで、本発明の光電子増倍管は、前記光電面と前記積層型チャンネルダイノード部との間に設けられ、複数の別の収束片を有し、各隣り合う2つの別の収束片がその間に1つの開口部を規定することで複数の開口部を規定し、前記光電面の任意の位置から放出された電子を対応する開口部で収束して該積層型チャンネルダイノード部の対応するチャンネルに導くことにより、該光電面の任意の位置から放出された電子をチャンネル毎に収束する別の収束電極を、更に備えていることが好ましい。例えば、該別の収束電極には、該光電面と同一の電位が印加されるのが好ましい。
【0011】
ドが複数のチャンネルを規定し、該光電面から放出された電子を対応するチャンネル毎に多段増倍させる積層型チャンネルダイノード部と、複数のアノード電極を、該最終段目のダイノードに対向して、かつ、該複数のチャンネルに1対1に対応して備え、該積層型チャンネルダイノード部の該複数のチャンネルで多段増倍された電子に基づいてチャンネル毎の出力信号を送出するアノードと、複数の導電性仕切り部材を該最終段目のダイノードに対向して備え、各導電性仕切り部材が対応する2つの隣り合うアノード電極の間に設けられる遮蔽電極と、を備えた光電子増倍管において、該各アノード電極に所定のアノード電位を印加し、該最終段目のダイノードに所定の最終段ダイノード電位を印加し、該各導電性仕切り部材に、該アノード電位と該最終段ダイノード電位との間の電位を印加することを特徴とする光電子増倍管の使用方法を提供している。
かかる構成の本発明の光電子増倍管の使用方法においては、電位が光電面からアノードに向かって順次高くなるように、光電面と第1段目乃至最終段目のダイノードとアノードとに対し電圧が印加される。導電性仕切り部材に印加される電位は、最終段ダイノード電位より高く、かつ、アノード電位より低い電位である。このため、該最終段ダイノードの任意のチャンネルから放出された電子を、対応するアノード電極に入射させ、かつ、該対応するアノード電極への電子の入射に応じて該アノード電極から二次電子が放出されるのを抑制することができる。したがって、アノードにおけるクロストークを防止し、チャンネル毎のエネルギーの分解能を向上させることができる。
ここで、前記導電性仕切り部材に印加される電位と前記最終段ダイノード電位との差が、該最終段ダイノードの各チャンネルから放出された電子を対応するアノード電極に入射させる大きさを有し、該導電
【0012】
性仕切り部材に印加される電位と該アノード電位との差が、該最終段ダイノードの各チャンネルから放出された電子が該対応するアノード電極の両側に位置している該導電性仕切り部材に入射することを防止し、かつ、該アノード電極で生じる二次電子が該対応するアノード電極の隣のアノード電極に入射することを防止する大きさを有していることが好ましい。したがって、アノード電極間のクロストークを確実に防止することができる。
図面の簡単な説明
第1図は、従来の光電子増倍管の断面図である。
第2(A)図は、第1図の光電子増倍管において、複数のアノード片が基板上に配置されている状態の一例を示す、電子の入射方向から見た平面図である。
第2(B)図は、第2(A)図におけるIIB−IIB’線断面図である。
第3(A)図は、第1図の光電子増倍管の変更例において、複数のアノード片が基板上に配置されている状態の一例を示す、電子の入射方向から見た平面図である。
第3(B)図は、第3(A)図におけるIIIB−IIIB’線断面図である。
第4図は、本発明の第1の実施の形態による光電子増倍管の断面図である。
第5(A)図は、第4図の光電子増倍管において、遮蔽電極と複数のアノード片とがセラミック基板上に配置されている状態を示す、電子の入射方向から見た平面図である。
第5(B)図は、第5(A)回におけるVB−VB’線断面図である。

Claims (23)

  1. 光の入射によって電子を放出する光電面と、
    複数段のダイノードを有し、該複数段のダイノードが、該光電面の側から、第1段目から最終段目まで、この順に積層状に配置され、各段のダイノードが複数のチャンネルを規定し、該光電面から放出された電子を対応するチャンネル毎に多段増倍させる積層型チャンネルダイノード部と、
    複数のアノード電極を、該最終段目のダイノードに対向して、かつ、該複数のチャンネルに1対1に対応して備え、該積層型チャンネルダイノード部の該複数のチャンネルで多段増倍された電子に基づいてチャンネル毎の出力信号を送出するアノードと、
    複数の導電性仕切り部材を該最終段目のダイノードに対向して備え、各導電性仕切り部材が、対応する2つの隣り合うアノード電極の間に設けられ、かつ、該各導電性仕切り部材に、該各アノード電極に印加される所定のアノード電位と該最終段目のダイノードに印加される所定の最終段ダイノード電位との間の電位が印加される遮蔽電極と、
    を備えていることを特徴とする光電子増倍管。
  2. 電位が前記光電面から前記第1段目乃至前記最終段目のダイノードを経て前記アノードに向かって順次高くなるように、該光電面と該第1段目乃至該最終段目のダイノードと該アノードとに対し電圧が印加され、前記各導電性仕切り部材に、前記最終段ダイノード電位より高く、かつ、前記アノード電位より低い電位が印加され、該最終段ダイノードの任意のチャンネルから放出された電子を、対応するアノード電極に入射させ、かつ、該対応するアノード電極への電子の入射に応じて該アノード電極から二次電子が放出されるのを抑制することを特徴とする請求項1記載の光電子増倍管。
  3. 前記導電性仕切り部材に印加される電位と前記最終段ダイノード電位との差が、該最終段ダイノードの各チャンネルから放出された電子を対応するアノード電極に適切に入射させる大きさを有し、該導電性仕切り部材に印加される電位と該アノード電位との差が、該最終段ダイノードの各チャンネルから放出された電子が該対応するアノード電極の両側に位置している該導電性仕切り部材に入射すること、及び、該アノード電極で生じる二次電子が該対応するアノード電極の隣のアノード電極に入射するのを防止する大きさを有していることを特徴とする請求項2記載の光電子増倍管。
  4. 前記導電性仕切り部材に印加される電位と前記アノード電位との差が、該アノード電位と前記最終段ダイノード電位との差の約5%以上約70%以下の範囲内であることを特徴とする請求項2記載の光電子増倍管。
  5. 前記導電性仕切り部材に印加される電位と前記アノード電位との差が、該アノード電位と前記最終段ダイノード電位との差の約50%であることを特徴とする請求項4記載の光電子増倍管。
  6. 前記各導電性仕切り部材は、前記隣り合うアノード電極間を遮蔽し、前記アノード電極から放出された電子を隣のアノード電極に入力させない大きさとなっていることを特徴とする請求項1記載の光電子増倍管。
  7. 前記導電性仕切り部材の前記最終段ダイノードに向かって延びる高さが、前記各アノード電極の該最終段ダイノードに向かって延びる高さより高く、該各アノード電極から隣りのアノード電極が見通せないことを特徴とする請求項6記載の光電子増倍管。
  8. 前記各導電性仕切り部材は、前記最終段ダイノードの各チャンネルと前記対応するアノード電極の隣のアノード電極とを遮蔽し、該最終段ダイノードの各チャンネルから放出された電子を該対応するアノード電極の隣のアノード電極に入力させない大きさとなっていることを特徴とする請求項1記載の光電子増倍管。
  9. 前記各段のダイノードは複数の二次電子放出片を有しており、前記導電性仕切り部材の前記最終段ダイノードに向かって延びる高さが、該導電性仕切り部材の上端部が該最終段ダイノードの対応する二次電子放出片の下端部に近接する大きさであり、該最終段ダイノードの各チャンネルから隣のチャンネルの前記アノード電極が見通せないことを特徴とする請求項8記載の光電子増倍管。
  10. 前記アノードは、セラミック基板からなるアノード基板を更に備え、前記複数のアノード電極が該アノード基板上に前記複数のチャンネルに1対1に対応して設けられており、前記遮蔽電極は、枠状部材を更に備え、前記複数の導電性仕切り部材が該枠状部材に対し一体的に形成されており、該遮蔽電極は、前記各導電性仕切り部材が対応する2つの隣り合うアノード電極間に位置するように該アノード基板上に配置されていることを特徴とする請求項1記載の光電子増倍管。
  11. 前記複数のチャンネルはリニアに一方向に配列されており、前記複数のアノード電極は当該方向に略平行に一次元的に配列されており、もって、前記各導電性仕切り部材は当該一次元方向において前記対応する2つの隣り合うアノード電極の間に設けられていることを特徴とする請求項1記載の光電子増倍管。
  12. 前記複数のチャンネルは二次元マトリックス的に配列されており、前記複数のアノード電極は二次元マトリックス的に配列されており、もって、前記各導電性仕切り部材は、当該二次元方向の各方向において前記対応する2つの隣り合うアノード電極の間に設けられていることを特徴とする請求項1記載の光電子増倍管。
  13. 前記アノードと前記最終段ダイノードとの間に設けられた複数の収束片を有し、各隣り合う2つの収束片がその間に1つの開口部を規定することで複数の開口部を規定し、前記最終段ダイノードの各チャンネルから放出された電子を対応する開口部で収束して対応するアノード電極に導くことにより、該最終段ダイノードから放出された電子をチャンネル毎に収束する収束電極を、更に備えていることを特徴とする請求項1記載の光電子増倍管。
  14. 前記収束電極には、前記最終段ダイノード電位と略同一の電位が印加されることを特徴とする請求項13記載の光電子増倍管。
  15. 前記光電面と前記積層型チャンネルダイノード部との間に設けられ、複数の別の収束片を有し、各隣り合う2つの別の収束片がその間に1つの開口部を規定することで複数の開口部を規定し、前記光電面の任意の位置から放出された電子を対応する開口部で収束して該積層型チャンネルダイノード部の対応するチャンネルに導くことにより、該光電面の任意の位置から放出された電子をチャンネル毎に収束する別の収束電極を、更に備えていることを特徴とする請求項13記載の光電子増倍管。
  16. 前記別の収束電極には、前記光電面と略同一の電位が印加されることを特徴とする請求項15記載の光電子増倍管。
  17. 受光面板と、該受光面板と共に真空領域を形成するための壁部とを更に備え、前記光電面は、該受光面板の内面であって該真空領域内部に形成され、前記積層型チャンネルダイノード部、前記アノード、前記遮蔽電極、及び、前記収束電極が、該真空領域内部に設けられ、該受光面板内に前記各チャンネルに対応させて光吸収ガラスの仕切り部が設けられ、該受光面板の外側表面に前記各チャンネルに対応させて集光装置が設けられており、前記各別の収束片の表面に光無反射処理が施されており、前記各段のダイノードは前記複数のチャンネルを規定する複数の二次電子放出片を有し、前記複数段のダイノードのうちの前記光電面側から第1段目及び第2段目に位置するダイノードの前記各チャンネルを規定する該各二次電子放出片の表面に光無反射処理が施されており、
    前記別の収束電極の前記各チャンネルを規定する前記各収束片の該光電面及び該積層型チャンネルダイノード部に向かって延びる長さが、前記複数段のダイノードのうちの前記光電面側から第1段目及び第2段目に位置するダイノードの前記各チャンネルを規定する該各二次電子放出片の表面で反射した光が該光電面内の隣のチャンネル位置に戻ることを防止する大きさを有していることを特徴とする請求項15記載の光電子増倍管。
  18. 光の入射によって電子を放出する光電面と、
    複数段のダイノードを有し、該複数段のダイノードが、該光電面の側から、第1段目から最終段目まで、この順に積層状に配置され、各段のダイノードが複数のチャンネルを規定し、該光電面から放出された電子を対応するチャンネル毎に多段増倍させる積層型チャンネルダイノード部と、
    複数のアノード電極を、該最終段目のダイノードに対向して、かつ、該複数のチャンネルに1対1に対応して備え、該積層型チャンネルダイノード部の該複数のチャンネルで多段増倍された電子に基づいてチャンネル毎の出力信号を送出するアノードと、
    複数の導電性仕切り部材を該最終段目のダイノードに対向して備え、各導電性仕切り部材が対応する2つの隣り合うアノード電極の間に設けられる遮蔽電極と、
    を備えた光電子増倍管において、
    該各アノード電極に所定のアノード電位を印加し、
    該最終段目のダイノードに所定の最終段ダイノード電位を印加し、
    該各導電性仕切り部材に、該アノード電位と該最終段ダイノード電位との間の電位を印加することを特徴とする光電子増倍管の使用方法。
  19. 更に、電位が前記光電面から前記第1段目乃至前記最終段目のダイノードを経て前記アノードに向かって順次高くなるように、該光電面と該第1段目乃至該最終段目のダイノードと該アノードとに対し電圧を印加し、
    前記各導電性仕切り部材に印加される電位は、前記最終段ダイノード電位より高く、かつ、前記アノード電位より低い電位であり、該最終段ダイノードの任意のチャンネルから放出された電子を、対応するアノード電極に入射させ、かつ、該対応するアノード電極への電子の入射に応じて該アノード電極から二次電子が放出されるのを抑制することを特徴とする請求項18記載の光電子増倍管の使用方法。
  20. 前記導電性仕切り部材に印加される電位と前記最終段ダイノード電位との差が、該最終段ダイノードの各チャンネルから放出された電子を対応するアノード電極に適切に入射させる大きさを有し、該導電性仕切り部材に印加される電位と該アノード電位との差が、該最終段ダイノードの各チャンネルから放出された電子が該対応するアノード電極の両側に位置している該導電性仕切り部材に入射すること、及び、該アノード電極で生じる二次電子が該対応するアノード電極の隣のアノード電極に入射するのを防止する大きさを有していることを特徴とする請求項19記載の光電子増倍管の使用方法。
  21. 前記導電性仕切り部材に印加される電位と前記アノード電位との差が、該アノード電位と前記最終段ダイノード電位との差の約5%以上約70%以下の範囲内であることを特徴とする請求項19記載の光電子増倍管の使用方法。
  22. 前記導電性仕切り部材に印加される電位と前記アノード電位との差が、該アノード電位と前記最終段ダイノード電位との差の約50%であることを特徴とする請求項21記載の光電子増倍管の使用方法。
  23. 前記光電子増倍管が、前記アノードと前記最終段ダイノードとの間に設けられた複数の収束片を有し、各隣り合う2つの収束片がその間に1つの開口部を規定することで複数の開口部を規定し、前記最終段ダイノードの各チャンネルから放出された電子を対応する開口部で収束して対応するアノード電極に導くことにより、該最終段ダイノードから放出された電子をチャンネル毎に収束する収束電極を更に備え、
    更に、該収束電極に前記最終段ダイノード電位と略同一の電位を印加することを特徴とする請求項18記載の光電子増倍管の使用方法。
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