JPWO2003094889A1 - 凍結乾燥物 - Google Patents
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Abstract
本発明は、置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質を含有し、pHが2よりも大きく4以下である水性溶液、当該水性溶液を乾燥して得られる凍結乾燥物、当該水性溶液又は当該凍結乾燥物を含有する注射剤、及び注射剤キットに関する。
Description
技術分野
置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質が安定に存在し、長期間の保存にも耐え得る水性溶液及び該溶液を凍結乾燥した凍結乾燥物、更にはこれらを用いた注射剤に関する。
背景技術
置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質は種々のものが知られているが、分子内に置換基を有することもあるアミジノ基を有するものは経時(日)的に不安定であり、これらの物質を安定に存在させ、長期保存可能な改良技術が望まれている。
一方、固形物として生理活性物質のみを溶解した溶液を凍結乾燥すると、乾燥ケーキができ難いことが知られている。乾燥ケーキが生じなくとも、生理活性物質の活性(薬効)発現に問題はないが、用時溶解して用いる際には内容物の有無を肉眼で確認することが一般的である。その際、バイアルやアンプル等の内部に乾燥ケーキが認められないと、実際に生理活性物質が含有されているか否か容易に判別がつかないため、不良品として見誤れることがある。また、製品としての見栄えがよいものではない。通常、乾燥ケーキは非晶質で、多孔質のため、用時溶剤への溶解が速やかである。したがって、乾燥ケーキが形成されるか否かは凍結乾燥物の性状として非常に重要である。
一方、分子中にアミジノ基を有する化合物の経日的安定性を向上させるために二糖類を配合した凍結乾燥製剤が報告されている(特開平9−71533号公報)。
発明の開示
本発明者らは、長期保存可能な技術的改良を検討した結果、驚くべきことに、置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質を含有する水性溶液を調製する際に、該水性溶液のpHを2よりも大きく4以下に調整することで、上述の安定性、凍結乾燥における乾燥ケーキ生成等の問題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質を含有し、pHが2よりも大きく4以下である水性溶液;置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質を含有し、pHが2よりも大きく4未満である水性溶液;置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質を含有し、pHが2よりも大きく3.5以下である水性溶液;及び置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質を含有し、pHが2.5〜3.5である水性溶液に関する。
また、本発明は、置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質を含有し、pHが2よりも大きく4以下である水性溶液を凍結乾燥して得られる凍結乾燥物;置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質を含有し、pHが2よりも大きく4未満である水性溶液を凍結乾燥して得られる凍結乾燥物;置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質を含有し、pHが2よりも大きく3.5以下である水性溶液を凍結乾燥して得られる凍結乾燥物;及び置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質を含有し、pHが2.5〜3.5である水性溶液を凍結乾燥して得られる凍結乾燥物に関する。
また、本発明は、これらの水性溶液またはこれらの凍結乾燥物を含有する注射剤、及び用時溶剤と当該注射剤とからなる注射剤キットに関する。
発明を実施するための最良の形態
本発明における置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質とは、分子内に少なくとも1個の置換基を有することもあるアミジノ基を有するものを意味し、特に限定されるものではない。アミジノ基が有することもある置換基としては、炭素数1〜6の直鎖、分枝または環状のアルキル基を一例として挙げることができる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基等を挙げることができる。
本発明における置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質としては、たとえば、以下の一般式(1)で表される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物を挙げることができる。
〔式中、R1は水素原子又は低級アルコキシ基を示し、
R2は水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシアルキル基又はアルコキシカルボニルアルキル基を示し、
R3は水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、カルボキシアルコキシ基又はアルコキシカルボニルアルコキシ基を示し、
R4は水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、低級アルキル基又は低級アルコキシ基を示し、
nは0〜4の数を示し、
Aは1〜2個のヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシアルキル基もしくはアルコキシカルボニルアルキル基が置換していてもよい炭素数1〜4のアルキレン基又は基−B−N(R5)−(ここで、Bは低級アルキレン基又はカルボニル基を示し、R5は水素原子又は基−D−W−R6(ここで、Dは基−C(=Z)−(ここで、Zは酸素原子又は硫黄原子を示す)、基−C(=O)−C(=O)−又はスルホニル基を示し、Wは単結合又は基−N(R7)−(ここで、R7は水素原子、カルバモイル基、低級アルコキシカルボニル基、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノカルボニル基、低級アルキルスルホニル基、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノチオカルボニル基、置換基を有していてもよい低級アルキル基又は置換基を有していてもよい低級アルカノイル基を示す)を示し、R6は水酸基、低級アルコキシ基、置換基を有していてもよい低級アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を示す))を示し、
Xは単結合、酸素原子、硫黄原子又はカルボニル基を示し、
Yは置換基を有していてもよい飽和もしくは不飽和の5〜6員の複素環式基もしくは環状炭化水素基、置換基を有していてもよいアミノ基又は置換基を有していてもよいアミノアルキル基を示し、式
で表される基は、インドリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ナフチル基、テトラヒドロナフチル基及びインダニル基より選ばれる基を示す。〕
上記一般式(1)中、R1〜R6として示される各置換基は、具体的には以下のものを意味する。
低級アルキル基としては、炭素数1〜6の直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基を意味し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、第二級ブチル基、第三級ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。なお、低級アルキル基は置換基を有していてもよく、低級アルキル基に置換し得る基としては、ハロゲン原子、カルボキシル基、カルバモイル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、低級アルカノイル基、低級アルコキシ基、低級アルコキシカルボニル基、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基、アリール基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、低級アルキルチオ基、低級アルキチオカルボニル基、水酸基、カルバモイル基、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノカルボニル基等を挙げることができる。
低級アルコキシ基としては、炭素数1〜6のものを挙げることができ、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、第二級ブトキシ基及び第三級ブトキシ基等を挙げることができる。
アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等を挙げることができる。
カルボキシアルキル基としては、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基等を挙げることができる。
アルコキシカルボニルアルキル基としては、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、プロポキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、エトキシカルボニルエチル基、メトキシカルボニルプロピル基、エトキシカルボニルプロピル基等を挙げることができる。
カルボキシアルコキシ基としては、カルボキシメトキシ基、カルボキシエトキシ基、カルボキシプロポキシ基等を挙げることができる。
アルコキシカルボニルアルコキシ基としては、メトキシカルボニルメトキシ基、エトキシカルボニルメトキシ基、プロポキシカルボニルメトキシ基、メトキシカルボニルエトキシ基、エトキシカルボニルエトキシ基等を挙げることができる。
ヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基等を挙げることができる。
炭素数1〜4のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等を挙げることができる。
モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノカルボニル基としては、モノ−低級アルキルアミノカルボニル基として、メチルアミノカルボニル基、エチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、イソプロピルアミノカルボニル基、ブチルアミノカルボニル基、イソブチルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、イソペンチルアミノカルボニル基、ヘキシルアミノカルボニル基、イソヘキシルアミノカルボニル基等を挙げることができる。また、ジアルキルアミノカルボニル基として、ジメチルアミノカルボニル基、ジエチルアミノカルボニル基、ジプロピルアミノカルボニル基、ジイソプロピルアミノカルボニル基、ジブチルアミノカルボニル基、ジペンチルアミノカルボニル基等の低級アルキル基でジ置換された対称型のジアルキルアミノカルボニル基、並びにエチルメチルアミノカルボニル基、メチルプロピルアミノカルボニル基、エチルプロピルアミノカルボニル基、ブチルメチルアミノカルボニル基、ブチルエチルアミノカルボニル基、ブチルプロピルアミノカルボニル基等の相異なる低級アルキル基でジ置換された非対称型のジアルキルアミノカルボニル基を挙げることができる。
低級アルキルスルホニル基としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基、イソペンチルスルホニル基等を挙げることができる。
モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノチオカルボニル基としては、モノ−低級アルキルアミノチオカルボニル基として、メチルアミノチオカルボニル基、エチルアミノチオカルボニル基、プロピルアミノチオカルボニル基、イソプロピルアミノチオカルボニル基、ブチルアミノチオカルボニル基、イソブチルアミノチオカルボニル基、ペンチルアミノチオカルボニル基、イソペンチルアミノチオカルボニル基、ヘキシルアミノチオカルボニル基、イソヘキシルアミノチオカルボニル基等を挙げることができる。また、ジアルキルアミノチオカルボニル基として、ジメチルアミノチオカルボニル基、ジエチルアミノチオカルボニル基、ジプロピルアミノチオカルボニル基、ジイソプロピルアミノチオカルボニル基、ジブチルアミノチオカルボニル基、ジペンチルアミノチオカルボニル基等の低級アルキル基でジ置換された対称型のジアルキルアミノチオカルボニル基、並びに、エチルメチルアミノチオカルボニル基、メチルプロピルアミノチオカルボニル基、エチルプロピルアミノチオカルボニル基、ブチルメチルアミノチオカルボニル基、ブチルエチルアミノチオカルボニル基、ブチルプロピルアミノチオカルボニル基等の相異なる低級アルキル基でジ置換された非対称型のジアルキルアミノチオカルボニル基を挙げることができる。
低級アルカノイル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基等を挙げることができ、好ましくは、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基であり、更に好ましくはアセチル基、プロピオニル基である。なお、低級アルカノイル基は置換基を有していてもよい。低級アルカノイル基に置換し得る基としては、ハロゲン原子、カルボキシル基、カルバモイル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、低級アルカノイル基、低級アルコキシ基、低級アルコキシカルボニル基、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基、アリール基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、低級アルキルチオ基、低級アルキチオカルボニル基、水酸基、カルバモイル基、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノカルボニル基等を挙げることができる。
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基等を挙げることができ、アリール基は置換基を有していてもよい。
ヘテロアリール基としては、フリル基、チエニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、イソチアゾリル基、イソキサゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、キノリジニル基、キノキサリニル基、シンノリニル基、ベンズイミダゾリル基、イミダゾピリジル基、ベンゾフラニル基、ナフチリジニル基、1,2−ベンゾイソキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、オキサゾロピリジル基、イソチアゾロピリジル基、ベンゾチエニル基等を挙げることができ、好ましくは、フリル基、チエニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピリジル基等を挙げることができ、ヘテロアリール基は置換基を有していてもよい。なお、これらのアリール基又はヘテロアリール基に置換し得る基としては、ハロゲン原子、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、低級アルコキシ基、低級アルコキシカルボニル基、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基、低級アルカノイル基、置換基を有していてもよい低級アルキル基等を挙げることができる。
また、一般式(1)中、Yで示される各置換基の具体例として、以下のものを挙げることができる。
飽和もしくは不飽和の5〜6員の複素環式基としては、1〜2個の窒素原子又は酸素原子をヘテロ原子として含む複素環式基が好ましく、このような複素環式基の具体例としては、ピロリジン、ピペリジン、イミダゾリン、ピペラジン、テトラヒドロフラン、ヘキサヒドロピリミジン、ピロール、イミダゾール、ピラジン、ピロリジノン、ピペリジノン、モルホリン等の複素環が1価の基となったものを挙げることができ、その結合位置は、炭素原子又は窒素原子であり、結合位置が炭素原子のものが好ましい。これらの複素環式基は、置換基を有していてもよく、置換基としては低級アルキル基、低級アルカノイル基、カルバモイル基、モノアルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、ホルムイミドイル基、アルカノイミドイル基、ベンズイミドイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシアルキル基、アルキルカルボニルアルキル基、アミノアルキル基、アルカノイルアミノ基、アルカノイルアミノアルキル基、イミノ基、アルコキシカルボニルイミノ基等を挙げることができる。さらに、好ましい複素環式基としては、基
(式中、R8及びR9はそれぞれ水素原子、アミジノ基又は基
(式中、R10は低級アルキル基を示す))である5〜6員の複素環式基が挙げられる。
飽和もしくは不飽和の5〜6員の環状炭化水素基としては、フェニル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基などが具体的に挙げられ、これらの環状炭化水素基は置換基を有していてもよく、置換基としては、低級アルキル基、低級アルカノイル基、カルバモイル基、モノアルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、ホルムイミドイル基、アルカノイミドイル基、ベンズイミドイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシアルキル基、アルキルカルボニルアルキル基、アミノアルキル基、アルカノイルアミノ基、アルカノイルアミノアルキル基、イミノ基、アルコキシカルボニルイミノ基等を挙げることができる。
アミノアルキル基としては、アミノメチル基、アミノエチル基、アミノプロピル基等を挙げることができる。
アミノ基又はアミノアルキル基のアミノ部分に置換し得る基としては、低級アルキル基、ピロリジニル基、ピラジル基、カルバモイル基、モノアルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、低級アルカノイル基、ホルムイミドイル基、アルカノイミドイル基、ベンズイミドイル基、アルコキシカルボニル基等を挙げることができる。なお、ここで示したアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基等の炭素数は1〜6が好ましい。
また、一般式(1)中、式
で示される基としては、ベンゾフラニル基、ベンズイミダゾリル基、インドリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾチアゾリル基、ナフチル基及びテトラヒドロナフチル基より選ばれる基が好ましい。
一般式(1)で表される化合物中、R1〜R4が水素原子;nが0;Xが酸素原子;Aが1個のヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシアルキル基もしくはアルコキシカルボニルアルキル基が置換していてもよい炭素数2のアルキレン基又は基−CH2−N(R11)−(ここで、R11は水素原子又は基−SO2−W1−R12(ここで、W1は単結合又は基−N(R13)−(ここで、R13は水素原子、カルバモイル基、低級アルコキシカルボニル基、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノカルボニル基、低級アルキルスルホニル基、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノチオカルボニル基、置換基を有していてもよい低級アルキル基又は置換基を有していてもよい低級アルカノイル基を示す)を示し、R12は水酸基、低級アルコキシ基、置換基を有していてもよい低級アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を示す));Yが基
(式中、R8及びR9はそれぞれ水素原子、アミジノ基又は基
(式中、R10は低級アルキル基を示す)を示す);式
で表される基が、ベンゾフラニル基、ベンズイミダゾリル基、インドリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾチアゾリル基、ナフチル基又はテトラヒドロナフチル基;である化合物、その塩またはそれらの塩が好ましい。
一般式(1)で表される化合物には、不斉炭素原子が存在することがあり、その場合、不斉炭素原子に基づく光学異性体または立体異性体が存在するが、これらの光学異性体、立体異性体及びこれらの混合物のいずれも本発明に含まれる。
一般式(1)で表される化合物の塩としては、医薬的に許容し得る塩であれば特に限定されないが、具体的には、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、燐酸塩、硝酸塩、硫酸塩等の鉱酸塩類;メタンスルホン酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等の有機スルホン酸塩類;並びに酢酸塩、プロピオン酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、グルタル酸塩、アジピン酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩等の有機カルボン酸塩類が挙げられる。
また、一般式(1)で表される化合物又はその塩は、非溶媒和型のみならず、水和物もしくは溶媒和物としても存在することができる。従って、本発明の化合物又はその塩は、その全ての結晶型及び水和もしくは溶媒和物を包含するものである。
上記一般式(1)で表される化合物、その塩およびそれらの溶媒和物は、特開平5−208946号公報、国際公開WO96/16940号公報等にその製造方法等が開示された公知のものである。
上記一般式(1)で表される化合物としては、以下の化合物、その塩およびそれらの溶媒和物が好ましいものとして挙げることができる。
2−[4−[((3S)−1−アセトイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]−3−(7−アミジノ−2−ナフチル)プロピオン酸、(+)−2−[4−[((3S)−1−アセトイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]−3−(7−アミジノ−2−ナフチル)プロピオン酸、(2S)−2−[4−[((3S)−1−アセトイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]−3−(7−アミジノ−2−ナフチル)プロピオン酸、(2R)−2−[4−[((3R)−1−アセトイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]−3−(7−アミジノ−2−ナフチル)プロピオン酸、2−[4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジル)オキシ]フェニル]−3−(7−アミジノ−2−ナフチル)プロピオン酸、(+)−2−[4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジル)オキシ]フェニル]−3−(7−アミジノ−2−ナフチル)プロピオン酸、2−[4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジル)オキシ]フェニル]−3−(5−アミジノベンゾ[b]チエン−2−イル)プロピオン酸、2−[4−[((2S)−1−アセトイミドイル−2−ピロリジニル)メロキシ]フェニル]−3−(5−アミジノベンゾ[b]チエン−2−イル)プロピオン酸、(+)−2−[4−[((2S)−1−アセトイミドイル−2−ピロリジニル)メトキシ]フェニル]−3−(5−アミジノベンゾ[b]チエン−2−イル)プロピオン酸、3−[4−[((3S)−1−アセトイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]−4−(5−アミジノベンゾ[b]チエン−2−イル)酪酸、2−[4−[((3S)−1−アセトイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]−3−(6−アミジノ−1−エチル−2−インドリル)プロピオン酸、2−[4−[((3R)−1−アセトイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]−3−(6−アミジノ−1−エチル−2−インドリル)プロピオン酸、2−[4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジニル)オキシ]フェニル]−3−(6−アミジノ−1−エチル−2−インドリル)プロピオン酸、N−[4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジル)オキシ]フェニル]−N−[(7−アミジノ−2−ナフチル)メチル]−N’−メチルスルファミド、エチル N−[N−4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジル)オキシ]フェニル]−N−[(7−アミジノ−2−ナフチル)メチル]スルファモイル]カルバメート、4−[N−4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジル)オキシ]フェニル]−N−[(7−アミジノ−2−ナフチル)メチル]スルファモイル]安息香酸、N−[4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジル)オキシ]フェニル]−N−[(7−アミジノ−2−ナフチル)メチル]スルファモイル酢酸、エチル N−[N−[4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジル)オキシ]フェニル]−N−[(7−アミジノ−2−ナフチル)メチル]スルファモイル]グリシネート、N−[N−4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジル)オキシ]フェニル]−N−[(7−アミジノ−2−ナフチル)メチル]スルファモイル]−N−エトキシカルボニルグリシン、およびN−[N−4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジル)オキシ]フェニル]−N−[(7−アミジノ−2−ナフチル)メチル]スルファモイル]グリシン。
さらに好ましいものとして、以下のものを挙げることができる。
(2S)−2−[4−「((3S)−1−アセトイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]−3−(7−アミジノ−2−ナフチル)プロピオン酸・塩酸塩・5水和物、(+)−2−[4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジル)オキシ]フェニル]−3−(7−アミジノ−2−ナフチル)プロピオン酸・2塩酸塩、(+)−2−[4−[((2S)−1−アセトイミドイル−2−ピロリジニル)メトキシ]フェニル]−3−(5−アミジノベンゾ[b]チエン−2−イル)プロピオン酸・2塩酸塩、N−[4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジル)オキシ]フェニル]−N−[(7−アミジノ−2−ナフチル)メチル]スルファモイル酢酸・2塩酸塩、エチル N−[N−[4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジル)オキシ]フェニル]−N−[(7−アミジノ−2−ナフチル)メチル]スルファモイル]グリシネート・2塩酸塩、N−[N−4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジル)オキシ]フェニル]−N−[(7−アミジノ−2−ナフチル)メチル]スルファモイル]グリシン・2塩酸塩。
また、置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質としては、上記一般式(1)で表される化合物のほかに、以下のものをも挙げることができる。
(S)−4−(トランス−4−グアニジノメチルシクロヘキシルカルボニルグリシル)−2−オキソピペラジン−1,3−ジ酢酸、(S)−4−(4−グアニジノメチルベンゾイルグリシル)−2−オキソピペラジン−1,3−ジ酢酸、(S)−4−(4−グアニジノベンゾイルグリシル)−2−オキソピペラジン−1,3−ジ酢酸、(S)−4−(4−グアニジノベンゾイルザルコシル)−2−オキソピペラジン−1,3−ジ酢酸、(S)−4−(4−グアニジノメチルベンゾイルザルコシル)−2−オキソピペラジン−1,3−ジ酢酸、(S)−1−カルボキシメチル−4−(4−グアニジノベンゾイルザルコシル)−2−オキソピペラジン−3−プロピオン酸、(S)−4−(3−グアニジノフェニルアセチルグリシル)−2−オキソピペラジン−1,3−ジ酢酸、(S)−4−(4−アミジノベンゾイルグリシル)−2−オキソピペラジン−1,3−ジ酢酸、4−(4−アミジノベンゾイルグリシル)−2−オキソピペラジン−1−酢酸、(S)−4−(4−アミジノベンゾイルグリシル)−3−メトキシカルボニルメチル−2−オキソピペラジン−1−酢酸、(S)−4−(4−アミジノベンゾイルグリシル)−3−ベンジル−2−オキソピペラジン−1−酢酸、(S)−4−(4−アミジノベンゾイルグリシル)−3−カルバモイルメチル−2−オキソピペラジン−1−酢酸、(S)−4−(4−アミジノベンゾイルグリシル)−1−カルボキシメチル−2−オキソピペラジン−3−プロピオン酸、4−(4−アミジノベンゾイル)アミノアセチル−3−[3−(4−アミジノベンゾイル)アミノプロピル]−2−オキソピペラジン−1−酢酸、4−(4−アミジノベンゾイル)アミノアセチル−3−「4−(4−アミジノベンゾイル)アミノブチル]−2−オキソピペラジン−1−酢酸、4−(4−アミジノベンゾイル)アミノアセチル−3−[2−(4−アミジノベンゾイル)アミノエチル]−2−オキソピペラジン−1−酢酸、4−(4−アミジノベンゾイル)アミノアセチル−3−[2−(4−アミジノフェニルアミノカルボニル)エチル]−2−オキソピペラジン−1−酢酸、4−(4−アミジノベンゾイル)アミノアセチル−3−[3−(4−アミジノフェニルアミノカルボニル)プロピル]−2−オキソピペラジン−1−酢酸、4−(4−アミジノベンゾイル)アミノアセチル−3−[4−(4−アミジノフェニルアミノカルボニル)ブチル]−2−オキソピペラジン−1−酢酸、(S)−4−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)アセチル−3−[3−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)プロピル]−2−オキソピペラジン−1−酢酸、(S)−4−(4−アミジノベンゾイルアミノ)アセチル−3−[2−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)エチル]−2−オキソピペラジン−1−酢酸、(S)−4−[4−(2−アミノエチル)ベンゾイルアミノ]アセチル−3−[3−(4−アミジノベンゾイルアミノ)]プロピル−2−オキソピペラジン−1−酢酸、(S,S)−3−3−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)プロピル]−4−[3−(4−メトキシフェニル)−2−[4−(5−トリフルオロメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル−アミノ)ベンゾイルアミノ]プロピオニル]−2−オキソピペラジン−1−酢酸および(S,S)−4−[2−(4−グアニジノベンゾイル)アミノ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオニル]−3−[3−(4−グアニジノベンゾイル)アミノプロピル]−2−オキソピペラジン−1−酢酸。
上記化合物の薬理学的に許容し得るエステル、塩、溶媒和物なども例として挙げることができ、これらの化合物は光学活性体あるいはラセミ体であってもよい。上記の化合物、その塩およびそれらの溶媒和物は、特開平6−25285号公報等にその製造方法等が開示された公知のものである。
本発明の水性溶液は、例えば、適当量の置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質、所望により適当な添加物を適当量、適当な水性溶剤で溶解させ、適当なpH調節剤を用いて、所望のpHに調整することにより製することができる。水性溶剤としては、注射用水、生理食塩水、リンゲル液、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等を挙げることができる。添加物としては、安定剤、溶解補助剤、緩衝剤、等張化剤、無痛化剤等を挙げることができ、これらは本発明の効果を損なわない程度に添加できる。pH調節剤としては、人体等にとって無害の酸及びアルカリを挙げることができ、たとえば、塩酸、硫酸などの無機酸、水酸化ナトリウムなどの無機塩基、乳酸、クエン酸などの有機酸、メグルミン、モノエタノールアミンなどの有機塩基等を挙げることができる。本発明において、置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質を含有する水性溶液のpHは、製剤の安定化から、2よりも大きく4以下であることが必要であり、好ましくは2よりも大きく4未満、より好ましくは2よりも大きく3.5以下、さらに好ましくは2.5〜3.5である。
水性溶液中の置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質の濃度は、活性(薬効)に応じて適宜検討すればよいが、通常0.01〜500mg/ml、好ましくは0.1〜300mg/ml、さらに好ましくは1〜100mg/mlである。
本発明の凍結乾燥物を製するには、上記の水性溶液を共晶点以下の温度で凍結乾燥すればよい。一般に多成分系では共晶点が降下するので、凍結乾燥の温度条件を低温にしなければならず、工業的製造においては不利である。したがって、凍結乾燥物を製する場合、成分を少なくすることが有利である。実質的に、置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質およびpH調節剤を溶質とする水性溶液を凍結乾燥したものが好ましい。
本発明の水性溶液および凍結乾燥物は人体等への注射剤となり得るものであるので、無菌とするのが好ましい。無菌とするためには、水性溶液の場合は、高圧蒸気滅菌による滅菌や孔径0.22μmのメンブランフィルター等によるろ過滅菌を行えばよい。凍結乾燥物は、滅菌した水性溶液を凍結乾燥すればよい。
得られた凍結乾燥物は、用時溶剤(注射用水、緩衝液など)で溶解し、注射剤として用いられる。溶解後のpHが4未満であると人体等に投与した場合、局所的な刺激を与える場合があるので、溶解後のpHが4以上となるように用時溶剤のpHを調整するか、希釈によりpHを高くするのが望ましい。本発明の凍結乾燥物を溶剤に溶解させた溶液は安定なものである。また、前記水性溶液または前記凍結乾燥物と用時溶剤とを組み合わせて注射剤キットとしてもよい。
実施例
以下に、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるべきものではない。
比較例1
(2S)−2−[4−[((3S)−1−アセトイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]−3−(7−アミジノ−2−ナフチル)プロピオン酸・塩酸塩・5水和物(以下、化合物Aと略する。)を963.75mg量り、約40mlの注射用水を加え溶解した後、注射用水を加え全量50mlにした(pHは6.6)。孔径0.22μmメンブランフィルターを用いて濾過した後、10ml褐色バイアルに2.0mlずつ充填した。この充填した液を凍結乾燥機にて凍結乾燥した後、ゴム栓を打栓し、アルミキャップを巻き締め、比較処方を製した。調製した凍結乾燥製剤の保存開始時及び60℃で2週間保存後の製剤中の不純物質量をHPLC法により測定した。表1に1バイアル当りの製剤の処方および保存開始時と60℃で2週間保存後の総不純物量(%)を示した。
表1から明らかなように、比較処方の製剤は、60℃で2週間保存後の総不純物質量が約5%増加し、安定な処方でないことが判明した。
実施例1
化合物Aを963.75mg量り、約40mlの注射用水を加え溶解し、0.1規定塩酸を加えた後、注射用水を加え全量を50mlにし、pH2.5、3.0、3.5、4.0、5.0に調整した。孔径0.22μmメンブランフィルターを用いて濾過した後、10ml褐色バイアルに2.0mlずつ充填した。この充填した液を凍結乾燥機にて凍結乾燥した後、ゴム栓を打栓し、アルミキャップを巻き締め、各種pH製剤を製した。pH2.5、3.0、3.5、4.0、5.0に調整した処方をそれぞれ処方1、処方2、処方3、処方4、処方5とした。これらの凍結乾燥製剤を観察したところ、すべてのバイアル中に乾燥ケーキが形成されていた。また、それぞれの凍結乾燥製剤の保存開始時及び60℃で2週間保存後の製剤中の不純物質量をHPLC法により測定した。表2に各種pH製剤の1バイアル当りの処方及び保存開始時と60℃で2週間保存後の総不純物質量(%)を示した。
表2から明らかなように、pHが低下するにつれ、60℃で2週間保存後の総不純物質量は低減し、特にpH3.0以下の製剤(処方1および処方2)では、60℃で2週間保存後の総不純物質量はほとんど増加しなかった。
pHの調整を行わない比較処方と比べ、特に処方1〜4の製剤(pH4.0以下)は安定な処方であることが判明した。
また、本発明の凍結乾燥物は乾燥ケーキが形成されるため、乾燥ケーキが形成されないが故の良品錯誤が発生しない。さらには、製剤中に配合する成分が少ないため、原材料費を抑えることができること、および凍結乾燥時間が短縮できることから、工業的製造コストを低減することができる。
産業上の利用可能性
本発明の水性溶液は、長期保存可能な凍結乾燥製剤の原料となり得る優れたものである。また、該水性溶液を凍結乾燥して得られる凍結乾燥物は、乾燥ケーキを形成し、長期保存しても安定なものである。
したがって、本発明は、置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質を長期保存可能な優れたものである。
置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質が安定に存在し、長期間の保存にも耐え得る水性溶液及び該溶液を凍結乾燥した凍結乾燥物、更にはこれらを用いた注射剤に関する。
背景技術
置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質は種々のものが知られているが、分子内に置換基を有することもあるアミジノ基を有するものは経時(日)的に不安定であり、これらの物質を安定に存在させ、長期保存可能な改良技術が望まれている。
一方、固形物として生理活性物質のみを溶解した溶液を凍結乾燥すると、乾燥ケーキができ難いことが知られている。乾燥ケーキが生じなくとも、生理活性物質の活性(薬効)発現に問題はないが、用時溶解して用いる際には内容物の有無を肉眼で確認することが一般的である。その際、バイアルやアンプル等の内部に乾燥ケーキが認められないと、実際に生理活性物質が含有されているか否か容易に判別がつかないため、不良品として見誤れることがある。また、製品としての見栄えがよいものではない。通常、乾燥ケーキは非晶質で、多孔質のため、用時溶剤への溶解が速やかである。したがって、乾燥ケーキが形成されるか否かは凍結乾燥物の性状として非常に重要である。
一方、分子中にアミジノ基を有する化合物の経日的安定性を向上させるために二糖類を配合した凍結乾燥製剤が報告されている(特開平9−71533号公報)。
発明の開示
本発明者らは、長期保存可能な技術的改良を検討した結果、驚くべきことに、置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質を含有する水性溶液を調製する際に、該水性溶液のpHを2よりも大きく4以下に調整することで、上述の安定性、凍結乾燥における乾燥ケーキ生成等の問題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質を含有し、pHが2よりも大きく4以下である水性溶液;置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質を含有し、pHが2よりも大きく4未満である水性溶液;置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質を含有し、pHが2よりも大きく3.5以下である水性溶液;及び置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質を含有し、pHが2.5〜3.5である水性溶液に関する。
また、本発明は、置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質を含有し、pHが2よりも大きく4以下である水性溶液を凍結乾燥して得られる凍結乾燥物;置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質を含有し、pHが2よりも大きく4未満である水性溶液を凍結乾燥して得られる凍結乾燥物;置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質を含有し、pHが2よりも大きく3.5以下である水性溶液を凍結乾燥して得られる凍結乾燥物;及び置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質を含有し、pHが2.5〜3.5である水性溶液を凍結乾燥して得られる凍結乾燥物に関する。
また、本発明は、これらの水性溶液またはこれらの凍結乾燥物を含有する注射剤、及び用時溶剤と当該注射剤とからなる注射剤キットに関する。
発明を実施するための最良の形態
本発明における置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質とは、分子内に少なくとも1個の置換基を有することもあるアミジノ基を有するものを意味し、特に限定されるものではない。アミジノ基が有することもある置換基としては、炭素数1〜6の直鎖、分枝または環状のアルキル基を一例として挙げることができる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基等を挙げることができる。
本発明における置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質としては、たとえば、以下の一般式(1)で表される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物を挙げることができる。
〔式中、R1は水素原子又は低級アルコキシ基を示し、
R2は水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシアルキル基又はアルコキシカルボニルアルキル基を示し、
R3は水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、カルボキシアルコキシ基又はアルコキシカルボニルアルコキシ基を示し、
R4は水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、低級アルキル基又は低級アルコキシ基を示し、
nは0〜4の数を示し、
Aは1〜2個のヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシアルキル基もしくはアルコキシカルボニルアルキル基が置換していてもよい炭素数1〜4のアルキレン基又は基−B−N(R5)−(ここで、Bは低級アルキレン基又はカルボニル基を示し、R5は水素原子又は基−D−W−R6(ここで、Dは基−C(=Z)−(ここで、Zは酸素原子又は硫黄原子を示す)、基−C(=O)−C(=O)−又はスルホニル基を示し、Wは単結合又は基−N(R7)−(ここで、R7は水素原子、カルバモイル基、低級アルコキシカルボニル基、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノカルボニル基、低級アルキルスルホニル基、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノチオカルボニル基、置換基を有していてもよい低級アルキル基又は置換基を有していてもよい低級アルカノイル基を示す)を示し、R6は水酸基、低級アルコキシ基、置換基を有していてもよい低級アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を示す))を示し、
Xは単結合、酸素原子、硫黄原子又はカルボニル基を示し、
Yは置換基を有していてもよい飽和もしくは不飽和の5〜6員の複素環式基もしくは環状炭化水素基、置換基を有していてもよいアミノ基又は置換基を有していてもよいアミノアルキル基を示し、式
で表される基は、インドリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ナフチル基、テトラヒドロナフチル基及びインダニル基より選ばれる基を示す。〕
上記一般式(1)中、R1〜R6として示される各置換基は、具体的には以下のものを意味する。
低級アルキル基としては、炭素数1〜6の直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基を意味し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、第二級ブチル基、第三級ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。なお、低級アルキル基は置換基を有していてもよく、低級アルキル基に置換し得る基としては、ハロゲン原子、カルボキシル基、カルバモイル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、低級アルカノイル基、低級アルコキシ基、低級アルコキシカルボニル基、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基、アリール基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、低級アルキルチオ基、低級アルキチオカルボニル基、水酸基、カルバモイル基、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノカルボニル基等を挙げることができる。
低級アルコキシ基としては、炭素数1〜6のものを挙げることができ、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、第二級ブトキシ基及び第三級ブトキシ基等を挙げることができる。
アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等を挙げることができる。
カルボキシアルキル基としては、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基等を挙げることができる。
アルコキシカルボニルアルキル基としては、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、プロポキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、エトキシカルボニルエチル基、メトキシカルボニルプロピル基、エトキシカルボニルプロピル基等を挙げることができる。
カルボキシアルコキシ基としては、カルボキシメトキシ基、カルボキシエトキシ基、カルボキシプロポキシ基等を挙げることができる。
アルコキシカルボニルアルコキシ基としては、メトキシカルボニルメトキシ基、エトキシカルボニルメトキシ基、プロポキシカルボニルメトキシ基、メトキシカルボニルエトキシ基、エトキシカルボニルエトキシ基等を挙げることができる。
ヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基等を挙げることができる。
炭素数1〜4のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等を挙げることができる。
モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノカルボニル基としては、モノ−低級アルキルアミノカルボニル基として、メチルアミノカルボニル基、エチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、イソプロピルアミノカルボニル基、ブチルアミノカルボニル基、イソブチルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、イソペンチルアミノカルボニル基、ヘキシルアミノカルボニル基、イソヘキシルアミノカルボニル基等を挙げることができる。また、ジアルキルアミノカルボニル基として、ジメチルアミノカルボニル基、ジエチルアミノカルボニル基、ジプロピルアミノカルボニル基、ジイソプロピルアミノカルボニル基、ジブチルアミノカルボニル基、ジペンチルアミノカルボニル基等の低級アルキル基でジ置換された対称型のジアルキルアミノカルボニル基、並びにエチルメチルアミノカルボニル基、メチルプロピルアミノカルボニル基、エチルプロピルアミノカルボニル基、ブチルメチルアミノカルボニル基、ブチルエチルアミノカルボニル基、ブチルプロピルアミノカルボニル基等の相異なる低級アルキル基でジ置換された非対称型のジアルキルアミノカルボニル基を挙げることができる。
低級アルキルスルホニル基としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基、イソペンチルスルホニル基等を挙げることができる。
モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノチオカルボニル基としては、モノ−低級アルキルアミノチオカルボニル基として、メチルアミノチオカルボニル基、エチルアミノチオカルボニル基、プロピルアミノチオカルボニル基、イソプロピルアミノチオカルボニル基、ブチルアミノチオカルボニル基、イソブチルアミノチオカルボニル基、ペンチルアミノチオカルボニル基、イソペンチルアミノチオカルボニル基、ヘキシルアミノチオカルボニル基、イソヘキシルアミノチオカルボニル基等を挙げることができる。また、ジアルキルアミノチオカルボニル基として、ジメチルアミノチオカルボニル基、ジエチルアミノチオカルボニル基、ジプロピルアミノチオカルボニル基、ジイソプロピルアミノチオカルボニル基、ジブチルアミノチオカルボニル基、ジペンチルアミノチオカルボニル基等の低級アルキル基でジ置換された対称型のジアルキルアミノチオカルボニル基、並びに、エチルメチルアミノチオカルボニル基、メチルプロピルアミノチオカルボニル基、エチルプロピルアミノチオカルボニル基、ブチルメチルアミノチオカルボニル基、ブチルエチルアミノチオカルボニル基、ブチルプロピルアミノチオカルボニル基等の相異なる低級アルキル基でジ置換された非対称型のジアルキルアミノチオカルボニル基を挙げることができる。
低級アルカノイル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基等を挙げることができ、好ましくは、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基であり、更に好ましくはアセチル基、プロピオニル基である。なお、低級アルカノイル基は置換基を有していてもよい。低級アルカノイル基に置換し得る基としては、ハロゲン原子、カルボキシル基、カルバモイル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、低級アルカノイル基、低級アルコキシ基、低級アルコキシカルボニル基、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基、アリール基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、低級アルキルチオ基、低級アルキチオカルボニル基、水酸基、カルバモイル基、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノカルボニル基等を挙げることができる。
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基等を挙げることができ、アリール基は置換基を有していてもよい。
ヘテロアリール基としては、フリル基、チエニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、イソチアゾリル基、イソキサゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、キノリジニル基、キノキサリニル基、シンノリニル基、ベンズイミダゾリル基、イミダゾピリジル基、ベンゾフラニル基、ナフチリジニル基、1,2−ベンゾイソキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、オキサゾロピリジル基、イソチアゾロピリジル基、ベンゾチエニル基等を挙げることができ、好ましくは、フリル基、チエニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピリジル基等を挙げることができ、ヘテロアリール基は置換基を有していてもよい。なお、これらのアリール基又はヘテロアリール基に置換し得る基としては、ハロゲン原子、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、低級アルコキシ基、低級アルコキシカルボニル基、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基、低級アルカノイル基、置換基を有していてもよい低級アルキル基等を挙げることができる。
また、一般式(1)中、Yで示される各置換基の具体例として、以下のものを挙げることができる。
飽和もしくは不飽和の5〜6員の複素環式基としては、1〜2個の窒素原子又は酸素原子をヘテロ原子として含む複素環式基が好ましく、このような複素環式基の具体例としては、ピロリジン、ピペリジン、イミダゾリン、ピペラジン、テトラヒドロフラン、ヘキサヒドロピリミジン、ピロール、イミダゾール、ピラジン、ピロリジノン、ピペリジノン、モルホリン等の複素環が1価の基となったものを挙げることができ、その結合位置は、炭素原子又は窒素原子であり、結合位置が炭素原子のものが好ましい。これらの複素環式基は、置換基を有していてもよく、置換基としては低級アルキル基、低級アルカノイル基、カルバモイル基、モノアルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、ホルムイミドイル基、アルカノイミドイル基、ベンズイミドイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシアルキル基、アルキルカルボニルアルキル基、アミノアルキル基、アルカノイルアミノ基、アルカノイルアミノアルキル基、イミノ基、アルコキシカルボニルイミノ基等を挙げることができる。さらに、好ましい複素環式基としては、基
(式中、R8及びR9はそれぞれ水素原子、アミジノ基又は基
(式中、R10は低級アルキル基を示す))である5〜6員の複素環式基が挙げられる。
飽和もしくは不飽和の5〜6員の環状炭化水素基としては、フェニル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基などが具体的に挙げられ、これらの環状炭化水素基は置換基を有していてもよく、置換基としては、低級アルキル基、低級アルカノイル基、カルバモイル基、モノアルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、ホルムイミドイル基、アルカノイミドイル基、ベンズイミドイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシアルキル基、アルキルカルボニルアルキル基、アミノアルキル基、アルカノイルアミノ基、アルカノイルアミノアルキル基、イミノ基、アルコキシカルボニルイミノ基等を挙げることができる。
アミノアルキル基としては、アミノメチル基、アミノエチル基、アミノプロピル基等を挙げることができる。
アミノ基又はアミノアルキル基のアミノ部分に置換し得る基としては、低級アルキル基、ピロリジニル基、ピラジル基、カルバモイル基、モノアルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、低級アルカノイル基、ホルムイミドイル基、アルカノイミドイル基、ベンズイミドイル基、アルコキシカルボニル基等を挙げることができる。なお、ここで示したアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基等の炭素数は1〜6が好ましい。
また、一般式(1)中、式
で示される基としては、ベンゾフラニル基、ベンズイミダゾリル基、インドリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾチアゾリル基、ナフチル基及びテトラヒドロナフチル基より選ばれる基が好ましい。
一般式(1)で表される化合物中、R1〜R4が水素原子;nが0;Xが酸素原子;Aが1個のヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシアルキル基もしくはアルコキシカルボニルアルキル基が置換していてもよい炭素数2のアルキレン基又は基−CH2−N(R11)−(ここで、R11は水素原子又は基−SO2−W1−R12(ここで、W1は単結合又は基−N(R13)−(ここで、R13は水素原子、カルバモイル基、低級アルコキシカルボニル基、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノカルボニル基、低級アルキルスルホニル基、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノチオカルボニル基、置換基を有していてもよい低級アルキル基又は置換基を有していてもよい低級アルカノイル基を示す)を示し、R12は水酸基、低級アルコキシ基、置換基を有していてもよい低級アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を示す));Yが基
(式中、R8及びR9はそれぞれ水素原子、アミジノ基又は基
(式中、R10は低級アルキル基を示す)を示す);式
で表される基が、ベンゾフラニル基、ベンズイミダゾリル基、インドリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾチアゾリル基、ナフチル基又はテトラヒドロナフチル基;である化合物、その塩またはそれらの塩が好ましい。
一般式(1)で表される化合物には、不斉炭素原子が存在することがあり、その場合、不斉炭素原子に基づく光学異性体または立体異性体が存在するが、これらの光学異性体、立体異性体及びこれらの混合物のいずれも本発明に含まれる。
一般式(1)で表される化合物の塩としては、医薬的に許容し得る塩であれば特に限定されないが、具体的には、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、燐酸塩、硝酸塩、硫酸塩等の鉱酸塩類;メタンスルホン酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等の有機スルホン酸塩類;並びに酢酸塩、プロピオン酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、グルタル酸塩、アジピン酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩等の有機カルボン酸塩類が挙げられる。
また、一般式(1)で表される化合物又はその塩は、非溶媒和型のみならず、水和物もしくは溶媒和物としても存在することができる。従って、本発明の化合物又はその塩は、その全ての結晶型及び水和もしくは溶媒和物を包含するものである。
上記一般式(1)で表される化合物、その塩およびそれらの溶媒和物は、特開平5−208946号公報、国際公開WO96/16940号公報等にその製造方法等が開示された公知のものである。
上記一般式(1)で表される化合物としては、以下の化合物、その塩およびそれらの溶媒和物が好ましいものとして挙げることができる。
2−[4−[((3S)−1−アセトイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]−3−(7−アミジノ−2−ナフチル)プロピオン酸、(+)−2−[4−[((3S)−1−アセトイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]−3−(7−アミジノ−2−ナフチル)プロピオン酸、(2S)−2−[4−[((3S)−1−アセトイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]−3−(7−アミジノ−2−ナフチル)プロピオン酸、(2R)−2−[4−[((3R)−1−アセトイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]−3−(7−アミジノ−2−ナフチル)プロピオン酸、2−[4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジル)オキシ]フェニル]−3−(7−アミジノ−2−ナフチル)プロピオン酸、(+)−2−[4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジル)オキシ]フェニル]−3−(7−アミジノ−2−ナフチル)プロピオン酸、2−[4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジル)オキシ]フェニル]−3−(5−アミジノベンゾ[b]チエン−2−イル)プロピオン酸、2−[4−[((2S)−1−アセトイミドイル−2−ピロリジニル)メロキシ]フェニル]−3−(5−アミジノベンゾ[b]チエン−2−イル)プロピオン酸、(+)−2−[4−[((2S)−1−アセトイミドイル−2−ピロリジニル)メトキシ]フェニル]−3−(5−アミジノベンゾ[b]チエン−2−イル)プロピオン酸、3−[4−[((3S)−1−アセトイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]−4−(5−アミジノベンゾ[b]チエン−2−イル)酪酸、2−[4−[((3S)−1−アセトイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]−3−(6−アミジノ−1−エチル−2−インドリル)プロピオン酸、2−[4−[((3R)−1−アセトイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]−3−(6−アミジノ−1−エチル−2−インドリル)プロピオン酸、2−[4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジニル)オキシ]フェニル]−3−(6−アミジノ−1−エチル−2−インドリル)プロピオン酸、N−[4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジル)オキシ]フェニル]−N−[(7−アミジノ−2−ナフチル)メチル]−N’−メチルスルファミド、エチル N−[N−4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジル)オキシ]フェニル]−N−[(7−アミジノ−2−ナフチル)メチル]スルファモイル]カルバメート、4−[N−4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジル)オキシ]フェニル]−N−[(7−アミジノ−2−ナフチル)メチル]スルファモイル]安息香酸、N−[4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジル)オキシ]フェニル]−N−[(7−アミジノ−2−ナフチル)メチル]スルファモイル酢酸、エチル N−[N−[4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジル)オキシ]フェニル]−N−[(7−アミジノ−2−ナフチル)メチル]スルファモイル]グリシネート、N−[N−4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジル)オキシ]フェニル]−N−[(7−アミジノ−2−ナフチル)メチル]スルファモイル]−N−エトキシカルボニルグリシン、およびN−[N−4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジル)オキシ]フェニル]−N−[(7−アミジノ−2−ナフチル)メチル]スルファモイル]グリシン。
さらに好ましいものとして、以下のものを挙げることができる。
(2S)−2−[4−「((3S)−1−アセトイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]−3−(7−アミジノ−2−ナフチル)プロピオン酸・塩酸塩・5水和物、(+)−2−[4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジル)オキシ]フェニル]−3−(7−アミジノ−2−ナフチル)プロピオン酸・2塩酸塩、(+)−2−[4−[((2S)−1−アセトイミドイル−2−ピロリジニル)メトキシ]フェニル]−3−(5−アミジノベンゾ[b]チエン−2−イル)プロピオン酸・2塩酸塩、N−[4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジル)オキシ]フェニル]−N−[(7−アミジノ−2−ナフチル)メチル]スルファモイル酢酸・2塩酸塩、エチル N−[N−[4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジル)オキシ]フェニル]−N−[(7−アミジノ−2−ナフチル)メチル]スルファモイル]グリシネート・2塩酸塩、N−[N−4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジル)オキシ]フェニル]−N−[(7−アミジノ−2−ナフチル)メチル]スルファモイル]グリシン・2塩酸塩。
また、置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質としては、上記一般式(1)で表される化合物のほかに、以下のものをも挙げることができる。
(S)−4−(トランス−4−グアニジノメチルシクロヘキシルカルボニルグリシル)−2−オキソピペラジン−1,3−ジ酢酸、(S)−4−(4−グアニジノメチルベンゾイルグリシル)−2−オキソピペラジン−1,3−ジ酢酸、(S)−4−(4−グアニジノベンゾイルグリシル)−2−オキソピペラジン−1,3−ジ酢酸、(S)−4−(4−グアニジノベンゾイルザルコシル)−2−オキソピペラジン−1,3−ジ酢酸、(S)−4−(4−グアニジノメチルベンゾイルザルコシル)−2−オキソピペラジン−1,3−ジ酢酸、(S)−1−カルボキシメチル−4−(4−グアニジノベンゾイルザルコシル)−2−オキソピペラジン−3−プロピオン酸、(S)−4−(3−グアニジノフェニルアセチルグリシル)−2−オキソピペラジン−1,3−ジ酢酸、(S)−4−(4−アミジノベンゾイルグリシル)−2−オキソピペラジン−1,3−ジ酢酸、4−(4−アミジノベンゾイルグリシル)−2−オキソピペラジン−1−酢酸、(S)−4−(4−アミジノベンゾイルグリシル)−3−メトキシカルボニルメチル−2−オキソピペラジン−1−酢酸、(S)−4−(4−アミジノベンゾイルグリシル)−3−ベンジル−2−オキソピペラジン−1−酢酸、(S)−4−(4−アミジノベンゾイルグリシル)−3−カルバモイルメチル−2−オキソピペラジン−1−酢酸、(S)−4−(4−アミジノベンゾイルグリシル)−1−カルボキシメチル−2−オキソピペラジン−3−プロピオン酸、4−(4−アミジノベンゾイル)アミノアセチル−3−[3−(4−アミジノベンゾイル)アミノプロピル]−2−オキソピペラジン−1−酢酸、4−(4−アミジノベンゾイル)アミノアセチル−3−「4−(4−アミジノベンゾイル)アミノブチル]−2−オキソピペラジン−1−酢酸、4−(4−アミジノベンゾイル)アミノアセチル−3−[2−(4−アミジノベンゾイル)アミノエチル]−2−オキソピペラジン−1−酢酸、4−(4−アミジノベンゾイル)アミノアセチル−3−[2−(4−アミジノフェニルアミノカルボニル)エチル]−2−オキソピペラジン−1−酢酸、4−(4−アミジノベンゾイル)アミノアセチル−3−[3−(4−アミジノフェニルアミノカルボニル)プロピル]−2−オキソピペラジン−1−酢酸、4−(4−アミジノベンゾイル)アミノアセチル−3−[4−(4−アミジノフェニルアミノカルボニル)ブチル]−2−オキソピペラジン−1−酢酸、(S)−4−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)アセチル−3−[3−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)プロピル]−2−オキソピペラジン−1−酢酸、(S)−4−(4−アミジノベンゾイルアミノ)アセチル−3−[2−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)エチル]−2−オキソピペラジン−1−酢酸、(S)−4−[4−(2−アミノエチル)ベンゾイルアミノ]アセチル−3−[3−(4−アミジノベンゾイルアミノ)]プロピル−2−オキソピペラジン−1−酢酸、(S,S)−3−3−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)プロピル]−4−[3−(4−メトキシフェニル)−2−[4−(5−トリフルオロメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル−アミノ)ベンゾイルアミノ]プロピオニル]−2−オキソピペラジン−1−酢酸および(S,S)−4−[2−(4−グアニジノベンゾイル)アミノ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオニル]−3−[3−(4−グアニジノベンゾイル)アミノプロピル]−2−オキソピペラジン−1−酢酸。
上記化合物の薬理学的に許容し得るエステル、塩、溶媒和物なども例として挙げることができ、これらの化合物は光学活性体あるいはラセミ体であってもよい。上記の化合物、その塩およびそれらの溶媒和物は、特開平6−25285号公報等にその製造方法等が開示された公知のものである。
本発明の水性溶液は、例えば、適当量の置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質、所望により適当な添加物を適当量、適当な水性溶剤で溶解させ、適当なpH調節剤を用いて、所望のpHに調整することにより製することができる。水性溶剤としては、注射用水、生理食塩水、リンゲル液、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等を挙げることができる。添加物としては、安定剤、溶解補助剤、緩衝剤、等張化剤、無痛化剤等を挙げることができ、これらは本発明の効果を損なわない程度に添加できる。pH調節剤としては、人体等にとって無害の酸及びアルカリを挙げることができ、たとえば、塩酸、硫酸などの無機酸、水酸化ナトリウムなどの無機塩基、乳酸、クエン酸などの有機酸、メグルミン、モノエタノールアミンなどの有機塩基等を挙げることができる。本発明において、置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質を含有する水性溶液のpHは、製剤の安定化から、2よりも大きく4以下であることが必要であり、好ましくは2よりも大きく4未満、より好ましくは2よりも大きく3.5以下、さらに好ましくは2.5〜3.5である。
水性溶液中の置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質の濃度は、活性(薬効)に応じて適宜検討すればよいが、通常0.01〜500mg/ml、好ましくは0.1〜300mg/ml、さらに好ましくは1〜100mg/mlである。
本発明の凍結乾燥物を製するには、上記の水性溶液を共晶点以下の温度で凍結乾燥すればよい。一般に多成分系では共晶点が降下するので、凍結乾燥の温度条件を低温にしなければならず、工業的製造においては不利である。したがって、凍結乾燥物を製する場合、成分を少なくすることが有利である。実質的に、置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質およびpH調節剤を溶質とする水性溶液を凍結乾燥したものが好ましい。
本発明の水性溶液および凍結乾燥物は人体等への注射剤となり得るものであるので、無菌とするのが好ましい。無菌とするためには、水性溶液の場合は、高圧蒸気滅菌による滅菌や孔径0.22μmのメンブランフィルター等によるろ過滅菌を行えばよい。凍結乾燥物は、滅菌した水性溶液を凍結乾燥すればよい。
得られた凍結乾燥物は、用時溶剤(注射用水、緩衝液など)で溶解し、注射剤として用いられる。溶解後のpHが4未満であると人体等に投与した場合、局所的な刺激を与える場合があるので、溶解後のpHが4以上となるように用時溶剤のpHを調整するか、希釈によりpHを高くするのが望ましい。本発明の凍結乾燥物を溶剤に溶解させた溶液は安定なものである。また、前記水性溶液または前記凍結乾燥物と用時溶剤とを組み合わせて注射剤キットとしてもよい。
実施例
以下に、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるべきものではない。
比較例1
(2S)−2−[4−[((3S)−1−アセトイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]−3−(7−アミジノ−2−ナフチル)プロピオン酸・塩酸塩・5水和物(以下、化合物Aと略する。)を963.75mg量り、約40mlの注射用水を加え溶解した後、注射用水を加え全量50mlにした(pHは6.6)。孔径0.22μmメンブランフィルターを用いて濾過した後、10ml褐色バイアルに2.0mlずつ充填した。この充填した液を凍結乾燥機にて凍結乾燥した後、ゴム栓を打栓し、アルミキャップを巻き締め、比較処方を製した。調製した凍結乾燥製剤の保存開始時及び60℃で2週間保存後の製剤中の不純物質量をHPLC法により測定した。表1に1バイアル当りの製剤の処方および保存開始時と60℃で2週間保存後の総不純物量(%)を示した。
表1から明らかなように、比較処方の製剤は、60℃で2週間保存後の総不純物質量が約5%増加し、安定な処方でないことが判明した。
実施例1
化合物Aを963.75mg量り、約40mlの注射用水を加え溶解し、0.1規定塩酸を加えた後、注射用水を加え全量を50mlにし、pH2.5、3.0、3.5、4.0、5.0に調整した。孔径0.22μmメンブランフィルターを用いて濾過した後、10ml褐色バイアルに2.0mlずつ充填した。この充填した液を凍結乾燥機にて凍結乾燥した後、ゴム栓を打栓し、アルミキャップを巻き締め、各種pH製剤を製した。pH2.5、3.0、3.5、4.0、5.0に調整した処方をそれぞれ処方1、処方2、処方3、処方4、処方5とした。これらの凍結乾燥製剤を観察したところ、すべてのバイアル中に乾燥ケーキが形成されていた。また、それぞれの凍結乾燥製剤の保存開始時及び60℃で2週間保存後の製剤中の不純物質量をHPLC法により測定した。表2に各種pH製剤の1バイアル当りの処方及び保存開始時と60℃で2週間保存後の総不純物質量(%)を示した。
表2から明らかなように、pHが低下するにつれ、60℃で2週間保存後の総不純物質量は低減し、特にpH3.0以下の製剤(処方1および処方2)では、60℃で2週間保存後の総不純物質量はほとんど増加しなかった。
pHの調整を行わない比較処方と比べ、特に処方1〜4の製剤(pH4.0以下)は安定な処方であることが判明した。
また、本発明の凍結乾燥物は乾燥ケーキが形成されるため、乾燥ケーキが形成されないが故の良品錯誤が発生しない。さらには、製剤中に配合する成分が少ないため、原材料費を抑えることができること、および凍結乾燥時間が短縮できることから、工業的製造コストを低減することができる。
産業上の利用可能性
本発明の水性溶液は、長期保存可能な凍結乾燥製剤の原料となり得る優れたものである。また、該水性溶液を凍結乾燥して得られる凍結乾燥物は、乾燥ケーキを形成し、長期保存しても安定なものである。
したがって、本発明は、置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質を長期保存可能な優れたものである。
Claims (13)
- 置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質を含有し、pHが2よりも大きく4以下である水性溶液。
- 置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質を含有し、pHが2よりも大きく4未満である水性溶液。
- 置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質を含有し、pHが2よりも大きく3.5以下である水性溶液。
- 置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質を含有し、pHが2.5〜3.5である水性溶液。
- 置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質を含有し、pHが2よりも大きく4以下である水性溶液を凍結乾燥して得られる凍結乾燥物。
- 置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質を含有し、pHが2よりも大きく4未満である水性溶液を凍結乾燥して得られる凍結乾燥物。
- 置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質を含有し、pHが2よりも大きく3.5以下である水性溶液を凍結乾燥して得られる凍結乾燥物。
- 置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質を含有し、pHが2.5〜3.5である水性溶液を凍結乾燥して得られる凍結乾燥物。
- 置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質が、下記一般式(1)
〔式中、R1は水素原子又は低級アルコキシ基を示し、
R2は水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシアルキル基又はアルコキシカルボニルアルキル基を示し、
R3は水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、カルボキシアルコキシ基又はアルコキシカルボニルアルコキシ基を示し、
R4は水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、低級アルキル基又は低級アルコキシ基を示し、
nは0〜4の数を示し、
Aは1〜2個のヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシアルキル基もしくはアルコキシカルボニルアルキル基が置換していてもよい炭素数1〜4のアルキレン基又は基−B−N(R5)−(ここで、Bは低級アルキレン基又はカルボニル基を示し、R5は水素原子又は基−D−W−R6(ここで、Dは基−C(=Z)−(ここで、Zは酸素原子又は硫黄原子を示す)、基−C(=O)−C(=O)−又はスルホニル基を示し、Wは単結合又は基−N(R7)−(ここで、R7は水素原子、カルバモイル基、低級アルコキシカルボニル基、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノカルボニル基、低級アルキルスルホニル基、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノチオカルボニル基、置換基を有していてもよい低級アルキル基又は置換基を有していてもよい低級アルカノイル基を示す)を示し、R6は水酸基、低級アルコキシ基、置換基を有していてもよい低級アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を示す))を示し、
Xは単結合、酸素原子、硫黄原子又はカルボニル基を示し、
Yは置換基を有していてもよい飽和もしくは不飽和の5〜6員の複素環式基もしくは環状炭化水素基、置換基を有していてもよいアミノ基又は置換基を有していてもよいアミノアルキル基を示し、式
で表される基は、インドリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ナフチル基、テトラヒドロナフチル基及びインダニル基より選ばれる基を示す。〕で表される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物である請求項1〜4のいずれか1項記載の水性溶液または請求項5〜8のいずれか1項記載の凍結乾燥物。 - 置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質が、以下に記載の化合物、その塩およびそれらの溶媒和物群から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせである請求項1〜4のいずれか1項記載の水性溶液または請求項5〜8のいずれか1項記載の凍結乾燥物。
2−[4−[((3S)−1−アセトイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]−3−(7−アミジノ−2−ナフチル)プロピオン酸、(+)−2−[4−[((3S)−1−アセトイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]−3−(7−アミジノ−2−ナフチル)プロピオン酸、(2S)−2−[4−[((3S)−1−アセトイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]−3−(7−アミジノ−2−ナフチル)プロピオン酸、(2R)−2−[4−[((3R)−1−アセトイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]−3−(7−アミジノ−2−ナフチル)プロピオン酸、2−[4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジル)オキシ]フェニル]−3−(7−アミジノ−2−ナフチル)プロピオン酸、(+)−2−[4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジル)オキシ]フェニル]−3−(7−アミジノ−2−ナフチル)プロピオン酸、2−[4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジル)オキシ]フェニル]−3−(5−アミジノベンゾ[b]チエン−2−イル)プロピオン酸、2−[4−[((2S)−1−アセトイミドイル−2−ピロリジニル)メロキシ]フェニル]−3−(5−アミジノベンゾ[b]チエン−2−イル)プロピオン酸、(+)−2−[4−[((2S)−1−アセトイミドイル−2−ピロリジニル)メトキシ]フェニル]−3−(5−アミジノベンゾ[b]チエン−2−イル)プロピオン酸、3−[4−[((3S)−1−アセトイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]−4−(5−アミジノベンゾ[b]チエン−2−イル)酪酸、2−[4−[((3S)−1−アセトイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]−3−(6−アミジノ−1−エチル−2−インドリル)プロピオン酸、2−[4−[((3R)−1−アセトイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]−3−(6−アミジノ−1−エチル−2−インドリル)プロピオン酸、2−[4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジニル)オキシ]フェニル]−3−(6−アミジノ−1−エチル−2−インドリル)プロピオン酸、N−[4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジル)オキシ]フェニル]−N−[(7−アミジノ−2−ナフチル)メチル]−N’−メチルスルファミド、エチル N−[N−4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジル)オキシ]フェニル]−N−[(7−アミジノ−2−ナフチル)メチル]スルファモイル]カルバメート、4−[N−4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジル)オキシ]フェニル]−N−[(7−アミジノ−2−ナフチル)メチル]スルファモイル]安息香酸、N−[4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジル)オキシ]フェニル]−N−[(7−アミジノ−2−ナフチル)メチル]スルファモイル酢酸、エチル N−[N−[4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジル)オキシ]フェニル]−N−[(7−アミジノ−2−ナフチル)メチル]スルファモイル]グリシネート、N−[N−4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジル)オキシ]フェニル]−N−[(7−アミジノ−2−ナフチル)メチル]スルファモイル]−N−エトキシカルボニルグリシンおよびN−[N−4−[(1−アセトイミドイル−4−ピペリジル)オキシ]フェニル]−N−[(7−アミジノ−2−ナフチル)メチル]スルファモイル]グリシン。 - 置換基を有することもあるアミジノ基を有する生理活性物質が、(2S)−2−[4−[((3S)−1−アセトイミドイル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル]−3−(7−アミジノ−2−ナフチル)プロピオン酸・塩酸塩・5水和物である請求項1〜4のいずれか1項記載の水性溶液または請求項5〜8のいずれか1項記載の凍結乾燥物。
- 請求項1〜4もしくは9〜11のいずれか1項記載の水性溶液または請求項5〜11のいずれか1項記載の凍結乾燥物を含有する注射剤。
- 用時溶剤と請求項12記載の注射剤とからなる注射剤キット。
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