JPWO2003091772A1 - プラスチック光ファイバ - Google Patents
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Abstract
広い波長領域において、低伝送損失、高帯域、低曲げ損失が達成できるプラスチック光ファイバの提供。コアが実質的にC−H結合を有しない非結晶性の含フッ素重合体(a)からなり、クラッドがコアとの比較において屈折率が0.001以上低い含フッ素重合体(b)からなるプラスチック光ファイバであって、3以上のコアを同一クラッド内に設けたプラスチック光ファイバ。
Description
技術分野
本発明は耐熱性、難燃性、耐薬品性、耐溶剤性に優れた、低伝送損失かつ高伝送帯域を有するプラスチック光ファイバに関する。より詳細には耐熱性、難燃性、耐薬品性及び耐溶剤性に優れ、3以上のコアを有し、曲げによる伝送損失が抑制されたプラスチックマルチコア光ファイバに関する。
背景技術
3以上のコアを有するプラスチックマルチコア光ファイバは、光の結合効率を高くしつつ、曲げによる伝送損失(以下、「曲げ損失」という。)を抑えた、通信用プラスチック光ファイバであり、特開平5−341147号公報、特開平9−33737号公報、特開2001−166157号公報等に開示された技術が知られている。
しかし、いずれの場合にもアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等のC−H結合(炭素−水素結合)を有する樹脂をコアとして採用しているために、C−H結合に基づく本質的な損失が大きく、限定された波長でしか使用できず、また伝送距離も短距離に限られていた。また上記従来例には、含フッ素樹脂をコアに採用すること自体は提案されていたが、具体的な実施例は記載されておらず、その効果は明らかとなっていなかった。
本発明では、上記C−H結合に基づく本質的な伝送損失を排除し、500〜1600nmという可視から近赤外までの広い領域にわたる光源が使用できるプラスチック光ファイバを提供することを目的とする。またフッ素樹脂の持つ、耐熱性、難燃性、耐薬品性、耐溶剤性により、過酷な環境においても材料の劣化のない、医療用等のセンサーとして好適なプラスチック光ファイバを提供することを目的とする。
発明の開示
本発明は、コアが実質的にC−H結合を有しない非結晶性の含フッ素重合体(a)からなり、クラッドがコアとの比較において屈折率が0.001以上低い含フッ素重合体(b)からなるプラスチック光ファイバであって、3以上のコアを同一クラッド内に設けることを特徴とするプラスチック光ファイバを提供する。
本発明の光ファイバのコアとして、C−H結合を有しない材料を採用することは、500〜1600nmの広い領域にわたる透明性、すなわち低伝送損失を確保する上で必要である。またコアとして上記含フッ素重合体(a)を、クラッドとして上記含フッ素重合体(b)を、併せて採用することは、低伝送損失のプラスチック光ファイバを得る上で必須である。またコア、クラッドともに含フッ素重合体を採用することにより、耐熱性、難燃性、耐薬品性、耐溶剤性という特性が得られる。また同一クラッド内に3以上のコアを設けることにより、同一外径の単一コアファイバに比べて曲げ損失を抑制できる。
また本発明においては、含フッ素重合体(a)が主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素重合体であることが好ましく、さらに含フッ素重合体(a)および含フッ素重合体(b)が、いずれも主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素重合体であることが好ましい。この態様により、散乱損失の少ないプラスチック光ファイバが得られる。
また本発明においては、コアが屈折率分布型であることが好ましい。この態様において、屈折率分布型であるコアが、屈折率調整剤(a2)を含む含フッ素重合体(a)からなることが好ましく、さらに各コアにおいて、屈折率調整剤(a2)が含フッ素重合体(a)中で濃度分布を有して含まれることが好ましい。これらの態様により、曲げ損失を抑制しつつ、モード分散の少ない広帯域な伝送速度が確保できて好ましい。
また本発明においては、コアが単一モード型であることも好ましく、さらにコアが含フッ素重合体(a)と屈折率調整剤(a2)との含フッ素重合体組成物からなるか、または、含フッ素重合体(a)のみからなり、クラッドが含フッ素重合体(b)からなることが好ましい。この態様により、曲げ損失を非常に低く抑制できて好ましい。
発明を実施するための最良の形態
本発明のプラスチック光ファイバは、コアが実質的にC−H結合を有しない非結晶性の含フッ素重合体(a)からなり、クラッドがコアとの比較において屈折率が0.001以上低い含フッ素重合体(b)からなるプラスチック光ファイバであって、3以上のコアを同一クラッド内に設けたプラスチック光ファイバである。
なお、本発明において、コアまたはクラッドが含フッ素重合体からなるとは、含フッ素重合体のみからなる場合に加えて、含フッ素重合体が屈折率調整剤を含み含フッ素重合体と屈折率調整剤との含フッ素重合体組成物からなる場合を併せていう。また、重合体が実質的にC−H結合を有しないとは、重合体のフィルム(測定する厚さは0.2μm程度が好ましい。)を作成し赤外吸収スペクトルを測定した場合に、C−H結合に基づく吸収が観測されないことをいう。また、非結晶性とは、重合体または重合体組成物のX線回折(XRD)を測定した際に、横軸に2θ(単位:度)、縦軸に強度(cps)をとった図において、半値幅が2度以下の明瞭なピークが見られないことをいう。また屈折率とはナトリウムD線に対する屈折率をいう。またコアとは、光パワーの大部分が閉じ込められて伝送される光ファイバの部分をいい、クラッドとは、コアを取り囲んでいるコアより屈折率の低い物質で構成される部分をいう。またコア集合部とは、複数のコアが近接して存在する領域をいう。またコアとクラッドとの屈折率差は、コアのうち屈折率の最も高い部分の屈折率と、クラッドのうち屈折率の最も低い部分の屈折率と、の差をいう。またコア径とは、コア中心部の光量の5%以上の光量を示す領域の直径をいう。
本発明のプラスチック光ファイバにおいて、コアは実質的にC−H結合を有しない非結晶性の含フッ素重合体(a)からなる。含フッ素重合体(a)としては、非結晶性であり、かつ近赤外光で光吸収が起こるC−H結合を実質的に有しない含フッ素重合体であれば特に限定されない。この含フッ素重合体(a)としては、主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素重合体が好ましい。
主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有するとは、脂肪族環を構成する炭素原子の1以上が主鎖を構成する炭素連鎖中の炭素原子であり、かつ脂肪族環を構成する炭素原子の少なくとも一部にフッ素原子またはフッ素含有基が結合している構造を有することを意味する。含フッ素脂肪族環構造としては、含フッ素脂肪族エーテル環構造がさらに好ましい。
含フッ素重合体(a)の溶融状態における粘度は、溶融温度200〜300℃において、100〜100,000Pa・Sが好ましく、300〜10,000Pa・Sがより好ましく、500〜3,000Pa・Sが特に好ましい。溶融粘度が高すぎると溶融紡糸が困難であり、また、溶融粘度が低すぎると保護被覆を施してケーブル化する際に高温にさらされ軟化し、光の伝送性能が低下する。
含フッ素重合体(a)の数平均分子量は1×104〜5×106が好ましく、5×104〜1×106がより好ましい。分子量が小さすぎると耐熱性を阻害することがあり、大きすぎると母材の成形または溶融押出が困難になる。この分子量を固有粘度[η]で表わした場合は、ペルフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)[以下、「PBTHF」という]中30℃で0.1〜1dl/gであることが好ましく、特に0.2〜0.5dl/gであることが好ましい。
含フッ素脂肪族環構造を有する重合体としては、含フッ素環構造を有する単量体(環を構成する炭素原子と環を構成しない炭素原子間に重合性二重結合を有する単量体、または環を構成する炭素原子2個間に重合性二重結合を有する単量体)(M1)を重合して得られる重合体や、2個以上の重合性二重結合を有する含フッ素単量体(M2)を環化重合して得られる主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体が好適である。
含フッ素脂肪族環構造を有する単量体(M1)を重合して得られる主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体は、ペルフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、ペルフルオロ(4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソラン)、ペルフルオロ(2−メチル−1,4−ジオキシン)などの含フッ素脂肪族環構造を有する単量体(M1)を単独重合することにより得られる。また、この単量体(M1)とC−H結合を含まないラジカル重合性単量体(M3)とを共重合させることにより得られた主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体も用いられるが、光の透過性が低下する場合があるので単量体(M1)の単独重合体が好ましい。C−H結合を含まないラジカル重合性単量体(M3)としては、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)などが挙げられる。
また、2個以上の重合性二重結合を有する含フッ素単量体(M2)を環化重合して得られる、主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体は、特開昭63−238111号や特開昭63−238115号などにより知られている。すなわち、ペルフルオロ(アリルビニルエーテル)[CF2=CF−CF2−O−CF=CF2]、ペルフルオロ(ブテニルビニルエーテル)[CF2=CF−CF2−CF2−O−CF=CF2]、およびペルフルオロ(4−ペンテン−2−イルビニルエーテル)[CF2=CF−CF2−CF(CF3)−O−CF=CF2]などの単量体(M2)を環化重合することにより得られる。ここでこれらの単量体(M2)は単独重合しても、2種以上を共重合してもよい。またこのような単量体(M2)とC−H結合を含まないラジカル重合性単量体(M3)とを共重合させることにより主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体が得られるが、光の透過性が低下する場合があるので単量体(M2)のみの重合体が好ましく、単量体(M2)の単独重合体が特に好ましい。
また、含フッ素脂肪族環構造を有する単量体(M1)と2個以上の重合性二重結合を有する含フッ素単量体(M2)とを共重合させることによっても主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体が得られ、含フッ素重合体(a)として用いられるが、この場合も組み合わせによっては光の透過性が低下する場合があるので単独重合体が好ましい。
含フッ素脂肪族環構造を有する重合体は、含フッ素脂肪族環構造を有する重合体の全重合単位に対して含フッ素脂肪族環構造を有する重合単位を20モル%以上、特に40モル%以上含有するものが透明性、機械的特性などの面から好ましい。
本発明において、含フッ素重合体(a)は、含フッ素重合体(a)のみからなっていても、または、屈折率調整剤(a2)を含む含フッ素重合体(a)からなっていてもよい。特に本発明のプラスチック光ファイバのコアが屈折率分布型である場合には、含フッ素重合体(a)は、屈折率調整剤(a2)を含むことが好ましく、さらに各コアにおいて、屈折率調整剤(a2)が含フッ素重合体(a)中で、同心円状で段差なく連続的に変化する濃度分布を有していることが好ましく、その濃度分布は放物線様であることが好ましい。すなわち、コアの中心部において濃度が高く、周辺部に向かうに従って濃度が低くなる分布が好ましい。また、特に、本発明のプラスチック光ファイバのコアが単一モード型である場合には、含フッ素重合体(a)は、含フッ素重合体(a)のみ、または、含フッ素重合体(a)と屈折率調整剤(a2)との含フッ素重合体組成物からなることが好ましい。
本発明において屈折率調整剤(a2)としては、含フッ素重合体(a)との相溶性に優れ、かつ、実質的にC−H結合を有していない化合物が好ましい。すなわち含フッ素重合体(a)と屈折率調整剤(a2)との含フッ素重合体組成物において、屈折率調整剤(a2)は含フッ素重合体(a)に溶解していることが好ましい。ここで溶解しているとは、含フッ素重合体組成物のガラス転移点まで加熱し、それを徐冷(例えば5℃/hrで冷却)した場合においても、相分離を起こさないことをいう。
また含フッ素重合体(a)との比較において、屈折率調整剤(a2)の屈折率が高いことが好ましい。すなわち、屈折率調整剤(a2)は、含フッ素重合体(a)にとって高屈折率化剤であることが好ましい。屈折率調整剤(a2)としては、屈折率が高いことから、塩素原子を有する化合物および/または芳香族化合物が好ましい。塩素原子を有する化合物としては、クロロトリフルオロエチレンオリゴマー等が挙げられる。また芳香族化合物としては、ペルフルオロ(1,3,5−トリフェニルベンゼン)、ペルフルオロ(2,4,6−トリフェニル−1,3,5−トリアジン)等が挙げられる。
本発明において、含フッ素重合体(b)とは、コアとの比較において屈折率が0.001以上低い含フッ素重合体である。すなわちコアとなる含フッ素重合体(a)より低屈折率である必要があるため、実質的にC−H結合を有しない含フッ素重合体であることが好ましい。また成形性等の問題から、含フッ素重合体(b)としては、主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素重合体(b)であることが好ましい。特に含フッ素重合体(b)すなわち本発明においてクラッドは、含フッ素重合体(b)のみからなることが特に好ましい。ここで含フッ素重合体(b)としては、含フッ素重合体(a)が含フッ素重合体(a)よりも屈折率の高い屈折率調整剤(a2)を含む場合には、屈折率調整剤(a2)を含まない含フッ素重合体(a)のみであってもよい。
具体的な組み合わせとしてはすなわち、含フッ素重合体(a)と含フッ素重合体(b)との組み合わせとしては(a)/(b)で表した場合に、(i)含フッ素重合体(a−1)/含フッ素重合体(a−1)よりも所定以上低屈折率である含フッ素重合体(a−2)の組み合わせ、(ii)含フッ素重合体(a)と屈折率調整剤(a2)とからなる組成物/含フッ素重合体(a)の組み合わせが好ましい。特に本発明のプラスチック光ファイバのコアが、屈折率分布型である場合には、(i)または(ii)の組み合わせが好ましく、(ii)の組み合わせが特に好ましい。また同じくコアが単一モード型である場合には、(i)の組み合わせが好ましい。
本発明においては、上記含フッ素重合体(a)と含フッ素重合体(b)との組み合わせにより、700〜1600nmの波長領域において、50dB/km以下の低伝送損失が達成でき、光源の選択の自由度が向上する点で好ましい。
本発明におけるプラスチック光ファイバは、3以上のコアを同一クラッド内に設けている。すなわち、クラッドを海としコアを島とする、海島構造を形成する。このとき複数のコア同士は連続するクラッドによって互いに隔てられている。同一のクラッド内に設けられるコアの数は3以上であればよいが、7以上が好ましく、10以上がより好ましい。またその上限は特に設けられないが、3000以下が好ましい。
設けられるコアのコア径は、それぞれ同一でも異なってもよい。特にコア集合部の中心部(内部)に大きいコア径のコアを配置し、その外周部の同心円上に中心部に比較して小さいコア径のコアを配置することが好ましい。これはプラスチック光ファイバを曲げた際に中心部のコアから漏洩した光エネルギーが外周部のコアに再度入射し曲げ損失の増加が抑制できるためと考えられ、特に中心部のコアが屈折率分布型である場合に好適である。ただし異なる径のコアを配置する場合であってコアが単一モード型である場合には、後述の条件を満たす必要がある。
またクラッド内におけるコアの配置は、特に制限されないが、光ファイバを曲げる方向によって差が出にくいことから、点対称に配置されることが好ましい。またコア集合部に光が入射する際の結合効率が向上する点から、最密充填配置となることが好ましい。
本発明におけるプラスチック光ファイバのコアは、屈折率分布型または単一モード型が好ましい。コアが屈折率分布型である場合に、コアの屈折率は段差なく連続的に変化することが好ましく、その屈折率分布は放物線様であることが好ましい。すなわちコアの中心部において屈折率が高く、周辺部に向かうに従って屈折率が低くなる分布が好ましい。この分布形状は例えば中心部に屈折率調整剤の高濃度部分を用意して、それを熱拡散により拡散させて屈折率分布を与えることにより得られる。
次にコアが単一モード型である場合について説明する。単一モード型であるとは、対象となる波長で最低次のモードだけが伝播される状態であることをいう。単一モードとなる条件は規格化周波数Vと呼ばれるパラメータを用いて(1)式で表される。
ただし、aはコア半径、n1はコア中心の屈折率、n2はクラッドの屈折率、λは波長である。またこの場合、(1)式を満たすために必要な屈折率n1およびn2の関係に関して、Δn=n1−n2が0.001≦Δn<0.03の範囲であることが望ましい。Δnがこれより小さいと光を閉じ込めることができず曲げ損失が大きくなりやすく、一方、大きいと単一モードの条件を満たすためにコア径を非常に小さくする必要が生じ製造上困難になりやすい。コアを単一モード型とすることにより、高帯域で伝送容量が大きく低伝送損失を実現できる。
本発明におけるプラスチック光ファイバの製造方法としては、(S1)母材(プリフォーム)を成形してからこれを熱延伸する方法や(S2)押出成形機を用いて溶融紡糸する方法が採用される。いずれも重合体から直接作成する方法や単量体を重合させながら成形することも可能である。また上記(S1)の方法と(S2)の方法とを組み合わせる方法、すなわち、母材を押し出し法により製造した後に熱延伸する方法を採用してもよい。特に本発明のプラスチック光ファイバのコアが、屈折率分布型である場合には、(S1)の方法が好ましく、同じくコアが単一モード型である場合には、(S2)の方法が好ましい。
上記(S1)の方法としては、以下の例が挙げられる。まずストランド状に成形したコア材を、別途成形した多孔のクラッド材に所定本数挿入し、これを母材とする。得られた母材を熱延伸してプラスチック光ファイバを得る。このときの延伸倍率は20〜1000倍が好ましく、50〜300倍がより好ましい。この方法は、コアが屈折率分布型である場合に好適である。その具体的な成形方法の一例を以下に示す。まず含フッ素重合体(a)の中空管を作成し、その中心部に屈折率調整剤(a2)を注入し、屈折率調整剤(a2)を熱拡散させてコア用母材を得る。次にこのコア用母材を熱延伸して、上記ストランド状に成形したコア材を得る。このコア材を、含フッ素重合体(b)を押し出し成形して得られた多孔のクラッド材に、所定本数挿入し母材とする。得られた母材を熱延伸してプラスチック光ファイバを得る。
また他の具体例を以下に示す。含フッ素重合体(a)と屈折率調整剤(a2)とからなる含フッ素重合体(a)のストランドを成形する。次に含フッ素重合体(a)を押し出し成形して多孔のクラッド材とする。このクラッド材にストランドを挿入した後、熱拡散を行い、屈折率分布型のコアを有する母材を得る。この母材を熱延伸してプラスチック光ファイバを得る。
前記(S2)の方法としては、以下の例が挙げられる。まず、均一に溶融させたコア材を押し出し機のダイス内で分流させ、細分化した後にその周辺部にクラッド材を供給する。これらを同一のノズルから押し出してプラスチック光ファイバを得る。この方法はコアが単一モード型である場合に好適である。また2色の押し出し成形により、コア材と多孔のクラッド材とからなる母材を得て、これを熱延伸してプラスチック光ファイバを得る方法も挙げられる。
本発明のプラスチック光ファイバは、硫酸、塩酸等の酸性薬品、または水酸化ナトリウム等のアルカリ性薬品に侵されない。また、トルエン、ベンゼン、アセトン等の有機溶剤にも侵されない。この耐薬品性、耐溶剤性により、下水道配管内、作動油が飛散する工場内等の劣悪な環境下でも使用可能である。また、3以上のコアを有することにより、曲げ損失が改善され、頻繁に折り曲げられるロボット等の可動部へも使用できる。
本発明の含フッ素プラスチックマルチコア光ファイバは、加入者系の通信線;工場内LAN、病院内LAN、学校内LAN、下水道配管内LAN等の公共施設内LANに用いる通信線;医療機器内配線;電力線監視通信線;自動車、航空機、電車、船舶等のデータ伝送用通信線等の高速、高帯域を必要とする用途に好適である。特に曲げ損失が大きくなりやすい、狭い場所への配線に好適である。さらにプラスチック製である点で折れにくく、また折れた際に刺さりにくいという点で安全でもある。
(実施例)
以下に本発明の実施例について具体的に説明する。
(実施例1)
含フッ素重合体(a)として、ペルフルオロ(ブテニルビニルエーテル)の環化重合体(屈折率1.342)(以下、重合体AP1という。)を選び、屈折率調整剤(a2)としてクロロトリフルオロエチレン(CTFE)オリゴマーを選んだ。重合体AP1にCTFEオリゴマーを添加し、CTFEオリゴマー濃度が15質量%、屈折率が1.355の重合体組成物AC1を得た。
重合体AP1を用いて、外径が40mm、内径が20.5mm、長さが500mmの中空管を作成する。また重合体組成物AC1を用いて、外径が20mm、長さが500mmの円柱を作成する。重合体AP1の中空管に重合体組成物AC1の円柱を挿入し、これを220℃に加熱された加熱炉の中で溶融紡糸し、外径が0.26mm、コア径が0.13mmのストランドを得る。
重合体AP1を用いて、外径が20mm、内径が10mm、長さが500mmの中空管を新たに作成する。この中空部に、長さ480mmに切りそろえられたストランドを1330本挿入し、母材とする。この母材を220℃に加熱された加熱炉の中で溶融紡糸し、外径が0.5mmのプラスチック光ファイバを製造する。プラスチック光ファイバは、コア径が3.25μmのコアを1330有している。このコアの波長850nmの光に対する規格化周波数は2.25であり、このコアはシングルモード型である。
図1に本実施例により得られる、本発明のプラスチック光ファイバの一例の断面図を示す。クラッド1の中央部にコア集合部2が配置される。コア集合部2には上記のシングルモード型のコアが海島構造を形成するように1330配置されている。
製造されたプラスチック光ファイバに、開口数(NA)が0.1、波長が850nmのレーザー光を用いて、200mの伝送試験を実施したところ、伝送損失は19dB/km、帯域は4GHz・kmである。またこのプラスチック光ファイバを用いて、半径が10mm、曲げ角度が180度の曲げ試験を行ったところ、曲げ損失は0.01dB以下である。
(実施例2)
含フッ素重合体(a)として、重合体AP1を選び、屈折率調整剤(a2)として、ペルフルオロ(1,3,5−トリフェニルベンゼン)(TPB)を選んだ。重合体AP1を用いて、外径が20mm、内径が5mm、長さが300mmの中空管を作成する。この中空管にTPBを溶融した状態で注入し、封管内において、TPBを注入した中空管を回転させながら加熱する。240℃で10時間加熱し、TPBが拡散した中空管を得る。この中空管の内周部の屈折率は1.355であり、外周部の屈折率は1.342である。この中空管を、中空部を減圧にしながら、220℃に加熱された加熱炉の中で溶融紡糸し、外径が2mmのストランドを得る。
外径が46mm、内径が40mm、長さが350mmのガラス管aを1本と、外径2.1mm、内径0.5mm、長さが330mmの両端を封止したガラス管bを30本とを用意する。ガラス管bをガラス管aの略中心部に配置し固定し、ガラス管aの片側をポリテトラフルオロエチレン製の円柱状樹脂ブロックで封止する。このガラス管aの中に重合体AP1を溶融状態で注入し、減圧下で脱泡した後、徐々に冷却し、室温まで冷却する。その後、50質量%濃度のフッ化水素酸水溶液中に投入し、フッ化水素酸水溶液を循環させガラス管a、bを完全に溶解除去する。これを水洗、乾燥して、30個の孔を有する、外径が40mm、長さが300mmの多孔クラッド材を得る。多孔クラッド材の孔にそれぞれストランドを挿入し母材とし、これを230℃に加熱された加熱炉の中で溶融紡糸し、外径が0.5mmのプラスチック光ファイバを製造する。プラスチック光ファイバは、コア径が23μmの屈折率分布型コアを30有している。
図2に本実施例により得られた、本発明のプラスチック光ファイバの一例の断面図を示す。クラッド3の略中央部に屈折率分布型のコア4が30配置されている。製造されたプラスチック光ファイバに、NAが0.25、波長が1300nmのレーザー光を用いて、500mの伝送試験を実施したところ、伝送損失は17dB/km、帯域は1GHz・kmである。またこのプラスチック光ファイバを用いて、半径が10mm、曲げ角度が180度の曲げ試験を行ったところ、曲げ損失は0.1dBである。
(実施例3)
含フッ素重合体(a)として重合体AP1を、重合体AP1より低屈折率の重合体として、ペルフルオロ(ブテニルビニルエーテル)とペルフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)との共重合体(屈折率1.338)(以下、重合体AP2という。)を選んだ。
耐食仕様の15mmプランジャ式押し出し機2台を準備し、それぞれ押し出し機1、押し出し機2とする。押し出し機1に重合体AP1を装填し、押し出し機2に重合体AP2を装填する。押し出し機1と押し出し機2とを、クロスヘッドを介して連結する。押し出し機1からの流路はクロスヘッド内で200本に分流されている。樹脂はクロスヘッドからノズルに導かれ、直径が10mmのクラッド材(重合体AP2)が押し出され、その中に直径が0.12mmのコア材(重合体AP1)が押し出されるように設定する。押し出し機1を220℃に設定し、押し出し機2を240℃に設定し、押し出しを行う。ノズルから出た樹脂を溶融状態で延伸し、外径0.5mmのプラスチック光ファイバを得る。プラスチック光ファイバは、コア径が6μmのコアを200有している。このコアの波長850nmの光に対する規格化周波数は2.30であり、このコアはシングルモード型である。
製造されたプラスチック光ファイバに、NAが0.1、波長が850nmのレーザー光を用いて、200mの伝送試験を実施したところ、伝送損失は24dB/km、帯域は3GHz・kmである。またこのプラスチック光ファイバを用いて、半径が10mm、曲げ角度が180度の曲げ試験を行ったところ、曲げ損失は0.01dB以下である。
(実施例4)
含フッ素重合体(a)として重合体AP1を、重合体AP1より低屈折率の重合体として、ペルフルオロ(4−ペンテン−2−イルビニルエーテル)の環化重合体(屈折率1.326)(以下、重合体AP3という。)を選んだ。
実施例3と同じ2台の押し出し機を用い、クラッド材がAP3、コア材がAP1となるように設定する。実施例3と同様に押し出しを行い、ノズルから出た樹脂を溶融状態で延伸し、外径0.25mmのプラスチック光ファイバを得る。プラスチック光ファイバは、コア径が3μmのコアを200有している。このコアの波長850nmの光に対する規格化周波数は2.29であり、このコアはシングルモード型である。
製造されたプラスチック光ファイバに、NAが0.1、波長が850nmのレーザー光を用いて、200mの伝送試験を実施したところ、伝送損失は24dB/km、帯域は3GHz・kmである。またこのプラスチック光ファイバを用いて、半径が10mm、曲げ角度が180度の曲げ試験を行ったところ、曲げ損失は0.01dB以下である。
産業上の利用の可能性
本発明によれば、ポリメチルメタクリレート系樹脂等の材料を用いた従来のプラスチック光ファイバでは達成できなかった、広い波長領域における、低伝送損失と高帯域が達成でき、かつ、低い曲げ損失が達成できる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明のプラスチック光ファイバの一例の断面図である。
図2は、本発明のプラスチック光ファイバの一例の断面図である。
1:クラッド、2:コア集合部、3:クラッド、4:コア
本発明は耐熱性、難燃性、耐薬品性、耐溶剤性に優れた、低伝送損失かつ高伝送帯域を有するプラスチック光ファイバに関する。より詳細には耐熱性、難燃性、耐薬品性及び耐溶剤性に優れ、3以上のコアを有し、曲げによる伝送損失が抑制されたプラスチックマルチコア光ファイバに関する。
背景技術
3以上のコアを有するプラスチックマルチコア光ファイバは、光の結合効率を高くしつつ、曲げによる伝送損失(以下、「曲げ損失」という。)を抑えた、通信用プラスチック光ファイバであり、特開平5−341147号公報、特開平9−33737号公報、特開2001−166157号公報等に開示された技術が知られている。
しかし、いずれの場合にもアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等のC−H結合(炭素−水素結合)を有する樹脂をコアとして採用しているために、C−H結合に基づく本質的な損失が大きく、限定された波長でしか使用できず、また伝送距離も短距離に限られていた。また上記従来例には、含フッ素樹脂をコアに採用すること自体は提案されていたが、具体的な実施例は記載されておらず、その効果は明らかとなっていなかった。
本発明では、上記C−H結合に基づく本質的な伝送損失を排除し、500〜1600nmという可視から近赤外までの広い領域にわたる光源が使用できるプラスチック光ファイバを提供することを目的とする。またフッ素樹脂の持つ、耐熱性、難燃性、耐薬品性、耐溶剤性により、過酷な環境においても材料の劣化のない、医療用等のセンサーとして好適なプラスチック光ファイバを提供することを目的とする。
発明の開示
本発明は、コアが実質的にC−H結合を有しない非結晶性の含フッ素重合体(a)からなり、クラッドがコアとの比較において屈折率が0.001以上低い含フッ素重合体(b)からなるプラスチック光ファイバであって、3以上のコアを同一クラッド内に設けることを特徴とするプラスチック光ファイバを提供する。
本発明の光ファイバのコアとして、C−H結合を有しない材料を採用することは、500〜1600nmの広い領域にわたる透明性、すなわち低伝送損失を確保する上で必要である。またコアとして上記含フッ素重合体(a)を、クラッドとして上記含フッ素重合体(b)を、併せて採用することは、低伝送損失のプラスチック光ファイバを得る上で必須である。またコア、クラッドともに含フッ素重合体を採用することにより、耐熱性、難燃性、耐薬品性、耐溶剤性という特性が得られる。また同一クラッド内に3以上のコアを設けることにより、同一外径の単一コアファイバに比べて曲げ損失を抑制できる。
また本発明においては、含フッ素重合体(a)が主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素重合体であることが好ましく、さらに含フッ素重合体(a)および含フッ素重合体(b)が、いずれも主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素重合体であることが好ましい。この態様により、散乱損失の少ないプラスチック光ファイバが得られる。
また本発明においては、コアが屈折率分布型であることが好ましい。この態様において、屈折率分布型であるコアが、屈折率調整剤(a2)を含む含フッ素重合体(a)からなることが好ましく、さらに各コアにおいて、屈折率調整剤(a2)が含フッ素重合体(a)中で濃度分布を有して含まれることが好ましい。これらの態様により、曲げ損失を抑制しつつ、モード分散の少ない広帯域な伝送速度が確保できて好ましい。
また本発明においては、コアが単一モード型であることも好ましく、さらにコアが含フッ素重合体(a)と屈折率調整剤(a2)との含フッ素重合体組成物からなるか、または、含フッ素重合体(a)のみからなり、クラッドが含フッ素重合体(b)からなることが好ましい。この態様により、曲げ損失を非常に低く抑制できて好ましい。
発明を実施するための最良の形態
本発明のプラスチック光ファイバは、コアが実質的にC−H結合を有しない非結晶性の含フッ素重合体(a)からなり、クラッドがコアとの比較において屈折率が0.001以上低い含フッ素重合体(b)からなるプラスチック光ファイバであって、3以上のコアを同一クラッド内に設けたプラスチック光ファイバである。
なお、本発明において、コアまたはクラッドが含フッ素重合体からなるとは、含フッ素重合体のみからなる場合に加えて、含フッ素重合体が屈折率調整剤を含み含フッ素重合体と屈折率調整剤との含フッ素重合体組成物からなる場合を併せていう。また、重合体が実質的にC−H結合を有しないとは、重合体のフィルム(測定する厚さは0.2μm程度が好ましい。)を作成し赤外吸収スペクトルを測定した場合に、C−H結合に基づく吸収が観測されないことをいう。また、非結晶性とは、重合体または重合体組成物のX線回折(XRD)を測定した際に、横軸に2θ(単位:度)、縦軸に強度(cps)をとった図において、半値幅が2度以下の明瞭なピークが見られないことをいう。また屈折率とはナトリウムD線に対する屈折率をいう。またコアとは、光パワーの大部分が閉じ込められて伝送される光ファイバの部分をいい、クラッドとは、コアを取り囲んでいるコアより屈折率の低い物質で構成される部分をいう。またコア集合部とは、複数のコアが近接して存在する領域をいう。またコアとクラッドとの屈折率差は、コアのうち屈折率の最も高い部分の屈折率と、クラッドのうち屈折率の最も低い部分の屈折率と、の差をいう。またコア径とは、コア中心部の光量の5%以上の光量を示す領域の直径をいう。
本発明のプラスチック光ファイバにおいて、コアは実質的にC−H結合を有しない非結晶性の含フッ素重合体(a)からなる。含フッ素重合体(a)としては、非結晶性であり、かつ近赤外光で光吸収が起こるC−H結合を実質的に有しない含フッ素重合体であれば特に限定されない。この含フッ素重合体(a)としては、主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素重合体が好ましい。
主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有するとは、脂肪族環を構成する炭素原子の1以上が主鎖を構成する炭素連鎖中の炭素原子であり、かつ脂肪族環を構成する炭素原子の少なくとも一部にフッ素原子またはフッ素含有基が結合している構造を有することを意味する。含フッ素脂肪族環構造としては、含フッ素脂肪族エーテル環構造がさらに好ましい。
含フッ素重合体(a)の溶融状態における粘度は、溶融温度200〜300℃において、100〜100,000Pa・Sが好ましく、300〜10,000Pa・Sがより好ましく、500〜3,000Pa・Sが特に好ましい。溶融粘度が高すぎると溶融紡糸が困難であり、また、溶融粘度が低すぎると保護被覆を施してケーブル化する際に高温にさらされ軟化し、光の伝送性能が低下する。
含フッ素重合体(a)の数平均分子量は1×104〜5×106が好ましく、5×104〜1×106がより好ましい。分子量が小さすぎると耐熱性を阻害することがあり、大きすぎると母材の成形または溶融押出が困難になる。この分子量を固有粘度[η]で表わした場合は、ペルフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)[以下、「PBTHF」という]中30℃で0.1〜1dl/gであることが好ましく、特に0.2〜0.5dl/gであることが好ましい。
含フッ素脂肪族環構造を有する重合体としては、含フッ素環構造を有する単量体(環を構成する炭素原子と環を構成しない炭素原子間に重合性二重結合を有する単量体、または環を構成する炭素原子2個間に重合性二重結合を有する単量体)(M1)を重合して得られる重合体や、2個以上の重合性二重結合を有する含フッ素単量体(M2)を環化重合して得られる主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体が好適である。
含フッ素脂肪族環構造を有する単量体(M1)を重合して得られる主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体は、ペルフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、ペルフルオロ(4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソラン)、ペルフルオロ(2−メチル−1,4−ジオキシン)などの含フッ素脂肪族環構造を有する単量体(M1)を単独重合することにより得られる。また、この単量体(M1)とC−H結合を含まないラジカル重合性単量体(M3)とを共重合させることにより得られた主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体も用いられるが、光の透過性が低下する場合があるので単量体(M1)の単独重合体が好ましい。C−H結合を含まないラジカル重合性単量体(M3)としては、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)などが挙げられる。
また、2個以上の重合性二重結合を有する含フッ素単量体(M2)を環化重合して得られる、主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体は、特開昭63−238111号や特開昭63−238115号などにより知られている。すなわち、ペルフルオロ(アリルビニルエーテル)[CF2=CF−CF2−O−CF=CF2]、ペルフルオロ(ブテニルビニルエーテル)[CF2=CF−CF2−CF2−O−CF=CF2]、およびペルフルオロ(4−ペンテン−2−イルビニルエーテル)[CF2=CF−CF2−CF(CF3)−O−CF=CF2]などの単量体(M2)を環化重合することにより得られる。ここでこれらの単量体(M2)は単独重合しても、2種以上を共重合してもよい。またこのような単量体(M2)とC−H結合を含まないラジカル重合性単量体(M3)とを共重合させることにより主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体が得られるが、光の透過性が低下する場合があるので単量体(M2)のみの重合体が好ましく、単量体(M2)の単独重合体が特に好ましい。
また、含フッ素脂肪族環構造を有する単量体(M1)と2個以上の重合性二重結合を有する含フッ素単量体(M2)とを共重合させることによっても主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体が得られ、含フッ素重合体(a)として用いられるが、この場合も組み合わせによっては光の透過性が低下する場合があるので単独重合体が好ましい。
含フッ素脂肪族環構造を有する重合体は、含フッ素脂肪族環構造を有する重合体の全重合単位に対して含フッ素脂肪族環構造を有する重合単位を20モル%以上、特に40モル%以上含有するものが透明性、機械的特性などの面から好ましい。
本発明において、含フッ素重合体(a)は、含フッ素重合体(a)のみからなっていても、または、屈折率調整剤(a2)を含む含フッ素重合体(a)からなっていてもよい。特に本発明のプラスチック光ファイバのコアが屈折率分布型である場合には、含フッ素重合体(a)は、屈折率調整剤(a2)を含むことが好ましく、さらに各コアにおいて、屈折率調整剤(a2)が含フッ素重合体(a)中で、同心円状で段差なく連続的に変化する濃度分布を有していることが好ましく、その濃度分布は放物線様であることが好ましい。すなわち、コアの中心部において濃度が高く、周辺部に向かうに従って濃度が低くなる分布が好ましい。また、特に、本発明のプラスチック光ファイバのコアが単一モード型である場合には、含フッ素重合体(a)は、含フッ素重合体(a)のみ、または、含フッ素重合体(a)と屈折率調整剤(a2)との含フッ素重合体組成物からなることが好ましい。
本発明において屈折率調整剤(a2)としては、含フッ素重合体(a)との相溶性に優れ、かつ、実質的にC−H結合を有していない化合物が好ましい。すなわち含フッ素重合体(a)と屈折率調整剤(a2)との含フッ素重合体組成物において、屈折率調整剤(a2)は含フッ素重合体(a)に溶解していることが好ましい。ここで溶解しているとは、含フッ素重合体組成物のガラス転移点まで加熱し、それを徐冷(例えば5℃/hrで冷却)した場合においても、相分離を起こさないことをいう。
また含フッ素重合体(a)との比較において、屈折率調整剤(a2)の屈折率が高いことが好ましい。すなわち、屈折率調整剤(a2)は、含フッ素重合体(a)にとって高屈折率化剤であることが好ましい。屈折率調整剤(a2)としては、屈折率が高いことから、塩素原子を有する化合物および/または芳香族化合物が好ましい。塩素原子を有する化合物としては、クロロトリフルオロエチレンオリゴマー等が挙げられる。また芳香族化合物としては、ペルフルオロ(1,3,5−トリフェニルベンゼン)、ペルフルオロ(2,4,6−トリフェニル−1,3,5−トリアジン)等が挙げられる。
本発明において、含フッ素重合体(b)とは、コアとの比較において屈折率が0.001以上低い含フッ素重合体である。すなわちコアとなる含フッ素重合体(a)より低屈折率である必要があるため、実質的にC−H結合を有しない含フッ素重合体であることが好ましい。また成形性等の問題から、含フッ素重合体(b)としては、主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素重合体(b)であることが好ましい。特に含フッ素重合体(b)すなわち本発明においてクラッドは、含フッ素重合体(b)のみからなることが特に好ましい。ここで含フッ素重合体(b)としては、含フッ素重合体(a)が含フッ素重合体(a)よりも屈折率の高い屈折率調整剤(a2)を含む場合には、屈折率調整剤(a2)を含まない含フッ素重合体(a)のみであってもよい。
具体的な組み合わせとしてはすなわち、含フッ素重合体(a)と含フッ素重合体(b)との組み合わせとしては(a)/(b)で表した場合に、(i)含フッ素重合体(a−1)/含フッ素重合体(a−1)よりも所定以上低屈折率である含フッ素重合体(a−2)の組み合わせ、(ii)含フッ素重合体(a)と屈折率調整剤(a2)とからなる組成物/含フッ素重合体(a)の組み合わせが好ましい。特に本発明のプラスチック光ファイバのコアが、屈折率分布型である場合には、(i)または(ii)の組み合わせが好ましく、(ii)の組み合わせが特に好ましい。また同じくコアが単一モード型である場合には、(i)の組み合わせが好ましい。
本発明においては、上記含フッ素重合体(a)と含フッ素重合体(b)との組み合わせにより、700〜1600nmの波長領域において、50dB/km以下の低伝送損失が達成でき、光源の選択の自由度が向上する点で好ましい。
本発明におけるプラスチック光ファイバは、3以上のコアを同一クラッド内に設けている。すなわち、クラッドを海としコアを島とする、海島構造を形成する。このとき複数のコア同士は連続するクラッドによって互いに隔てられている。同一のクラッド内に設けられるコアの数は3以上であればよいが、7以上が好ましく、10以上がより好ましい。またその上限は特に設けられないが、3000以下が好ましい。
設けられるコアのコア径は、それぞれ同一でも異なってもよい。特にコア集合部の中心部(内部)に大きいコア径のコアを配置し、その外周部の同心円上に中心部に比較して小さいコア径のコアを配置することが好ましい。これはプラスチック光ファイバを曲げた際に中心部のコアから漏洩した光エネルギーが外周部のコアに再度入射し曲げ損失の増加が抑制できるためと考えられ、特に中心部のコアが屈折率分布型である場合に好適である。ただし異なる径のコアを配置する場合であってコアが単一モード型である場合には、後述の条件を満たす必要がある。
またクラッド内におけるコアの配置は、特に制限されないが、光ファイバを曲げる方向によって差が出にくいことから、点対称に配置されることが好ましい。またコア集合部に光が入射する際の結合効率が向上する点から、最密充填配置となることが好ましい。
本発明におけるプラスチック光ファイバのコアは、屈折率分布型または単一モード型が好ましい。コアが屈折率分布型である場合に、コアの屈折率は段差なく連続的に変化することが好ましく、その屈折率分布は放物線様であることが好ましい。すなわちコアの中心部において屈折率が高く、周辺部に向かうに従って屈折率が低くなる分布が好ましい。この分布形状は例えば中心部に屈折率調整剤の高濃度部分を用意して、それを熱拡散により拡散させて屈折率分布を与えることにより得られる。
次にコアが単一モード型である場合について説明する。単一モード型であるとは、対象となる波長で最低次のモードだけが伝播される状態であることをいう。単一モードとなる条件は規格化周波数Vと呼ばれるパラメータを用いて(1)式で表される。
ただし、aはコア半径、n1はコア中心の屈折率、n2はクラッドの屈折率、λは波長である。またこの場合、(1)式を満たすために必要な屈折率n1およびn2の関係に関して、Δn=n1−n2が0.001≦Δn<0.03の範囲であることが望ましい。Δnがこれより小さいと光を閉じ込めることができず曲げ損失が大きくなりやすく、一方、大きいと単一モードの条件を満たすためにコア径を非常に小さくする必要が生じ製造上困難になりやすい。コアを単一モード型とすることにより、高帯域で伝送容量が大きく低伝送損失を実現できる。
本発明におけるプラスチック光ファイバの製造方法としては、(S1)母材(プリフォーム)を成形してからこれを熱延伸する方法や(S2)押出成形機を用いて溶融紡糸する方法が採用される。いずれも重合体から直接作成する方法や単量体を重合させながら成形することも可能である。また上記(S1)の方法と(S2)の方法とを組み合わせる方法、すなわち、母材を押し出し法により製造した後に熱延伸する方法を採用してもよい。特に本発明のプラスチック光ファイバのコアが、屈折率分布型である場合には、(S1)の方法が好ましく、同じくコアが単一モード型である場合には、(S2)の方法が好ましい。
上記(S1)の方法としては、以下の例が挙げられる。まずストランド状に成形したコア材を、別途成形した多孔のクラッド材に所定本数挿入し、これを母材とする。得られた母材を熱延伸してプラスチック光ファイバを得る。このときの延伸倍率は20〜1000倍が好ましく、50〜300倍がより好ましい。この方法は、コアが屈折率分布型である場合に好適である。その具体的な成形方法の一例を以下に示す。まず含フッ素重合体(a)の中空管を作成し、その中心部に屈折率調整剤(a2)を注入し、屈折率調整剤(a2)を熱拡散させてコア用母材を得る。次にこのコア用母材を熱延伸して、上記ストランド状に成形したコア材を得る。このコア材を、含フッ素重合体(b)を押し出し成形して得られた多孔のクラッド材に、所定本数挿入し母材とする。得られた母材を熱延伸してプラスチック光ファイバを得る。
また他の具体例を以下に示す。含フッ素重合体(a)と屈折率調整剤(a2)とからなる含フッ素重合体(a)のストランドを成形する。次に含フッ素重合体(a)を押し出し成形して多孔のクラッド材とする。このクラッド材にストランドを挿入した後、熱拡散を行い、屈折率分布型のコアを有する母材を得る。この母材を熱延伸してプラスチック光ファイバを得る。
前記(S2)の方法としては、以下の例が挙げられる。まず、均一に溶融させたコア材を押し出し機のダイス内で分流させ、細分化した後にその周辺部にクラッド材を供給する。これらを同一のノズルから押し出してプラスチック光ファイバを得る。この方法はコアが単一モード型である場合に好適である。また2色の押し出し成形により、コア材と多孔のクラッド材とからなる母材を得て、これを熱延伸してプラスチック光ファイバを得る方法も挙げられる。
本発明のプラスチック光ファイバは、硫酸、塩酸等の酸性薬品、または水酸化ナトリウム等のアルカリ性薬品に侵されない。また、トルエン、ベンゼン、アセトン等の有機溶剤にも侵されない。この耐薬品性、耐溶剤性により、下水道配管内、作動油が飛散する工場内等の劣悪な環境下でも使用可能である。また、3以上のコアを有することにより、曲げ損失が改善され、頻繁に折り曲げられるロボット等の可動部へも使用できる。
本発明の含フッ素プラスチックマルチコア光ファイバは、加入者系の通信線;工場内LAN、病院内LAN、学校内LAN、下水道配管内LAN等の公共施設内LANに用いる通信線;医療機器内配線;電力線監視通信線;自動車、航空機、電車、船舶等のデータ伝送用通信線等の高速、高帯域を必要とする用途に好適である。特に曲げ損失が大きくなりやすい、狭い場所への配線に好適である。さらにプラスチック製である点で折れにくく、また折れた際に刺さりにくいという点で安全でもある。
(実施例)
以下に本発明の実施例について具体的に説明する。
(実施例1)
含フッ素重合体(a)として、ペルフルオロ(ブテニルビニルエーテル)の環化重合体(屈折率1.342)(以下、重合体AP1という。)を選び、屈折率調整剤(a2)としてクロロトリフルオロエチレン(CTFE)オリゴマーを選んだ。重合体AP1にCTFEオリゴマーを添加し、CTFEオリゴマー濃度が15質量%、屈折率が1.355の重合体組成物AC1を得た。
重合体AP1を用いて、外径が40mm、内径が20.5mm、長さが500mmの中空管を作成する。また重合体組成物AC1を用いて、外径が20mm、長さが500mmの円柱を作成する。重合体AP1の中空管に重合体組成物AC1の円柱を挿入し、これを220℃に加熱された加熱炉の中で溶融紡糸し、外径が0.26mm、コア径が0.13mmのストランドを得る。
重合体AP1を用いて、外径が20mm、内径が10mm、長さが500mmの中空管を新たに作成する。この中空部に、長さ480mmに切りそろえられたストランドを1330本挿入し、母材とする。この母材を220℃に加熱された加熱炉の中で溶融紡糸し、外径が0.5mmのプラスチック光ファイバを製造する。プラスチック光ファイバは、コア径が3.25μmのコアを1330有している。このコアの波長850nmの光に対する規格化周波数は2.25であり、このコアはシングルモード型である。
図1に本実施例により得られる、本発明のプラスチック光ファイバの一例の断面図を示す。クラッド1の中央部にコア集合部2が配置される。コア集合部2には上記のシングルモード型のコアが海島構造を形成するように1330配置されている。
製造されたプラスチック光ファイバに、開口数(NA)が0.1、波長が850nmのレーザー光を用いて、200mの伝送試験を実施したところ、伝送損失は19dB/km、帯域は4GHz・kmである。またこのプラスチック光ファイバを用いて、半径が10mm、曲げ角度が180度の曲げ試験を行ったところ、曲げ損失は0.01dB以下である。
(実施例2)
含フッ素重合体(a)として、重合体AP1を選び、屈折率調整剤(a2)として、ペルフルオロ(1,3,5−トリフェニルベンゼン)(TPB)を選んだ。重合体AP1を用いて、外径が20mm、内径が5mm、長さが300mmの中空管を作成する。この中空管にTPBを溶融した状態で注入し、封管内において、TPBを注入した中空管を回転させながら加熱する。240℃で10時間加熱し、TPBが拡散した中空管を得る。この中空管の内周部の屈折率は1.355であり、外周部の屈折率は1.342である。この中空管を、中空部を減圧にしながら、220℃に加熱された加熱炉の中で溶融紡糸し、外径が2mmのストランドを得る。
外径が46mm、内径が40mm、長さが350mmのガラス管aを1本と、外径2.1mm、内径0.5mm、長さが330mmの両端を封止したガラス管bを30本とを用意する。ガラス管bをガラス管aの略中心部に配置し固定し、ガラス管aの片側をポリテトラフルオロエチレン製の円柱状樹脂ブロックで封止する。このガラス管aの中に重合体AP1を溶融状態で注入し、減圧下で脱泡した後、徐々に冷却し、室温まで冷却する。その後、50質量%濃度のフッ化水素酸水溶液中に投入し、フッ化水素酸水溶液を循環させガラス管a、bを完全に溶解除去する。これを水洗、乾燥して、30個の孔を有する、外径が40mm、長さが300mmの多孔クラッド材を得る。多孔クラッド材の孔にそれぞれストランドを挿入し母材とし、これを230℃に加熱された加熱炉の中で溶融紡糸し、外径が0.5mmのプラスチック光ファイバを製造する。プラスチック光ファイバは、コア径が23μmの屈折率分布型コアを30有している。
図2に本実施例により得られた、本発明のプラスチック光ファイバの一例の断面図を示す。クラッド3の略中央部に屈折率分布型のコア4が30配置されている。製造されたプラスチック光ファイバに、NAが0.25、波長が1300nmのレーザー光を用いて、500mの伝送試験を実施したところ、伝送損失は17dB/km、帯域は1GHz・kmである。またこのプラスチック光ファイバを用いて、半径が10mm、曲げ角度が180度の曲げ試験を行ったところ、曲げ損失は0.1dBである。
(実施例3)
含フッ素重合体(a)として重合体AP1を、重合体AP1より低屈折率の重合体として、ペルフルオロ(ブテニルビニルエーテル)とペルフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)との共重合体(屈折率1.338)(以下、重合体AP2という。)を選んだ。
耐食仕様の15mmプランジャ式押し出し機2台を準備し、それぞれ押し出し機1、押し出し機2とする。押し出し機1に重合体AP1を装填し、押し出し機2に重合体AP2を装填する。押し出し機1と押し出し機2とを、クロスヘッドを介して連結する。押し出し機1からの流路はクロスヘッド内で200本に分流されている。樹脂はクロスヘッドからノズルに導かれ、直径が10mmのクラッド材(重合体AP2)が押し出され、その中に直径が0.12mmのコア材(重合体AP1)が押し出されるように設定する。押し出し機1を220℃に設定し、押し出し機2を240℃に設定し、押し出しを行う。ノズルから出た樹脂を溶融状態で延伸し、外径0.5mmのプラスチック光ファイバを得る。プラスチック光ファイバは、コア径が6μmのコアを200有している。このコアの波長850nmの光に対する規格化周波数は2.30であり、このコアはシングルモード型である。
製造されたプラスチック光ファイバに、NAが0.1、波長が850nmのレーザー光を用いて、200mの伝送試験を実施したところ、伝送損失は24dB/km、帯域は3GHz・kmである。またこのプラスチック光ファイバを用いて、半径が10mm、曲げ角度が180度の曲げ試験を行ったところ、曲げ損失は0.01dB以下である。
(実施例4)
含フッ素重合体(a)として重合体AP1を、重合体AP1より低屈折率の重合体として、ペルフルオロ(4−ペンテン−2−イルビニルエーテル)の環化重合体(屈折率1.326)(以下、重合体AP3という。)を選んだ。
実施例3と同じ2台の押し出し機を用い、クラッド材がAP3、コア材がAP1となるように設定する。実施例3と同様に押し出しを行い、ノズルから出た樹脂を溶融状態で延伸し、外径0.25mmのプラスチック光ファイバを得る。プラスチック光ファイバは、コア径が3μmのコアを200有している。このコアの波長850nmの光に対する規格化周波数は2.29であり、このコアはシングルモード型である。
製造されたプラスチック光ファイバに、NAが0.1、波長が850nmのレーザー光を用いて、200mの伝送試験を実施したところ、伝送損失は24dB/km、帯域は3GHz・kmである。またこのプラスチック光ファイバを用いて、半径が10mm、曲げ角度が180度の曲げ試験を行ったところ、曲げ損失は0.01dB以下である。
産業上の利用の可能性
本発明によれば、ポリメチルメタクリレート系樹脂等の材料を用いた従来のプラスチック光ファイバでは達成できなかった、広い波長領域における、低伝送損失と高帯域が達成でき、かつ、低い曲げ損失が達成できる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明のプラスチック光ファイバの一例の断面図である。
図2は、本発明のプラスチック光ファイバの一例の断面図である。
1:クラッド、2:コア集合部、3:クラッド、4:コア
Claims (9)
- コアが実質的にC−H結合を有しない非結晶性の含フッ素重合体(a)からなり、クラッドがコアとの比較において屈折率が0.001以上低い含フッ素重合体(b)からなるプラスチック光ファイバであって、3以上のコアを同一クラッド内に設けることを特徴とするプラスチック光ファイバ。
- 含フッ素重合体(a)が主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素重合体である、請求項1に記載のプラスチック光ファイバ。
- 含フッ素重合体(a)および含フッ素重合体(b)が、いずれも主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素重合体である、請求項1または2に記載のプラスチック光ファイバ。
- コアが屈折率分布型である請求項1、2または3に記載のプラスチック光ファイバ。
- 屈折率分布型であるコアが、屈折率調整剤(a2)を含む含フッ素重合体(a)からなる請求項4に記載のプラスチック光ファイバ。
- 各コアにおいて、屈折率調整剤(a2)が含フッ素重合体(a)中で濃度分布を有して含まれる請求項5に記載のプラスチック光ファイバ。
- コアが単一モード型である請求項1、2または3に記載のプラスチック光ファイバ。
- コアが含フッ素重合体(a)と屈折率調整剤(a2)との含フッ素重合体組成物からなり、クラッドが含フッ素重合体(b)のみからなる請求項7に記載のプラスチック光ファイバ。
- コアが含フッ素重合体(a)のみからなり、クラッドが含フッ素重合体(b)のみからなる請求項7に記載のプラスチック光ファイバ。
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