JPWO2003091340A1 - エネルギー変換組成物及びその成形物 - Google Patents
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Abstract
エネルギー変換組成物は、母材とその母材の双極子モーメント量を増大させる活性成分とを含む。母材は合成樹脂、フィラー及びロジン樹脂を含有する。母材及び活性成分の合計に対する各成分の含有量は、合成樹脂が30〜40重量%、フィラーが40〜60重量%、ロジン樹脂が2.5〜10重量%及び活性成分が4〜14重量%である。
Description
技術分野
本発明は、自動車、家屋の内装材、建材、あるいは家電機器等に適用され、モーター等の振動発生源の振動エネルギーを熱エネルギーに変換するエネルギー変換組成物及びその成形物に関するものである。
背景技術
一般に、振動エネルギーを熱エネルギーに変換する物質、すなわち、エネルギー変換組成物は、塩化ビニル系樹脂に可塑剤を添加した軟質の塩化ビニル系樹脂により形成されている。国際特許出願公開第WO97/42844号に開示される「エネルギー変換組成物」では、塩化ビニル樹脂からなる母材中の双極子モーメント量を増大させるために、活性成分を母材に添加している。エネルギー変換組成物はシート状、あるいはブロック状に成形されたエネルギー変換成形物として使用される。エネルギー変換成形物は、振動エネルギー、あるいは音のエネルギー等のエネルギーを吸収して熱エネルギーに変換可能である。活性成分がエネルギー変換組成物に配合されているため、この組成物から得られる成形物は、高いエネルギーの吸収性能を有する。
エネルギー変換成形物は、自動車、家屋の内装材、建材、あるいは家電機器等に適用され、モーターの振動、騒音等のエネルギーを吸収することができる。シート状をなすエネルギー変換成形物は、適用物を軽量化するため薄く成形されることが要求されている。
上記従来の技術の場合、エネルギー変換組成物を例えばシート状に成形する際、エネルギー変換組成物の伸びが不足してシートが破断する等の不具合が生じる。このため、エネルギー変換組成物を成形しにくかった。
発明の開示
本発明の目的は、エネルギーの吸収性能を十分に有し、かつ、容易に成形することができるエネルギー変換組成物及びその成形物を提供することにある。
上記の目的を達成するために以下のエネルギー変換組成物を提供する。エネルギー変換組成物は、母材とその母材の双極子モーメント量を増大させる活性成分とを含有する。母材は合成樹脂、フィラー及びロジン樹脂を含有する。母材及び活性成分の合計に対する各成分の含有量は、合成樹脂が30〜40重量%、フィラーが40〜60重量%、ロジン樹脂が2.5〜10重量%及び活性成分が4〜14重量%である。
本発明はさらに、以下のエネルギー変換組成物の製造方法を提供する。エネルギー変換組成物は、母材とその母材の双極子モーメント量を増大させる活性成分とを含有する。母材は合成樹脂、フィラー及びロジン樹脂を含有する。エネルギー変換組成物の製造方法は、母材及び活性成分の合計に対し、合成樹脂が30〜40重量%、フィラーが40〜60重量%、ロジン樹脂が2.5〜10重量%及び活性成分が4〜14重量%となるようにエネルギー変換組成物を調製すること含む。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態におけるエネルギー変換組成物は、母材とその母材の双極子モーメント量を増大させる活性成分とを含む。母材は合成樹脂、フィラー及びロジン樹脂を含有する。母材及び活性成分の合計に対する各成分の含有量は、合成樹脂が30〜40重量%、フィラーが40〜60重量%、ロジン樹脂が2.5〜10重量%及び活性成分が4〜14重量%である。
エネルギー変換組成物は、振動エネルギー、音のエネルギー、衝撃のエネルギー等のエネルギーを吸収して熱エネルギー等に変換可能な組成物であり、その組成物をシート状、ブロック状等に成形することによってエネルギー変換成形物を得ることができる。これらのエネルギー変換成形物の中でも振動箇所に適用され、振動エネルギーを吸収して熱エネルギーに変換するエネルギー変換成形物を制振成形物という。
シート状の制振成形物は、非拘束型制振シート及び拘束型制振シートを含む。非拘束型制振シートは、エネルギー変換組成物をシート状に成形することによって得ることができる。非拘束型制振シートでは、そのシートを振動箇所に貼り合わせたとき、該シートの外表面が拘束されてはいない。一方、シート状のエネルギー変換組成物を制振層として使用し、その制振層の表面のうち一方の面に制振層を拘束するための拘束層を設け、かつ、他方の面に制振層を振動箇所に貼り合わせるための粘着層を設けることによって拘束型制振シートが得られる。これらの制振成形物における振動エネルギーの吸収性能を制振性能という。なお、制振成形物の制振性能は、損失係数(η)の値が高ければ高いほど優れることが知られている。
エネルギー変換組成物の母材を構成する合成樹脂としては、粘弾性を有するものであれば特に限定されない。合成樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリフッ化ビニリデン、ポリイソプレン、ポリスチレン、スチレン/ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/アクリロニトリル共重合体等が用いられる。これらの合成樹脂は再生品を用いてもよい。また、これらの合成樹脂を母材に配合する場合には、これらの中から選ばれる一種のみ、または二種以上を用いてもよい。これらの合成樹脂の中でもメルトインデックス(MI)が1〜5g/10分であるものが好ましい。MIは、一定の温度及び荷重下で測定された試料の流出速度(10分間当たりに測定機から押し出されるグラム数)である。MIが1g/10分未満の場合、エネルギー変換組成物の流動性が不足し、成形が困難となるおそれがある。一方、MIが5g/10分よりも大きいと、流動性が増加しすぎて成形が困難となるおそれがある。また、これらの合成樹脂の中でも、入手が容易であるとともに、環境性を考慮すると、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましい。
母材及び活性成分の合計に対する合成樹脂の含有量は、前述のように30〜40重量%に設定される。合成樹脂の含有量が30重量%未満の場合、エネルギー変換組成物の成形が困難となる。一方、この含有量が40重量%よりも大きいと、エネルギー変換成形物における制振性能を含むエネルギー吸収性能が十分に得られない。
フィラーはエネルギーの吸収性能を向上させるとともに、補強剤、耐熱剤及び増量剤として母材中に含有される。フィラーとしては、例えば、マイカ、カーボンブラック、シリカ、ガラス、カーボン、炭酸カルシウム、バライト、沈降硫酸バリウム等が用いられる。フィラーの形状は、粉状、繊維状、鱗片状等、特に限定されない。母材中にフィラーを配合する場合は、これらの中から選ばれる一種のみ、または二種以上を用いてもよい。母材及び活性成分の合計に対するフィラーの含有量は、40〜60重量%に設定される。フィラーの含有量が40重量%未満の場合、エネルギー変換成形物のエネルギー吸収性能が十分に得られない。一方、フィラーの含有量が60重量%を超えると、流動性が低下して成形が困難となる。
ロジン樹脂は、エネルギー変換組成物の成形性を向上させるために配合される。ロジンはアビエチン酸を主成分とするものであって、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン及びこれらの誘導体に相当する。ガムロジンの誘導体としては、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、エステルガム等が使用される。母材中にロジンを配合する場合には、これらの中から選ばれる一種のみを用いても二種以上を用いてもよい。ロジンを選択する際には、上記合成樹脂との相溶し易さ、すなわち溶解度パラメータ(SP値)を考慮し、その値の近いもの同士が選択される。
母材及び活性成分の合計に対するロジンの含有量は、2.5〜10重量%に設定される。ロジンの含有量が2.5重量%未満の場合、エネルギー変換組成物の成形性を向上させる効果が十分に得られない。一方、ロジンの含有量が10重量%を超えると、エネルギー変換組成物の流動性が増加しすぎて、成形が困難となる。
活性成分は、母材中の双極子モーメント量を増大させることによって、エネルギー変換組成物のエネルギーの吸収性能を向上させるために配合される。活性成分としては、例えばベンゾチアジル基を有する化合物、ベンゾトリアゾール基を有する化合物、ジフェニルアクリレート基を有する化合物、ベンゾフェノン基を有する化合物等が使用される。ベンゾチアジル基を有する化合物としては、例えばN,N−ジシクロヘキシルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(DCHBSA)、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアジルスルフィド、N−シクロヘキシルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(BBS)、N−オキシジエチレンベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(OBS)、N,N−ジイソプロピルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(DPBS)等が使用される。
ベンゾトリアゾール基を有する化合物としては、例えばベンゼン環にアゾール基が結合したベンゾトリアゾールを母核とし、これにフェニル基が結合した2−{2’−ハイドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”テトラハイドロフタリミデメチル)−5’−メチルフェニル}−ベンゾトリアゾール(2HPMMB)、2−{2’−ハイドロキシ−5’−メチルフェニル}−ベンゾトリアゾール(2HMPB)、2−{2’−ハイドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル}−5−クロロベンゾトリアゾール(2HBMPCB)、2−{2’−ハイドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル}−5−クロロベンゾトリアゾール(2HDBPCB)等が使用される。
ジフェニルアクリレート基を有する化合物としては、エチル−2−シアノ−3,3−ジ−フェニルアクリレート等が使用される。
ベンゾフェノン基を有する化合物としては、2−ハイドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(HMBP)、2−ハイドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルフォニックアシド(HMBPS)等が使用される。
これらの活性成分を母材に配合する場合、これらの中から選ばれる一種のみ、または二種以上を用いてもよい。なお、活性成分を選択する際には、活性成分及び母材の相溶し易さ、すなわち溶解度パラメータ(SP値)を考慮し、その値の近いもの同士が選択される。
これらの活性成分の中でも、母材中の双極子モーメント量を増大させる作用に優れることから、ベンゾチアジル基を有する化合物、ベンゾトリアゾール基を有する化合物及びジフェニルアクリレート基を有する化合物から選ばれる少なくとも一種が好ましい。
母材及び活性成分の合計に対する活性成分の含有量は、4〜14重量%に設定され、好ましくは5〜11重量%である。活性成分の含有量が4重量%未満の場合、母材中の双極子モーメント量を増大させる作用が十分に得られない。一方、活性成分の含有量が14重量%を超えると、活性成分が母材に十分に相溶しない等の不具合が生じる。
母材にはその他の成分として、熱可塑性エラストマー、ゴム類、難燃剤、着色剤、酸化防止剤、帯電防止剤、安定剤、発泡剤、滑剤等を必要に応じて適宜加えることができる。
熱可塑性エラストマー及びゴム類は合成樹脂の柔軟性を向上させるために配合されることが好ましい。熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー等が使用される。ゴム類としては、例えば、アクリロニトリル/ブタジエン共重合ゴム(NBR)、スチレン/ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブチル系ゴム等が使用される。
エネルギー変換組成物は、母材及び活性成分をロール混練によって混合するロール混練法等によって調製される。ロール混練法による母材及び活性成分の溶融混練には、熱ロール、バンバリーミキサー、二軸混練機、押出機等の混練装置が用いられる。調製されたエネルギー変換組成物をT−ダイ等のダイス、押出機、プレス機等の成形機を用いてシート状、ブロック状等に成形することによってエネルギー変換成形物を得ることができる。
本発明の一実施形態におけるエネルギー変換成形物としての拘束型制振シート11について図1及び図2に基づき説明する。図1及び図2に示すように、拘束型制振シート11は、エネルギー変換組成物からなる制振層12と、制振層12を拘束するための拘束層13と、制振層12を振動箇所に貼り合わせるための粘着層14とを備えている。制振層12の表面のうち一方の面に拘束層13が貼り合わされ、制振層12の他方の面に粘着層14が貼り合わされている。本実施形態では、制振層12の厚さは1.0mm、拘束層13の厚さは0.05mm、粘着層14の厚さは0.5mmに設定されている。なお、各層12,13,14の厚さは特に限定されるものではない。各層12,13,14の厚さを増大させると、拘束型制振シート11の制振性能は向上する。しかしながら、拘束型制振シート11を軽量化するために、各層12,13,14の厚さは上記の値に設定するのが好ましい。
拘束層13は、振動箇所から粘着層14を介して制振層12に振動が伝播したとき、制振層12を拘束することによって制振層12にせん断変形を生じさせることができる。制振層12は後述するそれ自体の振動エネルギーの吸収性能に加えて、せん断変形によって振動エネルギーを吸収することができる。JIS K7113に準ずるプラスチックの引張試験方法により測定された制振層12の弾性率よりも拘束層13の弾性率が高ければ、特に拘束層13の素材は限定されない。拘束層13としては、例えばアルミニウム、鉛、ステンレス鋼等の金属箔、ポリエチレン、ポリエステル等の合成樹脂から形成されるフィルム、不織布等が使用される。これらの拘束層13の中でも、弾性率がより高く、制振層12を拘束する作用に優れることから、金属箔が好ましい。
粘着層14を構成する粘着材料は、粘着性を有するものであれば特に限定されない。粘着層14としては、例えば上記のゴム類、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂等を主成分とした水系粘着剤、溶剤系粘着剤等が使用される。これらの粘着材料の中でも自己粘着性に優れ、制振層12に容易に貼着できることからブチル系ゴムが好ましい。ブチル系ゴムとは、イソブチレン/イソプレン共重合体(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(臭素化ブチルゴム、塩素化ブチルゴム)、部分架橋ブチルゴム、ポリブテン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン及びこれらの再生品のうち、少なくとも一種を含む。
エネルギー変換組成物は、混練装置に母材及び活性成分が投入され、各材料を溶融混練することによって調製される。エネルギー変換組成物にロジンが2.5〜10重量%含有されているため、ロジンによって合成樹脂に対する活性成分の相溶性が向上すると考えられる。
エネルギー変換成形物としての拘束型制振シート11を製造する場合、エネルギー変換組成物を押出機によってダイスからシート状に押し出し、ニップロールでエネルギー変換組成物を引き取ることによって制振層12が成形される。エネルギー変換組成物にロジンが含有されているため、ロジンによって合成樹脂に対する活性成分の相溶性が向上していると考えられる。従って、エネルギー変換組成物の伸びが向上し、制振層12を成形する際、ダイスとニップロールとの間において、エネルギー変換組成物が破断する等の不具合を抑制することができる。続いて、制振層12の表面のうち一方の面に拘束層13が貼り合わされ、他方の面に粘着層14が貼り合わされることによって拘束型制振シート11が得られる。
自動車、家屋の内装材、建材、あるいは家電機器等の分野において、拘束型制振シート11の粘着層14をそれらの振動箇所に貼り合わせることによって、制振層12の両面が拘束される。振動発生源から発生した振動は、振動エネルギーとして粘着層14を介して制振層12に伝達される。制振層12には活性成分が配合されているため、制振層12の母材中の双極子モーメント量が増大させられている。活性成分は双極子として、母材を構成する合成樹脂の分子間に束縛力を働かせて、母材中に安定な状態で配置されている。制振層12に外部から振動エネルギーが加わると、双極子に変位が生じて不安定な状態になる。これらの双極子は振動エネルギーが加わる前の安定な状態に戻ろうとする。このとき、エネルギーの消費が生じ、制振層12は振動エネルギーを吸収できると考えられる。
本実施形態は、以下の効果を有する。
エネルギー変換組成物は、母材及びその母材の双極子モーメント量を増大させる活性成分から構成されている。母材には合成樹脂、フィラー及びロジン樹脂が含有されている。母材及び活性成分の合計に対する各成分の含有量は、合成樹脂が30〜40重量%、フィラーが40〜60重量%、ロジン樹脂が2.5〜10重量%及び活性成分が4〜14重量%である。このように構成した場合、活性成分によって制振成形物の制振性能が十分に得られるとともに、ロジンによって合成樹脂に対する活性成分の相溶性が向上すると考えられる。従って、エネルギー変換組成物の伸びが向上し、制振層12を成形する際、ダイスとニップロールとの間において、シート状の制振組成物が破断する等の不具合を抑制することができる。従って、制振成形物の制振性能を維持しつつ、シート状をなす制振成形物を容易に成形することができる。
合成樹脂のメルトインデックスが1〜5g/10分に設定されている。この場合、制振層12を成形する際、ダイスとニップロール間において、シート状の制振組成物が破断する等の不具合を抑制することができる。その結果、シート状をなす制振成形物を容易に成形することができる。
活性成分は、ベンゾチアジル基を有する化合物、ベンゾトリアゾール基を有する化合物及びジフェニルアクリレート基を有する化合物から選ばれる少なくとも一種である。この場合、母材中の双極子モーメント量をより増大させることができ、制振成形物の制振性能を向上することができる。
本実施形態のエネルギー変換成形物は、エネルギー変換組成物からなるシート状の制振層12と、制振層12を拘束するための拘束層13と、制振層12を振動箇所に貼り合わせるための粘着層14とを備えている。制振層12の表面のうち一方の面に拘束層13が設けられ、他方の面に粘着層14が設けられている。この構成によると、制振層12にせん断変形を生じさせることができるため、制振組成物の制振性能を十分に得ることができる。また、粘着層14によって振動箇所に容易に貼り合わせることができる。
拘束層13が金属箔から構成されている。このため、制振層12をより堅固に拘束することができ、制振成形物の制振性能を十分に得ることができる。
粘着層14がブチル系ゴムから構成されている。ブチル系ゴムは自己粘着性に優れることから、制振層12の面に粘着層14を容易に貼りつけることができ、エネルギー変換成形物を容易に得ることができる。
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
(実施例1〜実施例4、比較例1)
表1に示す配合量(重量%)に従い、母材としてポリエチレン樹脂(再生LDPE、(有)ムトー化成製、MI=3〜4g/10分)、鱗片状マイカ(クラライトマイカ 60−C、(株)クラレ製)及びロジン(超淡色ロジン KR−610、荒川化学工業(株)製)をロール混練機に投入した。さらに、活性成分としてDCHBSA(サンセラーDZ、三新化学工業(株)製)をロール混練機に投入した。温度170℃で10分間混練し、エネルギー変換組成物を調製した。
【表1】
上記実施例1〜4及び比較例1で得られたエネルギー変換組成物をそれぞれプレス機にセットし、圧力7845kPa、温度100℃の条件で5分間プレス加工を行い、厚さ1.0mmのシート状の制振層12を得た。
これらの制振層12をJIS K 7113に準拠してダンベル形状に打ち抜き、試験片を作製した。これらの試験片の中央部にほぼ一定の間隔で標線を2本引き、標線の間隔(L1)を測定した。これらの試験片を170℃の恒温槽内に吊下げて1分間加熱処理を施した。次に、各試験片を空冷した後、標線の間隔(L2)を測定した。続いて、標線の間隔L1及びL2から試験片の伸び(L2/L1×100(%))を算出した。この伸びの値が高いほど、エネルギー変換組成物をシート状に連続成形する際にシートの破断等の不具合が抑制されることを示している。
上記制振層12の表面の一方の面に厚さ0.05mmのアルミ箔を貼り合わせ、制振層12の他方の面に厚さ0.5mmのブチル系ゴム(両面テープ WBT No.718、寺岡製作所(株)製)を貼り合わせることによって、拘束型制振成形物を得た。これらの制振成形物を156×15mmの寸法に切断し、156×15×1mmの鋼板に貼り付けたものを損失係数測定用の試験片とした。これらの試験片に中央加振法損失係数測定装置(CF5200タイプ、小野測器(株)製)によって、加振したときの最初の共振周波数のピーク、すなわち、共振周波数の一次モードにおける損失係数を算出し、損失係数の最大値を求めた。中央加振法とは、機械インピーダンス測定装置を利用して、試験片中央の加振点におけるインピーダンスを測定して損失係数を求める方法である。
実施例1〜4及び比較例1の測定結果を表2及び図3に示す。
【表2】
表2及び図3から明らかなように、実施例1〜4のそれぞれの試験片には、母材中にロジンが2.5〜10重量%含有されているため、比較例1の試験片の伸びと比較して実施例1〜4の試験片の伸びは3倍以上である。また、実施例1〜4のそれぞれの試験片の損失係数は比較例の試験片の損失係数に比べて低下することなく、ほぼ同等の値を示している。
なお、前記実施形態は次のように変更してもよい。
粘着層14にポリエステル、ナイロン、レーヨン等からなる繊維、不織布、フィルム等を粘着層14の支持体として設けてもよい。
エネルギー変換成形物の粘着層14の外面に、紙等の基材にシリコーン等の剥離剤をコーティングした剥離紙を設け、エネルギー変換成形物の使用時に剥離紙を剥がして使用するようにしてもよい。この構成によると、エネルギー変換成形物を重ねた状態で容易に保管することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明を具体化した一実施形態における拘束型制振シートの斜視図である。
図2は図1のシートの拡大断面図である。
図3は実施例及び比較例におけるロジン樹脂の含有量に対する損失係数及び伸びの関係を示すグラフである。
本発明は、自動車、家屋の内装材、建材、あるいは家電機器等に適用され、モーター等の振動発生源の振動エネルギーを熱エネルギーに変換するエネルギー変換組成物及びその成形物に関するものである。
背景技術
一般に、振動エネルギーを熱エネルギーに変換する物質、すなわち、エネルギー変換組成物は、塩化ビニル系樹脂に可塑剤を添加した軟質の塩化ビニル系樹脂により形成されている。国際特許出願公開第WO97/42844号に開示される「エネルギー変換組成物」では、塩化ビニル樹脂からなる母材中の双極子モーメント量を増大させるために、活性成分を母材に添加している。エネルギー変換組成物はシート状、あるいはブロック状に成形されたエネルギー変換成形物として使用される。エネルギー変換成形物は、振動エネルギー、あるいは音のエネルギー等のエネルギーを吸収して熱エネルギーに変換可能である。活性成分がエネルギー変換組成物に配合されているため、この組成物から得られる成形物は、高いエネルギーの吸収性能を有する。
エネルギー変換成形物は、自動車、家屋の内装材、建材、あるいは家電機器等に適用され、モーターの振動、騒音等のエネルギーを吸収することができる。シート状をなすエネルギー変換成形物は、適用物を軽量化するため薄く成形されることが要求されている。
上記従来の技術の場合、エネルギー変換組成物を例えばシート状に成形する際、エネルギー変換組成物の伸びが不足してシートが破断する等の不具合が生じる。このため、エネルギー変換組成物を成形しにくかった。
発明の開示
本発明の目的は、エネルギーの吸収性能を十分に有し、かつ、容易に成形することができるエネルギー変換組成物及びその成形物を提供することにある。
上記の目的を達成するために以下のエネルギー変換組成物を提供する。エネルギー変換組成物は、母材とその母材の双極子モーメント量を増大させる活性成分とを含有する。母材は合成樹脂、フィラー及びロジン樹脂を含有する。母材及び活性成分の合計に対する各成分の含有量は、合成樹脂が30〜40重量%、フィラーが40〜60重量%、ロジン樹脂が2.5〜10重量%及び活性成分が4〜14重量%である。
本発明はさらに、以下のエネルギー変換組成物の製造方法を提供する。エネルギー変換組成物は、母材とその母材の双極子モーメント量を増大させる活性成分とを含有する。母材は合成樹脂、フィラー及びロジン樹脂を含有する。エネルギー変換組成物の製造方法は、母材及び活性成分の合計に対し、合成樹脂が30〜40重量%、フィラーが40〜60重量%、ロジン樹脂が2.5〜10重量%及び活性成分が4〜14重量%となるようにエネルギー変換組成物を調製すること含む。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態におけるエネルギー変換組成物は、母材とその母材の双極子モーメント量を増大させる活性成分とを含む。母材は合成樹脂、フィラー及びロジン樹脂を含有する。母材及び活性成分の合計に対する各成分の含有量は、合成樹脂が30〜40重量%、フィラーが40〜60重量%、ロジン樹脂が2.5〜10重量%及び活性成分が4〜14重量%である。
エネルギー変換組成物は、振動エネルギー、音のエネルギー、衝撃のエネルギー等のエネルギーを吸収して熱エネルギー等に変換可能な組成物であり、その組成物をシート状、ブロック状等に成形することによってエネルギー変換成形物を得ることができる。これらのエネルギー変換成形物の中でも振動箇所に適用され、振動エネルギーを吸収して熱エネルギーに変換するエネルギー変換成形物を制振成形物という。
シート状の制振成形物は、非拘束型制振シート及び拘束型制振シートを含む。非拘束型制振シートは、エネルギー変換組成物をシート状に成形することによって得ることができる。非拘束型制振シートでは、そのシートを振動箇所に貼り合わせたとき、該シートの外表面が拘束されてはいない。一方、シート状のエネルギー変換組成物を制振層として使用し、その制振層の表面のうち一方の面に制振層を拘束するための拘束層を設け、かつ、他方の面に制振層を振動箇所に貼り合わせるための粘着層を設けることによって拘束型制振シートが得られる。これらの制振成形物における振動エネルギーの吸収性能を制振性能という。なお、制振成形物の制振性能は、損失係数(η)の値が高ければ高いほど優れることが知られている。
エネルギー変換組成物の母材を構成する合成樹脂としては、粘弾性を有するものであれば特に限定されない。合成樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリフッ化ビニリデン、ポリイソプレン、ポリスチレン、スチレン/ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/アクリロニトリル共重合体等が用いられる。これらの合成樹脂は再生品を用いてもよい。また、これらの合成樹脂を母材に配合する場合には、これらの中から選ばれる一種のみ、または二種以上を用いてもよい。これらの合成樹脂の中でもメルトインデックス(MI)が1〜5g/10分であるものが好ましい。MIは、一定の温度及び荷重下で測定された試料の流出速度(10分間当たりに測定機から押し出されるグラム数)である。MIが1g/10分未満の場合、エネルギー変換組成物の流動性が不足し、成形が困難となるおそれがある。一方、MIが5g/10分よりも大きいと、流動性が増加しすぎて成形が困難となるおそれがある。また、これらの合成樹脂の中でも、入手が容易であるとともに、環境性を考慮すると、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましい。
母材及び活性成分の合計に対する合成樹脂の含有量は、前述のように30〜40重量%に設定される。合成樹脂の含有量が30重量%未満の場合、エネルギー変換組成物の成形が困難となる。一方、この含有量が40重量%よりも大きいと、エネルギー変換成形物における制振性能を含むエネルギー吸収性能が十分に得られない。
フィラーはエネルギーの吸収性能を向上させるとともに、補強剤、耐熱剤及び増量剤として母材中に含有される。フィラーとしては、例えば、マイカ、カーボンブラック、シリカ、ガラス、カーボン、炭酸カルシウム、バライト、沈降硫酸バリウム等が用いられる。フィラーの形状は、粉状、繊維状、鱗片状等、特に限定されない。母材中にフィラーを配合する場合は、これらの中から選ばれる一種のみ、または二種以上を用いてもよい。母材及び活性成分の合計に対するフィラーの含有量は、40〜60重量%に設定される。フィラーの含有量が40重量%未満の場合、エネルギー変換成形物のエネルギー吸収性能が十分に得られない。一方、フィラーの含有量が60重量%を超えると、流動性が低下して成形が困難となる。
ロジン樹脂は、エネルギー変換組成物の成形性を向上させるために配合される。ロジンはアビエチン酸を主成分とするものであって、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン及びこれらの誘導体に相当する。ガムロジンの誘導体としては、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、エステルガム等が使用される。母材中にロジンを配合する場合には、これらの中から選ばれる一種のみを用いても二種以上を用いてもよい。ロジンを選択する際には、上記合成樹脂との相溶し易さ、すなわち溶解度パラメータ(SP値)を考慮し、その値の近いもの同士が選択される。
母材及び活性成分の合計に対するロジンの含有量は、2.5〜10重量%に設定される。ロジンの含有量が2.5重量%未満の場合、エネルギー変換組成物の成形性を向上させる効果が十分に得られない。一方、ロジンの含有量が10重量%を超えると、エネルギー変換組成物の流動性が増加しすぎて、成形が困難となる。
活性成分は、母材中の双極子モーメント量を増大させることによって、エネルギー変換組成物のエネルギーの吸収性能を向上させるために配合される。活性成分としては、例えばベンゾチアジル基を有する化合物、ベンゾトリアゾール基を有する化合物、ジフェニルアクリレート基を有する化合物、ベンゾフェノン基を有する化合物等が使用される。ベンゾチアジル基を有する化合物としては、例えばN,N−ジシクロヘキシルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(DCHBSA)、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアジルスルフィド、N−シクロヘキシルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(BBS)、N−オキシジエチレンベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(OBS)、N,N−ジイソプロピルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(DPBS)等が使用される。
ベンゾトリアゾール基を有する化合物としては、例えばベンゼン環にアゾール基が結合したベンゾトリアゾールを母核とし、これにフェニル基が結合した2−{2’−ハイドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”テトラハイドロフタリミデメチル)−5’−メチルフェニル}−ベンゾトリアゾール(2HPMMB)、2−{2’−ハイドロキシ−5’−メチルフェニル}−ベンゾトリアゾール(2HMPB)、2−{2’−ハイドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル}−5−クロロベンゾトリアゾール(2HBMPCB)、2−{2’−ハイドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル}−5−クロロベンゾトリアゾール(2HDBPCB)等が使用される。
ジフェニルアクリレート基を有する化合物としては、エチル−2−シアノ−3,3−ジ−フェニルアクリレート等が使用される。
ベンゾフェノン基を有する化合物としては、2−ハイドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(HMBP)、2−ハイドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルフォニックアシド(HMBPS)等が使用される。
これらの活性成分を母材に配合する場合、これらの中から選ばれる一種のみ、または二種以上を用いてもよい。なお、活性成分を選択する際には、活性成分及び母材の相溶し易さ、すなわち溶解度パラメータ(SP値)を考慮し、その値の近いもの同士が選択される。
これらの活性成分の中でも、母材中の双極子モーメント量を増大させる作用に優れることから、ベンゾチアジル基を有する化合物、ベンゾトリアゾール基を有する化合物及びジフェニルアクリレート基を有する化合物から選ばれる少なくとも一種が好ましい。
母材及び活性成分の合計に対する活性成分の含有量は、4〜14重量%に設定され、好ましくは5〜11重量%である。活性成分の含有量が4重量%未満の場合、母材中の双極子モーメント量を増大させる作用が十分に得られない。一方、活性成分の含有量が14重量%を超えると、活性成分が母材に十分に相溶しない等の不具合が生じる。
母材にはその他の成分として、熱可塑性エラストマー、ゴム類、難燃剤、着色剤、酸化防止剤、帯電防止剤、安定剤、発泡剤、滑剤等を必要に応じて適宜加えることができる。
熱可塑性エラストマー及びゴム類は合成樹脂の柔軟性を向上させるために配合されることが好ましい。熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー等が使用される。ゴム類としては、例えば、アクリロニトリル/ブタジエン共重合ゴム(NBR)、スチレン/ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブチル系ゴム等が使用される。
エネルギー変換組成物は、母材及び活性成分をロール混練によって混合するロール混練法等によって調製される。ロール混練法による母材及び活性成分の溶融混練には、熱ロール、バンバリーミキサー、二軸混練機、押出機等の混練装置が用いられる。調製されたエネルギー変換組成物をT−ダイ等のダイス、押出機、プレス機等の成形機を用いてシート状、ブロック状等に成形することによってエネルギー変換成形物を得ることができる。
本発明の一実施形態におけるエネルギー変換成形物としての拘束型制振シート11について図1及び図2に基づき説明する。図1及び図2に示すように、拘束型制振シート11は、エネルギー変換組成物からなる制振層12と、制振層12を拘束するための拘束層13と、制振層12を振動箇所に貼り合わせるための粘着層14とを備えている。制振層12の表面のうち一方の面に拘束層13が貼り合わされ、制振層12の他方の面に粘着層14が貼り合わされている。本実施形態では、制振層12の厚さは1.0mm、拘束層13の厚さは0.05mm、粘着層14の厚さは0.5mmに設定されている。なお、各層12,13,14の厚さは特に限定されるものではない。各層12,13,14の厚さを増大させると、拘束型制振シート11の制振性能は向上する。しかしながら、拘束型制振シート11を軽量化するために、各層12,13,14の厚さは上記の値に設定するのが好ましい。
拘束層13は、振動箇所から粘着層14を介して制振層12に振動が伝播したとき、制振層12を拘束することによって制振層12にせん断変形を生じさせることができる。制振層12は後述するそれ自体の振動エネルギーの吸収性能に加えて、せん断変形によって振動エネルギーを吸収することができる。JIS K7113に準ずるプラスチックの引張試験方法により測定された制振層12の弾性率よりも拘束層13の弾性率が高ければ、特に拘束層13の素材は限定されない。拘束層13としては、例えばアルミニウム、鉛、ステンレス鋼等の金属箔、ポリエチレン、ポリエステル等の合成樹脂から形成されるフィルム、不織布等が使用される。これらの拘束層13の中でも、弾性率がより高く、制振層12を拘束する作用に優れることから、金属箔が好ましい。
粘着層14を構成する粘着材料は、粘着性を有するものであれば特に限定されない。粘着層14としては、例えば上記のゴム類、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂等を主成分とした水系粘着剤、溶剤系粘着剤等が使用される。これらの粘着材料の中でも自己粘着性に優れ、制振層12に容易に貼着できることからブチル系ゴムが好ましい。ブチル系ゴムとは、イソブチレン/イソプレン共重合体(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(臭素化ブチルゴム、塩素化ブチルゴム)、部分架橋ブチルゴム、ポリブテン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン及びこれらの再生品のうち、少なくとも一種を含む。
エネルギー変換組成物は、混練装置に母材及び活性成分が投入され、各材料を溶融混練することによって調製される。エネルギー変換組成物にロジンが2.5〜10重量%含有されているため、ロジンによって合成樹脂に対する活性成分の相溶性が向上すると考えられる。
エネルギー変換成形物としての拘束型制振シート11を製造する場合、エネルギー変換組成物を押出機によってダイスからシート状に押し出し、ニップロールでエネルギー変換組成物を引き取ることによって制振層12が成形される。エネルギー変換組成物にロジンが含有されているため、ロジンによって合成樹脂に対する活性成分の相溶性が向上していると考えられる。従って、エネルギー変換組成物の伸びが向上し、制振層12を成形する際、ダイスとニップロールとの間において、エネルギー変換組成物が破断する等の不具合を抑制することができる。続いて、制振層12の表面のうち一方の面に拘束層13が貼り合わされ、他方の面に粘着層14が貼り合わされることによって拘束型制振シート11が得られる。
自動車、家屋の内装材、建材、あるいは家電機器等の分野において、拘束型制振シート11の粘着層14をそれらの振動箇所に貼り合わせることによって、制振層12の両面が拘束される。振動発生源から発生した振動は、振動エネルギーとして粘着層14を介して制振層12に伝達される。制振層12には活性成分が配合されているため、制振層12の母材中の双極子モーメント量が増大させられている。活性成分は双極子として、母材を構成する合成樹脂の分子間に束縛力を働かせて、母材中に安定な状態で配置されている。制振層12に外部から振動エネルギーが加わると、双極子に変位が生じて不安定な状態になる。これらの双極子は振動エネルギーが加わる前の安定な状態に戻ろうとする。このとき、エネルギーの消費が生じ、制振層12は振動エネルギーを吸収できると考えられる。
本実施形態は、以下の効果を有する。
エネルギー変換組成物は、母材及びその母材の双極子モーメント量を増大させる活性成分から構成されている。母材には合成樹脂、フィラー及びロジン樹脂が含有されている。母材及び活性成分の合計に対する各成分の含有量は、合成樹脂が30〜40重量%、フィラーが40〜60重量%、ロジン樹脂が2.5〜10重量%及び活性成分が4〜14重量%である。このように構成した場合、活性成分によって制振成形物の制振性能が十分に得られるとともに、ロジンによって合成樹脂に対する活性成分の相溶性が向上すると考えられる。従って、エネルギー変換組成物の伸びが向上し、制振層12を成形する際、ダイスとニップロールとの間において、シート状の制振組成物が破断する等の不具合を抑制することができる。従って、制振成形物の制振性能を維持しつつ、シート状をなす制振成形物を容易に成形することができる。
合成樹脂のメルトインデックスが1〜5g/10分に設定されている。この場合、制振層12を成形する際、ダイスとニップロール間において、シート状の制振組成物が破断する等の不具合を抑制することができる。その結果、シート状をなす制振成形物を容易に成形することができる。
活性成分は、ベンゾチアジル基を有する化合物、ベンゾトリアゾール基を有する化合物及びジフェニルアクリレート基を有する化合物から選ばれる少なくとも一種である。この場合、母材中の双極子モーメント量をより増大させることができ、制振成形物の制振性能を向上することができる。
本実施形態のエネルギー変換成形物は、エネルギー変換組成物からなるシート状の制振層12と、制振層12を拘束するための拘束層13と、制振層12を振動箇所に貼り合わせるための粘着層14とを備えている。制振層12の表面のうち一方の面に拘束層13が設けられ、他方の面に粘着層14が設けられている。この構成によると、制振層12にせん断変形を生じさせることができるため、制振組成物の制振性能を十分に得ることができる。また、粘着層14によって振動箇所に容易に貼り合わせることができる。
拘束層13が金属箔から構成されている。このため、制振層12をより堅固に拘束することができ、制振成形物の制振性能を十分に得ることができる。
粘着層14がブチル系ゴムから構成されている。ブチル系ゴムは自己粘着性に優れることから、制振層12の面に粘着層14を容易に貼りつけることができ、エネルギー変換成形物を容易に得ることができる。
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
(実施例1〜実施例4、比較例1)
表1に示す配合量(重量%)に従い、母材としてポリエチレン樹脂(再生LDPE、(有)ムトー化成製、MI=3〜4g/10分)、鱗片状マイカ(クラライトマイカ 60−C、(株)クラレ製)及びロジン(超淡色ロジン KR−610、荒川化学工業(株)製)をロール混練機に投入した。さらに、活性成分としてDCHBSA(サンセラーDZ、三新化学工業(株)製)をロール混練機に投入した。温度170℃で10分間混練し、エネルギー変換組成物を調製した。
【表1】
上記実施例1〜4及び比較例1で得られたエネルギー変換組成物をそれぞれプレス機にセットし、圧力7845kPa、温度100℃の条件で5分間プレス加工を行い、厚さ1.0mmのシート状の制振層12を得た。
これらの制振層12をJIS K 7113に準拠してダンベル形状に打ち抜き、試験片を作製した。これらの試験片の中央部にほぼ一定の間隔で標線を2本引き、標線の間隔(L1)を測定した。これらの試験片を170℃の恒温槽内に吊下げて1分間加熱処理を施した。次に、各試験片を空冷した後、標線の間隔(L2)を測定した。続いて、標線の間隔L1及びL2から試験片の伸び(L2/L1×100(%))を算出した。この伸びの値が高いほど、エネルギー変換組成物をシート状に連続成形する際にシートの破断等の不具合が抑制されることを示している。
上記制振層12の表面の一方の面に厚さ0.05mmのアルミ箔を貼り合わせ、制振層12の他方の面に厚さ0.5mmのブチル系ゴム(両面テープ WBT No.718、寺岡製作所(株)製)を貼り合わせることによって、拘束型制振成形物を得た。これらの制振成形物を156×15mmの寸法に切断し、156×15×1mmの鋼板に貼り付けたものを損失係数測定用の試験片とした。これらの試験片に中央加振法損失係数測定装置(CF5200タイプ、小野測器(株)製)によって、加振したときの最初の共振周波数のピーク、すなわち、共振周波数の一次モードにおける損失係数を算出し、損失係数の最大値を求めた。中央加振法とは、機械インピーダンス測定装置を利用して、試験片中央の加振点におけるインピーダンスを測定して損失係数を求める方法である。
実施例1〜4及び比較例1の測定結果を表2及び図3に示す。
【表2】
表2及び図3から明らかなように、実施例1〜4のそれぞれの試験片には、母材中にロジンが2.5〜10重量%含有されているため、比較例1の試験片の伸びと比較して実施例1〜4の試験片の伸びは3倍以上である。また、実施例1〜4のそれぞれの試験片の損失係数は比較例の試験片の損失係数に比べて低下することなく、ほぼ同等の値を示している。
なお、前記実施形態は次のように変更してもよい。
粘着層14にポリエステル、ナイロン、レーヨン等からなる繊維、不織布、フィルム等を粘着層14の支持体として設けてもよい。
エネルギー変換成形物の粘着層14の外面に、紙等の基材にシリコーン等の剥離剤をコーティングした剥離紙を設け、エネルギー変換成形物の使用時に剥離紙を剥がして使用するようにしてもよい。この構成によると、エネルギー変換成形物を重ねた状態で容易に保管することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明を具体化した一実施形態における拘束型制振シートの斜視図である。
図2は図1のシートの拡大断面図である。
図3は実施例及び比較例におけるロジン樹脂の含有量に対する損失係数及び伸びの関係を示すグラフである。
Claims (13)
- 母材とその母材の双極子モーメント量を増大させる活性成分とを含むエネルギー変換組成物であって、前記母材は合成樹脂、フィラー及びロジン樹脂を含有し、母材及び活性成分の合計に対する各成分の含有量は、合成樹脂が30〜40重量%、フィラーが40〜60重量%、ロジン樹脂が2.5〜10重量%及び活性成分が4〜14重量%であることを特徴とするエネルギー変換組成物。
- 前記合成樹脂のメルトインデックス(MI)が1〜5g/10分であることを特徴とする請求項1に記載のエネルギー変換組成物。
- 前記活性成分は、ベンゾチアジル基を有する化合物、ベンゾトリアゾール基を有する化合物及びジフェニルアクリレート基を有する化合物のうちの少なくとも一種であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエネルギー変換組成物。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のエネルギー変換組成物から形成される制振層と、前記制振層を拘束するための拘束層と、前記制振層を振動箇所に貼り合わせるための粘着層とを備え、制振層の一方の面に拘束層が設けられ、制振層の他方の面に粘着層が設けられることを特徴とするエネルギー変換成形物。
- 前記拘束層が金属箔からなることを特徴とする請求項4に記載のエネルギー変換成形物。
- 前記粘着層がブチル系ゴムからなることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のエネルギー変換成形物。
- 前記拘束層の弾性率が前記制振層の弾性率よりも高いことを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか一項に記載のエネルギー変換成形物。
- 母材とその母材の双極子モーメント量を増大させる活性成分とを含有するエネルギー変換組成物の製造方法であって、前記母材には合成樹脂、フィラー及びロジン樹脂を含有させ、母材及び活性成分の合計に対し、合成樹脂が30〜40重量%、フィラーが40〜60重量%、ロジン樹脂が2.5〜10重量%及び活性成分が4〜14重量%となるようにエネルギー変換組成物を調製することを特徴とするエネルギー変換組成物の製造方法。
- 前記合成樹脂のメルトインデックス(MI)が1〜5g/10分であることを特徴とする請求項8に記載のエネルギー変換組成物の製造方法。
- 前記活性成分は、ベンゾチアジル基を有する化合物、ベンゾトリアゾール基を有する化合物及びジフェニルアクリレート基を有する化合物のうちの少なくとも一種を選択することを特徴とする請求項8又は請求項9に記載のエネルギー変換組成物の製造方法。
- 請求項8〜10のいずれかに記載のエネルギー変換組成物の製造方法によって形成された制振層と、前記制振層を拘束する拘束層と、前記制振層を振動箇所に貼り合わせるための粘着層とを準備し、制振層の一方の面に前記拘束層を設け、他方の面に前記粘着層を設けることを特徴とするエネルギー変換成形物の製造方法。
- 前記拘束層を金属箔により形成することを特徴とする請求項11に記載のエネルギー変換成形物の製造方法。
- 前記粘着層をブチル系ゴムにより形成することを特徴とする請求項11又は請求項12に記載のエネルギー変換成形物の製造方法。
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