JPWO2003084012A1 - レーザ加工システム及びレーザ加工方法 - Google Patents

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    • H01S3/097Processes or apparatus for excitation, e.g. pumping by gas discharge of a gas laser

Abstract

電極(24)間に投入する放電電力を、所定の周波数で構成される放電指令パルスを切り替えることにより変化させ、レーザビーム(6)の特性を可変とするパルスレーザ発振器(2)と、このレーザ発振器(2)から出力された上記レーザビーム(6)を、被加工物に導く光学システム(3)と、を備えたことを特徴とするレーザ加工システム。

Description

技術分野
この発明は、被加工物へのスルーホール、ブラインドバイアホール等の穴あけや溝加工、外形カット等を行うレーザ加工システム及びレーザ加工方法に係わり、特に加工品質の向上並びに生産性の向上に関するものである。
背景技術
プリント配線基板は導体層を設けた絶縁基材を複数枚、多層状に積層し接合することにより構成されている。
そして、各絶縁基材に設けた導体層はその上下方向における任意の導体層との間にスルーホール、ブラインドバイアホールと呼称される導通穴を介して電気的に接続される。
第14図は、このような従来の多層のプリント配線基板を説明するための断面図であり、図において、1はプリント配線基板、11a,11bは絶縁基材、12a〜cは導体層、13は金属メッキ、14aは絶縁基材11aの導体層12aと導体層12bとの間を導通する導通穴、14bは絶縁基材11aの導体層12aと絶縁基材11bにより積層接合された導体層12cとの間を導通する導通穴である。
なお、導通穴14aは一般にブラインドバイアホール(Blind Via Hole)と呼称され、導通穴14bは一般にスルーホール(Through Hole)と呼称される。
第14図に示されるような導通穴14a,14bを有したプリント配線基板は、電子機器の高性能化に伴い、プリント配線基板の多層化、小型化(高密度化)が要求されており、この要求を満たすために、第14図に示す導通穴14a,14bをレーザビームによって加工する方法が提案され、進歩してきた。
第15図は、レーザビームを用いてプリント配線基板にスルーホールやブラインドバイアホールの穴あけを行うレーザ加工システムを説明するための模式図である。
図において、1は加工対象物となるプリント配線基板、2はレーザ発振器、3は光学システム、4は加工テーブル、5はシステム全体を制御する制御装置であり、各機器間がケーブルで接続されている。
6、7はレーザビーム、9はレーザ照射パターンの一例、レーザ照射パターン9上のPiはレーザビームのピークパワー、Wiはパルス幅(ビーム照射時間)、Tiはビーム照射休止時間である。
次に実際の加工動作を説明する。
レーザ発振器2から出力されるレーザビーム6を光学システム3によりビーム成形しながら、加工対象物であるプリント配線基板1まで伝送し、照射する。
このとき、レーザビームは、例えば第15図に示す9のようなパルスのレーザ照射パターンで、各穴に数ショットのレーザパルスを照射する。照射したレーザビームは、プリント配線基板1を熱により溶融除去し、結果としてプリント配線基板に穴を形成する。
このように加工されたプリント配線基板の断面図の一例を第16図に示す。
第16図において、15aは加工上部穴径、15bは加工中部穴径、15cは加工下部穴径、16は加工深さ、17は加工樹脂残り、18は内面銅箔損傷を示し、その他第14図と同じものは同一符号を付して説明を省略する。
レーザビームによる加工に際して、一般的に、加工品質を確保するために第16図における加工穴径15a〜15c、加工深さ16、加工不良17、18等に注目し、ビーム径とビームエネルギー(ピークパワー×パルス幅)、及びビーム照射休止時間を制御する必要があり、特にビームエネルギーは、材質や材料構成により損傷や歪み、プラズマの発生等に影響を与えるので、重要な制御パラメータである。
一般的に1穴あたりに照射されるビームエネルギーEtは、iショット目のビームエネルギーをEi、レーザ発振器出口のピークパワーをPi、光学システムにより制御されるレーザ発振器出口のピークパワーの伝達率をαi(以下、ビーム伝達率と呼ぶ)、ビームパルス幅をWi、1穴に照射するショット数をsとすると、
Figure 2003084012
で示され、ビーム伝達率αi、ピークパワーPi、Wiを制御することにより、ビームエネルギーEtを制御することができる。
ここで、ビーム伝達率αiは、従来のレーザ加工システムでは光学システム3においてビームモードを成形する際に発生する損失や光学部品等での吸収による損失により決定される。
このαiを変化させる方法としては、例えば第17図のようなマスク31、コリメーションレンズ32からなるオブジェクトを光学システム3に盛り込む方法がある。
第17図において、ビーム径Diで伝播している光はコリメーションレンズ32により集光され、マスク31によりビームモードの成形(加工点で必要なビームモードを作り出す)が行われる。
この際の入力ビームモード体積と出力ビームモード体積の差が、前記ビームモードを成形する際に発生する損失である。
この損失は、マスク31の直径D、コリメーションレンズ32の焦点距離f、並びにマスク径Dとマスク31からコリメーションレンズ32の距離Lで決定される。
例えば、マスク径Dが大きく、焦点距離fと距離Lがほぼ等しい場合、損失はほとんどなく、出力ビームモード体積は入力ビームモード体積とほぼ等しくなり、ビーム伝達率αiは大きくなる。
反対にマスク径Dが小さく、焦点距離fが長く、距離Lが短い場合、ほとんどが損失となり、出力ビームモード体積は入力ビームモード体積に対し非常に小さいものとなり、ビーム伝達率αiは小さくなる。
従来の加工システムにおいては、D、f、Lの3つのパラメータのうちマスク径Dは加工点で必要なビーム径、すなわち加工穴径により決定され、焦点距離fは固定であり、距離Lは機械的に移動させることが可能であるので、αiを変化させるために距離Lを移動している。
しかし、距離Lの変化はサーボモータで行っているため、変化させるためには数100ms以上の時間を必要としていた。
また、ピークパワーPiは、固定か、仮に変化させることができても定格値に対し±20%程度であり、かつ変化させるには数100ms以上の時間を必要とする。
以下に、第18図の炭酸ガスレーザ発振器の模式図を用いて説明する。図において、21はレーザ筺体、22はレーザ媒質であるCO2が入った混合ガス、23は交流電源、24は電極、25は励起放電、26は部分反射鏡、27は全反射鏡、28はレーザの発振モードを規定するアパーチャ、29はレーザビーム光軸、6は出力されるレーザビームである。第18図のように構成された炭酸ガスレーザ発振器において、交流電源23からの電圧投入により電極24の間で励起放電25が形成され、CO2ガスが上位準位に励起される。
このときの放電により励起された粒子密度を放電電力密度と呼ぶ。
部分反射鏡26と全反射鏡27で構成された共振器内部でこの励起されたCO2ガスが誘導放出によりレーザ光を増幅し、レーザビーム光軸29を中心にレーザビーム6が出力される。
ここで、一般的に炭酸ガスレーザのような気体レーザの場合、共振器損失が一定である場合、レーザビームのピークパワーは放電電力密度にほぼ比例する。
この放電電力密度は、交流電源23から電極24に投入される電力にほぼ比例する。
したがって、放電電力密度を変化させるために、従来のレーザ発振器では電極間に印加する電圧を制御していた。
電圧を上げすぎると、電源に対する負荷が大きくなり、電源の故障や電極の破損を招くことになる。
また、電圧を下げすぎると放電しなくなり、結果としてレーザビームを出力できない状態になる。
したがって、電圧を変化させる範囲は一般的に定格値に対し±20%程度に制限され、それに伴い、レーザビームのピークパワーも±20%程度しか変化させることができない。
また、電圧を変化させるための応答速度は遅く、放電が安定するには数100ms以上の時間が必要であるので、パルス毎に(パルスレーザ発振器の最大発振周波数以下の範囲で瞬時に)ピークパワーを変化させるような場合、安定したビームエネルギーを得ることができない。
また、レーザが出力されるレーザパルス時間幅Wi(以下、パルス幅と称す)は、励起放電している放電時間幅(以下、放電幅と称す)からレーザ発振遅れを引いた時間幅にほぼ等しい。
この理由は、励起放電開始時は、放電エネルギー(放電電力密度×時間)がレーザ発振閾値より低く、レーザ出力されないため、レーザ発振開始時間は励起放電開始時間に比べ遅れを伴うからである。(もちろん、この遅れは共振器構成、ガス組成等により異なる。)
なお、放電幅、具体的には投入電力を与える時間幅を制御することにより、レーザパルス幅を自由に変化させることができ、瞬時に(パルスレーザ発振器の最大発振周波数以下の範囲で)切替えることができる制御パラメータである。
但し、投入電力には電源負荷により決められる制限があり、パルス幅には上限がある。
上述したように、従来のレーザ加工システムでは、ビームエネルギーは、ピークパワーの変動が困難であることから、光学システムに基づくビーム伝達率αiと、ビームパルス幅Wiにより制御され、特に瞬時に条件切り替えする場合は、ビームパルス幅Wiが唯一の制御パラメータであった。
次にレーザ照射パターンについて説明する。
レーザ照射パターンは大きく分けると、第19図に示されるように穴あけ位置にビーム照射位置を位置決めした後、その穴形成に必要なショット数sだけ連続してレーザパルスを照射する加工であるバースト加工と、第20図に示されるように穴あけ数n、穴形成に必要なショット数sとしたとき、穴あけ位置にビーム照射位置を位置決めし、1ショットのレーザパルスを照射するという動作をn×s回繰り返し行う加工であるサイクル加工の2つに分けることができる。
バースト加工は、各穴におけるkショット目から(k+1)ショット目に要するレーザ発振時間をTok(バースト加工ではビーム照射休止時間に相当)、sショット目のパルス幅をWs、(j−1)番目からj番目の穴への位置決め時間をTgjとすると、
n個の穴あけに必要な加工時間Tbは、
Figure 2003084012
で示される。
一般的にWs<<ΣTokであるから、
Figure 2003084012
となる。
Tokの平均値をTo、Tgjの平均値をTgとすると、
Tbの平均値Tbaは、
Figure 2003084012
となる。
したがって、レーザ発振時間Toとショット数s、並びに位置決め時間Tgにより加工時間が決まる。
一方サイクル加工は、各穴へのiショット目のパルス幅をWi、(j−1)番目からj番目の穴への位置決め時間をTgijとすると、
n個の穴あけに必要な加工時間Tcは、
Figure 2003084012
で示される。
一般的にWi<<Tgijであるから、
Figure 2003084012
となる。
Tgijの平均値をTgとすると、
Tcの平均値Tcaは、
Figure 2003084012
となる。
したがって、サイクル加工ではショット数sと位置決め時間Tgにより加工時間が決まる。
ここで、サイクル加工とバースト加工の違いを説明する。
サイクル加工では、各穴におけるビーム照射休止時間Tqcを長く取ることができるため、加工穴周辺への熱影響が少なくなり、加工品質は向上する。
それに対しバースト加工では、各穴はレーザ発振時間Toで加工されるため、ビーム照射休止時間TqbはTqcに比べ短く(Tqc>>Tqb)、加工穴周辺への熱影響が生じやすい。
また加工時間については、式4と式7で一般的にTg>Toであることを考慮すると、
Figure 2003084012
であるから、バースト加工の方がサイクル加工に比べ加工時間が短く、生産性がよい。
以上のように従来のレーザ加工システムでは、マスク径によりビーム径を制御し、放電電力密度と放電幅、並びに上述した光学システム等によりビームエネルギーを制御し、バースト加工とサイクル加工の選択やバースト加工時のレーザ発振周波数によりビーム照射休止時間を制御することにより、加工品質と生産性を確保してきた。
また、特開平4−41091号公報には、第21図に示すようなピークパワーを有するレーザ出力を行い、プリント配線基板1の表面銅箔14を貫通加工し、更に絶縁樹脂15を内面銅箔16まで加工するという2種類の材質を加工するようなレーザ加工が示されている。
一般的に、銅箔は加工されにくいため、照射するビームエネルギーは大きくする必要がある。
一方、銅箔は光の反射率が高いため、ピークパワーの高いレーザビームを長い時間にわたり照射するとプラズマが発生し、このプラスマがレーザエネルギーの吸収をまねく。
また、銅箔は熱伝導率が大きく、熱しやすく冷めやすいという性質がある。
したがって、銅箔を貫通させるためには、短い時間に大きなビームエネルギーを照射する方法、すなわち、高いピークパワーでかつ短いパルス幅のレーザビーム(第21図におけるS1)を照射する方法が適していることは一般的に知られている。
また、絶縁樹脂は、上記銅箔に比べ加工されやすいため、小さいエネルギーでも加工されるが、一般的にプリント基板に使用される絶縁樹脂の厚みは銅箔に比べ厚いため、全樹脂を加工するための総エネルギーは大きくする必要がある。
しかし、前記銅箔のように短い時間に大きなビームエネルギーを照射すると(ピークパワーを高くすると)、熱伝導率が小さい絶縁樹脂は深さ方向に熱エネルギーを伝えることができず、横方向にエネルギーが広がってしまうため、目的の加工深さが得られず、結果として、第24図のような樹脂残り17や内部膨らみ19を発生させてしまう。
したがって、絶縁樹脂を貫通させるためには、低いピークパワーのレーザビームを数ショット(第21図におけるS2〜S6)照射する方法が適していることは一般的に知られている。
以上のように照射するレーザパルスの各条件を選定することで、加工品質を劣化させることなく表層銅箔12aの貫通加工と絶縁樹脂11の内面銅箔12bまでの貫通加工を実施できることは一般的に広く知られている。
しかしながら、実加工において従来のレーザ加工システムを適用しようとすると、以下のような制限を受ける。
第一に、従来のレーザ加工システムでは、上述したようにピークパワーを大幅に変化させる方法が乏しく、特に瞬時に(レーザ発振器の最大発振周波数以下の範囲で)変化させるようなことはできない。
第二に、従来のパルスレーザ発振器では、電源容量等の関係から高いピークパワーのレーザビームを出力する発振器では長いパルス幅のレーザビームを出力することができず、反対に長いパルス幅のレーザビームを出力する発振器では高いピークパワーのレーザビームを出力することができない。
したがって、従来のレーザ加工システムでは、第22、23図のようなレーザ照射パターンで加工を行うため、加工品質と生産性の両方を確保することが困難であり、どちらかを犠牲にすることになる。
第22図は、第15図におけるレーザ発振器2に高いピークパワーでかつ短いパルス幅(1〜15μs)のレーザビームを出力する従来のレーザ発振器を用いた場合のレーザ照射パターンと加工状態を示す。
第22図におけるS11のように1ショット目に高いピークパワーでかつ短いパルス幅のレーザビームを照射し、表面銅箔12aを貫通させる。
絶縁樹脂11aを加工するのにピークパワーを低くし、4ショットのレーザビームS12〜S15を照射する。
また、6ショット目に樹脂残りを除去する目的で少しだけピークパワーを高くしたレーザビームS16を照射する。
第22図に基づく加工により、ある程度の加工品質は得ることができる。
しかし、上記のように2ショット目以降のピークパワーを大幅に低くするためには、上述した光学システム等を利用することになり、瞬時に変化させることはできないため、バースト加工はできない。
したがって、生産性が低下するサイクル加工かつショット数を増やして加工しなければならず、大きく生産性を低下させることになる。
例えば、穴数n=10000個、条件切換えに必要な時間を考慮した平均の位置決め時間Tg=0.001秒(1kHz)、ショット数s=6ショットである場合、加工時間は60秒となり、仮に同じショット数でバースト加工(To=0.0005秒(2kHz)とする)を行うことができたとしたときの加工時間30秒に比べると、生産性が1/2となる。
第23図は、第15図におけるレーザ発振器2に従来の発振器で低いピークパワー(第22図における発振器の1/4以下)でかつ長いパルス幅(例えば16〜150μs)のレーザビームを出力する発振器を用いた場合のレーザ照射パターンと加工状態を示す。
第23図におけるS21のように1ショット目に照射するレーザビームのパルス幅を長くすることによりビームエネルギー大きくし、表面銅箔12aを貫通させようとするが、第22図で示した1ショット目に比べ、ピークパワーが1/4以下であるため上述した理由により第22図で示した1ショット目のエネルギー以上のビームエネルギーを投入しないと貫通することは難しい。
しかし、ビームエネルギーを上げようとパルス幅を必要以上に長くするとプラズマによるビーム吸収が発生し、エネルギーが銅箔に届かない。したがって、表面銅箔12aを貫通させるためには、エネルギーの大きなレーザビームを複数ショット照射する必要がある(この例では2ショットで表面銅箔12aを貫通させるとした)。
3ショット目は低いピークパワーでかつ長いパルス幅のレーザパルスS23を照射し、絶縁樹脂11aを内面銅箔12bまで貫通させる。
4ショット目は3ショット目より高いピークパワーで比較的短いパルス幅のレーザパルスS24により樹脂残りの除去を行う。
以上により表面銅箔12a及び絶縁樹脂11aを貫通加工することができるが、銅箔に対しエネルギー過多であるため、第22図の例に比べ、加工品質は劣化する。
また、第22図で説明したときと同様、ピークパワーを瞬時に変更することができないため、バースト加工はできず、サイクル加工のみとなる。
以上のように、材質の全く異なる材料により多層化されたプリント配線基板を加工する場合、従来のレーザ加工システムでは加工品質と生産性の両方を確保することが困難である。
また、プリント配線基板の種類が多様化し、それぞれの加工内容も樹脂加工であったり銅箔と樹脂の混合加工であったりと異なるため、1台のレーザ加工システムで全ての加工を実施することは困難であり、設備投資に莫大な経費を必要とする。
発明の開示
本発明は前記課題を解消し、様々な材質のプリント配線基板に対し、生産性を損なうことなく加工品質を向上させることができるレーザ加工システム、及び同装置を用いたレーザ加工方法を提供することを目的とする。
この目的を達成するために、第1の観点によれば、電極間に投入する放電電力を、所定の周波数で構成される放電指令パルスを切り替えることにより変化させ、レーザビームの特性を可変とするパルスレーザ発振器と、このレーザ発振器から出力された上記レーザビームを、被加工物に導く光学システムと、を備えたものである。
また、光学システムは、レーザ発振器から出力されたレーザビームを透過することにより上記レーザビームのピークパワーを可変とするフィルタ部材、ビーム透過率の異なるフィルタ部材を通過すべく適宜経路を切り替えるスイッチング手段、を有するものである。
また、電極間で励起放電を起こし、レーザビームを発振出力するレーザ発振器と、このレーザ発振器から出力された上記レーザビームを透過することにより上記レーザビームのピークパワーを可変とするフィルタ部材、ビーム透過率の異なるフィルタ部材を通過すべく適宜経路を切り替えるスイッチング手段、を有し、レーザビームを被加工物に導く光学システムと、を備えたものである。
さらに、スイッチング手段のオンオフにより、フィルタ部材を通過すべく経路を切り替えるとともに、パルス発振されたレーザビームのパルス幅を制御するものである。
また、この発明に係るレーザ加工方法は、電極間に投入する放電電力を、所定の周波数で構成される放電指令パルスを切り替えることにより変化させ、レーザビームの特性を可変とするレーザ発振器より出力されるレーザビームを用いて加工を行うレーザ加工方法において、レーザ発振器の最大発振周波数以下の範囲で、被加工物の材質、加工厚み等に合わせ、照射する複数のレーザパルスのピークパワーとパルス幅、及びビーム照射休止時間の3つの条件をパルス毎に瞬時に切替えるものである。
また、導体層の除去にはレーザ発振器の最大ピークパワーに近い出力かつ1〜15μSの短いパルス幅の第1のパルスで、絶縁層の除去には、上記第1のパルスの略1/2〜1/10のピークパワーの出力かつ16〜200μSの長いパルス幅の第2のパルスで、加工を行うものである。
また、放電指令パルスを切り替えることにより、1パルスのレーザ出力間において、ピークパワーを可変として、該パルス出力されたレーザビームを用いて加工を行うものである。
また、レーザ発振器の略最大ピークパワーかつ1〜15μSの短い時間の第1の領域、上記第1の領域の略1/2〜1/10のピークパワーかつ16〜200μSの長い時間の第2の領域を有した1パルスのレーザ出力で加工を行うものである。
発明を実施するための最良の形態
実施の形態1.
第1、2図は、実施の形態1に係り、第1図は本発明のレーザ加工システムを説明するための模式図、第2図は本発明のレーザ照射パターンを制御する手段を説明するための模式図である。
第1図において、6a、8aはレーザ発振器2Aより出力するレーザビームとレーザ照射パターン、7a、9aは光学システム3により成形された後のレーザビームとレーザ照射パターンを示し、その他第15図と同じものは同一符号を付して説明を省略する。
第2図において、41a,41bは放電指令パルス群、42a,42bは放電電力パルス群、43a,43bは放電エネルギー、44a,44bは出力されるレーザビームエネルギーである。
また、fh、flは交流電源周波数、lu、ldは実効放電電力密度、Nu、Ndは平均放電電力密度、Ds、Dlは放電幅、Pu、Pdはピークパワー、Ws、Wlはパルス幅、Ls、Llはレーザ発振遅れを示す。
従来の技術で説明したとおり、炭酸ガスレーザ発振器のような気体レーザ発振器では、発振器から出力されるレーザビームのピークパワーとパルス幅を変化させるために、共振器損失が一定の場合、放電電力密度と放電幅を制御する。
放電電力密度は投入電力に比例するので、従来技術では電極間への印加電圧を変化させることで放電電力密度を変化させていた。
本実施の形態では、投入電力が瞬間的な実行電力と時間平均的な平均電力に分けられ、かつ、レーザビームのピークパワーは時間平均的な平均電力に支配されていることに着目し、電圧を一定(実行放電電力密度を一定)とした上で単位時間当たりの放電電力パルス数を制御することで、平均放電電力密度を制御し、レーザビームのピークパワーを変化させるレーザ発振器に関するものである。
換言すると、プリント配線基板の被加工部の材質、材料構成、加工厚み等に合わせ、照射する複数のレーザパルスのピークパワーとパルス幅、及びビーム照射休止時間の3つの条件をパルス毎に瞬時に切替えるものである。
ここで、従来技術では放電電力パルス数が一定であるため、実効放電電力密度と平均放電電力密度が1対の比例関係であり、電圧の変化により実効放電電力密度を変化させ、平均放電電力密度を制御していた。
次に、第2図を用いて動作を説明する。
まず、時間間隔1/fpで放電指令パルスを与えると、それに同期して交流電源より電極間に放電電力パルス(周波数fp)が投入される。この放電電力パルスの高さが瞬間的な実効放電電力密度1であり、時間平均したものが平均放電電力密度Nである。
電極間に印加する電圧を一定とすると、実行放電電力密度は一定となり、単位時間当たりに投入する放電電力パルス数mが多いほど、平均放電電力密度は高く、レーザビームのピークパワーPが高くなる。
例えば、短い時間間隔(1/fh)で放電指令パルスを与えると、それに同期して交流電源より高い周波数fhで放電電力パルスが投入され(単位時間あたりに投入する放電電力パルス数が多くなり)、平均放電電力密度Nuが高くなり、高いピークパワーPuのレーザビームが出力される。
逆に、長い時間間隔(1/fl)で放電指令パルスを与えると、それに同期して交流電源より低い周波数flで放電電力パルスが投入され(単位時間あたりに投入する放電電力パルス数が少なくなり)、平均放電電力密度Ndが低くなり、低いピークパワーPdのレーザビームが出力される。
また、上述したように電極に電力を投入する時間を変化させることで、レーザビームのパルス幅を変化させる。
この電力の投入時間幅Dは、
Figure 2003084012
で示される。
したがって、上記放電指令パルス間隔1/fpと放電電力パルス数mの制御によって任意のパルス幅を得る。
以上のように、本実施の形態では、交流電源周波数を変調することでレーザビームのピークパワーを、電力を投入する時間を変化させることでレーザビームのパルス幅を制御することで任意のレーザパルスを得る。
具体的には、放電指令パルスを与える時間間隔と放電指令パルス数を制御することにより、任意のレーザパルスを得る。
また、本発明によれば、高いピークパワーのときは比較的短いパルス幅、長いパルス幅のときは比較的低いピークパワーとすることにより、一定の電源負荷の範囲内でパルス波形の選択範囲を広げる効果がある。
上記制御によりレーザパルス毎にピークパワーとパルス幅を任意に変化させて任意のレーザ照射パターン8aを得、得られたレーザ照射パターン8aを光学システム3によりビーム成形し、レーザ照射パターン9aとして加工対象物であるプリント配線基板1まで伝送し、加工する。
次に上記レーザ加工システムを用いたバースト加工方法について説明する。
一例として、第21図と同じプリント基板、すなわち第1層目が表面銅箔12a、第2層目が絶縁樹脂11a、第3層目が内面銅箔12bで構成されたプリント基板を加工する場合について説明する。
第3図はレーザビームの照射パターンを示す模式図であり、第4図はこのときの加工状況を説明するための模式図である。
第3図において、S31〜S33は各穴における1〜3ショット目のレーザビームであり、それぞれの面積はビームエネルギーを示す。
また、Pはピークパワー、Wはパルス幅、Toはレーザ発振時間、Tgは位置決め時間である。
第4図において、12aは表面銅箔、11aは絶縁樹脂、12bは内面銅箔、20は加工予定位置、14aは加工後のブラインドバイアホール、S31〜S33はそれぞれ1〜3ショット目のレーザパルス波形、a1〜a3はそれぞれ1〜3ショット目の照射レーザビームにより加工される被加工部である。
本実施の形態では、第3図に示すようなレーザ照射パターンを用いて、プリント配線基板の材質や材料構成、加工厚み等に合わせ、レーザビームのピークパワーとパルス幅、及びビーム照射休止時間の各条件をパルス毎に瞬時に切替えるとともに、バースト加工方法を用いることにより、加工時間の短縮を計る。
従来技術で説明した材料とレーザビームの関係を前提に本実施の形態におけるレーザ加工方法について第3、4図を用いて説明する。
まず、1ショット目に照射するレーザビームS31は、第一層の銅箔12aを加工するためのレーザパルスとし、銅箔除去の条件を満たすべく第1層目の銅箔を安定に貫通するには高いピークパワー(1〜3kW程度)でかつ短いパルス幅(1〜15μs程度)のレーザパルスを照射する。
次に、2ショット目に照射するレーザビームS32は、第2層の絶縁樹脂11aを加工するためのレーザパルスとし、絶縁樹脂除去の条件を満たし、かつ生産性を上げるために、低いピークパワー(0.05〜0.5kW程度)でかつ長いパルス幅(80〜200μs程度)のレーザパルスを照射する。
このレーザパルスは第21図と異なり、1ショット目のレーザパルスに対し、1/6以下の低いピークパワーでかつ5倍以上の長いパルス幅のレーザパルスとするため、第21図では絶縁樹脂を貫通するのに複数のレーザビームを照射しなければならなかったが、本発明によれば1ショットを照射すればよい。
すなわち、ピークパワーを極端に低くすることで、エネルギーが径方向に広がるのを抑え、長いパルス幅にすることで深さ方向にエネルギーを注ぐことにより、加工穴径を保持したまま絶縁樹脂を1ショットで貫通させることができる。
結果として、加工品質を確保したままショット数を低減し、不要なビーム照射休止時間を省くので、生産性の向上につながる。
次に、3ショット目に照射するレーザビームS33により、2ショット目のレーザビームS32により除去しきれなかった絶縁樹脂11aを加工するためのレーザパルスとし、大きいエネルギーを照射すると内層銅箔損傷を招くため照射エネルギーE3は低い方がよく、また、樹脂残りを抑えるためには2ショット目よりはピークパワーを高くした方がよいことから、2ショット目よりも少し高いピークパワー(0.1〜1kW程度)でかつ短いパルス幅(1〜30μs程度)のレーザパルスを照射する。
以上のように本実施の形態では、上記プリント配線基板の場合、3ショットのレーザビーム照射により良好な加工品質を確保しつつ、ショット数を低減することができる。
以上まとめると、本実施の形態では、レーザビームのピークパワーとパルス幅をプリント配線基板の材質や材料構成に合わせ、パルスレーザ発振器の発振周波数以下の範囲でパルス毎に最適化することにより、ピークパワーを瞬時に変更し、例えば第3図のレーザ照射パターンをバースト加工で実施することにより、加工品質と生産性の両方を向上する効果を得る。
例えば、穴数n=10000個、条件切換えに必要な時間を考慮した平均の位置決め時間To=0.0005秒(2kHz)、ショット数s=3ショットである場合、加工時間は15秒となり、第20図のレーザ照射パターンでのサイクル加工と比較して、45秒の短縮となる。
これは、異なる材質により多層化したプリント配線基板を高密度に穴あけ加工したい場合、特にその効果が発揮される。
また、上記ではブラインドバイアホール加工ついて説明したが、スルーホール加工に適用した場合も同様に、レーザビームのピークパワーとパルス幅、ビーム照射休止時間をプリント配線基板の材質や材料構成に合わせ、パルスレーザ発振器の発振周波数以下の範囲でパルス毎に最適化することにより、加工品質と生産性を向上する効果がある。
また、上記ではバースト加工について説明したが、もちろんサイクル加工にも適用でき、バースト加工に比べ生産性を多少落とすが、より安定して良好な加工品質を得る効果がある。
また、バースト加工とサイクル加工を併用した加工方法に適用しても良い。
すなわち、ビーム照射休止時間に着目し、プリント配線基板の材質や材料構成に合わせ、レーザパルスのピークパワーとパルス幅を最適化するだけでなく、ビーム照射休止時間を大幅に変化させる手段として、バースト加工とサイクル加工を使い分けることで、安定して良好な加工品質を得るだけでなく、生産性を向上させる効果がある。
また、本発明におけるプリント配線基板のレーザ加工システムを用いることにより、多種類のプリント配線基板の加工を1台のレーザ加工システムで実施できる。
実施の形態2.
上記実施の形態1では、平均放電電力密度と放電幅を変化させることにより、レーザビームのピークパワーとパルス幅を変化させる場合について説明したが、光学システムのビーム伝達率を変化させても良い。
したがって、本実施の形態では光学システムのビーム伝達率に着目した。
第5図、第6図、第7図、第8図は、実施の形態2に係る図であり、第5図は本発明のレーザ加工システムを説明するための模式図、第6図はレーザ照射パターンを制御する手段を説明するための模式図、第7図はレーザ照射パターンを制御する手段として使用するオブジェクトの一例を示す模式図、第8図はオブジェクトの動作図である。
第6図において、45a、45bは光学システムによる成形された後のレーザビームエネルギーである。
第7図、第8図において、33は随時レーザビーム伝達率を変化させることが可能な制御ユニットであるオブジェクト、34はオブジェクト33に入射されるレーザビーム6bの経路を適宜変更するための光学的な高速スイッチング素子、35は入射されたレーザ光のレーザピークパワーを変えるべくビーム伝達率(ビーム透過率)がそれぞれ異なるハーフミラー、36はハーフミラー35により反射されたレーザ光を吸収するためのダンパーである。
また、スイッチング素子34a,34bで経路が変更されたレーザ光を、説明の便宜上37a、37b、38cとして説明する。
次に、本実施の形態における光学システムから加工点に出力されるレーザビームのピークパワーとパルス幅の変化について説明する。
まず、第6図を用いてビーム伝達率を変化させた場合のレーザピークパワーとパルス幅を変える動作について説明する。
光学システムにおけるビーム伝達率が例えば100%(通常は50%未満であるが説明の簡素化のために100%とする)で一定の場合、レーザ発振器より出力されたレーザビームはそのまま同じピークパワーとパルス幅で加工点まで伝送される。
ここで、所定のビーム伝達率を持つオブジェクトを通過させると、レーザ発振器より出力されたレーザビームのうち、A%がオブジェクトを透過、B%がオブジェクトに吸収、C%がオブジェクトを反射する(A+B+C=100%)。結果として、オブジェクトを通過して出力されるのはA%のレーザビームとなり、出力されるピークパワーが変化する。例えば、第6図に示すようにレーザ発振器より出力されたレーザビーム44aが出力されている間、ビーム伝達率を低下させた場合、ピークパワーはPuからPm(<Pu)に変化し、パルス幅はWsのままであるレーザビーム45aを得る。
また、レーザ発振器より出力されたレーザビーム44bのビーム伝送途中においてビーム伝達率を瞬間的に0%にした場合、ピークパワーはPdのまま、パルス幅はWlからWm(<Wl)に変化したレーザビーム45bを得る。
以上のように本実施の形態では、光学システムにおけるビーム伝達率を制御することにより、任意のピークパワーとパルス幅を得る。
但し、レーザ発振器より出力されたレーザビームを変換して任意のレーザパルスを得るため、最大のピークパワーと最長のパルス幅はレーザ発振器より出力されるレーザビームによって決定され、光学システムによりそれ以上のピークパワー、或いはパルス幅に変換することはできない。
具体的に、上記光学システムのビーム伝達率及びパルス幅を変化させる手段の一例として、第8図に示される随時レーザビーム伝達率を変化させることができるオブジェクト33を用いて説明する。
オブジェクト33は、光学的な高速スイッチング素子34a〜34dと透過率の異なるハーフミラー35a、35b、並びにダンパー36で構成する。
なお、オブジェクト33に入力するレーザビームのピークパワーとパルス幅は一定として説明し、また、高速スイッチング素子の動作はONで光が偏向されるものとする。
まず、スイッチング素子34aがONである場合、レーザビーム6bはそのままレーザビーム37aとなり、スイッチング素子34cに伝送される。
このときスイッチング素子34cをOFFにしておけばレーザビーム36aはそのまま次のスイッチング素子34dに伝送される。
スイッチング素子34dではOFFからビーム伝送中に瞬時にONに切替えると、OFFの間のレーザビームは7bとなるが、ONの間のレーザビームは偏向され、ダンパー36に照射される。
OFFの時間が短いとき、結果として、高いピークパワーでかつ短いパルス幅のレーザパルス7b1を得る。
次に、スイッチング素子34aがOFF、スイッチング素子34bがONである場合、レーザビーム6bはスイッチング素子34aを通過してスイッチング素子34bで偏向され、ハーフミラー35aに伝送される。
ハーフミラー35aの透過率が例えば透過率50%であるとすると、レーザビーム37bはピークパワーが7bに対し、半分でかつパルス幅は同じレーザビームとなる。
レーザビーム37bは、スイッチング素子34cに伝送され、34cがONのとき偏向され、スイッチング素子34dに伝送される。
スイッチング素子34dでは上記説明と同じ動作が行われ、結果として、レーザパルス7b2を得る。
次に、スイッチング素子34a、34bがOFFである場合、レーザビーム6bはスイッチング素子34a、34bを通過してハーフミラー35bに伝送される。
ハーフミラー35bが例えば、透過率25%であるとすると、レーザビーム37cはピークパワーが6bに対し、1/4でかつパルス幅は同じレーザビームとなる。
その後、レーザビーム37cはスイッチング素子34dに伝送される。スイッチング素子34dでは上記説明の動作とは逆の動作が行われる。すなわち、スイッチング素子34dがONの間のレーザビームは偏向されるが、OFFの間のレーザビームは通過し、ダンパー36に照射される。
ONの時間が長いとき結果として、低いピークパワーでかつ長いパルス幅のレーザパルス7b3を得る。
また、上記説明では3種類のピークパワーを制御する方法について示したが、2種類、或いは4種類以上のピークパワーを制御する場合についても同様な方法で制御し、任意のピークパワーとパルス幅のレーザパルスを得る。
本実施の形態では、上記オブジェクトを光学システムに挿入し、高速に光のON/OFFをスイッチングすることにより、レーザ発振器から出力されるレーザビームを任意のピークパワーとパルス幅のレーザパルスに変換する。
上記光学システムを第5図に示すレーザ加工システムに搭載すれば、実施の形態1で示した効果と同様の効果、すなわち、レーザビームのピークパワーとパルス幅、ビーム照射休止時間をプリント配線基板の材質や材料構成に合わせ、パルス毎に最適化することにより、加工品質と生産性を向上するという効果を得る。
また、上記光学システムを上記実施の形態1で説明したレーザ発振器と組合わせたレーザ加工システム(第9図)を構成しても良い。
その効果として、レーザビームのピークパワーとパルス幅の変化をより詳細に、より大きくすることできる。
したがって、上記レーザ加工システムを用いれば、プリント配線基板の材質や材料構成に合わせ、より選択範囲を広げて、レーザビームのピークパワーとパルス幅、ビームエネルギーをパルス毎に最適化することになり、より複雑な材料構成に対しても加工品質と生産性を向上するという効果を得る。
実施の形態3.
上記実施の形態1、2では、1台のレーザ発振器で構成されるレーザ加工システムについて説明したが、本実施の形態では、レーザビームのピークパワーとパルス幅が異なる少なくとも2台以上のレーザ発振器で構成されるレーザ加工システムを提供する。
第10図は本発明のレーザ加工システムの構成を示す模式図である。図において2C,2Dはそれぞれレーザ発振出力の異なるレーザ発振器、3C、3Dは光学システム、6c、8c、6d、8dはそれぞれレーザ発振器2C,2Dから出力されるレーザビームとレーザ照射パターン、7c、7dは光学システム3C,3Dにより成形された後のレーザビームである。
続いて、第10図の動作を説明する。
レーザ発振器2Cは、例えば銅箔を貫通するために最適な高いピークパワーでかつ短いパルス幅のレーザパルス6cを出力し、レーザ発振器2Dは、例えば絶縁樹脂を貫通するために最適な低いピークパワーでかつ長いパルス幅のレーザパルス7dを出力する。
レーザパルス8cと8dはそれぞれ光学システム3C,3Dにより、プリント配線基板1まで伝送され、照射される。
このとき、プリント配線基板1上の銅箔にはレーザビーム7cを照射し、絶縁樹脂にはレーザビーム7dを照射するように制御する。
すなわち、第21図のようなプリント配線基板の場合、1ショット目にはレーザビーム7cを照射し、2ショット目にはレーザビーム7dを照射し、3ショット目にはレーザ発振器2Cから出力するレーザビームのピークパワーを低くして照射するように制御することにより、実施の形態1と同様に加工品質を向上する効果を得る。
実施の形態4.
第11図、第12図は実施の形態4に係り、第11図は本発明のレーザ加工システムを説明するための模式図、第12図は本発明のレーザパルス波形を制御する手段を説明するための模式図である。
第11図において、46a〜eは放電指令パルス群、47a〜eは放電電力パルス群、48a〜eは投入される放電エネルギー、49a〜eは出力されるレーザビームエネルギーである。
本実施の形態の基本的考えは、第11図におけるレーザ発振器2Eより出力されるレーザビーム6eは、実施の形態1で説明したとおり、共振器損失が一定の場合、平均放電電力密度と放電幅により決定されるが、レーザ発振の途中においても適用できることに着目したものである。
つまり、概略動作的には、第12図に示すようなレーザパルス波形制御を行うことにより任意のレーザ照射パターン8eを得るものである。
次に、第12図について動作を説明する。
なお、第12図は上述した実施の形態1の基本的考え方、すなわち、共振器損失を一定として、平均放電電力密度によりピークパワーを、放電幅によりパルス幅をそれぞれ制御することに適用したものである。
また、実施の形態1と同様、具体的な制御方法としては平均放電電力密度を変化させるのに交流電源周波数を変調し、放電幅を変化させるのに投入電力の時間を変化させる方法を採る。
まず、高い周波数で放電指令パルス46aを与えると、単位時間あたりに投入される放電電力パルス数が多くなり、高い平均放電電力密度の48aが得られる。
この放電エネルギー48a(N1×T1)に対し、レーザ発振遅れL1の後、高いピークパワーのビームエネルギー49a(P1×W1)を出力する。
次に時間差(ビーム照射休止時間)をおくことなく連続して少し周波数を低下させた放電指令パルス46bを与えると、放電電力パルス47bが投入され、放電エネルギー48b(N2×T2)を得、今度はレーザ発振遅れなしで、先の49aに連続して、ビームエネルギー49b(P2×W2)を出力する。
以下同様に、時間差をおくことなく連続して放電指令パルス46c、46d、46eを与えると、それに対し放電エネルギー47c(N3×T3)、47d(N4×T4)、47e(N5×T5)を得、先の49bに連続して、ビームエネルギー49c(P3×W3)、49d(P4×W4)、49e(P5×W5)を出力する。
結果として、5種類の任意のピークパワーが混在するレーザパルス波形を得る。
また、実施の形態2と同様、得られたレーザ照射パターン8eを光学システム3Eによりビーム成形し、レーザ照射パターン9eとするように適宜光学システムによりレーザビーム波形を変化させても良い。
すなわち、実施の形態2で説明したレーザビームの波形を制御するオブジェクトのスイッチング動作をレーザ発振途中において制御することにより、上記で説明したような複数のピークパワーが混在するレーザパルス波形を得る。
以上のように、実施の形態1、2と同様の考え方をレーザ発振途中において適用することにより、複数のピークパワーが混在するレーザパルス波形を得る。
但し、実施の形態1、2と比較して、より高速でより安定な制御を行わなければ、パルス毎のばらつきが多くなる可能性がある。
次に上記レーザ加工システムを手段として用いた加工方法について説明する。本実施の形態における加工方法は実施の形態1の加工方法において、より詳細にレーザパルス波形の条件を設定することに適用したものである。
第13図は、本発明のレーザ加工システムをバースト加工に適用したときのレーザビームの照射パターンを示す模式図である。
第13図において、iショット目に照射するレーザビームのビームエネルギーEiは、iショット目に存在するu種類のピークパワーのうち、v番目のピークパワーをPiv、Pivで保持される時間幅をWivとすると、
Figure 2003084012
で与えられる。
ここで、本発明ではPiv、Wivがともに瞬時(レーザパルス幅の1/2以下の時間)に切換えることができる制御パラメータであり、加工内容により上記方法を用いて切替える。
第13図において、S41、S42はそれぞれ1ショット目中のP11×W11、P12×W12の照射レーザビーム、S43は2ショット目のP21×W21の照射レーザビームである。
動作について説明する。
照射ビームS41〜S43は、実施の形態1で示したS31〜S33のそれぞれの照射ビームに対応するように適用したものである。
即ち、S41は高いピークパワーでかつ短い時間幅、S42は低いピークパワーでかつ長い時間幅、S43はS42より少し高いピークパワーでかつ短いパルス幅のレーザビームである。
それぞれのレーザビームによって、実施の形態1で説明した加工方法とほぼ同等の加工結果を得る。
すなわち、S41により表面銅箔12aを貫通加工し、S42により絶縁樹脂11aを貫通加工し、S43により内面銅箔12bにダメージを与えずに樹脂残りを除去する。
また、S41aとS42は同じレーザパルスであるから、1穴あたりに必要なショット数が3ショットから2ショットに減少する。
したがって、ビーム照射休止時間を低減する効果があり、n個の穴あけに必要な加工時間は実施の形態1よりも更に短縮される。
例えば実施の形態1で示した例では、加工時間が10秒となり、実施の形態1のバースト加工に比べ、5秒の加工時間短縮が見込まれ、1.5倍の生産性向上となる。
以上のように、レーザパルス波形を制御するレーザ加工システムを用いることで、加工品質を向上し、またショット数低減(ビーム照射休止時間低減)により生産性も向上する。
また、従来のレーザ加工システムでは達成されなかった加工品質と生産性の両方を得る効果がある。
産業上の利用可能性
以上のように、本発明にかかるレーザ加工装置は、プリント基板等の被加工物に対して穴あけ加工に適している。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施の形態1におけるレーザ加工システムを説明するための模式図である。
第2図は、実施の形態1におけるレーザ加工システムにおいてレーザ照射パターンを制御する手段を示す状態図である。
第3図は、実施の形態1におけるレーザ加工システムによるレーザ加工方法において用いられるレーザ照射パターンを示す模式図である。
第4図は、第3図のレーザ照射パターンによるレーザ加工状態を説明するための模式図である。
第5図は、実施の形態2におけるレーザ加工システムを説明するための模式図である。
第6図は、オブジェクトによるビーム伝達率の変化を示す状態図である。
第7図は、オブジェクトの構成を示す構成図である。
第8図は、オブジェクトによるビーム伝達率及びパルス幅の変化を示す状態図である。
第9図は、実施の形態2におけるレーザ加工システムを説明するための模式図である。
第10図は、実施の形態3におけるレーザ加工システムを説明するための模式図である。
第11図は、実施の形態4におけるレーザ加工システムを説明するための模式図である。
第12図は、実施の形態4におけるレーザ加工システムにおいてレーザ照射パターンを制御する手段を説明するための模式図である。
第13図は、実施の形態4におけるレーザ加工システムをバースト加工に適用したときのレーザビームの照射パターンを示す模式図である。
第14図は、一般的なプリント配線基板の穴あけ加工を説明するための模式図である。
第15図は、従来のプリント配線基板の穴あけ用レーザ加工システムを説明するための模式図である。
第16図は、レーザによる穴あけ加工による加工品質を説明するためのプリント配線基板の断面図である。
第17図は、マスク、コリメーションレンズからなるオブジェクトの構成を示す構成図である。
第18図は、炭酸ガスレーザ発振器を説明するための構成図である。
第19図は、従来のプリント配線基板の穴あけレーザ加工方法であるバースト加工を説明するためのレーザ照射パターンである。
第20図は、従来のプリント配線基板の穴あけレーザ加工方法であるサイクル加工を説明するためのレーザ照射パターンである。
第21図は、従来のレーザ照射パターンを示す模式図とプリント配線基板の断面図である。
第22図は、従来のレーザ照射パターンを示す模式図とプリント配線基板の断面図である。
第23図は、従来のレーザ照射パターンを示す模式図とプリント配線基板の断面図である。
第24図は、従来の加工品質を示すプリント配線基板の断面図である。
【0012】
とプラズマによるビーム吸収が発生し、エネルギーが銅箔に届かない。したがって、表面銅箔12aを貫通させるためには、エネルギーの大きなレーザビームを複数ショット照射する必要がある(この例では2ショットで表面銅箔12aを貫通させるとした)。
3ショット目は低いピークパワーでかつ長いパルス幅のレーザパルスS23を照射し、絶縁樹脂11aを内面銅箔12bまで貫通させる。4ショット目は3ショット目より高いピークパワーで比較的短いパルス幅のレーザパルスS24により樹脂残りの除去を行う。
以上により表面銅箔12a及び絶縁樹脂11aを貫通加工することができるが、銅箔に対しエネルギー過多であるため、第22図の例に比べ、加工品質は劣化する。
また、第22図で説明したときと同様、ピークパワーを瞬時に変更することができないため、バースト加工はできず、サイクル加工のみとなる。
以上のように、材質の全く異なる材料により多層化されたプリント配線基板を加工する場合、従来のレーザ加工システムでは加工品質と生産性の両方を確保することが困難である。
また、プリント配線基板の種類が多様化し、それぞれの加工内容も樹脂加工であったり銅箔と樹脂の混合加工であったりと異なるため、1台のレーザ加工システムで全ての加工を実施することは困難であり、設備投資に莫大な経費を必要とする。
発明の開示
本発明は前記課題を解消し、様々な材料のプリント配線基板に対し、生産性を損なうことなく加工品質を向上させることができるレーザ加工システム、及び同システムを用いたレーザ加工方法を提供することを目的とする。
【0013】
この目的を達成するために、第1の発明は、電極間を流れる放電電流を、所定の周波数で構成される放電指令パルスのパルスを与える時間間隔とパルス数を制御して変化させ、ピークパワーとパルス幅において任意のレーザパルスを出力するレーザ発振器を備えたレーザ加工システムにおいて、被加工物の材質や材料構成、加工厚みに合わせ、照射する複数のレーザパルスのピークパワーとパルス幅、及びビーム照射休止時間の3つの条件を、前記レーザ発振器の最大発振周波数以下の範囲で、パルス毎に切替える手段を具備することを特徴とする。
また、第2の発明は、レーザ発振器から出力されるレーザビームを透過することにより、上記レーザビームのピークパワーを可変とする複数のフィルタ部材と、上記レーザビームが上記複数のフィルタ部材における任意のフィルタ部材を通過する経路を適宜切替えるスイッチング手段、を有する光学システムを備えたレーザ加工システムにおいて、被加工物の材質や材料構成、加工厚みに合わせ、照射する複数のレーザパルスのピークパワーとパルス幅、及びビーム照射休止時間の3つの条件を、前記レーザ発振器の最大発振周波数以下の範囲で、パルス毎に切替える手段を具備することを特徴とする。
また、第3の発明は、上記第1または第2の発明において、レーザ発振器は、放電指令パルスを制御することにより、1パルスのレーザ出力間においてピークパワーを可変とするものであることを特徴とする。
また、第4の発明は、電極間を流れる放電電流を、所定の周波数で構成される放電指令パルスのパルスを与える時間間隔とパルス数を制御して変化させ、ピークパワーとパルス幅において任意のレーザパルスを出力するレーザ発振器により被加工物をレーザ加工する方法において、前記被加工物の材質や材料構成、加工厚みに合わせ、照射する複数のレーザパルスのピークパワーとパルス幅、及びビーム照射休止時間の3つの条件を、前記レーザ発振器の最大発振周波数以下の範囲で、パルス毎に切替えることを特徴とする。
【0014】
また、第5の発明は、上記第4の発明において、導体層の除去には、レーザ発振器の最大ピークパワーに近い出力を有すると共に、1〜15μsのパルス幅を有する第1のパルスで加工し、絶縁層の除去には、上記第1のパルスの略1/2〜1/10のピークパワーの出力を有すると共に、16〜20μsのパルス幅を有する第2のパルスで加工を行うことを特徴とする。
また、第6の発明は、上記第4または第5の発明において、放電指令パルスを制御することにより、1パルスのレーザ出力間においてピークパワーを可変とするものであることを特徴とする。
図面の簡単な説明
第1図は、実施の形態1におけるレーザ加工システムを説明するための模式図である。
第2図は、実施の形態1におけるレーザ加工システムにおいてレーザ照射パターンを制御する手段を示す状態図である。
第3図は、実施の形態1におけるレーザ加工システムによるレーザ加工方法において用いられるレーザ照射パターンを示す模式図である。
第図4は、第3図のレーザ照射パターンによるレーザ加工状態を説明するための模式図である。
第5図は、実施の形態2におけるレーザ加工システムを説明するための模式図である。
第6図は、オブジェクトによるビーム伝達率の変化を示す状態図である。
【0016】
第21図は、従来のレーザ照射パターンを示す模式図とプリント配線基板の断面図である。
第22図は、従来のレーザ照射パターンを示す模式図とプリント配線基板の断面図である。
第23図は、従来のレーザ照射パターンを示す模式図とプリント配線基板の断面図である。
第24図は従来の加工品質を示すプリント配線基板の断面図である。
発明を実施するための最良の形態
実施の形態1.
第1、2図は、実施の形態1に係り、第1図は本発明のレーザ加工システムを説明するための模式図、第2図は本発明のレーザ照射パターンを制御する手段を説明するための模式図である。
第1図において、6a、8aはレーザ発振器2Aより出力するレーザビームとレーザ照射パターン、7b、9bは光学システム3により成形された後のレーザビームとレーザ照射パターンを示し、その他第15図と同じものは同一符号を付して説明を省略する。
第2図において、41a、41bは放電指令パルス群、42a、42bは放電電力パルス群、43a、43bは放電エネルギー、44a、44bは出力されるレーザビームエネルギーである。
また、fh、flは交流電源周波数、lu、ldは実効放電電力密度、Nu、Ndは平均放電電力密度、Ds、Dlは方d年幅、Pu、Pdはピークパワー、Ws、Wlはパルス幅、Ls、Llはレーザ発振遅れを示す。
従来の技術で説明したとおり、炭酸ガスレーザ発振器のような気体レーザ発振器では、発振器から出力されるレーザビームのピークパワーと
【0017】
パルス幅を変化させるために、共振器損失が一定の場合、放電電力密度と放電幅を制御する。
放電電力密度は投入電力に比例するので、従来技術では電極間への印加電力を変化させることで放電電力密度を変化させていた。
本実施の形態では、投入電力が瞬間的な実効電力と時間平均的な平均電力に分けられ、かつ、レーザビームのピークパワーは時間平均的な平均電力に支配されていることに着目し、電圧を一定(実効放電電力密度を一定)とした上で単位時間当たりの放電電力パルス数を制御することで、平均放電電力密度を制御し、レーザビームのピークパワーを変化させるレーザ発振器に関するものである。
換言すると、プリント配線基板の被加工部の材質、材料構成、加工厚み等に合わせ、照射する複数のレーザパルスのピークパワーとパルス幅、及びビーム照射休止時間の3つの条件をパルス毎に瞬時に切替えるものである。
ここで、従来技術では放電電力パルス数が一定であるため、実効放電電力密度と平均放電電力密度が1対の比例関係であり、電圧の変化により実効放電電力密度を変化させ、平均放電電力密度を制御していた。
次に、第2図を用いて動作を説明する。
まず、時間間隔1/fpで放電指令パルスを与えると、それに同期して交流電源より電極間に放電電力パルス(周波数fp)が投入される。この放電電力パルスの高さが瞬時的な実効放電電力密度1であり、時間平均したものが平均放電電力密度Nである。
電極間に印加する電圧を一定とすると、実効放電電力密度は一定となり、単位時間当たりに投入する放電電力パルス数mが多いほど、平均放電電力密度は高く、レーザビームのピークパワーPが高くなる。
例えば、短い時間間隔(1/fh)で放電指令パルスを与えると、それ
【0023】
第7図、第8図において、33は随時レーザビーム伝達率を変化させることが可能な制御ユニットであるオブジェクト、34はオブジェクト33に入射されるレーザビーム6bの経路を適宜変更するための光学的な高速スイッチング素子、35は入射されたレーザ光のレーザピークパワーを変えるべくビーム伝達率(ビーム透過率)がそれぞれ異なるハーフミラー、36はハーフミラー35により反射されたレーザ光を吸収するためのダンパーである。
また、スイッチング素子34a、34bで経路が変更されたレーザ光を、説明の便宜上37a、37b、37cとして説明する。
次に、本実施の形態における光学システムから加工点に出力されるレーザビームのピークパワーとパルス幅の変化について説明する。
まず、第6図を用いてビーム伝達率を変化させた場合のレーザピークパワーとパルス幅を変える動作について説明する。
光学システムにおけるビーム伝達率が例えば100%(通常は50%未満であるが説明の簡素化のために100%とする)で一定の場合、レーザ発振器より出力されたレーザビームはそのまま同じピークパワーとパルス幅で加工点まで伝送される。
ここで、所定のビーム伝達率を持つオブジェクトを通過させると、レーザ発振器より出力されたレーザビームのうち、A%がオブジェクトを透過、B%がオブジェクトに吸収、C%がオブジェクトを反射する(A+B+C=100%)。結果として、オブジェクトを通過して出力されるのはA%のレーザビーとなり、出力されるピークパワーが変化する。
例えば、第6図に示すようにレーザ発振器より出力されたレーザビーム44aが出力されている間、ビーム伝達率を低下させた場合、ピークパワーはPuからPm(<Pu)に変化し、パルス幅はWsのままである
【0024】
レーザビーム45aを得る。
また、レーザ発振器より出力されたレーザビーム44bのビーム伝達途中においてビーム伝達率を瞬時的に0%にした場合、ピークパワーはPdのまま、パルス幅はWlからWm(<Wl)に変化したレーザビーム45bを得る。
以上のように本実施の形態では、光学システムにおけるビーム伝達率を制御することにより、任意のピークパワーとパルス幅を得る。
但し、レーザ発振器より出力されたレーザビームを変換して任意のレーザパルスを得るため、最大のピークパワーと最長のパルス幅はレーザ発振器より出力されるレーザビームによって決定され、光学システムによりそれ以上のピークパワー、或いはパルス幅に変換することはできない。具体的に、上記光学システムのビーム伝達率及びパルス幅を変化させる手段の一例として、第7図に示される随時レーザビーム伝達率を変化させることができるオブジェクト33を用いて説明する。
オブジェクト33は、光学的な高速スイッチング素子34a〜34dと透過率の異なるハーフミラー35a、35b、並びにダンパー36で構成する。
なお、オブジェクト33に入力するレーザビームのピークパワーとパルス幅は一定として説明し、また、高速スイッチング素子の動作はONで光が偏向されるものとする。
まず、スイッチング素子34aがONである場合、レーザビーム6bはそのままレーザビーム37aとなり、スイッチング素子34cに伝送される。
このときスイッチング素子34cをOFFにしておけばレーザビーム36aはそのまま次のスイッチング素子34dに伝送される。
スイッチング素子34dではOFFからビーム伝送中に瞬時にONに

Claims (8)

  1. 電極間に投入する放電電力を、所定の周波数で構成される放電指令パルスを切り替えることにより変化させ、レーザビームの特性を可変とするパルスレーザ発振器と、
    このレーザ発振器から出力された上記レーザビームを、被加工物に導く光学システムと、
    を備えたことを特徴とするレーザ加工システム。
  2. 光学システムは、レーザ発振器から出力されたレーザビームを透過することにより上記レーザビームのピークパワーを可変とするフィルタ部材、ビーム透過率の異なるフィルタ部材を通過すべく適宜経路を切り替えるスイッチング手段、を有することを特徴とする請求の範囲1に記載のレーザ加工システム。
  3. 電極間で励起放電を起こし、レーザビームを発振出力するレーザ発振器と、
    このレーザ発振器から出力された上記レーザビームを透過することにより上記レーザビームのピークパワーを可変とするフィルタ部材、ビーム透過率の異なるフィルタ部材を通過すべく適宜経路を切り替えるスイッチング手段、を有し、レーザビームを被加工物に導く光学システムと、
    を備えたことを特徴とするレーザ加工システム。
  4. スイッチング手段のオンオフにより、フィルタ部材を通過すべく経路を切り替えるとともに、パルス発振されたレーザビームのパルス幅を制御することを特徴とする請求の範囲2または3に記載のレーザ加工システム。
  5. 電極間に投入する放電電力を、所定の周波数で構成される放電指令パルスを切り替えることにより変化させ、レーザビームの特性を可変とするパルスレーザ発振器より出力されるレーザビームを用いて加工を行うレーザ加工方法において、
    レーザ発振器の最大発振周波数以下の範囲で、被加工物の材質、加工厚み等に合わせ、照射する複数のレーザパルスのピークパワーとパルス幅、及びビーム照射休止時間の3つの条件をパルス毎に瞬時に切替えることを特徴とするレーザ加工方法。
  6. 導体層の除去にはレーザ発振器の最大ピークパワーに近い出力かつ1〜15μSの短いパルス幅の第1のパルスで、
    絶縁層の除去には、上記第1のパルスの略1/2〜1/10のピークパワーの出力かつ16〜200μSの長いパルス幅の第2のパルスで、加工を行うことを特徴とする請求の範囲5に記載のレーザ加工方法。
  7. 放電指令パルスを切り替えることにより、1パルスのレーザ出力間において、ピークパワーを可変として、該パルス出力されたレーザビームを用いて加工を行うことを特徴とする請求の範囲5に記載のレーザ加工方法。
  8. レーザ発振器の略最大ピークパワーかつ1〜15μSの短い時間の第1の領域、上記第1の領域の略1/2〜1/10のピークパワーかつ16〜200μSの長い時間の第2の領域を有した1パルスのレーザ出力で加工を行うことを特徴とする請求の範囲7に記載のレーザ加工方法。
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