JPWO2003066757A1 - インクジェット記録用インクおよびインクジェット記録方法 - Google Patents

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Abstract

水性媒体中にアゾ染料から選択されるマゼンタ染料を溶解または分散してなるインクジェット記録用インクであって、該マゼンタ染料が1.0V(vsSCE)よりも貴の酸化電位を有する染料であり、かつ20℃での蒸気圧が2000Pa以下の水混和性有機溶剤を含むことを特徴とするインクジェット記録用インク。インクを用いたインクジェット記録方法。係る構成により、吐出安定性が高く、しかも得られる画像の色相が良好で、しかもインクジェットヘッドでのインクの乾きが無く、耐光性、耐水性にも優れ、高湿条件下においても細線の滲みなど画質についての欠点が無く、過酷な条件下での画像保存性を良好であり、さらに長期間、あるいは過酷な条件下に経時しても、保存性、吐出安定性が高いインクジェット記録用インクおよびインクジェット記録方法を提供することができる。

Description

技術分野
本発明は、記録画像の品質が高く、インク液の長期間の経時後においても吐出安定性に優れ、しかも得られた画像の保存性が高湿度条件下においても優れたインクジェット記録用インクおよび該インクを用いたインクジェット記録方法に関する。
背景技術
近年、コンピューターの普及に伴いインクジェットプリンターがオフィスだけでなく家庭で紙、フィルム、布等に印字・描画するために広く利用されている。
インクジェット記録方法には、ピエゾ素子により圧力を加えて液滴を吐出させる方式、熱によりインク中に気泡を発生させて液滴を吐出させる方式、超音波を用いた方式、あるいは静電力により液滴を吸引吐出させる方式がある。これらのインクジェット記録用インクとしては、水性インク、油性インク、あるいは固体(溶融型)インクが用いられる。
これらのインクのうち、水性インクは、製造・取り扱い性・臭気・安全性等の点を鼎立させ得る可能性の点では油性インクや固体(溶融型)インクよりは比較的優っているので、現用インクジェット記録用インクの主流となっている。
これらのインクジェット記録用インクに用いられる色素に対しては、溶剤(インク媒体)に対する溶解性が高いこと、高濃度記録が可能であること、色相が良好であること、光、熱、空気、水や薬品に対する堅牢性に優れていること、受像材料に対して定着性が良く滲みにくいこと、インクとしての保存性に優れていること、毒性がないこと、純度が高いこと、さらには、安価に入手できることが要求されている。
しかしながら、上記の諸要件を高いレベルで満たす色素を捜し求めることは、極めて難しい。特に、色相が優れていることと堅牢であることとは多くの場合に相反することであり、マゼンタインク用の色材には、上記した諸要件を満たすものが得難く、とりわけ良好なマゼンタ色相と酸化性雰囲気に耐える光堅牢性を両立させた色素を見出すことは困難が伴う。
したがって、既にインクジェット用として様々な染料や顔料が提案され、実際に使用されているにも係らず、未だに上記した全ての要求を満足する色素は、発見されていないのが現状である。
カラーインデックス(C.I.)番号が付与されているような、従来から良く知れている染料や顔料では、インクジェット記録用インクに要求される色相と堅牢性とを両立させることは難しい。
堅牢性を向上させる染料として下記の特許文献1に記載の芳香族アミンと5員複素環アミンから誘導されるアゾ染料が提案されている。しかし、これらの染料はイエローおよびシアンの領域に好ましくない色相を有しているために、色再現性を悪化させる問題を有していた。
下記の特許文献2および特許文献3には、色相と光堅牢性の両立を目的としたインクジェット記録用インクが開示されている。しかし、各公報で用いている色素は、水溶性インクとして用いる場合には、水への溶解性が不十分である。また各公報に記載の色素をインクジェット用水溶性インクとして用いると、湿熱堅牢性にも問題が生じる。
これらの問題を解決する手段として、下記の特許文献4に記載の化合物およびインク組成物が提案されている。また、さらに色相や光堅牢性を改良するためにピラゾリルアニリンアゾ色素を用いたインクジェット記録用インクについてについて記載されている(下記の特許文献5)。しかしながらこれらのインクジェット記録用インクでは、色再現性、出力画像の堅牢性のいずれも不十分であった。
さらに、写真画質用のインクジェット専用光沢紙に記録し、室内に貼っておいた場合の画像の保存性が著しく悪い場合があることが判明した。本発明者はこの現象を、オゾン等、何らかの空気中の酸化性ガスによるものと推定している。また、ガラス製の額に入れる等の処置により空気の流れを遮断すると起こり難くはなるもののそれでは使用条件が制約されてしまう。
この現象は、写真画質用のインクジェット専用光沢紙において特に顕著であり、写真画質が重要な特徴のひとつとなっている現在のインクジェット記録方式にとって大きな問題であった。
また、前述の通り、インクを調液する際に、水だけではメディアへの浸透性が悪く、画像が固定されないことが多い。また、インクとして打滴するための液物性としても不十分なことが多い。このため補助溶媒として水混和性の有機溶剤を使用する技術が、当該分野では一般的である。しかしながら、単に水混和性有機溶剤を用いたのみの場合では、形成された画像が高湿条件下で滲み易い、あるいは、インクジェットヘッドでのインクの乾きにより吐出安定性が損なわれるという問題があることがわかった。
[先行技術の特許文献の一覧表]
〔特許文献1〕
特開昭55−161856号公報
〔特許文献2〕
特開昭61−36362号公報
〔特許文献3〕
特開平2−212566号公報
〔特許文献4〕
特表平11−504958号公報
〔特許文献5〕
特願2000−80733公報
本発明の目的は、取り扱い性・臭気・安全性等の観点から水性インクにおいて、吐出安定性が高く、しかも得られる画像の色相が良好で、しかもインクジェットヘッドでのインクの乾きが無く、耐光性、耐水性にも優れ、高湿条件下においても細線の滲みなど画質についての欠点が無く、過酷な条件下での画像保存性を良好なインクジェット記録用インクを提供することである。さらに長期間、あるいは過酷な条件下に経時したインクでも、保存性、吐出安定性が高いインクジェット記録用インク、およびそれを用いた記録方法を提供することである。
発明の開示
本発明の目的は、下記1〜23に記載の手段によりに達成される。
1.水性媒体中にアゾ染料から選択されるマゼンタ染料を溶解または分散してなるインクジェット記録用インクであって、該マゼンタ染料が1.0V(vsSCE)よりも貴の酸化電位を有する染料であり、かつ20℃での蒸気圧が2000Pa以下の水混和性有機溶剤を含むことを特徴とするインクジェット記録用インク。
2.水混和性有機溶剤として沸点150℃以上の有機溶剤を少なくとも1種含むことを特徴とする上記第1項に記載のインクジェット記録用インク。
3.沸点150℃以上の有機溶剤の少なくとも1種がアルコール誘導体であることを特徴とする上記第2項に記載のインクジェット記録用インク。
4.水混和性有機溶剤として沸点150℃未満の有機溶剤を少なくとも1種含むことを特徴とする上記第1項に記載のインクジェット記録用インク。
5.沸点150℃未満の有機溶剤の少なくとも1種がアルコール誘導体であることを特徴とする上記第4項に記載のインクジェット記録用インク。
6.水混和性有機溶剤として多価アルコール及び/又はその誘導体を含むことを特徴とする上記第1項に記載のインクジェット記録用インク。
7.多価アルコール及び/又はその誘導体を含む2種以上の混合物を含むことを特徴とする上記第6項に記載のインクジェット記録用インク。
8.多価アルコール及び/又はその誘導体を10〜60(質量/容量)%の濃度で含むことを特徴とする上記第6項または第7項に記載のインクジェット記録用インク。
9.水混和性有機溶剤としてアゾ染料の25℃における溶解度が10(g/100g溶剤)以上となるものを含むことを特徴とする上記第1項に記載のインクジェット記録用インク。
10.アゾ染料の25℃における溶解度が10(g/100g溶剤)以上となる水混和性有機溶剤をインク中に10質量%以下で含むことを特徴とする上記第9項に記載のインクジェット記録用インク。
11.水混和性有機溶剤として常温で液体であり酸素原子以外のヘテロ原子を含まない有機溶剤を含むことを特徴とする上記第1項に記載のインクジェット記録用インク。
12.有機溶剤の沸点が150℃以上のものであることを特徴とする上記第11項に記載のインクジェット記録用インク。
13.有機溶剤がアルコール誘導体であって、モノオール、ジオール、トリオールのいずれかから選ばれるものであることを特徴とする上記第11項または第12項に記載のインクジェット記録用インク。
14.水の含有量がインク液に対して40〜80質量%であることを特徴とする上記第1項に記載のインクジェット記録用インク。
15.アゾ染料が該水性媒体中において500〜580nmの分光領域に吸収極大を有することを特徴とする上記第1項に記載のインクジェット記録用インク。
16.前記アゾ染料が、一般式(複素環A)−N=N−(複素環B)で表される発色団を有することを特徴とする上記第1項〜第15項のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
ただし、上記一般式中の複素環Aと複素環Bは同一の構造であってもよい。
17.前記アゾ染料のアゾ基が、少なくともその一方に芳香族含窒素6員複素環をカップリング成分として直結させたアゾ染料であることを特徴とする上記第1項〜第16項のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
18.前記アゾ染料が、芳香族環アミノ基または複素環アミノ基含有構造を助色団として有するアゾ染料であることを特徴とする上記第1項〜第17項のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
19.前記アゾ染料が、立体構造を有するアゾ染料であることを特徴とする上記第1項〜第18項のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
20.前記アゾ染料が、下記一般式(1)で表される染料であることを特徴とする上記第1項〜第18項のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
Figure 2003066757
Figure 2003066757
一般式(1)において、Aは5員複素環基を表す。
およびBは各々=CR−、−CR=を表すか、あるいはいずれか一方が窒素原子、他方が=CR−または−CR=を表す。RおよびRは各々独立に水素原子または置換基を表し、該置換基は脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表し、該各置換基の水素原子は置換されていても良い。
G、RおよびRは各々独立して、水素原子または置換基を示し、該置換基は、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、またはスルホ基を表し、該各置換基の水素原子は置換されていても良い。
とR、あるいはRとRが結合して5〜6員環を形成しても良い。
21.記録画像の対オゾン褪色速度定数が5.0×10−2[hour−1]以下であることを特徴とする上記第1項〜第20項のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
22.上記第1項〜第21項に記載のインクジェット記録用インクを用いることを特徴とするインクジェット記録方法。
23.支持体上に白色無機顔料粒子を含有する受像層を有する受像材料にインク滴を記録信号に応じて吐出させ、受像材料上に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
該インク滴が、上記第1項〜第21項に記載のインクジェット記録用インクからなることを特徴とするインクジェット記録方法。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本件出願人はインクジェット記録用インクについて鋭意、検討を行ない、その結果染料に関して要求される特性としては1)色相が良好で色相変化(ソルバトクロミズム)がない、2)耐性(光、オゾン、NOx、溶剤、油、水)に優れている、3)安全である(エームズ、発ガン性が無い、皮膚刺激が無い、易分解性)、4)低コストである,5)高εである、6)高溶解性である、7)メデイアに対し強固着性を有することである。
次にインク物性、コンクインク物性に要求されるのは1)温度、経時に係わらず均一である、2)汚れにくい、3)メデイアへの浸透が良い、4)打滴サイズが均一である、5)紙を選ばない、6)調液しやすい、7)吐出ミスが無く、泡が立ち難い、泡が消えやすい、8)安定吐出ができることである。
画像に関して要求されるのは1)滲み、変色、ピーデイングがなく綺麗である、2)耐傷性を有している、3)光沢が高く、均一である、4)画像保存性が良く、褪色バランスに優れている、5)乾きが速い、6)高速でプリントされる、7)褪色率に画像濃度依存性が無いことである。
以下、本発明の具体的実施形態について詳細に説明する。
[マゼンタ染料]
本発明の目的としている特性を具備するには、マゼンタインクとしては上記1.、15.〜21.項に記載の特性を持つ染料によって画像記録が行なわれる。したがって、マゼンタ染料についてのこれらの特性について説明する。
本発明のインクジェット記録用インクに用いるマゼンタインクは、水性媒体中にアゾ染料から選択されるマゼンタ染料を溶解または分散されており、該水性媒体中において500〜580nmの分光領域に吸収極大を有し、かつ1.0V(vsSCE)よりも貴の酸化電位を有する染料であることを基本的特徴としている。
このアゾ染料の好ましい染料の構造上の特徴の第一は、一般式(複素環A)−N=N−(複素環B)で表される発色団を有する染料であることである。この場合、複素環Aと複素環Bは同一の構造であってもよい。複素環A及び複素環Bは、具体的には5員環、または6員環の複素環で、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、セレナゾール、ピリドン、ピラジン、ピリミジン、ピリジンから選ばれた複素環である。具体的には特願2000−15853、特願2001−15614、特開平2002−309116号公報、特願2001−195014などに記載されている。
さらに、前記アゾ染料の好ましい構造上の特徴の第2は、アゾ基が、少なくともその一方に芳香族含窒素6員複素環をカップリング成分として直結させたアゾ染料であることで、その具体例は2001−110457に記載されている。
構造上の好ましい特徴の第三は、助色団が芳香族環アミノ基または複素環アミノ基の構造を有することであり、具体的にはアニリノ基、ヘテリルアミノ基である。
好ましい構造上の特徴の第四は立体構造を有することである。具体的には特願2002−12015に記載されている。
上記したアゾ染料の好ましい構造上の特徴の中でも、本発明の目的を達する上で最も好ましいのは、下記一般式(1)で表される染料である。
Figure 2003066757
一般式(1)において、Aは5員複素環基を表す。
およびBは各々=CR−、−CR=を表すか、あるいはいずれか一方が窒素原子、他方が=CR−または−CR=を表す。RおよびRは各々独立に水素原子または置換基を表し、該置換基は脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表し、該各置換基の水素原子は置換されていても良い。
G、RおよびRは各々独立して、水素原子または置換基を示し、該置換基は、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、またはスルホ基を表し、該各置換基の水素原子は置換されていても良い。
とR、あるいはRとRが結合して5〜6員環を形成しても良い。
一般式(1)の染料について更に詳細に説明する。
一般式(1)において、Aは5員複素環基を表すが、複素環のヘテロ原子の例には、N、O、およびSを挙げることができる。好ましくは含窒素5員複素環であり、複素環に脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよい。Aの好ましい複素環の例には、ピラゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環を挙げる事ができる。各複素環基は更に置換基を有していても良い。中でも下記一般式(a)から(f)で表されるピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環が好ましい。
Figure 2003066757
上記一般式(a)から(f)において、RからR20は一般式(1)におけるG、R、Rと同じ置換基を表す。
一般式(a)から(f)のうち、好ましいのは一般式(a)、(b)で表されるピラゾール環、イソチアゾール環であり、最も好ましいのは一般式(a)で表されるピラゾール環である。
一般式(1)において、BおよびBは各々=CR−および−CR=を表すか、あるいはいずれか一方が窒素原子、他方が=CR−または−CR=を表すが、各々=CR−、−CR=を表すものがより好ましい。
およびRは各々独立に水素原子または置換基を表し、該置換基は脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表し、該各置換基の水素原子は置換されていても良い。
、Rは好ましくは、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルまたはアリールスルホニル基を挙げる事ができる。さらに好ましくは水素原子、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルまたはアリールスルホニル基である。最も好ましくは、水素原子、アリール基、複素環基である。該各置換基の水素原子は置換されていても良い。ただし、RおよびRが同時に水素原子であることはない。
G、RおよびRは各々独立して、水素原子または置換基を示し、該置換基は、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、またはスルホ基を表し、該各置換基の水素原子は置換されていても良い。
Gとしては水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、複素環オキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキル及びアリールチオ基、または複素環チオ基が好ましく、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アミノ基またはアシルアミノ基であり、中でも水素原子、アミノ基(好ましくは、アニリノ基)、アシルアミノ基が最も好ましい。該各置換基の水素原子は置換されていても良い。
、Rとして好ましいものは、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シアノ基を挙げる事ができる。該各置換基の水素原子は置換されていても良い。
とR、あるいはRとRが結合して5〜6員環を形成しても良い。
Aが置換基を有する場合、またはR、R、R、RまたはGの置換基が更に置換基を有する場合の置換基としては、上記G、R、Rで挙げた置換基を挙げる事ができる。
本発明の染料が水溶性染料である場合には、A、R、R、R、R、G上のいずれかの位置に置換基としてさらにイオン性親水性基を有することが好ましい。置換基としてのイオン性親水性基には、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基および4級アンモニウム基等が含まれる。前記イオン性親水性基としては、カルボキシル基、ホスホノ基、およびスルホ基が好ましく、特にカルボキシル基、スルホ基が好ましい。カルボキシル基、ホスホノ基およびスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)および有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジウムイオン、テトラメチルホスホニウム)が含まれる。
本明細書において使用される用語(置換基)について説明する。これら用語は一般式(1)及び後述の一般式(1a)における異なる符号間であっても共通である。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
脂肪族基はアルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基および置換アラルキル基を意味する。本明細書で、「置換アルキル基」等に用いる「置換」とは、「アルキル基」等に存在する水素原子が上記G、R、Rで挙げた置換基等で置換されていることを示す。
脂肪族基は分岐を有していてもよく、また環を形成していてもよい。脂肪族基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜16であることがさらに好ましい。アラルキル基および置換アラルキル基のアリール部分はフェニル基またはナフチル基であることが好ましく、フェニル基が特に好ましい。脂肪族基の例には、メチル基、エチル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ヒドロキシエチル基、メトキシエチル基、シアノエチル基、トリフルオロメチル基、3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、2−フェネチル基、ビニル基、およびアリル基を挙げることができる。
芳香族基はアリール基および置換アリール基を意味する。アリール基は、フェニル基またはナフチル基であることが好ましく、フェニル基が特に好ましい。芳香族基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6から16がさらに好ましい。
芳香族基の例には、フェニル基、p−トリル基、p−メトキシフェニル基、o−クロロフェニル基およびm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニル基が含まれる。
複素環基には、置換複素環基が含まれる。複素環基は、複素環に脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよい。前記複素環基としては、5員または6員環の複素環基が好ましい。前記置換基の例には、脂肪族基、ハロゲン原子、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アシルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、イオン性親水性基などが含まれる。前記複素環基の例には、2−ピリジル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−ベンゾオキサゾリル基および2−フリル基が含まれる。
カルバモイル基には、置換カルバモイル基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。前記カルバモイル基の例には、メチルカルバモイル基およびジメチルカルバモイル基が含まれる。
アルコキシカルボニル基には、置換アルコキシカルボニル基が含まれる。前記アルコキシカルボニル基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル基およびエトキシカルボニル基が含まれる。
アリールオキシカルボニル基には、置換アリールオキシカルボニル基が含まれる。前記アリールオキシカルボニル基としては、炭素原子数が7〜20のアリールオキシカルボニル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アリールオキシカルボニル基の例には、フェノキシカルボニル基が含まれる。
複素環オキシカルボニル基には、置換複素環オキシカルボニル基が含まれる。複素環としては、前記複素環基で記載の複素環が挙げられる。前記複素環オキシカルボニル基としては、炭素原子数が2〜20の複素環オキシカルボニル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記複素環オキシカルボニル基の例には、2−ピリジルオキシカルボニル基が含まれる。
アシル基には、置換アシル基が含まれる。前記アシル基としては、炭素原子数が1〜20のアシル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アシル基の例には、アセチル基およびベンゾイル基が含まれる。
アルコキシ基には、置換アルコキシ基が含まれる。前記アルコキシ基としては、炭素原子数が1〜20のアルコキシ基が好ましい。前記置換基の例には、アルコキシ基、ヒドロキシル基、およびイオン性親水性基が含まれる。前記アルコキシ基の例には、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、メトキシエトキシ基、ヒドロキシエトキシ基および3−カルボキシプロポキシ基が含まれる。
アリールオキシ基には、置換アリールオキシ基が含まれる。前記アリールオキシ基としては、炭素原子数が6〜20のアリールオキシ基が好ましい。前記置換基の例には、アルコキシ基、およびイオン性親水性基が含まれる。前記アリールオキシ基の例には、フェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基およびo−メトキシフェノキシ基が含まれる。
複素環オキシ基には、置換複素環オキシ基が含まれる。複素環としては、前記複素環基で記載の複素環が挙げられる。前記複素環オキシ基としては、炭素原子数が2〜20の複素環オキシ基が好ましい。前記置換基の例には、アルキル基、アルコキシ基、およびイオン性親水性基が含まれる。前記複素環オキシ基の例には、3−ピリジルオキシ基、3−チエニルオキシ基が含まれる。
シリルオキシ基としては、炭素原子数が1〜20の脂肪族基、芳香族基が置換したシリルオキシ基が好ましい。前記シリルオキシ基の例には、トリメチルシリルオキシ、ジフェニルメチルシリルオキシが含まれる。
アシルオキシ基には、置換アシルオキシ基が含まれる。前記アシルオキシ基としては、炭素原子数1〜20のアシルオキシ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アシルオキシ基の例には、アセトキシ基およびベンゾイルオキシ基が含まれる。
カルバモイルオキシ基には、置換カルバモイルオキシ基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。前記カルバモイルオキシ基の例には、N−メチルカルバモイルオキシ基が含まれる。
アルコキシカルボニルオキシ基には、置換アルコキシカルボニルオキシ基が含まれる。前記アルコキシカルボニルオキシ基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニルオキシ基が好ましい。前記アルコキシカルボニルオキシ基の例には、メトキシカルボニルオキシ基、イソプロポキシカルボニルオキシ基が含まれる。
アリールオキシカルボニルオキシ基には、置換アリールオキシカルボニルオキシ基が含まれる。前記アリールオキシカルボニルオキシ基としては、炭素原子数が7〜20のアリールオキシカルボニルオキシ基が好ましい。前記アリールオキシカルボニルオキシ基の例には、フェノキシカルボニルオキシ基が含まれる。
アミノ基には、置換アミノ基が含まれる。該置換基としてはアルキル基、アリール基または複素環基が含まれ、アルキル基、アリール基および複素環基はさらに置換基を有していてもよい。アルキルアミノ基には、置換アルキルアミノ基が含まれる。アルキルアミノ基としては、炭素原子数1〜20のアルキルアミノ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アルキルアミノ基の例には、メチルアミノ基およびジエチルアミノ基が含まれる。
アリールアミノ基には、置換アリールアミノ基が含まれる。前記アリールアミノ基としては、炭素原子数が6〜20のアリールアミノ基が好ましい。前記置換基の例としては、ハロゲン原子、およびイオン性親水性基が含まれる。前記アリールアミノ基の例としては、フェニルアミノ基および2−クロロフェニルアミノ基が含まれる。
複素環アミノ基には、置換複素環アミノ基が含まれる。複素環としては、前記複素環基で記載の複素環が挙げられる。前記複素環アミノ基としては、炭素数2〜20個の複素環アミノ基が好ましい。前記置換基の例としては、アルキル基、ハロゲン原子、およびイオン性親水性基が含まれる。
アシルアミノ基には、置換アシルアミノ基が含まれる。前記アシルアミノ基としては、炭素原子数が2〜20のアシルアミノ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アシルアミノ基の例には、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、N−フェニルアセチルアミノおよび3,5−ジスルホベンゾイルアミノ基が含まれる。
ウレイド基には、置換ウレイド基が含まれる。前記ウレイド基としては、炭素原子数が1〜20のウレイド基が好ましい。前記置換基の例には、アルキル基およびアリール基が含まれる。前記ウレイド基の例には、3−メチルウレイド基、3,3−ジメチルウレイド基および3−フェニルウレイド基が含まれる。
スルファモイルアミノ基には、置換スルファモイルアミノ基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。前記スルファモイルアミノ基の例には、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ基が含まれる。
アルコキシカルボニルアミノ基には、置換アルコキシカルボニルアミノ基が含まれる。前記アルコキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニルアミノ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アルコキシカルボニルアミノ基の例には、エトキシカルボニルアミノ基が含まれる。
アリールオキシカルボニルアミノ基には、置換アリールオキシカルボニルアミノ基が含まれる。前記アリールオキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が7〜20のアリールオキシカルボニルアミノ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アリールオキシカルボニルアミノ基の例には、フェノキシカルボニルアミノ基が含まれる。
アルキルスルホニルアミノ基及びアリールスルホニルアミノ基には、置換アルキルスルホニルアミノ基及び置換アリールスルホニルアミノ基が含まれる。前記アルキルスルホニルアミノ基及びアリールスルホニルアミノ基としては、炭素原子数が1〜20のアルキルスルホニルアミノ基及びアリールスルホニルアミノ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アルキルスルホニルアミノ基及びアリールスルホニルアミノ基の例には、メチルスルホニルアミノ基、N−フェニル−メチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、および3−カルボキシフェニルスルホニルアミノ基が含まれる。
複素環スルホニルアミノ基には、置換複素環スルホニルアミノ基が含まれる。複素環としては、前記複素環基で記載の複素環が挙げられる。前記複素環スルホニルアミノ基としては、炭素原子数が1〜12の複素環スルホニルアミノ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記複素環スルホニルアミノ基の例には、2−チエニルスルホニルアミノ基、3−ピリジルスルホニルアミノ基が含まれる。
アルキルチオ基、アリールチオ基及び複素環チオ基には、置換アルキルチオ基、置換アリールチオ基及び置換複素環チオ基が含まれる。複素環としては、前記複素環基で記載の複素環が挙げられる。前記アルキルチオ基、アリールチオ基及び複素環チオ基としては、炭素原子数が1から20のものが好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アルキルチオ基、アリールチオ基及び複素環チオ基の例には、メチルチオ基、フェニルチオ基、2−ピリジルチオ基が含まれる。
アルキルスルホニル基およびアリールスルホニル基には、置換アルキルスルホニル基および置換アリールスルホニル基が含まれる。アルキルスルホニル基およびアリールスルホニル基の例としては、それぞれメチルスルホニル基およびフェニルスルホニル基をあげる事ができる。
複素環スルホニル基には、置換複素環スルホニル基が含まれる。複素環としては、前記複素環基で記載の複素環が挙げられる。前記複素環スルホニル基としては、炭素原子数が1〜20の複素環スルホニル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記複素環スルホニル基の例には、2−チエニルスルホニル基、3−ピリジルスルホニル基が含まれる。
アルキルスルフィニル基およびアリールスルフィニル基には、置換アルキルスルフィニル基および置換アリールスルフィニル基が含まれる。アルキルスルフィニル基およびアリールスルフィニル基の例としては、それぞれメチルスルフィニル基およびフェニルスルフィニル基をあげる事ができる。
複素環スルフィニル基にば、置換複素環スルフィニル基が含まれる。複素環としては、前記複素環基で記載の複素環が挙げられる。前記複素環スルフィニル基としては、炭素原子数が1〜20の複素環スルフィニル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記複素環スルフィニル基の例には、4−ピリジルスルフィニル基が含まれる。
スルファモイル基には、置換スルファモイル基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。前記スルファモイル基の例には、ジメチルスルファモイル基およびジ−(2−ヒドロキシエチル)スルファモイル基が含まれる。
一般式(1)の中でも、特に好ましい構造は、下記一般式(1a)で表されるものである。
Figure 2003066757
式中、R、R、RおよびRは一般式(1)と同義である。
およびRは各々独立に水素原子または置換基を表し、該置換基は脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表す。中でも水素原子、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルスルホニル基もしくはアリールスルホニル基が好ましく、水素原子、芳香族基、複素環基が特に好ましい。
はハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。Zはσp値が0.30以上の電子吸引性基であるのが好ましく、0.45以上の電子吸引性基が更に好ましく、0.60以上の電子吸引性基が特に好ましいが、1.0を超えないことが望ましい。好ましい具体的な置換基については後述する電子吸引性置換基を挙げることができるが、中でも、炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20のアルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素数6〜20のアリールスルホニル基、炭素数1〜20のカルバモイル基及び炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基が好ましい。特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素数6〜20のアリールスルホニル基であり、最も好ましいものはシアノ基である。
は水素原子または置換基を表し、該置換基は脂肪族基、芳香族基もしくは複素環基を表す。Zは好ましくは脂肪族基であり、更に好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。
Qは水素原子または置換基を表し、該置換基は脂肪族基、芳香族基もしくは複素環基を表す。中でもQは5〜8員環を形成するのに必要な非金属原子群からなる基が好ましい。前記5〜8員環は置換されていてもよいし、飽和環であっても不飽和結合を有していてもよい。その中でも特に芳香族基、複素環基が好ましい。好ましい非金属原子としては、窒素原子、酸素原子、イオウ原子または炭素原子が挙げられる。そのような環構造の具体例としては、例えばベンゼン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロヘキセン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサン環、スルホラン環およびチアン環等が挙げられる。
一般式(1a)で説明した各置換基の水素原子は置換されていても良い。該置換基としては、一般式(1)で説明した置換基、G、R、Rで例示した基やイオン性親水性基が挙げられる。
ここで、本明細書中で用いられるハメットの置換基定数σp値について説明する。ハメット則はベンゼン誘導体の反応または平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年にL.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J.A.Dean編、「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版、1979年(Mc Graw−Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。尚、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり、説明したりするが、これは上記の成書で見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に含まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。また、本発明の一般式(1a)の中には、ベンゼン誘導体ではないものも含まれるが、置換基の電子効果を示す尺度として、置換位置に関係なくσp値を使用する。本発明において、σp値をこのような意味で使用する。
ハメット置換基定数σp値が0.60以上の電子吸引性基としては、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基(例えばメチルスルホニル基、アリールスルホニル基(例えばフェニルスルホニル基)を例として挙げることができる。
ハメットσp値が0.45以上の電子吸引性基としては、上記に加えアシル基(例えばアセチル基)、アルコキシカルボニル基(例えばドデシルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、m−クロロフェノキシカルボニル)、アルキルスルフィニル基(例えば、n−プロピルスルフィニル)、アリールスルフィニル基(例えばフェニルスルフィニル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル)、ハロゲン化アルキル基(例えば、トリフロロメチル)を挙げることができる。
ハメット置換基定数σp値が0.30以上の電子吸引性基としては、上記に加え、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、ハロゲン化アルコキシ基(例えば、トリフロロメチルオキシ)、ハロゲン化アリールオキシ基(例えば、ペンタフロロフェニルオキシ)、スルホニルオキシ基(例えばメチルスルホニルオキシ基)、ハロゲン化アルキルチオ基(例えば、ジフロロメチルチオ)、2つ以上のσp値が0.15以上の電子吸引性基で置換されたアリール基(例えば、2,4−ジニトロフェニル、ペンタクロロフェニル)、およびヘテロ環(例えば、2−ベンゾオキサゾリル、2−ベンゾチアゾリル、1−フェニル−2−ベンゾイミダゾリル)を挙げることができる。
σp値が0.20以上の電子吸引性基の具体例としては、上記に加え、ハロゲン原子などが挙げられる。
前記一般式(1)で表されるアゾ染料として特に好ましい置換基の組み合わせは、RおよびRとして好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、スルホニル基、アシル基であり、さらに好ましくは水素原子、アリール基、複素環基、スルホニル基であり、最も好ましくは、水素原子、アリール基、複素環基である。ただし、RおよびRが共に水素原子であることは無い。
Gとして好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アシルアミノ基であり、さらに好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、アシルアミノ基であり、もっとも好ましくは水素原子、アミノ基、アシルアミノ基である。
Aのうち、好ましくはピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環であり、さらにはピラゾール環、イソチアゾール環であり、最も好ましくはピラゾール環である。
およびBがそれぞれ=CR−、−CR=であり、R、Rは各々好ましくは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、カルバモイル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基であり、さらに好ましくは水素原子、アルキル基、カルボキシル基、シアノ基、カルバモイル基である。
尚、前記一般式(1)で表される化合物の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
前記一般式(1)で表されるアゾ染料の具体例を以下(表1)〜(表13)に示すが、本発明に用いられるアゾ染料は、下記の例に限定されるものではない。
Figure 2003066757
Figure 2003066757
Figure 2003066757
Figure 2003066757
Figure 2003066757
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Figure 2003066757
Figure 2003066757
Figure 2003066757
Figure 2003066757
本発明に用いられる上記アゾ基を有するマゼンタ染料は、染料の酸化電位がインクの水性媒体において1.0VvsSCEより貴、好ましくは1.1VvsSCEより貴、特に好ましくは1.2VvsSCEより貴である。電位を高める手段としては、前記した好ましい構成要件からの選択、すなわち、複素環A)−N=N−(複素環B)で表される発色団を有する型の染料構造の選択、アゾ基が、少なくともその一方に芳香族含窒素6員複素環をカップリング成分として直結させたアゾ染料の選択、芳香族環アミノ基または複素環アミノ基含有構造を助色団として有するアゾ染料の選択、さらにはアゾ染料のα水素を除去することである。とくに上記一般式(1)の染料が貴の電位を発現する。具体的には特願2001−254878に記載されている。
ここでいう酸化電位の測定法としては、染料を溶解した水溶液もしくは水混合溶媒系において参照電極としてSCE(標準飽和カロメル電極)を基準とする測定法で、作用極としてグラファイト電極又は白金電極を使用した直流ポーラログラフィー、滴下水銀電極によるポーラログラフィー、サイクリックボルタンメトリー法(CV)、回転リングディスク電極法、櫛形電極法等、種々の測定法が利用可能である。酸化電位は、過塩素酸ナトリウムや過塩素酸テトラプロピルアンモニウムといった支持電解質を含むジメチルホルムアミドやアセトニトリルのような溶媒中に、被験試料を1×10−4〜1×10−6mol・dm−3溶解し、上記測定法を用いてSCE(標準飽和カロメル電極)に対する値として測定する。また用いる支持電解質や溶媒は、被験試料の酸化電位や溶解性により適当なものを選ぶことができる。用いることができる支持電解質や溶媒については藤嶋昭他著“電気化学測定法”(1984年 技報堂出版社刊)101〜118ページに記載がある。
酸化電位の値は、液間電位差や試料溶液の液抵抗などの影響で、数10ミリボルト程度偏位することがあるが、標準試料(例えばハイドロキノン)を用いて校正することにより、測定された電位の値の再現性を保証することができ、かつ上記いずれの電位測定手段でも同じ測定値を得ることができる。
酸化電位が1.0VvsSCEより貴のアゾ染料は、別の耐酸化性基準は、オゾンガスに対する強制褪色速度定数であり、好ましいアゾ染料は、強制褪色速度定数が5.0×10−2[hour−1]以下、好ましくは3×10−2[hour−1]以下、より好ましくは1.5×10−2[hour−1]以下であることがよい。
オゾンガスに対する強制褪色速度定数の測定は、当該インクのみを反射型受像媒体に印画して得られた画像の該インクの主分光吸収領域の色であってステータスAのフィルターを通して測定した反射濃度が0.90〜1.10の濃度の着色領域を初期濃度点として選択し、この初期濃度を開始濃度(=100%)とする。この画像を5mg/Lのオゾン濃度を常時維持するオゾン褪色試験機を用いて褪色させ、その濃度が初期濃度の80%となるまでの時間を測定し、この時間の逆数[hour−1]を求め、褪色濃度と時間関係が一次反応の速度式に従うとの仮定のもとに、褪色反応速度定数とする。したがって、求められる褪色速度定数は当該インクによって印画された着色領域の褪色速度定数であるが、本明細書では、この値をインクの褪色速度定数として用いる。
試験用の印画パッチは、JISコード2223の黒四角記号を印字したパッチ、マクベスチャートの階段状カラーパッチ、そのほか測定面積が得られる任意の階段濃度パッチを用いることができる。
測定用に印画される反射画像(階段状カラーパッチ)の反射濃度は、国際規格ISO5−4(反射濃度の幾何条件)を満たした濃度計によりステータスAフィルターを透した測定光で求められた濃度である。
オゾンガスに対する強制褪色速度定数測定用の試験チャンバーには、内部のオゾンガス濃度を定常的に5mg/Lに維持可能のオゾン発生装置(例えば乾燥空気に交流電圧を印可する高圧放電方式)が設けられ、曝気温度は25℃に調節される。
なお、この強制褪色速度定数は、光化学スモッグ、自動車排気、家具の塗装面や絨毯などからの有機蒸気、明室の額縁内の発生ガスなどの環境中の酸化性雰囲気による酸化の受け易さの指標であって、オゾンガスによってこれらの酸化性雰囲気を代表させた指標である。
次ぎにマゼンタインクの色相について述べる。マゼンタ用インクとしては、λmaxが500〜580nmであることが色相の点で優れており、さらに最大吸収波長の長波側と短波側の半値幅が小さい、すなわちシャープな吸収であることが好ましい。具体的には特開平2002−309133号公報に記載されている。またα位にメチル基を導入することにより吸収のシャープ化を具現できる。
本発明のインクジェット記録用インクは、前記アゾ染料を好ましくは0.2〜20質量%含有し、より好ましくは0.5〜15質量%含有する。
本発明のインクジェット記録用インクは、水性媒体中に、アゾ染料を溶解および/または分散させることによって作製することができる。本発明における「水性媒体」とは、水または水と少量の水混和性有機溶剤との混合物に、必要に応じて湿潤剤(好ましくは溶解助剤または分散助剤としての界面活性剤)、安定剤、防腐剤等の添加剤を添加したものを意味する。
本発明において用いることができる水混和性有機溶剤の例には、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、グリコール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングルコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングルコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル)、アミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミンン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン)およびその他の極性溶媒(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン)等が挙げられる。尚、上記水混和性有機溶剤は、2種類以上を併用してもよい。
本発明に用いる水混和性有機溶剤のインク中の含量は通常、1〜80質量%、好ましくは5〜60質量%、更に好ましくは10〜50質量%である。
しかしながら、上記の水混和性有機溶剤のうち高沸点のもののみを用いた場合、形成された画像が高湿条件下で滲み易いという問題がある。
そこで、該水混和性有機溶剤として、沸点150℃以上の有機溶剤を少なくとも1種と、沸点150℃未満の有機溶剤を少なくとも1種とを用いることにより、上記問題が解決できることが分かった。
沸点150℃未満の低沸点溶剤としては、上記挙げた例の中では、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、2−メトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシ−1−プロパノール、アセトン、アセトニトリル等を挙げることができる。この中でも、アルコール系溶媒が特に好ましい。
沸点150℃以上の有機溶剤は、上記挙げた中から選択可能であるが、こちらもやはりアルコール系溶媒が特に好ましい。
また、低沸点溶剤、高沸点溶剤ともにそれぞれ2種以上を選択して使用することも可能である。低沸点溶剤の全有機溶剤中の比率は1〜80質量%が好ましく、特に好ましくは全有機溶媒中の5〜50質量%である。
また、上記の水混和性有機溶剤として、少なくとも1種が多価アルコール及び/又はその誘導体を含む2種以上の混合物を、10〜60(質量/容量)%の濃度で含むものが好ましい。
多価アルコールの例としては、上記に例示したものが挙げられ、多価アルコールの誘導体としては、グリコール誘導体等が挙げられ、グリコール誘導体としても、上記に例示したものが挙げられる。
この場合、多価アルコールのみを2種以上で構成しても、その誘導体のみを2種以上で構成してもよく、両者を1種以上で構成してもよい。
上記の水混和性有機溶剤に含まれる多価アルコール及び/又はその誘導体は、15〜55質量%が好ましく、更に20〜50質量%であることが好ましい。
さらに、前述の水混和性有機溶剤のうち染料の溶解度が高いものを大量に用いた場合も、形成された画像が高湿条件下で滲み易いという問題がある。
そこで、該水混和性有機溶剤として、前述の染料の25℃における溶解度が10(g/100g溶剤)以上となるものをインク中の含有量が10質量%以下含むようにすることにより、上記問題が解決できることが分かった。
ここで溶解度とは、溶剤100g中にある一定の温度で溶解可能な溶質の質量を表し、単位は「g/100g溶剤」である。
前述の染料の25℃における溶解度が10(g/100g溶剤)以上となるものとしては、前述の水混和性有機溶剤の中でも、アルコール系溶媒が特に好ましい。
前述の染料の25℃における溶解度が10g/100g溶剤以上の溶剤のインク中の含有量は、10質量%以下であるが、好ましくは5質量%以下である。
さらに、前述の水混和性有機溶剤のうち酸素以外のヘテロ原子を有するものを用いた場合にも、形成された画像が高湿条件下で滲み易いという問題がある。
そこで、該水混和性有機溶剤として、酸素原子以外のヘテロ原子を含まない有機溶剤を用いることが好ましい。
酸素原子以外のヘテロ原子を有する有機溶剤とは、上記に例示した水混和性有機溶剤の中から、チオジグリコール、アミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミンン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン)、およびその他の極性溶媒(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル)等である。
よって、酸素原子以外のヘテロ原子を含まない有機溶剤とは上記に例示した水混和性有機溶剤の中から、上記に例示した酸素原子以外のヘテロ原子を有する有機溶剤を除くものである。
この場合における有機溶剤とは、インク調液のために主たる溶剤と使用されるものを指し、インクのpH調節のために使用される有機酸やアミン類などのpH調節剤、表面張力をコントロールするために使用する界面活性剤は含まないものとする。そして、この場合において好ましく使用される有機溶剤としては、特にアルコール類、多価アルコール類(ジオール、トリオール)、グリコール誘導体類などが挙げられる。
さらに、前述の水混和性有機溶剤のうち蒸気圧の高いものを使用すると、インクジェットヘッドでのインクの乾きにより、吐出安定性が損なわれるという問題がある。
そこで、20℃での蒸気圧が2000Pa以下の、乾燥防止機能や浸透促進機能を発揮する水混和性有機溶剤を含ませることが好ましい。
乾燥防止機能とは、インクの噴射口での乾操による目詰まりを防止する機能であり、このような機能を有する水混和性有機溶剤の具体的な例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体が挙げられる。これらのうちグリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールがより好ましい。
浸透促進機能とは、インクを紙によりよく浸透させる機能であり、このような機能を有する水混和性有機溶剤としては、多価アルコール類の低級モノアルキルエーテル(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノ−n−ブチルエーテル、モノ−iso−ブチルエーテル、モノ−n−ヘキシルエーテル等)や多価アルコール類の低級ジアルキルエーテル(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコールのジメチルエーテル、ジエチルエーテル等)等が挙げられる。
この場合に用いる水混和性有機溶剤は上記機能及びその他の機能、例えば、粘度調製機能等を併有してもよい。
尚、20℃での蒸気圧が2000Paを超える水混和性有機溶剤をインク中20質量%以下の量で使用し得る。20℃での蒸気圧が2000Paを超える水混和性有機溶剤以外の併用し得る水混和性有機溶剤としては、エタノール等が挙げられる。
前記アゾ染料が油溶性染料の場合は、該油溶性染料を高沸点有機溶媒中に溶解させ、水性媒体中に乳化分散させることによって調製することができる。
本発明に用いられる高沸点有機溶媒の沸点は150℃以上であることが好ましいが、より好ましくは170℃以上である。
高沸点有機溶媒としては、例えば、フタール酸エステル類(例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、デシルフタレート、ビス(2,4−ジ−tert−アミルフェニル)イソフタレート、ビス(1,1−ジエチルプロピル)フタレート)、リン酸またはホスホンのエステル類(例えば、ジフェニルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、ジオクチルブチルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、トリドデシルホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルフェニルホスフェート)、安息香酸エステル酸(例えば、2−エチルヘキシルベンゾエート、2,4−ジクロロベンゾエート、ドデシルベンゾエート、2−エチルヘキシル−p−ヒドロキシベンゾエート)、アミド類(例えば、N,N−ジエチルドデカンアミド、N,N−ジエチルラウリルアミド)、アルコール類またはフェノール類(イソステアリルアルコール、2,4−ジ−tert−アミルフェノールなど)、脂肪族エステル類(例えば、コハク酸ジブトキシエチル、コハク酸ジ−2−エチルヘキシル、テトラデカン酸2−ヘキシルデシル、クエン酸トリブチル、ジエチルアゼレート、イソステアリルラクテート、トリオクチルシトレート)、アニリン誘導体(N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−tert−オクチルアニリンなど)、塩素化パラフィン類(塩素含有量10%〜80%のパラフィン類)、トリメシン酸エステル類(例えば、トリメシン酸トリブチル)、ドデシルベンゼン、ジイソプロピルナフタレン、フェノール類(例えば、2,4−ジ−tert−アミルフェノール、4−ドデシルオキシフェノール、4−ドデシルオキシカルボニルフェノール、4−(4−ドデシルオキシフェニルスルホニル)フェノール)、カルボン酸類(例えば、2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ酪酸、2−エトキシオクタンデカン酸)、アルキルリン酸類(例えば、ジ−2(エチルヘキシル)リン酸、ジフェニルリン酸)などが挙げられる。
高沸点有機溶媒は、油溶性染料に対して質量比で0.01〜3倍量、好ましくは0.01〜1.0倍量で使用できる。
これらの高沸点有機溶媒は単独で使用しても、数種の混合〔例えばトリクレジルホスフェートとジブチルフタレート、トリオクチルホスフェートとジ(2−エチルヘキシル)セバケート、ジブチルフタレートとポリ(N−t−ブチルアクリルアミド)〕で使用してもよい。
本発明において用いられる高沸点有機溶媒の前記以外の化合物例やこれら高沸点有機溶媒の合成方法は、例えば米国特許第2,322,027号、同第2,533,514号、同第2,772,163号、同第2,835,579号、同第3,594,171号、同第3,676,137号、同第3,689,271号、同第3,700,454号、同第3,748,141号、同第3,764,336号、同第3,765,897号、同第3,912,515号、同第3,936,303号、同第4,004,928号、同第4,080,209号、同第4,127,413号、同第4,193,802号、同第4,207,393号、同第4,220,711号、同第4,239,851号、同第4,278,757号、同第4,353,979号、同第4,363,873号、同第4,430,421号、同第4,430,422号、同第4,464,464号、同第4,483,918号、同第4,540,657号、同第4,684,606号、同第4,728,599号、同第4,745,049号、同第4,935,321号、同第5,013,639号、欧州特許第276,319A号、同第286,253A号、同第289,820A号、同第309,158A号、同第309,159A号、同第309,160A号、同第509,311A号、同第510,576A号、東独特許第147,009号、同第157,147号、同第159,573号、同第225,240A号、英国特許第2,091,124A号、特開昭48−47335号、同50−26530号、同51−25133号、同51−26036号、同51−27921号、同51−27922号、同51−149028号、同52−46816号、同53−1520号、同53−1521号、同53−15127号、同53−146622号、同54−91325号、同54−106228号、同54−118246号、同55−59464号、同56−64333号、同56−81836号、同59−204041号、同61−84641号、同62−118345号、同62−247364号、同63−167357号、同63−214744号、同63−301941号、同64−9452号、同64−9454号、同64−68745号、特開平1−101543号、同1−102454号、同2−792号、同2−4239号、同2−43541号、同4−29237号、同4−30165号、同4−232946号、同4−346338号等に記載されている。
本発明では、油溶性性染料や高沸点有機溶媒は、水性媒体中に乳化分散して用いられる。乳化分散の際、乳化性の観点から場合によっては低沸点有機溶媒を併用することができる。併用することができる低沸点有機溶媒としては、常圧で沸点約30℃以上150℃以下の有機溶媒である。例えばエステル類(例えばエチルアセテート、ブチルアセテート、エチルプロピオネート、β−エトキシエチルアセテート、メチルセロソルブアセテート)、アルコール類(例えばイソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、セカンダリーブチルアルコール)、ケトン類(例えばメチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン)、アミド類(例えばジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン)、エーテル類(例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン)等が好ましく用いられるが、これらに限定されるものではない。
乳化分散は、高沸点有機溶媒と場合によっては低沸点有機溶媒の混合溶媒に染料を溶かした油相を水を主体とした水相中に分散し、油相の微小油滴を作るために行われる。この際、水相、油相のいずれかまたは両方に、後述する界面活性剤、湿潤剤、染料安定化剤、乳化安定剤、防腐剤、防黴剤等の添加剤を必要に応じて添加することができる。
乳化法としては水相中に油相を添加する方法が一般的であるが、油相中に水相を滴下して行く、いわゆる転相乳化法も好ましく用いることができる。
本発明の乳化分散する際には、種々の界面活性剤を用いることができる。例えば脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。更に、特開昭59−157,636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。
なお、乳化に用いられる界面活性剤は、後述するたインクジェット記録用インクの液物性を調整するために添加される界面活性剤とは目的が異なるが、同一種類のものを用いることができ、結果としてインクの物性調整の機能を果たすこともできる。
また、乳化直後の安定化を図る目的で、上記界面活性剤と併用して水溶性ポリマーを添加することもできる。水溶性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドやこれらの共重合体が好ましく用いられる。また多糖類、カゼイン、ゼラチン等の天然水溶性ポリマーを用いるのも好ましい。
さらに染料分散物の安定化のためには実質的に水性媒体中に溶解しないアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、ビニルエステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、オレフィン類、スチレン類、ビニルエーテル類、アクリロニトリル類の重合により得られるポリビニルやポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレア、ポリカーボネート等も併用することができる。これらのポリマーは−SO2−、−COOを含有していること好ましい。これらの実質的に水性媒体中に溶解しないポリマーを併用する場合、高沸点有機溶媒の20質量%以下用いられることが好ましく、10質量%以下で用いられることがより好ましい。
乳化分散により油溶性性染料や高沸点有機溶媒を分散させて水性インクとする場合、特に重要なのはその粒子サイズのコントロールである。インクジェットにより画像を形成した際の、色純度や濃度を高めるには平均粒子サイズを小さくすることが必須である。体積平均粒子サイズで好ましくは1μm以下、より好ましくは5〜100nmである。
前記分散粒子の体積平均粒径および粒度分布の測定方法には静的光散乱法、動的光散乱法、遠心沈降法のほか、実験化学講座第4版の417〜418ページに記載されている方法を用いるなど、公知の方法で容易に測定することができる。
例えば、インク中の粒子濃度が0.1〜1質量%になるように蒸留水で希釈して、市販の体積平均粒子サイズ測定機(例えば、マイクロトラックUPA(日機装(株)製))で容易に測定できる。更に、レーザードップラー効果を利用した動的光散乱法は、小サイズまで粒径測定が可能であり特に好ましい。
体積平均粒径とは粒子体積で重み付けした平均粒径であり、粒子の集合において、個々の粒子の直径にその粒子の体積を乗じたものの総和を粒子の総体積で割ったものである。体積平均粒径については「高分子ラテックスの化学」(室井 宗一著 高分子刊行会)」119ページに記載がある。
また、粗大粒子の存在も印刷性能に非常に大きな役割を示すことが明らかになった。即ち、粗大粒子がヘッドのノズルを詰まらせる、あるいは詰まらないまでも汚れを形成することによってインクの不吐出や吐出のヨレを生じ、印刷性能に重大な影響を与えることが分かった。これを防止するためには、インクにした時にインク1μL中で5μm以上の粒子を10個以下、1μm以上の粒子を1000個以下に抑えることが重要である。
これらの粗大粒子を除去する方法としては、公知の遠心分離法、精密濾過法等を用いることができる。これらの分離手段は乳化分散直後に行ってもよいし、乳化分散物に湿潤剤や界面活性剤等の各種添加剤を加えた後、インクカートリッジに充填する直前でもよい。
平均粒子サイズを小さくし、且つ粗大粒子を無くす有効な手段として、機械的な乳化装置を用いることができる。
乳化装置としては、簡単なスターラーやインペラー撹拌方式、インライン撹拌方式、コロイドミル等のミル方式、超音波方式など公知の装置を用いることができるが、高圧ホモジナイザーの使用は特に好ましいものである。
高圧ホモジナイザーは、米国特許4533254号明細書、特開平6−47264号公報等に詳細な機構が記載されているが、市販の装置としては、ゴーリンホモジナイザー(A.P.V GAULIN INC.)、マイクロフルイダイザー(MICROFLUIDEX INC.)、アルティマイザー(株式会社スギノマシン)等がある。
また、近年になって米国特許5720551号明細書に記載されているような、超高圧ジェット流内で微粒子化する機構を備えた高圧ホモジナイザーは本発明の乳化分散に特に有効である。この超高圧ジェット流を用いた乳化装置の例として、DeBEE2000(BEE INTERNATIONAL LTD.)が挙げられる。
高圧乳化分散装置で乳化する際の圧力は50MPa以上であり、好ましくは60MPa以上、更に好ましくは180MPa以上である。
例えば、撹拌乳化機で乳化した後、高圧ホモジナイザーを通す等の方法で2種以上の乳化装置を併用するのは特に好ましい方法である。また、一度これらの乳化装置で乳化分散した後、湿潤剤や界面活性剤等の添加剤を添加した後、カートリッジにインクを充填する間に再度高圧ホモジナイザーを通過させる方法も好ましい方法である。
高沸点有機溶媒に加えて低沸点有機溶媒を含む場合、乳化物の安定性および安全衛生上の観点から低沸点溶媒を除去するのが好ましい。低沸点溶媒を除去する方法は溶媒の種類に応じて各種の公知の方法を用いることができる。即ち、蒸発法、真空蒸発法、限外濾過法等である。この低沸点有機溶剤の除去工程は乳化直後、できるだけ速やかに行うのが好ましい。
本発明のインクジェット記録用インクに界面活性剤を含有させ、インクの液物性を調整することで、インクの吐出安定性を向上させ、画像の耐水性の向上や印字したインクの滲みの防止などに優れた効果を持たせることができる。
界面活性剤としては、例えばドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルオキシスルホン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤、セチルピリジニウムクロライド、トリメチルセチルアンモニウムクロライド、テロラブチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤や、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のノニオン性界面活性剤などが挙げられる。なかでも、特にノニオン系界面活性剤が好ましく使用される。
界面活性剤の含有量は、インク中、好ましくは0.001〜15質量%、より好ましくは0.005〜10質量%、更に好ましくは0.01〜5質量である。
本発明で得られたインクジェット記録用インクには、インクの噴射口での乾操による目詰まりを防止するための乾燥防止剤、インクを紙によりよく浸透させるための浸透促進剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、分散剤、分散安定剤、防黴剤、防錆剤、pH調整剤、消泡剤、キレート剤等の添加剤を適宜選択して適量使用することができる。
本発明に使用される乾燥防止剤としては水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。具体的な例としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(またはブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体が挙げられる。これらのうちグリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールがより好ましい。また上記の乾燥防止剤は単独で用いてもよいし2種以上併用してもよい。これらの乾燥防止剤はインク中に10〜50質量%含有することが好ましい。
本発明に使用される浸透促進剤としてはエタノール、イソプロパノール、ブタノール、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール等のアルコール類やラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムやノニオン性界面活性剤等を用いることができる。これらはインク中に10〜30質量%含有すれば充分な効果があり、印字の滲み、紙抜け(プリントスルー)を起こさない添加量の範囲で使用するのが好ましい。
本発明で画像の保存性を向上させるために使用される紫外線吸収剤としては特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
本発明では、画像の保存性を向上させるために使用される酸化防止剤としては、各種の有機系および金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としてはハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類などがあり、金属錯体としてはニッケル錯体、亜鉛錯体などがある。より具体的にはリサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのIないしJ項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式および化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
本発明に使用される防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンおよびその塩等が挙げられる。これらはインク中に0.02〜5.00質量%使用するのが好ましい。
なお、これらの詳細については「防菌防黴剤事典」(日本防菌防黴学会事典編集委員会編)等に記載されている。
また、防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。これらは、インク中に0.02〜5.00質量%使用するのが好ましい。
本発明に使用されるpH調整剤はpH調節、分散安定性付与などの点で好適に使用する事ができ、25℃でのインクのpHが8〜11に調整されていることが好ましい。pHが8未満である場合は染料の溶解性が低下してノズルが詰まりやすく、11を超えると耐水性が劣化する傾向がある。pH調製剤としては、塩基性のものとして有機塩基、無機アルカリ等が、酸性のものとして有機酸、無機酸等が挙げられる。
前記有機塩基としてはトリエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミンなどが挙げられる。前記無機アルカリとしては、アルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムなど)、炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなど)、アンモニウムなどが挙げられる。また、前記有機酸としては酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、アルキルスルホン酸などが挙げられる。前記無機酸としては、塩酸、硫酸、リン酸などが挙げられる。
本発明では前記した界面活性剤とは別に表面張力調整剤として、ノニオン、カチオンあるいはアニオン界面活性剤が挙げられる。例えばアニオン系界面活性剤としては脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができ、ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等を挙げることができる。アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。更に、特開昭59−157,636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。
本発明のインクの表面張力は、これらを使用してあるいは使用しないで20〜60mN/mが好ましい。さらに25〜45mN/mが好ましい。
本発明に用いられるインクの粘度は30mPa・s以下が好ましい。更に20mPa・s以下に調整することがより好ましいので、粘度を調製する目的で、粘度調整剤が使用されることがある。粘度調整剤としては、例えば、セルロース類、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーやノニオン系界面活性剤等が拳げられる。更に詳しくは、「粘度調製技術」(技術情報協会、1999年)第9章、及び「インクジェットプリンタ用ケミカルズ(98増補)−材料の開発動向・展望調査−」(シーエムシー、1997年)162〜174頁に記載されている。
また本発明では分散剤、分散安定剤として上述のカチオン、アニオン、ノニオン系の各種界面活性剤、消泡剤としてフッソ系、シリコーン系化合物やEDTAに代表されるキレート剤等も必要に応じて使用することができる。
本発明の画像記録方法に用いられる記録紙及び記録フィルムについて説明する。記録紙及び記録フィルムおける支持体はLBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等をからなり、必要に応じて従来の公知の顔料、バインダー、サイズ剤、定着剤、カチオン剤、紙力増強剤等の添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機等の各種装置で製造されたもの等が使用可能である。これらの支持体の他に合成紙、プラスチックフィルムシートのいずれであってもよく、支持体の厚み10〜250μm、坪量は10〜250g/mが望ましい。
支持体にそのまま受像層及びバックコート層を設けて受像材料としてもよいし、デンプン、ポリビニルアルコール等でサイズプレスやアンカーコート層を設けた後、受像層及びバックコート層を設けて受像材料としてもよい。さらに支持体には、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置により平坦化処理を行ってもよい。
本発明では支持体としては、両面をポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブテンおよびそれらのコポリマー)やポリエチレンテレフタレートでラミネートした紙およびプラスチックフィルムがより好ましく用いられる。ポリオレフィン中に、白色顔料(例、酸化チタン、酸化亜鉛)または色味付け染料(例、コバルトブルー、群青、酸化ネオジウム)を添加することが好ましい。
支持体上に設けられる受像層には、多孔質材料や水性バインダーが含有される。また、受像層には顔料を含むのが好ましく、顔料としては、白色顔料が好ましい。白色顔料としては、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、珪藻土、合成非晶質シリカ、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、硫化亜鉛、炭酸亜鉛等の無機白色顔料、スチレン系ピグメント、アクリル系ピグメント、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。特に好ましくは、多孔性の白色無機顔料がよく、特に細孔面積が大きい合成非晶質シリカ等が好適である。合成非晶質シリカは、乾式製造法(気相法)によって得られる無水珪酸及び湿式製造法によって得られる含水珪酸のいずれも使用可能である。
上記顔料を受像層に含有する記録紙としては、具体的には、特開平10−81064号、同10−119423号、同10−157277号、同10−217601号、同10−348409号、特開2001−138621号、同2000−43401号、同2000−211235号、同2000−309157号、同2001−96897号、同2001−138627号、特開平11−91242号、同8−2087号、同8−2090号、同8−2091号、同8−2093号、同8−174992号、同11−192777号、特開2001−301314号などに開示されたものを用いることができる。
受像層に含有される水性バインダーとしては、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、デンプン、カチオン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド誘導体等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。これらの水性バインダーは単独または2種以上併用して用いることができる。本発明においては、これらの中でも特にポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコールが顔料に対する付着性、受像層の耐剥離性の点で好適である。
受像層は、顔料及び水性バインダーの他に媒染剤、耐水化剤、耐光性向上剤、耐ガス性向上剤、界面活性剤、硬膜剤その他の添加剤を含有することができる。
受像層中に添加する媒染剤は、不動化されていることが好ましい。そのためには、ポリマー媒染剤が好ましく用いられる。
ポリマー媒染剤については、特開昭48−28325号、同54−74430号、同54−124726号、同55−22766号、同55−142339号、同60−23850号、同60−23851号、同60−23852号、同60−23853号、同60−57836号、同60−60643号、同60−118834号、同60−122940号、同60−122941号、同60−122942号、同60−235134号、特開平1−161236号の各公報、米国特許2484430号、同2548564号、同3148061号、同3309690号、同4115124号、同4124386号、同4193800号、同4273853号、同4282305号、同4450224号の各明細書に記載がある。特開平1−161236号公報の212〜215頁に記載のポリマー媒染剤を含有する受像材料が特に好ましい。同公報記載のポリマー媒染剤を用いると、優れた画質の画像が得られ、かつ画像の耐光性が改善される
耐水化剤は、画像の耐水化に有効であり、これらの耐水化剤としては、特にカチオン樹脂が望ましい。このようなカチオン樹脂としては、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン、ポリエチレンイミン、ポリアミンスルホン、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、カチオンポリアクリルアミド等が挙げられる。これらのカチオン樹脂の含有量は、受像層の全固形分に対して1〜15質量%が好ましく、特に3〜10質量%であることが好ましい。
耐光性向上剤、耐ガス性向上剤としては、フェノール化合物、ヒンダードフェノール化合物、チオエーテル化合物、チオ尿素化合物、チオシアン酸化合物、アミン化合物、ヒンダードアミン化合物、TEMPO化合物、ヒドラジン化合物、ヒドラジド化合物、アミジン化合物、ビニル基含有化合物、エステル化合物、アミド化合物、エーテル化合物、アルコール化合物、スルフィン酸化合物、糖類、水溶性還元性化合物、有機酸、無機酸、ヒドロキシ基含有有機酸、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、トリアジン化合物、ヘテロ環化合物、水溶性金属塩、有機金属化合物、金属錯体等が挙げられる。
これらの具体的な化合物例としては、特開平10−182621号、特開2001−260519号、特開2000−260519号、特公平4−34953号、特公平4−34513号、特公平4−34512号、特開平11−170686号、特開昭60−67190号、特開平7−276808号、特開2000−94829号、特表平8−512258号、特開平11−321090号等に記載のものが挙げられる。
界面活性剤は、塗布助剤、剥離性改良剤、スベリ性改良剤あるいは帯電防止剤として機能する。界面活性剤については、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載がある。
界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。有機フルオロ化合物の例には、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)および固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれる。有機フルオロ化合物については、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭61−20994号、同62−135826号の各公報に記載がある。
硬膜剤としては特開平1−161236号公報の222頁、特開平9−263036号、特開平10−119423号、特開2001−310547号、に記載されている材料等を用いることが出来る。
その他の受像層に添加される添加剤としては、顔料分散剤、増粘剤、消泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、pH調整剤、マット剤、硬膜剤等が挙げられる。尚、受像層は1層でも2層でもよい。
記録紙及び記録フィルムには、バックコート層を設けることもでき、この層に添加可能な成分としては、白色顔料、水性バインダー、その他の成分が挙げられる。
バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
バックコート層に含有される水性バインダーとしては、スチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレン/アクリル酸塩共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、デンプン、カチオン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。バックコート層に含有されるその他の成分としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
インクジェット記録紙及び記録フィルムの構成層(バック層を含む)には、ポリマー微粒子分散物を添加してもよい。ポリマー微粒子分散物は、寸度安定化、カール防止、接着防止、膜のひび割れ防止のような膜物性改良の目的で使用される。ポリマー微粒子分散物については、特開昭62−245258号、同62−1316648号、同62−110066号の各公報に記載がある。ガラス転移温度が低い(40℃以下の)ポリマー微粒子分散物を媒染剤を含む層に添加すると、層のひび割れやカールを防止することができる。また、ガラス転移温度が高いポリマー微粒子分散物をバック層に添加しても、カールを防止できる。
本発明では、インクジェットの記録方式に制限はなく、公知の方式、例えば静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット)方式等に用いられる。
インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
本発明のインクジェット記録用インクは、インクジェット記録以外の用途に使用することもできる。例えば、ディスプレイ画像用材料、室内装飾材料の画像形成材料および屋外装飾材料の画像形成材料などに使用が可能である。
ディスプレイ画像用材料としては、ポスター、壁紙、装飾小物(置物や人形など)、商業宣伝用チラシ、包装紙、ラッピング材料、紙袋、ビニール袋、パッケージ材料、看板、交通機関(自動車、バス、電車など)の側面に描画や添付した画像、ロゴ入りの洋服、等各種の物を指す。
本発明の染料をディスプレイ画像の形成材料とする場合、その画像とは狭義の画像の他、抽象的なデザイン、文字、幾何学的なパターンなど、人間が認知可能な染料によるパターンをすべて含む。
室内装飾材料としては、壁紙、装飾小物(置物や人形など)、照明器具の部材、家具の部材、床や天井のデザイン部材等各種の物を指す。本発明の染料を画像形成材料とする場合、その画像とは狭義の画像の他、抽象的なデザイン、文字、幾何学的なパターンなど、人間が認知可能な染料によるパターンをすべて含む。
屋外装飾材料としては、壁材、ルーフィング材、看板、ガーデニング材料屋外装飾小物(置物や人形など)、屋外照明器具の部材等各種の物を指す。本発明の染料を画像形成材料とする場合、その画像とは狭義の画像ののみならず、抽象的なデザイン、文字、幾何学的なパターンなど、人間が認知可能な染料によるパターンをすべて含む。
以上のような用途において、パターンが形成されるメディアとしては、紙、繊維、布(不織布も含む)、プラスチック、金属、セラミックス等種々の物を挙げることができる。染色形態としては、媒染、捺染、もしくは反応性基を導入した反応性染料の形で色素を固定化することもできる。この中で、好ましくは媒染形態で染色されることが好ましい。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
下記の成分に脱イオン水を加え1リッターとした後、30〜40℃で加熱しながら1時間撹拌した。その後、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過してライトマゼンタ用インクを調製した。
〔ライトマゼンタインク LM−101処方〕
(固形分)
マゼンタ染料(a−36) 7.5g/l
ベンゾトリアゾール(BTZ) 0.08g/l
PROXEL XL2 3.5g/l
(液体成分)
ジエチレングリコール(DEG) 150g/l
グリセリン(GR) 130g/l
トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TGB) 130g/l
トリエタノールアミン(TEA) 6.9g/l
サーフィノールSTG(SW) 10g/l
ここで使用したマゼンタ染料(a−36)の酸化電位は、1.0V(vs SCE)より貴である。
LM−101に対して、下記表のように溶剤種を変更したインクLM−102〜106をそれぞれ作製した。
Figure 2003066757
*:水を加えてすべて1リットルの完成量とした。
PRD:2−ピロリドン
IPA:2−プロパノール
MFG:1−メトキシ−2−プロパノール
MS:2−メトキシエタノール
さらに上記処方でマゼンタ色素(a−36)を23gに増量したマゼンタ用インク液M−101を調製した。
〔マゼンタインクM−101処方〕
(固形分)
マゼンタ染料(a−36) 23g/l
ベンゾトリアゾール(BTZ) 0.08g/l
PROXEL XL2 3.5g/l
(液体成分)
ジエチレングリコール(DEG) 150g/l
グリセリン(GR) 130g/l
トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TGB) 130g/l
トリエタノールアミン(TEA) 6.9g/l
サーフィノールSTG(SW) 10g/l
M−101に対して、インク処方を変更したマゼンタインクM−102〜106を下記表の処方で調製した。
Figure 2003066757
*:水を加えてすべて1リットルの完成量とした。
これらのインクをEPSON社製インクジェットプリンターPM−950Cのマゼンタインク・ライトマゼンタインクのカートリッジに装填し、その他の色のインクはPM−950Cのインクを用いて、マゼンタの単色画像を印字させた。受像シートは富士写真フィルム(株)製インクジェットペーパーフォト光沢紙EXに画像を印刷し、インクの吐出安定性、画像堅牢性および画像の高湿条件下でのにじみの評価を行った。
(評価実験)
1)吐出安定性については、カートリッジをプリンターにセットし全ノズルからのインクの吐出を確認した後、A4 20枚出力し、以下の基準で評価した。
A:印刷開始から終了まで印字の乱れ無し
B:印字の乱れのある出力が発生する
C:印刷開始から終了まで印字の乱れあり
2)画像保存性については、マゼンタのベタ画像印字サンプルを作成し、以下の評価を行った。
▲1▼光堅牢性は印字直後の画像濃度Ciを反射濃度計(X−Rite310TR)にて測定した後、アトラス社製ウェザーメーターを用い画像にキセノン光(8万5千ルックス)を10日照射した後、再び画像濃度Cfを測定し染料残存率(100×Cf/Ci)を求め評価を行った。染料残像率について反射濃度が1,1.5,2の3点にて評価し、いずれの濃度でも染料残存率が70%以上の場合をA、2点が70%未満の場合をB、全ての濃度で70%未満の場合をCとした。
▲2▼熱堅牢性については、80℃15%RHの条件下に10日間、試料を保存する前後での濃度を、反射濃度計(X−Rite310TR)にて測定し染料残存率を求め評価した。染料残像率について反射濃度が1,1.5,2の3点にて評価し、いずれの濃度でも染料残存率が90%以上の場合をA、2点が90%未満の場合をB、全ての濃度で90%未満の場合をCとした。
▲3▼オゾン堅牢性については、前記画像を形成したフォト光沢紙を、オゾンガス濃度が0.5ppmに設定されたボックス内に7日間放置し、オゾンガス下放置前後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率として評価した。尚、前記反射濃度は、1、1.5及び2.0の3点で測定した。ボックス内のオゾンガス濃度は、APPLICS製オゾンガスモニター(モデル:OZG−EM−01)を用いて設定した。
何れの濃度でも色素残存率が80%以上の場合をA、1又は2点が80%未満をB、全ての濃度で70%未満の場合をCとして、三段階で評価した。
3)高湿条件下での画像のにじみについては、マゼンタの3cm×3cmの正方形パターンが4つそれぞれ1mmの白地隙間を形成するように「田」の字型に並んだ印字パターンを作製し、この画像サンプルを25℃90%RHの条件下、72時間保存後に白地隙間におけるマゼンタ染料のにじみを観察し、印字直後に対する白地のマゼンタ濃度増加がステータスAのマゼンタフィルターにおいて、0.01以下の場合をA、0.01〜0.05の場合をB、0.05以上の場合をCとした。
得られた結果を下記表に示す。
Figure 2003066757
上記表の結果から、本発明のインクセットを使用した系では、参考例に対してにじみが低減していることがわかった。また、画像の堅牢性、画像にじみともに、EPSON社純正インクに勝っていることがわかった。
(実施例2)
下記の成分に脱イオン水を加え1リッターとした後、30〜40℃で加熱しながら1時間撹拌した。その後KOH 10mol/lにてpH=9に調製し、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過しライトマゼンタ用インク液を調製した。
〔ライトマゼンタインク LM−101処方〕
(固形分)
マゼンタ染料(a−36) 9.5g/l
ジエチレングリコール(DEG) 47g/l
尿素 37g/l
グリセリン(GR) 198g/l
トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TGB) 105g/l
2−ピロリドン 40g/l
トリエタノールアミン(TEA) 7g/l
ベンゾトリアゾール(BTZ) 0.07g/l
PROXEL XL2 5.0g/l
界面活性剤(w−1) 6.0g/l
Figure 2003066757
さらに染料種、添加物を変更し、マゼンタインク、ライトシアンインク、シアンインク、イエローインク、ブラックインクを調製し、下記表に示すインクセット101を作成した。水混和性有機溶剤濃度の単位、「(質量/容量)%」を以下、単に「%」と表記する。
Figure 2003066757
Figure 2003066757
Figure 2003066757
次にインクセット101のライトマゼンタインク、マゼンタインクについて色素種、水混和性有機溶剤の濃度を下記表に従うように変更し、インクセット102−110を作成した。なお、水混和性有機溶剤濃度は、ジエチレングリコール、グリセリン、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、2−ピロリドン、トリエタノールアミンの添加量を適宜調整して得た。
Figure 2003066757
次にこれらのインクセット101−110をインクジェットプリンターPM920C(EPSON社製)のカートリッジに詰め、同機にて富士写真フィルム製 インクジェットペーパーフォト光沢紙EXに画像を印刷し、以下の評価を行った。
吐出安定性▲1▼は、実施例1と同様の手法で評価した。
吐出安定性▲2▼はカートリッジを60℃にて2日間放置した後、吐出安定性▲1▼と同様の方法にて印字の乱れを評価した。
乾燥性は印刷直後に、指で触ったときの汚れを目視にて評価した。
○:問題ないレベル、△:やや悪いレベル、×:問題レベル
細線の滲み▲1▼については、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの細線パターンを印字し目視にて行った。
○:問題ないレベル、△:やや悪いレベル、×:問題レベル
細線の滲み▲2▼については、ブラックについてはマゼンタインクをベタに印字した後、ブラックの細線を印字し、2色の接触による滲みの評価を行った。
○:問題ないレベル、△:やや悪いレベル、×:問題レベル
耐水性については得られた画像を10秒間脱イオン水に浸せきした後、画像のにじみを評価した。
○:問題ないレベル、△:やや悪いレベル、×:問題レベル
画像保存性については、マゼンタのベタ画像印字サンプルを作成し、以下の評価を行った。
光堅牢性は印字直後の画像濃度Ciを反射濃度計(X−Rite310TR)にて測定した後、アトラス社製ウェザーメーターを用い画像にキセノン光(8万5千ルックス)を7日間照射した後、再び画像濃度Cfを測定し染料残存率(100×Cf/Ci)を求め評価を行った。染料残像率について反射濃度が1,1.5,2の3点にて評価し、いずれの濃度でも色素残存率が85%以上の場合をA、2点が85%未満の場合をB、全ての濃度で85%未満の場合をCとした。
熱堅牢性については、80℃、70%RHの条件下に7日間に試料を保存する前後での濃度を、反射濃度計(X−Rite310TR)にて測定し色素残存率を求め評価した。色素残存率について反射濃度が1,1.5,2の3点にて評価し、いずれの濃度でも色素残存率が90%以上の場合をA、2点が90%未満の場合をB、全ての濃度で90%未満の場合をCとした。
耐オゾン性については、外気を取り入れ80℃に加熱した条件下に7日間試料を保存する前後での濃度を反射濃度計(X−Rite310TR)にて測定し色素残存率を求め評価した。色素残存率について反射濃度が1,1.5,2の3点にて評価し、いずれの濃度でも色素残存率が90%以上の場合をA、2点が90%未満の場合をB、全ての濃度で90%未満の場合をCとした。
得られた結果を下記表に示す。
Figure 2003066757
本発明のインクを用いた場合、優れた吐出安定性を得られることが分かり、耐水性、堅牢性についても優れた性能を示すことが分かる。また、本発明のインクでは細線を出力する際の性能もにじみがなく優れている。
また、本発明のインク(101〜105)は、インク(109)と同等の色相が得られた。
また、実施例2においてマゼンタ染料(a−36)に代えて一般式(1)で表される他の水溶染料を用いて調製した本発明のインクも、実施例2と同様の耐候性、吐出安定性及び色相の効果が得られた。
尚、本発明において使用する受像紙をEPSON社製PM写真用紙、キャノン社製 PR101に変更した場合でも上記結果と同様の効果が見られる。
(実施例3)
実施例2で作製した同じインクを、インクジェットプリンターBJ−F850(CANON社製)のカートリッジに詰め、同機にて画像を富士写真フイルム製 インクジェットペーパーフォト光沢紙EXにプリントし、実施例2と同様な評価を行ったところ、実施例2と同様な結果が得られた。また受像紙がEPSON社製PM写真用紙、キャノン社製 PR101の場合でも同様の効果が見られた。
(実施例4)
染料(a−3)6g、ジオクチルスルホコハク酸4gを高沸点有機溶媒(s−1)4.0g、高沸点有機溶媒(s−2)6.0g、及び酢酸エチル50ml中に70℃にて溶解させた。この溶液に500mlの脱イオン水をマグネチックスターラーで攪拌しながら添加し、水中油滴型の粗粒分散物を作製した。
次にこの粗粒分散物を、マイクロフルイダイザー(MICROFLUIDEXINC)にて60MPaの圧力で5回通過させることで微粒子化を行った。更に出来あがった乳化物をロータリーエバポレーターにて酢酸エチルの臭気が無くなるまで脱溶媒を行った。
こうして得られた油溶性染料の微細乳化物に、ジエチレングリコール130g、グリセリン64.0g、トリエタノールアミン10g、界面活性剤(w−1)13g、及び尿素等の添加剤を加えた後、脱イオン水を加え、KOH10mol/lにてpH=9に調整することにより、下記表に従うライトマゼンタインクを作製した。得たれた乳化分散インクの体積平均粒径をマイクロトラックUPA(日機装株式会社)を用いて測定したところ60nmであった。
さらに使用する染料種、高沸点有機溶媒を変更し、下記表に示すインクセット201のマゼンタインク、シアンインク、ライトシアンインク、イエローインク、ブラックインクを作成した。
Figure 2003066757
Figure 2003066757
同様に下記表に従ってマゼンタインク、ライトマゼンタインクが変更されたインクセット202〜210を作成した。
マゼンタインクまたはライトマゼンタインクの染料の添加量は全て各々0.6質量%、2.0質量%になるようにした。
さらに、染料種をM−1に変更した以外はインクセット201と同処方で比較例のインクセット210を作成した。次にこれらのインクセット201−209をインクジェットプリンターPM920(EPSON社製)のカートリッジに詰め、同機にて富士写真フイルム製 インクジェットペーパーフォト光沢紙EXに画像を印刷し、実施例2と同様な評価を行った。得られた結果を下記表に示す。
Figure 2003066757
Figure 2003066757
本発明のインクは吐出安定性、耐候性(光、熱堅牢性及び耐オゾン性)、耐水性のいずれにも優れ、細線の滲みのない記録画像を得ることができることが分かる。
また、本発明のインク(201〜205)は、インク(210)と同等の色相が得られた。
また、実施例4において用いたマゼンタ染料に代えて他の一般式(1)で表される油溶性染料を用いて調製した本発明のインクも、実施例4と同様の耐候性、吐出安定性及び色相の効果が得られた。
(実施例5)
下記の成分とした以外は実施例1と同様にライトマゼンタ用インクを調製した。
〔ライトマゼンタインク LM−101処方〕
(固形分)
マゼンタ染料(a−36) 7.5g/l
ベンゾトリアゾール(BTZ) 0.08g/l
PROXEL XL2 3.5g/l
(液体成分)
ジエチレングリコール(DEG) 150g/l
グリセリン(GR) 130g/l
トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TGB) 130g/l
トリエタノールアミン(TEA) 6.9g/l
サーフィノールSTG(SW) 10g/l
LM−101に対して、下記表のように溶剤種を変更したインクLM−102〜106をそれぞれ作製した。
Figure 2003066757
*:水を加えてすべて1リットルの完成量とした。
**:25℃における染料(a−36)の溶解度が10g/100g溶剤以上の溶剤濃度(質量%)
DGB:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
DGE:ジエチレングリコールモノエチルエーテル
MFG:1−メトキシ−2−プロパノール
25℃における染料(a−36)の溶解度が10g/100g溶剤以上の溶剤:TGB,DGE,TEAの3種
さらに上記処方でマゼンタ色素(a−36)を23gに増量したマゼンタ用インク液M−101を調製した。
〔マゼンタインクM−101処方〕
(固形分)
マゼンタ染料(a−36) 23g/l
ベンゾトリアゾール(BTZ) 0.08g/l
PROXEL XL2 3.5g/l
(液体成分)
ジエチレングリコール(DEG) 150g/l
グリセリン(GR) 130g/l
トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TGB) 130g/l
トリエタノールアミン(TEA) 6.9g/l
サーフィノールSTG(SW) 10g/l
M−101に対して、インク処方を変更したマゼンタインクM−102〜106を下表の処方で調製した。
Figure 2003066757
これらのインクについて、実施例1と同様に、インクの吐出安定性、画像堅牢性、および画像の高湿条件下でのにじみの評価を行った。
得られた結果を下記表に示す。
Figure 2003066757
表の結果から、本発明のインクセットを使用した系では、参考例に対してにじみが低減していることがわかった。また、画像の堅牢性、画像にじみともに、EPSON社純正インクに勝っていることがわかった。
(実施例6)
下記の成分とした以外は実施例1と同様にライトマゼンタ用インクを調製した。
〔ライトマゼンタインク LM−101処方〕
(固形分)
マゼンタ染料(a−36) 7.5g/l
ベンゾトリアゾール(BTZ) 0.08g/l
PROXEL XL2 3.5g/l
(液体成分)
ジエチレングリコール(DEG) 120g/l
グリセリン(GR) 100g/l
トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TGB) 100g/l
2−ピロリドン(PRD) 90g/l
トリエタノールアミン(TEA) 6.9g/l
サーフィノールSTG(SW) 10g/l
LM−101に対して、下記表のように溶剤種を変更したインクLM−102〜106をそれぞれ作製した。
Figure 2003066757
*:水を加えてすべて1リットルの完成量とした。
DMI:1,3−ジメチルイミダゾリジノン DMAc:N,N−ジメチルアセトアミド
MFG:1−メトキシ−2−プロパノール DEB:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
さらに上記処方でマゼンタ色素(a−36)を23gに増量したマゼンタ用インク液M−101を調製した。
〔マゼンタインクM−101処方〕
(固形分)
マゼンタ染料(a−36) 23g/l
ベンゾトリアゾール(BTZ) 0.08g/l
PROXEL XL2 3.5g/l
(液体成分)
ジエチレングリコール(DEG) 120g/l
グリセリン(GR) 100g/l
トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TGB) 100g/l
2−ピロリドン(PRD) 90g/l
トリエタノールアミン(TEA) 6.9g/l
サーフィノールSTG(SW) 10g/l
M−101に対して、インク処方を変更したマゼンタインクM−102〜106を下表の処方で調製した。
Figure 2003066757
*:水を加えてすべて1リットルの完成量とした。
これらのインクについて、実施例1と同様に、インクの吐出安定性(吐出性)、画像堅牢性、および画像の高湿条件下でのにじみの評価を行った。
得られた結果を下記表に示す。
Figure 2003066757
上記表の結果から、本発明のインクセットを使用した系では、参考例に対してにじみが低減していることがわかった。また、画像の堅牢性、画像にじみともに、EPSON社純正インクに勝っていることがわかった。
(実施例7)
〔ライトマゼンタインクの調製〕
下記の成分とした以外は実施例1と同様にライトマゼンタ用インクを調製した。
マゼンタ染料(a−36) 10.2g/l
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 130.0g/l
グリセリン 130.0g/l
ジエチレングリコール 150.0g/l
尿素 37.0g/l
PROXEL XL2[ゼネカ社] 5.0g/l
ベンゾトリアゾール 0.07g/l
界面活性剤 6.0g/l
(ポリエチレングルコール(平均エチレンオキシド繰り返し数10)の片末端2−ブチルオクタン酸エステル)
〔マゼンタインクの調製〕
下記の成分とした以外は実施例1と同様にマゼンタ用インクを調製した。
マゼンタ染料(a−36) 30.8g/l
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 140.0g/l
グリセリン 160.0g/l
ジエチレングリコール 110.0g/l
尿素 46.0g/l
PROXEL XL2[ゼネカ社] 4.5g/l
ベンゾトリアゾール 0.08g/l
界面活性剤 12.0g/l
(ポリエチレングルコール(平均エチレンオキシド繰り返し数10)の片末端2−ブチルオクタン酸エステル)
次に、実施例7のライトマゼンタインクとマゼンタインクについて、染料、水混和性有機溶剤種、量を、下記表に従うように変更した以外は、すべて同様にして、実施例8〜9、および比較例1〜2のインクを作成した。
Figure 2003066757
Figure 2003066757
(インクジェット記録)
次にこれらのインクセットをインクジェットプリンターPM920C(セイコーエプソン株式会社製)のカートリッジに詰め、同機にて富士写真フイルム製 インクジェットペーパーフォト光沢紙EXに画像を印刷し、以下の評価を行った。
(1)吐出安定性については、カートリッジをプリンターにセットしノズルからのインクの連続吐出試験を行い、吐出安定性▲1▼を評価した。
さらにカートリッジをプリンターにセットした状態でプリンターを2週間室温で放置した後の吐出安定性▲2▼も評価した。
○:安定。
△:やや不安定。
×:不安定。
(2)画像保存性については、マゼンタのベタ画像印字サンプルを作成し、以下の評価を行った。
光堅牢性は印字直後の画像濃度Ciを反射濃度計(X−Rite310TR)にて測定した後、アトラス社製ウェザーメーターを用い画像にキセノン光(8万5千ルックス)を6日間照射した後、再び画像濃度Cfを測定し染料残存率(100×Cf/Ci)を求め評価を行った。染料残像率について反射濃度が1,1.5,2の3点にて評価し、いずれの濃度でも色素残存率が80%以上の場合をA、2点が80%未満の場合をB、全ての濃度で80%未満の場合をCとした。
熱堅牢性については、80℃、70%RHの条件下に5日間に試料を保存する前後での濃度を、反射濃度計(X−Rite310TR)にて測定し色素残存率を求め評価した。色素残存率について反射濃度が1,1.5,2の3点にて評価し、いずれの濃度でも色素残存率が90%以上の場合をA、2点が90%未満の場合をB、全ての濃度で90%未満の場合をCとした。
耐オゾン性については、実施例2と同様に評価した。
得られた結果を下記表に示す。
Figure 2003066757
本発明のインクを用いた場合、優れた吐出安定性を得られることが分かり、堅牢性についても優れた性能を示すことが分かる。
また、本発明のインクは、インク(比較例1)と同等の色相が得られた。
また、実施例においてマゼンタ染料(a−36)に代えて一般式(1)で表される他の水溶染料を用いて調製した本発明のインクも、実施例と同様の耐候性、吐出安定性及び色相の効果が得られた。
尚、本発明において使用する受像紙をEPSON社製PM写真用紙、キャノン社製 PR101に変更した場合でも上記結果と同様の効果が見られた。
産業上の利用可能性
本発明のインクは、インクジェットの記録方式に制限はなく、公知の方式例えば静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット)方式等に用いられる。
インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれ、本発明のインクはこれらのいずれにも用いられる。

Claims (23)

  1. 水性媒体中にアゾ染料から選択されるマゼンタ染料を溶解または分散してなるインクジェット記録用インクであって、該マゼンタ染料が1.0V(vsSCE)よりも貴の酸化電位を有する染料であり、かつ20℃での蒸気圧が2000Pa以下の水混和性有機溶剤を含むことを特徴とするインクジェット記録用インク。
  2. 水混和性有機溶剤として沸点150℃以上の有機溶剤を少なくとも1種含むことを特徴とする請求の範囲第1項に記載のインクジェット記録用インク。
  3. 沸点150℃以上の有機溶剤の少なくとも1種がアルコール誘導体であることを特徴とする請求の範囲第2項に記載のインクジェット記録用インク。
  4. 水混和性有機溶剤として沸点150℃未満の有機溶剤を少なくとも1種含むことを特徴とする請求の範囲第1項に記載のインクジェット記録用インク。
  5. 沸点150℃未満の有機溶剤の少なくとも1種がアルコール誘導体であることを特徴とする請求の範囲第4項に記載のインクジェット記録用インク。
  6. 水混和性有機溶剤として多価アルコール及び/又はその誘導体を含むことを特徴とする請求の範囲第1項に記載のインクジェット記録用インク。
  7. 多価アルコール及び/又はその誘導体を含む2種以上の混合物を含むことを特徴とする請求の範囲第6項に記載のインクジェット記録用インク。
  8. 多価アルコール及び/又はその誘導体を10〜60(質量/容量)%の濃度で含むことを特徴とする請求の範囲第6項または第7項に記載のインクジェット記録用インク。
  9. 水混和性有機溶剤としてアゾ染料の25℃における溶解度が10(g/100g溶剤)以上となるものを含むことを特徴とする請求の範囲第1項に記載のインクジェット記録用インク。
  10. アゾ染料の25℃における溶解度が10(g/100g溶剤)以上となる水混和性有機溶剤をインク中に10質量%以下で含むことを特徴とする請求の範囲第9項に記載のインクジェット記録用インク。
  11. 水混和性有機溶剤として常温で液体であり酸素原子以外のヘテロ原子を含まない有機溶剤を含むことを特徴とする請求の範囲第1項に記載のインクジェット記録用インク。
  12. 有機溶剤の沸点が150℃以上のものであることを特徴とする請求の範囲第11項に記載のインクジェット記録用インク。
  13. 有機溶剤がアルコール誘導体であって、モノオール、ジオール、トリオールのいずれかから選ばれるものであることを特徴とする請求の範囲第11項または第12項に記載のインクジェット記録用インク。
  14. 水の含有量がインク液に対して40〜80質量%であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のインクジェット記録用インク。
  15. アゾ染料が該水性媒体中において500〜580nmの分光領域に吸収極大を有することを特徴とする請求の範囲第1項に記載のインクジェット記録用インク。
  16. 前記アゾ染料が、一般式(複素環A)−N=N−(複素環B)で表される発色団を有することを特徴とする請求の範囲第1項〜第15項のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
    ただし、上記一般式中の複素環Aと複素環Bは同一の構造であってもよい。
  17. 前記アゾ染料のアゾ基が、少なくともその一方に芳香族含窒素6員複素環をカップリング成分として直結させたアゾ染料であることを特徴とする請求の範囲第1項〜第16項のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
  18. 前記アゾ染料が、芳香族環アミノ基または複素環アミノ基含有構造を助色団として有するアゾ染料であることを特徴とする請求の範囲第1項〜第17項のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
  19. 前記アゾ染料が、立体構造を有するアゾ染料であることを特徴とする請求の範囲第1項〜第18項のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
  20. 前記アゾ染料が、下記一般式(1)で表される染料であることを特徴とする請求の範囲第1項〜第18項のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
    Figure 2003066757
    Figure 2003066757
    一般式(1)において、Aは5員複素環基を表す。
    およびBは各々=CR−、−CR=を表すか、あるいはいずれか一方が窒素原子、他方が=CR−または−CR=を表す。RおよびRは各々独立に水素原子または置換基を表し、該置換基は脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表し、該各置換基の水素原子は置換されていても良い。
    G、RおよびRは各々独立して、水素原子または置換基を示し、該置換基は、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、またはスルホ基を表し、該各置換基の水素原子は置換されていても良い。
    とR、あるいはRとRが結合して5〜6員環を形成しても良い。
  21. 記録画像の対オゾン褪色速度定数が5.0×10−2[hour−1]以下であることを特徴とする請求の範囲第1項〜第20項のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
  22. 請求の範囲第1項〜第21項に記載のインクジェット記録用インクを用いることを特徴とするインクジェット記録方法。
  23. 支持体上に白色無機顔料粒子を含有する受像層を有する受像材料にインク滴を記録信号に応じて吐出させ、受像材料上に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    該インク滴が、請求の範囲第1項〜第21項に記載のインクジェット記録用インクからなることを特徴とするインクジェット記録方法。
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