JPWO2003057488A1 - インクジェットプリンタ - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、インクジェットプリンタに関する。
背景技術
従来、紫外線(UV)が照射されることにより硬化するUVインクを用いて印刷を行うUVインクジェットプリンタが知られている。
このUVインクジェットプリンタにおいては、先ず、例えばフィルム等の記録媒体に記録ヘッド等からUVインクを吐出、着弾させた後、記録媒体にUV照射手段から紫外線を照射して、記録媒体上のUVインクを硬化定着させて画像印刷を行うようになっている。
上記従来のUVインクジェットプリンタは、UV照射手段として紫外線の照度が高くインク硬化性の良い高圧紫外線ランプを用いている。前記UVインクジェットプリンタにより、インクを全く吸収しない記録媒体でも印刷を行うことができる。
また、インクを硬化させるための光線としてレーザ光線を照射するエキシマレーザを備えたインクジェットプリンタも知られている(例えば、特許文献1参照。)。
(特許文献1)
特開2001−310454号公報(第4頁、第1図)
しかしながら、高圧紫外線ランプは、印可電力の大部分が熱に変換されるために発熱量が多くなる。そのため、インクの硬化に十分な照度を確保するうえで電源容量を大きくする必要があり、その結果コストが増大してしまうといった問題があった。さらに、排熱のためにダクトを設ける必要があるため、製造コストが増大するのみならずプリンタが大きくなるといった問題もある。なお、上記特許文献1の場合においても同様に、光照射手段としてエキシマレーザを用いるとプリンタが大きくなるといった問題があった。
また、高圧紫外線ランプの発熱により記録媒体の温度が高くなるために、記録媒体として例えば熱により変形するプラスチック基材等を用いると、この記録媒体がカールしたり溶けたりして高精度の印刷を行えないといった問題もあった。特に、熱をかけて収縮させることにより、容器等に密着させるシュリンクフィルムでは、印刷中に収縮してしまい、UVインクジェットプリンタでの印刷が困難であった。
本発明の課題は、多くの種類の記録媒体に印刷することができる小型のインクジェットプリンタを安価に提供することを目的とする。
発明の開示
本発明は、紫外線が照射されることで硬化するUVインクを記録媒体に吐出し、前記記録媒体に紫外線を照射することで印刷を行うインクジェットプリンタであって、
前記記録媒体上に吐出されたインクに紫外線を照射可能なUV照射手段を備え、
前記UV照射手段は、ピーク波長が前記UVインクを硬化させる紫外域内のいずれかの波長を含む光を発光可能な半導体レーザまたはLEDのいずれか一方を備えたものである。
この発明によれば、UV照射手段は、光源として半導体レーザまたはLEDのいずれか一方を備えているので、紫外線照射の際の発熱量が少なく、UV照射手段のエネルギー効率が良くなる。よって、インクジェットプリンタの電源容量を小さくできるとともに、排熱のためにダクト等を設ける必要がなくなるため、安価で且つ小型のインクジェットプリンタを提供することができる。
また、UV照射手段による紫外線照射の際の発熱量が少ないため、発熱のため変形し易い記録媒体であっても変形することがなくなる。従って、多くの種類の記録媒体に印刷することができる。
さらに、光源として半導体レーザを用いた場合は、照射距離が長くなっても減衰量が少ないので記録媒体から半導体を遠ざけて配置することも可能であり、光源の発熱による記録媒体の影響を確実に防止できる。
また、このインクジェットプリンタにおいて、前記記録媒体は、樹脂基材、若しくは、加熱により収縮するシュリンクフィルムであってもよい。
ここで、樹脂基材の構成素材としては、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスチレン、ポリカーボネイト、ポリ−p−フェニレンスルフィド、ポリエーテルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等が望ましく、また、これらの共重合体やブレンド物、さらには、架橋したものも適用可能である。特に、延伸したポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ナイロンが透明性、寸法安定性、剛性、環境負荷、コストの面で好ましい。
また、シュリンクフィルム(熱収縮性合成樹脂フィルム)の構成素材としては、一般的にシュリンクラベルに使用されている熱収縮性のポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリスチレンフィルム、塩化ビニルフィルム、ポリプロピレンフィルム等が挙げられる。
この発明によれば、記録媒体が、樹脂基材、若しくは、加熱により収縮するシュリンクフィルムであっても、紫外線照射の際の発熱量が少ないために記録媒体が変形するほど温度上昇しない。
また、上記インクジェットプリンタにおいて、前記記録媒体は、長尺のフィルムであるとともに、印刷される前後ではロール状に巻かれた形態となっていてもよい。
このような発明によれば、記録媒体は、長尺のフィルムであるとともに、印刷される前後ではロール状に巻かれた形態となっているので、記録媒体の占有体積を抑えることができる。よって、インクジェットプリンタを大型化することなく記録媒体を搭載することができる。
また、上記インクジェットプリンタにおいて、前記UVインクは、カチオン重合性を有するものであってもよい。
このような発明によれば、上述の発明と同等の効果が得られるのは無論のこと、特に、UVインクはカチオン重合性を有しており、カチオン重合性のUVインクは、ラジカル重合性のUVインクに比べて、紫外線に対する感度が高く且つ酸素による重合反応の阻害が少ないので、記録媒体上に吐出されたUVインクの硬化に必要な照度を低減させることができる。これにより、高圧紫外線ランプに比べて低照度の光源である半導体レーザやLEDの配設個数の増加に起因するプリンタの大型化を招くことなく、UVインクの硬化に必要な照射エネルギーを十分に付与することができる。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の実施の形態に係る、紫外線(UV)照射により硬化する性質を有するUVインクを記録媒体Mに吐出し、着弾させた後に紫外線照射を行うことで画像印刷を行うUVインクジェットプリンタ1を例にとり、図面を適宜参照して説明する。
このUVインクジェットプリンタ1は、例えばその外側がケース2に覆われており、その内部に、印刷時に記録媒体Mを移動する記録媒体移動部3と、記録媒体MにUVインクを吐出、着弾させる記録ヘッド(図示略)を搭載したキャリッジ4と、インクが着弾された記録媒体Mに紫外線を照射するUVLED光源(UV照射手段)5等を備えて構成されている。
記録媒体Mは、例えば加熱により収縮する熱収縮性のポリエチレンテレフタレートフィルム(シュリンクフィルム)を長尺に構成したものである。なお、記録媒体Mの厚みは、2〜100μmであることが好ましい。より好ましくは、6〜50μmであり、さらに好ましくは、10〜30μmである。
記録媒体移動部3は、例えばケース2の下部に配置されており、画像印刷前の記録媒体Mがロール状に巻かれているサプライ部31と、画像印刷後の記録媒体Mをロール状に巻き取るレシーブ部32と、サプライ部31とレシーブ部32の間で略水平に配置され、上面で記録媒体Mの下面を支持可能なプラテン33とから構成されている。
この記録媒体移動部3は、印刷の際に、記録媒体Mの所定範囲に対してのUVインクの吐出(詳細後述)が完了する毎に記録媒体Mをレシーブ部32で巻き取ることにより、記録媒体Mを図2における矢印Xの方向に移動させる。なお、記録媒体Mは、その上面が印刷面となっている。
また、プラテン33の上方には、キャリッジ4とUVLED光源5とが設けられている。
キャリッジ4は、記録媒体M上の画像印刷に用いる色の数に応じて記録ヘッドを複数個、図示しない吐出口を下側に配置して収納している。
また、キャリッジ4は、図示しない移動機構によりUVインクジェットプリンタ1本体に対して図2における矢印Yの方向に往復移動自在となっており、この往復移動を繰り返すことにより、記録ヘッドの走査を行う。
記録ヘッドは、図示しないインク供給手段により供給されたUVインクを、内部に複数個備えられた図示しない吐出手段の作動により、複数の吐出口から記録媒体Mに向けて吐出する。
ここで、UVインクは、顔料のほかに重合性化合物、光反応開始剤等を含んで組成されており、紫外線照射を受けることで光反応開始剤が触媒として作用することに伴う重合性化合物の架橋、重合反応によって硬化する性質を有する。
以下に、本実施の形態に用いられる「UVインク」について、さらに詳細に説明する。
本実施の形態で用いられるUVインクは、特に、「光硬化技術−樹脂・開始剤の選定と配合条件及び硬化度の測定・評価−(技術協会情報)」に記載の「光硬化システム(第4章)」の「光酸・塩基発生剤を利用する硬化システム(第1節)」、「光誘導型交互共重合(第2節)」等に適合するUVインクが適用可能であり、通常のラジカル重合により硬化するものであってもよい。
具体的に、本実施の形態に用いられるUVインクは、紫外線の被照射により硬化する性質を具備しており、主成分として、少なくとも重合性化合物(公知の重合性化合物を含む。)と、光反応開始剤と、色材とを含むものである。ただし、本実施の形態に用いるUVインクとして、上記「光誘導型交互共重合(第2節)」に適合するインクを用いる場合には、光反応開始剤は除外されてもよい。
上記UVインクは、重合性化合物として、ラジカル重合性化合物を含むラジカル重合系のUVインクとカチオン重合性化合物を含むカチオン重合系のUVインクとに大別されるが、その両系のUVインクが本実施の形態に用いられるUVインクとしてそれぞれ適用可能であり、ラジカル重合系のUVインクとカチオン重合系のUVインクとを複合させたハイブリッド型のUVインクを本実施の形態に用いられるUVインクとして適用してもよい。
しかしながら、紫外線に対する感度が高く且つ酸素による重合反応の阻害が少ない又は無いカチオン重合系のUVインクのほうが機能性・汎用性に優れるため、本実施の形態では、特に、カチオン重合系のUVインクを用いている。
なお、本実施の形態に用いられるカチオン重合系のUVインクは、具体的に、少なくともオキセタン化合物,エポキシ化合物,ビニルエーテル化合物等のカチオン重合性化合物と、光カチオン開始剤と、色材とを含む混合物であり、上記の通り、紫外線の被照射により硬化する性質を具備するものである。
また、記録ヘッドは、記録媒体Mの一端から図2におけるY方向に記録媒体Mの多端まで移動するという走査の間に、図示しない制御手段から送信される画像情報に従い、記録媒体M上の所定範囲に対してUVインクをインク滴として吐出し着弾させる。
上記走査を適宜回数行ない、記録媒体Mの所定範囲に対してUVインクの吐出を行った後、記録媒体移動部3で記録媒体Mを図2におけるX方向に適宜移動させ、再び記録ヘッドの走査を行ないながら、記録ヘッドにより上記所定範囲に対し、図2におけるX方向に隣接した次の所定範囲に対してUVインクの吐出を行う。
上記操作を繰り返すことにより、記録媒体M上にUVインク滴の集合体からなる画像が形成される。
UVLED光源5は、キャリッジ4よりもレシーブ側32に設けられており、複数のLED(Light Emitting Diode)を並べて構成されたLEDアレイ(図示略)を備えて構成されている。LEDは、ピーク波長がUVインクを硬化させる紫外域内のいずれかの波長を含む光を安定した照射エネルギーで発光可能となっており、発光部を下側に向けて配置されている。なお、LEDのピーク波長は、200〜420nmであることが望ましい。
このUVLED光源5は、記録ヘッドが一回の走査によってUVインクを吐出する記録媒体Mの所定範囲のうち、UVインクジェットプリンタ1で設定できる最大のものと略等しい形状か、その所定範囲よりも大きな形状を有しており、記録媒体Mの所定範囲全体を覆うように設けられている。
なお、UVLED光源5で照射される紫外線の波長は、LEDアレイを交換することで適時変更可能となっている。また、UVLED光源5で照射される紫外線の照射エネルギーは、例えば制御手段の制御により適時変更可能となっている。
なお、制御手段は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、インターフェイス等を備えて構成されており、UVインクジェットプリンタ1の各構成要素を制御する。
次に、UVインクジェットプリンタ1による記録媒体Mへの画像印刷について説明する。
先ず、画像印刷は、記録ヘッドから記録媒体Mに向けてUVインクを吐出することで進行する。このとき、上述の様に記録ヘッドはキャリッジ4の駆動により、記録媒体Mの所定範囲上を移動しながら、印刷する画像のデータに基づいた制御手段の制御によって記録媒体Mに対して吐出を行う。一方、記録媒体Mは、その所定範囲に対してのUVインクの吐出が完了する毎にレシーブ部32により巻き取られることで、図2におけるX方向に移動する。
さらに、記録媒体Mは、図2におけるX方向の移動に伴いUVLED光源5の下方で、記録媒体Mの所定範囲に対して紫外線が照射される。紫外線照射を受けた記録媒体M上のインクは、速やかに硬化して記録媒体M上に定着される。なお、UVLED光源5から照射される紫外線の波長及び照射エネルギーは、記録媒体Mの素材や画像印刷に用いるUVインクの種類に応じて適宜設定される。
以降、上述の操作を繰り返すことにより、記録媒体M上に画像を印刷する。
以上のように、この実施の形態のUVインクジェットプリンタ1によれば、UVLED光源5は、光源としてLEDアレイを備えているので、紫外線照射の際の発熱量が少なく、UVLED光源5のエネルギー効率が良くなる。よって、UVインクジェットプリンタ1の電源容量を小さくできるとともに、排熱のためにダクト等を設ける必要がなくなるため、安価で且つ小型のUVインクジェットプリンタ1を提供することができる。
また、UVLED光源5による紫外線照射の際の発熱量が少ないため、発熱のため変形し易い記録媒体Mであっても変形することがなくなる。従って、多くの種類の記録媒体Mに印刷することができる。
さらに、記録媒体Mが、加熱により収縮する熱収縮性のポリエチレンテレフタレートフィルムであっても、紫外線照射の際の発熱量が少ないために記録媒体Mが変形するほど温度上昇しない。
加えて、記録媒体Mは、長尺のフィルムであるとともに、画像印刷される前後ではロール状に巻かれた形態となっているので、記録媒体Mの占有体積を抑えることができる。よって、UVインクジェットプリンタ1を大型化することなく記録媒体Mを搭載することができる。
また、UVインクとしてカチオン重合性のUVインクを適用しているので、記録媒体M上に吐出されたUVインクの硬化に必要な照度を低減させることができる。これにより、高圧紫外線ランプに比べて低照度の光源であるLEDの配設個数の増加に起因するUVインクジェットプリンタ1の大型化を招くことなく、UVインクの硬化に必要な照射エネルギーを十分に付与することができる。
なお、この実施の形態では、UV照射手段としてUVLED光源5を用いるようにしたが、これに限られるものではなく、ピーク波長がUVインクを硬化させる紫外域内のいずれかの波長を含む光を照射可能な半導体レーザを用いても良い。すなわち、半導体レーザからの光線(例えば200〜420nmのピーク波長を含む光)をカルバノミラーやポリゴンミラーで走査して記録媒体M上のインクに照射するようにしても良い。このような構成とした場合に、光源となる半導体を記録媒体Mから離すことができ、UV照射手段の熱による影響を確実に防止できる。
また、この実施の形態では、記録媒体Mを熱収縮性のポリエチレンテレフタレートフィルムとしたが、これに限られるものではなく、画像印刷可能な記録媒体であれば如何なる組成のものであっても良い。例えば、樹脂基材であっても良い。
産業上の利用可能性
以上に記載したように、本発明は、多くの種類の記録媒体に印刷することができ、小型化が要求されるインクジェットプリンタとして特に適している。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明を適用した実施の形態のUVインクジェットプリンタを示す要部側面図、
第2図は、図1のUVインクジェットプリンタの要部平面図である。
Claims (4)
- 紫外線が照射されることで硬化するUVインクを記録媒体に吐出し、前記記録媒体に紫外線を照射することで印刷を行うインクジェットプリンタであって、
前記記録媒体上に吐出されたインクに紫外線を照射可能なUV照射手段を備え、
前記UV照射手段は、ピーク波長が前記UVインクを硬化させる紫外域内のいずれかの波長を含む光を発光可能な半導体レーザまたはLEDのいずれか一方を備えていることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求の範囲第1項記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録媒体は、樹脂基材、若しくは、加熱により収縮するシュリンクフィルムであることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求の範囲第1項または第2項記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録媒体は、長尺のフィルムであるとともに、印刷される前後ではロール状に巻かれた形態となっていることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求の範囲第1〜3項のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記UVインクは、カチオン重合性を有することを特徴とするインクジェットプリンタ。
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