JPWO2003049327A1 - 無線制御装置、移動通信方法、移動通信プログラム、及び移動通信システム - Google Patents
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Abstract
無線制御装置2は、伝送速度制御部23、記憶部22を有する。伝送速度制御部23は、携帯電話41に送信する制御信号の送信電力と、当該制御信号の送信電力に対して付加されるオフセット値とに基づいて、携帯電話41に送信するデータ信号の送信電力を算出する。伝送速度制御部23は、データ信号の送信電力と記憶部22に格納された上限値とを比較し、データ信号の送信電力が上限値よりも大きい場合にはデータ信号の伝送速度を低下させ、データ信号の送信電力が上限値以下の場合にはデータ信号の伝送速度を上昇させる制御を行う。
Description
技術分野
本発明は、無線制御装置、移動通信方法、移動通信プログラム、及び移動通信システムに関する。
背景技術
近年、無線通信技術の発達に伴い、高速で信頼性の高いデータ転送が可能な移動通信システムが利用されている。特に、W−CDMA(Wideband−Code Division Multiple Access)やCDMA−2000等の符号分割多重方式を利用した移動パケット通信システムにおいては、下り方向の伝送方式として、移動通信端末に送信する信号の特性に応じて通信チャネルを使い分ける技術が採用されている。
制御信号の伝送には、高速送信電力制御に適した下り方向の個別チャネル(各端末専用のチャネル)であるA−DPCH(Associated−Dedicated Physical CHannel)を用いる。これに対して、データ信号の伝送には、複数の移動通信端末間で無線リソースを高効率に使用可能な共通チャネルであるDSCH(Downlink Shared CHannel)を用いて時分割多重通信を行う。この様に、信号の属性に応じて、使用するチャネルを適宜切り替えることにより、双方のチャネルの長所を相互補完した効果的な信号伝送を行っている。
発明の開示
しかしながら、上記従来技術では、以下の様な問題点があった。すなわち、符号分割多重方式を利用した移動通信システムにおいては、全てのセルで同一周波数帯を利用してサービスを提供する。したがって、音声通話やISDN(Integrated Services Digital Network)等の回線交換サービスや、パケット交換サービス等の複数のサービスで通信されるデータが同一周波数帯に混在することがある。この様な通信形態に対応するため、送信電力の上限値は、基地局毎に設定されるだけでなく、サービス毎にも設定されている。
例えば、基地局が移動通信端末に割当て可能な送信電力の合計が100である場合を想定すると、音声通話をしているユーザが多いセルでは、回線交換サービスに使用する送信電力を60とし、パケット交換サービスに使用する送信電力を40とする形態が考えられる。反対に、データ伝送をしているユーザが多いセルでは、回線交換サービスに使用する送信電力を20とし、パケット交換サービスに使用する送信電力を80とする形態も考えられる。
この様に、移動通信端末が在圏するセルやサービスの利用状況に応じて、送信電力の上限値は経時的に変化し、使用可能な送信電力は制限される。一方、DSCHにおいては、標準規格上一定時間(例えば10ms)毎に伝送速度を変更可能であるにも拘らず、その手法が確立されていない為、データ伝送の開始時に固定の伝送速度(例えば384kbps)が設定されている。
このため、送信電力に適さない伝送速度でデータが送受信されることがあった。具体的には、送信電力に適した伝送速度に比べて伝送速度が高い場合には、DSCHに対して充分な送信電力を供給できずデータの通信品質が劣化する。反対に、送信電力に適した伝送速度に比べて伝送速度が低い場合には、より高い速度でデータ伝送が可能であるにも拘わらず、低い伝送速度でデータの通信を行うことになる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、送信電力に応じて伝送速度を制御することにより、通信品質の低下を抑制しつつ高速なデータ通信を実現する無線制御装置、移動通信方法、移動通信プログラム、及び移動通信システムを提供することを目的とする。
本発明に係る無線制御装置は、複数の移動通信端末毎に個別のチャネルを用いて制御信号を送信させ、複数の移動通信端末間で共通のチャネルを時分割で用いてデータ信号を送信させることにより、移動通信端末と基地局間における下り方向のパケット通信を制御する無線制御装置において、前記複数の移動通信端末の内、特定の移動通信端末に送信する制御信号の送信電力と、当該制御信号の送信電力に対して付加されるオフセット値とに基づいて、前記特定の移動通信端末に送信するデータ信号の送信電力を算出する算出手段と、前記データ信号の送信電力の上限値を格納する格納手段と、前記算出手段により算出されたデータ信号の送信電力と、前記格納手段に格納された前記上限値とを比較する比較手段と、前記比較手段による比較の結果、前記データ信号の送信電力が前記上限値よりも大きい場合には前記データ信号の伝送速度を低下させ、前記データ信号の送信電力が前記上限値よりも小さい場合には前記データ信号の伝送速度を上昇させる制御を行う制御手段とを備えることを特徴とする。
本発明に係る移動通信方法は、複数の移動通信端末毎に個別のチャネルを用いて制御信号を送信させ、複数の移動通信端末間で共通のチャネルを時分割で用いてデータ信号を送信させることにより、移動通信端末と基地局間における下り方向のパケット通信を無線制御装置が行う移動通信方法において、前記複数の移動通信端末の内、特定の移動通信端末に送信する制御信号の送信電力と、当該制御信号の送信電力に対して付加されるオフセット値とに基づいて、前記特定の移動通信端末に送信するデータ信号の送信電力を前記無線制御装置が算出する算出ステップと、前記データ信号の送信電力の上限値を前記無線制御装置が格納手段に格納する格納ステップと、前記算出ステップにて算出されたデータ信号の送信電力と、前記格納手段に格納された前記上限値とを前記無線制御装置が比較する比較ステップと、前記比較ステップにおける比較の結果、前記データ信号の送信電力が前記上限値よりも大きい場合には前記データ信号の伝送速度を低下させ、前記データ信号の送信電力が前記上限値よりも小さい場合には、前記データ信号の伝送速度を前記無線制御装置が上昇させる制御を行う制御ステップとを含むことを特徴とする。
本発明に係る移動通信プログラムは、複数の移動通信端末毎に個別のチャネルを用いて制御信号を送信させ、複数の移動通信端末間で共通のチャネルを時分割で用いてデータ信号を送信させることにより、移動通信端末と基地局間における下り方向のパケット通信を制御するための移動通信プログラムにおいて、コンピュータに、前記複数の移動通信端末の内、特定の移動通信端末に送信する制御信号の送信電力と、当該制御信号の送信電力に対して付加されるオフセット値とに基づいて、前記特定の移動通信端末に送信するデータ信号の送信電力を算出する算出処理と、前記データ信号の送信電力の上限値を格納手段に格納する格納処理と、前記算出処理により算出されたデータ信号の送信電力と、前記格納手段に格納された前記上限値とを比較する比較処理と、前記比較処理による比較の結果、前記データ信号の送信電力が前記上限値よりも大きい場合には前記データ信号の伝送速度を低下させ、前記データ信号の送信電力が前記上限値よりも小さい場合には前記データ信号の伝送速度を上昇させる制御を行う制御処理とを実行させることを特徴とする。
これらの発明によれば、複数の移動通信端末毎に個別のチャネルを用いて送信される制御信号の送信電力に応じて、複数の移動通信端末間で共通のチャネルを用いて時分割送信されるデータ信号の伝送速度を動的に制御する。すなわち、データ信号の送信電力が上限値よりも大きい場合にはデータ信号の伝送速度を低下させる制御を行う。この制御により、伝送速度に適した充分な送信電力をDSCHに供給することができ、データの通信品質が向上する。これにより、伝送誤りによる再送率と他の無線回線に与える干渉とを低減し、結果として単位時間当たりの送信容量(スループット)を向上することが可能となる。一方、データ信号の送信電力が上限値以下の場合にはデータ信号の伝送速度を上昇させる制御を行う。この制御により、データ伝送の高速化を図ることができる。その結果、通信品質の低下を抑制しつつ高速なデータ通信を実現できる。
無線制御装置の算出手段は、前記制御信号の送信電力の所定時間における平均値と、前記オフセット値の所定時間における平均値とに基づいて、前記データ信号の送信電力を算出することが好ましい。
移動通信方法における算出ステップにて、前記制御信号の送信電力の所定時間における平均値と、前記オフセット値の所定時間における平均値とに基づいて、前記データ信号の送信電力を算出することが好ましい。
移動通信プログラムによって実行される算出処理では、前記制御信号の送信電力の所定時間における平均値と、前記オフセット値の所定時間における平均値とに基づいて、前記データ信号の送信電力を算出することが好ましい。
これらの発明によれば、データ信号の送信電力は、制御信号の送信電力の平均値とオフセット値との平均値に基づいて算出される。これにより、突発的な通信環境の変化に伴う送信電力及び/又はオフセット値の変動の影響を極力排除した高精度な送信電力に基づいて、データ信号の伝送速度を制御できる。
また、無線制御装置は、前記比較手段による比較の結果、前記データ信号の送信電力が前記上限値よりも大きい場合には、前記データ信号の伝送速度を下げた場合のデータ信号の送信電力を算出する低速送信電力算出手段を更に備え、前記制御手段は、前記低速送信電力算出手段により算出されたデータ信号の送信電力が前記上限値以下になるまで、前記データ信号の伝送速度を低下させる制御を行うことが好ましい。
また、移動通信方法では、前記比較ステップにおける比較の結果、前記データ信号の送信電力が前記上限値よりも大きい場合には、前記データ信号の伝送速度を下げた場合のデータ信号の送信電力を前記無線制御装置が算出する低速送信電力算出ステップを更に含み、前記制御ステップにて、前記低速送信電力算出ステップにて算出されたデータ信号の送信電力が前記上限値以下になるまで前記データ信号の伝送速度を低下させる制御を行うことが好ましい。
また、移動通信プログラムは、前記比較処理における比較の結果、前記データ信号の送信電力が前記上限値よりも大きい場合には、前記データ信号の伝送速度を下げた場合のデータ信号の送信電力を算出する低速送信電力算出処理を更に実行させ、前記制御処理では、前記低速送信電力算出処理により算出されたデータ信号の送信電力が前記上限値以下になるまで、前記データ信号の伝送速度を低下する処理を実行させることが好ましい。
これらの発明によれば、データ信号の伝送速度は、データ信号の送信電力が上限値以下になるように制御される。そして、データ信号の送信電力が上限値以下になった時点で、データ信号の伝送速度を低下させる制御を停止する。したがって、通信品質を維持するためにデータ信号の伝送速度を下げた場合に、伝送速度が必要以上に低下することがない。その結果、通信品質を維持しつつ、伝送速度の低下を抑制したデータ伝送が可能となる。
更に、無線制御装置は、前記比較手段による比較の結果、前記データ信号の送信電力が前記上限値よりも小さい場合には、前記データ信号の伝送速度を上げた場合のデータ信号の送信電力を算出する高速送信電力算出手段を更に備え、前記制御手段は、前記高速送信電力算出手段により算出されたデータ信号の送信電力が前記上限値を超えない範囲内で最大値となるまで、前記データ信号の伝送速度を上昇させる制御を行うことが好ましい。
更に、移動通信方法では、前記比較ステップにおける比較の結果、前記データ信号の送信電力が前記上限値よりも小さい場合には、前記データ信号の伝送速度を上げた場合のデータ信号の送信電力を前記無線制御装置が算出する高速送信電力算出ステップを更に含み、前記制御ステップにて、前記高速送信電力算出ステップにて算出されたデータ信号の送信電力が前記上限値を超えない範囲内で最大値となるまで、前記データ信号の伝送速度を上昇させる制御を行うことが好ましい。
また、移動通信プログラムは、前記比較処理における比較の結果、前記データ信号の送信電力が前記上限値よりも小さい場合には、前記データ信号の伝送速度を上げた場合のデータ信号の送信電力を算出する高速送信電力算出処理を更に実行させ、前記制御処理では、前記高速送信電力算出処理により算出されたデータ信号の送信電力が前記上限値を超えない範囲内で最大値となるまで、前記データ信号の伝送速度を上昇する処理を実行させることが好ましい。
これらの発明によれば、データ信号の伝送速度は、データ信号の送信電力の許容範囲内で最大値となるように制御される。したがって、通信品質を維持可能な範囲内で最も高い伝送速度によりデータ送信を行うことができる。その結果、スループットの向上が一層容易になる。
また、上述した移動通信プログラムを記録した、コンピュータが読み取り可能な記録媒体を単体若しくは添付の製品として販売、配布すれば、本発明に係る移動通信技術を広範かつ安価に実施できる。更には、上述した無線制御装置と、当該無線制御装置の制御手段により制御された、データ信号の伝送速度で移動通信端末にデータ信号を送信する基地局とを備えて構成される移動通信システムとして運用してもよい。
発明を実施するための最良の形態
以下、添付図面を参照して本発明の一実施形態を詳細に説明する。
まず、構成を説明する。図1は、本実施形態における移動通信システム100の全体構成例を示す模式図である。図1に示す様に、移動通信システム100は、公衆基地局の中継点として機能する交換機1と、公衆基地局と携帯電話間におけるパケット通信を統括的に制御する無線制御装置2と、所定の通信エリア内にある携帯電話と無線交信を直接に行う公衆基地局31,32,33…と、ユーザが携帯して使用する携帯電話41,42,43(移動通信端末に対応)…が階梯を為し、双方向に通信可能に接続されて構成されている。
説明の前提として、移動通信システム100は、公衆基地局から携帯電話に向かう下り方向の無線回線(以下、「下り回線」と記す。)において、相互に特性の異なる複数の信号を送信することを想定し、2種類のチャネルを使用する。すなわち、所要の送信電力が比較的小さい制御信号を送信する際には、携帯電話毎に個別に割り当てられる下り方向のチャネル(以下、「A−DPCH」と記す。)を使用する。これに対して、所要の送信電力が大きく高速性が要求されるデータ信号を送信する際には、複数の携帯電話間に共通のチャネル(以下、「DSCH」と記す。)を時分割で使用する。
以下、図2を参照して無線制御装置2の内部構成について詳説する。図2は、無線制御装置2の機能的構成を示すブロック図である。図2に示す様に、無線制御装置2は、呼受付制御部21、記憶部22(格納手段に対応)、伝送速度制御部23(算出手段、比較手段、制御手段、低速送信電力算出手段、及び高速送信電力算出手段に対応)、キュー処理部24、A−DPCH送信電力監視部25により構成され、各部はバスにより接続されている。図中の矢印は、信号の送信方向を示す。破線は信号が制御信号であることを示し、実線はデータ信号であることを示す。以下、各構成要素について詳細に説明する。
呼受付制御部21は、携帯電話41,42,43…の内、何れかの携帯電話からの発呼要求及び切断要求を監視して受付の可否を判定する。受付を許可した場合には、受付を許可した携帯電話用のユーザデータバッファを確保すると共に、交換機1との間に有線回線を設定する。同時に、呼受付制御部21は、後述する記憶部22の送信電力格納部221内部に、受付を許可した携帯電話用のデータ格納領域を形成し初期化する。
記憶部22は、送信電力格納部221、許容最大送信電力格納部222、及び初期オフセット値格納部223を備えて構成される。以下、図3A〜図3Cを参照して、記憶部22内部のデータ格納例について詳細に説明する。
図3Aに示す様に、送信電力格納部221は、端末ID格納領域221aと、伝送速度格納領域221bと、送信電力格納領域221cと、オフセット値格納領域221hとを内部に有する。端末ID格納領域221aは、携帯電話を識別する為に一意的に割り当てられた数字データ(例えば、“1”、“2”、…、“N”)を「端末ID」として格納する。伝送速度格納領域221bは、DSCHを利用した時刻tにおけるデータの伝送速度(単位はkbps)を示す数値データ(例えば、“256”、“128”、…、“64”)を「伝送速度」として逐次最新の値に更新可能に格納する。
送信電力格納領域221cは、経時的に変化するA−DPCHの送信電力(単位はdBm)を履歴的に格納するデータ格納領域である。この様な格納形態を可能とする為に、送信電力格納領域221cは、時刻(t−k)データ格納領域221d、時刻(t−k+1)データ格納領域221e、…、時刻tデータ格納領域221f、平均値格納領域221gを内部に有する。
具体的には、時刻(t−k)データ格納領域221dは、現在の時刻tよりk時間前の時刻に取得されたA−DPCHの送信電力(例えば、“23”,“25”…“24”)が記録される領域である。kは、例えば200〜300msである。同様に、時刻(t−k+1)データ格納領域221eは、現在の時刻tよりk−1時間前の時刻に取得されたA−DPCHの送信電力(例えば、“26”,“23”…“23”)が記録される領域である。また、時刻tデータ格納領域221fは、時刻t(現在)に取得されたA−DPCHの送信電力(例えば、“23”,“27”…“25”)が記録される領域である。
平均値格納領域221gは、時刻(t−k)から時刻tまでの時間kにおけるA−DPCHの送信電力の平均値(例えば、“24”,“25”…“23”)が記録される領域である。なお、実際には、平均値格納領域221gは、各端末IDに対応するA−DPCHの送信電力の内、時刻(t−k)〜時刻tに該当する全データの平均値を格納するが、簡単の為、3つのデータの平均値を格納するものとする。
また、オフセット値格納領域221hは、経時的に変化するオフセット値(単位はdB)を履歴的に格納するデータ格納領域である。ここで、オフセット値とは、DSCHの送信電力を決定する為にA−DPCHの送信電力に対して付加(加算、乗算等)される数値である。オフセット値は、移動通信端末の受信誤り率等に基づいて経時的に変化する。一般的に、オフセット値は、DSCHの伝送速度が高い程大きく、DSCHの伝送速度が低い程小さい。また、オフセット値は、無線回線状態が良い程小さく、無線回線状態が悪い程大きい。
上述の様な格納形態を可能とする為に、オフセット値格納領域221hは、時刻(t−k)データ格納領域221i、時刻(t−k+1)データ格納領域221j、…、時刻tデータ格納領域221k、平均値格納領域221lを内部に有する。
具体的には、時刻(t−k)データ格納領域221iは、現在の時刻tよりk時間前の時刻に取得されたオフセット値(例えば、“11.0”,“9.7”…“4.5”)が記録される領域である。同様に、時刻(t−k+1)データ格納領域221jは、現在の時刻tよりk−1時間前の時刻に取得されたオフセット値(例えば、“13.3”,“11.5”…“4.3”)が記録される領域である。また、時刻tデータ格納領域221kは、時刻t(現在)に取得されたオフセット値(例えば、“13.2”,“9.4”…“7.1”)が記録される領域である。
平均値格納領域221lは、時刻(t−k)から時刻tまでの時間kにおけるオフセット値の平均値(例えば、“12.5”,“10.2”…“5.3”)が記録される領域である。なお、実際には、平均値格納領域221lは、各端末IDに対応するオフセット値の内、時刻(t−k)〜時刻tに該当する全データの平均値を格納するが、簡単の為、3つのデータの平均値を格納するものとする。
図3Bに示す様に、許容最大送信電力格納部222は、DSCHの送信電力(単位はdBm)の上限値を示す数値データ(例えば、“36.0”)を「許容最大送信電力」として格納する。この許容最大送信電力は、公衆基地局31,32,33…で共通の値を使用してもよいし、通信環境等に応じて公衆基地局毎に個別に設定されるものとしてもよい。
初期オフセット値格納部223は、オフセット値の初期値をDSCHの伝送速度と対応付けて格納する。図3Cに示す様に、初期オフセット値格納部223は、伝送速度格納領域223aと、初期オフセット値格納領域223bとを内部に有する。伝送速度格納領域223aは、DSCHを利用したデータの伝送速度(単位はkbps)を段階的に示す数値データ(例えば、“384”、“256”、“128”、“64”)を「伝送速度」として格納する。オフセット値格納領域223bは、通信開始時及び伝送速度の変更時にA−DPCHの送信電力に対して付加されるオフセット値(単位はdB)を示す数値データ(例えば、“16.0”、“13.0”、“10.0”、“7.0”)を「初期オフセット値」として格納する。
図2に戻り、伝送速度制御部23は、A−DPCHの送信電力とオフセット値とに基づいてDSCHの送信電力を算出し、算出したDSCHの送信電力に応じてDSCHの伝送速度を決定する。そして、後述するキュー処理部24を経由して、決定した伝送速度によるデータ信号の送信を公衆基地局31,32,33に指示する。また、伝送速度制御部23は、送信電力格納部221に格納されているデータに基づいて、A−DPCHの送信電力の平均値とオフセット値の平均値とを算出する。
キュー処理部24は、伝送速度格納領域221bからDSCHの伝送速度を取得し、取得した伝送速度に応じたデータ容量(例えばパケット数)の送信データをユーザデータバッファから抽出する。キュー処理部24は、後述する公衆基地局31のDSCH送信部312に送信データを転送して、携帯電話41へのデータ送信を指示する。また、キュー処理部24は、A−DPCHの送信電力に対して付加されるオフセット値を公衆基地局31に通知する。
A−DPCH送信電力監視部25は、後述する公衆基地局31と携帯電話41,42,43…間におけるA−DPCHの送信電力を定期的に監視する。そして、送信電力格納部221内部に形成された、各携帯電話の端末IDに対応する送信電力格納領域221cに監視結果を記録する。A−DPCHの送信電力を表す数値データは、監視と同時に逐次更新されるので、送信電力格納領域221cには、携帯電話毎に最新の送信電力が常に記録されることになる。
公衆基地局31は、A−DPCHを通信チャネルとして信号送信を行うA−DPCH送信部311と、DSCHを時分割に用いて信号送信を行うDSCH送信部312と、上り方向のチャネルであるDPCHを通信チャネルとして信号受信を行うDPCH受信部313とを少なくとも備えて構成される。
A−DPCH送信部311は、A−DPCHを用いてデータ信号を送信する旨を予め携帯電話41に通知する制御信号を送信する。制御信号の送信は、データ転送に先立って行われるので、携帯電話41はデータ信号の受信前にその旨を認識できる。これにより、公衆基地局31は、データの送信先となる携帯電話を任意に変更可能となる。なお、制御信号の伝送速度は、通信事業者又は標準規格化団体により規定された固定的な速度を使用する。
DSCH送信部312は、A−DPCH送信部311が制御信号を送信した場合にのみ、携帯電話との間にDSCHを確立し、当該DSCHを使用してデータ信号の送信を行う。データ信号の伝送速度は、標準化規格上所定時間(例えば10ms)毎に変更可能であり、可変的に決定される。後に詳述するが、DSCH送信部312は、キュー処理部24によって指定されたオフセット値をA−DPCHの送信電力に付加してDSCHの送信電力を決定する。
DPCH受信部313は、DPCHの送信電力の制御コマンドを携帯電話41から受信する。この制御コマンドにより、公衆基地局31と携帯電話41間におけるA−DPCHの送信電力は、最適に制御される。
携帯電話41は、周知の携帯電話であるので詳細な説明は省略するが、A−DPCH受信部411と、DSCH受信部412と、DPCH送信部413とを少なくとも備える。A−DPCH受信部411は、公衆基地局31のA−DPCH送信部311から制御信号を受信する。DSCH受信部412は、データ信号が送信される旨の通知を制御信号により予め受けた場合に、公衆基地局31のDSCH送信部312からデータ信号の受信を開始する。DPCH送信部413は、A−DPCHの送信電力を最適に制御する為の制御コマンドを、A−DPCHを通信チャネルとして公衆基地局31に送信する。
以上、本発明に係る移動通信システム100を構成する各端末装置の構成について説明したが、図1に示した公衆基地局32,33…、及び携帯電話42,43…の要部構成は、それぞれ詳述した公衆基地局31及び携帯電話41の構成と同一であるので、その構成の図示及び詳細な説明は省略する。すなわち、公衆基地局32,33は、A−DPCH送信部321,331と、DSCH送信部322,332と、DPCH受信部323,333とをそれぞれ備える。また、携帯電話42,43は、A−DPCH受信部421,431と、DSCH受信部422,432と、DPCH送信部423,433とをそれぞれ備える。
次に、図4〜図6を参照して本実施形態における動作を説明する。以下、特に公衆基地局31の通信エリア内に圏在する携帯電話41(端末IDは1)から発呼要求が有った場合に着目して、公衆基地局31と携帯電話41間における伝送速度制御処理を例示的に説明するが、本発明はこれらの装置間における伝送速度制御技術に限定されるものではない。
図4は、無線制御装置2によって実行されるDSCH伝送速度制御処理を説明する為のフローチャートである。まずS1では、伝送速度制御部23は、端末ID“1”に対応するA−DPCHの送信電力の平均値Aを平均値格納領域221gから取得する。伝送速度制御部23は、端末ID“1”に対応するオフセット値の平均値Oを平均値格納領域221lから取得する。伝送速度制御部23は、取得したA−DPCHの送信電力の平均値Aとオフセット値の平均値OとからDSCHの送信電力Pを算出する。例えば、携帯電話41と公衆基地局31間における伝送速度制御処理の場合、A−DPCHの送信電力の平均値Aは24dBmであり、オフセット値の平均値Oは12.5dBであるので、DSCHの送信電力はそれらの和である36.5dBmと算出される。
本実施形態では、A−DPCHの送信電力の平均値Aとオフセット値の平均値Oを、共に対数により表記したので、DSCHの送信電力を加算処理により算出可能である。A−DPCHの送信電力の平均値Aとオフセット値の平均値Oが実数の場合等には、乗算処理によりDSCHの送信電力を算出してもよい。
この様に、A−DPCHの送信電力にオフセット値を付加して、DSCHの送信電力を算出するのは以下の理由による。すなわち、A−DPCHの送信電力は、前述した様に、携帯電話41から公衆基地局31に送信される制御コマンドに基づいて常に最適に制御されている。一方、携帯電話41が公衆基地局31から信号を受信する際には、A−DPCHとDSCHとは、別の拡散符号を用いて同時刻に使用されるので、符号分割多重化方式を利用した通信においては、A−DPCHとDSCHの無線回線状態は、同一とみなすことができる。そこで、A−DPCHの送信電力に対して所与の数値(オフセット値)を付加することにより、DSCHの送信電力がA−DPCHの送信電力と連動して決定されるようにしたものである。
S2では、伝送速度制御部23は、許容最大送信電力格納部222から許容最大送信電力Tを取得する。次に、伝送速度制御部23は、S1で算出したDSCHの送信電力PとS2で取得した許容最大送信電力Tとを比較する(S3)。
当該比較処理の結果、DSCHの送信電力Pが許容最大送信電力Tよりも大きい場合(すなわち、P>Tの場合)には、伝送速度制御部23は、現在のDSCHの送信電力が過大であるものと判断し、DSCHの伝送速度を下げる処理(S4)を開始する。反対に、S3において、DSCHの送信電力Pが許容最大送信電力T以下の場合(すなわち、P≦Tの場合)には、伝送速度制御部23は、現在のDSCHの送信電力が上限値以下であり、DSCHの伝送速度を上昇できる可能性があるものと判断し、DSCH伝送速度上昇処理(S5)を開始する。S4又はS5の処理の終了に伴い、一連のDSCH伝送速度制御処理を終了する。
以下、図5を参照して、S4に示したDSCH伝送速度低下処理について詳細に説明する。まずS41では、伝送速度制御部23は、現在(時刻t)におけるDSCHの伝送速度Rを伝送速度格納領域221bから取得する。
次に、伝送速度制御部23は、S41で取得したDSCHの伝送速度Rを一段階下げた場合の初期オフセット値Oiを、初期オフセット値格納領域223bから取得する(S42)。例えば、携帯電話41と公衆基地局31間における伝送速度制御処理の場合、時刻tにおけるDSCHの伝送速度は256kbpsである。したがって、伝送速度制御部23は、256kbpsより一段階低い伝送速度の128kbpsに対応する初期オフセット値である10dBを取得する。
次のS43では、伝送速度制御部23は、携帯電話41の端末ID“1”に対応するA−DPCHの送信電力の平均値Aを平均値格納領域221gから取得する。伝送速度制御部23は、取得したA−DPCHの送信電力の平均値AとS42で取得した初期オフセット値OiとからDSCHの送信電力P’を算出する。例えば、携帯電話41と公衆基地局31間における伝送速度制御処理の場合、A−DPCHの送信電力の平均値Aが24dBmであり、S42で取得した初期オフセット値は10dBであるので、DSCHの送信電力は34dBmと算出される。
S44では、伝送速度制御部23は、S43で算出したDSCHの送信電力P’と図4のS2で取得した許容最大送信電力Tとを比較する。当該比較処理の結果、DSCHの送信電力P’が許容最大送信電力Tよりも大きい場合(すなわち、P’>Tの場合)には、伝送速度制御部23は、DSCHの送信電力が依然として過大な値になるものと判断し、DSCHの伝送速度を更に一段階下に設定する(S45)。
S45の終了後、伝送速度制御部23は、DSCHの伝送速度を更に低下させる必要があるか否かを確認する為に、再びS41に戻りS41以降の処理を実行する。S41では、S45で設定されたDSCHの伝送速度が、現在のDSCHの伝送速度Rとして取得される。S41〜S45の一連の処理は、S44における比較結果がP’≦Tを満たすまで繰り返し実行される。
一方、S44において、DSCHの送信電力P’が許容最大送信電力T以下の場合(すなわち、P’≦Tの場合)には、伝送速度制御部23は、DSCHの送信電力が許容範囲内にあるものと判断し、現在設定されているDSCHの伝送速度までDSCHの伝送速度を低下させる(S46)。
低下後のDSCHの伝送速度は、端末ID“1”に対応する伝送速度格納領域221bに更新記憶される。また、低下後のDSCHの伝送速度に対応する初期オフセット値は、現在のオフセット値として、時刻tデータ格納領域221kに更新記憶される。S46の終了後、一連のDSCH伝送速度制御処理を終了する。
続いて、図6を参照して、S5に示したDSCH伝送速度上昇処理について詳細に説明する。まずS51では、伝送速度制御部23は、現在(時刻t)におけるDSCHの伝送速度Rを伝送速度格納領域221bから取得する。
次に、伝送速度制御部23は、S51で取得したDSCHの伝送速度Rを一段階上げた場合の初期オフセット値Oiを、初期オフセット値格納領域223bから取得する(S52)。例えば、携帯電話41と公衆基地局31間における伝送速度制御処理の場合、時刻tのDSCHの伝送速度は256kbpsである。したがって、伝送速度制御部23は、256kbpsより一段階高い伝送速度の384kbpsに対応する初期オフセット値である16dBを取得する。
次のS53では、伝送速度制御部23は、携帯電話41の端末ID“1”に対応するA−DPCHの送信電力の平均値Aを平均値格納領域221gから取得する。伝送速度制御部23は、取得したA−DPCHの送信電力の平均値AとS52で取得した初期オフセット値OiとからDSCHの送信電力P”を算出する。例えば、携帯電話41と公衆基地局31間における伝送速度制御処理の場合、A−DPCHの送信電力の平均値Aは24dBmであり、S52で取得した初期オフセット値は16dBであるので、DSCHの送信電力は40dBmと算出される。
S54では、伝送速度制御部23は、S53で算出したDSCHの送信電力P”と図4のS2で取得した許容最大送信電力Tとを比較する。当該比較処理の結果、DSCHの送信電力P”が許容最大送信電力T以下の場合(すなわち、P”≦Tの場合)には、伝送速度制御部23は、DSCHの伝送速度を一段階上げてもDSCHの送信電力が許容範囲内に収まるものと判断し、DSCHの伝送速度を一段階上に設定する(S55)。
S55の終了後、伝送速度制御部23は、DSCHの伝送速度を更に上昇できるか否かを確認する為に、再びS51に戻りS51以降の処理を実行する。S51では、S55で変更されたDSCHの伝送速度が、現在のDSCHの伝送速度Rとして取得される。S51〜S55の一連の処理は、S54における比較結果がP”>Tを満たすまで繰り返し実行される。
一方、S54において、DSCHの送信電力P”が許容最大送信電力Tよりも大きい場合(すなわち、P”>Tの場合)には、伝送速度制御部23は、DSCHの送信電力が許容範囲を超えるものと判断しS56の処理に移行する。S56では、伝送速度制御部23は、現在設定されているDSCHの伝送速度の一段階下の伝送速度までDSCHの伝送速度を上昇させる(S56)。
DSCHの伝送速度を上昇させる段階を現在の設定よりも一段階下とするのは、以下の理由による。すなわち、S56の処理を実行する時点で設定されているDSCHの伝送速度は、DSCHの伝送速度を上昇させていった結果、許容最大送信電力Tを超えた直後の値である。したがって、許容最大送信電力Tを超える直前の値が、許容最大送信電力T以下であり、かつ、許容範囲内で最大の伝送速度となる。
上昇後のDSCHの伝送速度は、端末ID“1”に対応する伝送速度格納領域221bに更新記憶される。また、上昇後のDSCHの伝送速度に対応する初期オフセット値は、現在のオフセット値として、時刻tデータ格納領域221kに更新記憶される。S56の終了後、一連のDSCH伝送速度制御処理を終了する。
以上説明した様に、本実施形態における移動通信システム100によれば、無線制御装置2は、伝送速度制御部23、記憶部22を有する。伝送速度制御部23は、携帯電話41に送信する制御信号の送信電力と、当該制御信号の送信電力に対して付加されるオフセット値とに基づいて、携帯電話41に送信するデータ信号の送信電力を算出する。伝送速度制御部23は、データ信号の送信電力と記憶部22に格納された上限値とを比較し、データ信号の送信電力が上限値よりも大きい場合にはデータ信号の伝送速度を低下させる制御を行う。この制御により、無線制御装置2は、伝送速度に適した充分な送信電力をDSCHに供給することができ、データの通信品質が向上する。これにより、伝送誤りによる再送率と他の無線回線に与える干渉とを低減し、結果として単位時間当たりの送信データ容量を向上することが可能となる。一方、無線制御装置2は、データ信号の送信電力が上限値以下の場合にはデータ信号の伝送速度を上昇させる制御を行う。この制御により、無線制御装置2は、データ伝送の高速化を図ることができる。その結果、通信品質の低下を抑制しつつ高速なデータ通信を実現できる。
好ましくは、伝送速度制御部23は、制御信号の送信電力の所定時間における平均値と、オフセット値の所定時間における平均値とに基づいて、データ信号の送信電力を算出する。これにより、無線制御装置2は、突発的な通信環境の変化に伴う送信電力又はオフセット値の変動の影響を極力排除した高精度な送信電力に基づいて、データ信号の伝送速度を制御できる。
より好ましくは、伝送速度制御部23は、データ信号の送信電力が上限値よりも大きい場合には、データ信号の伝送速度を下げた場合のデータ信号の送信電力を算出する。伝送速度制御部23は、算出されたデータ信号の送信電力が上限値以下になるまで、データ信号の伝送速度を低下させる制御を行う。そして、データ信号の送信電力が上限値以下となった時点で、データ信号の伝送速度を低下させる制御を停止する。したがって、通信品質を維持するためにデータ信号の伝送速度を下げた場合に、伝送速度が必要以上に低下することがない。その結果、通信品質を維持しつつ、伝送速度の低下を抑制したデータ伝送が可能となる。
より好ましくは、伝送速度制御部23は、データ信号の送信電力が上限値以下の場合には、データ信号の伝送速度を上げた場合のデータ信号の送信電力を算出する。伝送速度制御部23は、算出されたデータ信号の送信電力が上限値を超えない範囲内で最大値となるまで、データ信号の伝送速度を上昇させる制御を行う。したがって、通信品質を維持可能な範囲内で最も高い伝送速度によりデータ送信を行うことができる。その結果、スループットの向上が一層容易になる。
なお、本実施形態に記載の態様は、本発明に係る移動通信システムの好適な一例であり、これに限定されるものではない。例えば、本実施形態では、算出結果の信頼性の観点から、A−DPCHの送信電力の平均値とオフセット値の平均値によりDSCHの送信電力を算出した。しかし、A−DPCHの送信電力とオフセット値の内、少なくとも一方が瞬時値であってもよい。これにより、伝送速度制御部23が平均値を算出する処理を省略でき、処理負担が軽減する。また、過去に取得した送信電力とオフセット値を格納しておくデータ領域を節約できる。
本実施形態では、移動通信端末を携帯電話として説明したが、例えば、PDA(Personal Digital Assistance)等の様に無線通信機能を備えた情報機器であればよい。
更に、上記実施形態では、無線制御装置2が伝送速度制御部23によりデータ信号の伝送速度を制御する例について説明したが、公衆基地局31がデータ信号の伝送速度を制御するものとしてもよい。この場合、公衆基地局31は、上述した記憶部の機能、伝送速度制御部の機能、キュー処理部の一部の機能(制御信号の入出力機能)、A−DPCH送信電力監視部の機能を更に有する。
この様な構成とすれば、移動通信システム100は、A−DPCHの送信電力取得からDSCHの伝送速度制御、及びデータ送信までの一連の処理を公衆基地局31内部で実行することができるので、無線制御装置2と公衆基地局31間で制御信号の送受信を行う必要が無い。したがって、無線制御装置2と公衆基地局31間の回線距離に因らず、伝送速度制御の応答性を維持向上できる。
最後に、本発明の実施形態に係る移動通信プログラム、及び当該移動通信プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体(以下、単に「記録媒体」と記す。)について説明する。ここで、記録媒体とは、汎用コンピュータ等のハードウェア資源に備えられている読取装置に対して、プログラムの記述内容に応じて、磁気、光、電気等のエネルギーの変化状態を引き起こし、それに対応する信号の形式で、読取装置にプログラムの記述内容を伝達できるものである。かかる記録媒体としては、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の様にコンピュータに着脱可能に装着されるものの他、コンピュータに固定的に内蔵されるHD(Hard Disk)や一体に固着されたファームウェア等の不揮発性半導体メモリなどが該当する。
図7は、本発明の実施形態に係る記録媒体の構成図である。記録媒体50は、図7に示す様に、プログラムを記録するプログラム格納領域50aを備えている。このプログラム格納領域50aには、移動通信プログラム51が記録されている。移動通信プログラム51は、携帯電話と公衆基地局間における下り方向のパケット通信を制御するためのプログラムであって、処理を統括するメインモジュール51aと、複数の移動通信端末の内、特定の移動通信端末に送信する制御信号の送信電力と、当該制御信号の送信電力に対して付加されるオフセット値とに基づいて、前記特定の移動通信端末に送信するデータ信号の送信電力を算出する送信電力算出モジュール51bと、データ信号の送信電力の上限値を格納手段に格納する上限値格納モジュール51cと、算出されたデータ信号の送信電力と前記格納手段に格納された上限値とを比較する送信電力比較モジュール51dと、当該比較の結果、前記データ信号の送信電力が前記上限値よりも大きい場合には前記データ信号の伝送速度を低下させ、前記データ信号の送信電力が前記上限値以下の場合には前記データ信号の伝送速度を上昇させる制御を行う伝送速度制御モジュール51eと、を備えて構成される。
好ましくは、移動通信プログラム51は、前記比較の結果、前記データ信号の送信電力が前記上限値よりも大きい場合には、前記データ信号の伝送速度を下げた場合のデータ信号の送信電力を算出する低速送信電力算出モジュール51fと、前記比較の結果、前記データ信号の送信電力が前記上限値以下の場合には、前記データ信号の伝送速度を上げた場合のデータ信号の送信電力を算出する高速送信電力算出モジュール51gとを備えて構成される。
ここで、上限値格納モジュール51cは、無線制御装置2の記憶部22に格納されているデータと同様のデータをHDやメモリ等の格納手段に格納する処理を行うモジュールである。また、送信電力算出モジュール51bと、送信電力比較モジュール51dと、伝送速度制御モジュール51eと、低速送信電力算出モジュール51fと、高速送信電力算出モジュール51gのそれぞれを動作させることによって実現する機能は、無線制御装置2の有する伝送速度制御部23の機能と同様である。
移動通信プログラム51は、その一部若しくは全部を他の機器から通信回線等の伝送媒体を介して、コンピュータの通信ユニットにより受信し、記録する構成にしてもよい。反対に、伝送媒体を介して移動通信プログラム51を伝送し、他の機器にインストールする構成としてもよい。
産業上の利用可能性
本発明によれば、複数の移動通信端末毎に個別のチャネルを用いて送信される制御信号の送信電力に応じて、複数の移動通信端末間で共通のチャネルを用いて時分割送信されるデータ信号の伝送速度を動的に制御する。すなわち、データ信号の送信電力が上限値よりも大きい場合にはデータ信号の伝送速度を低下させる制御を行う。この制御により、伝送速度に適した充分な送信電力をDSCHに供給することができ、データの通信品質が向上する。一方、データ信号の送信電力が上限値以下の場合にはデータ信号の伝送速度を上昇させる制御を行う。この制御により、データ伝送の高速化を図ることができる。その結果、通信品質の低下を抑制しつつ高速なデータ通信を実現できる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明に係る移動通信システムの全体構成の一例を示す概念図である。
図2は、移動通信システムの機能的構成を説明する為の模式図である。
図3Aは、送信電力格納部内部のデータ格納例を示す図である。図3Bは、許容最大送信電力格納部内部のデータ格納例を示す図である。図3Cは、初期オフセット値格納部内部のデータ格納例を示す図である。
図4は、DSCH伝送速度制御処理を説明する為のフローチャートである。
図5は、DSCH伝送速度低下処理を説明する為のフローチャートである。
図6は、DSCH伝送速度上昇処理を説明する為のフローチャートである。
図7は、本発明に係るプログラムが格納された記録媒体の構成図である。
本発明は、無線制御装置、移動通信方法、移動通信プログラム、及び移動通信システムに関する。
背景技術
近年、無線通信技術の発達に伴い、高速で信頼性の高いデータ転送が可能な移動通信システムが利用されている。特に、W−CDMA(Wideband−Code Division Multiple Access)やCDMA−2000等の符号分割多重方式を利用した移動パケット通信システムにおいては、下り方向の伝送方式として、移動通信端末に送信する信号の特性に応じて通信チャネルを使い分ける技術が採用されている。
制御信号の伝送には、高速送信電力制御に適した下り方向の個別チャネル(各端末専用のチャネル)であるA−DPCH(Associated−Dedicated Physical CHannel)を用いる。これに対して、データ信号の伝送には、複数の移動通信端末間で無線リソースを高効率に使用可能な共通チャネルであるDSCH(Downlink Shared CHannel)を用いて時分割多重通信を行う。この様に、信号の属性に応じて、使用するチャネルを適宜切り替えることにより、双方のチャネルの長所を相互補完した効果的な信号伝送を行っている。
発明の開示
しかしながら、上記従来技術では、以下の様な問題点があった。すなわち、符号分割多重方式を利用した移動通信システムにおいては、全てのセルで同一周波数帯を利用してサービスを提供する。したがって、音声通話やISDN(Integrated Services Digital Network)等の回線交換サービスや、パケット交換サービス等の複数のサービスで通信されるデータが同一周波数帯に混在することがある。この様な通信形態に対応するため、送信電力の上限値は、基地局毎に設定されるだけでなく、サービス毎にも設定されている。
例えば、基地局が移動通信端末に割当て可能な送信電力の合計が100である場合を想定すると、音声通話をしているユーザが多いセルでは、回線交換サービスに使用する送信電力を60とし、パケット交換サービスに使用する送信電力を40とする形態が考えられる。反対に、データ伝送をしているユーザが多いセルでは、回線交換サービスに使用する送信電力を20とし、パケット交換サービスに使用する送信電力を80とする形態も考えられる。
この様に、移動通信端末が在圏するセルやサービスの利用状況に応じて、送信電力の上限値は経時的に変化し、使用可能な送信電力は制限される。一方、DSCHにおいては、標準規格上一定時間(例えば10ms)毎に伝送速度を変更可能であるにも拘らず、その手法が確立されていない為、データ伝送の開始時に固定の伝送速度(例えば384kbps)が設定されている。
このため、送信電力に適さない伝送速度でデータが送受信されることがあった。具体的には、送信電力に適した伝送速度に比べて伝送速度が高い場合には、DSCHに対して充分な送信電力を供給できずデータの通信品質が劣化する。反対に、送信電力に適した伝送速度に比べて伝送速度が低い場合には、より高い速度でデータ伝送が可能であるにも拘わらず、低い伝送速度でデータの通信を行うことになる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、送信電力に応じて伝送速度を制御することにより、通信品質の低下を抑制しつつ高速なデータ通信を実現する無線制御装置、移動通信方法、移動通信プログラム、及び移動通信システムを提供することを目的とする。
本発明に係る無線制御装置は、複数の移動通信端末毎に個別のチャネルを用いて制御信号を送信させ、複数の移動通信端末間で共通のチャネルを時分割で用いてデータ信号を送信させることにより、移動通信端末と基地局間における下り方向のパケット通信を制御する無線制御装置において、前記複数の移動通信端末の内、特定の移動通信端末に送信する制御信号の送信電力と、当該制御信号の送信電力に対して付加されるオフセット値とに基づいて、前記特定の移動通信端末に送信するデータ信号の送信電力を算出する算出手段と、前記データ信号の送信電力の上限値を格納する格納手段と、前記算出手段により算出されたデータ信号の送信電力と、前記格納手段に格納された前記上限値とを比較する比較手段と、前記比較手段による比較の結果、前記データ信号の送信電力が前記上限値よりも大きい場合には前記データ信号の伝送速度を低下させ、前記データ信号の送信電力が前記上限値よりも小さい場合には前記データ信号の伝送速度を上昇させる制御を行う制御手段とを備えることを特徴とする。
本発明に係る移動通信方法は、複数の移動通信端末毎に個別のチャネルを用いて制御信号を送信させ、複数の移動通信端末間で共通のチャネルを時分割で用いてデータ信号を送信させることにより、移動通信端末と基地局間における下り方向のパケット通信を無線制御装置が行う移動通信方法において、前記複数の移動通信端末の内、特定の移動通信端末に送信する制御信号の送信電力と、当該制御信号の送信電力に対して付加されるオフセット値とに基づいて、前記特定の移動通信端末に送信するデータ信号の送信電力を前記無線制御装置が算出する算出ステップと、前記データ信号の送信電力の上限値を前記無線制御装置が格納手段に格納する格納ステップと、前記算出ステップにて算出されたデータ信号の送信電力と、前記格納手段に格納された前記上限値とを前記無線制御装置が比較する比較ステップと、前記比較ステップにおける比較の結果、前記データ信号の送信電力が前記上限値よりも大きい場合には前記データ信号の伝送速度を低下させ、前記データ信号の送信電力が前記上限値よりも小さい場合には、前記データ信号の伝送速度を前記無線制御装置が上昇させる制御を行う制御ステップとを含むことを特徴とする。
本発明に係る移動通信プログラムは、複数の移動通信端末毎に個別のチャネルを用いて制御信号を送信させ、複数の移動通信端末間で共通のチャネルを時分割で用いてデータ信号を送信させることにより、移動通信端末と基地局間における下り方向のパケット通信を制御するための移動通信プログラムにおいて、コンピュータに、前記複数の移動通信端末の内、特定の移動通信端末に送信する制御信号の送信電力と、当該制御信号の送信電力に対して付加されるオフセット値とに基づいて、前記特定の移動通信端末に送信するデータ信号の送信電力を算出する算出処理と、前記データ信号の送信電力の上限値を格納手段に格納する格納処理と、前記算出処理により算出されたデータ信号の送信電力と、前記格納手段に格納された前記上限値とを比較する比較処理と、前記比較処理による比較の結果、前記データ信号の送信電力が前記上限値よりも大きい場合には前記データ信号の伝送速度を低下させ、前記データ信号の送信電力が前記上限値よりも小さい場合には前記データ信号の伝送速度を上昇させる制御を行う制御処理とを実行させることを特徴とする。
これらの発明によれば、複数の移動通信端末毎に個別のチャネルを用いて送信される制御信号の送信電力に応じて、複数の移動通信端末間で共通のチャネルを用いて時分割送信されるデータ信号の伝送速度を動的に制御する。すなわち、データ信号の送信電力が上限値よりも大きい場合にはデータ信号の伝送速度を低下させる制御を行う。この制御により、伝送速度に適した充分な送信電力をDSCHに供給することができ、データの通信品質が向上する。これにより、伝送誤りによる再送率と他の無線回線に与える干渉とを低減し、結果として単位時間当たりの送信容量(スループット)を向上することが可能となる。一方、データ信号の送信電力が上限値以下の場合にはデータ信号の伝送速度を上昇させる制御を行う。この制御により、データ伝送の高速化を図ることができる。その結果、通信品質の低下を抑制しつつ高速なデータ通信を実現できる。
無線制御装置の算出手段は、前記制御信号の送信電力の所定時間における平均値と、前記オフセット値の所定時間における平均値とに基づいて、前記データ信号の送信電力を算出することが好ましい。
移動通信方法における算出ステップにて、前記制御信号の送信電力の所定時間における平均値と、前記オフセット値の所定時間における平均値とに基づいて、前記データ信号の送信電力を算出することが好ましい。
移動通信プログラムによって実行される算出処理では、前記制御信号の送信電力の所定時間における平均値と、前記オフセット値の所定時間における平均値とに基づいて、前記データ信号の送信電力を算出することが好ましい。
これらの発明によれば、データ信号の送信電力は、制御信号の送信電力の平均値とオフセット値との平均値に基づいて算出される。これにより、突発的な通信環境の変化に伴う送信電力及び/又はオフセット値の変動の影響を極力排除した高精度な送信電力に基づいて、データ信号の伝送速度を制御できる。
また、無線制御装置は、前記比較手段による比較の結果、前記データ信号の送信電力が前記上限値よりも大きい場合には、前記データ信号の伝送速度を下げた場合のデータ信号の送信電力を算出する低速送信電力算出手段を更に備え、前記制御手段は、前記低速送信電力算出手段により算出されたデータ信号の送信電力が前記上限値以下になるまで、前記データ信号の伝送速度を低下させる制御を行うことが好ましい。
また、移動通信方法では、前記比較ステップにおける比較の結果、前記データ信号の送信電力が前記上限値よりも大きい場合には、前記データ信号の伝送速度を下げた場合のデータ信号の送信電力を前記無線制御装置が算出する低速送信電力算出ステップを更に含み、前記制御ステップにて、前記低速送信電力算出ステップにて算出されたデータ信号の送信電力が前記上限値以下になるまで前記データ信号の伝送速度を低下させる制御を行うことが好ましい。
また、移動通信プログラムは、前記比較処理における比較の結果、前記データ信号の送信電力が前記上限値よりも大きい場合には、前記データ信号の伝送速度を下げた場合のデータ信号の送信電力を算出する低速送信電力算出処理を更に実行させ、前記制御処理では、前記低速送信電力算出処理により算出されたデータ信号の送信電力が前記上限値以下になるまで、前記データ信号の伝送速度を低下する処理を実行させることが好ましい。
これらの発明によれば、データ信号の伝送速度は、データ信号の送信電力が上限値以下になるように制御される。そして、データ信号の送信電力が上限値以下になった時点で、データ信号の伝送速度を低下させる制御を停止する。したがって、通信品質を維持するためにデータ信号の伝送速度を下げた場合に、伝送速度が必要以上に低下することがない。その結果、通信品質を維持しつつ、伝送速度の低下を抑制したデータ伝送が可能となる。
更に、無線制御装置は、前記比較手段による比較の結果、前記データ信号の送信電力が前記上限値よりも小さい場合には、前記データ信号の伝送速度を上げた場合のデータ信号の送信電力を算出する高速送信電力算出手段を更に備え、前記制御手段は、前記高速送信電力算出手段により算出されたデータ信号の送信電力が前記上限値を超えない範囲内で最大値となるまで、前記データ信号の伝送速度を上昇させる制御を行うことが好ましい。
更に、移動通信方法では、前記比較ステップにおける比較の結果、前記データ信号の送信電力が前記上限値よりも小さい場合には、前記データ信号の伝送速度を上げた場合のデータ信号の送信電力を前記無線制御装置が算出する高速送信電力算出ステップを更に含み、前記制御ステップにて、前記高速送信電力算出ステップにて算出されたデータ信号の送信電力が前記上限値を超えない範囲内で最大値となるまで、前記データ信号の伝送速度を上昇させる制御を行うことが好ましい。
また、移動通信プログラムは、前記比較処理における比較の結果、前記データ信号の送信電力が前記上限値よりも小さい場合には、前記データ信号の伝送速度を上げた場合のデータ信号の送信電力を算出する高速送信電力算出処理を更に実行させ、前記制御処理では、前記高速送信電力算出処理により算出されたデータ信号の送信電力が前記上限値を超えない範囲内で最大値となるまで、前記データ信号の伝送速度を上昇する処理を実行させることが好ましい。
これらの発明によれば、データ信号の伝送速度は、データ信号の送信電力の許容範囲内で最大値となるように制御される。したがって、通信品質を維持可能な範囲内で最も高い伝送速度によりデータ送信を行うことができる。その結果、スループットの向上が一層容易になる。
また、上述した移動通信プログラムを記録した、コンピュータが読み取り可能な記録媒体を単体若しくは添付の製品として販売、配布すれば、本発明に係る移動通信技術を広範かつ安価に実施できる。更には、上述した無線制御装置と、当該無線制御装置の制御手段により制御された、データ信号の伝送速度で移動通信端末にデータ信号を送信する基地局とを備えて構成される移動通信システムとして運用してもよい。
発明を実施するための最良の形態
以下、添付図面を参照して本発明の一実施形態を詳細に説明する。
まず、構成を説明する。図1は、本実施形態における移動通信システム100の全体構成例を示す模式図である。図1に示す様に、移動通信システム100は、公衆基地局の中継点として機能する交換機1と、公衆基地局と携帯電話間におけるパケット通信を統括的に制御する無線制御装置2と、所定の通信エリア内にある携帯電話と無線交信を直接に行う公衆基地局31,32,33…と、ユーザが携帯して使用する携帯電話41,42,43(移動通信端末に対応)…が階梯を為し、双方向に通信可能に接続されて構成されている。
説明の前提として、移動通信システム100は、公衆基地局から携帯電話に向かう下り方向の無線回線(以下、「下り回線」と記す。)において、相互に特性の異なる複数の信号を送信することを想定し、2種類のチャネルを使用する。すなわち、所要の送信電力が比較的小さい制御信号を送信する際には、携帯電話毎に個別に割り当てられる下り方向のチャネル(以下、「A−DPCH」と記す。)を使用する。これに対して、所要の送信電力が大きく高速性が要求されるデータ信号を送信する際には、複数の携帯電話間に共通のチャネル(以下、「DSCH」と記す。)を時分割で使用する。
以下、図2を参照して無線制御装置2の内部構成について詳説する。図2は、無線制御装置2の機能的構成を示すブロック図である。図2に示す様に、無線制御装置2は、呼受付制御部21、記憶部22(格納手段に対応)、伝送速度制御部23(算出手段、比較手段、制御手段、低速送信電力算出手段、及び高速送信電力算出手段に対応)、キュー処理部24、A−DPCH送信電力監視部25により構成され、各部はバスにより接続されている。図中の矢印は、信号の送信方向を示す。破線は信号が制御信号であることを示し、実線はデータ信号であることを示す。以下、各構成要素について詳細に説明する。
呼受付制御部21は、携帯電話41,42,43…の内、何れかの携帯電話からの発呼要求及び切断要求を監視して受付の可否を判定する。受付を許可した場合には、受付を許可した携帯電話用のユーザデータバッファを確保すると共に、交換機1との間に有線回線を設定する。同時に、呼受付制御部21は、後述する記憶部22の送信電力格納部221内部に、受付を許可した携帯電話用のデータ格納領域を形成し初期化する。
記憶部22は、送信電力格納部221、許容最大送信電力格納部222、及び初期オフセット値格納部223を備えて構成される。以下、図3A〜図3Cを参照して、記憶部22内部のデータ格納例について詳細に説明する。
図3Aに示す様に、送信電力格納部221は、端末ID格納領域221aと、伝送速度格納領域221bと、送信電力格納領域221cと、オフセット値格納領域221hとを内部に有する。端末ID格納領域221aは、携帯電話を識別する為に一意的に割り当てられた数字データ(例えば、“1”、“2”、…、“N”)を「端末ID」として格納する。伝送速度格納領域221bは、DSCHを利用した時刻tにおけるデータの伝送速度(単位はkbps)を示す数値データ(例えば、“256”、“128”、…、“64”)を「伝送速度」として逐次最新の値に更新可能に格納する。
送信電力格納領域221cは、経時的に変化するA−DPCHの送信電力(単位はdBm)を履歴的に格納するデータ格納領域である。この様な格納形態を可能とする為に、送信電力格納領域221cは、時刻(t−k)データ格納領域221d、時刻(t−k+1)データ格納領域221e、…、時刻tデータ格納領域221f、平均値格納領域221gを内部に有する。
具体的には、時刻(t−k)データ格納領域221dは、現在の時刻tよりk時間前の時刻に取得されたA−DPCHの送信電力(例えば、“23”,“25”…“24”)が記録される領域である。kは、例えば200〜300msである。同様に、時刻(t−k+1)データ格納領域221eは、現在の時刻tよりk−1時間前の時刻に取得されたA−DPCHの送信電力(例えば、“26”,“23”…“23”)が記録される領域である。また、時刻tデータ格納領域221fは、時刻t(現在)に取得されたA−DPCHの送信電力(例えば、“23”,“27”…“25”)が記録される領域である。
平均値格納領域221gは、時刻(t−k)から時刻tまでの時間kにおけるA−DPCHの送信電力の平均値(例えば、“24”,“25”…“23”)が記録される領域である。なお、実際には、平均値格納領域221gは、各端末IDに対応するA−DPCHの送信電力の内、時刻(t−k)〜時刻tに該当する全データの平均値を格納するが、簡単の為、3つのデータの平均値を格納するものとする。
また、オフセット値格納領域221hは、経時的に変化するオフセット値(単位はdB)を履歴的に格納するデータ格納領域である。ここで、オフセット値とは、DSCHの送信電力を決定する為にA−DPCHの送信電力に対して付加(加算、乗算等)される数値である。オフセット値は、移動通信端末の受信誤り率等に基づいて経時的に変化する。一般的に、オフセット値は、DSCHの伝送速度が高い程大きく、DSCHの伝送速度が低い程小さい。また、オフセット値は、無線回線状態が良い程小さく、無線回線状態が悪い程大きい。
上述の様な格納形態を可能とする為に、オフセット値格納領域221hは、時刻(t−k)データ格納領域221i、時刻(t−k+1)データ格納領域221j、…、時刻tデータ格納領域221k、平均値格納領域221lを内部に有する。
具体的には、時刻(t−k)データ格納領域221iは、現在の時刻tよりk時間前の時刻に取得されたオフセット値(例えば、“11.0”,“9.7”…“4.5”)が記録される領域である。同様に、時刻(t−k+1)データ格納領域221jは、現在の時刻tよりk−1時間前の時刻に取得されたオフセット値(例えば、“13.3”,“11.5”…“4.3”)が記録される領域である。また、時刻tデータ格納領域221kは、時刻t(現在)に取得されたオフセット値(例えば、“13.2”,“9.4”…“7.1”)が記録される領域である。
平均値格納領域221lは、時刻(t−k)から時刻tまでの時間kにおけるオフセット値の平均値(例えば、“12.5”,“10.2”…“5.3”)が記録される領域である。なお、実際には、平均値格納領域221lは、各端末IDに対応するオフセット値の内、時刻(t−k)〜時刻tに該当する全データの平均値を格納するが、簡単の為、3つのデータの平均値を格納するものとする。
図3Bに示す様に、許容最大送信電力格納部222は、DSCHの送信電力(単位はdBm)の上限値を示す数値データ(例えば、“36.0”)を「許容最大送信電力」として格納する。この許容最大送信電力は、公衆基地局31,32,33…で共通の値を使用してもよいし、通信環境等に応じて公衆基地局毎に個別に設定されるものとしてもよい。
初期オフセット値格納部223は、オフセット値の初期値をDSCHの伝送速度と対応付けて格納する。図3Cに示す様に、初期オフセット値格納部223は、伝送速度格納領域223aと、初期オフセット値格納領域223bとを内部に有する。伝送速度格納領域223aは、DSCHを利用したデータの伝送速度(単位はkbps)を段階的に示す数値データ(例えば、“384”、“256”、“128”、“64”)を「伝送速度」として格納する。オフセット値格納領域223bは、通信開始時及び伝送速度の変更時にA−DPCHの送信電力に対して付加されるオフセット値(単位はdB)を示す数値データ(例えば、“16.0”、“13.0”、“10.0”、“7.0”)を「初期オフセット値」として格納する。
図2に戻り、伝送速度制御部23は、A−DPCHの送信電力とオフセット値とに基づいてDSCHの送信電力を算出し、算出したDSCHの送信電力に応じてDSCHの伝送速度を決定する。そして、後述するキュー処理部24を経由して、決定した伝送速度によるデータ信号の送信を公衆基地局31,32,33に指示する。また、伝送速度制御部23は、送信電力格納部221に格納されているデータに基づいて、A−DPCHの送信電力の平均値とオフセット値の平均値とを算出する。
キュー処理部24は、伝送速度格納領域221bからDSCHの伝送速度を取得し、取得した伝送速度に応じたデータ容量(例えばパケット数)の送信データをユーザデータバッファから抽出する。キュー処理部24は、後述する公衆基地局31のDSCH送信部312に送信データを転送して、携帯電話41へのデータ送信を指示する。また、キュー処理部24は、A−DPCHの送信電力に対して付加されるオフセット値を公衆基地局31に通知する。
A−DPCH送信電力監視部25は、後述する公衆基地局31と携帯電話41,42,43…間におけるA−DPCHの送信電力を定期的に監視する。そして、送信電力格納部221内部に形成された、各携帯電話の端末IDに対応する送信電力格納領域221cに監視結果を記録する。A−DPCHの送信電力を表す数値データは、監視と同時に逐次更新されるので、送信電力格納領域221cには、携帯電話毎に最新の送信電力が常に記録されることになる。
公衆基地局31は、A−DPCHを通信チャネルとして信号送信を行うA−DPCH送信部311と、DSCHを時分割に用いて信号送信を行うDSCH送信部312と、上り方向のチャネルであるDPCHを通信チャネルとして信号受信を行うDPCH受信部313とを少なくとも備えて構成される。
A−DPCH送信部311は、A−DPCHを用いてデータ信号を送信する旨を予め携帯電話41に通知する制御信号を送信する。制御信号の送信は、データ転送に先立って行われるので、携帯電話41はデータ信号の受信前にその旨を認識できる。これにより、公衆基地局31は、データの送信先となる携帯電話を任意に変更可能となる。なお、制御信号の伝送速度は、通信事業者又は標準規格化団体により規定された固定的な速度を使用する。
DSCH送信部312は、A−DPCH送信部311が制御信号を送信した場合にのみ、携帯電話との間にDSCHを確立し、当該DSCHを使用してデータ信号の送信を行う。データ信号の伝送速度は、標準化規格上所定時間(例えば10ms)毎に変更可能であり、可変的に決定される。後に詳述するが、DSCH送信部312は、キュー処理部24によって指定されたオフセット値をA−DPCHの送信電力に付加してDSCHの送信電力を決定する。
DPCH受信部313は、DPCHの送信電力の制御コマンドを携帯電話41から受信する。この制御コマンドにより、公衆基地局31と携帯電話41間におけるA−DPCHの送信電力は、最適に制御される。
携帯電話41は、周知の携帯電話であるので詳細な説明は省略するが、A−DPCH受信部411と、DSCH受信部412と、DPCH送信部413とを少なくとも備える。A−DPCH受信部411は、公衆基地局31のA−DPCH送信部311から制御信号を受信する。DSCH受信部412は、データ信号が送信される旨の通知を制御信号により予め受けた場合に、公衆基地局31のDSCH送信部312からデータ信号の受信を開始する。DPCH送信部413は、A−DPCHの送信電力を最適に制御する為の制御コマンドを、A−DPCHを通信チャネルとして公衆基地局31に送信する。
以上、本発明に係る移動通信システム100を構成する各端末装置の構成について説明したが、図1に示した公衆基地局32,33…、及び携帯電話42,43…の要部構成は、それぞれ詳述した公衆基地局31及び携帯電話41の構成と同一であるので、その構成の図示及び詳細な説明は省略する。すなわち、公衆基地局32,33は、A−DPCH送信部321,331と、DSCH送信部322,332と、DPCH受信部323,333とをそれぞれ備える。また、携帯電話42,43は、A−DPCH受信部421,431と、DSCH受信部422,432と、DPCH送信部423,433とをそれぞれ備える。
次に、図4〜図6を参照して本実施形態における動作を説明する。以下、特に公衆基地局31の通信エリア内に圏在する携帯電話41(端末IDは1)から発呼要求が有った場合に着目して、公衆基地局31と携帯電話41間における伝送速度制御処理を例示的に説明するが、本発明はこれらの装置間における伝送速度制御技術に限定されるものではない。
図4は、無線制御装置2によって実行されるDSCH伝送速度制御処理を説明する為のフローチャートである。まずS1では、伝送速度制御部23は、端末ID“1”に対応するA−DPCHの送信電力の平均値Aを平均値格納領域221gから取得する。伝送速度制御部23は、端末ID“1”に対応するオフセット値の平均値Oを平均値格納領域221lから取得する。伝送速度制御部23は、取得したA−DPCHの送信電力の平均値Aとオフセット値の平均値OとからDSCHの送信電力Pを算出する。例えば、携帯電話41と公衆基地局31間における伝送速度制御処理の場合、A−DPCHの送信電力の平均値Aは24dBmであり、オフセット値の平均値Oは12.5dBであるので、DSCHの送信電力はそれらの和である36.5dBmと算出される。
本実施形態では、A−DPCHの送信電力の平均値Aとオフセット値の平均値Oを、共に対数により表記したので、DSCHの送信電力を加算処理により算出可能である。A−DPCHの送信電力の平均値Aとオフセット値の平均値Oが実数の場合等には、乗算処理によりDSCHの送信電力を算出してもよい。
この様に、A−DPCHの送信電力にオフセット値を付加して、DSCHの送信電力を算出するのは以下の理由による。すなわち、A−DPCHの送信電力は、前述した様に、携帯電話41から公衆基地局31に送信される制御コマンドに基づいて常に最適に制御されている。一方、携帯電話41が公衆基地局31から信号を受信する際には、A−DPCHとDSCHとは、別の拡散符号を用いて同時刻に使用されるので、符号分割多重化方式を利用した通信においては、A−DPCHとDSCHの無線回線状態は、同一とみなすことができる。そこで、A−DPCHの送信電力に対して所与の数値(オフセット値)を付加することにより、DSCHの送信電力がA−DPCHの送信電力と連動して決定されるようにしたものである。
S2では、伝送速度制御部23は、許容最大送信電力格納部222から許容最大送信電力Tを取得する。次に、伝送速度制御部23は、S1で算出したDSCHの送信電力PとS2で取得した許容最大送信電力Tとを比較する(S3)。
当該比較処理の結果、DSCHの送信電力Pが許容最大送信電力Tよりも大きい場合(すなわち、P>Tの場合)には、伝送速度制御部23は、現在のDSCHの送信電力が過大であるものと判断し、DSCHの伝送速度を下げる処理(S4)を開始する。反対に、S3において、DSCHの送信電力Pが許容最大送信電力T以下の場合(すなわち、P≦Tの場合)には、伝送速度制御部23は、現在のDSCHの送信電力が上限値以下であり、DSCHの伝送速度を上昇できる可能性があるものと判断し、DSCH伝送速度上昇処理(S5)を開始する。S4又はS5の処理の終了に伴い、一連のDSCH伝送速度制御処理を終了する。
以下、図5を参照して、S4に示したDSCH伝送速度低下処理について詳細に説明する。まずS41では、伝送速度制御部23は、現在(時刻t)におけるDSCHの伝送速度Rを伝送速度格納領域221bから取得する。
次に、伝送速度制御部23は、S41で取得したDSCHの伝送速度Rを一段階下げた場合の初期オフセット値Oiを、初期オフセット値格納領域223bから取得する(S42)。例えば、携帯電話41と公衆基地局31間における伝送速度制御処理の場合、時刻tにおけるDSCHの伝送速度は256kbpsである。したがって、伝送速度制御部23は、256kbpsより一段階低い伝送速度の128kbpsに対応する初期オフセット値である10dBを取得する。
次のS43では、伝送速度制御部23は、携帯電話41の端末ID“1”に対応するA−DPCHの送信電力の平均値Aを平均値格納領域221gから取得する。伝送速度制御部23は、取得したA−DPCHの送信電力の平均値AとS42で取得した初期オフセット値OiとからDSCHの送信電力P’を算出する。例えば、携帯電話41と公衆基地局31間における伝送速度制御処理の場合、A−DPCHの送信電力の平均値Aが24dBmであり、S42で取得した初期オフセット値は10dBであるので、DSCHの送信電力は34dBmと算出される。
S44では、伝送速度制御部23は、S43で算出したDSCHの送信電力P’と図4のS2で取得した許容最大送信電力Tとを比較する。当該比較処理の結果、DSCHの送信電力P’が許容最大送信電力Tよりも大きい場合(すなわち、P’>Tの場合)には、伝送速度制御部23は、DSCHの送信電力が依然として過大な値になるものと判断し、DSCHの伝送速度を更に一段階下に設定する(S45)。
S45の終了後、伝送速度制御部23は、DSCHの伝送速度を更に低下させる必要があるか否かを確認する為に、再びS41に戻りS41以降の処理を実行する。S41では、S45で設定されたDSCHの伝送速度が、現在のDSCHの伝送速度Rとして取得される。S41〜S45の一連の処理は、S44における比較結果がP’≦Tを満たすまで繰り返し実行される。
一方、S44において、DSCHの送信電力P’が許容最大送信電力T以下の場合(すなわち、P’≦Tの場合)には、伝送速度制御部23は、DSCHの送信電力が許容範囲内にあるものと判断し、現在設定されているDSCHの伝送速度までDSCHの伝送速度を低下させる(S46)。
低下後のDSCHの伝送速度は、端末ID“1”に対応する伝送速度格納領域221bに更新記憶される。また、低下後のDSCHの伝送速度に対応する初期オフセット値は、現在のオフセット値として、時刻tデータ格納領域221kに更新記憶される。S46の終了後、一連のDSCH伝送速度制御処理を終了する。
続いて、図6を参照して、S5に示したDSCH伝送速度上昇処理について詳細に説明する。まずS51では、伝送速度制御部23は、現在(時刻t)におけるDSCHの伝送速度Rを伝送速度格納領域221bから取得する。
次に、伝送速度制御部23は、S51で取得したDSCHの伝送速度Rを一段階上げた場合の初期オフセット値Oiを、初期オフセット値格納領域223bから取得する(S52)。例えば、携帯電話41と公衆基地局31間における伝送速度制御処理の場合、時刻tのDSCHの伝送速度は256kbpsである。したがって、伝送速度制御部23は、256kbpsより一段階高い伝送速度の384kbpsに対応する初期オフセット値である16dBを取得する。
次のS53では、伝送速度制御部23は、携帯電話41の端末ID“1”に対応するA−DPCHの送信電力の平均値Aを平均値格納領域221gから取得する。伝送速度制御部23は、取得したA−DPCHの送信電力の平均値AとS52で取得した初期オフセット値OiとからDSCHの送信電力P”を算出する。例えば、携帯電話41と公衆基地局31間における伝送速度制御処理の場合、A−DPCHの送信電力の平均値Aは24dBmであり、S52で取得した初期オフセット値は16dBであるので、DSCHの送信電力は40dBmと算出される。
S54では、伝送速度制御部23は、S53で算出したDSCHの送信電力P”と図4のS2で取得した許容最大送信電力Tとを比較する。当該比較処理の結果、DSCHの送信電力P”が許容最大送信電力T以下の場合(すなわち、P”≦Tの場合)には、伝送速度制御部23は、DSCHの伝送速度を一段階上げてもDSCHの送信電力が許容範囲内に収まるものと判断し、DSCHの伝送速度を一段階上に設定する(S55)。
S55の終了後、伝送速度制御部23は、DSCHの伝送速度を更に上昇できるか否かを確認する為に、再びS51に戻りS51以降の処理を実行する。S51では、S55で変更されたDSCHの伝送速度が、現在のDSCHの伝送速度Rとして取得される。S51〜S55の一連の処理は、S54における比較結果がP”>Tを満たすまで繰り返し実行される。
一方、S54において、DSCHの送信電力P”が許容最大送信電力Tよりも大きい場合(すなわち、P”>Tの場合)には、伝送速度制御部23は、DSCHの送信電力が許容範囲を超えるものと判断しS56の処理に移行する。S56では、伝送速度制御部23は、現在設定されているDSCHの伝送速度の一段階下の伝送速度までDSCHの伝送速度を上昇させる(S56)。
DSCHの伝送速度を上昇させる段階を現在の設定よりも一段階下とするのは、以下の理由による。すなわち、S56の処理を実行する時点で設定されているDSCHの伝送速度は、DSCHの伝送速度を上昇させていった結果、許容最大送信電力Tを超えた直後の値である。したがって、許容最大送信電力Tを超える直前の値が、許容最大送信電力T以下であり、かつ、許容範囲内で最大の伝送速度となる。
上昇後のDSCHの伝送速度は、端末ID“1”に対応する伝送速度格納領域221bに更新記憶される。また、上昇後のDSCHの伝送速度に対応する初期オフセット値は、現在のオフセット値として、時刻tデータ格納領域221kに更新記憶される。S56の終了後、一連のDSCH伝送速度制御処理を終了する。
以上説明した様に、本実施形態における移動通信システム100によれば、無線制御装置2は、伝送速度制御部23、記憶部22を有する。伝送速度制御部23は、携帯電話41に送信する制御信号の送信電力と、当該制御信号の送信電力に対して付加されるオフセット値とに基づいて、携帯電話41に送信するデータ信号の送信電力を算出する。伝送速度制御部23は、データ信号の送信電力と記憶部22に格納された上限値とを比較し、データ信号の送信電力が上限値よりも大きい場合にはデータ信号の伝送速度を低下させる制御を行う。この制御により、無線制御装置2は、伝送速度に適した充分な送信電力をDSCHに供給することができ、データの通信品質が向上する。これにより、伝送誤りによる再送率と他の無線回線に与える干渉とを低減し、結果として単位時間当たりの送信データ容量を向上することが可能となる。一方、無線制御装置2は、データ信号の送信電力が上限値以下の場合にはデータ信号の伝送速度を上昇させる制御を行う。この制御により、無線制御装置2は、データ伝送の高速化を図ることができる。その結果、通信品質の低下を抑制しつつ高速なデータ通信を実現できる。
好ましくは、伝送速度制御部23は、制御信号の送信電力の所定時間における平均値と、オフセット値の所定時間における平均値とに基づいて、データ信号の送信電力を算出する。これにより、無線制御装置2は、突発的な通信環境の変化に伴う送信電力又はオフセット値の変動の影響を極力排除した高精度な送信電力に基づいて、データ信号の伝送速度を制御できる。
より好ましくは、伝送速度制御部23は、データ信号の送信電力が上限値よりも大きい場合には、データ信号の伝送速度を下げた場合のデータ信号の送信電力を算出する。伝送速度制御部23は、算出されたデータ信号の送信電力が上限値以下になるまで、データ信号の伝送速度を低下させる制御を行う。そして、データ信号の送信電力が上限値以下となった時点で、データ信号の伝送速度を低下させる制御を停止する。したがって、通信品質を維持するためにデータ信号の伝送速度を下げた場合に、伝送速度が必要以上に低下することがない。その結果、通信品質を維持しつつ、伝送速度の低下を抑制したデータ伝送が可能となる。
より好ましくは、伝送速度制御部23は、データ信号の送信電力が上限値以下の場合には、データ信号の伝送速度を上げた場合のデータ信号の送信電力を算出する。伝送速度制御部23は、算出されたデータ信号の送信電力が上限値を超えない範囲内で最大値となるまで、データ信号の伝送速度を上昇させる制御を行う。したがって、通信品質を維持可能な範囲内で最も高い伝送速度によりデータ送信を行うことができる。その結果、スループットの向上が一層容易になる。
なお、本実施形態に記載の態様は、本発明に係る移動通信システムの好適な一例であり、これに限定されるものではない。例えば、本実施形態では、算出結果の信頼性の観点から、A−DPCHの送信電力の平均値とオフセット値の平均値によりDSCHの送信電力を算出した。しかし、A−DPCHの送信電力とオフセット値の内、少なくとも一方が瞬時値であってもよい。これにより、伝送速度制御部23が平均値を算出する処理を省略でき、処理負担が軽減する。また、過去に取得した送信電力とオフセット値を格納しておくデータ領域を節約できる。
本実施形態では、移動通信端末を携帯電話として説明したが、例えば、PDA(Personal Digital Assistance)等の様に無線通信機能を備えた情報機器であればよい。
更に、上記実施形態では、無線制御装置2が伝送速度制御部23によりデータ信号の伝送速度を制御する例について説明したが、公衆基地局31がデータ信号の伝送速度を制御するものとしてもよい。この場合、公衆基地局31は、上述した記憶部の機能、伝送速度制御部の機能、キュー処理部の一部の機能(制御信号の入出力機能)、A−DPCH送信電力監視部の機能を更に有する。
この様な構成とすれば、移動通信システム100は、A−DPCHの送信電力取得からDSCHの伝送速度制御、及びデータ送信までの一連の処理を公衆基地局31内部で実行することができるので、無線制御装置2と公衆基地局31間で制御信号の送受信を行う必要が無い。したがって、無線制御装置2と公衆基地局31間の回線距離に因らず、伝送速度制御の応答性を維持向上できる。
最後に、本発明の実施形態に係る移動通信プログラム、及び当該移動通信プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体(以下、単に「記録媒体」と記す。)について説明する。ここで、記録媒体とは、汎用コンピュータ等のハードウェア資源に備えられている読取装置に対して、プログラムの記述内容に応じて、磁気、光、電気等のエネルギーの変化状態を引き起こし、それに対応する信号の形式で、読取装置にプログラムの記述内容を伝達できるものである。かかる記録媒体としては、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の様にコンピュータに着脱可能に装着されるものの他、コンピュータに固定的に内蔵されるHD(Hard Disk)や一体に固着されたファームウェア等の不揮発性半導体メモリなどが該当する。
図7は、本発明の実施形態に係る記録媒体の構成図である。記録媒体50は、図7に示す様に、プログラムを記録するプログラム格納領域50aを備えている。このプログラム格納領域50aには、移動通信プログラム51が記録されている。移動通信プログラム51は、携帯電話と公衆基地局間における下り方向のパケット通信を制御するためのプログラムであって、処理を統括するメインモジュール51aと、複数の移動通信端末の内、特定の移動通信端末に送信する制御信号の送信電力と、当該制御信号の送信電力に対して付加されるオフセット値とに基づいて、前記特定の移動通信端末に送信するデータ信号の送信電力を算出する送信電力算出モジュール51bと、データ信号の送信電力の上限値を格納手段に格納する上限値格納モジュール51cと、算出されたデータ信号の送信電力と前記格納手段に格納された上限値とを比較する送信電力比較モジュール51dと、当該比較の結果、前記データ信号の送信電力が前記上限値よりも大きい場合には前記データ信号の伝送速度を低下させ、前記データ信号の送信電力が前記上限値以下の場合には前記データ信号の伝送速度を上昇させる制御を行う伝送速度制御モジュール51eと、を備えて構成される。
好ましくは、移動通信プログラム51は、前記比較の結果、前記データ信号の送信電力が前記上限値よりも大きい場合には、前記データ信号の伝送速度を下げた場合のデータ信号の送信電力を算出する低速送信電力算出モジュール51fと、前記比較の結果、前記データ信号の送信電力が前記上限値以下の場合には、前記データ信号の伝送速度を上げた場合のデータ信号の送信電力を算出する高速送信電力算出モジュール51gとを備えて構成される。
ここで、上限値格納モジュール51cは、無線制御装置2の記憶部22に格納されているデータと同様のデータをHDやメモリ等の格納手段に格納する処理を行うモジュールである。また、送信電力算出モジュール51bと、送信電力比較モジュール51dと、伝送速度制御モジュール51eと、低速送信電力算出モジュール51fと、高速送信電力算出モジュール51gのそれぞれを動作させることによって実現する機能は、無線制御装置2の有する伝送速度制御部23の機能と同様である。
移動通信プログラム51は、その一部若しくは全部を他の機器から通信回線等の伝送媒体を介して、コンピュータの通信ユニットにより受信し、記録する構成にしてもよい。反対に、伝送媒体を介して移動通信プログラム51を伝送し、他の機器にインストールする構成としてもよい。
産業上の利用可能性
本発明によれば、複数の移動通信端末毎に個別のチャネルを用いて送信される制御信号の送信電力に応じて、複数の移動通信端末間で共通のチャネルを用いて時分割送信されるデータ信号の伝送速度を動的に制御する。すなわち、データ信号の送信電力が上限値よりも大きい場合にはデータ信号の伝送速度を低下させる制御を行う。この制御により、伝送速度に適した充分な送信電力をDSCHに供給することができ、データの通信品質が向上する。一方、データ信号の送信電力が上限値以下の場合にはデータ信号の伝送速度を上昇させる制御を行う。この制御により、データ伝送の高速化を図ることができる。その結果、通信品質の低下を抑制しつつ高速なデータ通信を実現できる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明に係る移動通信システムの全体構成の一例を示す概念図である。
図2は、移動通信システムの機能的構成を説明する為の模式図である。
図3Aは、送信電力格納部内部のデータ格納例を示す図である。図3Bは、許容最大送信電力格納部内部のデータ格納例を示す図である。図3Cは、初期オフセット値格納部内部のデータ格納例を示す図である。
図4は、DSCH伝送速度制御処理を説明する為のフローチャートである。
図5は、DSCH伝送速度低下処理を説明する為のフローチャートである。
図6は、DSCH伝送速度上昇処理を説明する為のフローチャートである。
図7は、本発明に係るプログラムが格納された記録媒体の構成図である。
Claims (13)
- 複数の移動通信端末毎に個別のチャネルを用いて制御信号を送信させ、複数の移動通信端末間で共通のチャネルを時分割で用いてデータ信号を送信させることにより、移動通信端末と基地局間における下り方向のパケット通信を制御する無線制御装置において、
前記複数の移動通信端末の内、特定の移動通信端末に送信する制御信号の送信電力と、当該制御信号の送信電力に対して付加されるオフセット値とに基づいて、前記特定の移動通信端末に送信するデータ信号の送信電力を算出する算出手段と、
前記データ信号の送信電力の上限値を格納する格納手段と、
前記算出手段により算出されたデータ信号の送信電力と、前記格納手段に格納された前記上限値とを比較する比較手段と、
前記比較手段による比較の結果、前記データ信号の送信電力が前記上限値よりも大きい場合には前記データ信号の伝送速度を低下させ、前記データ信号の送信電力が前記上限値よりも小さい場合には前記データ信号の伝送速度を上昇させる制御を行う制御手段と
を備えることを特徴とする無線制御装置。 - 前記算出手段は、前記制御信号の送信電力の所定時間における平均値と、前記オフセット値の所定時間における平均値とに基づいて、前記データ信号の送信電力を算出することを特徴とする請求項1に記載の無線制御装置。
- 前記比較手段による比較の結果、前記データ信号の送信電力が前記上限値よりも大きい場合には、前記データ信号の伝送速度を下げた場合のデータ信号の送信電力を算出する低速送信電力算出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記低速送信電力算出手段により算出されたデータ信号の送信電力が前記上限値以下になるまで、前記データ信号の伝送速度を低下させる制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の無線制御装置。 - 前記比較手段による比較の結果、前記データ信号の送信電力が前記上限値よりも小さい場合には、前記データ信号の伝送速度を上げた場合のデータ信号の送信電力を算出する高速送信電力算出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記高速送信電力算出手段により算出されたデータ信号の送信電力が前記上限値を超えない範囲内で最大値となるまで、前記データ信号の伝送速度を上昇させる制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の無線制御装置。 - 複数の移動通信端末毎に個別のチャネルを用いて制御信号を送信させ、複数の移動通信端末間で共通のチャネルを時分割で用いてデータ信号を送信させることにより、移動通信端末と基地局間における下り方向のパケット通信を無線制御装置が行う移動通信方法において、
前記複数の移動通信端末の内、特定の移動通信端末に送信する制御信号の送信電力と、当該制御信号の送信電力に対して付加されるオフセット値とに基づいて、前記特定の移動通信端末に送信するデータ信号の送信電力を前記無線制御装置が算出する算出ステップと、
前記データ信号の送信電力の上限値を前記無線制御装置が格納手段に格納する格納ステップと、
前記算出ステップにて算出されたデータ信号の送信電力と、前記格納手段に格納された前記上限値とを前記無線制御装置が比較する比較ステップと、
前記比較ステップにおける比較の結果、前記データ信号の送信電力が前記上限値よりも大きい場合には前記データ信号の伝送速度を低下させ、前記データ信号の送信電力が前記上限値よりも小さい場合には、前記データ信号の伝送速度を前記無線制御装置が上昇させる制御を行う制御ステップと
を含むことを特徴とする移動通信方法。 - 前記算出ステップにて、前記制御信号の送信電力の所定時間における平均値と、前記オフセット値の所定時間における平均値とに基づいて、前記データ信号の送信電力を算出することを特徴とする請求項5に記載の移動通信方法。
- 前記比較ステップにおける比較の結果、前記データ信号の送信電力が前記上限値よりも大きい場合には、前記データ信号の伝送速度を下げた場合のデータ信号の送信電力を前記無線制御装置が算出する低速送信電力算出ステップを更に含み、
前記制御ステップにて、前記低速送信電力算出ステップにて算出されたデータ信号の送信電力が前記上限値以下になるまで前記データ信号の伝送速度を低下させる制御を行うことを特徴とする請求項5に記載の移動通信方法。 - 前記比較ステップにおける比較の結果、前記データ信号の送信電力が前記上限値よりも小さい場合には、前記データ信号の伝送速度を上げた場合のデータ信号の送信電力を前記無線制御装置が算出する高速送信電力算出ステップを更に含み、
前記制御ステップにて、前記高速送信電力算出ステップにて算出されたデータ信号の送信電力が前記上限値を超えない範囲内で最大値となるまで、前記データ信号の伝送速度を上昇させる制御を行うことを特徴とする請求項5に記載の移動通信方法。 - 複数の移動通信端末毎に個別のチャネルを用いて制御信号を送信させ、複数の移動通信端末間で共通のチャネルを時分割で用いてデータ信号を送信させることにより、移動通信端末と基地局間における下り方向のパケット通信を制御するための移動通信プログラムにおいて、
コンピュータに、
前記複数の移動通信端末の内、特定の移動通信端末に送信する制御信号の送信電力と、当該制御信号の送信電力に対して付加されるオフセット値とに基づいて、前記特定の移動通信端末に送信するデータ信号の送信電力を算出する算出処理と、
前記データ信号の送信電力の上限値を格納手段に格納する格納処理と、
前記算出処理により算出されたデータ信号の送信電力と、前記格納手段に格納された前記上限値とを比較する比較処理と、
前記比較処理による比較の結果、前記データ信号の送信電力が前記上限値よりも大きい場合には前記データ信号の伝送速度を低下させ、前記データ信号の送信電力が前記上限値よりも小さい場合には前記データ信号の伝送速度を上昇させる制御を行う制御処理と
を実行させることを特徴とする移動通信プログラム。 - 前記算出処理では、前記制御信号の送信電力の所定時間における平均値と、前記オフセット値の所定時間における平均値とに基づいて、前記データ信号の送信電力を算出することを特徴とする請求項9に記載の移動通信プログラム。
- 前記比較処理における比較の結果、前記データ信号の送信電力が前記上限値よりも大きい場合には、前記データ信号の伝送速度を下げた場合のデータ信号の送信電力を算出する低速送信電力算出処理を更に実行させ、
前記制御処理では、前記低速送信電力算出処理により算出されたデータ信号の送信電力が前記上限値以下になるまで、前記データ信号の伝送速度を低下する処理を実行させることを特徴とする請求項9に記載の移動通信プログラム。 - 前記比較処理における比較の結果、前記データ信号の送信電力が前記上限値よりも小さい場合には、前記データ信号の伝送速度を上げた場合のデータ信号の送信電力を算出する高速送信電力算出処理を更に実行させ、
前記制御処理では、前記高速送信電力算出処理により算出されたデータ信号の送信電力が前記上限値を超えない範囲内で最大値となるまで、前記データ信号の伝送速度を上昇する処理を実行させることを特徴とする請求項9に記載の移動通信プログラム。 - 請求項1に記載の無線制御装置と、当該無線制御装置の制御手段により制御された、前記データ信号の伝送速度で前記移動通信端末にデータ信号を送信する基地局とを備えて構成され、前記無線制御装置と前記基地局間で通信を行うことを特徴とする移動通信システム。
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