JPWO2003041115A1 - 質量分析装置 - Google Patents

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Abstract

本発明は、大気圧イオン源を用いる質量分析装置において、未気化液滴の質量分析部への到達を減少せしめる技術に関する。略大気圧下で試料をイオン化するイオン化部と、当該イオン化部よりも低圧に維持された第1及び第2の中間圧力部と、当該中間圧力部よりも低圧に維持され、且つイオンを質量分析する質量分析手段が配置された高真空部と、前記イオン化部と前記第1の中間圧力部間に配置された第1の細孔電極と、前記第1の中間圧力部と前記第2の中間圧力部間に配置された中間細孔電極と、前記第2の中間圧力部と前記高真空部間に配置された第2の細孔電極を有し、前記第1の中間圧力部に、前記第1の細孔電極側と前記中間細孔電極側に開口を有し、且つ前記第1の細孔電極側の開口径が前記中間細孔電極側の開口径よりも大きいテーパ形状を有する第1の収束電極を備える。

Description

技術分野
本発明は、質量分析装置に関し、特に、差動排気部の構成に関する。
背景技術
近年、気体や液体中などの微量成分を高感度に検出する方法として質量分析計が多く用いられており、超微量分析が必要とされる分野で不可欠な計測・分析装置となっている。
この種の装置は、測定対象の試料をイオン化し、生成したイオンを質量分析部にて、分析するものであり、より高感度、微量分析を実現する構成として、大気圧イオン化(以下、APCIと略称する)を利用した質量分析計、特に、液体クロマトグラフ質量分析計(以下、LC/MSという)が知られている。
この装置は、所定の前処理過程を経て濃縮された被測定物等の被測定体混合物を液体クロマトグラフィー(以下、LCという)に導入して分離し、溶出する前記試料および移動相はテフロンパイプ等の管を通して霧化部に送られ、ここで熱を加えられることにより霧化される。更に、霧化された試料および移動相は分子状態となり、イオン化室においてイオン化される。イオン化された移動相分子は試料分子と分子反応を起こし、イオン化がまだされていない試料分子へ電荷を移すことによって、試料分子は隠やかに且つほぼすべての分子がイオン化される。イオン化された試料分子は高分解能の質量分析部に送られ質量分析される。この装置によれば、検出されたイオンの質量数から被測定物の定性分析や、検出されたイオンの強度から被測定物の定量分析もできるという特徴がある。
LCに代えて、キャピラリー電気泳動法(Capillary Electrophoresis)を用いるキャピラリー電気泳動/質量分析計(以下CE/MSという)も知られている。
また、質量分析計の質量分析部に、一対のエンドキャップ電極とリング電極から成るイオントラップを用いるイオントラップ型質量分析計も近年普及している。
イオントラップ型質量分析計の例として、特開平8−166371号公報や特開平8−178899号公報などがある。
発明の開示
前述のLC/MSやCE/MSでは、前記被測定物を含む試料には、完全に気化していない液滴も存在するため、エレクトロスプレー型大気圧イオン源やAPCIイオン源で生成したイオンをイオントラップ質量分析部に取り込もうとすると、イオンと共に液滴を含む大量の中性分子がイオントラップ質量分析部内にまで入り込むことになる。このとき、次のような問題が発生する。
(1)イオントラップ内に入り込んだ中性分子や液滴がイオントラップ質量分析部のエンドキャップ電極などに付着することによって、これらの電極が汚染され、内部での高周波電場が乱れ、イオンがトラップされなくなったり、正確な質量分析ができなくなったりする。
(2)イオントラップ内に入り込んだ中性分子や液滴のために、イオントラップ質量分析部内で試料分子のイオンから液滴の方に電荷が移動したり、イオントラップ質量分析部から出た液滴が検出器に到達したりして、ノイズが大幅に増加する。
LC/MSやCE/MSでは、大気圧イオン源において試料溶液を帯電液滴に変化させ、加熱等によりこの帯電液滴を気化させる。しかし、帯電液滴を完全に気化させることはできないので、当然のことながら、完全に気化されなかった液滴が、2つのエンドキャップ電極と1つのリング電極で囲まれたイオントラップ質量分析部内に入り込んでしまい、上記のような問題が発生してしまう。
このため、大気圧イオン源で気化されない液滴が、イオントラップ質量分析部へ到達する数をできるだけ少なくする必要がある。
又、近年では、より一層の高感度の微量分析が望まれており、各大気圧イオン源でイオン化された被測定試料のイオン量を、前記質量分析部へ出来る限り多く透過させ(減衰することなく)、その信号強度を向上する必要がある。イオンの透過効率の向上を目指した例として、特開平8−304342号公報,特開平11−64289号公報,特開2001−60447号公報などがある。
上記各公報は、差動排気部の高圧側の室(中間圧力部)に、イオン集束用の電極が配置されており、高真空部へのイオン透過効率を向上させようとしたものである。
しかしながら、これらの例は、高真空部へのイオン透過効率の向上という面は考慮されているものの、“大気圧イオン源で気化されない液滴が、イオントラップ質量分析部へ到達する数をできるだけ少なくする”という課題については、何ら考慮されてはいない。
本発明の目的は、高真空部へのイオン透過効率を向上させつつ、大気圧イオン源で気化されない液滴が、質量分析部へ到達する数をできるだけ少なくする質量分析装置を提供することである。
上記目的を達成するための本発明の特徴は、略大気圧下で試料をイオン化するイオン化部と、当該イオン化部よりも低圧に維持された第1及び第2の中間圧力部と、当該中間圧力部よりも低圧に維持され、且つイオンを質量分析する質量分析手段が配置された高真空部と、前記イオン化部と前記第1の中間圧力部間に配置された第1の細孔電極と、前記第1の中間圧力部と前記第2の中間圧力部間に配置された中間細孔電極と、前記第2の中間圧力部と前記高真空部間に配置された第2の細孔電極を有し、前記イオン化部で生成されたイオンを前記第1の細孔電極,前記中間細孔電極、及び前記第2の細孔電極を介して高真空部に導き、質量分析を行う質量分析装置において、前記第1の中間圧力部に、前記第1の細孔電極側と前記中間細孔電極側に開口を有し、且つ前記第1の細孔電極側の開口径が前記中間細孔電極側の開口径よりも大なテーパ形状を有する第1の収束電極を備えたことである。
また好ましくは、前記第1の収束電極は、前記第1の細孔電極側の開口径が、少なくとも前記第1の中間圧力部に生成されるマッハディスク径以上であり、且つ当該第1の細孔電極側の開口径が、前記第1の中間圧力部に生成されるマッハディスク面よりも前記中間細孔電極側となるように配置されることである。
また好ましくは、前記第2の中間圧力部に、円筒形状を有し、且つ前記第2の細孔電極側の端部を鋭角化した第2の収束電極を有することである。
上記に示す本発明の特徴構成である第1の収束電極、あるいは第2の収束電極の存在により、イオンの透過性を飛躍的に向上させることができる。また、これら収束電極の配置位置により、クラスタイオンの脱溶媒を十分に行うことが出来、中性分子や液滴によるクラスタイオンをできるだけ低減することができる。
発明を実施するための最良の形態
以下図面を使って、本発明の実施の形態を説明する。
ここでは、大気圧イオン源として、針電極によるコロナ放電を利用した大気圧化学イオン化法(APCI)を例として示す。
又、本発明は、液体クロマトグラフから流出した試料液を配管を通し、金属製キャピラリーが設けられたエレクトロスプレー型大気圧イオン源に送り、帯電液滴を生成し、静電噴霧現象を利用した帯電液滴が直接生成するエレクトロスプレー型大気圧イオン源(ESI)でも適用可能である。
混合試料の分離手段としては、カラムに詰まった充填剤を利用する液体クロマトグラフを使用することも可能である。又、毛細管を用いて電気泳動により分離を行うキャピラリー電気泳動を用いることも可能である。又、本発明は、試料溶液を連続的に導入するフローインジェクション分析にも同様に適用可能である。
第1図は、本発明の差動排気室を適用した装置の全体構成を示した図である。
水分,液滴を含む試料はイオン化室:10に導入され、その一部は第一細孔:41に取り込まれ、残りは排出口から排出される。前記イオン化室:10に導入される流量は約1〜21/min程度である。これらの流量はマスフローコントローラにて設定しても良い。イオン化室:10に導入された試料は、第一細孔体:4と高電圧を印加した針電極:1間で生成するコロナ放電域にてイオン化され、前記第一細孔:41に取り込まれる。前記針電極:1に印加される電圧は、正イオンを生成させる場合には1〜6kV程度、負イオンを生成させる場合には−1〜−6kV程度であり、Hv電源:110から定電圧あるいは定電流方式にて供給する。前記第一細孔体:4と高電圧を印加した針電極:1の間で生成するコロナ放電域にて前記試料はイオン化・分子反応する。
コロナ放電部の耐久性や安定性を確保するため、針電極:1が位置するイオン化部に、別途ドライエアー,アルゴン等の純粋ガスをイオン化部に供給する手段を備えた。
針電極:1は、針ホルダー管:11先端に固定し、針ホルダー管:11の一端にはバックガス供給管:12を連結し、他端には電源を供給するためのHV端子:13具備している。
バックガス供給管:12の先端には、外部からドライエアー,アルゴン等のガスを供給するバックガス接続管の量を制御するフローメータと可変絞り機器等が具備される。
かかる構成においては、ドライエアー,アルゴン等の純粋なガスが、針ホルダー管:11内を介して、常時平行流として針電極:1の先端部に供給され、特に、供給流体がドライエアーの場合は、コロナ放電域に一次イオン化の種源である酸素を連続供給できるので、試料ガス中の酸素濃度に依存しない一定の一次イオンを生成できる。このため、コロナ放電が安定する。又、この供給ガスは最も高温である針先部を隔離するシルードガスの役目をしているので、益々安定化すると共に、針電極:1の腐食防止が可能である。
次に、これらのイオン化した分子を後述する差動排気室の初段に取りこめれば良いわけであるが、差動排気室の初段部の第一細孔:41の径は、大きい程良い。ただし、一般には、差動排気室に具備するポンプの排気能力には限界があるので、通常その圧力が、1〜50Torr程度となるように設定する。
上述の如く、生成した正、或いは負イオンは、第一細孔:41に取りこまれる。本発明では、第一細孔:41に取りこまれたイオンを徐々に低圧力化した真空室を通過させて、高真空室の質量分析部(室)に導入する排気系の形状や配置に対し、よりイオンの透過性を向上でき、かつ試料内に含まれる水分や液滴の影響から生じるクラスタイオンの影響を除去するのに好適な差動排気室の構成を達成している。
以下、第1図,第2図を参照しながら差動排気室を説明する。
大気圧下でイオン化された試料イオンは、差動排気室の第一細孔:41を通して大気圧より低い圧力の初段の低真空室(第一室:50,圧力P1)に入射する。この時、気体分子は超音速の噴流となり、第一室:50の圧力(P1)に依存する衝撃波が生じ、マッハディスク面(dB1)が生じる。(第2−2図参照)
即ち、大気圧から第一細孔:41を通して第一室:50入射した気体分子は、断熱膨張により急激に冷やされ、マッハディスク面(dB1)で断熱圧縮され、急激に過熱される。
このような衝撃波の形状に関しては、日本機械学会論文集(B編)50巻449号(昭和59−1)の223−240頁に詳述されているように、衝撃波の径(マッハディスク径)dB,マッハディスク面の位置Xmを求める実験式が次式のように得られている。
dB=0.78*d1*(P0γ/P1)0.41 ……(1)
Xm=0.28*d1*(P0/P1)0.68 ……(2)
ここで、P0は大気圧、P1は第一室内:50の圧力、d1は第一細孔径:41を表す。又、分子の圧力に対応するその平均自由行程とクヌッセン指数は下記の式で表せる。
λ=0.05/Pi ……(3)
Kn=λ/di(クヌッセン数:分子流,粘性流の指標) ……(4)
Kn<1 ノズルビーム流(粘性流)
Kn>=1 分子流
ここで、Piはある真空室の圧力、diは具備される細孔径を表す。
式(3)は、差動排気室内の分子の平均自由行程を示し、圧力の関数で示される。更に、ノズルビーム流と分子流の区別指標として、式(4)に示すようにクヌッセン数(Kn)がある。Kn<=1の条件では、ガスをノズル等の細孔から真空中に噴出すると、ガス中の分子どうしが互いに衝突しながら断熱膨張する。断熱膨張が終わるところでは分子間の衝突はなくなり、細孔を通して分子流として取り出せることを示唆している。
前記式(1),(2)により、第一室の衝撃波dB及びマッハディスクの生成位置Xmは、第一細孔d1及び低真空室内圧力P1に依存することが分かる。
この衝撃波の内側、つまり噴流域内では、イオンや他の分子は急激に冷却され、水分やアルコールなどの溶媒分子がイオンに付加し、クラスタイオンが生成される。このようなクラスタイオンが発生したまま質量分析されると、本来のイオンの分子量情報が得られないという問題が発生する。
この時、一般的にはこのようなクラスタイオンに付加した水やアルコールなどの分子を取り除く脱溶媒作業が必要となる。
しかし、上述の如く、断熱膨張によって冷却された分子流は、マッハディスク面で断熱圧縮され、急激に過熱される。このため、噴霧流領域内では分子間の衝突が少なくなるため、効率的に液滴を気化することはできない。しかし、第一細孔:41両側の圧力比と第一細孔:41の径に関係したこの噴霧流領域をできるだけ小さくしその噴流形態が自由噴流になる位置に、第一細孔:41を設置することで、自動的に液滴を効率的に気化することができ、クラスタイオンの脱溶媒が促進されるようにすれば良い。
このため、第一細孔:41の後方に配置される中間細孔:51の位置は、第一細孔:41との間隔が、式(2)で求まるマッハディスク面Xmが形成される位置以上となるように設定することにより、脱溶媒の機能を促進させることができる。しかも、この方法は特別なエネルギー供給などが不要であり、最も容易に達成可能である。
一方、このマッハディスク面の後方では、分子の流れが自由噴流(分散)となり、中間細孔:51に入射するイオン量が減少するという懸念が残る。従って、生成される衝撃波の形状に基づいて、イオンの脱溶媒が促進され、且つ中間細孔:51へのイオン入射量が向上するように、細孔径,位置,圧力(P1)を最適化する必要がある。
種々実験した結果、中間細孔:51の径を第一細孔:41の径の概ね3倍以上とすると、中間細孔:51の径が増加するに従って、透過率が向上することが分かった。これは、式(1)に示すように、第一室:50の圧力室に生成される噴流の大きさdB(マッハディスク径)は、圧力が変化しても、d1の値の2.4〜4.6倍の大きさとなるため、それに合わせて、中間細孔:51の径を大きく設定することにより、イオンの透過率が向上するものである。
又、第一室:50に生成されるマッハディスク面の位置Xm、即ち、第一細孔:41からマッハディスク面までの距離は、式(2)によると、第一室:50の圧力が高くなるほど短くなる。従って、第一室:50に生成されるマッハディスク面の位置Xmは、第一室:50の圧力P1が比較的高い場合はXmが短い。一方、圧力が低い場合には、Xmがはるかに大きな値となり、マッハディスク面の後方で分子流の分散が顕著になり、中間細孔:51に入射するイオン量が減少する。
更に、第一細孔:41から中間細孔:51までの距離が長いと、中性ガスとの衝突によって、イオンの運動エネルギーが消費され易く、中間細孔:51までイオンが到達しにくくなり、低真空室の圧力依存性が高くなる。
従って、中間細孔:51の第一細孔:41からの距離は、式(2)より求められるXm以上で、且つ第一細孔:41の径の20から40倍以下の距離に設定することにより、第一室:50内の圧力やマッハディスク面の生成位置に対するイオン透過率の依存性が低減できるため、安定した高いイオン透過率が得られる。
かかる構成法を逐次差動排気室の各室に適用していけば良いのであるが、前述の如く、徐々により低圧力化していくため、その開口径は大きくなり、付加するポンプの排気能力は増大する方向にあり、得策でない。
又、質量分析部の圧力は概ね、1×10−6〜1×10−4Torrの圧力が必要であり、この圧力域では、イオンは指向性に優れ、且つ電界によって容易にその軌道を制御できる分子流として取り出せる。
従って、本発明では、差動排気室の最終段室(第二室:60)まで逐次イオンビーム流(噴出流)として取りだし、且つ電界扶助により収束させ、その開口径からイオンの分子流を質量分析部に噴出する方法としている。かかる方法では、差動排気室の最終段の圧力と噴出する径を決定する必要があるが、式(4)により概ね決定可能である。
式(4)より、diは、ポンプの実用上の排気能力と質量分析部の圧力からφ0.2〜1.5mmが限度である。このため、かかる径域でのノズルビームと分子流との境界圧力は式(3)から類推すると、約0.25〜0.03Torrとなる。この値が、差動排気室の最終段の室の圧力設定値であり、差動排気室の初段の圧力(1Torr〜50Torr)に対して、マッハディスク径(dB)の径とその位置を逐次決定することにより、イオン透過量が減衰しない差動排気室を構成することが可能である。
かかる設定パラメータを種々実験・計算した結果、差動排気室は、大気圧イオン源側(初段部分)と質量分析部側(終段部分)の少なくとも2室以上に分割し、差動排気室における初段部分の圧力は1〜50Torr、終段部分の圧力は0.25〜0.03Torrとし、差動排気室間の圧力減衰率を1/10〜1/100とすることにより、クラスタイオンを除去出来、且つ高いイオンの透過量が得られた。
第1図は、かかる指標をもとに、2室で構成した差動排気部の構成を示した図であり、第2−2図は特にその流体の挙動(流線軌道)のみを模式的に示したものである。
かかる構成において、第一室:50の圧力は約3〜5Torrとし、第二室:60の圧力の減衰比を1/10程度に設定することにより、イオンを約φ0.2〜0.6の収束したイオンビーム流として取り出せた。このイオンビームはスキマー:811から噴出し、質量分析室:80にて分子流となる。
高圧力下では粘性流的な挙動をしていたイオンビーム流は、圧力が低下していくと、平均自由行程が長くなっていく。この時、イオンを加速する方向に電界を生成すると、イオンは電界中を加速飛行し、中性分子との衝突を繰り返すようになる。この衝突により、水分子など脱離させることができると共に、前述のイオン化部の如く、その収束性も圧力が低くなるに従って良くなる方向である。
そこで、差動排気室の各室を形成する第一細孔体:4,中間細孔体:5,第二細孔体:6にイオン加速電界を生成するため、ドリフト電源発生部:130から、各細孔体に各々電圧を印加する。ここで、イオンが正イオンの場合は、第一細孔体:4>中間細孔体:5>第二細孔体:6となるように、イオンが負の場合は、第一細孔体:4<中間細孔体:5<第二細孔体:6となるように印加している。
上記に示した構成でもイオンの収束性(又は透過量)は向上しているが、本発明では、イオンの収束性を更に向上するために、第一室:50(第一細孔:41と中間細孔:51の間)内に、別途、収束電極1:7を具備して、その収束性を高めている。
つまり、第2−1図に示す如く、収束電極1:7は、一方の開口端部(入口部)を第一細孔:41に対向して設置し、他方の開口端部(出口部)を中間細孔:51の近傍に位置させている。収束電極1:7の入口部側の開口端部の位置は、前述の如く、第一細孔の径:d1と第一室:50の圧力によって決定されるマッハディスク面の位置(Xm)以上の間隙を有する位置であり、その径はマッハディスク径(dB)以上とする。また、出口部側の開口端部は、中間細孔:51の近傍に位置し、その径は少なくとも、中間細孔:51の径(dc)以上であり、入口側開口端部径よりも小さいものとする。すなわち、収束電極1:7の形状は、第一細孔:41に先鋭化したテーパ形状である。
このような収束電極1:7により、第一細孔:41から噴出したイオン噴流は、収束電極1:7に接触することはなく、脱溶媒が行われた後、自由噴流となる(マッハディスク面Xmを生成する)。
第2−2図は、収束電極1:7を排除し、且つ電位V1,V1dを等電位にした場合の噴流の軌跡を模式的に示した図である。かかる場合のイオン透過率は、マッハディスク径(dB)と中間細孔径(dc)の比(dc/dB)で決定され、大半のイオンが中間細孔体:5に吸収されてしまう。
ところが、第2−1図の構成によると、収束電極1:7と中間細孔体:5間の電位分布は、中間細孔:51のコーン形状が転写された分布を呈し、その端部を第一細孔:41からのイオン噴流がマッハディスク面(Xm)を生成する位置まで張り出すことが可能となっている。従って、自由噴流化したイオンは、電位線形状の法線方向(電界)に逐次加速され、中間細孔:51に向って収束されるため、収束性が飛躍的に高まる。
又、図に示すように、収束電極1:7の内面形状をテーパ形状とし、その端部を鋭角化していることにより、中間細孔:51が生成する以上の電位線落差(勾配)を与えられることで、中間細孔:51のコーンの長さを短くすることができる。
付加する加速電位はV1d>V1であり、V1は数V或いは第一細孔体:43と等電位でも良い。これは噴流部でのイオンの加速エネルギーは、電界よりも流体力の方が大きいためである。従って、その電位は最大でも数V程度で十分である。尚、中間細孔体:5と収束電極1:7との間に具備される絶縁スペーサ:72は電気的な絶縁を行うものである。
次に、中間細孔:51を通過した測定イオンは、第二室:60に入射する。第二室の圧力は前述の如く第一室:50に比べてより希薄(低く)に設定し、その自由工程を長くしている。かかる領域は分子流域でもなく流体域でもない遷移流域になっている。このため、第一室:50と同様な噴流の形態と分子流域に見られる発泡形態の混生状態を生じるが、前述の如く、その自由工程が長い分だけ、電界によってその軌道を修正・調整し易いという利点がある。このため、第2−1図に示すように第二細孔:61の形状は、中間細孔:51に対向し、且つそのコーン形の形状を第一細孔:51に比して鋭くし、収束性を高めている。
この収束性を更に改善するためには、コーン形の形状を可能な限り鋭くし、中間細孔:51に近づければ良いのであるが、かかる部分の圧力が前記第一室:50の圧力変動を受けて不定になってしまう。更には、中間細孔体:5と第二細孔体:6間で放電を発生する可能性があり、機器としては極めて不安定になる。そこで、本発明では、第二室:60内に収束電極2:8を具備して、その収束性を高めると共に、放電や圧力変動等の不安定要因を削除できる構成としている。
具体的には、第1図,第2−1図に示すように、第二室:60内に、パイプ形状の収束電極2:8を配置している。この収束電極2:8の第二細孔:61と対向するその端部は、鋭角化し、その鋭角化した端部は、第二細孔:61の円周上に配置している。また、その径は、少なくとも、第二細孔:61の径(d2)以上であり、更には、第一室:50内の圧力と第二室:60内の圧力で決定されるマッハディスク径(dB2)以上とする。またその長さは、マッハディスク面(Xm)が生成される位置以上と成るようにする。
かかる構成では、収束電極2:8と中間細孔体:5間の電位線分布は、第二細孔:61のコーン形状が転写された分布形状を呈し、その端部をマッハディスク面(Xm)が生成される位置まで張り出すことが可能となっている。従って、遷移噴流化したイオンは、電位線形状の法線方向(電界)に逐次加速され、その終端部は第二細孔:61となっており、収束性が高まる。又、図に示すように、収束電極2:8の端部を鋭角化して、中間細孔:51のコーン形状以上の電位線落差(勾配)を与え、その勾配を大きくしている。付加する加速電位は、V1d>V2d>V2であり、V1dとV2dは等電位でも良い。これは遷移流部ではイオンの加速エネルギーは流体力よりも電界の方が大きいためである。従って、その収束度合いは収束電極2:8と第二細孔:61間の電界分布で決定できる。
又、第1細孔:41,収束電極1:7,中間細孔:51の軸を一致させ、更に、収束電極2:8と第二細孔:61,収束電極:8とスキマー:811との軸を一致させている。このため、より安定した高いイオン透過率が得られると同時に、中性分子や液滴の脱溶媒化が促進され、結果として液滴の気化効率が高まる。
尚、第一細孔体:4と第二細孔体:6には、それぞれヒータ:42やヒータ:63を具備して各部位を高温化することにより、中性分子や液滴の脱溶媒化が益々促進され、結果として一層気化効率が高まる。
以上、主として差動排気室の構成について詳細に説明したが、被測定体物によっては正イオン化して測定する場合と、或いは負イオン化して測定する場合があるが、いずれのイオン化でも透過率を向上して且つ同時に脱溶媒する機能は何ら変わらない。かかる場合の実際の計測時には、第1図に示すHV電源:110により針電極の極性を反転し、同時に前記差動排気室の加速電位の極性を反転すれば良い。又、装置の測定シーケンスと同期して、針電源発生部:120とドリフト電源発生部:130とを所定の制御の元に正,負イオン化モードにて交互に、或いは所定の期間で切り替えて測定すれば良い。
前記差動排気部に具備する排気ポンプは、ロータリポンプ,スクロールポンプ、又はメカニカルブースタポンプ,ターボ分子ポンプ等の排気ポンプが適用可能である。第1図の実施例では、第一室:50と第二室:60と質量分析部:80とを独立して排気する構成としている。第一室:50の排気にはスクロールポンプ:210(排気量は300〜9001/min程度)を採用し、第二室:60と質量分析部:80にはスプリットフロー形のターボ分子ポンプ:220(排気量は150〜3001/s程度)を用いている。ターボ分子ポンプ:220の背圧は、連結管:76によりスクロールポンプ:210にて兼用している。尚、中間細孔体:5と第二細孔体:6に設けた孔:52,62はハード的に圧力の設定・調整を行うために具備したものである。
かかる構成では、適用するポンプの排気能力に対応した各室のコンダクタンスを決定することにより、容易に所定の目標圧力値に設定できる。又、スプリットフロー形のターボ分子ポンプのため排気ポンプとしては一つの部品であり、実装空間体積や経済面からも効果がある。
差動排気室の最終段から流出した分子流域のイオンは、先ず質量分析部:80の入口に具備されるスキマー:81により収束され、次に収束レンズ体にて収束する。この前記収束レンズは、通常、3枚(収束レンズ電極:82,83,84)のレンズ電極から成るアインツエルレンズなどが用いられる。
スキマー:81に具備されたスキマー孔:811を通過したイオンは、スリットを具備した収束レンズ電極:82,83,84を通過し、収束される。収束されない中性子などは、収束レンズ電極:84のスリット部分に衝突し、質量分析部側に行きにくい構造となっている。
収束レンズ電極:84を通過したイオンは、多数の開口部を備えた内筒電極:86と外筒電極:85よりなる二重円筒型偏光器により偏光かつ収束される。二重円筒型偏光器では、内筒電極:86の開口部より染み出した外筒電極:85の電界を用いて偏向且つ収束している。
二重円筒型偏光器を通過したイオンは、イオントラップ質量分析部に導入される。前記イオントラップ質量分析部は、ゲート電極:91a,エンドキャップ電極:92,リング電極:94,つば電極:921,絶縁リング:93,イオン取りだしレンズ:91bより構成される。
ゲート電極:91は、イオントラップ質量分析部内に捕捉したイオンをイオントラップ質量分析部外に取り出す際に、外部からイオンが質量分析部内に導入されないようにする役目をする。
前記エンドキャップ電極:92の細孔:92aを通してイオントラップ質量分析部内に導入されたイオンは、イオントラップ質量分析部内部に導入されたヘリウムなどのバファーガスと衝突してその軌道が小さくなった後、エンドキャップ電極:92とリング電極:94間に印加された高周波電圧を走査することによって質量数毎にエンドキャップ電極:92の細孔:92bからイオントラップ質量分析部外に排出され、イオン取り出しレンズ:91bを経て、イオン変換器:101とイオン検出器:102により検出される。前記バッファーガスは、外部に設けたHeガス等のボンベからバックガス供給管:103により連続的に供給される。前記バッファーガスを導入した際のイオントラップ質量分析部内部の圧力は10−3〜10−4Torr程度である。
第2−3図には、本発明と従来技術の信号強度を示す。測定条件は同じとし、その試料は溶媒中にジクロロフェノールを溶解して添加した。図中、縦軸は、相対イオン強度で規格化した相対イオン強度で示し、横軸は時間としている。図に示すように、ジクロロフェノール(負イオン)の信号強度は、より低濃度まで、高いS/N比で測定できていることが明白である。これは、本発明ではイオンの透過性が高く、且つ脱溶媒が十分に行われているからである。
前記イオントラップ質量分析部は、質量分析部制御部により制御される(図示せず)。
イオントラップ質量分析計のメリットの一つは、イオンを捕捉する特性を有するので、試料の濃度が希薄でも溜め込み時間を延ばせば検出できる点にある。従って、試料濃度が低い場合でも、イオントラップ質量分析部のところでイオンの高倍率濃縮が可能となり、濃縮などの試料の前処理を非常に簡便化できる。
第3図に、他の実施例を示す。
第1図の実施例と相違するのは、第一室:50を排気していた排気用ポンプ:210を第二室:60に直結した点である。かかる場合でも、第一室:50の圧力は、中間細孔体:5に具備した孔:52によってコンダクタンスを調整することにより、容易に所定の圧力に設定することが可能であり、イオンの透過率が低下することはない。又、脱溶媒の機能も変化しない。このため、より経済面に優れるという効果がある。
第4図,第5図に、他の実施例を示す。
第1図の実施例と相違するのは、第一室:50に具備する収束電極1:7の中間細孔:51側の端部と、中間細孔:51のコーン形状の先端部分とがオーバーラップし、中間細孔:51の先端部分は収束電極1:7の入り口の方向に突き出た配置としていることである。
又、第二室:60に具備する収束電極2:8が削除され、中間細孔体:5の第二室:60側に、その端部を鋭角化した円筒形突起体:54を一体化した構成としている。
更に、その端部は第二細孔:61の位置より、よりスキマー:81方向に位置させている。
尚、各室の排気構成は前述の第3図の実施例としているが、第1図に例示する単独の排気構成でも良い。
かかる構成でも、イオンの透過率が低下することや、脱溶媒の機能が低下することはないが、更に、部品点数が低減できるので、機器の信頼性の向上と、より経済性に優れるという効果がある。又、第一室:50の噴流域で中間細孔:51のコーン形状の先端部分とがオーバーラップさせて位置させることにより、更に第二室:60の遷移流域でも前記鋭角化した円筒形突起体:54内部に前記第二細孔:61が位置するので、その電位線勾配が大きくなり、より安定した収束性を確保出来、益々透過率が向上するという効果もある。又、前記中間細孔体:5には、圧力調整用のコンダクタンス孔:53を新たに追加することも可能であり、第一室の圧力は一層安定化する。
一方、第5図に示すように、収束電極1:7の中間細孔:51側の端部と、中間細孔:51の先端部を一致させ、更に円筒形突起体:54の端部と前記第二細孔:61の先端部の位置を一致させても良い。かかる構成でも、その電位線勾配が大きくなり、より安定した収束性を確保出来、透過率が向上するという効果がある。
第6図,第7図に、他の実施例を示す。
第1図の実施例と相違するのは、第一室:50に具備する収束電極1:7の形状及び配置位置が相違し、且つ、中間細孔体:5との絶縁を確保するための絶縁スペーサ:72が削除されている。本実施例では、収束電極1:7を薄板の円板で形成し、その内面を図示の如くナイフエッジ化し、且つその配置位置を中間細孔:51側の先端部から隔離して配置している。
又、第二室:60に具備する収束電極2:8が削除され、中間細孔体:5の第二室:60側に、その端部を鋭角化した円筒形突起体:54を一体化した構成としている。更に、その鋭角化した円筒形突起体:54の端部と第二細孔:61の先端部の位置を一致させている。尚、各室の排気構成は前述の第3図の実施例の構成としているが、第1図に例示する単独の排気構成でも良い。
かかる構成でも、イオンの透過率が低下することや、脱溶媒の機能が低下することがないが、更に、収束電極1:7の製作費用がより安価にでき、且つ部品点数が低減できるので、機器の信頼性が向上し、第一室:50の空間体積を増加させることができるので、第一室の圧力がより安定化すると共に、より経済面に優れるという効果がある。
一方、第7図に示すように、円筒形突起体:54部を分離し、円筒形突起体:54と中間細孔体:5とを導電性の接続体:55を介して接続し、同電位に構成することも可能である。この場合は、部品の一体化という長所はなくなるが、本部品のみを単品にて取り扱うことが可能でありメンテナス性が向上するという効果がある。
第8図に、他の実施例を示す。
第1図の実施例と相違するのは、第二室:60に具備する収束電極2:8の形状及び配置位置が相違することである。本実施例では、収束電極2:8を薄板の円板で形成し、その内面を図示の如くナイフエッジ化し、且つその配置位置を第二細孔:61側の先端部から隔離して配置している。
又、図示の如く、収束電極2:8と中間細孔体:5とを導電性の接続体:55を介して接続し、同電位に構成することも可能である。
尚、各室の排気構成は前述の第1図の実施例の構成としているが、第3図に例示する排気構成でも良い。
かかる構成でも、イオンの透過率や、脱溶媒の機能が低下することがないが、更に、収束電極2:8の製作費用をより安価にでき、より経済面に優れるという効果がある。又、本部品のみを単品にて取り扱うことが可能でありメンテナス性が向上するという効果がある。又、第二室:60の空間体積を増加させることができるので第二室の圧力がより安定化するという効果がある。
第9図に、他の実施例を示す。
以上の実施例では、差動排気部内部の噴流,遷移流,分子流の流路は、直線的な流路で構成していた。即ち、第一細孔:41,収束電極1:7,中間細孔:51,収束電極2:8,第二細孔:61,スキマー:81の軸を一致させ、直線的な流路構成としていた。
一方、場合によっては、前処理部の分離・抽出が不十分で、検出すべき測定物が極極微量になり、中性分子の影響が顕著になり、ノイズ成分が増え、S/N比が悪化する場合も有り得る。本来なら本事象時には、再度前処理の分離・抽出をやり直して再測定すればよいが、かかる手法では効率が悪い。このため、計測機器としては出来る限りの手段を具備させ、対処するのが望ましい。本実施例では、かかる事象時にも対応できる構成をとることが可能となっている。
即ち、第9図に示すように、第一室:50(噴流形態)内に具備する第一細孔:41,収束電極1:7と中間細孔:51は同軸上(軸1)に配置し、イオン化した試料を中間細孔:51に収束させ、同時に脱溶媒を行う。この時、噴流内に含まれる中性分子は、自由噴流後にはほぼ平行に進行し、中間細孔体:5で遮蔽されるので、その影響は軽減する。
次に、このイオン流は第二室:60内を通過する。この時、第二室:60内に具備する収束電極2:8と第二細孔:61の軸(軸2)は第一室:50の軸(軸1)と故意に偏芯(図に示す段差:djを有す)させているため、収束電極2:8の面で遮断される。一方、イオン化した測定分子は、前述の実施例の如く、電界で容易に曲げることが出来、且つ第二細孔:61に収束できる。従って、結果として中性分子によるノイズの発生をも低減することができ、極極微量な量を計測する場合にも高いS/N比を有する信号を得ることができるという効果がある。又、収束電極2:8と中間細孔体:5を導電性の接続体:55を介して接続し、同電位に構成することも可能である。
尚、各室の排気構成は前述の第1図の実施例の構成としているが、第3図に例示する排気構成でも良い。また、第一室:50,第二室:60内に具備する各収束電極や中間細孔体の構成は、上述の実施例(第1図,第3図〜第8図)で適用した全ての構成が該当するのは明白である。
第10図に、他の実施例を示す。
第9図の実施例と相違するのは、第9図に比して、新たに第二室:60内に収束電極3:9を具備していることである。収束電極3:9を薄板の円板で形成し、その内面を図示の如くナイフエッジ化し、その配置位置は収束電極2:8と第二細孔:61の間であり、第二細孔:61の先端部の近傍に配置している。尚、収束電極3:9には導電性の接続体:56を介して電圧が供給される。それらの電位関係は、正イオンの場合は、中間細孔体:5(収束電極1:8)>収束電極3:9>第二細孔体:6であり、一方、負イオンの場合は、中間細孔体:5(収束電極1:8)<収束電極3:9<第二細孔体:6とする。
かかる構成では、第二室:60内に入射した遷移流域のイオン流は、先ず中間細孔:5と収束電極2:8の電界にて収束し、更に収束電極3:9にて収束する。この時、収束電極3:9と第二細孔:61の軸(軸2)と、第一室:50の軸(軸1)とは偏芯しているので、測定体に残存する中性分子は収束電極3:9の面で遮断される。一方イオン化した測定分子は、前述の実施例の如く、電界で容易に曲げることが出来、且つ第二細孔:61に収束できる。
従って、結果として中性分子によるノイズの発生をより一層低減することができ、極極微量な量を計測する場合にも高いS/N比を有する信号を得ることができるという効果がある。
又、収束電極3:9と第二細孔体:6を導電性の接続体を介して接続し、同電位に構成することも可能である。
尚、各室の排気構成は前述の第1図の実施例の構成としているが、第3図に例示する排気構成でも良い。また、第一室:50,第二室:60内に具備する各収束電極や中間細孔体の構成は、上述の実施例(第1図,第3図〜第9図)で適用した全ての構成が該当するのは明白である。
第11図に、他の実施例を示す。
第1図の実施例と相違するのは、第一細孔体:4の構成と、試料をイオン化する位置が相違する。前述の実施例では、針電極:1と第一細孔体:4の対向間にてコロナ放電を行い、試料をイオン化していた。本実施例では、図示の如く、第一細孔体:4に球形の凹部面:44を設け、針電極:1の先端部を球形の凹部内に位置させている。更に、前記凹部面には、複数の細孔m:45が追加され、その終端部は第一細孔体2:46に連通する。第一細孔体2:46に具備する孔径は、前記d1と同じくし、第一細孔体:4に密封して取り付けている。
かかる構成では、イオン化室:10に流入した試料は、前記球形の凹部で図示の如くその流線が変化し、前記球形の凹部内に流入する。この時、針電極:1の先端と球形の凹部面では、一様なコロナ放電が発生しており(球形形状のため、広い範囲でその電位分布が均一化しているため)、流入した試料は、この領域内でイオン化される。同時に、第一室:50との圧力勾配により、球形の凹部面に設けられた複数の細孔m:45に取り込まれ、第一細孔体2:46に具備した細孔から第一室:50に噴出する。
かかる構成でも、イオンの透過率や、脱溶媒の機能が低下すことがないが、更に、差動排気室に取り込まれるイオン量を、安定して増やすことができるという効果がある。
尚、各室の排気構成は前述の第1図の実施例の構成としているが、第3図に例示する排気構成でも良い。また、第一室:50,第二室:60内に具備する各収束電極や中間細孔体の構成は、上述の実施例(第1図,第3図〜第11図)で適用した全ての構成が該当するのは明白である。
第12図に、他の実施例を示す。
第1図の実施例と相違するのは、中間細孔体:5が削除され、第一室:50は、第一細孔:41と第二細孔:61間の空間のみで構成し(即ち一室のみ)、収束電極1:7のみを配置した構成としていることである。又、第二細孔:61のスキマー:81側の面には、その端部を鋭角化した円筒形突起体:64を一体化した構成としている。更に、収束電極1:7の第二細孔:61側の端部と、第二細孔:61のコーン形状の先端部分とが近接、或いは、第二細孔:61の先端部分は収束電極1:7の入り口の方向に突き出た配置としている。又、第一室:50の排気は、収束電極1:7と第二細孔:61間に形成される流路のみから排気する構成としている。
又、第一細孔体:4,収束電極1:7,突起体:64,第二細孔体:6,第二細孔:61は、図示の如く、その軸は直線(同軸)上に配置し、それらの電位関係は、正イオンの場合は、第一細孔体:4>収束電極1:7>第二細孔体:6であり、一方負イオンの場合は前記第一細孔体:4<収束電極1:7<第二細孔体:6としてある。
かかる構成でも、イオンの透過率や、脱溶媒の機能が低下すことがないが、更に、部品点数が低減できるので機器の信頼性の向上と、より経済面に優れるという効果がある。
又、第一室:50の噴流域で、収束電極1:7の端部と第二細孔:61のコーン形状の先端部分とをオーバーラップさせて位置させることにより、その電位線勾配が大きくなり、且つその噴流の方向は、第二細孔:61の先端部に向かってその流路が形成されるので、より安定した収束性を確保出来、透過率が向上するという効果がある。
一方、図示は省略するが、前述の第5図の実施例に示すように、第二細孔:61のコーン形状の先端部分と収束電極1:7の先端部を一致させ、更に円筒形突起体:64の先端部とスキマー:811の先端部の位置を一致させても良い。かかる構成でも、その電位線勾配が大きくなり、より安定した収束性を確保出来、透過率が向上するという効果がある。
第13図に、他の実施例を示す。
第12図の実施例と相違するのは、第二細孔:61のスキマー:811側の面に、中空円板の内面の端部を鋭角化した円板形電極:65を具備する構成としていることである。
更に、収束電極1:7の第二細孔:61側の端部と、第二細孔:61のコーン形状の先端部分とが近接、或いは、第二細孔:61の先端部分が収束電極1:7の入り口の方向に突き出た配置としている。又、第一室:50の排気は、収束電極1:7と第二細孔:61間に形成される流路のみから排気する構成としている。
円板形電極:65は、第8図,第9図に示すように、第二細孔体:6に導電性の接続体にて取り付けても良いし、或いは第10図に示すように、別途新たな接続体にて取り付けても良い。但し、収束電極1:7と前記第二細孔:61との軸(軸1)と、円板形電極:65とスキマー:81との軸(軸2)は偏芯(図に示す段差:djを有す)して配置する。これは、測定体に残存する中性分子を円板形電極:65の面にて遮断するという機能をより向上させるためである。
又、第一室:50の噴流域で、収束電極1:7の端部と第二細孔:61のコーン形状の先端部分とをオーバーラップさせて位置させることにより、その電位線勾配が大きくなり、且つその噴流の方向は、第二細孔:61の先端部に向かってその流路が形成されるので、より安定した収束性を確保できる。
かかる構成でも、イオンの透過率や、脱溶媒の機能が低下することがないが、更に、部品点数が低減できるので機器の信頼性の向上と、より経済面に優れるという効果がある。
又、結果として中性分子によるノイズの発生をより一層低減することができ、極極微量な量を計測する場合にも高いS/N比を有する信号を得ることができるという効果がある。
一方、図示は省略するが、前述の第12図の実施例に示すように、第二細孔:61のコーン形状の先端部分と収束電極1:7の先端部を一致させてもその機能は変わらない。更に、円板形電極:65の先端部と前記スキマー:81の先端部の位置を一致させても良い。かかる構成でも、その電位線勾配が大きくなり、より安定した収束性を確保出来、透過率が向上するという効果がある。
以上の前述の差動排気室の構成においては、適用する排気ポンプの能力と各室に具備される各細孔径や、コンダクタンスの調整孔にて第一室:50と第二室:60の圧力を設定していたが、前記各排気ポンプと前記各室(50,60)とを連通するパイプ等の部品に圧力可変機構を設けて、そのコンダクタンスを変えることも可能である。これによって、外部からでも容易に前記各室の圧力を調整することができ、メンテナスや調整作業が省力化できるという効果がある。
又、前記質量分析計には、イオントラップ質量分析計を用いた場合の実施例に関して説明してきたが、本発明は4本のロッドに高周波電場を加えて質量分析を行う四重極質量分析計や、磁場内での質量分散を利用して質量分析を行う磁場型質量分析計や或いは他の質量分析計を用いた場合でも同様に適用でき、上述したのと同様な効果を期待できることは言うまでもない。
以上に示すように、本発明によれば、イオンを効率よく収束させることが出来、且つ試料体内に含まれる中性分子や液滴によるクラスタイオンを低減できることから、測定イオンの収束率を向上し、且つ、S/N比の高い微量分析が達成できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の全体構成図である。
第2−1図は、収束電極を備えた場合のインターフェイス部(差動排気室)の構成と、電位線分布,流線分布を示す図である。
第2−2図は、収束電極を備えていない場合のインターフェイス部(差動排気室)の構成と、電位線分布,流線分布を示す図である。
第2−3図は、本発明と従来例の出力例を示すグラフである。
第3図は、本発明の他の実施例を示す全体構成図である。
第4図は、本発明の他の実施例を示す全体構成図である。
第5図は、本発明の他の実施例を示す全体構成図である。
第6図は、本発明の他の実施例を示す全体構成図である。
第7図は、本発明の他の実施例を示す全体構成図である。
第8図は、本発明の他の実施例を示す全体構成図である。
第9図は、本発明の他の実施例を示す全体構成図である。
第10図は、本発明の他の実施例を示す全体構成図である。
第11図は、本発明の他の実施例のインターフェイス部(差動排気室)を示す断面図である。
第12図は、本発明の他の実施例を示す全体構成図である。
第13図は、本発明の他の実施例のインターフェイス部(差動排気室)を示す断面図である。

Claims (17)

  1. 略大気圧下で試料をイオン化するイオン化部と、当該イオン化部よりも低圧に維持された第1及び第2の中間圧力部と、当該中間圧力部よりも低圧に維持され、且つイオンを質量分析する質量分析手段が配置された高真空部と、前記イオン化部と前記第1の中間圧力部間に配置された第1の細孔電極と、前記第1の中間圧力部と前記第2の中間圧力部間に配置された中間細孔電極と、前記第2の中間圧力部と前記高真空部間に配置された第2の細孔電極を有し、前記イオン化部で生成されたイオンを前記第1の細孔電極,前記中間細孔電極、及び前記第2の細孔電極を介して高真空部に導き、質量分析を行う質量分析装置において、
    前記第1の中間圧力部に、前記第1の細孔電極側と前記中間細孔電極側に開口を有し、且つ前記第1の細孔電極側の開口径が前記中間細孔電極側の開口径よりも大なテーパ形状を有する第1の収束電極を備えたことを特徴とする質量分析装置。
  2. 請求項1において、
    前記第1の収束電極は、
    前記第1の細孔電極側の開口径が、少なくとも前記第1の中間圧力部に生成されるマッハディスク径以上であり、
    且つ当該第1の細孔電極側の開口径が、前記第1の中間圧力部に生成されるマッハディスク面よりも前記中間細孔電極側となるように配置されることを特徴とする質量分析装置。
  3. 請求項1において、
    前記第2の中間圧力部に、円筒形状を有し、且つ前記第2の細孔電極側の端部を鋭角化した第2の収束電極を有することを特徴とする質量分析装置。
  4. 請求項3において、
    前記第2の収束電極は、
    その内径が、少なくとも前記第2の中間圧力部に生成されるマッハディスク径以上であり、
    且つ当該第2の細孔電極側の開口径が、前記第2の中間圧力部に生成されるマッハディスク面よりも前記第2の細孔電極側に延設して配置されることを特徴とする質量分析装置。
  5. 請求項3において、
    前記第2の収束電極は、前記中間細孔電極と一体化して形成されることを特徴とする質量分析装置。
  6. 請求項2及び4において、
    前記第1の収束電極は、
    前記中間細孔電極側の開口径が、前記中間細孔電極に具備される細孔の位置よりも前記第2の細孔電極側に張り出して配置され、
    前記第2の収束電極は、
    前記第2の細孔電極側の開口径が、前記第2の細孔電極に具備される細孔の位置よりも前記高真空部側に張り出して配置されることを特徴とする質量分析装置。
  7. 請求項1及び3において、
    前記第1の収束電極及び前記第2の収束電極は、中空の円板で形成されることを特徴とする質量分析装置。
  8. 略大気圧下で試料をイオン化するイオン化部と、当該イオン化部よりも低圧に維持された第1及び第2の中間圧力部と、当該中間圧力部よりも低圧に維持され、且つイオンを質量分析する質量分析手段が配置された高真空部と、前記イオン化部と前記第1の中間圧力部間に配置された第1の細孔電極と、前記第1の中間圧力部と前記第2の中間圧力部間に配置された中間細孔電極と、前記第2の中間圧力部と前記高真空部間に配置された第2の細孔電極を有し、前記イオン化部で生成されたイオンを前記第1の細孔電極,前記中間細孔電極、及び前記第2の細孔電極を介して高真空部に導き、質量分析を行う質量分析装置において、
    前記第1の中間圧力部に、前記第1の細孔電極側と前記中間細孔電極側に開口を有し、且つ前記第1の細孔電極側の開口径が前記中間細孔電極側の開口径よりも大なテーパ形状を有する第1の収束電極を備え、
    前記第2の中間圧力部に、開口を有する円板上の第2の収束電極を備え、
    前記中間細孔電極と前記第2の細孔電極は、その中心軸をずらして配置され、
    前記第2の収束電極の中心軸は前記第2の細孔電極の中心軸に合わせて配置されることを特徴とする質量分析装置。
  9. 略大気圧下で試料をイオン化するイオン化部と、当該イオン化部よりも低圧に維持された第1及び第2の中間圧力部と、当該中間圧力部よりも低圧に維持され、且つイオンを質量分析する質量分析手段が配置された高真空部と、前記イオン化部と前記第1の中間圧力部間に配置された第1の細孔電極と、前記第1の中間圧力部と前記第2の中間圧力部間に配置された中間細孔電極と、前記第2の中間圧力部と前記高真空部間に配置された第2の細孔電極を有し、前記イオン化部で生成されたイオンを前記第1の細孔電極,前記中間細孔電極、及び前記第2の細孔電極を介して高真空部に導き、質量分析を行う質量分析装置において、
    前記第1の中間圧力部に、前記第1の細孔電極側と前記中間細孔電極側に開口を有し、且つ前記第1の細孔電極側の開口径が前記中間細孔電極側の開口径よりも大なテーパ形状を有する第1の収束電極を備え、
    前記第2の中間圧力部に、開口を有する円板状の第2の収束電極と第3の収束電極を備え、
    前記中間細孔電極と前記第2の細孔電極は、その中心軸をずらして配置され、
    前記第2の収束電極の中心軸は前記中間細孔電極の中心軸に合わせて配置され、前記第3の収束電極は前記第2の細孔電極の中心軸に合わせて配置されることを特徴とする質量分析装置。
  10. 略大気圧下で針電極からのコロナ放電によって試料をイオン化するイオン化部と、当該イオン化部よりも低圧に維持された中間圧力部と、当該中間圧力部よりも低圧に維持され、且つイオンを質量分析する質量分析手段が配置された高真空部と、前記イオン化部と前記中間圧力部間に配置され、イオンが通過する細孔を備えた細孔電極体を有する質量分析装置において、
    前記細孔電極体は、
    前記イオン化部側に球形の凹部を有し、
    前記針電極は、その先端が前記凹部内に位置するように配置されることを特徴とする質量分析装置。
  11. 請求項10において、
    前記細孔電極体は、
    イオン化部側に複数の細孔を有し、中間圧力部側に一つの細孔を有し、
    前記イオン化部側の複数の細孔が、前記中間圧力部側の一つの細孔に連通するように構成されたことを特徴とする質量分析装置。
  12. 略大気圧下で試料をイオン化するイオン化部と、当該イオン化部よりも低圧に維持された中間圧力部と、当該中間圧力部よりも低圧に維持され、且つイオンを収束する静電レンズとイオンを質量分析する質量分析手段が配置された高真空部と、前記イオン化部と前記中間圧力部間に配置された第1の細孔電極と、前記中間圧力部と前記高真空部間に配置された第2の細孔電極を有し、前記イオン化部で生成されたイオンを前記第1の細孔電極、及び前記第2の細孔電極を介して高真空部に導き、質量分析を行う質量分析装置において、
    前記中間圧力部に、前記第1の細孔電極側と前記第2の細孔電極側に開口を有し、且つ前記第1の細孔電極側の開口径が前記第2の細孔電極側の開口径よりも大なテーパ形状を有する収束電極を備えたことを特徴とする質量分析装置。
  13. 請求項12において、
    前記収束電極は、
    前記第1の細孔電極側の開口径が、少なくとも前記第1の中間圧力部に生成されるマッハディスク径以上であり、
    且つ当該第1の細孔電極側の開口径が、前記第1の中間圧力部に生成されるマッハディスク面よりも前記中間細孔電極側となるように配置されることを特徴とする質量分析装置。
  14. 請求項12において、
    前記第2の細孔電極の前記高真空部側に、開口を有する円板状電極を備え、
    前記第2の細孔電極と前記静電レンズは、その中心軸をずらして配置され、
    前記円板状電極の中心軸は前記静電レンズの中心軸に合わせて配置されることを特徴とする質量分析装置。
  15. 略大気圧下で試料をイオン化するイオン化部と、当該イオン化部よりも低圧に維持された第1及び第2の中間圧力部と、当該中間圧力部よりも低圧に維持され、且つイオンを質量分析する質量分析手段が配置された高真空部と、前記イオン化部と前記第1の中間圧力部間に配置された第1の細孔電極と、前記第1の中間圧力部と前記第2の中間圧力部間に配置された中間細孔電極を有し、前記イオン化部で生成されたイオンを前記高真空部に導いて質量分析を行う質量分析装置において、
    前記第1の中間圧力部に、前記第1の細孔電極側と前記中間細孔電極側に開口を有する第1の収束電極を有し、
    当該第1の収束電極の第1の細孔電極側の開口部と前記第1の細孔電極の間隙が、前記第1の細孔電極の細孔径と、前記第1の中間圧力部の圧力と、大気圧の値によって定まる距離以上となるように配置されるであることを特徴とする質量分析装置。
  16. 請求項15において、
    前記第1の収束電極の第1の細孔電極側の開口部の大きさは、前記第1の細孔電極の細孔径と、前記第1の中間圧力部の圧力と、大気圧の値によって定まる径以上であることを特徴とする質量分析装置。
  17. 請求項16において、
    前記第1の収束電極は、前記第1の細孔電極側の開口径が前記中間細孔電極側の開口径よりも大なテーパ形状を有することを特徴とする質量分析装置。
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