JPH07260765A - 質量分析装置 - Google Patents
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Abstract
で生成したイオンを差動排気部を通して効率良く質量分
析計に導入する。 【構成】液体クロマトグラフ1で分離した試料をイオン
源3中のキャピラリー4から静電噴霧してイオン化し、
ノズル7とスキマー9とを介して質量分析計が設置され
た真空部に導入する。スキマー9直後の真空のそれほど
良くないところではイオンを低加速し、イオンをスキマ
ーから遠くに輸送した後の高真空部でイオンを高加速し
て、質量分析計に導入し、質量分析を行う。 【効果】イオンと中性分子との衝突によるイオンの開裂
を少なくして、イオンを効率良く質量分析することがで
きる。
Description
特に液体中に存在する試料をイオン化して質量分析計に
導入するのに適した質量分析装置に関する。
しい分離分析装置として液体クロマトグラフィー/質量
分析法(Liquid Chromatography/Mass Spectrometry、
以下LC/MSと略する)やキャピラリー電気泳動/質
量分析法(Capillary Electrophoreisis/Mass Spectrom
etry、以下CE/MSと略する)が有望視されている。
図9に、従来のLC/MSの構成図を示す。LC/MS
は、液体クロマトグラフの検出器に質量分析計を用いる
分析装置である。図9は質量分析計として磁場型質量分
析計を用いた従来例であるが、四重極質量分析計、イオ
ントラップ質量分析計、イオンサイクロトロン質量分析
計、飛行時間差質量分析計などの他の質量分析計を用い
ることも可能である。一般に、LC/MSでは次のよう
にして測定を行う。液体クロマトグラフ1により分離さ
れて出てくる溶液中の試料は、順次イオン源22に導入
される。ここで、イオン化されて試料のイオンとなる。
生成したイオンは真空ポンプ23a、23b、23c、
23dで排気された電場24、磁場25からなる磁場型
質量分析部に導入されて質量分離される。質量分離され
たイオンは検出器26で検出される。検出信号は増幅器
27で増幅された後、データ処理装置28に送られ質量
分析される。
液中の試料を扱うのに対して、質量分析計は真空中のイ
オンを扱っている。このため、LC/MSの開発のポイ
ントは、液体クロマトグラフ1から溶出した試料溶液を
いかにイオン化するかである。これまでいくつかのイオ
ン化方法が提案されてきた。その代表的なものには、特
開昭60−41747号、特開昭60−41748号に
記載のようなエレクトロスプレー法がある。エレクトロ
スプレー法では、図10に示すような装置が用いられ
る。この装置では、適当なポンプで押し出された試料溶
液をエレクトロスプレーイオン源3内のキャピラリー4
に導入する。通常、このキャピラリーは金属製である。
このキャピラリー4と対向電極60との間に数kVの電
圧を印加すると、キャピラリー先端で試料溶液がコーン
状態になりその先端から微小液滴が多数生成する静電噴
霧現象が起こる。
素などのガスを導入すると、対向電極60に開けた穴か
ら吹き出したガスによって、微小液滴が気化し、その過
程でイオンが生成される。このイオンは、ノズル7とス
キマー9で囲まれ荒引き用真空ポンプで排気された差動
排気部11に入り、スキマー9を通過して高真空下の質
量分析部に導入され、質量分析される。
加速電圧が用いられる磁場型質量分析計に装着する場
合、次のような問題があった。エレクトロスプレー法に
より生成したイオン、微小液滴および中性分子は、差動
排気部11(圧力は10-3Torr以上)のスキマー9
を通過して質量分析部のある真空中(圧力は10-3To
rr以下)に吹き込む。図11に、スキマー9から取り
込まれたイオン29と中性分子30の挙動を示す。イオ
ン29がスキマーを通過した直後に高い加速電圧により
加速されると、イオン29は高い運動エネルギーをも
ち、残留する中性分子30と衝突する。このとき、イオ
ンの運動エネルギーが内部エネルギーに変換される。変
換された内部エネルギーが大きくイオンが有機分子のイ
オンである場合には、有機分子のイオンの開裂が起こる
という問題がある。特に、生成するイオンが多価イオン
(電荷の数が多いイオン)である場合には問題となる。
例えば、同じイオン加速電圧でも、3価のイオンの得る
運動エネルギ−は1価のイオンに比較して3倍となる。
このため、3価のイオンは大きなエネルギ−で中性分子
と衝突し、イオンが開裂しやすくなる。事実、ペプチド
の一種のブラディキニンは、イオン加速電圧(例えば、
10V)が低い四重極質量分析計を用いると、エレクト
ロスプレ−法により三個のプロトンがブラディキニンに
付加した3価のイオンが強く観測される。しかし、イオ
ン加速電圧(例えば、4000V)が高い磁場型質量分
析計を用いて、この3価のイオンを4000Vで一挙に
加速して質量分析部に導入すると、この3価のイオン
は、ブラディキニンが分解して生じるイオンにまで一挙
に開裂する。従って、イオン加電圧が高い場合には、ブ
ラディキニンの分子量を決定するのが困難であった。
る方法が、アメリカ質量分析学会で発表された(The 39
th ASMS Conference on Mass Spectrometry and Allied
Topics, p.244, 1991)。図12に、この方法で用いら
れたエレトロスプレーイオン源と差動排気部に印加され
た電圧を示す。荒引きポンプで排気された第一差動排気
部51(圧力は10-3Torr以上)に加えて、もう一
段ターボ分子ポンプで排気された第二差動排気部52
(圧力は10-4Torr台)が設けらている。
多いため、イオンは中性分子と多数回衝突を繰り返す。
第一差動排気部51でのイオンの加速は無視できる程度
である。このため、イオンはスキマー9bとスリット5
3との間の電圧の差によって実質的に加速される。従っ
て、イオンの加速電圧はスキマー9bとスリット53と
の間の電圧の差となる。
オン加速電圧が例えば4000Vである場合、スキマー
9bとスキマー9cとの間に電圧を200V印加し、真
空が10-4Torr台の第二差動排気部52でのイオン
の加速は低くされる。残りの3800Vをスキマー9c
とスリット53との間に印加し、イオンと中性分子との
衝突が少ないスキマー9c以降の領域(圧力は10-6T
orr以下)で加速して、イオンと中性分子との衝突に
よるイオンの開裂を少なくしている。
つ設ける方法では、従来の装置に新たに差動排気部を設
ける必要があり、装置が大型化し、複雑化するという問
題がある。また、新たに設けた差動排気部でイオンの透
過率が大幅に落ち、感度が大幅に低下する問題もある。
ることなく、イオンと中性分子との衝突によるイオンの
開裂を少なくして、イオンを効率良く質量分析計に導入
するイオン加速を達成できる質量分析装置を提供するこ
とにある。
に本発明では、大気圧またはこれに準じた圧力下で試料
をイオン化して供給するイオン化部と、真空下において
イオン化部で生成したイオンを検出し分析する質量分析
計と、イオンをイオン化部から真空下に取り込むため細
孔を有する差動排気部とを備えた質量分析装置におい
て、イオン化した試料のイオンを質量分析計に導入する
ための電圧がそれぞれ印加された複数の加減速用電極を
有する加速収束部を備えたことを特徴とする。
電圧が独立して印加される。また、加減速用電極は、イ
オンが質量分析計が設置された空間に導入される際に通
過する差動排気部の細孔の近くに設けられ電圧を固定さ
れた第一の加減速用電極(以下「イオン引出電極」とい
う)を含んでもよい。さらに、加減速用電極は、イオン
を加速または減速してイオンが収束する距離を調節する
ために、電圧を変化させて印加された少なくとも一つの
加減速用電極を含んでもよい。
源を構成するハウジングであってもよい。加速収束部と
質量分析計との間に、静電電極またはイオンを偏向する
電極を配置してもよい。また、加減速用電極のうち少な
くとも一つが円筒状の電極であってもよい。これらの円
筒状の電極はガス抜き穴が設られた円筒状、または少な
くとも疎の一部がメッシュが設られた円筒状の電極であ
ってもよい。
手段を設けて加減速用電極を加熱してもよい。
状にしてもよい。この先端が、差動排気部の細孔から所
定の距離より短い位置に設け、イオン引出電極の質量分
析部側の他の先端が、前記所定の距離より長い位置に設
けてもよい。この所定の距離を、0.67×(前記細孔
の内径)×(√((前記差動排気部の圧力)/(前記の
複数の加減速用電極が存在する領域の圧力)))で決定
される距離とし、差動排気部の細孔とイオン引出電極と
の間の電界強度を、0(V/cm)から2000(V/
cm)の範囲に設定するのが好ましい。
んで構成してもよく、加減速用電極の材質が金属であっ
てもよい。
を調整することにより、新たに差動排気部を設けること
なく、圧力が10-3Torr以上の差動排気部の細孔か
ら導入された直後はイオン化された試料を低い電圧で加
速して、差動排気部の細孔から離れた距離まで輸送し、
圧力が10-6Torr以下の真空度の良いところでイオ
ンを高加速することができる。
細孔からイオン化された試料を高真空領域に引き出した
直後は、残留する中性分子が多い。このため、細孔とイ
オン引出電極の間では低い電圧でイオンを引き出す。そ
の後、引き出した試料を、円筒電極により10-6Tor
r以下の高真空のところまで加速せずにロスなく取り出
し、次に高い電圧で加速する。加速された試料は中性分
子と多数回衝突することなく、質量分析計に導入して質
量分析できる。
に説明する。
実施例を示す図である。本実施例ではエレクトロスプレ
ー法を用いたイオン源3を適応した例を示す。この装置
構成で、コロナ放電を用いる大気圧化学イオン化法など
の他の大気圧イオン化法を用いたイオン源を使用するこ
ともできる。また、液体クロマトグラフ1の代わりに、
キャピラリー電気泳動装置を用いることもできる。この
装置構成は、適当なポンプを用いて試料溶液を連続的に
イオン源3に導入して行うフローインジェクション分析
にも適応できる。
料は流路2を通過してエレクトロスプレー法を用いたイ
オン源3内に入る。イオン源3にあるキャピラリー4先
端から生成した微小液滴は、第1フランジ5に保持さ
れ、ヒーター6aにより加熱されたノズル7を通過す
る。通常、ノズル7は70℃以上に加熱され、その穴の
内径は0.25mm、長さは20mm程度と長くしてあ
る。微小液滴は、加熱されたノズル7を通過する際にほ
ぼ気化され、微小液滴中に含まれている試料のイオンが
生成される。生成したイオンは、第2フランジ8に保持
され、ヒーター6bにより加熱されたスキマー9を通過
する。
材10aを介して互いに電気的に絶縁され、それぞれ電
圧が印加できるようになっている。また、第2フランジ
8は質量分析計本体の存在するハウジング12とも絶縁
材10bを介して電気的に絶縁されている。ノズル7と
スキマー9の間にある差動排気部11は、真空配管を通
して荒引き用真空ポンプで排気される。本実施例では、
差動排気部11はひとつしかないが、複数あってもよ
い。
9とサポート16aに保持されたイオン引出電極13
(第一の加減速用電極)との間に印加された電圧によっ
て差動排気部11から引き出されて加速される。次に、
イオン引出電極13とサポート16bに保持された円筒
電極14aとの間に印加された電圧によって、イオンは
再加速される。さらに、円筒電極14aとサポート16
cにより保持された円筒電極14bとの間に印加された
電圧によって、イオンは再々加速される。また、円筒電
極14bとイオンをコリメートするための接地電位にあ
るスリット15との間に電圧を印加する場合には、イオ
ンはさらに加速される。
で磁場型の質量分析計を作動させる場合、正イオンを観
測するために各電極に印加する電圧を考える。差動排気
部11の真空度は通常0.1から10Torrの範囲に
あるため、多くの分子が残留する。この領域でイオンを
加速しても残留分子との衝突により実質的にイオンは加
速されない。イオンが加速されるのは、真空が10-4T
orr以下のスキマー9以降の質量分析計側の領域であ
る。差動排気部11でのイオンの透過率を上げるために
ノズル7とスキマー9間の電位差を0から200V程度
とし、イオン加速電圧の4000Vをスキマー9とスリ
ット15と間に印加する。
イオンがスキマー9を通過した直後では、イオンと中性
分子とが衝突してイオンが開裂し問題となる(図10参
照)。スキマー9直後には、分子密度が高い領域が形成
される。その領域は超音速と呼ばれ、スキマーの細径か
ら{0.67×(スキマーの細孔径)×(√((差動排
気部の圧力)/(円筒電極14等の存在する部分の圧
力)))}までの領域であることが知られている。スキ
マー9の印加電圧を4000Vとして、イオン引出電極
13の印加電圧を0Vとすると、分子密度の高い超音速
領域でイオンが分子と衝突して開裂するので、イオン引
出電極13の印加電圧を0Vにできない。このため、ス
キマー9とイオン引出電極13との電位差を小さくし、
イオン引出電極13の先端をスキマー9に近付けること
により、差動排気部11からイオンを引き出す効率を高
めることができる。
する場合の電圧印加の一例を示す。イオン加速電圧が4
000Vで正イオンを観測する場合、スキマー9、イオ
ン引出電極13、円筒電極14a、円筒電極14bに、
それぞれ4000V、3500V、3000V、0Vを
印加して、イオン加速電圧4000Vを得る。スキマー
9とイオン引出電極13との電位差が500V、イオン
引出電極13と円筒電極14aとの電位差が500V、
円筒電極14aと円筒電極14bとの電位差が3000
Vとなり、これらすべてを足し合わせるとイオン加速電
圧の4000Vとなる。イオン引出電極13のスキマー
9側の先端を球状にして、先端での放電を防ぐことがで
きる。
9直後の領域でスキマー9とイオン引出電極13との間
に低い電圧(500V)を印加して、差動排気部11
(図1)からイオンを引き出す。このため、スキマー9
直後の領域でのイオンの開裂によるロスを防ぐことがで
きる。円筒電極14b側の円筒電極14aの先端は、超
音速領域に外に設ける。円筒電極14aによりイオンを
超音速領域の外に効率良く輸送する。次に、円筒電極1
4aと円筒電極14bとの間に3000Vを印加するこ
とにより、超音速領域の外でイオンを効率良くロスなく
加速することができる。図2に示した電圧印加の例のよ
うに、スキマー9からスリット15に向かって実質的に
電位が減少するような電圧印加により、イオンを効率良
く質量分析計に導入することができる。負のイオンを観
測する場合には、例えば、図2に示した電圧印加の例と
は反対の極性の電圧を各電極に印加して、イオンを効率
良く質量分析計に導入することができる。
電極14a、14bを用いて、円筒電極14aと14b
の間でイオンの加速及び収束を行い、円筒を長くしてイ
オンを遠くまで効率良く輸送できる。イオン引出電極1
3の電圧は固定して、円筒電極14aの電圧を変えるこ
とにより、イオンの焦点距離を変えることができる。ま
た、円筒電極14aとして長い円筒電極を用いる場合に
は、図3(b)に示すように円筒の少なくとも一部をメ
ッシュで構成した円筒電極、あるいは、図3(c)に示
すように円筒にガス抜き穴を設けた円筒電極を用いるこ
とにより、円筒電極内部での真空度が低下するのを防止
することができる。
種のブラディキニンにプロトンが三つついた3価イオン
を測定した。図4に、スキマ−9の細孔とイオン引出電
極13の間の電界強度とブラディキニンの3価イオンの
イオン強度との関係を示す。電界強度が2000V/c
m以下でこの3価イオンが観測されはじめ、500V/
cm付近でピ−クをむかえ、それ以下では逆に強度が減
少する。低い電界強度ではイオンの引出効率が下り、イ
オン強度が減少する。
ンのような開裂しやすいイオンを測定する場合には、非
常に有効である。図5に、上述した装置を用いてタンパ
ク質の一種のミオグロビンを測定した例を示す。図5
(a)に、上記のような電圧配置を用いて加速電圧を分
割して測定した場合のマススペクトルを示す。図5
(b)に、スキマー9に4000V、イオン引出電極1
3に0Vを印加して、一挙にイオンを加速した場合のマ
ススペクトルを示す。図5(a)のスペクトルでは、ミ
オグロビンの18価、15価、13価などの多価イオン
が明瞭に観測されている。一方、図5(b)のスペクト
ルでは、イオンが開裂を起こしために、ほとんどイオン
が観測されていない。したがって、加速電圧を分割して
上述した装置を用いることが有効であることがわかる。
す。本実施例では、円筒電極14a、14bの後に、イ
オンビームを偏向するための偏向電極17a、17bを
設けてある。これら偏向電極17a、17bはこれら円
筒電極とスリット15の間に配置するのがより好まし
い。偏向電極17a、17bにより、イオン引出電極1
3、円筒電極14a、14bをセットした場合のイオン
の進行方向のずれを補正する。イオンの進行方向に垂直
な2方向にイオンを偏向させて、イオンのロスを少なく
してイオンを効率良くスリット15を介して質量分析計
に導入することができる。
図を示す。本実施例では、図6の円筒電極14bの代わ
りに、電子衝撃イオン源を構成するハウジング19を電
極として用い、偏向電極17a、17bの代わりに、電
子衝撃イオン源と組み合わせて使用される収束電極20
a、20bを用いる。これら収束電極20a、20bは
ハウジング19とスリット15の間に配置するのがより
好ましい。収束電極20a、20bによりイオンのロス
を少なくしてイオンを効率良くスリット15を介して質
量分析計に導入することができる。電子衝撃イオン源を
用いる測定モードは、通常の磁場型質量分析計などに
は、標準装備されており、これを有効活用して、イオン
のロスを少なくしてイオンを効率良くスリット15を介
して質量分析計に導入することができる。
図を示す。本実施例では、図6のイオン引出電極13の
代わりに、アインツェルレンズ21を用い、イオンを収
束させる。一般に、アインツェルレンズは、直列に並ん
だ三つの電極からなり、中央の電極には同じ電圧が印加
された両端の電極の印加電圧とは異なった電圧が印加さ
れる。スキマー9を介してイオンをアインツェルレンズ
21aで差動排気部11から引き出し、アインツェルレ
ンズ21aとアインツェルレンズ21bとの間で減速す
る。次に、アインツェルレンズ21bとアインツェルレ
ンズ21cとの間で加速する。このとき、アインツェル
レンズ21aとアインツェルレンズ21cの電圧を固定
し、アインツェルレンズ21bの電圧を可変にして、自
由に焦点距離を変化させることができる。これらのアイ
ンツェエレンズを通過した後、さらに高い電圧を円筒レ
ンズ14a、14bに印加し、イオンを加速して、イオ
ンの開裂を防止してイオンを効率良く質量分析計に導入
することができる。
な構成で、イオン加速電圧が高い場合にも、イオンを開
裂させることなくスキマー9から質量分析計に効率良く
導入できる。上述した各実施例では、イオン加速電圧を
3分割した例を述べたが、さらに多く分割してもよい。
円筒電極14a、14bなどには、加熱する手段を設け
ておくことことが望ましい。例えば、サポート16a、
16b、16cなどにヒーターを組み込み、間接的に各
電極を加熱してもよい。
ついて述べてきたが、LCのかわりにCEを用いたCE
/MSでも同様にして、イオンの開裂を防止してイオン
を効率良く質量分析計に導入することができる。また、
MSの前段側に分離手段を設けず、試料溶液を連続的に
導入して分析するフローインジェクション法についても
イオンの開裂を防止してイオンを効率良く質量分析計に
導入することができる。
計として磁場型質量分析計を用いた場合について述べて
きたが、四重極質量分析計、飛行時間差質量分析計、イ
オントラップ質量分析計、イオンサイクロトロンレゾナ
ンス質量分析計など他の質量分析計を用いた場合にも同
様な効果があることは言うまでもない。
割して印加することができる。従って、イオン加速電圧
が高い場合でも、複雑な差動排気系を用いることなく、
大気圧下で生成したイオンを開裂させることなく効率良
く質量分析部に導入できる。
合の印加電圧の一例を示す図。
ュを設けた円筒電極を示す図。(c)ガス抜き穴を設け
た円筒電極を示す図。
を示す構成図。
排気部を示す断面図。
の挙動を示す図。
排気部に配置された電極に印加された電圧を示す図。
プレーイオン源、4…キャピラリー、5…第1フラン
ジ、6a、6b…ヒーター、7…ノズル、8…第2フラ
ンジ、9、9a、9b、9c…スキマー、10a、10
b…絶縁材、11…差動排気部、12…ハウジング、1
3…イオン引出電極、14a、14b…円筒電極、15
…スリット、16a、16b、16c…サポート、17
a、17b…偏向電極、18…絶縁サポート、19…ハ
ウジング、20a、20b…収束電極、21(21a、
21b、21c)…アインツェルレンズ、22…イオン
源、23a、23b、23c、23d…真空ポンプ、2
4…電場、25…磁場、26…検出器、27…増幅器、
28…データ処理装置、29…イオン、30…中性分
子、51…第一差動排気部、52…第二差動排気部、5
3…スリット、60…対向電極、61…ガス導入口。
Claims (17)
- 【請求項1】大気圧またはこれに準じた圧力下で試料を
イオン化して供給するイオン化部と、真空下において上
記イオン化部で生成したイオンを検出し分析する質量分
析計と、上記イオンを前記イオン化部から前記真空下に
取り込むため細孔を有する差動排気部とを備えた質量分
析装置において、 前記真空下にあって、前記イオンを上記質量分析計に導
入するための電圧がそれぞれ印加された複数の加減速用
電極を有する加速収束部を具備することを特徴とする質
量分析装置。 - 【請求項2】前記差動排気部の圧力が10-3Torr以
上であり、前記の複数の加減速用電極が配置される領域
の圧力が10-3Torr以下であることを特徴とする請
求項1に記載の質量分析装置。 - 【請求項3】前記の複数の加減速用電極のそれぞれに、
互いに異なる電圧が独立して印加されることを特徴とす
る請求項1または2に記載の質量分析装置。 - 【請求項4】前記の複数の加減速用電極は、前記細孔の
近くに設けられ、電圧が固定された第一の加減速用電極
と、前記イオンが収束する焦点の距離を調節するため
に、電圧が変化して印加される少なくとも一つの加減速
用電極を含むことを特徴とする請求項1から請求項3の
いずれかに記載の質量分析装置。 - 【請求項5】前記の複数の加減速用電極のうちの一つ
が、電子衝撃型イオン源を構成するハウジングからなる
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記
載の質量分析装置。 - 【請求項6】前記加速収束部と前記質量分析計との間
に、静電電極が配置されたことを特徴とする請求項5に
記載の質量分析装置。 - 【請求項7】前記加速収束部と前記質量分析計との間
に、前記イオンを偏向する電極が配置されたことを特徴
とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の質量分
析装置。 - 【請求項8】前記の複数の加減速用電極のうち一または
複数が、円筒状の電極からなることを特徴とする請求項
1から請求項7のいずれかに記載の質量分析装置。 - 【請求項9】前記円筒状の電極は、穴が設られた円筒状
の電極であることを特徴とする請求項8に記載の質量分
析装置。 - 【請求項10】前記円筒状の電極は、少なくともその一
部がメッシュにより構成された円筒状の電極であること
を特徴とする請求項8に記載の質量分析装置。 - 【請求項11】前記の複数の加減速用電極の少なくとも
ひとつに、加熱手段が設けられていることを特徴とする
請求項1から請求項10のいずれかに記載の質量分析装
置。 - 【請求項12】前記の複数の加減速用電極は、前記細孔
の近くに設けらた第一の加減速用電極を含み、該第一の
加減速用電極の前記差動排気部側の先端が、半球状にな
っていることを特徴とする請求項1から請求項11のい
ずれかに記載の質量分析装置。 - 【請求項13】前記第一の加減速用電極の前記差動排気
部側の先端が、前記差動排気部の前記細孔から所定の距
離より短い位置に設けられ、前記第一の加減速用電極の
前記質量分析部側の先端が、前記所定の距離より長い位
置に設けられることを特徴とする請求項1から請求項1
2のいずれかに記載の質量分析装置。 - 【請求項14】前記所定の距離が、0.67×(前記細
孔の内径)×(√((前記差動排気部の圧力)/(前記
の複数の加減速用電極が存在する領域の圧力)))で決
定される距離であることを特徴とする請求項13に記載
の質量分析装置。 - 【請求項15】前記差動排気部の前記細孔と前記第一の
加減速用電極との間の電界強度が、0(V/cm)から
2000(V/cm)の範囲にあることを特徴とする請
求項4から請求項14のいずれかに記載の質量分析装
置。 - 【請求項16】前記の複数の加減速用電極のうち少なく
とも一つが、アインツェルレンズからなることを特徴と
する請求項1から請求項15に記載の質量分析装置。 - 【請求項17】前記の複数の加減速用電極の材質が、金
属であることを特徴とする請求項1から16に記載の質
量分析装置。
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