JPH11288683A - 大気圧イオン化質量分析計 - Google Patents

大気圧イオン化質量分析計

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JPH11288683A
JPH11288683A JP10088798A JP8879898A JPH11288683A JP H11288683 A JPH11288683 A JP H11288683A JP 10088798 A JP10088798 A JP 10088798A JP 8879898 A JP8879898 A JP 8879898A JP H11288683 A JPH11288683 A JP H11288683A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】真空悪化によるイオンの運動エネルギの広がり
を低減させつつ、高立体角のイオンを効果的に収束して
高S/N比をもって質量分析を行うのに適した大気圧イ
オン化質量分析計を提供すること。 【解決手段】大気圧イオン化イオン源3でイオン化され
たイオンはサンプリング細孔15a、bを通って第1の
電極系に入射する。第1の電極系は半球状のグリッド電
極41、42で構成され、イオンに対しては減速系とし
て働く。イオンはその後、半球状のグリッド電極43、
44からなる第2電極系に入射して加速され、細孔21
に収束される。収束されたイオンは入り口孔19を介し
て質量分析部6に導かれ、質量分析されて、検出器8に
よって検出される。サンプリング細孔15bを通った中
性粒子はスクリ−ン45によって遮蔽され、質量分析部
6に導入されない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は大気圧イオン化質量
分析計に関する。
【0002】
【従来の技術】多くの化学物質が環境中に拡散し、生態
系や人体に直接、間接を問わず多くの影響を与えようと
している。これら化学物質が自然界にどのように、どれ
だけ存在するかを知ることは分析化学、環境科学上の大
きなテーマになっている。また、生体内の化学物質の挙
動を知ることは医学、薬学などの重要なテーマである。
自然界、人体内に存在する化学物質は一般に純粋に存在
することはなく、多くの化学物質の中にごく微量に存在
するに過ぎない。これら化学物質の分析に対しては、分
析装置や分析手法が高感度であることが要求される。ま
た、妨害の物質の中から特定の分析対象成分を選択的に
検出する高い選択性も併せて要求される。混合物の中か
ら極微量の分析対象物質を高感度に検出するため、液体
クロマトグラフ(LC)と質量分析計(MS)を結合し
た液体クロマトグラフ直結質量分析計(LC/MS)が
開発された。LCは溶液状態の混合物の中から特定の化
合物を分離する手段としてきわめて優れた装置である。
しかし、この装置、手法は化合物がどのようなものであ
るかを決める能力(定性、同定能力)が非常に乏しい。
一方、MSは純粋な化合物に対する定性、同定能力がき
わめて高いが、混合物に対しては無力となる。そのた
め、LCの検出器としてMSを用いるLC/MSが混合
物の効果的な分析手段として開発された。
【0003】図14は知られているLC/MSの構成を
示す。液体クロマトグラフ1で成分毎に分離された試料
溶液は連結チューブ2を経て大気圧イオン源3に導かれ
る。イオン源3はイオン源電源4により信号線5aを通
して制御される。イオン源3で試料分子に由来するイオ
ンが作られる。続いて、生成したイオンは質量分析部6
に導入され、質量分析される。質量分析部6は真空系7
により真空排気される。質量分析されたイオンは検出器
8により検出される。検出された信号は信号線5bを経
てデータ処理器9に送られ、マススペクトルやクロマト
グラムなどの分析データを与える。
【0004】このように、LC/MSの原理はきわめて
単純であるが、実際には多くの問題を含んでいる。LC
が大気圧下で水や有機溶媒(メタノールなど)を大量に
(毎分1mlから2ml)取り扱う装置であるのに対し
て、MSは高真空下でイオンを取り扱う装置である。こ
のため、両者を直接結合することは長年困難とされてき
た。多くの問題点を克服し、高性能のLC/MSを開発
しようとする試みが多くの研究者やメーカによりなさ
れ、多くの問題点を克服する種々の方法が提案されてき
た。そのなかで、現在広く用いられている方法が、大気
圧下で溶液を噴霧し、イオン化するスプレイイオン化法
である。
【0005】一例として、Analytical Chemistry、5
9、2642(1987)に記載されたエレクトロスプレ
イイオン化法がある。図15はエレクトロスプレイイオ
ン源を装着した知られているLC/MSの模式図であ
る。液体クロマトグラフ1から溶出した試料溶液は連結
チューブ2とコネクタ10を経て内径0.1mm程度の
噴霧用のキャピラリ11に導入される。このキャピラリ
11と対向電極12の間には数kVの直流高電圧が印加
される。この結果生じた高電界により噴霧キャピラリの
先端から電荷を持った微細な液滴が円錐状に大気中に放
出される。即ち、エレクトロスプレイ現象が起きる。こ
のエレクトロスプレイ法において、噴霧キャピラリと同
軸の管に沿ってガス噴出口13から窒素ガスなどを噴霧
補助ガス25として噴出させることもよく行われる。こ
れにより、噴霧の促進、液滴の微細化、更に電荷を持っ
た液滴の乾燥が促進される。対向電極12の中心に設け
られたカウンタガス噴出口14から噴出するカウンタガ
ス35の流れに逆らいながらイオンや帯電液滴は高電界
に沿って進み、この間に更なる液滴の乾燥が促進され、
大気中にイオンが放出される。このようにして生成した
イオンはサンプリング細孔15を経て真空中に導入さ
れ、高真空の質量分析領域6に入り、質量分析される。
【0006】LC/MSの他に大気圧下で生成したイオ
ンを高真空の質量分析計に導入し、質量分析する装置が
プラズマ質量分析計である。大気圧下で高周波やマイク
ロ波で生成されたプラズマの中に生成したイオンを多段
の差動排気系を経て質量分析領域に取り込み、質量分析
するものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】大気圧から真空中にイ
オンを取り込む際に、イオンサンプリング細孔15をイ
オンだけが通過するのではなく、中性ガス分子、中性の
液滴、帯電液滴なども通過する。すなわち、イオンサン
プリング細孔15を通過するガスの中には、噴霧補助ガ
ス25やカウンタガス35などでも気化できない多くの
微細な液滴が存在する。これらがイオンとともにイオン
サンプリング細孔15から真空中に取り込まれる。電荷
の有無に関わらず、液滴は真空中で加速されたイオンと
衝突してイオン(電荷)の消滅、イオンの散乱などを起
こし、これによる検出信号の乱れ、即ちノイズを発生さ
せる。また、液滴が真空中で気化すると、液滴の質量は
絶えず変化するため、質量分析計で正しい質量を与えな
い。これもマススペクトルやクロマトグラム上のランダ
ムノイズの原因となる。
【0008】これらノイズはLC/MSの性能を直接低
下させる原因である。また、液滴の進入は質量分析計や
検出器を汚し、安定な測定の妨げとなる。液滴を取り除
く簡単な方法は、霧を徹底的に加熱し、気化させればよ
い。しかし、糖、蛋白などの生体関連物質や抗生物質、
農薬など多くのLC/MSの分析対象物質は加熱により
簡単に熱分解してしまい、正確な質量分析は不可能にな
る。そのため、極端な加熱は避けなければならない。
【0009】そのため、高真空中に取り込まれた液滴と
イオンを分離する手段を質量分析計の前段に設ける手法
が提案された(特開平7ー85834、USP5,48
1,107)。図16にその概要を示す。試料溶液は大
気圧イオン源3で噴霧され、イオン化される。生成した
イオンはイオンサンプリング細孔15aを経て排気系7
aにより排気された中間圧力部33に導入される。イオ
ンは更に細孔15bを経て真空系7bにより排気された
高真空の質量分析部34に導入される。イオンはアイン
ツエルレンズ20で収束され、デフレクタ21に入射す
る。イオンはここで偏向され、質量分析部6の入り口孔
19に入射し、質量分析部6で質量分析され、検出器8
で検出される。一方、微細な中性液滴はデフレクタ21
で偏向を受けずに直進し、質量分析部6の外套管35に
衝突し、質量分析部6に入射することはない。
【0010】電界を利用したデフレクタ21はイオンを
偏向するだけでなく、イオンの運動エネルギの選別をも
している。エネルギのそろったイオンを質量分析計6に
送り込み、よい分解能を得ることができる。
【0011】この方法は中性液滴を取り除く点で優れた
ものであるが、以下の問題がある。
【0012】(1)高い立体角のイオンを収束できな
い。
【0013】先ず、イオンサンプリング細孔15bから
導入されたイオンは一般にアインツエルレンズ20で収
束される。アインツエルレンズは一般に図17に示すよ
うな3枚の電極で構成される。物点52から放出された
イオンは物点52と第1番目の電極53の間のイオン加
速電界により加速され、第1の電極の中央に設けられた
孔56に入射する。アインツエル電源51から供給さ
れ、中央の電極54と前後の電極間に印加されたレンズ
電圧により中央の電極54の中央の孔57付近にレンズ
状の電界が形成される。イオンはこのレンズ状の電界に
より収束され、第3の電極55の中央の孔58から外部
に放出される。最終的にレンズの中心軸の延長上の収束
点59に収束する。この収束点に質量分析部6の入り口
孔19を置けば、イオンは質量分析部6に導入される。
アインツエルレンズはきわめて簡単な構造で、イオンや
電子などを収束できるため、よく用いられる。
【0014】イオンサンプリング細孔15bから高真空
領域34に入射したイオンはガス分子と共にイオンサン
プリング細孔15bの出口で急速に拡散する。アインツ
エルレンズは構造上大口径のレンズを作ることはでき
ず、中心軸付近のイオンを収束できても、拡散したイオ
ンを収束することはできない。そのため、高い立体角で
入射するイオンは収束できず、感度を大きく損なうこと
となる。高感度測定のためには、この拡散したイオンを
効率よく収束し、次の質量分析部に送り込まねばならな
い。
【0015】(2)イオンの加速の際に運動エネルギの
広がりを起こす。
【0016】大気圧下で生成し、イオンサンプリング細
孔15aから導入されたイオンを質量分析部6に効率よ
く送り込むためにイオン加速電極やアインツエルレンズ
などを用いてのイオンの加速収束が中間圧力部33や質
量分析部6の前段部で行われる。しかし、真空が悪い中
間圧力部33や質量分析部6の入射部におけるイオンの
加速の場合は、中性の残留ガス分子とイオンとの頻繁な
衝突を招くことになる。この衝突により、イオンが拡散
したり、イオンの運動エネルギの一部が失われ、結果と
してイオンの運動エネルギの広がりとなって現れる。イ
オンの運動エネルギの広がりを小さくするためには、中
間圧力部33のような圧力が高い領域(1000Paか
ら1Pa程度)ではイオンの加速をできるだけ低く押さ
え、高真空(10ー3Pa程度)の質量分析部6に入って
から、一気に加速する方法が用いられる。しかし、イオ
ン加速電極、アインツエルレンズ20の電極やデフレク
タ21などがイオンサンプリング細孔15bの近辺に配
置されるため、これらが真空排気の大きな抵抗となる。
そのため、これら電極の近辺の真空は悪くなり、イオン
の加速の際に中性分子との頻繁な衝突によるイオンの散
乱や運動エネルギの広がりが避けられない。
【0017】(3)デフレクタは運動エネルギに広がり
のあるイオンを拡散してしまう恐れがある。
【0018】デフレクタ21はイオンの偏向の他、エネ
ルギ選別器の役割を果たしている。そのため、エネルギ
の等しいイオンは質量が異なっても一点に収束する。逆
にエネルギの異なるイオンは別の場所に収束し、細孔1
9を通ることができない。そのため、運動エネルギに広
がりのあるイオンをデフレクタ21で偏向すると質量分
析部入り口孔19に収束しないイオンが多数存在してし
まう。即ち、質量分析部入り口孔19を通過できない多
くのイオンを失い、感度の低下を招くことになる。
【0019】デフレクタを使用せずにS/N比を向上さ
せるLC/MSが提案された(日本公開特許公報平7ー
130325)。このLC/MSを図18に示す。これ
はイオン源3において大気圧下で生成したイオンを高真
空の質量分析部にサンプリングする細孔15a、15b
と中性粒子を取り除く機能を有するイオン移送系、質量
分析部6を同軸上に配置したものである。イオン移送系
は2個のアインツエルレンズ101、102とスクリー
ン電極45とからなり、第1のアインツエルレンズ10
1に入射したイオンは凹レンズ作用のあるレンズにより
拡散される。中性粒子や光は直進し、スクリーン電極4
5に衝突する。イオンはスクリーン電極45を回り込
み、第2のアインツエルレンズ102に入り、このレン
ズの凸レンズ作用により収束される。このイオン移送機
構により光や中性粒子を質量分析部6に入射させなくす
ることができる。なお、8は検出器である。
【0020】この方法はレンズにアインツエルレンズを
使用しているため、高い立体角のイオンを効率よく移送
できない。また、真空の悪化によるイオンの運動エネル
ギの広がりの問題を克服できない。
【0021】プラズマMSの場合もLC/MSと同様
に、中性粒子や光が質量分析部、検出器に導入され、ノ
イズの原因となる。中性粒子や光を質量分析部に導入さ
せず、イオンを優先的に導入する手法が特開平2ー24
8854と特開平3ー194843に示されている。
【0022】特開平2ー248854に記載されている
プラズマ質量分析計を図19に示す。プラズマト−チイ
オン源32において大気圧下でプラズマ中に生成したイ
オンを2段のスキマーの中心に設けられた細孔15a、
15bを経て真空中にサンプリングする。イオンはアイ
ンツエルレンズ103で収束後、平行平板、又は四重極
デフレクタ104で質量分析部6の入り口細孔19の方
に偏向させようとするものである。この方法は、上述し
た3つの欠点を有しているとともに、収束、偏向系が複
雑となり、高価になる。また、最良点を得るための調整
が難しくなる。なお、8は検出器である。
【0023】特開平3ー194843に記載されている
プラズマ質量分析計を図20に示す。これは、イオンの
収束にアインツエルレンズ106を1個用いている点を
除けば図19と実質的に同じである。アインツエルレン
ズを用いているため、上記(1)、(2)の欠点はその
まま当てはまる。また、中心部のイオンを光や中性粒子
とともに遮断してしまう可能性が高いため感度の低下は
否めない。
【0024】本発明の目的は、真空悪化によるイオンの
運動エネルギの広がりを低減させつつ、高立体角のイオ
ンを効果的に収束して高S/N比をもって質量分析を行
うのに適した大気圧イオン化質量分析計を提供すること
にある。
【0025】本発明のもう一つの目的は、中性分子のイ
オンからの分離を効果的に行うのに適した大気圧イオン
化質量分析計を提供すれうことにある。
【0026】本発明の更にもう一つの目的は、収束され
るべきイオンの運動エネルギの選別を容易化するのに適
した大気圧イオン化質量分析計を提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】本発明は、一つの観点に
よれば、大気圧下で試料をイオン化してそのイオンを生
成する大気圧イオンイオン化源と、その生成されたイオ
ンをイオンサンプリング細孔を通して導入して質量分析
する質量分析部とを備えている大気圧イオン化質量分析
計において、前記イオンサンプリング細孔と前記質量分
析部との間に配置された第1及び第2の電極系を備え、
前記第1の電極系は前記サンプリング細孔からのイオン
を通す複数の半球状のグリッド電極を有し、前記第2の
電極系は前記第1の電極系からのイオンを通して前記質
量分析部に向ける複数の半球状のグリッド電極を有し、
前記第1の電極系の複数のグリッド電極は前記サンプリ
ング細孔側に凹にされており、前記第2の電極系の複数
のグリッド電極は前記サンプリング細孔と反対側に凹に
されており、それによって前記第2の電極系からのイオ
ンを収束位置に収束させることを特徴する。
【0028】本発明は、もう一つの観点によれば、大気
圧下で試料をイオン化してそのイオンを生成する大気圧
イオン化イオン源と、その生成されたイオンをサンプリ
ングするイオンサンプリング細孔を有する部材と、その
サンプリングされたイオンを質量分析部にその入り口孔
を介して導入して質量分析する質量分析部とを備えてい
る大気圧イオン化質量分析計において、前記イオンサン
プリング細孔と前記質量分析部との間に配置された第1
及び第2の電極系を備え、前記第1の電極系は前記サン
プリング細孔からのイオンを通しかつ前記サンプリング
細孔側に凹にされた複数の半球状のグリッド電極を有
し、前記第2の電極系は前記第1の電極系からのイオン
を通して前記質量分析部に向けかつ前記サンプリング細
孔と反対側に凹にされた複数の半球状のグリッド電極を
有し、前記イオンサンプリング細孔の軸と前記第1の電
極系の軸が一致し、前記第2の電極系に軸と前記質量分
析部の入り口孔の軸が一致し、前記イオンサンプリング
細孔の軸と前記質量分析部の入り口孔の軸が交差してい
ることを特徴する。
【0029】
【発明の実施の形態】Journal of Physics E: Scientif
ic Instruments、5巻(1972年)484−487ペ
−ジには Staib による、電子のエネルギ分析計に用い
られる電極系が開示されている。図21はその電極系を
示す。電子源66で生成された電子は、飛行して半球状
でメッシュ状のグリッド電極41に達する。グリッド電
極41を通過した電子は、グリッド電極41とグリッド
電極42間に印加された減速電界により減速される。も
し電子の持つ運動エネルギが減速電界より小さい場合電
子は押し戻される。減速電界を上回る電子は減速されて
も飛行を続け、グリッド電極42を通過し、無電界空間
49に入る。電子は更にグリッド電極43を通過し、グ
リッド電極43とグリッド電極44間に印加された加速
電界により加速され、電極の中心軸の延長上にある細孔
65に収束する。電子はそのエネルギが小さい場合は中
心軸の手前の方に、エネルギが大きい場合は中心軸17
の後ろの方に収束する。細孔65の後ろに検出器64を
置き、電子を検出する。66は中心軸17付近を通る電
子を遮蔽するスクリ−ン電極である。減速電界や加速電
界を制御することで電子のエネルギを測定する。
【0030】本発明は、この電極系の考え方をLC/M
SやプラズマMSのような大気圧イオン化質量分析計に
応用して、イオンの加速、収束、偏向と中性粒子や光の
分離に用いて、前述した知られている技術のもつ問題点
を解決しようとするものである。
【0031】第1の実施例 図1は本発明による大気圧イオン化質量分析計の一実施
例を示す。
【0032】液体クロマトグラフなどのような混合物を
分離する手段で分離された試料溶液はイオン源3に導入
される。試料分子に由来するイオンはイオン源3におい
て大気圧下で生成され、イオンサンプリング細孔15
a、15bによってサンプリングされ、そのサンプリン
グされたイオンは高真空領域34に導入される。イオン
サンプリング細孔15a、15bの間の中間圧力部33
は真空排気系7aにより排気されている。イオンが真空
の中間圧力領域33に導入されると、イオンは断熱膨張
により急速に冷却される。その結果、溶媒の水やアルコ
ールなどの極性分子はイオンに付着し、所謂クラスタイ
オンを生成する。クラスタイオンはイオンに数多くの水
などの分子が付着したもので、その質量は、裸のイオン
と大きく異なっている。このクラスタをそのまま質量分
析しても正しい質量分析はできない。クラスタイオンの
生成を防ぐためにはイオンサンプリング細孔15a、1
5b付近を100℃程度に加熱することが行われている
が、これでクラスタイオンの生成を阻止することはでき
ない。
【0033】図2はイオンの加速、収束部を示す。ま
た、図3はイオンの加速、収束状態を模式的に示すもの
である。イオンサンプリング細孔15bから、真空排気
系7bにより高真空に排気されている高真空領域34に
導入されたイオンは複数の電極で構成された半球状の4
つのメッシュ構造のグリッド電極41、42、43、4
4で減速、加速、収束される。グリッド電極41とグリ
ッド電極42が第1の電極系を構成する。これらの電極
の共通の中心はイオンサンプリング細孔15bに位置付
けられている。2つのグリッド電極の半径は異なり、グ
リッド電極41の半径は、グリッド電極42の半径より
小さい。第2の電極系はグリッド電極43とグリッド電
極44で構成される。これらの電極の共通の中心はイオ
ンサンプリング細孔15bの反対側(質量分析部側)の
細孔21に位置付けられている。グリッド電極43の半
径が、グリッド電極44の半径より大きい。イオンサン
プリング細孔15b、グリッド電極41、42、43、
44の中心、細孔21および質量分析部6の入り口孔1
9は同一の軸17上に配置されている。
【0034】イオンは電極41とイオンサンプリング細
孔15b(隔壁16)の間に印加されたイオン加速電位
により加速される。イオンはイオンサンプリング細孔1
5bからグリッド電極41に向け放射状に飛行し、グリ
ッド電極41面を通過し、グリッド電極41とグリッド
電極42の間の空間に達する。イオンはここでグリッド
電極41と外側のグリッド電極42の間に印加されたイ
オン減速電界により減速される。イオンの飛行方向と逆
の電界による減速のため、この減速電界により運動エネ
ルギの小さなイオンは押し戻さる。減速電界を上回るイ
オンは減速されても方向を変えずに飛行を続ける。すな
わち、この2枚の電極系で運動エネルギの下限(即ち、
減速電位)を下回るイオンの切り捨て、足切りができ
る。減速電位を外部から変更調整できるようにすれば、
実際のマススペクトルを観察しながら、最適な足切り値
を探すことができる。
【0035】グリッド電極42とグリッド電極43間は
同電位とし、電界のない空間とする。2つの電極42、
43を連結するリング状のシールド電極46を設けれ
ば、これらの電極で囲われた領域49は無電界領域とな
る。わずかに過剰な運動エネルギをもったイオンは方向
を変えずに無電界領域49を飛行し、グリッド電極43
に達する(点37a、37b、38a、38b)。ここ
で、グリッド電極43とグリッド電極44に印加された
イオン加速電界によりイオンは電極の中心21に向けて
加速される。過剰の運動エネルギをもたないイオンはグ
リッド電極43、44の中心21に収束する。過剰の運
動エネルギをわずかにもつイオンは電極中心軸から遠ざ
かるにしたがってイオンのエネルギの小さい方から大き
い方に順次収束する。いま、グリッド電極の中心21に
板状の電極20を置くと、図3(b)のように中心付近
は運動エネルギの小さいイオン、半径が大きい方に向け
順次エネルギの大きいイオンが同心円状に到達し、それ
らのイオンはそれぞれ21及び21aの位置に収束す
る。したがって、過剰の運動エネルギを持つイオンは電
極20により遮断される。
【0036】質量分析計に四重極質量分析計を用いる場
合、1eV以上の運動エネルギの広がりを持つイオンを
質量分析計に導入すると、マススペクトルの分解能が悪
化する。本発明の場合、1eV以上のエネルギの広がり
を持つイオンが質量分析部6の入り口孔19を通過でき
ないように孔の径を設定すればよい。
【0037】エネルギ制限の細孔21を置かず直接質量
分析部6の入り口孔19をエネルギ制限のスリットとし
てもよい。又は、グリッド電極43、44の加速電圧を
調整して,過剰な運動エネルギ1eV以下のイオンのみ
が質量分析部6の入り口孔19を通過できるように設定
してもよい。すなわち、質量分析部の入り口孔19の径
又は加速電圧を調整することで大きな過剰エネルギをも
つイオンをカットできる。この結果質量分析において高
い分解能を得ることができる。
【0038】グリッド電極への具体的な電圧の印加につ
いては、装置の構造や質量分析計により異なる。四重極
質量分析計やイオントラップ質量分析計を質量分析計に
用いる場合は加速電圧が数10V以下に設定できる。磁
場型の質量分析計の場合は数kVの高電圧の加速とな
る。四重極質量分析計で正のイオンを測定する場合、イ
オンサンプリング細孔15a(隔壁16)に印加する加
速電圧は+30V程度となる。グリッド電極41には+
10V、グリッド電極42、43には+29から+30
V、グリッド電極44、入り口孔19を有する外套管3
5には+10V程度を印加する。これらの電圧は電源7
0から与えられ、かつ任意に変更可能である(電源70
は図1以外の図では図の複雑化を避けるために省略され
ている)。
【0039】イオンサンプリング細孔15bから遮蔽筒
35までのイオン移送系により、運動エネルギ−幅の狭
い、高立体角のイオンが効率よく収束され、質量分析部
6に導入される。イオンはここで質量分析され、その質
量分析されたイオンは検出器8によって検出される。
【0040】4つの電極の中心部に中性粒子の遮断用の
スクリーン電極45を設ければ、中性粒子は直進し、ス
クリーン電極45に衝突する。スクリーン電極45より
大きな立体角の中性粒子ビーム23は質量分析部の入り
口孔19に到達しなくなる。このスクリーン電極45は
イオンサンプリング細孔15bから質量分析部9の入り
口孔19間でかつ中心軸17の上ならどこでも置ける。
しかし、イオンビームがもっとも太くなる電極42、4
3間に置くことが簡単である。
【0041】このレンズ系の優れた点は、イオンの発生
源が大きくとも、また、イオンの放出角(立体角)が大
きくてもイオンを効率よく収束できる点である。また、
中性粒子はスクリーン電極45により質量分析計部6に
入射しないようにできる。また、デフレクタと異なり、
エネルギの異なるイオンは中心軸17上に並び、その選
択は、質量分析部入射口の孔の直径や、設置位置、グリ
ッド電極の印加電圧で容易に調整でき、質量分析部が受
け入れられる最適なエネルギを容易に調整できる。
【0042】グリッド電極41、42、43、44は半
球状のグリッド部はメッシュ構造となっている。縁の部
分などは組み立てを簡単にするため、金属板とすればよ
い。このレンズ系は通常のアインツエルレンズと異な
り、通気性が良いため排気抵抗を小さくすることができ
る。このため、レンズ系周辺の真空排気の効率を高め、
高い真空度を得ることができる。したがって、低真空下
でのイオンの中性粒子との衝突による、イオンの散乱の
機会を少なくし、運動エネルギの広がりを小さくでき
る。
【0043】遮蔽用スクリーンを4つのグリッド電極と
は別の電極として設けず、4つのグリッド電極のうちの
1つにスクリーン状に設けてもよい。グリッド電極は、
薄い金属板をエッチングなどで製作することができる。
その際、1枚のグリッド電極の中央部をエッチングしな
いようにすれば、遮蔽スクリーンは簡単に作ることがで
きる。
【0044】この実施例ではシールド電極46をグリッ
ド電極42、43と同電位としたが、イオンを中心軸に
向け押し戻して、イオンビームの広がりを少しでも少な
くするために、電位を印加することもできる。
【0045】第2の実施例 第一の実施例においては、イオンサンプリング細孔15
b、グリッド電極41、42(第1の電極系)の中心軸
とグリッド電極43、44(第2の電極系)の中心軸及
び質量分析部入り口孔19が同一の軸17上に並んでい
る。イオンサンプリング細孔15bを出た中性粒子はグ
リッド電極で偏向されずに直進する。これを質量分析部
入り口孔19に入射しないよう電極中央にスクリーン電
極45を設けている。スクリーン電極45は効率よく中
性粒子を取り除くことができるが、一方で中性粒子と共
に直進するイオンをも併せて遮断してしまう。イオンサ
ンプリング細孔15bから噴出するイオンの密度は中央
部がもっとも高い。この中央部のイオンを遮断しては、
高感度分析が損なわれる。
【0046】第2の実施例はイオンが全てレンズ系を通
過し、中性粒子は質量分析部に入らない方式のものであ
る。図4は本発明による第2の実施例を示し、図5はイ
オンの加速、収束、偏向に関するレンズ系を示す。
【0047】イオンサンプリング細孔15dとグリッド
電極41a、グリッド電極42a(第1の電極系)の中
心軸47は一致させる。グリッド電極43a、グリッド
電極44a(第2の電極系)と質量分析部入り口孔19
aの中心軸48も一致させる。更に、これらの中心軸4
7、48を交差させるように配置する。実際の装置では
イオンサンプリング細孔を装着した隔壁24、16aの
フランジをわずかに傾斜させてMSの真空ブロックに装
着すればよい。
【0048】イオンサンプリング細孔15cを経てイオ
ンサンプリング細孔15dを出たイオンはイオンサンプ
リング細孔15dとグリッド電極41a間に印加された
イオン加速電界により加速され、グリッド電極41aを
通過する。グリッド電極41a、グリッド電極42a間
の逆電位によりイオンは減速される。過剰エネルギの小
さなイオンはここで押し戻される。他のイオンは更に飛
行を続け、グリッド電極42aを通過し、無電界空間を
飛行する。グリッド電極43aに(点39、40)に達
したイオンはグリッド電極43aとグリッド電極44a
間に印加されたイオン加速電界により加速され、グリッ
ド電極43aとグリッド電極44aの中心、即ち質量分
析計の入り口孔19aに収束する。中性粒子は電極41
a、42a、43a、44a間の電界に影響を受けずに
直進し(立体角50a、50b)、質量分析部6の外套
管35の外壁に衝突し、質量分析部6に入射しなくな
る。
【0049】この実施例ではイオンサンプリング細孔1
5dを出たイオンは、効率よく質量分析部に導入され、
高感度測定を可能にする。
【0050】実施例1及び2において、LC/MSの大
気圧イオン源として、エレクトロスプレイイオン源を用
いた例を示した。しかし、本発明は現在大気圧イオン化
としてエレクトロスプレイイオン化と共に広く用いられ
ている大気圧化学イオン化(APCI)やソニックスプ
レイイオン化(SSI)、大気圧スプレイイオン化(A
PS)などにも応用可能である。
【0051】第3の実施例 図6は本発明による第3の実施例を示す。これは、分離
手段として、LCではなく、キャピラリ電気泳動を用い
た例を示す。
【0052】試料は先ずキャピラリ27に導入され、高
電圧電源28からビーカ26に満たされた緩衝液29を
経て供給される数10kVの高電圧によりキャピラリ2
7の中を泳動し、成分毎に分離される。溶出した成分は
追加の液体(シースフロー)を加えた後エレクトロスプ
レイイオン源3の噴霧キャピラリに送られる。試料はエ
レクトロスプレイされイオン化される。イオンはイオン
サンプリング細孔15a、15bを経て質量分析部34
に導入される。イオンは半球状のグリッド電極41、4
2、43、44を経て質量分析部入り口19に到達し、
質量分析される。中性粒子はスクリーン45で取り除か
れる。
【0053】このキャピラリ電気泳動と実施例2の組み
合わせも可能である。
【0054】第4の実施例 図7は本発明による第4にの実施例を示す。本発明はL
C/MSばかりでなく、大気圧下でイオン化する質量分
析計にも応用可能である。例えば、ごく微量の元素の分
析に用いられるプラズマイオン源即ち誘導結合プラズマ
(ICP)、マイクロ波誘導プラズマ(MIP)イオン
源を装着した質量分析計にも適用できる。図7はその例
を示す。
【0055】試料は高周波電源31から供給ライン30
を経て高周波がプラズマイオン源32に供給される。高
周波により作られた数千度Kの高温のプラズマ中に生成
された試料のイオンは、イオンサンプリング細孔15
a、15bを経て質量分析部34に導入される。この場
合、中性粒子の遮蔽の他、プラズマから放出される光子
の遮断を行ないながらイオンを効率よく質量分析部に導
くことができる。
【0056】プラズマイオン源と実施例2の組み合わせ
も可能である。
【0057】第5の実施例 図8は本発明による第5の実施例を示す。第2の実施例
では、イオンサンプリング細孔15dと第1の電極系
(グリッド電極41、42)の中心軸は一致し、また、
第2の電極系(グリッド電極43、44)と質量分析部
入り口孔19の中心軸が一致し、更にこれら二つの軸が
交差している。
【0058】第5の実施例においては、第1、第2の電
極系、質量分析部入り口孔19の中心軸が一致し、この
軸とイオンサンプリング細孔15dの中心軸が交差す
る。大気圧下で生成したイオンはイオンサンプリング細
孔15c、15dを経て高真空領域34に導入される。
イオンは隔壁16とグリッド電極41間に印加された加
速電圧により加速され、第1の電極系に入射する。第
1、第2の電極系によりイオンは偏向、収束され、質量
分析部入り口孔19を通過し、質量分析部6により質量
分析される。中性粒子や光は第1、第2の電極系に影響
されずに直進し、質量分析部6に入射しない。
【0059】実際の装置はイオンサンプリング細孔を装
着した隔壁24、16aのフランジをわずかに傾斜する
ように質量分析計の真空ブロックに装着する。
【0060】図1、4、6、7、8に示した実施例にお
いて、大気中に生成したイオンはスキマの中心に設けら
れたイオンサンプリング細孔15a又は15cから真空
中に導入されている。このイオンサンプリング細孔を図
9(本発明による第6の実施例)、図10(本発明によ
る第7の実施例)に示すようにキャピラリ62で置き換
えることもできる。高真空領域34へのイオンサンプリ
ング細孔15bもスキマ頂点に設けてもよい(図1
0)。また、図9のように平板の電極に細孔63を設け
てもよい。更に、液滴の気化を促進するため、真空中の
断熱膨張による冷却を防ぐためキャピラリ62を加熱す
ることもできる。また、図11(本発明による第8の実
施例)に示すようにキャピラリ62aを傾斜させてもよ
い。
【0061】以上の実施例では、第1、第2の電極系が
高真空領域34のイオンサンプリング細孔15b、15
d又は細孔63と質量分析部6の間に置かれている。図
12(本発明による第9の実施例)に示すように第1、
第2の電極系を中間圧力部33内に置くこともできる。
中間圧力部はイオンは残留ガス分子と衝突し、拡散やエ
ネルギの広がりを示す。半球状のグリッド電極により広
く拡散するイオンも収束し、イオンサンプリング細孔1
5bへイオンを効率よく送り込むことができる。
【0062】図13は本発明による第10の実施例を示
す。これは、イオンサンプリング細孔15bから高真空
部34に導入されたイオンを一旦アインツエルレンズ6
4で収束し、細孔65を経由して第1、第2の電極系に
よるイオンと中性粒子の選別を行うようにしたものであ
る。これによれば、第1の電極系とイオンサンプリング
細孔15bが接近し、組み立てが困難になるのを未然に
防ぐことができる。更に、細孔65により、より効率的
に中性粒子を取り除くことができる。
【0063】第1の電極系の複数グリッド電極の間にイ
オンを減速する電位を印加すれば、運動エネルギがこの
電位を下回るイオンは押し戻され、ここで、イオンの運
動エネルギの足切りができる。しかし、運動エネルギの
低いイオンは過剰なエネルギをもつイオンよりも、分解
能や透過率に悪影響を与える度合いが小さい。ある程度
分解能に妥協すれば、これら運動エネルギの小さなイオ
ンまでMSに送り込むことができる。この場合、第1の
電極系のグリッド電極に印加する電位はイオン減速の電
位ではなく、同電位とすることもできる。また、第1の
電極系の2枚目の電極を除くこともできる。更にわずか
に加速することも可能である。
【0064】実施例では、第1、第2の電極系において
構成するグリッド電極はそれぞれ2枚で説明したが、こ
れを3枚以上に増やすことも可能である。電極の構造
も、半球状で説明したが、グリッド面が球面の一部をな
していればよい。また、半球状なる用語はその厳密性を
問題にする用語ではなく、焦点をもつ双曲線形状や楕円
形状をも含むものと理解されたい。
【0065】以上説明した実施例によれば、真空悪化に
よるイオンの運動エネルギの広がりを低減しつつ、高立
体角のイオンを効果的に収束させて高いS/N比をもっ
て質量分析を行うことができる。また、イオンの運動エ
ネルギの選別を容易に行うことができると共に、中性粒
子や光子の遮蔽、即ち中性粒子や光子のイオンからの分
離を効果的に行って、中性粒子や光子によるノイズを抑
制することができる。
【0066】
【発明の効果】本発明によれば、真空悪化によるイオン
の運動エネルギの広がりを低減させつつ、高立体角のイ
オンを効果的に収束して高S/N比をもって質量分析を
行うのに適した大気圧イオン化質量分析計が提供され
る。
【0067】本発明によればまた、中性分子のイオンか
らの分離を効果的に行うのに適した大気圧イオン化質量
分析計が提供される。
【0068】本発明によれば更に、収束されるべきイオ
ンの運動エネルギの選別を容易化するのに適した大気圧
イオン化質量分析計が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による大気圧イオン化質量分析計の第1
の実施例の全体構成概念図である。
【図2】本発明による第1の実施例のイオン収束系の立
体概略図である。
【図3】本発明による第1の実施例のイオン収束系の説
明用のもので、(A)はそのイオン光学系図、(B)は
電極20上でのイオンの収束状態を示す図である。
【図4】本発明による大気圧イオン化質量分析計の第2
の実施例の全体構成概念図である。
【図5】本発明による第2の実施例のイオン収束系の概
略イオン光学系図である。
【図6】本発明による大気圧イオン化質量分析計の第3
の実施例の全体構成概念図である。
【図7】本発明による大気圧イオン化質量分析計の第4
の実施例の全体構成概念図である。
【図8】本発明による大気圧イオン化質量分析計の第5
の実施例の全体構成概念図である。
【図9】本発明による大気圧イオン化質量分析計の第6
の実施例の全体構成概念図である。
【図10】本発明による大気圧イオン化質量分析計の第
7の実施例の全体構成概念図である。
【図11】本発明による大気圧イオン化質量分析計の第
8の実施例の全体構成概念図である。
【図12】本発明による大気圧イオン化質量分析計の第
9の実施例の全体構成概念図である。
【図13】本発明による大気圧イオン化質量分析計の第
10の実施例の全体構成概念図である。
【図14】知られている液体クロマトグラフ直結質量分
析計の概念図である。
【図15】エレクトロスプレイイオン源を装着した知ら
れている液体クロマトグラフ直結質量分析計の概念図で
ある。
【図16】液的とイオンを分離する手段を有するしられ
ている質量分析計の概念図である。
【図17】知られているアイエンツエルレンズの概念図
である。
【図18】デフレクタを用いずにS/N比を改善した知
られている液体クロマトグラフ直結質量分析計の概念図
である。
【図19】知られているプラズマ質量分析計の概念図で
ある。
【図20】知られているもう一つのプラズマ質量分析計
の概念図である。
【図21】電子のエネルギ分析計に用いられる知られて
いる電極系の概念図である。
【符号の説明】
1:液体クロマトグラフ(LC)、2:連結チューブ、
3:イオン源、4:イオン源電源、6:質量分析部、7
a、7b:真空排気系、8:イオン検出器、9:データ
処理器、11:キャピラリ、12:対向電極、13:ガ
ス噴出口、14:カウンタガス噴出口、15、15a、
15b、15c、15d イオンサンプリング細孔、1
6、16a:隔壁、17:中心軸、19、19a:質量
分析計入り口孔、20:電極、21:細孔、24:隔
壁、25:噴霧補助ガス、26:ビーカ、27:キャピ
ラリ、28:キャピラリ電気泳動電源、29:緩衝溶
液、30:電圧供給ライン、31:プラズマイオン源電
源、32:プラズマイオン源、33:中間圧力部、3
4:高真空部、35:外套管、36:カウンタガス、4
1、41a:第1のグリッド電極、42、42a:第2
のグリッド電極、43、43a:第3のグリッド電極、
44、44a:第4のグリッド電極、45:スクリーン
電極、46:シールド電極、47、48 中心軸、4
9:無電界空間、51:アインツエル電源、52:物
点、53:第1の電極、54:第2の電極、55:第3
の電極、62:イオン導入キャピラリ、63:イオンサ
ンプリング細孔、64:アインツエルレンズ、65:制
限細孔、66:スクリーン電極、70:電源。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】大気圧下で試料をイオン化してそのイオン
    を生成する大気圧イオン化イオン源と、その生成された
    イオンをイオンサンプリング細孔を通して導入して質量
    分析する質量分析部とを備えている大気圧イオン化質量
    分析計において、前記イオンサンプリング細孔と前記質
    量分析部との間に配置された第1及び第2の電極系を備
    え、前記第1の電極系は前記サンプリング細孔からのイ
    オンを通す複数の半球状のグリッド電極を有し、前記第
    2の電極系は前記第1の電極系からのイオンを通して前
    記質量分析部に向ける複数の半球状のグリッド電極を有
    し、前記第1の電極系の複数のグリッド電極は前記サン
    プリング細孔側に凹にされており、前記第2の電極系の
    複数のグリッド電極は前記サンプリング細孔と反対側に
    凹にされており、それによって前記第2の電極系からの
    イオンを収束位置に収束させることを特徴する大気圧イ
    オン化質量分析計。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記サンプリング細孔
    からの中性粒子を遮蔽するスクリ−ンを備えていること
    を特徴とする大気圧イオン化質量分析計。
  3. 【請求項3】請求項2において、前記スクリ−ンは前記
    第1の電極系と前記第2の電極系との間の中心軸上に配
    置されていることを特徴とする大気圧イオン化質量分析
    計。
  4. 【請求項4】大気圧下で試料をイオン化してそのイオン
    を生成する大気圧イオン化イオン源と、その生成された
    イオンをサンプリングするイオンサンプリング細孔を有
    する部材と、そのサンプリングされたイオンを質量分析
    部にその入り口孔を介して導入して質量分析する質量分
    析部とを備えている大気圧イオン化質量分析計におい
    て、前記イオンサンプリング細孔と前記質量分析部との
    間に配置された第1及び第2の電極系を備え、前記第1
    の電極系は前記サンプリング細孔からのイオンを通しか
    つ前記サンプリング細孔側に凹にされた複数の半球状の
    グリッド電極を有し、前記第2の電極系は前記第1の電
    極系からのイオンを通して前記質量分析部に向けかつ前
    記サンプリング細孔と反対側に凹にされた複数の半球状
    のグリッド電極を有し、前記イオンサンプリング細孔の
    軸と前記第1の電極系の軸が一致し、前記第2の電極系
    に軸と前記質量分析部の入り口孔の軸が一致し、前記イ
    オンサンプリング細孔の軸と前記質量分析部の入り口孔
    の軸が交差していることを特徴する大気圧イオン化質量
    分析計。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれかにおいて、前記イ
    オンを、前記第1の電極系の複数のグリッド電極間で減
    速し、前記第2の電極系の複数のグリッド電極間で加速
    するようにしたことを特徴とする大気圧イオン化質量分
    析計。
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