JPWO2003029474A1 - ウィルスベクター搭載遺伝子発現の制御方法 - Google Patents

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Abstract

非ステロイド性抗炎症薬および筋弛緩薬が、ウィルスベクターの搭載遺伝子の発現を抑制することを見出した。これらの薬剤は、ウィルスベクターによる細胞傷害性も抑制した。本発明は、非ステロイド性抗炎症薬および/または筋弛緩薬を用いてウィルスベクター搭載遺伝子発現を制御する方法を提供する。薬剤による効果は可逆的であり、薬剤の投与を止めるとウィルスベクターからの遺伝子発現は再び上昇し、ウィルスベクターによる細胞傷害性の上昇が観察された。本発明の薬剤は、遺伝子治療用ウィルスベクターを用いた遣伝子治療におけるウィルス遺伝子および治療遺伝子の発現制御、並びに該ウィルスベクターによる細胞傷害性の抑制に有用である。

Description

技術分野
本発明は非ステロイド性抗炎症薬等を用いてウィルスベクター搭載遺伝子発現を制御する方法に関する。
背景技術
ウィルスベクターは細胞への遺伝子導入効率が高く、導入遺伝子の高い発現が得られることから、遺伝子治療を含めた多くの遺伝子導入法において用いられている。しかしながら、細胞に導入されたウィルスベクターからの導入遺伝子の発現を制御する方法はほとんど知られていない。ウィルスベクターが搭載する遺伝子の発現を制御したり、あるいはウィルスによる細胞傷害性を低減させる方法の開発が望まれている。
Chenらは、水疱性口内炎ウィルス(Vescular Stomatitis Virus;VSV)の増殖が、アスピリンにより抑制されることを報告している(Chen,N.et al.,Virology 276,44−51(2000))。しかしChenらは水疱性口内炎ウィルスが搭載する遺伝子の発現に与えるアスピリンの作用については開示していない。さらに、アスピリンを遺伝子導入用ベクターの搭載遺伝子の発現制御に使用することについては全く示唆していない。またアスピリンを取り除いたときにウィルスの増殖性が可逆的に制御可能であるかということについてもChenらは検討していない。
他方、近年ウィルス遺伝子の操作により、腫瘍細胞におけるウィルス増殖能を保ちつつ、正常組織における病原性を消失した、増殖性ウィルスベクターの開発が進んでいる。そのなかでも増殖性ウィルスベクターとして単純ヘルペスウィルス(HSVベクター)、アデノウィルス、およびレオウィルスが注目されている。また遺伝子発現ベクターの増殖性ウィルスの効果を高める方法として、免疫遺伝子治療および自殺遺伝子治療が注目されている。さらに特異性を高めるために、増殖性ウィルスベクターに対して組織特異的プロモーターの利用も試みられている(脳腫ようの遺伝子診断・治療 遺伝子治療研究の最前線 増殖性ウィルスベクターを用いた脳腫よう治療,藤堂具紀,脳の科学,Vol.23,No.5,379−387,2001)。なかでも、ベクターとしてのHSVの特徴は、一過性の目的遺伝子の発現であり、また神経細胞等の非分裂細胞にも導入可能であるという点である。HSVベクターについて以下の性能が注目されている。1)HSVの細胞傷害性の利用、2)特定の腫瘍細胞のみを攻撃する、肝細胞癌特異的組換HSV株の利用、3)アンプリコンプラスミド及びヘルパーHSVを利用した欠損HSVの利用などである(遺伝子治療用ウィルスベクターの開発と展望 遺伝子治療用ベクターとしての単純ヘルペスウィルス,宮武伸一,ウィルス,Vol.47,No.2,239−246,1997)。
細胞傷害性の治療に対する積極的な活用は単純ヘルペスウィルス、アデノウィルス、およびレオウィルスをベースとしたウィルスベクターの利点であるが、これらのベクターの生産はやはり細胞で生産せざる得ないため、医薬に応用するための大量のウィルスを生産する場合、この利点が両刃の剣となり、培養細胞から十分なウィルスを得ることができないという欠点を持っている。細胞傷害性を制御する薬剤を培養時に利用することができれば、薬剤を添加することでウィルスを得ることが期待できる。
発明の開示
本発明は、非ステロイド性抗炎症薬および/または筋弛緩薬を用いてウィルスベクター搭載遺伝子発現を制御する方法、およびウィルスベクター搭載遺伝子発現を制御するための薬剤を提供する。本発明者らは、ヒトを含めた哺乳動物に適用される様々な薬剤が、ウィルスベクターの搭載遺伝子の発現にどのように影響するのかを鋭意研究した。その結果、驚くべきことに、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDとも称す)および筋弛緩薬が、ウィルスベクターからの遺伝子発現を有意に抑制する活性を示すことを見出した。ウィルスベクター導入細胞からのベクター搭載遺伝子の発現に対する抑制効果は、アスピリン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、インドメタシン、ジクロフェナク、およびメフェナム酸を含む調べた全ての非ステロイド性抗炎症薬で顕著に見出された。さらに平滑筋弛緩薬であるパパベリンも、ウィルスベクター搭載遺伝子の発現に対する強い抑制効果が見出された。
ウィルスベクター導入細胞において、ベクター導入により惹起する細胞傷害性に対するこれらの薬剤の投与効果を検査したところ、特にアスピリン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、およびインドメタシンは、細胞傷害性を減弱させる強い効果を有していることが判明した。中でもアスピリンおよびケトプロフェンは細胞傷害性の抑制効果が特に高いことが明らかとなった。
アスピリンについて、ウィルスベクター搭載遺伝子発現の抑制効果を詳しく調べたところ、この抑制作用は一過的なものであり、薬剤の適用を中止すると短い日数のうちにベクター搭載遺伝子の発現の抑制が解除されることが判明した。この知見は、ベクター搭載遺伝子の発現を抑制したい場合、あるいはウィルスベクターによる細胞傷害性を抑制する必要が生じた場合に本発明の薬剤を適用することでその目的を達成することができ、必要がなくなれば薬剤の適用を中止することによりウィルスベクターからの発現を可逆的に制御できることを示している。すなわち、本発明によりベクター搭載遺伝子の発現をダイナミックに制御することが可能となる。
本発明の薬剤は、特に遺伝子治療などの臨床場面においてウィルスベクターにより導入した治療遺伝子等のウィルス搭載遺伝子の発現レベルおよび細胞傷害性を迅速に制御することを可能とする。本発明は、非ステロイド性抗炎症薬および/または筋弛緩薬を用いてウィルスベクター搭載遺伝子発現を制御する方法、およびウィルスベクター搭載遺伝子発現を制御するための薬剤に関し、より具体的には、
(1)非ステロイド性抗炎症薬および/または筋弛緩薬をウィルスベクター導入細胞に接触させる工程を含む、該ウィルスベクターが搭載する遺伝子の発現を抑制する方法、
(2)ウィルスベクターによる細胞傷害を減弱させる(1)に記載の方法、
(3)非ステロイド性抗炎症薬が、アスピリン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、インドメタシン、ジクロフェナク、およびメフェナム酸からなる群より選択される(1)に記載の方法、
(4)非ステロイド性抗炎症薬が、アスピリン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、およびインドメタシンからなる群より選択される(3)に記載の方法、
(5)非ステロイド性抗炎症薬が、アスピリンおよび/またはケトプロフェンである(4)に記載の方法、
(6)筋弛緩薬がパパベリンである(1)に記載の方法、
(7)ウィルスベクターが、マイナス鎖RNAウィルスベクターである、(1)から(6)のいずれかに記載の方法、
(8)マイナス鎖RNAウィルスが、パラミクソウィルスである、(7)に記載の方法、
(9)パラミクソウィルスがセンダイウィルスである、(8)に記載の方法、
(10)非ステロイド性抗炎症薬および/または筋弛緩薬を含む、ウィルスベクター搭載遺伝子の発現抑制剤、
(11)ウィルスベクターによる細胞傷害を減弱させる作用を有する(10)に記載の抑制剤、に関する。
本発明は、ウィルスベクター搭載遺伝子の発現を制御する方法を提供する。具体的には、本発明の方法は、非ステロイド性抗炎症薬および/または筋弛緩薬をウィルスベクター導入細胞に接触させる工程を含む方法である。非ステロイド性抗炎症薬および筋弛緩薬としては特に制限はなく、所望の非ステロイド性抗炎症薬および筋弛緩薬を単独で、または複数組み合わせて用いることができる。
非ステロイド性抗炎症薬とはステロイド以外で抗炎症作用を持つ薬物群を指す総称で、アスピリン様薬物(aspirin−like drugs)とも呼ばれる(グッドマン・ギルマン薬理書,p775)。特に酸性非ステロイド性抗炎症薬がプロスタグランディンの生合成を抑制する(Vane,J.R.and Botting,R.,FASEB J.1,89−96(1987);Vane,J.R.,Nat.New Biol.231(25),232−235(1971))ことが知られている。非ステロイド性抗炎症薬としては、例えば、サリチル酸系(サリチル酸、アスピリン、アスピリンDLリジン、などのアスピリン塩、ジスルファニル)、アリール酢酸系(インドメタシン、ジクロフェナク、スリンダク、ナブメトン、プログルメタシン、インドメタシンファネシル、エトドラク)、プロピオン酸系(イブプロフェン、ナプロキセン、フルルビプロフェン、チアプロフェン、プラノプロフェン、ロキソプロフェン、アルミノプロフェン、ケトプロフェン)、フェナム酸系(メフェナム酸、トルフェナム酸)、ピラゾロン系(フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン)、オキシカム系(ピロキシカム、テノキシカム、アンピロキシカム)がある。非酸性の非ステロイド性抗炎症薬としてはエピリゾール、チアラミド、エモルファゾンを挙げることができるがこれらに限定されない。本発明の薬剤とすることができる非ステロイド性抗炎症薬としては酸性非ステロイド性抗炎症薬が好ましく、より好ましい非ステロイド性抗炎症薬としては、特にアスピリン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、インドメタシン、ジクロフェナク(ジクロフェナク・ナトリウムを含む)、およびメフェナム酸が挙げられる。より好ましい非ステロイド性抗炎症薬としてはアスピリン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、およびインドメタシンが挙げられ、特にアスピリンおよびケトプロフェンは最も好ましい非ステロイド性抗炎症薬に含まれる。
本発明において使用される筋弛緩薬としては、例えば骨格筋弛緩薬(ツボクラリン、スキサメトニウム、デカメトニウム、ダントレロン)、平滑筋弛緩薬(パパベリン、リトドリン、テルブタリン、硫酸マグネシウム)を挙げることができるがこれらに限定されない。本発明の薬剤とすることができる好ましい筋弛緩薬としては平滑筋弛緩薬が挙げられ、特に平滑筋弛緩薬として作用するアヘンアルカロイド、中でもイソキノリン誘導体が好ましく、例えばパパベリンが挙げられる。
上記の非ステロイド性抗炎症薬および/または筋弛緩薬は、塩(例えばナトリウム塩)、水和物、または錯体等の形態も含まれる。また同族体、アナログ、誘導体、エステルなども含まれる。本発明の薬剤は、ウィルスベクター導入細胞における該ウィルスベクターが搭載する遺伝子の発現を抑制するための試薬並びに医薬または医薬品原料として有用である。また、ウィルスベクターによる細胞傷害を減弱させるための試薬並びに医薬または医薬品原料として有用である。
本発明の方法においてウィルスベクター導入細胞における該ウィルスベクターが搭載する遺伝子の発現を抑制するには、該細胞に非ステロイド性抗炎症薬および/または筋弛緩薬を接触させる。接触の操作は、ウィルスベクターを細胞に導入する前に行ってもよく、同時、あるいはウィルスベクターの導入後に行ってもよい。これらの態様は全て本発明に含まれる。ウィルスベクター導入細胞に本発明の薬剤が接触することにより、該細胞におけるウィルスベクター搭載遺伝子の発現が抑制される。
本発明においてウィルスベクター搭載遺伝子とは、該ベクターにより細胞に導入される遺伝子を言う。これらの遺伝子には、細胞で発現させるためにベクターに組み込まれている外来遺伝子、およびウィルスベクターが元来保持しているウィルス遺伝子、およびベクターが保持しうるマーカー遺伝子など、ウィルスベクターにより細胞に導入される全ての遺伝子が含まれる。また、遺伝子とは遺伝物質を指し、RNAおよびDNA等の核酸が含まれる。一般に、遺伝子は蛋白質をコードしてもよく、また蛋白質をコードしていなくてもよい。例えば遺伝子はリボザイムまたはアンチセンスRNAなどの機能的RNAをコードするものであってもよい。遺伝子は天然由来または人為的に設計された配列であり得る。また、本発明において「DNA」とは、一本鎖DNAおよび二本鎖DNAを含む。
本発明の方法は、特にウィルスベクターに搭載された外来遺伝子の発現を制御するために好適に用いられる。例えば、外来遺伝子を発現するウィルスベクターを導入した細胞においては、本発明の方法により外来遺伝子の発現を抑制することができる。例えばウィルスベクターを用いた遺伝子治療において、治療遺伝子の高レベルの発現が望まない副作用を示す場合に、本発明の方法により治療遺伝子の発現を抑制することが可能となる。外来遺伝子としては制限はなく、例えばベクター導入の対象となる宿主で機能し得る生理活性蛋白質などが挙げられ、具体的にはサイトカイン/ケモカイン、ホルモン、酵素、可溶性受容体、抗体断片などが含まれる。
また本発明の方法により、ウィルスベクターが持つウィルス遺伝子などの発現を抑制することもできる。ベクターが有するウィルス遺伝子から発現される蛋白質は、導入細胞で発現することにより細胞傷害性を惹起するものが多く知られている。本発明の方法を用いてウィルスベクター搭載遺伝子の発現を抑制することにより、ウィルスベクターによる細胞傷害性を減弱させることができる。先に述べたように、単純ヘルペスウィルス、アデノウィルス、およびレオウィルスをベースとしたウィルスベクターは細胞傷害性を持っている。本発明はこれらのウィルスベクターによる細胞傷害を抑制するために有用である。
本発明の方法により所望のウィルスベクターの搭載遺伝子の発現を抑制することできる。特に本発明の方法の適用には哺乳動物細胞感染性ウィルスベクターが好ましく、これらには例えば、レトロウィルスベクター、レンチウィルスベクター、アデノウィルスベクター、アデノ随伴ウィルスベクターなどが挙げられ、好ましくは単純ヘルペスウィルスベクター、アデノウィルスベクター、レオウィルスベクター、セムリキ森林ウィルスベクター、シンドビスウィルスベクター、ワクシニアウィルスベクター、およびフォウルポックスウィルスベクターが挙げられ、最も好ましくは狂犬病ウィルスベクター、麻疹ウィルスベクター、センダイウィルスベクターなどのマイナス鎖RNAウィルスベクターが挙げられるがこれらに制限されない。また上記のように、細胞傷害性を持つウィルスベクターは本発明の方法の適用に好適である。本発明は、非ステロイド性抗炎症薬および/または筋弛緩薬をウィルスベクター導入細胞に接触させる工程を含む、ウィルスベクターによる細胞傷害を減弱させる方法を提供する。非ステロイド性抗炎症薬および/または筋弛緩薬を含む薬剤は、ウィルスベクターによる細胞傷害を減弱させるための薬剤となる。
本発明において、マイナス鎖RNAウィルスとは、マイナス鎖(ネガティブ鎖)をゲノムに持つRNAウィルスを言う。マイナス鎖RNAウィルスとしては、例えばパラミクソウィルス科(Paramyxoviridae)のセンダイウィルス(Sendai virus)、ニューカッスル病ウィルス(Newcastle disease virus)、おたふくかぜウィルス(Mumps virus)、麻疹ウィルス(Measles virus)、RSウィルス(Respiratory syncytial virus)、牛疫ウィルス(rinderpest virus)、ジステンパーウィルス(distemper virus)、オルトミクソウィルス科(Orthomyxoviridae)のインフルエンザウィルス(Influenza virus)、ラブドウィルス科(Rhabdoviridae)の水疱性口内炎ウィルス(Vesicular stomatitis virus)、狂犬病ウィルス(Rabies virus)等が挙げられる。中でも本発明の方法の適用においてより好ましいマイナス鎖RNAウィルスベクターは非分節型(すなわち一本鎖の)マイナス鎖RNAウィルスであり、さらに好ましくはパラミクソウィルスである。
本発明においてパラミクソウィルスとはパラミクソウィルス科(Paramyxoviridae)に属するウィルスまたはその誘導体を指す。パラミクソウィルスは、非分節型ネガティブ鎖RNAをゲノムに持つウィルスのグループの1つで、パラミクソウイルス亜科(Paramyxovirinae)(レスピロウイルス属(パラミクソウイルス属とも言う)、ルブラウイルス属、およびモービリウイルス属を含む)およびニューモウイルス亜科(Pneumovirinae)(ニューモウイルス属およびメタニューモウイルス属を含む)を含む。本発明を適用可能なパラミクソウィルスとしては、例えばパラミクソウィルス科のセンダイウィルス(Sendai virus)、ニューカッスル病ウィルス(Newcastle disease virus)、おたふくかぜウィルス(Mumps virus)、麻疹ウィルス(Measles virus)、RSウィルス(Respiratory syncytial virus)、牛疫ウィルス(rinderpest virus)、ジステンパーウィルス(distemper virus)、サルパラインフルエンザウィルス(SV5)、ヒトパラインフルエンザウィルス1,2,3型等が挙げられる。本発明においてパラミクソウィルスは、好ましくはパラミクソウイルス亜科(レスピロウイルス属、ルブラウイルス属、およびモービリウイルス属を含む)に属するウイルスであり、より好ましくはレスピロウィルス属(Respiro virus)(パラミクソウィルス属(Paramyxovirus)とも言う)に属するウィルスまたはその誘導体である。本発明の適用に特に好ましいレスピロウィルス属ウィルスとしては、例えばヒトパラインフルエンザウィルス1型(HPIV−1)、ヒトパラインフルエンザウィルス3型(HPIV−3)、ウシパラインフルエンザウィルス3型(BPIV−3)、センダイウィルス(Sendai virus;マウスパラインフルエンザウィルス1型とも呼ばれる)、およびサルパラインフルエンザウィルス10型(SPIV−10)などが含まれる。本発明の方法の適用に最も好ましいパラミクソウィルスはセンダイウィルスである。これらのウィルスは、天然株、野生株、変異株、ラボ継代株、および入為的に構築された株などに由来してもよい。DI粒子(J.Virol.68,8413−8417(1994))等の不完全ウィルスの搭載遺伝子発現も、本発明の方法により抑制することが可能である。
本発明において「マイナス鎖RNAウィルスベクター」とは、マイナス鎖RNAウィルスに由来し遺伝子を宿主細胞に導入するベクターを指す。ベクターとは、遺伝子を細胞に導入するための担体である。本発明の方法により、複製能を有する(replication competentな)マイナス鎖RNAウィルスベクターおよび複製能を有さない(replication deficientな)マイナス鎖RNAウィルスベクターの両方において、ベクター搭載遺伝子の発現を抑制することができる。特に複製能を有するマイナス鎖RNAウィルスベクターが導入された細胞に対して本発明の方法を適用すれば、該ウィルスベクターの複製を抑制することもできる。これにより、ウィルスベクターの過度な増幅や拡散を阻止することができる。
本発明の方法によれば、ウィルスベクターの搭載遺伝子の発現を可逆的に抑制することができる。すなわち、本発明の薬剤をベクター導入細胞に接触させている間は、ウィルスベクターの搭載遺伝子の発現が抑制され、ベクターにより惹起し得る細胞傷害性を抑制することができる。薬剤適用を停止することにより、ベクター搭載遺伝子の発現抑制は解除される。本発明の方法は、インビボおよびインビトロ(エクスビボを含む)において使用することができる。インビボでの適用においては、本発明の薬剤は生体内に投与することによりウィルス導入細胞に接触させる。投与ルートは薬剤がウィルス導入細胞に接触する限り制限はなく、有効成分の性質に応じて、例えば経口的、経皮的、鼻腔内的、経気管支的、筋内的、腹腔内、静脈内、関節内、または皮下等に行われうるがそれらに限定されない。インビトロ(エクスビボを含む)での適用においては、本発明の薬剤は標的細胞に接触するように添加される。例えば細胞培養液に添加される。
適用される薬剤の濃度は特に限定されない。薬剤の種類、塩の種類、投与経路などにより適宜決定すればよい。一般に、薬剤の用量に依存してウィルス搭載遺伝子に対する発現抑制効果は高まることが期待されるが、薬剤によっては高用量で細胞毒性が現れる可能性がある。当業者であれば、個々の薬剤の種類や使用目的に応じて濃度や投与量は調整することができる。例えば、アスピリンの経口投与の場合、1回0.5〜1.5g、1日1.5〜4.5gを標準的な投与量とし、推定中毒量300mg/Kg(LD501750mg/Kgの1/6)を超えない量を限度量とすることが好ましい。
本発明の方法の適用対象となる生物としては、ウィルスベクターによる遺伝子導入が可能である限り特に制限はない。例えば、ニワトリ、ウズラ、マウス、ラット、イヌ、ブタ、ネコ、ウシ、ウサギ、ヒツジ、ヤギ、サル、およびヒトなどを含む鳥類および哺乳動物が挙げられる。本発明の方法をインビトロ(エクスビボを含む)で用いる場合は、適用個体としては、例えばヒト、非ヒト哺乳動物および鳥類などが挙げられる。本発明の方法をインビボで用いる場合は、適用個体としては特に非ヒト哺乳動物および鳥類などが挙げられる。
本発明は、ウィルスベクター搭載遺伝子の発現を制御するための薬剤を提供する。具体的には、本発明は、非ステロイド性抗炎症薬および/または筋弛緩薬を含む、ウィルスベクター搭載遺伝子の発現抑制剤を提供する。本発明の薬剤には、ウィルスベクター搭載遺伝子の発現を抑制するための試薬および医薬が含まれる。本発明の薬剤は、非ステロイド性抗炎症薬および/または筋弛緩薬自体であってもよく、また、滅菌水、生理食塩水、緩衝剤、塩、安定剤、保存剤、界面活性剤等と適宜組み合わせて組成物としてもよい。これらは混ぜ合わさっていてもよく、使用時に混合されるまで分離されていてもよい。また、本発明の薬剤は公知の製剤学的方法により製剤化することも可能である。例えば、薬理学上許容される担体もしくは媒体、具体的には、滅菌水や生理食塩水、植物油、乳化剤、懸濁剤、界面活性剤、安定剤、徐放剤などと適宜組み合わせて製剤化することができる。また本発明の薬剤は、水溶液、散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、被覆錠剤、カプセル、トローチ、バッカル錠、エリキシル、懸濁液、シロップ、点鼻液、吸入液、軟膏、貼付剤、または坐剤などの形態であり得る。製剤における非ステロイド性抗炎症薬および/または筋弛緩薬の含有率は適宜決定すればよい。
例えば、経口製剤を製造するには、非ステロイド性抗炎症薬および/または筋弛緩薬の1種以上に、賦形剤、さらに必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤などを加えた後、常法により散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、被覆錠剤、カプセル剤等とすることができる。
賦形剤としては、例えば乳糖、コーンスターチ、白糖、ブドウ糖、マンニトール、ソルビット、結晶セルロース、二酸化ケイ素などが挙げられる。結合剤としては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、メチルセルロース、エチルセルロース、アラビアゴム、トラガント、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。崩壊剤としては、例えば澱粉、寒天、ゼラチン末、結晶セルロース、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸カルシウム、デキストリン、ペクチンなどが挙げられる。滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ、植物油などが挙げられる。着色剤および矯味矯臭剤としては医薬品に添加することができる様々な化合物が知られている。これらは錠剤、マイクロカプセル、または顆粒剤であってよく、例えば糖衣またはその他のコーティングがされていてもよい。
注射用製剤を製造するには、主剤にpH調整剤、溶解剤、等張化剤などを加え、必要に応じて溶解補助剤、安定化剤などを加えて、常法により製剤化することができる。製剤化において用いられる基剤原料としては、医薬品、医薬部外品、化粧品等に通常使用される各種原料を用いることが可能である。使用する基剤原料として具体的には、例えば動物油、植物油、鉱物油、エステル油、ワックス類、高級アルコール類、脂肪酸類、シリコン油、界面活性剤、リン脂質類、アルコール類、多価アルコール類、水溶性高分子類、粘土鉱物類、精製水などの原料が挙げられる。さらに必要に応じ、pH調整剤、抗酸化剤、キレート剤、防腐防黴剤、着色料、香料などを添加することができるがこれらに限定されない。
本発明の薬剤は、所望の投与経路で投与されてよく、上記の通り、例えば経口的、経皮的、鼻腔内的、経気管支的、筋内的、腹腔内、静脈内、関節内、または皮下等に行われうる。また、全身的または局所的に投与され得る。投与量、投与方法は、医薬組成物の有効成分の組織移行性、治療目的、患者等の投与対象の体重や年齢、症状などにより変動するが、当業者であれば適宜選択することが可能である。投与は1回から数回に分けて行うことができる。本発明の薬剤は、所望の培養細胞系および個体に適用することができる。対象となる個体および細胞の由来は、ヒト、サル、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ウシ、イヌなどの任意の哺乳動物、およびその他の脊椎動物が挙げられる。特に、本発明の薬剤は、ウィルスベクターを用いたヒト遺伝子治療におけるベクター搭載遺伝子の発現制御のために有用である。また本発明の薬剤は、ウィルスベクター搭載遺伝子の発現の可逆的抑制剤としても有用である。
特に適した投与経路においては、例えば本発明の薬剤は、皮下及び角質層の直下または近傍に投与されたベクターの発現量を、皮内の局所でコントロールするための経皮吸収製剤として調製されることが好ましい。経皮吸収製剤は軟膏、パップ、テープなどの剤型であっても良く、配合する基材、助剤及び賦形剤として通常医薬品及び化粧品に配合される成分が好ましい。たとえば、粘着性樹脂材料(ポリテルペン樹脂、炭化水素樹脂等)、天然ゴム又は合成ゴム(ポリイソブチレン、スチレン−ブチレン重合体、スチレン−イソプレン重合体、スチレン−エチレン−ブチレン重合体、1,4−ポリイソプレン等)またはガラクトマンナンなどの水中で膨潤することのできるポリマーを主成分とする貼付剤であっても良く、ポリエチレングリコールと脂肪酸エステルが配合されていてもよい。用いられる脂肪酸エステルは具体的にはオレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアリン酸コレステリル、アジピン酸ジイソプロピルなどがあげられる。用いられるポリエチレングリコールは具体的にはポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール600、ポリエチレングリコール1000、ポリエチレングリコール1500、ポリエチレングリコール1540、ポリエチレングリコール4000などがあげられる。必要に応じ、これらの配合に吸水高分子が含まれていてもかまわない。例えば吸水高分子は、好ましくは自重の10倍以上の水を吸収しゲル化膨潤するものであって、好ましくは微粉体のもので、カルボキシメチルセルロース及びその金属塩、カルボキシメチルポリマー等に軽度の架橋結合を導入したもの、ポリアクリル酸及びその金属塩、ナトリウム塩、カルボキシメチル化されたポリビニルアルコール、又はデンプンアクリロニトリルグラフトケン化物金属塩等があげられる。
発明を実施するための最良の形態
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、本明細書において引用された文献は、全て本明細書の一部として組込まれる。
[実施例1] アスピリン添加によるSeV転写複製抑制
NSAIDsの最も代表的な薬剤としてまずアスピリン[aspirin;アセチルサリチル酸(acetylsalicylic acid)とも言う]を選択し、センダイウィルス(SeV)の増殖(転写複製)に影響を与えるか否かに関して検証した。評価法としては、抗ウィルス剤的な評価ではなく発現制御という観点からの評価を行う為に、SeV感染2日後で、ある程度ウィルスが増えた状態でアスピリン(和光純薬,Osaka,Japan)を添加するという方法で行った。
サル腎由来細胞であるLLC−MK2を6well培養プレートに5×10cells/wellで播き、10%ウシ血清(FBS:BioWhittaker,Walkersville,MD)を含むMEM培地(Gibco−BRL,Rockville,MD)で、37℃,5%COインキュベーター下、24時間培養した。PBSで洗浄後、分泌型アルカリフォスファターゼ(SEAP)及び緑色蛍光蛋白質(green fluorescence protein;GFP)両遺伝子を搭載したF欠失型SeV(SeV18+SEAP/ΔF−GFP:図1)をm.o.i.3で感染した。使用したF欠失型SeVはLiらの方法で調製したものである(Li,H.−O.et al.,J.Virology 74,6564−6569(2000),WO00/70070)。感染後は血清を含まないMEMで培養を継続し、2日後に0.625,1.25,2.5,5mMのアスピリンを含む或いは含まないMEM(血清無し)に置換し2日毎に培養上清を回収し、同時に新しい同条件の培地を添加し経時的にサンプリングを行った。回収した上清について、ビリオン形成量の指標となる赤血球凝集活性(HA活性)、細胞傷害性の指標となる乳酸脱水素酵素(lactate dehydrogenase;LDH)定量及び搭載遺伝子発現量の指標となるSEAP活性測定を行った。また、経時的に蛍光顕微鏡で観察しGFP発現量や細胞傷害性の観察を行った。
HA活性はKatoらの方法(Kato,A.et al.,Genes Cells 1,569−579(1996)))に倣って行った。即ち、丸底の96穴プレートを使用し、ウィルス液を段階的にPBS(Gibco−BRL,Rockville,MD)で希釈し各well 50μLの2倍希釈系列を作製した。その50μLに1%濃度にPBSで希釈したニワトリ保存血(コスモバイオ,Tokyo,Japan)50μLを混合し、4℃で1時間放置し赤血球の凝集を観察し、凝集したもののうち最もウィルス希釈率の高いものの希釈率をHA活性として判定した。また、1HAUを1×10ウィルスと換算して、ウィルス数で表した。5mMアスピリン添加によりHA活性上昇は抑制しており、ビリオン形成量が減少したと判断された(図2(A))。LDH定量はCytotoxicity Detection Kit(Roche,Basel,Switzerland)を利用してKitに記載の方法に従って行った。アスピリン濃度依存的にLDH放出量が減少し、特に5mMアスピリン存在下においては殆ど傷害が観察されなかった(図2(B))。SEAP活性測定はReporter Assay Kit−SEAP(TOYOBO,Osaka,Japan)を利用してKitに記載の方法に従って測定した。SEAP活性変化に関してもアスピリン濃度依存的に減少し、アスピリン5mMでの減少が顕著であった(図2(C))。
アスピリン添加4日後(SeV感染6日後)及び添加6日後(SeV感染8日後)の蛍光顕微鏡下の写真を図3に示した。アスピリン濃度依存的にGFP発現量が減少し、細胞傷害性も減弱していることが確認され、アスピリン5mM添加条件での作用が顕著であった。
転写複製量を別の観点から評価する為に、ウィルス蛋白をウェスタンブロッティングによって半定量的に解析した。上述と同サンプル、即ちLLC−MK2細胞にSeV18+SEAP/ΔF−GFPをm.o.i.3で感染し、2日後にアスピリンを添加後2日毎に回収した培養上清、及びアスピリン処理6日後(感染8日後)に回収した細胞を用いた。培養上清は48,000gで45分間遠心しウィルス蛋白を回収し、細胞は直接セルスクレーパーで回収した。SDS−PAGE後、ウェスタンブロッティングを行い、抗M抗体及び主にNP蛋白を認識するDN−1抗体(共にラビットポリクローナル)で検出した。ウェスタンブロッティングは以下の方法で行った。6well培養プレートの1wellから回収した細胞(−80℃で凍結保存後のもの)及び培養上清から調製したウィルス蛋白について、1×に希釈したSDS−PAGE用サンプルバッファー(Red Loading Buffer Pack;New England Biolabs,Beverly,MA)100μLで溶解し、98℃で10分間加熱した。遠心後、上清10μLをSDS−PAGEゲル(マルチゲル10/20;Daiichi Pure Chemicals Co.,Ltd,Tokyo,Japan)にロードした。15mAで2.5時間泳動後、PVDF膜(Immobilon PVDF transfer membrane;Millipore,Bedford,MA)にセミドライ法にて100mAで1時間転写した。転写膜をブロッキング溶液(Block Ace;Snow Br and Milk Products Co.,Ltd,Sapporo,Japan)で4℃1時間以上放置した後、10%Block Aceを含み抗M抗体を1/4000容量或いはDN−1抗体を1/1000容量添加した一次抗体溶液に浸し、4℃で一晩放置した。0.05%Tween20を含むTBS(TBST)で3回、更にTBSで3回洗浄した後、10%Block Aceを含みHRPを結合した抗ラビットIgG抗体(Anti−rabbit IgG(Goat)H+L conj.;ICN P.,Aurola,OH)を1/5000容量添加した二次抗体溶液に浸し、室温で1時間振盪した。TBSTで3回、TBSで3回洗浄した後、化学発光法(ECL Western blotting detection reagents;Amersham pharmacia biotech,Uppsala,Sweden)により検出した。培養上清中のウィルス蛋白及び感染細胞中のウィルス蛋白共にウィルス蛋白量が減少していることが確認された(図4)。また、抗M抗体で半定量的に解析した結果(図5)がHA活性値(図2(A))と非常に良い相関を示し、アスピリン添加によってSev転写複製抑制が間違いなく生じているものと判断された。
[実施例2] アスピリン添加処理期間のSeV転写複製抑制活性への影響
確認されたアスピリン添加によるSeV転写複製抑制が添加処理期間によって影響を受けるか否か、即ちアスピリン添加が持続的か或いはトランジエントな効果であるかを判断する為に、アスピリンを添加する処理期間を変えて、その後のウィルス増殖の違いを調べた。
実施例1記載と同様の方法で行った。即ち、LLC−MK2を6well培養プレートに5×10cells/wellで播き、10%ウシ血清を含むMEM培地で、37℃,5%COインキュベーター下、24時間培養した。PBSで洗浄後、SeV18+SEAP/ΔF−GFPをm.o.i.3で感染した。感染後は血清を含まないMEMで培養を継続し、2日後に5mMのアスピリンを含むMEM(血清無し)に置換し2日毎に培養上清を回収し、同時に5mMのアスピリンを含む或いは含まない新しい培地を添加し経時的にサンプリングを行った。アスピリン処理は0,2,4,6及び8日間の処理で違いを調べた。回収した上清について、HA活性、LDH定量及びSEAP活性測定を行った。また、経時的に蛍光顕微鏡で観察しGFP発現量や細胞傷害性の観察を行った。
HA活性変化(図6)では、アスピリン処理期間中はHA活性の上昇が少ない、即ちビリオン形成が抑制されているが、処理を終了した2日後にはHAの上昇が見られビリオン形成が亢進していた。重要なのはこの現象が処理期間に因らずに見られている点であり、アスピリン添加効果がトランジエントであることを示している。LDH量は更に2日遅れで反応し、アスピリン処理を終了した4日後にLDH放出量の上昇が見られ、HA活性と同様に同じ現象が処理期間に因らずに観察された(図7)。HA活性の変化よりも2日遅れで反応したのは、ウィルスの転写複製亢進(HA活性上昇)後、細胞傷害が生じLDHを培地に放出するまでのタイムラグを反映していると考えられた。SEAP活性変化では、HA活性やLDH量変化のようなアスピリン処理開始及び解除に敏感な変化は観察されなかったが、アスピリン処理後SEAP活性が一度落ちて次に回復するまでに、処理終了から6日間程度掛かっている傾向が見られた(図8)。
蛍光顕微鏡像を図9に示した。結果は前述のHA活性、LDH量及びSEAP活性変化結果を支持するものであり、アスピリン処理期間中はGFP発現量が少なく細胞傷害性も観察されないが、処理終了後のGFP発現亢進と細胞傷害性惹起が観察された。これらの変化は処理期間の長さに関わらずほとんど同じ変化を示し、アスピリンによるSeV転写複製抑制活性はトランジエントな効果であると判断された。
[実施例3] アスピリン以外のNSAIDsの作用
SeVに対する転写複製抑制活性に関して、アスピリン以外の薬剤の検索を行った。評価を行った薬剤は、ケトプロフェン(Ketoprofen)(和光純薬,Osaka,Japan),フルルビプロフェン(Flurbiprofen)(和光純薬,Osaka,Japan),インドメタシン(Indomethacin)(和光純薬,Osaka,Japan),ジクロフェナクナトリウム(Diclofenac sodium)(和光純薬,Osaka,Japan),メフェナム酸(Mefenamic acid)(和光純薬,Osaka,Japan)及びNSAIDsではないがサイトメガロウィルスに対する増殖抑制が報告(Albrecht,T.et al.,Proc Soc Exp Biol Med 186,41−46(1987))されており平滑筋弛緩活性のあるパパベリン(Papaverin)(和光純薬,Osaka,Japan)である。
実施例1記載と同様の方法で行った。即ち、LLC−MK2を6well培養プレートに5×10cells/wellで播き、10%ウシ血清を含むMEM培地で、37℃,5%COインキュベーター下、24時間培養した。PBSで洗浄後、SeV18+SEAP/ΔF−GFP或いはSEAP遺伝子を有さないF欠失型SeV(SeV18+/ΔF−GFP)をm.o.i.3で感染した。感染後は血清を含まないMEMで培養を継続し、2日後に記載濃度の薬剤を含むMEM(血清無し)に置換し2日毎に培養上清を回収し、同時に新しい同条件の培地を添加し経時的にサンプリングを行った。回収した上清について、HA活性及びLDH定量を行った。また、経時的に蛍光顕微鏡で観察しGFP発現量や細胞傷害性の観察を行った。
その結果、調査した薬剤はいずれも、SeVの搭載遺伝子の発現を抑制することが判明した。調査した薬剤は大きく3つのグループに分類された。1)アスピリンと同様にSeVの転写複製を抑制すると共に、細胞傷害性を減弱するケトプロフェン、2)SeVの転写複製を抑制するがその濃度では細胞傷害性を中程度に惹起するフルルビプロフェン及びインドメタシン、3)SeVの転写複製を抑制し、細胞傷害性惹起が顕著なジクロフェナクナトリウム、メフェナム酸、及びパパベリンの3グループに分類された(図10〜11)。これらの結果より、作用メカニズムの面での相違も予想されるが、多くのNSAIDsでSeVの転写複製抑制は達成されることが明らかとなった。また、SeV搭載遺伝子発現コントロールという観点からは、SeVの転写複製を抑制すると共に細胞傷害性を減弱するアスピリン及びケトプロフェンが特に有効な性質を有していると考えられた。それ以外の薬剤に関しても最終的に発現を減弱できたことから、アスピリン及びケトプロフェンと同様にベクター搭載遺伝子発現の制御の目的で使用することが可能であることが証明された。
[実施例4] 作用メカニズムの探索
アスピリンによるVSVの増殖抑制の作用メカニズムに関してはNOによる抗ウィルス効果が指摘されている(Chen,N.et al.,Virology 276,44−51(2000))。即ち、NSAIDsの作用点と考えられているシクロオキシゲナーゼ(Cyclooxygenase;COX)の活性阻害に因り、NO合成酵素(NO synthase;NOS)の活性を抑制的に作用するプロスタグランディン(Prostaglandin)E2の産生が抑制され、結果的にNOSの活性化からNO産生亢進が生じVSVの転写複製を阻害すると考えられている。また、インターロイキン(interleukin)−12によるVSVの転写複製抑制に関してもNOSの関与が示唆されている(Komatsu,T.et al.,Virology 259,334−341(1999))。そこで、NSAIDsによるSeVの転写複製抑制に関してもNOの関与について調査した。
まず、NOの直接的な作用の有無を調べる為に、NO剤添加によりSeVの転写複製抑制が生じるかどうかを検討した。イソソルビド・ジニトラート(Isosorbide Dinitrate)(ISDN:Sigma,St.Louis,MO)或いはニコランジル(Nicorandil)(中外製薬,Tokyo,Japan)を添加した場合、顕著な転写複製抑制は生じなかった(図12)。即ち、NOによる直接的な影響は観察されなかった。また、実際にSeVの転写複製が抑制された条件、即ち5mMアスピリン添加条件或いは1mMケトプロフェン添加条件にNOS阻害剤であるL−NAME(同仁化学,Kumamoto,Japan)を同時添加した場合も、L−NAME添加による転写複製抑制の回復等は観察されなかった(図13)。このように、本実施例で観察された転写複製抑制作用においては、上記文献で示されているようなNOの関与は支持されず、異なる作用メカニズムを介している可能性が示唆される。
産業上の利用の可能性
本発明により、非ステロイド性抗炎症薬および筋弛緩薬の新たな用途が提供された。これらの薬剤を用いれば、ウィルスベクター搭載遺伝子の発現を制御し、またウィルスベクターによる細胞傷害性を抑制することが可能となる。本発明は、特に遺伝子治療において投与ベクターからのウィルス遺伝子および治療遺伝子の発現を制御するために有用である。
【図面の簡単な説明】
図1は、薬剤の評価に使用したSeVの遺伝子構造模式図である。
図2は、LLC−MK2細胞にSeV18+SEAP/ΔF−GFPをm.o.i.3で感染し、感染2日後に記載濃度のアスピリンを添加後、2日毎に回収した培養上清について測定したアスピリンによる濃度依存的SeV転写複製抑制活性(A)ビリオン量を反映するHA活性値、(B)細胞傷害性を反映するLDH放出量、(C)搭載遺伝子発現量を反映するSEAP活性の経時変化、を示す図である。
図3は、LLC−MK2細胞にSeV18+SEAP/ΔF−GFPをm.o.i.3で感染し、感染2日後に記載濃度のアスピリンを添加し、添加4日後及び6日後のGFP発現量及び細胞傷害性を反映する蛍光顕微鏡写真である。
図4は、LLC−MK2細胞にSeV18+SEAP/ΔF−GFPをm.o.i.で感染し、感染2日後に記載濃度のアスピリンを添加し、添加2日後、4日後及び6日後の培養上清を遠心後、回収されたビリオンについて(A)抗M抗体或いは(B)主にNPを認識するDN−1抗体で行ったウェスタンブロッティング解析、及び(C)アスピリンを添加6日後の細胞について、抗M抗体、DN−1抗体及び抗G3PDH抗体で行ったウェスタンブロッティング解析結果、を示す写真である。
図5は、LLC−MK2細胞にSeV18+SEAP/ΔF−GFPをm.o.i.3で感染し、感染2日後に記載濃度のアスピリンを添加し、添加2日後、4日後及び6日後の培養上清を遠心後、回収されたビリオンについて抗M抗体でウェスタンブロッティングを行った結果の定量化を示す図である。
図6は、LLC−MK2細胞にSeV18+SEAP/ΔF−GFPをm.o.i.3で感染し、感染2日後に5mMのアスピリンを添加後、2日毎に5mMのアスピリンを含む或いは含まない新しい培地を添加し(アスピリン処理期間:0,2,4,6及び8日間)、回収した培養上清について測定したHA活性変化を示す図である。
図7は、LLC−MK2細胞にSeV18+SEAP/ΔF−GFPをm.o.i.3で感染し、感染2日後に5mMのアスピリンを添加後、2日毎に5mMのアスピリンを含む或いは含まない新しい培地を添加し(アスピリン処理期間:0,2,4,6及び8日間)、回収した培養上清について測定したLDH放出量変化を示す図である。
図8は、LLC−MK2細胞にSeV18+SEAP/ΔF−GFPをm.o.i.3で感染し、感染2日後に5mMのアスピリンを添加後、2日毎に5mMのアスピリンを含む或いは含まない新しい培地を添加し(アスピリン処理期間:0,2,4,6及び8日間)、回収した培養上清について測定したSEAP活性の経時変化を示す図である。
図9は、LLC−MK2細胞にSeV18+SEAP/ΔF−GFPをm.o.i.3で感染し、感染2日後に5mMのアスピリンを添加後、2日毎に5mMのアスピリンを含む或いは含まない新しい培地を添加し(アスピリン処理期間:0,2,4,6及び8日間)、経時的に観察したGFP発現量及び細胞傷害性を反映する蛍光顕微鏡写真である。
図10は、LLC−MK2細胞にSeV18+SEAP/ΔF−GFP或いはSeV18+/ΔF−GFPをm.o.i.3で感染し、感染2日後にアスピリン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、インドメタシン、ジクロフェナクナトリウム、メフェナム酸、或いはパパベリンを記載濃度で添加後、2日毎に回収した培養上清について測定したHA活性値及びLDH放出量を示す図である。図11に続く。
図11は、LLC−MK2細胞にSeV18+SEAP/ΔF−GFP或いはSeV18+/ΔF−GFPをm.o.i.3で感染し、感染2日後にアスピリン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、インドメタシン、ジクロフェナクナトリウム、メフェナム酸、或いはパパベリンを記載濃度で添加後、2日毎に回収した培養上清について測定したHA活性値及びLDH放出量を示す図である。図10から続く。
図12は、LLC−MK2細胞にSeV18+SEAP/ΔF−GFPをm.o.i.3で感染し、感染2日後にイソソルビド・ジニトラート(Isosorbide Dinitrate)(ISDN)或いはニコランジル(Nicorandil)を記載濃度で添加後、2日毎に回収した培養上清について測定したHA活性値及びLDH放出量を示す図である。
図13は、LLC−MK2細胞にSeV18+SEAP/ΔF−GFPをm.o.i.3で感染し、感染2日後に5mMアスピリン或いは1mMケトプロフェンを添加し、その直後に記載濃度のL−NAMEを添加後、2日毎に回収した培養上清について測定したHA活性値及びLDH放出量を示す図である。

Claims (11)

  1. 非ステロイド性抗炎症薬および/または筋弛緩薬をウィルスベクター導入細胞に接触させる工程を含む、該ウィルスベクターが搭載する遺伝子の発現を抑制する方法。
  2. ウィルスベクターによる細胞傷害を減弱させる請求項1に記載の方法。
  3. 非ステロイド性抗炎症薬が、アスピリン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、インドメタシン、ジクロフェナク、およびメフェナム酸からなる群より選択される請求項1に記載の方法。
  4. 非ステロイド性抗炎症薬が、アスピリン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、およびインドメタシンからなる群より選択される請求項3に記載の方法。
  5. 非ステロイド性抗炎症薬が、アスピリンおよび/またはケトプロフェンである請求項4に記載の方法。
  6. 筋弛緩薬がパパベリンである請求項1に記載の方法。
  7. ウィルスベクターが、マイナス鎖RNAウィルスベクターである、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
  8. マイナス鎖RNAウィルスが、パラミクソウィルスである、請求項7に記載の方法。
  9. パラミクソウィルスがセンダイウィルスである、請求項8に記載の方法。
  10. 非ステロイド性抗炎症薬および/または筋弛緩薬を含む、ウィルスベクター搭載遺伝子の発現抑制剤。
  11. ウィルスベクターによる細胞傷害を減弱させる作用を有する請求項10に記載の抑制剤。
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