JPWO2003014354A1 - チロシルtRNA合成酵素変異体 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、チロシルtRNA合成酵素のアミノ酸配列を改変して、元の天然のチロシンよりも非天然型の3位置換チロシンをより効率良く取り込むことができるアミノ酸配列が改変されたチロシルtRNA合成酵素、好ましくはアミノ酸が2個以上改変されたチロシルtRNA合成酵素の変異体に関するものである。本発明のアミノ酸配列が改変されたチロシルtRNA合成酵素は、元の天然のチロシンよりも非天然型の3位置換チロシン、例えば3−ヨードチロシンをより効率良く取り込むことができ、野生型チロシルtRNA合成酵素の基質であるチロシンより強く利用することができるので、これを用いて非天然のアミノ酸を選択的に、かつ位置選択的に含有する蛋白質(アロタンパク質)を高効率で製造することができる。
背景技術
タンパク質のある残基のアミノ酸を、通常蛋白質合成に関わる20種類以外のアミノ酸(以下非天然型アミノ酸と呼ぶ)に置換した変異型タンパク質が作製されている。このような、非天然型アミノ酸を取り込んだタンパク質は、アロタンパク質(alloprotein)と呼ぶことが提唱されている(Koide et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,vol 85(1988)pp6237−41)。特定の残基を、非天然アミノ酸にも置換できることは、20種類の天然アミノ酸相互の間で置換した場合と比べて、よりきめ細やかで、系統的な改変が可能になる。また、特徴的な蛍光特性を持つアミノ酸、光によって構造を制御できるアミノ酸、光クロスリンカーとして利用できる反応基を備えたアミノ酸などをタンパク質に導入することも行われている。
アロタンパク質を生産するためには、いくつかの手法がある。コイデ(Koide)らは、培地に加えた非天然アミノ酸を、大腸菌に取り込ませ、特定の一種類の天然アミノ酸の代わりにその非天然アミノ酸を使用して、大腸菌にアロタンパク質を生産させた。しかしながらこの手法では、通常のアミノ酸と、非天然型アミノ酸を、合わせて20種類しか用いることができない(Koide et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,vol 85(1988)pp6237−41)。
別の方法では、事前に別の系でアミノアシル化されたサプレッサーtRNAを、無細胞翻訳系に投入することで、アロタンパク質が生産されている(Noren et al.,Science,vol 244(1989)pp182−8)。この方法の難点としては、大量にアミノアシルtRNAを調製する必要がある点が挙げられる。
非天然アミノ酸を含む21種類のアミノ酸を含んだタンパク質をさらに大量に調製するためには、非天然型アミノ酸を結合するtRNAが、翻訳反応を行う系の中で専用のアミノアシルtRNA合成酵素(aaRS)によってアミノアシル化される人工遺伝暗号系を構築することが必要である。アミノアシルtRNA合成酵素はアミノ酸とtRNAとを特異的に結合させる酵素であり、生物種毎に、一部の例外を除き天然に存在する20種類のアミノ酸それぞれに対応して20種類存在する。細胞内にはこの様なaaRSがアミノ酸ごとに基本的に一種類存在することで、遺伝暗号に割り当てられるアミノ酸の種類が決まっている。例えば、アミノアシルtRNA合成酵素(aaRS)のひとつであるチロシルtRNA合成酵素(TyrRS)は、チロシンtRNAを他のアミノ酸のtRNAから識別してこれにチロシンにしか結合させず、他のアミノ酸とは結合させない。
ところで、ワング(Wang)らは,O−メチルチロシンを特異的にアミノアシル化するように改変したメタノコッカスジャナシイ(Methanococcus janasii)由来のTyrRS変異体と、同生物由来のチロシンtRNAを改変したアンバーサプレッサーtRNAを大腸菌の中で発現させた(Wang et al.,Science,vol 292(2001),pp498−500)。このメタノコッカスジャナシイ(Methanococcus janasii)のTyrRS、チロシンtRNAはそれぞれ大腸菌のtRNA、aaRSと反応しない。このため、この研究で、O−メチルチロシンがアンバーコドンに特異的に導入されることが報告されている。
このような人工遺伝暗号系の構築のためには、ホストのaaRSと反応しないaaRS・tRNAの組を見出だすことと、非天然型アミノ酸と特異的に反応するaaRS変異体の開発を行うことが重要である。非天然型アミノ酸と特異的に反応するaaRSは、現在までに前述のO−メチルチロシンに特異的なTyrRS改変体しか知られていない。
3位置換チロシンアナログには、細胞間情報伝達にかかわるDOPAや、タンパクの部位特異的ラベルの標的部位となりうる3−ヨードチロシンなどがあり、これらは生理活性を発揮する非天然型アミノ酸として知られている。したがって、3位置換チロシンアナログに特異的なTyrRSを得ることが求められている。このような3位に置換体を持つチロシンアナログを、チロシンよりも効率よく取り込むTyrRS変異体は今のところ知られていない。3位に置換基を持つチロシンアナログを野生型TyrRSよりも効率よく取り込むTyrRS変異体は学会で報告されているが、この変異体はチロシンとチロシンアナログを同程度の効率で取り込んでしまうので、タンパク質の特定の位置に非天然型アミノ酸のみを挿入することには不適当である。
発明の開示
本発明は、非天然型アミノ酸、より詳細にはチロシンのフェニル基の3位に置換基を有する3位置換チロシンを優先的に取り込むことができる新規なチロシルtRNA合成酵素を提供する。さらに詳細には非天然型アミノ酸が3−ヨードチロシンなどのチロシンの3−ハロチロシンである新規なチロシルtRNA合成酵素を提供する。
また、本発明は、非天然型の3位置換チロシンを優先的に取り込むことができる新規なチロシルtRNA合成酵素を用いて、タンパク質生産系により非天然型アミノ酸を含有する蛋白質(アロタンパク質(alloprotein))を製造する新規な方法を提供する。
さらに、本発明は、非天然型の3位置換チロシンをより優先的に効率良く取り込むことができるチロシルtRNA合成酵素をデザインするための方法、及びこのような方法でデザインされたチロシルtRNA合成酵素をコードする遺伝子で形質転換された細胞の提供とその細胞内での非天然アミノ酸を含むタンパク質の生産、また、デザインされたアミノアシルtRNA合成酵素を添加された無細胞翻訳系における、非天然アミノ酸を含むタンパク質の生産手段を提供するものである。
発明を実施するための最良の形態
本発明は、チロシルtRNA合成酵素のアミノ酸配列を改変して、元の天然のチロシンよりも非天然の3位置換チロシンをより効率良く取り込むことことができるアミノ酸配列が改変されたチロシルtRNA合成酵素に関する。より詳細には、チロシルtRNA合成酵素のアミノ酸配列をその立体構造に基づいて標的チロシンを認識すると推定される位置のアミノ酸の2箇所以上を他のアミノ酸に改変して非天然型アミノ酸であるチロシンの3位置換体アミノ酸を効率よく、かつ選択的に取り込むことができるチロシルtRNA合成酵素に関する。
また、本発明は、チロシルtRNA合成酵素のアミノ酸配列を改変することにより、元の天然のチロシンよりも非天然の3位置換チロシンをより効率良く取り込むことことができるアミノ酸配列が改変されたチロシルtRNA合成酵素を製造する際に、チロシルtRNA合成酵素がチロシン又はチロシンのAMP複合体と結合する位置のアミノ酸を3−D構造に基づいて決定し、当該アミノ酸を他のアミノ酸に改変、好ましくは2個以上のアミノ酸を他のアミノ酸に改変することを特徴とするチロシルtRNA合成酵素のアミノ酸配列を改変する方法に関する。
さらに、本発明は、本発明のアミノ酸配列が改変されたチロシルtRNA合成酵素を用いて、非天然のアミノ酸を含有する蛋白質を製造する方法に関する。より詳細には、アミノ酸配列が改変されたチロシルtRNA合成酵素を用いて、非天然型アミノ酸であるチロシンの3位置換チロシンを含有してなる蛋白質を製造する方法に関する。
また、本発明は、本発明のアミノ酸配列が改変されたチロシルtRNA合成酵素をコードする遺伝子により形質転換された細胞と、そのような細胞内における非天然アミノ酸を含むタンパク質の生産、また、デザインされたアミノアシルtRNA合成酵素を添加された無細胞翻訳系における、非天然アミノ酸を含むタンパク質の生産手段に関する。
本発明者らは、アロタンパク質を効率よく、選択的に、かつ大量に製造できる方法について検討してきており、そのために非天然型アミノ酸を優先的に効率よく取り込むことができるアミノアシルtRNA合成酵素の開発を行ってきた。チロシルtRNA合成酵素(TyrRS)は、アミノアシルtRNA合成酵素の1種であり、本発明者らはチロシンの3位置換体がそれ自体で種々の生理活性を有することからチロシンアナログを認識するチロシルtRNA合成酵素(TyrRS)に着目した。また、大腸菌由来のTyrRSは真核生物のチロシンtRNAと、大腸菌由来のチロシンtRNAは真核生物のTyrRSとそれぞれ反応しないことが知られているので、3位置換チロシンアナログに特異的なTyrRSはタンパク質に部位特異的に非天然アミノ酸を取り込むための人工遺伝暗号系の構築の材料として有望でもある。
したがって、以下ではアミノアシルtRNA合成酵素の具体的な例としてチロシルtRNA合成酵素(TyrRS)を挙げて説明する。
本発明者らは、3位置換チロシンアナログに特異的なTyrRSを得るために、酵素の基質結合部位のアミノ酸を改良することを検討した。大腸菌由来のTyrRSのアミノ酸配列は既に知られており、これを配列表の配列番号1に示すと共に、以下にアミノ酸の1文字表記を用いてそのアミノ酸配列を示す。
本発明者らは、この中のどのアミノ酸を改変すべきかに付いて検討し、他のアミノ酸を導入する位置を次のようにして決定した。中等度高熱菌のTyrRSとチロシル−AMPの複合体の3−D構造については、既に報告されており(Brick,et al.,J.Mol Bio.,vol 208(1988)pp83−)、この3−D構造に基づいて3位置換チロシンアナログを組み込むべき位置を推定した。これは中等度高熱菌におけるTyrRSとチロシル−AMPの複合体との関係であるが、本発明者らはTyrRSの生物種間の保存性が高いことから、他の生物由来のTyrRSについても同様に考えることができると推測した。
この3−D構造モデルに基づいて、本発明者らは、大腸菌のTyrRSを、3位置換チロシンアナログを組み込むために変異を導入すべき位置として37位および195位のアミノ酸を見出した。野生型のTyrRSにおける37位のアミノ酸はチロシン(Y)であり、195位のアミノ酸はグルタミン(Q)である。前記したアミノ酸配列に下線を引いている箇所である。
まず、大腸菌TyrS遺伝子を含むプラスミドを鋳型とし、次のプライマー(1)、(2)を用いたPCRによって増幅した断片を、NdeI、HindIIIで切断した後に、pET26bのNdeI−HindIII部位に組み込むことで、TyrRSの発現ベクターpET−YRSを作成した。
次に、37位及び/又は195位のアミノ酸を部位特異的に改変する方法を説明する。
まず、37位又は195位の1カ所のみのアミノ酸の置換体を作成した。37位および195位それぞれの1個のアミノ酸の置換体をコードするDNA配列を作成するために使用したプライマー(3)から(8)を次に示す。
Mは、C又はAを示し、Nは、A又はC又はG又はTを示す。
次に、37位及び195位の両方のアミノ酸が改変された二アミノ酸置換体を作成した。
前記の工程で作成した37位および195位それぞれの一アミノ酸置換体をコードするプラスミドから、プライマーを用いたオーバーラップ・エクステンション法で二アミノ酸置換体をコードするDNA配列を作成し、pET−YRSのNdeI−BamHI部位に導入した。オーバーラップ・エクステンション法は,プライマー(1)と(10)の組、プライマー(9)と(11)の組をそれぞれ用いて増幅した2つの断片を精製し、これらとプライマー(1)と(9)を用いたPCRで増幅することによって行った。
このようにして得られたアミノ酸の改変体とその記号を次の表1に示す。
前記した工程で得られた完全な変異DNAフラグメントの各々を、プラスミドpETYRS内のテンプレートフラグメントのもとの位置に挿入した。野生型及び変異型tyrS遺伝子を含むプラスミドで、ハナハンの方法(Hanahan,D(J.Mol.Bio.,166,557−580)に準じた形質転換法により、各々大腸菌BLR(DE3)に形質転換した。各々のプラスミドを有する形質転換体を単離し培養することにより、野生型及び変異型TyrRSを発現させた。野生型及び変異型TyrRSタンパク質を大腸菌粗抽出物から精製した。
得られた改変体について基質特異性のアッセイを行った。アッセイは、以下の3種のアッセイ方法を用いた。
第1の方法は、アミノアシル化反応の反応産物の1つであるピロリン酸をピロフォスファダーゼで分解して生産される無機リン酸を定量するロイド(Lloyd)らの方法(Nucleic Acids Research vol23(1995)pp2886−2892)を簡略化し、無機リンをBiomol green(フナコシ)を使用して検出することで、アミノアシル化反応の測定を行った。結果を表2及び表3に示す。
第2の方法は、ロイド(Lloyd)らの方法(Nucleic Acids Research vol23(1995)pp2886−2892)をそのまま行ったものである。結果を表4に示す。
第3の方法は、tRNA全長に対するチロシンまたは3−ヨードチロシンに対するアミノアシル化活性を、ウオルフソン(Wolfson)ら(Wolfson,A.D.et al,RNA,4(1998),1019−1023)に記載される酸性ポリアクリルアミド電気泳動と同様の方法によりアッセイした。結果を図面に代わる写真として第1図に示す。
表中のマークは、***>**>*>−の順に活性が高いことを示す。
それぞれ、50nM、500nM、5μMの酵素濃度で4分間37℃の反応で、アミノアシル化反応がマイクロプレートリーダーにより検出できたことを示す。アミノ酸濃度は、チロシン200μM、3−ヨードチロシン1mMであった。
表中のマークは、***>**>*>−の順に活性が高いことを示す。
それぞれ、4分間37℃のアミノアシル化反応によって、酵素濃度25nMで強く、250nMで強く、250nMで弱く、反応が検出できたことを示す。アミノ酸濃度は、チロシン200μM、3−ヨードチロシン1mMであった。
表2は、野生型、8個の1個のアミノ酸を変異させた酵素のアミノアシル化活性を、表3は野生型、37V及び16個の二重変異酵素のアミノアシル化活性を列記する。Tyr37及びGln195の他のアミノ酸への置換により得られた酵素変異体に関して、3位置換チロシンアナログ(この実験では3−ヨードチロシン)に対するアミノアシル化活性を実質的に増加させた。一方、相対的に、これらのタンパク質の、チロシンについての特異的アミノアシル化活性は、減少する。それゆえ、これらの酵素変異体の相対的チロシンアナログ/チロシン比は野生型酵素のそれより高くなってくるものが出現した。
表4は,Nucleic Acids Research vol23(1995)pp2886−2892に記されているLloydらの方法で行った二重変異酵素のアミノアシル化活性を列記したものである。4つの二重変異酵素はTyr37及びGln195の両方の変異の利点を組み合わせる。例えば、VCの相対的チロシンアナログ/チロシン比は10を超え、その特異的アミノアシル化活性は、Gln195に更なる変異の導入のため、単一変異酵素37Vより高い。VN、VS、及びACは、相対チロシンアナログ/チロシン比及び特異的アミノアシル化活性においてVCより劣るが、一アミノ酸置換体よりも高い相対チロシンアナログ/チロシン比及び特異的アミノアシル化活性を有するものであった。
また、表4に示す結果から、位置37及び195における変異を組み合わせることは、その酵素の基質特異性を劇的に変化させ、3位置換チロシンアナログについてのアミノアシル化活性を増加させることができると結論づけることができた。酵素変異体の中で、VC、VN、及びACが最も注目すべき特性及び適用可能性を有することもわかる。
第1図は、二重変異酵素のアミノアシル化活性を示す図面に代わる写真である。最もチロシンアナログ/チロシン比が高いVCについて、実際にtRNAとの結合を調べることができる酸性PAGEによってアッセイを行った。その結果、VCは,チロシンアナログに対する特異性が高いことが判った。
得られたVCと、大腸菌チロシンtRNA由来のアンバーサプレッサーtRNAを用いて、コムギ胚芽の無細胞タンパク合成系のバッチ法による反応によって、ヨードチロシンを含有するタンパク質を作成することを試みた。目的タンパク質としては、そのC末に、スペーサー配列を介してHisタグを付加した短鎖型c−H−Ras(Milburn et al.,Science vol 247(1990)pp939−45)を用いた。このタンパク質の32番目のコドンをアンバーコドンに置換したコンストラクションから作成したmRNAを鋳型とした翻訳では、全長のタンパク質の生産は、TyrRS、サプレッサーtRNAの両方が存在することに依存した(第2図)。このことより、用いたサプレッサーtRNAが、コムギ胚芽内在性のアミノアシルtRNA合成酵素によってほとんどアミノアシル化されないことがわかる。アンバーサプレッションによる合成量は、アンバーコドンが無いコントロールの3−4割であった。タンパク質の合成量を増やすために、サプレッションによる反応を、透析法を用いて3日間行った。この場合の生産量は1mlの反応内液当たりに換算して0.1mg以上であり、タンパク質を用いた様々な実験を行うにに十分な量のタンパク質を合成できることがわかった。
実際にペプチド鎖のアンバーコドンに対応する位置にヨードチロシンが挿入されていることを質量分析によって調べた。Rasタンパクをニッケルビーズを用いて精製した後に、SDS−PAGEにかけた産物を染色して得られたRasの泳動度に対応するバンドを切り出してペプチダーゼ処理した断片を、LC−MS(液体クロマトグラフィー−質量分析)によって分析した。レポータータンパクとして用いたRasタンパク質の32番目のコドンはチロシンに対応するコドンであるが、このコドンをアンバーコドンに改変したmRNAと,手を加えないmRNAからのそれぞれについて、反応溶液内にヨードチロシン、VC変異体、サプレッサーtRNAを全て翻訳系に添加した翻訳反応を行った。翻訳産物を消化したフラグメントのうち、N末から32番目のアミノ酸を含むフラグメント(Ser17−Lys42、K3フラグメントと称す)に着目して解析を行った。その結果、アンバーサプレッションによって生じたK3フラグメントには、1残基のチロシンがヨードチロシンが置換された質量に対応するものが大部分で、一部のみがヨードチロシンを含まない質量を持っていた。また、アンバーコドンに対応する部位に他のアミノ酸が誤って挿入されたK3フラグメントは検出されなかった。アンバーコドンに挿入されたヨードチロシンとチロシンの割合をクロマトグラムの吸光度から検討した結果、アンバーサプレッションによって、K3フラグメントの95%以上がヨードチロシンを含む一方、アンバーコドンに対応してチロシンが挿入された割合は5%以下であることがわかった。一方、通常のチロシンコドンにヨードチロシンが混入しないことを、アンバーコドンを含まないmRNAからの翻訳産物の解析では、チロシンの代わりにヨードチロシンを含んだ場合に対応する質量を持つフラグメントが検出されないことにより確認した。
本発明の方法をRasタンパク質を例にして説明したが、本発明の方法はRasタンパク質に限定されるものではなく、他のタンパク質についても同様に適用することができることは明らかである。
以上のように、チロシルtRNA合成酵素の具体例として大腸菌のTyrRSを挙げて説明してきた。大腸菌の野生型TyrRSにおいては、37位置のチロシン及び195位置のグルタミンを他のアミノ酸残基で変換することにより、非天然型アミノ酸である3位置換チロシン/チロシンの相対比が高いチロシル化活性を有する種々の酵素変異体を見出すことができることを具体例で示してきた。また、このような酵素変異体を得たことで、3位置換チロシンアナログを部位特異的に組み込んだタンパク質の生産に適用することが可能となった。
さらに、ここで使用した大腸菌野生型TyrRSの37位置および195位置のアミノ酸残基の生物種間保存性は極めて高いことから、他の生物種のチロシルtRNA合成酵素の改変に本発明の方法を広く適用することができることは明らかである。
ここで利用した翻訳系は小麦胚芽無細胞翻訳系であるが、同様に他の真核生物由来の無細胞翻訳系や、真核細胞内においても、本発明で作成したVC変異体を用いることで非天然アミノ酸を部位特異的に導入することができることは明らかである。また、この酵素を利用することで、原核生物の翻訳系内で、全てのチロシン残基を非天然アミノ酸に置換したタンパク質を作成することが出来る。このようなタンパク質の作成は、他の原核生物由来のチロシルtRNA合成酵素を本発明と同様に改変することでも可能になる。一方、本発明と同様に真核生物または古細菌由来のチロシルtRNA合成酵素を改変することで、原核生物の翻訳系の中で非天然アミノ酸を部位特異的に含んだタンパク質を作成することが可能になる。
本発明は、チロシルtRNA合成酵素の酵素−基質特異性を変えた酵素変異体を提供することを目的としたものである。より詳細には、本発明は、効率よく、選択的に、かつ非天然型アミノ酸を含有するアロタンパク質を大量に製造することができるチロシルtRNA合成酵素の変異体を、チロシルtRNA合成酵素のアミノ酸配列を改変することにより調製することを特徴とするものである。
本発明のチロシルtRNA合成酵素は、非天然型アミノ酸として各種の生理活性を有することが知られている3−ヨードチロシンなどの3−ハロチロシン、3−ヒドロキシチロシンなどの3位置換チロシンを選択的に優先して効率良く取り込むことができることを特徴とするものである。また、本発明のチロシルtRNA合成酵素は、大腸菌などの細菌類、酵母、動物、植物などのいずれの生物由来のものであってもよいが、前記で説明してきたように、3−D構造が既知の酵素と保存性が高いものが汎用性があることから好ましい。また、特定の生物に特異的なチロシルtRNA合成酵素であっても、この変異体が他の生物において害をなさないのであれば、その生物において新たなアミノ酸のチロシルtRNA合成酵素として作用することから好ましい変異体として使用することができる。
本発明のチロシルtRNA合成酵素のアミノ酸配列の改変する位置を決める方法としては、チロシルtRNA合成酵素と当該酵素が結合するアミノ酸又はアミノ酸のAMP複合体(アミノアシル化されたAMP及びアミノアシル化されたAMP類縁体など)の3−D構造に基づいて改変すべきアミノ酸の位置を決定するのが好ましいが、これに限定されるものではなく、前記で例示したチロシルtRNA合成酵素の場合が37位や195位であったことに基づいて、他のクラスIアミノアシルtRNA合成酵素のロスマンフォールドドメイン又はクラスIIアミノアシルtRNA合成酵素の逆平行βシートドメイン内の対応する部位に改変すべきアミノ酸の位置を決定することができる。
本発明は、このような改変すべき位置として2箇所以上のアミノ酸を選定することが好ましく、このことにより非天然型アミノ酸に対する選択性を飛躍的に向上させることが可能になった。
3−D構造に基づいて改変すべきアミノ酸の位置を決定する場合には、まず目的のアミノ酸のアミノアシルtRNA合成酵素の立体構造を解析し、この立体構造において目的のアミノ酸のAMP複合体が結合する位置を解析することにより改変すべきアミノ酸の位置を決定することができる。
また、前記の例では大腸菌由来のチロシルtRNA合成酵素を用いてきたために、改変位置として37位及び195位を挙げてきたが、これは大腸菌の場合であって、他の生物由来のチロシルtRNA合成酵素を用いる場合には、立体構造において大腸菌由来のチロシルtRNA合成酵素の37位及び195位に相当する位置のアミノ酸が改変されるべき位置となる。本発明における「立体的に相当する位置」というのは、アミノアシルtRNA合成酵素の立体構造においてアミノ酸又はアミノ酸のAMP複合体(アミノアシル化されたAMP及びアミノアシル化されたAMP類縁体など)を認識する位置に対応しているアミノ酸の位置をさしている。
チロシルtRNA合成酵素に新たに導入するアミノ酸としては、アミノ酸の親水性や水素結合についての距離などを考慮して、例えば、その位置にアミノ酸のAMP複合体との結合を形成させないようにする場合には、疎水性のアミノ酸に改変したり、グルタミンをアスパラギンにするなどして距離を調整することができる。
本発明の前記した例では、チロシルtRNA合成酵素の37位のチロシンをバリン、ロイシン、イソロイシン、又はアラニンで改変し、また195位のグルタミンをアラニン、システイン、セリン、又はアスパラギンで改変したが、これに限定されるものではない。
本発明の特定の位置のアミノ酸が他のアミノ酸で改変されたチロシルtRNA合成酵素の変異体の製造方法としては、公知の遺伝子操作技術により行うのが好ましい。例えば、目的のアミノ酸の位置をコードする塩基配列を改変すべきアミノ酸をコードする塩基配列に置換したプライマーを用いて、改変すべきアミノ酸をコードする塩基配列に置換したDNAを増幅させて、増幅させたDNA断片を結合させて全長のアミノアシルtRNA合成酵素の変異体をコードするDNAを得て、これを大腸菌などの宿主細胞を用いて発現させることにより簡便に製造することができる。この方法において使用するプライマーとしては20〜70塩基、好ましくは20〜50塩基程度である。このプライマーは改変前の元の塩基配列とは1〜3塩基がミスマッチとなるので、比較的長いもの、例えば20塩基以上のものを使用するのが好ましい。
また、本発明の特定の位置のアミノ酸が他のアミノ酸で改変されたチロシルtRNA合成酵素の変異体の製造方法としては、前記した方法に限定されるものではなく、公知のポイントミューテーション技術や、制限酵素により改変断片を導入する方法など、各種の遺伝子操作技術を使用することができる。
本発明は、前記したチロシルtRNA合成酵素の変異体をコードするDNAを用いて形質転換された細胞を提供する。このような細胞としては、原核細胞であっても真核細胞であってもよい。
また、細胞内で発現した本発明のチロシルtRNA合成酵素の変異体を、その細胞内でそのまま蛋白質合成に使用する場合には、その目的に応じた細胞を用いることができる。
形質転換する方法としては、公知の方法を採用することができる。
本発明は、前記してきた本発明のアミノ酸配列が改変されたチロシルtRNA合成酵素の変異体を用いて、3位置換チロシンの非天然型のアミノ酸を含有する蛋白質を製造する方法を提供する。前記したように、本発明の変異体は、10倍以上の選択性で非天然のアミノ酸を特異的に結合するものであるから、この変異体又はこの変異体をコードする遺伝子を細胞に導入して発現させることにより、天然のアミノ酸に代えて目的の非天然のアミノ酸が導入された蛋白質を製造することができる。
また、本発明のアミノ酸配列が改変されたチロシルtRNA合成酵素の変異体は細胞内における使用のみならず、インビトロ(セルフリー系)における使用も包含している。
したがって、本発明は、アロタンパク質を効率よく、選択的に、特に位置選択的に、かつ大量に製造する方法を提供するものである。
実施例
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1 (TyrRS遺伝子の発現ベクターの調製)
野生型大腸菌(E.coli)W3110からチロシルtRNA合成酵素(TyrRS)遺伝子をクローン化した。次に、TyrRS遺伝子を大腸菌のベクターであるpET26bに挿入してプラスミドpETYRSを作製した。
大腸菌TyrRS遺伝子を含むこのプラスミドを鋳型とし、次の塩基配列を有するプライマー(1)、(2)、
プライマー(1)
プライマー(2)
を用いたPCRにより増幅した断片を、NdeI、HindIIIで切断した後に、ベクターpET26bのNdeI−HindIII部位に組み込むことで、TyrRSの発現ベクターpET−YRSを作成した。
実施例2 (変異を導入する位置の決定)
TyrRSの生物種間の保存性が高いので、既に報告されている中等度高熱菌のTyrRSとチロシル−AMPの複合体の3−D構造を用いて(Brick,et al.,J.Mol.Bio.,vol 208(1988)pp83−)、3位置換チロシンアナログを組み込むために変異を導入すべき37位および195位を見出した。
実施例3 (部位特異的変異の導入)
改変するアミノ酸置換を含むオリゴヌクレオチドを各々プライマー(変異導入プライマー)(3)〜(8)として常法により合成した。
(a)1個のアミノ酸が置換された一アミノ酸置換体の作成
37位又は195位のそれぞれのアミノ酸の1個が置換された一アミノ酸置換体をコードするDNA配列を、次に示すプライマー(3)から(8)を用いて作成した。プライマー(3)及び(4)は、37位の改変のためのものである。また、プライマー(5)から(8)は195位の改変のためのものである。
プライマー(3):
プライマー(4):
Mは、C又はAを示し、Nは、A又はC又はG又はTを示す。
プライマー(5):
プライマー(6):
プライマー(7):
プライマー(8):
(b)2個のアミノ酸が置換された二アミノ酸置換体の作成
37位および195位それぞれの一アミノ酸置換体をコードするプラスミドから、プライマーを用いたオーバーラップ・エクステンション法で二アミノ酸置換体をコードするDNA配列を作成し、pET−YRSのNdeI−BamHI部位に導入した。オーバーラップ・エクステンション法は,プライマー(1)と(10)の組、プライマー(9)と(11)の組をそれぞれ用いて増幅した2つの断片を精製し、これらとプライマー(1)と(9)を用いたPCRで増幅することによって行った。
プライマー(1):
プライマー(10):
プライマー(9):
プライマー(11):
実施例4 (野生型及び変異型TyrRSの発現)
前記した過程から得られた完全な変異DNAフラグメントの各々を、プラスミドpETYRS内のテンプレートフラグメントのもとの位置に挿入した。野生型及び変異型TyrRS遺伝子を含むプラスミドを、ハナハン(Hanahan,D)の方法(J.Mol.Bio.,166,557−580)に準じて形質転換により、各々大腸菌BLR(DE3)を形質転換した。
各々のプラスミドを有する形質転換体を単離し、次に16時間、37℃でLB培地中で培養した。野生型及び変異型TyrRSタンパク質を、以下に記すように大腸菌粗抽出物から精製した。全ての作業は4℃で行った。
10mMイミダゾールを含む緩衝液A(50mMトリス−10mMMg(OAc)2(pH 7.9)、0.3M NaCl、5mMメルカプトエタノール)で平衡化したNi−アガロースカラム(0.5mL)に適用した。40mMイミダゾールを含む緩衝液Aで洗った後、250mMイミダゾールを含む緩衝液Aで溶出した。その活性画分をプールし、緩衝液B(100mMトリス−HCl(pH 7.6)、40mM KCl、10mM MgCl2、1mM DTT)に対して透析し、次に終濃度50%になるようにグリセロールを加えて−20℃で保存した。
上述の過程で、アラニン、バリン、イソロイシン、及びロイシンからなる群から選択されるアミノ酸によるTyr37位の置換により、並びにセリン、システイン、アスパラギン、アラニンからなる群から選択されるアミノ酸によるGln195位の置換により生産された酵素変異体を得た。
これらは、各々、以後、37A、37V、37I、37L、195S、195C、195N、195Aと呼ぶ。更に、Tyr37及びGln195の両方の置換により生産された二重変異酵素を得た。これらは、以後、各々AS、VS、IS、LS、AC、VC、IC、LC、AN、VN、IN、LN、AA、VA、IA、LAと呼ぶ。これらを表にして表1に示す。
遺伝子操作のために用いた全ての酵素は宝酒造、東洋紡、またはニューイングランドバイオラボ(New England Biolabs(MA,USA))から購入した。遺伝子操作のための条件は、その酵素の供給元の助言に従った。
実施例5 (基質特異性アッセイ)
これらの酵素変異体の基質特異性を評価するために、以下の3種のアッセイ方法を用いた。
アミノアシル化反応の反応産物の1つであるピロリン酸をピロフォスファダーゼで分解して生産される無機リン酸を定量する事で、アミノアシル化反応を測定することがロイド(Lloyd)らによってに記載されている(Nucleic Acids Research vol23(1995)pp2886−2892)。本発明の一つ目の方法では、この方法を簡略化し、無機リンをバイオモルグリーン(Bio mol green(フナコシ))を使用して検出することで、アミノアシル化反応の測定を行った。測定のために、得られた各々の酵素を、37℃で1時間、0.05mlの緩衝液B、1mM ATP(生化学工業)30μM粗精製チロシルtRNA、100μMチロシンまたは0.5mM3−ヨードチロシンと共に保温した。その反応を停止させるために、0.1mlのバイオモルグリーンを加えた。その上清の吸光度を630nmにおいて測定した。結果を表2及び表3に示す。
表2は、野生型、8個の一アミノ酸変異酵素のアミノアシル化活性を記号で示したものであり、表3は野生型、37V及び16個の二重変異酵素のアミノアシル化活性を同じく記号で示したものである。各表共に***>**>*>−の順に活性が高いことを示す。
Tyr37及びGln195の他のアミノ酸への置換により得られた酵素変異体に関して、3位置換チロシンアナログに対するアミノアシル化活性を実質的に増加させた。一方、相対的に、これらのタンパク質の、チロシンについての特異的アミノアシル化活性は、減少する。それゆえ、これらの酵素変異体の相対的チロシンアナログ/チロシン比は野生型酵素のそれより高い。
2つ目の方法では、ロイド(Lloyd)ら方法(Nucleic Acids Research vol23(1995)pp2886−2892)によりアッセイした。得られた各々の酵素を37℃で6分間、0.4mlの緩衝液B、1mM ATP(生化学工業)100μM粗精製チロシルtRNA、200μMチロシンまたは3−ヨードチロシンと共にインキュベーションした。アミノアシル化活性の単位を分当りに放出されたリン酸の濃度として表した。結果を表4に示す。
表4は、二重変異酵素のアミノアシル化活性を示したものである。4つの二重変異酵素はTyr37及びGln195の両方の変異の利点を組み合わせる。例えば、VCの相対的チロシンアナログ/チロシン比は10を超え、その特異的アミノアシル化活性は、Gln195に更なる変異の導入のため、単一変異酵素37Vより高い。VN、VS、及びACは、相対チロシンアナログ/チロシン比及び特異的アミノアシル化活性においてVCより劣るが、一アミノ酸置換体よりも高い相対チロシンアナログ/チロシン比及び特異的アミノアシル化活性を有する。
表4に示す結果から、位置37及び195における変異を組み合わせることはその酵素の基質特異性を劇的に変化させ、3位置換チロシンアナログについてのアミノアシル化活性を増加させることができると結論づけることができる。酵素変異体の中で、VC、VN、及びACが最も注目すべき特性及び適用可能性を有する。
3つ目の方法では、tRNA全長に対するチロシンまたは3−ヨードチロシンに対するアミノアシル化活性を、ウオルフソン(Wolfson)らの方法(Wolfson,A.D.et al,RNA,4(1998),1019−1023)による酸性ポリアクリルアミド電気泳動と同様の方法によりアッセイした。チロシンまたはヨードチロシンは200μM、それぞれの酵素は50nMで37℃で3分間、保温したのち、電気泳動を行った。二重変異酵素のアミノアシル化活性の結果を、第1図に図面に代わる写真で示す。第1図の左側の3個は野生型であり、真ん中の3個は37位をバリンに改変した酵素(37V)であり、右側の3個は37位をバリンに195位をシステインに改変した酵素(VC)である。それぞれの3個は左からアミノ酸を添加しない場合(w/o aa)、3−ヨードチロシン(200μM)を添加した場合(I−Tyr)、チロシン(200μM)を添加した場合(Tyr)を示す。
その結果、VCは,チロシンアナログに対する特異性が高いことが判った。
実施例6 (非天然アミノ酸を部位特異的に挿入されたタンパク質の生産)
得られた二重変異体VCと、大腸菌チロシンtRNA由来のアンバーサプレッサーtRNAを用いて、コムギ胚芽の無細胞タンパク合成系のバッチ法による反応によって、ヨードチロシンを含有するタンパク質を作成した。
コムギ胚芽系の無細胞タンパク合成は、プロテイオス無細胞系蛋白質合成キット(PROTEIOS cell−free protein synthesis kit(Toyobo))を用いて行った。目的タンパク質としては、そのC末に、スペーサー配列を介してHisタグを付加した短鎖型c−H−Ras(Milburn et al.,Science,vol 247(1990)pp939−945)である。タンパク質の発現に用いるプラスミドは、キットに添付されたプラスミドpEU3−NIIのSpeI−SalI部位に、短鎖型c−H−RasのC末にスロンビン認識配列とHisタグを付加した配列に対応する遺伝子を挿入することで作成した。その結果として予想される翻訳産物のアミノ酸配列をアミノ酸の1文字標記で示すと次のとおりである。
翻訳反応は、キットの条件に、さらにヨードチロシンを終濃度で0.6mM加えることで行った。産物は、4〜12%NuPAGEBis−Tris gel(Invitrogen)を用いて電気泳動した。このゲルに対し、イメージアナライザーFLA−2000(image analyzer FLA−2000(Fujifilm,Tokyo,Japan))を用いて、RIのカウント、またはシプロ−タンジェリン蛋白質ゲル染色(Cypro−tangerine protein gel stain(Molecular probes))を用いて染色されたタンパク質のバンドを定量した。
このタンパク質の32番目のコドンをアンバーコドンに置換したコンストラクションから作成したmRNAを鋳型とした翻訳では、全長のタンパク質の生産は、TyrRS、サプレッサーtRNAの両方が存在することに依存した(第2図)。このことより、用いたサプレッサーtRNAが、コムギ胚芽内在性のアミノアシルtRNA合成酵素によってほとんどアミノアシル化されないことがわかる。アンバーサプレッションによる合成量は、アンバーコドンが無いコントロールの3〜4割であった。タンパク質の合成量を増やすために、サプレッションによる反応を、透析法を用いて3日間行った。この場合の生産量は1mlの反応内液当たりに換算して0.1mg以上であり、タンパク質を用いた様々な実験を行うにに十分な量のタンパク質を合成できることがわかった。
実施例7 (無細胞タンパク合成の産物の質量分析)
実際にペプチド鎖のアンバーコドンに対応する位置にヨードチロシンが挿入されていることを質量分析によって調べた。LC−MS解析のために、合成されたタンパク質をNi−NTA磁気アガロースビーズ(Ni−NTA magnetic agarose beads(Qiagen))を用いて精製した。精製物をNuPAGEビス−トリスゲル(NuPAGEBis−Tris gel)を用いた電気泳動によってさらに精製し、目的産物に対応する21kDaのバンドをゲルから切り出した。0.1μgのアクロモバクタープロテアーゼI(Achromobacter Protease I(Lys−C))を用いた消化を、ゲル片中で0.1%SDSを含む0.05M Tris−HCl(pH9)中で、37℃で12時間行った。消化されて生じたペプチドは、DEAE−5PW(1x10mm;Tosoh,Tokyo)とMightysil C18(1x50mm;Kanto chemical,Tokyo)を連結したモデル1100液体クロマトグラフィー(model 1100 liquid chromatograph(Hewlett Packard))を用いて、30分かけた2−60%溶媒B(solvent B)の直線勾配によって分離した。検出は、ジヨードアレイ検出器(diode−array detector)で行った。溶媒A(solvents A)及び溶媒B(solvents B)は、それぞれ0.09%(v/v)トリフルオロ酢酸水溶液と、0.075%(v/v)トリフルオロ酢酸−80%(v/v)アセトニトリルであった。溶出物は、ESIプローブ(ESI probe)を用いたフィニガンLCQイオントラップ質量分析機(Finnigan LCQ ion trap mass spectrometer)によって解析した。タンデムMSシークエンシングは、Rasの32番目のアミノ酸を含むLys−Cフラグメントの[M+2H]2+に対応するフラグメントに対して行った。
翻訳産物を消化したフラグメントのうち、N末から32番目のアミノ酸を含むフラグメント(Ser17−Lys42、K3フラグメントと称す)に着目して解析を行った。その結果、アンバーサプレッションによって生じたK3フラグメントには、1残基のチロシンがヨードチロシンに置換された質量に対応するものが大部分で、一部のみがヨードチロシンを含まない質量を持っていた。また、アンバーコドンに対応する部位に他のアミノ酸が誤って挿入されたK3フラグメントは検出されなかった。アンバーコドンに対応して挿入されたヨードチロシンとチロシンの割合をクロマトグラムの吸光度から検討した結果、アンバーサプレッションによって、K3フラグメントの95%以上がヨードチロシンを含む一方、アンバーコドンに対応してチロシンが挿入された割合は5%以下であることがわかった。一方、通常のチロシンコドンによってはヨードチロシンが混入しないことを、アンバーコドンを含まないmRNAからの翻訳産物の解析では、チロシンの代わりにヨードチロシンを含んだ場合に対応する質量を持つフラグメントが検出されないことにより確認した(第3図)。
さらにK3−321Yフラグメントのタンデムマス解析により、このフラグメントの部分配列であるPhe−Val−Asp−Glu−(ヨード−Tyr)−Aspを確認した。
産業上の利用可能性
本発明は、新規なチロシルtRNA合成酵素の変異体、及びその新規な改変方法を提供するものである。本発明の改変方法によれば、チロシルtRNA合成酵素の選択性や基質特異性の改変を、簡便な方法で、効率よく行うことができる。
本発明のチロシルtRNA合成酵素の変異体を使用することにより、ペプチドあるいはタンパク質の調製の場におけるアミノアシル化反応を利用して、天然アミノ酸に加えて非天然アミノ酸である3位置換チロシンを部位特異的に挿入することが可能となる。
また、本発明のチロシルtRNA合成酵素の変異体を用いて、効率的で、選択的で、かつ大量生産に適したアロタンパク質の製造が可能となる。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明のアミノアシルtRNA合成酵素の変異体を、酸性ポリアクリルアミド電気泳動と同じ方法によりアッセイしたアミノアシル化活性の結果を示す図面に代わる写真である。
第2図は、小麦胚芽無細胞翻訳系におけるアンバーサプレッションを示す。14C−ロイシンでラベルされた翻訳産物を、SDS−PAGEで解析した。アンバーバーサプレッションは、TyrRS−VC変異体、サプレッサーtRNAの両者がともに存在するときにのみ観察された。ambは、32番目のコドンをアンバーコドンに置換したmRNAであり、sup tRNAは大腸菌tRNATyr由来のアンバーサプレッサーtRNAである。
第3図は、小麦胚芽無細胞翻訳系の、系内にヨードチロシン、ヨードチロシンに特異的なTyrRS−VC変異体、サプレッサーtRNAを含んだ場合の翻訳産物のLC−MS解析の液体クロマトグラフィーのチャートを示す。
K3とK9はそれぞれ、Rasタンパク質のリジルエンドペプチターゼ消化フラグメントである、Ser17−Lys42のフラグメントと、Thr148−Lys167のフラグメントであることが、質量分析によりわかった。チャート上段および下段はそれぞれ、アンバーコドンを含まないmRNA、32番目のコドンがアンバーコドンであるmRNAそれぞれの翻訳産物の解析を示す。K3フラグメントのチロシン1残基がヨードチロシンに置換した質量に対応する質量を持つフラグメント(K3−IY32)がアンバーサプレッションの産物の解析(下段)に見い出された。
Claims (16)
- チロシルtRNA合成酵素のアミノ酸配列を改変して、元の天然のチロシンよりも非天然型の3位置換チロシンをより効率良く取り込むことができるアミノ酸配列が改変されたチロシルtRNA合成酵素。
- チロシンの3位置換体アミノ酸が、3−ハロゲン置換チロシンである請求の範囲第1項に記載のチロシルtRNA合成酵素。
- ハロゲンがヨウ素である請求の範囲第2項に記載のチロシルtRNA合成酵素。
- アミノ酸の改変が、チロシルtRNA合成酵素の立体構造に基づいてチロシン又はチロシンのAMP複合体を認識すると推定される位置のアミノ酸の2箇所以上を他のアミノ酸に改変したものである請求の範囲第1項〜第3項の何れかに記載のチロシルtRNA合成酵素。
- アミノ酸の改変位置が少なくとも、大腸菌由来のチロシルtRNA合成酵素の37位チロシン及び195位グルタミンに立体的に相当する位置である請求の範囲第4項に記載のチロシルtRNA合成酵素。
- 大腸菌由来のチロシルtRNA合成酵素の37位チロシンに立体的に相当する位置が、バリン、ロイシン、イソロイシン、又はアラニンであり、かつ、195位グルタミンに立体的に相当する位置が、アラニン、システイン、セリン、又はアスパラギンである請求の範囲第5項に記載のチロシルtRNA合成酵素。
- チロシルtRNA合成酵素が、細菌由来のものである請求の範囲第1項〜第6項のいずれかに記載のチロシルtRNA合成酵素。
- 細菌が、大腸菌である請求の範囲第7項に記載のチロシルtRNA合成酵素。
- チロシルtRNA合成酵素のアミノ酸配列を改変することにより、元の天然のチロシンよりも非天然型の3位置換チロシンをより効率良く取り込むことができるアミノ酸配列が改変されたチロシルtRNA合成酵素を製造する際に、チロシルtRNA合成酵素がチロシン又はチロシンのAMP複合体と結合する位置のアミノ酸を3−D構造に基づいて決定し、その位置のアミノ酸を他のアミノ酸に改変することを特徴とするチロシルtRNA合成酵素のアミノ酸配列を改変する方法。
- 改変されるアミノ酸が2個以上である請求の範囲第9項に記載のチロシルtRNA合成酵素のアミノ酸配列を改変する方法。
- 請求の範囲第1項〜第8項のいずれかに記載のアミノ酸配列が改変されたチロシルtRNA合成酵素を用いて、タンパク質生産系により非天然型のチロシンを含有する蛋白質を製造する方法。
- タンパク質生産系が、細胞内のタンパク質翻訳系である請求の範囲第11項に記載の方法。
- タンパク質生産系が、無細胞翻訳系である請求の範囲第11項に記載の方法。
- 請求の範囲第1項〜第8項のいずれかに記載のアミノ酸配列が改変されたチロシルtRNA合成酵素をコードする遺伝子により形質転換された細胞。
- 細胞が、原核細胞である請求の範囲第14項に記載の細胞。
- 細胞が、真核細胞である請求の範囲第14項に記載の細胞。
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