JPWO2002092074A1 - 脊髄障害による疾患治療剤 - Google Patents

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Abstract

一般式(I)(式中のYはスルホニル、カルボニル;R1、R2はH、アルキル、−X−A−(R4)nまたはNR1R2で複素環;R3はQH、アルキル等;mは0または1〜4の整数を表わす。)で示される化合物、その非毒性塩またはその水和物を有効成分として含有する脊髄障害による疾患の治療および/または予防剤。一般式(I)で示される化合物、その非毒性塩またはその水和物は、脊髄障害による疾患、例えば脊髄損傷、脊髄虚血再灌流障害もしくはそれらに伴う中枢神経障害の治療および/または予防に有用である。

Description

技術分野
本発明は、脊髄障害による疾患の治療剤に関する。
さらに詳しくは、エラスターゼ阻害活性を有する一般式(I)
Figure 2002092074
(式中、すべての基は後記と同じ意味を表わす。)で示される化合物、その非毒性塩またはその水和物を有効成分として含有する脊髄障害による疾患の治療および/または予防剤に関する。
背景技術
脊髄は外傷性の要因、例えば交通事故、スポーツ事故等によって切断または圧迫されたり、その他の要因、例えば腫瘍、硬膜下もしくは硬膜外の膿瘍、血腫または脊柱管への骨や軟骨の突出等による圧迫、感染による破壊、血液の供給が途絶えることによる損傷、虚血再灌流による障害、または神経機能を変化させる疾患等によって障害を受ける。これらの原因により出血、虚血、浮腫、好中球浸潤、神経死などの病変が起こり、神経がダメージを受け、脊椎の痛み、反射神経の変化、脱力、四肢の運動麻痺、呼吸筋麻痺、感覚低下や排尿障害などの症状が引き起こされる。例えば、障害が上部頸髄の場合、四肢麻痺、呼吸筋麻痺を引き起こす。上部頸髄以下では、障害部以下の四肢の弛緩性麻痺、知覚機能、反射機能の消失、排尿・排便機能に異常が現れることがある。
また、胸部・腹部大動脈瘤、解離性大動脈瘤等の手術による脊髄虚血再灌流障害に伴って、対麻痺が起こることもある。
脊髄障害による疾患のうち外傷性の要因によって引き起こされる脊髄損傷の治療には、一般的にステロイドホルモンが用いられている。しかし、これは大量に投与されるため、副作用の問題がある。また、手術に伴う脊髄虚血には、脊髄保護効果が確立された薬剤は未だない。
インターロイキン−8(IL−8)は、Cys−X−Cys構造(Xはいくつかのアミノ酸を表わす。)を有する炎症性ケモカインの一種である。特に、急性炎症において重要な因子であり、好中球の活性化や損傷部分への好中球の遊走に関与するサイトカインである。また、ラットから精製されたCINC−1(cyokine−induced neutrophil chmoattractant−1)、CINC−2α、CINC−2β、CINC−3の4種の因子は、好中球に対し強い走化活性を有することが明らかにされた[Biochem.J.,301,545−550(1994)]。この2つの因子、つまりヒトIL−8とラットCINCsは、それらが有する生物学的活性とそのペプチド配列から、親類関係であると考えられている。
最近、これらの因子が中枢神経障害において注目されている。例えば、ウサギ脳虚血再灌流障害において、IL−8の産生に関連する脳浮腫と相関して、多くの好中球が脳へ遊走されていること[Lab.Invest.,77,119−125(1997)]、虚血再灌流を起こしたラット脳内ではCINCが増加していること[Stroke,26,318−323(1995)]、または抗IL−8抗体または抗ラットCINC−1抗体は、脳内浮腫を減少させ、脳の再灌流障害における梗塞サイズを減少させたこと[Lab.Invest.,77,119−125(1997),Brain Res.759,103−111(1997)]等の報告がされている。
これらより、好中球の遊走や活性化作用を有するIL−8ファミリーは、中枢神経障害後の好中球が関与する急性炎症において、重要な因子であることが示唆される。
一方、好中球から放出されるライソゾーム水解酵素群の中で、アズール顆粒に局在する中性セリンプロテアーゼに属するエラスターゼは、主に結合組織、特に、肺組織等の弾性維持のために直接機能しているエラスチンの架橋構造や蛋白の疎水部分を切断して、弾性結合組織を分解する。さらに、エラスターゼはエラスチンのみならず、コラーゲン繊維の架橋領域をも選択的に分解する他、プロテオグリカン等の組織構造蛋白にも作用するなど、結合組織代謝において中心的な役割を演じている。生体において、エラスターゼはα1−プロテイナーゼインヒビター(α1−PI)によって不活化されるが、酵素−阻害因子系のバランスに乱れが生じたとき、組織破壊性の症状が出現する。
また、エラスターゼ阻害活性を有する化合物であるEglinCおよびL658758が、ラット脊髄損傷モデルにおいて有効であった旨の報告がある[Brain Research,799,264−269(1998)]。
発明の開示
副作用のない、強力な脊髄障害による疾患の治療および/または予防剤の提供が切望されており、エラスターゼ阻害剤がその治療および/または予防剤となることが期待されている。しかし、既に知られているエラスターゼ阻害剤のすべてが脊髄障害に有効であるとは限らないのは当然のことであり、まだその実現には至っていないのが現状である。
以上のような状況下で、本発明者らは鋭意検討を行った結果、一般式(I)で示される化合物、その非毒性塩またはその水和物が脊髄障害による疾患に有効であることを初めて見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、一般式(I)
Figure 2002092074
(式中、Yはスルホニル、カルボニルを表わし、
およびRは、
(i)それぞれ独立して、
(1)水素原子、
(2)C1〜16アルキル、または
(3)−X−A−(Rを表わすか、
あるいは、
(ii)RおよびRはそれらが結合している窒素原子と一緒になって、−COOHで置換されている少なくとも1個の窒素原子を含む5〜12員の単環または二環式複素環を表わし、
Xは単結合、スルホニル、C1〜4アルキレン、または−COOHまたはベンジルオキシカルボニルで置換されているC1〜4アルキレンを表わし、
AはC5〜12の単環あるいは二環式炭素環、または5〜12員の単環あるいは二環式複素環を表わし、
nは0または1〜5の整数を表わし、
はそれぞれ独立して、
(1)C1〜8アルキル、
(2)C1〜14アルコキシ、
(3)C1〜6アルキルチオ、
(4)水酸基、
(5)ハロゲン原子、
(6)ニトロ、
(7)トリハロメチル、
(8)−NR4142(基中、R41およびR42はそれぞれ独立して、水素原子、C1〜4アルキルを表わす。)、
(9)テトラゾール、
(10)−SOH、
(11)ヒドロキシメチル、
(12)−SONR4142
(13)−Z41−COOR43(基中、Z41は単結合、C1〜4アルキレンまたはC2〜4アルケニレンを表わし、R43は水素原子、C1〜4アルキルまたはベンジルを表わす。)、
(14)−CONR4142
(15)−COO−Z42−COOR43(基中、Z42はC1〜4アルキレンを表わし、R43は水素原子、C1〜4アルキルまたはベンジルを表わす。)、
(16)−COO−Z42−CONR4142
(17)−OCO−R45(基中、R45はC1〜8アルキルまたはp−グアニジノフェニルを表わす。)、
(18)−CO−R46(基中、R46はC1〜4アルキルを表わす。)、
(19)−O−Z43−COOR450(基中、Z43はC1〜6アルキレン、R450は水素原子、C1〜8アルキルまたはp−グアニジノフェニルを表わす。)、
(20)
Figure 2002092074
(基中、−N−Z44−CO−はアミノ酸残基を表わし、R47は単結合またはC1〜4アルキルを表わし、R48は水素原子またはC1〜4アルキルを表わし、R49は水酸基、C1〜4アルコキシ、アミノ、1個または2個のC1〜4アルキルで置換されたアミノ、カルバモイルメトキシまたはカルバモイルの窒素原子に1個または2個のC1〜4アルキルが置換されているカルバモイルメトキシを表わすか、または
Figure 2002092074
は、窒素原子1個と炭素原子3〜6個を含む飽和複素環を表わす。)を表わし、

(1)水酸基、
(2)C1〜6アルキル、
(3)ハロゲン原子、
(4)C1〜4アルコキシ、または
(5)C2〜5アシルオキシを表わし、
mは0または1〜4の整数を表わす。)で示される化合物、その非毒性塩またはその水和物を有効成分として含有する脊髄障害による疾患の治療および/または予防剤に関する。
発明の詳細な説明
脊髄障害による疾患とは、具体的には脊髄が外傷性の要因や、腫瘍、膿腫、血腫、骨もしくは軟骨等による圧迫、感染による破壊、虚血、虚血再灌流または胸部・腹部大動脈瘤、解離性大動脈瘤等の手術による脊髄虚血再灌流等により障害された結果引き起こされる疾患であり、具体的には、脊髄損傷、脊髄虚血再灌流障害もしくはそれらに伴う中枢神経障害、例えば脊椎の痛み、反射機能の消失、脱力、四肢の運動麻痺、対麻痺、呼吸筋麻痺、感覚・知覚機能の低下が挙げられる。
一般式(I)で示される化合物は、エラスターゼ阻害作用を有する化合物として、特開平3−20253号(EP347168)明細書に記載されており、またその製造方法も記載されている。
該明細書に記載には、一般式(I)で示される化合物は、エラスターゼ阻害作用を有するため、肺気腫、アテローム性動脈硬化およびリウマチ性関節炎等に有効であると記載されている。しかし、一般式(I)で示される化合物が、脊髄障害による疾患に有効である旨の記載は存在しない。
エラスターゼ阻害活性と脊髄損傷には、何らかの関わりがあることは知られている。しかし、エラスターゼ阻害活性を有する一般式(I)で示される化合物を脊髄障害モデルにかけた報告はないし、もちろん有効性を示した報告もない。本発明者らは、脊髄障害による疾患モデル、具体的には脊髄損傷モデルにより一般式(I)で示される化合物が脊髄障害による疾患に有効であることを初めて確認した。また、一般式(I)で示される化合物は脊髄障害後の好中球の集積および浸潤を抑え、脊髄損傷に伴う中枢神経障害にも有効であることを証明した。
本明細書中で用いるC1〜4アルキルとは、メチル、エチル、プロピル、ブチル基およびこれらの異性体を意味する。
本明細書中で用いるC1〜6アルキルとは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル基およびこれらの異性体を意味する。
本明細書中で用いるC1〜8アルキルとは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル基およびこれらの異性体を意味する。
本明細書中で用いるC1〜16アルキルとは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル基およびこれらの異性体を意味する。
本明細書中で用いるC1〜4アルコキシとは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ基およびこれらの異性体を意味する。
本明細書中で用いるC1〜14アルコキシとは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、トリデシルオキシ、テトラデシルオキシ基およびこれらの異性体を意味する。
本明細書中で用いるC1〜6アルキルチオとは、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオ基およびこれらの異性体を意味する。
本明細書中で用いるC2〜5アシルオキシとは、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、バレリルオキシ基およびこれらの異性体を意味する。
本明細書中で用いるC1〜4アルキレンとは、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレンおよびこれらの異性体を意味する。
本明細書中で用いるC1〜6アルキレンとは、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ヘプタメチレン、ヘキサメチレンおよびこれらの異性体を意味する。
本明細書中で用いるC2〜4アルケニレンとは、ビニレン、プロペニレン、ブテニレンおよびこれらの異性体を意味する。
本明細書中で用いる少なくとも1個の窒素原子を含む5〜12員の単環または二環式複素環とは、少なくとも1個の窒素原子を含み、さらに1個の窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含んでいてもよい5〜12員の単環または二環式複素環アリール、またはその一部もしくは全部が飽和したものが含まれる。例えば、ピロール、ピリジン、アゼピン、イミダゾール、ピラゾール、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、インドール、イソインドール、キノリン、イソキノリン、インダゾール、キナゾリン、シンノリン、キノキサリン、フタラジンまたはその一部もしくは全部が飽和したもの、例えば、ピロリン、ピロリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリンが挙げられる。
本明細書中で用いるC5〜12の単環あるいは二環式炭素環とは、C5〜12の単環あるいは二環式炭素環アリール、またはその一部もしくは全部が飽和したものが含まれる。例えば、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、ペンタレン、インデン、ナフタレン、アズレン、パーヒドロペンタレン、パーヒドロインデン、パーヒドロナフタレン、パーヒドロアズレン等が挙げられる。
本明細書中で用いる5〜12員の単環あるいは二環式複素環とは、1〜2個の窒素原子、酸素原子および/または硫黄原子を含有する5〜12員の単環あるいは二環式複素環アリール、またはその一部もしくは全部が飽和したものが含まれる。例えば、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、ピラン、チオピラン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、イソインドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドリジン、クロメン、キノリン、イソキノリン、キノリジン、インダゾール、キナゾリン、シンノリン、キノキサリン、フタラジンまたはその一部もしくは全部が飽和したもの、例えば、オキソラン、チオラン、オキサン、チアン、ピロリン、ピロリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、イソインドリン、クロマン、イソクロマン等が挙げられる。
本明細書中で用いる窒素原子1個と炭素原子3〜6個を含む飽和複素環とは、例えば、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、パーヒドロアゼピンが挙げられる。
本明細書中で用いるアミノ酸残基とは、すべてのα−アミノ酸の残基であってもよく、例えば、グリシン、アラニン、セリン、システイン、トレオニン、バリン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、リジンまたはそのC1〜4アルキルエステル等が挙げられる。
本発明に用いられる化合物は、以下の非毒性塩の形で用いてもよい。塩は、毒性のない、水溶性のものが好ましい。
適当な塩としては、アルカリ金属(カリウム、ナトリウム等)の塩、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)の塩、アンモニウム塩、薬学的に許容される有機アミン(テトラメチルアンモニウム、トリエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、シクロペンチルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ピペリジン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミン、リジン、アルギニン、N−メチル−D−グルカミン等)の塩が挙げられる。
本発明に用いられる化合物またはその非毒性塩は、公知の方法により、水和物に変換してもよい。
本発明においては、特に指示しない限り異性体はこれをすべて包含する。例えば、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基およびアルキニル基には直鎖のものおよび分岐鎖のものが含まれる。さらに二重結合、環、縮合環における異性体(E、Z、シス、トランス体)、不斉炭素の存在等による異性体(R、S体、α、β体、エナンチオマー、ジアステレオマー)、旋光性を有する光学異性体(D、L、d、1体、+、−体)、クロマトグラフィー分離による極性体(高極性体、低極性体)、平衡化合物、これらの任意の割合の化合物、ラセミ混合物は、すべて本発明に含まれる。
より好ましい本発明化合物は、一般式(I)中、
Yがスルホニルであり、
およびRは、それぞれ独立して、
(1)水素原子、
(2)C1〜16アルキル、または
(3)−X−A−(Rであり、
Xが単結合またはC1〜4アルキレンであり、
AがC5〜7の炭素環であり
nが1〜3の整数であり、
n個中、必ず1つのRがAのオルト位に置換する
Figure 2002092074
であり、
残りのn個、つまり0〜2個のRは(1)C1〜8アルキル、(2)C1〜14アルコキシ、(3)C1〜6アルキルチオ、(4)水酸基、(5)ハロゲン原子、(6)ニトロ、または(7)トリハロメチルから選ばれる基であり、
−N−Z44−CO−がアミノ酸残基であり、
47が単結合またはC1〜4アルキルであり、
48が水素原子であり、
49は水酸基、C1〜4アルコキシ、アミノ、1個または2個のC1〜4アルキルで置換されたアミノであり、
mが0〜2であり、
が(1)水酸基、(2)C1〜6アルキル、(3)ハロゲン原子、(4)C1〜4アルコキシ、(5)C2〜5アシルオキシである化合物である。
具体的には、N−[o−(p−ピバロイルオキシベンゼンスルホニルアミノ)ベンゾイル]グリシン・モノナトリウム塩・4水和物が挙げられる。
発明を実施するための最良の形態
本発明化合物の脊髄障害による疾患に対する有効性は、例えば、以下の実験によって証明された。
各実験において、式(X)
Figure 2002092074
で示される化合物、すなわちN−[o−(p−ピバロイルオキシベンゼンスルホニルアミノ)ベンゾイル]グリシン・モノナトリウム塩・4水和物を被験薬として用いた。
(1)ラット脊髄損傷モデルによるCINC−1発現抑制
ペントバルビタール(40mg/kg)による麻酔下、ウィスターラット(250g〜300g)を用いて、Tonai等の方法[J.Neurochem..72,302−309(1999)]に従い、脊髄損傷モデルを作成した。損傷後、種々の時間をおいてラットを凍結し、それからT13脊髄組織分画を取り出し、CINC−1蛋白を分析した。
なお、被験薬は12mM炭酸ナトリウムを含む生理食塩水に溶解し、脊髄損傷15分前に大腿部静脈に投与した。また、生理食塩水のみの投与群をコントロールとした。
結果を、図1に示す。
図1より、化合物(X)は脊髄損傷後のCINC−1蛋白(本因子は、中枢神経障害と深く関連している。)の発現を、用量依存的に抑制することがわかる。
(2)ミエロペルオキシダーゼ(MPO:myeloperoxidase)活性測定
好中球の集積および浸潤を、Xu等[J.neurochem.55,907−912(1990)]の改変方法による、MPO活性を測定することで評価した。
脊髄損傷15分前に被験薬(50mg/kg)を投与し、損傷2、4、8、12および24時間後のT13分画を、50mMリン酸カリウム緩衝液(0.5%アセチルトリメチルアンモニウムブロマイド含有;pH6.0)(1ml)中で超音波処理した。ホモジネートを10,000×gで20分間遠心分離し、上清(0.1ml)に50mMリン酸カリウム緩衝液(0.53mMo−sianisidine dihydrochrolideおよび0.15mM過酸化水素含有;pH6.0)(0.6ml)を加えた。5分後、スペクトロフォトメーター(model DU 640,Beckmann)を用いて、460nmで吸光度を測定した。
結果を図2に示す。
図2より、化合物(X)はMPO活性を4時間後にコントロールの46%、12時間後に61%、24時間後に64%に抑えており、脊髄損傷後の好中球の遊走や活性化を抑制すると考えられる。
(3)血液脳関門の破壊
Uyama等[J.Cereb.Blood Flow Metab.8,282−284(1988)]の一部改良方法で、血液脳関門の破壊を評価した。
脊髄損傷15分前に被験薬(50mg/kg)を投与し、損傷6時間後、2.5%エバンスブルー溶液(4ml/kg)を大腿部静脈に投与した。1時間後、ラットをペントバルビタール(40mg/kg)麻酔下屠殺し、T13脊髄組織を取り出して、50%トリクロロ酢酸(1ml)中でホモジナイズした。遠心分離後、抽出物をエタノールで4倍に希釈し、スペクトロフォトメーターを用いて、620nmおよび680nmでの蛍光を測定した。
結果を図3に示す。
図3より、化合物(X)は有意に血液脳関門の破壊を抑制していることがわかる。
(4)運動障害の改善
脊髄損傷15分前に被験薬(50mg/kg)を投与し、20g負荷で圧迫障害を起こさせたラットを用いて、オープン・フィールド・ウォーキング・スケール(open field walking scale)でのBehrmamm等の方法[Exp.Neurol.126,61−75(1994)]、およびインクラインド・プレイン・テスト(inclined−plane test)でのRivlin等の方法[J.Neurosurg.47,577−581(1977)]に従って運動障害を評価した。
open field walking scaleでは、5分間の観察により、0(不自然行動)から5(自然歩行)までのスコアで評価した。脊髄損傷前の両後ろ足の動作を基準にし、2週間までの2日おき、および障害後21日目と28日目に評価した。
inclined−plane testでは、可動性のinclined−planeの表面にコルクマットを敷き、5分間ラットが静止できる最大角度(Angle of inclined−plane)を、障害前と、障害後1、7、14、21および28日目に測定した。
結果を図4および図5に示す。
図4および図5より、化合物(X)は脊髄損傷後の運動障害を有意に抑制していることがわかる。
上記結果の通り、化合物(X)が、脊髄損傷モデルにおいてサイトカインの発現、好中球の集積および浸潤、および血液脳関門の破壊を抑制したことから、脊髄損傷後の血管内皮細胞の障害や種々の神経障害を抑え得ると考えられる。さらに、脊髄損傷後に見られる運動障害にも優れた改善効果を示すことも確認された。このことより、本発明に用いる一般式(I)で示される化合物は、脊髄障害による疾患の治療および/または予防に有効であると判断できる。
[毒性]
本発明化合物の毒性は非常に低いものであり、医薬として使用するために十分安全であると判断できる。例えば、ラット急性毒性試験(静脈内投与)における最低致死量は、450mg/kgであった。
産業上の利用の可能性
本発明に用いられる、一般式(I)で示される化合物、その非毒性塩またはその水和物は、ヒトを含めた動物、特にヒトにおいて、脊髄障害による疾患、具体的には脊髄損傷、脊髄虚血再灌流障害もしくはそれらに伴う中枢神経障害、例えば脊椎の痛み、反射機能の消失、脱力、四肢の運動麻痺、対麻痺、呼吸筋麻痺、感覚・知覚機能の低下の治療および/または予防に有用である。
一般式(I)で示される化合物またはそれらの非毒性塩は、
1)その化合物の予防および/または治療効果の補完および/または増強、
2)その化合物の動態・吸収改善、投与量の低減、
および/または
3)その化合物の副作用の軽減
のために他の薬剤と組み合わせて、併用剤として投与してもよい。
一般式(I)で示される化合物と他の薬剤の併用剤は、1つの製剤中に両成分を配合した配合剤の形態で投与してもよく、また別々の製剤にして投与する形態をとってもよい。この別々の製剤にして投与する場合には、同時投与および時間差による投与が含まれる。また、時間差による投与は、一般式(I)で示される化合物を先に投与し、他の薬剤を後に投与してもよいし、他の薬剤を先に投与し、一般式(I)で示される化合物を後に投与してもかまわず、それぞれの投与方法は同じでも異なっていてもよい。
上記併用剤により、予防および/または治療効果を奏する疾患は特に限定されず、一般式(I)で示される化合物の予防および/または治療効果を補完および/または増強する疾患であればよい。
一般式(I)で示される化合物の脊髄障害による疾患に対する予防および/または治療効果の補完および/または増強のための他の薬剤としては、例えば、ステロイド剤、筋弛緩薬、抗コリン剤、三環系抗うつ剤、抗けいれん剤、ナトリウムチャネル抑制薬(膜安定化薬)、マイナートランキライザー、オピオイド、NMDA受容体拮抗剤、GABA作動剤が挙げられる。
ステロイド剤としては、例えば、外用薬としては、プロピオン酸クロベタゾール、酢酸ジフロラゾン、フルオシノニド、フランカルボン酸モメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、酪酸プロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、ジフルプレドナート、プデソニド、吉草酸ジフルコルトロン、アムシノニド、ハルシノニド、デキサメタゾン、プロピオン酸デキサメタゾン、吉草酸デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン、プロピオン酸デプロドン、吉草酸酢酸プレドニゾロン、フルオシノロンアセトニド、プロピオン酸ベクロメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、ピバル酸フルメタゾン、プロピオン酸アルクロメタゾン、酪酸クロベタゾン、プレドニゾロン、プロピオン酸ペクロメタゾン、フルドロキシコルチド等が挙げられる。
内服薬、注射剤としては、酢酸コルチゾン、ヒドロコルチゾン、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、酢酸フルドロコルチゾン、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、コハク酸プレドニゾロンナトリウム、ブチル酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、酢酸ハロプレドン、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、トリアムシノロン、酢酸トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、デキサメサゾン、酢酸デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、パルミチン酸デキサメタゾン、酢酸パラメサゾン、ベタメタゾン等が挙げられる。
吸入剤としては、プロピオン酸ベクロメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、ブデソニド、フルニソリド、トリアムシノロン、ST−126P、シクレソニド、デキサメタゾンパロミチオネート、モメタゾンフランカルボネート、プラステロンスルホネート、デフラザコート、メチルプレドニゾロンスレプタネート、メチルプレドニゾロンナトリウムスクシネート等が挙げられる。
筋弛緩薬としては、例えば、塩酸トリペリゾン、クロルゾキサゾン、クロルメザノン、メトカルバモール、フェンプロバメート、メシル酸プリジノール、カルバミン酸クロフェネシン、バクロフェン、塩酸エペリゾン、アフロクアロン、塩酸チザニジン、塩化アルクロニウム、塩化スキサメトニウム、塩化ツボクラリン、ダントロレンナトリウム、臭化パンクロニウム、臭化ベクロニウム等が挙げられる。
抗コリン剤としては、例えば、臭化イプラトロピウム、臭化オキシトロピウム、臭化フルトロピウム、臭化シメトロピウム、テミベリン、臭化チオトロピウム、レバトロペート(UK−112166)等が挙げられる。
三環系抗うつ剤としては、塩酸イミプラミン、塩酸デシプラミン、塩酸クロミプラミン、マレイン酸トリミプラミン、塩酸アミトリプチリン、塩酸ノルトリプチリン、塩酸ロフェプラミン、アモキサピン、塩酸ドスレピン等が挙げられる。
抗けいれん薬としては、例えば、カルバマゼピン、フェニトイン、エトトイン、メホバルビタール、メタルビタール、プリミドン、トリメタジオン、アセチルフェネトライド、エトスクシミド、バルプロ酸ナトリウム、アセタゾラミド、クロナゼパム、ゾニサミド、ジアゼパム等が挙げられる。
ナトリウムチャネル抑制薬としては、例えば、塩酸プロカインアミド、アジマリン、ジソピラミド、リン酸ジソピラミド、コハク酸ジソピラミド、塩酸ピルメノール、塩酸リドカイン、塩酸メキシレチン、塩酸アプリンジン、塩酸プロパフェノン、酢酸フレカイニド、塩酸ピルジカイニド、塩酸アミオダロン等が挙げられる。
マイナートランキライザーとしては、例えば、クロルジアゼポキシド、ジアゼパム、クロキサゾラム、オキサゼパム、オキサゾラム、メダゼパム、プロマゼパム、ロラゼパム、プラゼパム、フルジアゼパム、クロラゼプ酸二カリウム、メキサゾラム、アルプラゾラム、フルタゾラム、フルトプラゼパム、ロフラゼプ酸エチル、クロチアゼパム、エチゾラム、ヒドロキシジン等が挙げられる。
オピオイドとしては、例えば、硫酸モルヒネ、塩酸モルヒネ、塩酸ペチジン、フェンタニール、ペンタゾシン、塩酸ブプレノルフィン等が挙げられる。
NMDA受容体拮抗薬としては、例えば、ケタミン、臭化デキストロメトロルファン等が挙げられる。
GABA作動薬としては、例えば、ほとんどのマイナートランキライザーの他、バクロフェンやミダゾラム等が挙げられる。
一般式(I)で示される化合物と他の薬剤の重量比は特に限定されない。
他の薬剤は、任意の2種以上を組み合わせて投与してもよい。
また、一般式(I)で示される化合物の予防および/または治療効果を補完および/または増強する他の薬剤には、上記したメカニズムに基づいて、現在までに見出されているものだけでなく今後見出されるものも含まれる。
本発明で用いる一般式(I)で示される本発明化合物、または一般式(I)で示される本発明化合物と他の薬剤の併用剤を上記の目的で用いるには、通常、全身的または局所的に、経口または非経口の形で投与される。
投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、通常、成人一人あたり、1回につき、1mgから1000mgの範囲で、1日1回から数回経口投与されるか、または成人一人あたり、1回につき、1mgから100mgの範囲で、1日1回から数回非経口投与(好ましくは、静脈内投与)されるか、または1日1時間から24時間の範囲で静脈内に持続投与される。
もちろん前記したように、投与量は、種々の条件によって変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を越えて必要な場合もある。
一般式(I)で示される本発明化合物、または一般式(I)で示される本発明化合物と他の薬剤の併用剤を投与する際には、経口投与のための固体組成物、液体組成物およびその他の組成物および非経口投与のための注射剤、外用剤、坐剤、点眼剤、吸入剤等として用いられる。
経口投与のための固体組成物には、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤等が含まれる。
カプセル剤には、ハードカプセルおよびソフトカプセルが含まれる。
このような固体組成物においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質が、少なくともひとつの不活性な希釈剤、例えばラクトース、マンニトール、グルコース、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムと混合される。組成物は、常法に従って、不活性な希釈剤以外の添加剤、例えばステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、繊維素グリコール酸カルシウムのような崩壊剤、ラクトースのような安定化剤、グルタミン酸またはアスパラギン酸のような溶解補助剤を含有していてもよい。錠剤または丸剤は必要により白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートなどの胃溶性あるいは腸溶性物質のフィルムで被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。さらにゼラチンのような吸収されうる物質のカプセルも包含される。
経口投与のための液体組成物は、薬剤的に許容される乳濁剤、溶液剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含む。このような液体組成物においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質が、一般的に用いられる不活性な希釈剤(例えば、精製水、エタノール)に含有される。この組成物は、不活性な希釈剤以外に湿潤剤、懸濁剤のような補助剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、防腐剤を含有していてもよい。
経口投与のためのその他の組成物としては、ひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、それ自体公知の方法により処方されるスプレー剤が含まれる。この組成物は不活性な希釈剤以外に亜硫酸水素ナトリウムのような安定剤と等張性を与えるような緩衝剤、例えば塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウムあるいはクエン酸のような等張剤を含有していてもよい。スプレー剤の製造方法は、例えば米国特許第2,868,691号および同第3,095,355号に詳しく記載されている。
本発明による非経口投与のための注射剤としては、無菌の水性および/または非水性の溶液剤、懸濁剤、乳濁剤を包含する。水性の溶液剤、懸濁剤としては、例えば注射用蒸留水および生理食塩水が含まれる。非水溶性の溶液剤、懸濁剤としては、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物油、エタノールのようなアルコール類、ポリソルベート80(登録商標)等がある。また、無菌の水性と非水性の溶液剤、懸濁剤および乳濁剤を混合して使用してもよい。このような組成物は、さらに防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤(例えば、ラクトース)、溶解補助剤(例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸)のような補助剤を含んでいてもよい。これらはバクテリア保留フィルターを通すろ過、殺菌剤の配合または照射によって無菌化される。これらはまた無菌の固体組成物を製造し、例えば凍結乾燥品の使用前に、無菌化または無菌の注射用蒸留水または他の溶媒に溶解して使用することもできる。
非経口投与のための点眼剤の剤形としては、点眼液、懸濁型点眼液、乳濁型点眼液、用時溶解型点眼液および眼軟膏が含まれる。
これらの点眼剤は公知の方法に準じて製造される。例えば、点眼液の場合には、等張化剤(塩化ナトリウム、濃グリセリン等)、緩衝化剤(リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等)、界面活性剤(ポリソルベート80(商品名)、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等)、安定化剤(クエン酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム等)、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラベン等)などを必要に応じて適宜選択して調製される。これらは最終工程において滅菌するか無菌操作法によって調製される。
非経口投与のための吸入剤としては、エアロゾル剤、吸入用粉末剤又は吸入用液剤が含まれ、当該吸入用液剤は用時に水又は他の適当な媒体に溶解又は懸濁させて使用する形態であってもよい。
これらの吸入剤は公知の方法に準じて製造される。
例えば、吸入用液剤の場合には、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、着色剤、緩衝化剤(リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等)、等張化剤(塩化ナトリウム、濃グリセリン等)、増粘剤(カリボキシビニルポリマー等)、吸収促進剤などを必要に応じて適宜選択して調製される。
吸入用粉末剤の場合には、滑沢剤(ステアリン酸およびその塩等)、結合剤(デンプン、デキストリン等)、賦形剤(乳糖、セルロース等)、着色剤、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、吸収促進剤などを必要に応じて適宜選択して調製される。
吸入用液剤を投与する際には通常噴霧器(アトマイザー、ネブライザー)が使用され、吸入用粉末剤を投与する際には通常粉末薬剤用吸入投与器が使用される。
非経口投与のためのその他の組成物としては、ひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、常法により処方される外溶液剤、軟膏、塗布剤、直腸内投与のための坐剤および膣内投与のためのペッサリー等が含まれる。
製剤例1
以下の各成分を常法により混合した後打錠して、一錠中に50mgの活性成分を含有する錠剤100錠を得た。
Figure 2002092074
製剤例2
以下の各成分を常法により混合した後、溶液を常法により滅菌し、5mlずつアンプルに充填し、常法により凍結乾燥し、1アンプル中20mgの活性成分を含有するアンプル100本を得た。
Figure 2002092074

【図面の簡単な説明】
図1は、本発明に係る化合物のラット脊髄損傷モデルによるCINC−1発現抑制を示す。
図2は、本発明に係る化合物のミエロペルオキシダーゼ(MPO:myeloperoxidase)活性測定結果を示す。
図3は、本発明に係る化合物の血液脳関門の破壊に対する抑制効果を示す。
図4は、オープン・フィールド・ウォーキング・スケール(open field walking scale)を用いた本発明に係る化合物による運動障害の改善を示す。
図5は、インクラインド・プレイン・テスト(inclined−plane test)を用いた本発明に係る化合物による運動障害の改善を示す。

Claims (5)

  1. 一般式(I)
    Figure 2002092074
    (式中、Yはスルホニル、カルボニルを表わし、
    およびRは、
    (i)それぞれ独立して、
    (1)水素原子、
    (2)C1〜16アルキル、または
    (3)−X−A−(Rを表わすか、
    あるいは、
    (ii)RおよびRはそれらが結合している窒素原子と一緒になって、−COOHで置換されている少なくとも1個の窒素原子を含む5〜12員の単環または二環式複素環を表わし、
    Xは単結合、スルホニル、C1〜4アルキレン、または−COOHまたはベンジルオキシカルボニルで置換されているC1〜4アルキレンを表わし、
    AはC5〜12の単環あるいは二環式炭素環、または5〜12員の単環あるいは二環式複素環を表わし、
    nは0または1〜5の整数を表わし、
    はそれぞれ独立して、
    (1)C1〜8アルキル、
    (2)C1〜14アルコキシ、
    (3)C1〜6アルキルチオ、
    (4)水酸基、
    (5)ハロゲン原子、
    (6)ニトロ、
    (7)トリハロメチル、
    (8)−NR4142(基中、R41およびR42はそれぞれ独立して、水素原子またはC1〜4アルキルを表わす。)、
    (9)テトラゾール、
    (10)−SOH、
    (11)ヒドロキシメチル、
    (12)−SONR4142
    (13)−Z41−COOR43(基中、Z41は単結合、C1〜4アルキレンまたはC2〜4アルケニレンを表わし、R43は水素原子、C1〜4アルキルまたはベンジルを表わす。)、
    (14)−CONR4142
    (15)−COO−Z42−COOR43(基中、Z42はC1〜4アルキレンを表わし、R43は水素原子、C1〜4アルキルまたはベンジルを表わす。)、
    (16)−COO−Z42−CONR4142
    (17)−OCO−R45(基中、R45はC1〜8アルキルまたはp−グアニジノフェニルを表わす。)、
    (18)−CO−R46(基中、R46はC1〜4アルキルを表わす。)、
    (19)−O−Z43−COOR450(基中、Z43はC1〜6アルキレン、R450は水素原子、C1〜8アルキルまたはp−グアニジノフェニルを表わす。)、
    (20)
    Figure 2002092074
    (基中、−N−Z44−CO−はアミノ酸残基を表わし、R47は単結合またはC1〜4アルキルを表わし、R48は水素原子またはC1〜4アルキルを表わし、R49は水酸基、C1〜4アルコキシ、アミノ、1個または2個のC1〜4アルキルで置換されたアミノ、カルバモイルメトキシまたはカルバモイルの窒素原子に1個または2個のC1〜4アルキルが置換されているカルバモイルメトキシを表わすか、または
    Figure 2002092074
    は、窒素原子1個と炭素原子3〜6個を含む飽和複素環を表わす。)を表わし、

    (1)水酸基、
    (2)C1〜6アルキル、
    (3)ハロゲン原子、
    (4)C1〜4アルコキシ、または
    (5)C2〜5アシルオキシを表わし、
    mは0または1〜4の整数を表わす。)で示される化合物、その非毒性塩またはその水和物を有効成分として含有する脊髄障害による疾患の治療および/または予防剤。
  2. Yがスルホニルであり、
    およびRは、それぞれ独立して、
    (1)水素原子、
    (2)C1〜16アルキル、または
    (3)−X−A−(Rであり、
    Xが単結合またはC1〜4アルキレンであり、
    AがC5〜7の単環炭素環であり、
    nが1〜3の整数であり、
    n個中、必ず1つのRがAのオルト位に置換する
    Figure 2002092074
    であり、
    残りのn個、つまり0〜2個のRは(1)C1〜8アルキル、(2)C1〜14アルコキシ、(3)C1〜6アルキルチオ、(4)水酸基、(5)ハロゲン原子、(6)ニトロ、または(7)トリハロメチルから選ばれる基であり、
    −N−Z44−CO−がアミノ酸残基であり、R47が単結合またはC1〜4アルキルであり、R48が水素原子であり、R49は水酸基、C1〜4アルコキシ、アミノ、1個または2個のC1〜4アルキルで置換されたアミノであり、
    mが0または1〜2の整数であり、
    が(1)水酸基、(2)C1〜6アルキル、(3)ハロゲン原子、(4)C1〜4アルコキシ、(5)C2〜5アシルオキシである請求項1に記載の治療および/または予防剤。
  3. 化合物が
    N−[o−(p−ピバロイルオキシベンゼンスルホニルアミノ)ベンゾイル]グリシン・モノナトリウム塩・4水和物である請求項1に記載の治療および/または予防剤。
  4. 脊髄障害による疾患が、脊髄損傷もしくはそれに伴う中枢神経障害である請求項1の治療および/または予防剤。
  5. 脊髄障害による疾患が、脊髄虚血再灌流障害もしくはそれに伴う中枢神経障害である請求項1の治療および/または予防剤。
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