JPWO2002088335A1 - 幹細胞及びその分離方法 - Google Patents
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Abstract
Description
背景技術
マウス胎児の肝臓より[c−Kit−、CD49f+、CD29+、CD45−、TER119−]をマーカーとして肝前駆細胞を分離する方法(Hepatology 32(6),1230−1239(2000))や[c−Met+、CD49f+/low、c−Kit−、CD45−、TER119−]をマーカーとして肝臓幹細胞を分離する方法(谷口英樹:第117回日本医学会シンポジウム「幹細胞と細胞療法」記録集、80−89(2001))が報告されている。臓器固有の幹細胞が存在すると考えられているが、幹細胞に共通するマーカーの存在は予想されていなかった。特に多種多様に分化し、多岐にわたって生理学的機能を発揮する膵臓の幹細胞についてはその分離・同定方法が確立されていないのが現状である。
発明の開示
本発明の目的は、膵臓幹細胞の分離ならびに同定方法を提供することにある。さらに本発明の別の目的は、膵臓幹細胞の提供と、当該幹細胞の医薬及び/又は試薬としての提供にある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、[c−Met+、c−Kit−、CD45−、TER119−]という膵臓幹細胞に共通するマーカーの発現様式を見出し、当該特徴を利用して膵臓幹細胞を好適に分離、同定することに成功した。またさらに詳細に検討を重ねた結果、[c−Met+、c−Kit−、CD45−、TER119−、Flk−1−]というマーカーの発現様式を指標とし、膵臓幹細胞をさらに好適に分離、同定できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)c−Met、c−Kit、CD45及びTER119からなる群より選択されるマーカー蛋白質又はそれをコードする遺伝子に特異的親和性を有する物質を2種以上用いて哺乳動物の膵職から膵臓幹細胞を分離する方法。
(2)c−Met、c−Kit、CD45、TER119及びFlk−1からなる群より選択されるマーカー蛋白質又はそれをコードする遺伝子に特異的親和性を有する物質を2種以上用いて哺乳動物の膵臓から膵臓幹細胞を分離する方法。
(3)特異的親和性を有する物質がマーカー蛋白質の抗体である上記(1)又は(2)に記載の方法。
(4)c−Met、c−Kit、CD45及びTER119からなる群より選択されるマーカー蛋白質又はそれをコードする遺伝子に特異的親和性を有する物質を2種以上用いて哺乳動物の膵臓幹細胞を同定する方法。
(5)c−Met、c−Kit、CD45、TER119及びFlk−1からなる群より選択されるマーカー蛋白質又はそれをコードする遺伝子に特異的親和性を有する物質を2種以上用いて哺乳動物の膵臓幹細胞を同定する方法。
(6)特異的親和性を有する物質がマーカー蛋白質の抗体である上記(4)又は(5)に記載の方法。
(7)c−Met、c−Kit、CD45及びTER119からなる群より選択される2以上のマーカー蛋白質又はそれをコードする遺伝子の発現状況を解析する工程を含む哺乳動物の膵臓から膵臓幹細胞を分離する方法。
(8)c−Met、c−Kit、CD45、TER119及びFlk−1からなる群より選択される2以上のマーカー蛋白質又はそれをコードする遺伝子の発現状況を解析する工程を含む哺乳動物の膵臓から膵臓幹細胞を分離する方法。
(9)c−Met、c−Kit、CD45及びTER119からなる群より選択される2以上のマーカー蛋白質又はそれをコードする遺伝子の発現状況を解析する工程を含む哺乳動物の膵臓幹細胞を同定する方法。
(10)c−Met、c−Kit、CD45、TER119及びFlk−1からなる群より選択される2以上のマーカー蛋白質又はそれをコードする遺伝子の発現状況を解析する工程を含む哺乳動物の膵臓幹細胞を同定する方法。
(11)上記(1)、(2)、(7)又は(8)のいずれかに記載の方法によって哺乳動物の膵臓から分離され得る膵臓幹細胞。
(12)c−Met、c−Kit、CD45及びTER119の4つのマーカーをc−Met+、c−Kit−、CD45−、TER119−のパターンで呈する上記(11)記載の膵臓幹細胞。
(13)c−Met、c−Kit、CD45、TER119及びFlk−1の5つのマーカーをc−Met+、c−Kit−、CD45−、TER119−、Flk−1−のパターンで呈する上記(11)記載の膵臓幹細胞。
(14)上記(12)又は(13)記載の膵臓幹細胞又は当該幹細胞から分化した細胞を含む、膵臓の機能低下疾患の予防・治療剤。
(15)上記(12)又は(13)記載の膵臓幹細胞又は当該幹細胞から分化した細胞を含む、肝・胆管又は胃・腸の機能低下疾患の予防・治療剤。
(16)哺乳動物の膵臓幹細胞の分化を誘導する物質をスクリーニングするための方法であって、以下の工程を含む方法:
(i)膵臓幹細胞と被検物質とを反応させる工程、
(ii)反応後の細胞について膵臓マーカーの発現を測定する工程。
(17)哺乳動物の肝・胆管又は胃・腸への分化を誘導する物質をスクリーニングするための方法であって、以下の工程を含む方法:
(i)上記(12)又は(13)記載の膵臓幹細胞と被検物質とを反応させる工程、
(ii)反応後の細胞について肝・胆管又は胃・腸マーカーの発現を測定する工程。
(18)哺乳動物の膵臓機能調節物質をスクリーニングするための方法であって、以下の工程を含む方法:
(i)膵臓幹細胞又は当該幹細胞から分化した細胞と被検物質とを反応させる工程、
(ii)反応後の細胞について膵臓マーカーの発現を測定する工程。
(19)哺乳動物の肝・胆管又は胃・腸機能調節物質をスクリーニングするための方法であって、以下の工程を含む方法:
(i)上記(12)又は(13)記載の膵臓幹細胞又は当該幹細胞から分化した細胞と被検物質とを反応させる工程、
(ii)反応後の細胞について肝・胆管又は胃・腸マーカーの発現を測定する工程。
発明の詳細な説明
本発明は、c−Met、c−Kit、CD45及びTER119からなる群より選択される2以上、好ましくは3以上、最も好ましくは4つ全てのマーカー蛋白質又はそれをコードする遺伝子とそれぞれ特異的親和性を有する物質を用いて、哺乳動物の膵臓から膵臓幹細胞を分離、同定する方法を提供する。
さらに本発明は、c−Met、c−Kit、CD45、TER119及びFlk−1からなる群より選択される2以上、好ましくは3以上、さらに好ましくは4以上、最も好ましくは5つ全てのマーカー蛋白質又はそれをコードする遺伝子とそれぞれ特異的親和性を有する物質を用いて、哺乳動物の膵臓から膵臓幹細胞を分離、同定する方法を提供する。
本明細書において「哺乳動物」とは、具体的にはヒトをはじめウシ、ウマ、イヌ、モルモット、マウス、ラット等が挙げられる。
c−Met蛋白質は、プロトオンコジーン産物であり、チロシンキナーゼ活性を有する肝細胞増殖因子受容体(HGFレセプター)として働く。その発現と胃や胆道等における癌との関連性が報告されている。c−Kit蛋白質も同様なプロトオンコジーン産物で、マクロファージコロニー刺激因子あるいは血小板由来増殖因子に対するレセプターと同様の構造を持ったレセプターチロシンキナーゼであり、ある種の腫瘍に関係していることが報告されている。CD45蛋白質は、白血球共通抗原の1種で、赤血球、血小板及びそれらの前駆細胞を除く、すべての造血性細胞に発現していることが知られている。TER119蛋白質は、赤血球系細胞を選別するための有効な細胞表面マーカーであることが知られている。Flk−1蛋白質は、血管内皮細胞を選別するための有効な細胞表面マーカーであることが知られている。本発明はこれらの蛋白質又はそれらをコードする遺伝子が膵臓幹細胞において特有の発現様式を示すという新たな知見に基づいている。本明細書中、「マーカー」とは特にことわりのない限り、このような膵臓幹細胞に特有な発現様式を示す一連の蛋白質又はそれをコードする遺伝子から構成される群の各々を意味する。かかるマーカー蛋白質は哺乳動物の種類等によってそのアミノ酸配列が異なる場合があり、本発明においてはその膵臓幹細胞における発現様式が同じである限り、そのような蛋白質もマーカー蛋白質として使用することができ、本発明の範囲内である。具体的には、それぞれの蛋白質についてアミノ酸配列で40%以上の相同性を有するホモローグも本発明のマーカー蛋白質、すなわちc−Met、c−Kit、CD45、TER119及びFlk−1として用いることができる。本発明はこれらのマーカー蛋白質及び/又はそれらをコードする遺伝子の発現を、各マーカー蛋白質又はそれをコードする遺伝子と特異的な親和性を有する物質を用いて解析する工程を含む。
本明細書中、「用いて」という用語について、その方法は特に限定されず、具体的には、例えばマーカー蛋白質に特異的親和性を有する物質を用いる場合であれば該マーカー蛋白質の抗体との抗原抗体反応を利用する方法が挙げられ、又、マーカー蛋白質をコードする遺伝子に特異的親和性を有する物質を用いる場合であればハイブリダイゼーション反応を利用する方法が挙げられる(詳細な手順については後述する)。
マーカー蛋白質と特異的な親和性を有する物質としては例えば当該蛋白質に特異的親和性を有する抗体又はその断片が挙げられ、その特異的親和性とは抗原抗体反応により該蛋白質を特異的に認識し、結合する能力のことである。該抗体名はその断片は、当該蛋白質と特異的に結合可能なものであれば特に限定されず、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体及びそれらの機能的断片のいずれであってもよい。これらの抗体あるいはその機能的断片は、通常当分野で行なわれている方法によって製せられる。例えばポリクローナル抗体を用いる場合であれば、該蛋白質をマウスやウサギといった動物の背部皮下あるいは腹腔内あるいは静脈等に注射して免疫し、抗体価が上昇するのを待った後に抗血清を採取する方法が挙げられ、またモノクローナル抗体を用いる場合であれば、常法に従いハイブリドーマを作製して、その分泌液を採取する方法が挙げられる。抗体断片を製造する方法としてはクローニングした抗体遺伝子断片を微生物等に発現させる方法がよく用いられている。当該抗体、抗体断片等の純度は、当該蛋白質との特異的親和性を保持している限り、特に限定されない。これらの抗体又はその断片は、蛍光物質、酵素やラジオアイソトープ等で標識されていてもよい。さらに、これらは市販されているものを用いても良い。
マーカー蛋白質をコードする遺伝子と特異的親和性を有する物質としては、例えば当該遺伝子に特異的親和性を有するオリゴ又はポリヌクレオチドプローブ(以下、便宜上単にプローブともいう)、ならびにオリゴ又はポリヌクレオチドプライマー対(以下、便宜上単にプライマー対ともいう)が挙げられ、その「特異的親和性」とは、目的の遺伝子にのみハイブリダイズする性質を意味し、従って当該遺伝子の全部もしくは一部に完全相補的なものか、もしくは上記性質を満たす範囲で1乃至数個のミスマッチを含んでいてもよい。該プローブ、プライマー対は、当該遺伝子に特異的親和性を有するものであれば特に限定されないが、例えば当該遺伝子の塩基配列の全部もしくは一部、ならびにそれらの相補配列を含むオリゴ又はポリヌクレオチド等が挙げられ、検出すべき遺伝子の形態に応じて適宜選択する。当該オリゴ又はポリヌクレオチドは当該遺伝子との特異的親和性を有している限りはその由来は特に限定されず、合成されたものであっても、当該遺伝子から必要な部分を切り出し、通常行なわれる方法によって精製されたものであってもよい。これらのオリゴ又はポリヌクレオチドは、蛍光物質、酵素やラジオアイソトープ等で標識されていてもよい。
本発明の膵臓幹細胞の分離又は同定方法は、上記5つのマーカー蛋白質又はそれらをコードする遺伝子にそれぞれ特異的親和性を有する物質5種のうち、少なくとも2つ、好ましくは3つ、さらに好ましくは4つ、最も好ましくは5つ全てを用いて、少なくとも2つ、好ましくは3つ、さらに好ましくは4つ、最も好ましくは5つ全てのマーカーを解析することにより実施される。かかる解析により[c−Met発現、c−Kit非発現、CD45非発現、TER119非発現、Flk−1非発現]([c−Met+、c−Kit−、CD45−、TER119−、Flk−1−]とも記載される)という特徴のうち、少なくとも2つ、好ましくは3つ、さらに好ましくは4つ、最も好ましくは5つを満たす細胞を分離することによって、哺乳動物由来の膵臓幹細胞を得ることができる。かかる幹細胞は、[c−Met+、c−Kit−、CD45−、TER119−、Flk−1−]マーカーを呈する。ここで「呈する」とは、それぞれのマーカー蛋白質又はそれをコードする遺伝子を「発現している」あるいは「発現していない」という特徴を有していることを意味する。
各特異的親和性を有する物質を用いて、それぞれのマーカーを呈する細胞を選別、分離する方法は、通常、当分野で行われている方法及びそれらを組み合わせた方法が用いられる。例えば、蛋白質レベルでマーカーを解析する場合、特に細胞を生きた状態で回収する必要性がある場合には、当該物質を標識するための色素を適宜選択して、フローサイトメトリーを利用する方法が好都合である。より好適には、蛍光活性化セルソーター(FACS:fluorescence−activated cell sorter)を用いて、細胞を分離する。当該装置を用いることにより、目的とする細胞を自動で分離、回収することができる。
同定する場合等、生細胞としての回収が特に必要でない場合には、細胞を破砕し抽出してmRNAを回収し、ノザンブロットを行ってもよいし、また膜蛋白質を抽出してウエスタンブロットを行うこともできる。
また、遺伝子発現を指標として幹細胞を分離する手法として、例えばc−MetプロモーターでGFP(green fluorescent protein)遺伝子を発現させ、FACSで分離する工程が利用できる。当該工程(c−Met発現細胞の分離、同定)は、他のマーカーの発現を指標とする方法と組み合わせることによって、より効果的な幹細胞の分離、同定手段となる。
本発明においては、本発明の分離方法ならびに同定方法を用いて、哺乳動物の膵臓幹細胞を得、又、確認することができる。かかる幹細胞は、適当な条件下で分化を誘導することにより種々の生理学的機能を有する細胞へと分化する(以下、このように分化誘導を受け生理学的機能を発揮するようになった細胞を、便宜上、機能細胞と称する)。ここで「適当な条件下」とは、肝細胞成長因子(hepatocyte growth factor,HGF)及び上皮成長因子(epidermal growth factor,EGF)等のサイトカインを添加した培養条件下にあることを意味する。例えば膵臓幹細胞は、グルカゴン産生細胞であるα細胞、インスリン産生細胞であるβ細胞、膵ポリペプチド産生細胞であるγ細胞、ソマトスタチン産生細胞であるδ細胞、エキソクリン細胞等に分化することが知られており、かかる分化は、それらの細胞が発現、分泌する生理活性物質の有無を調べることにより確認することができる。
本発明によれば、幹細胞を安定して供給することができるので、ひいては当該幹細胞から分化した細胞をも所望の時期に所望の量、提供することができる。例えば、膵臓幹細胞から分化した細胞を膵臓機能低下疾患患者の体内に移植することにより膵臓機能を回復させ、膵臓機能低下疾患に治療的効果を奏することが期待できる。膵臓機能低下疾患としては、糖尿病、慢性膵炎、自己免疫性膵炎、膵摘出後に見られる膵臓の機能障害等が挙げられる。また、本発明の膵臓幹細胞から分化した細胞は、肝・胆管又は胃・腸マーカーを発現することから、膵臓幹細胞から分化した細胞を肝・胆管又は胃・腸機能低下疾患患者の体内に移植することにより肝・胆管または胃・腸機能を回復させ、肝・胆管又は胃・腸機能低下疾患に治療的効果を奏することも期待できる。肝・胆管機能低下疾患としては、急性肝炎、慢性肝炎、代謝性肝疾患等、胃・腸機能低下疾患としては、短腸症候群、炎症性腸疾患、胃摘出後に見られる胃の機能障害等が挙げられる。
本発明はさらに、本発明の膵臓幹細胞を用いて、膵臓幹細胞の分化を誘導する物質をスクリーニングする方法を提供する。当該方法は少なくとも以下の工程を含む。
(1)膵臓幹細胞と被検物質とを反応させる工程。
(2)反応後の細胞について膵臓マーカーの発現を測定する工程。
本スクリーニング方法で使用する膵臓幹細胞は、膵臓の機能細胞へと分化する細胞であれば特に限定されず、好ましくは上述の本発明の方法で分離された膵臓幹細胞である。該幹細胞と被検物質との反応は、所望とする分化の種類、分化誘導条件等に応じて適宜設定されるが、通常、35〜40℃、数分〜数十日、好ましくは、36.5〜37.5℃、8〜30日間培養する。被検物質との反応後、該幹細胞の分化の有無、状況を調べる。
幹細胞が分化したか否かは、その膵臓マーカーの発現を測定することにより確認することができる。当該マーカーは所望とする機能細胞によって適宜選択される。ここで膵臓マーカーとは、膵臓特異的、特に膵臓の機能細胞に特異的に発現、産生(分泌)している蛋白質又はそれをコードする遺伝子であって、例えばα細胞への分化誘導能を調べる場合にはグルカゴンの産生及び分泌を、β細胞への分化誘導能を調べる場合にはインスリンの産生及び分泌を調べることにより確認できる。
本発明はさらに、本発明の膵臓幹細胞又はそれから分化誘導される機能細胞を用いて、膵臓の機能を調節する物質をスクリーニングする方法を提供する。当該方法は少なくとも以下の工程を含む。
(1)膵臓幹細胞又は当該幹細胞から分化した細胞と被検物質とを反応させる工程。
(2)反応後の細胞について膵臓マーカーの発現を測定する工程。
本スクリーニング方法で使用する膵臓幹細胞及びそれから分化した機能細胞は、膵臓の機能細胞へと分化する細胞及びそれから分化誘導を受けた細胞であれば特に限定されず、好ましくは上述の本発明の方法で分離された膵臓幹細胞ならびにそれから適当な条件下(上述)で分化した細胞である。スクリーニングは、例えば具体的には以下のようにして実施される。膵臓幹細胞の培養系に被検物質を添加し、8〜30日間培養後に分化誘導される機能細胞における遺伝子あるいは蛋白質(マーカー)の発現解析を行うことにより、当該被検物質の膵機能細胞の分化や増殖における役割に関して解析(定量的PCR、ノザンブロッティング、免疫染色、ELISA等)する。
本発明のスクリーニング方法においてその対象となる被検物質としては、既知もしくは未知の種々の物質が挙げられ、具体的には既知のサイトカイン、細胞外マトリクス、無機化合物あるいは適当な細胞培養株の培養上清や適当なcDNAライブラリーより得た未知の遺伝子又はその組換え蛋白質等が例示される。
本発明はさらに、本発明の膵臓幹細胞を用いて、肝・胆管又は胃・腸への分化を誘導する物質をスクリーニングする方法を提供する。当該方法は少なくとも以下の工程を含む。
(1)本発明の膵臓幹細胞と被検物質とを反応させる工程。
(2)反応後の細胞について肝・胆管又は胃・腸マーカーの発現を測定する工程。
該幹細胞と被検物質との反応は、所望とする分化の種類、分化誘導条件等に応じて適宜設定されるが、通常、35〜40℃、数分〜数十日、好ましくは、36.5〜37.5℃、8〜30日間培養する。被検物質との反応後、該幹細胞の分化の有無、状況を調べる。
幹細胞が分化したか否かは、その肝・胆管又は胃・腸マーカーの発現を測定することにより確認することができる。当該マーカーは所望とする機能細胞によって適宜選択される。ここで肝・胆管又は胃・腸マーカーとは、肝・胆管又は胃・腸特異的、特に肝・胆管又は胃・腸の機能細胞に特異的に発現、産生(分泌)している蛋白質又はそれをコードする遺伝子であり、例えば、肝・胆管細胞マーカーとしては、アルブミン、α−フェトプロテイン、グルコース−6−ホスファターゼ、トランスチレチン(transthyretin)、サイトケラチン19、サイトケラチン18、サイトケラチン8、biliary glycoprotein又はそれをコードする遺伝子が、胃・腸細胞マーカーとしては、fabp−2、GIP、CCK、TPH、ペプシノーゲンF、ガストリン又はそれをコードする遺伝子が挙げられる。
本発明はさらに、本発明の膵臓幹細胞又はそれから分化誘導される機能細胞を用いて、肝・胆管又は胃・腸の機能を調節する物質をスクリーニングする方法を提供する。当該方法は少なくとも以下の工程を含む。
(1)本発明の膵臓幹細胞又は当該幹細胞から分化した細胞と被検物質とを反応させる工程。
(2)反応後の細胞について肝・胆管又は胃・腸マーカーの発現を測定する工程。
スクリーニングは、例えば具体的には以下のようにして実施される。膵臓幹細胞の培養系に被検物質を添加し、8〜30日間培養後に分化誘導される機能細胞における遺伝子あるいは蛋白質(マーカー)の発現解析を行うことにより、当該被検物質の膵機能細胞の分化や増殖における役割に関して解祈(定量的PCR、ノザンブロッティング、免疫染色、ELISA等)する。
本発明のスクリーニング方法においてその対象となる被検物質としては、既知もしくは未知の種々の物質が挙げられ、具体的には既知のサイトカイン、細胞外マトリクス、無機化合物あるいは適当な細胞培養株の培養上清や適当なcDNAライブラリーより得た未知の遺伝子又はその組換え蛋白質等が例示される。
このようなスクリーニング方法により得られた膵臓幹細胞の分化誘導物質、肝・胆管又は胃・腸への分化誘導物質、膵臓機能調節物質、あるいは肝・胆管又は胃・腸機能調節物質は膵臓機能低下疾患、肝・胆管機能低下疾患、および胃・腸機能低下疾患の治療薬として有用である。ここで膵臓機能低下疾患、肝・胆管機能低下疾患、および胃・腸機能低下疾患とは上述のとおりである。
本発明の膵臓幹細胞又は当該幹細胞から分化した細胞を含む薬剤(以下、本発明の薬剤ともいう)は、ヒトをはじめサル、マウス、ラット、ウサギ、ブタ、イヌ、ウマ、ウシ等種々の哺乳動物における膵臓機能低下疾患、肝・胆管機能低下疾患、および胃・腸機能低下疾患の予防・治療に有効である。その投与量は、当該疾患の処置に必要な量であれば特に限定されないが、そのような処置を必要とする対象の、種、年齢、性別、体重等の条件や症状によって変化する。
本発明の薬剤はまた、例えば、錠剤、ベレット、トローチ、カプセル、坐剤、クリーム、軟膏、エアゾール、吸入用粉末剤、液剤、乳剤、懸濁剤、その他の使用に適した剤形に用いられる慣用の製薬上許容される実質的に無毒性の担体又は賦形剤を配合することができる。さらに、必要に応じて助剤、安定化剤、増粘剤、着色料、および香料などの添加物を配合することもできる。
本発明の薬剤は、当該分野で公知の製剤技術を用いて製造することができる。本発明の薬剤はまた、必要に応じ、当該分野で公知の方法を用いてプロドラッグにすることもできる。
実施例
以下、本発明を実施例にて具体的且つ詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
実施例1
膵臓細胞の回収
C57BL/6マウス新生児(生後1日目)から実体顕微鏡下で膵臓を摘出し、0.05%コラゲナーゼと5mmol/L CaCl2(pH7.4)を含むCa2+freeのハンクス液(Hank’s balanced salt solution)中に入れた。これを37℃で10分間インキュベートした後、穏やかにピペッティングすることにより細胞を単離し、細胞培養液にて3回洗浄した。調製後、トリパンブルーによる検定では、80%以上の細胞が生存していた。細胞培養液としては以下の組成のものを独自に調製し用いた。
(細胞培養液の調製)
DMEMとF−12の1:1混合液に、ウシ胎児血清(FBS,10%)、γ−インスリン(1μg/mL)、デキサメタゾン(1×10−7M)、ニコチンアミド(10mM)、L−グルタミン(2mM)、β−メルカプトエタノール(50μM)、HEPES(5mM)及びペニシリン/ストレプトマイシンを加えて調製した。
フローサイトメトリー
まず、調製した細胞をビオチン化抗CD45モノクローナル抗体(PharMingen,San Jose,CA)、ビオチン化抗TER119モノクローナル抗体(PharMingen,San Jose,CA)、及び抗c−Metモノクローナル抗体(Upstate biotechnology,Lake Placid,NY)と氷中にて30分間反応させた。反応後staining medium(3%FBSを含むPBS(phosphate−buffered saline))にて3回細胞を洗浄し、続いてFITC(fluorescein isothiocyaiate)で標識した抗マウスIgG2aモノクローナル抗体(PharMingen,San Jose,CA)、APC(allophycocyanin)で標識した抗c−Kitモノクローナル抗体(PharMingen,San Jose,CA)、及びテキサスレッドで標識したストレプトアビジン(Gibco BRL,GaithersBurg,MD)と氷中にて30分間反応させた。最後にstaining mediumにて細胞を3回洗浄し、PI(propidium iodide)(5μg/mL)を含むstaining medium中に細胞を懸濁した。これら蛍光標識された細胞をFACS−vantageにて解析し、各々の画分に分離した。ゲートの設定はネガティブコントロールを指標にして行った。
細胞の回収
まず、CD45−、TER119−細胞にゲートをかけ、CD45+細胞及びTER119+細胞を除いた。この操作により血液細胞が除去される。次にCD45−、TER119−細胞をc−Met+/c−Kit−、c−Met−/c−Kit+、c−Met+/c−Kit+及びc−Met−/c−Kit−細胞画分に画分化し、細胞の回収ゲートを設定した。続いて、回収された細胞を直径35mmの組織培養ディッシュ上に200細胞/cm2の濃度で播種し、低密度培養を行った。残存する赤血球、細胞の残骸、2個以上の細胞が凝集した細胞塊、及び死細胞は、前方散乱光(forward scatter)、側方散乱光(side scatter)及びPIにより除いた。回収後、トリパンブルーによる検定では、90%以上の細胞が生存していた。
In Vitroにおけるコロニーアッセイ
FACSにより回収した細胞を上記の細胞培養液にて培養した(37℃、5%CO2)。培養開始から24時間後に、ヒト組換え肝細胞成長因子(rHGF)(50ng/mL;Sigma)と上皮成長因子(EGF)(20ng/mL;Sigma)を添加した。コロニー数は培養開始から8日目に測定した。
RT−PCR
14日間培養したコロニーにクローニングリングをかぶせ、その中にISOGENを加え穏やかにピペッティングすることで、コロニー形成細胞からRNAを得た。続いて、得られたRNAから逆転写酵素(Super Sctipt II)を用いてcDNAを作成した。次に、作成したcDNAを鋳型として、以下のプライマーを用いてPCRを行い、各種膵機能細胞のマーカーの検出を試みた。
目的とするマーカーならびにそのプライマーを表1に示す。
表1に記載の各プライマーは、北海道システム・サイエンス株式会社に発注し合成されたものを用いた。
PCRサイクルは、95℃(4分間)→[94℃(1分間)→56℃(1分間)→72℃(1分間)]×45サイクル→72℃(10分間)である。PCRにより産生された核酸は、2%アガロースゲルにて展開し、解析した。
免疫染色
培養14日目に形成されたコロニーをPBSで3回洗浄し、メタノールで固定(−20℃、10分間)後、Tween20(0.05%)を含むPBS(PBS−Tween20)にて3回洗浄した。10%サル血清にてブロッキング後、ヤギ抗インスリン抗体もしくはマウス抗グルカゴン抗体と反応(4℃、16時間)させた。PBS−Tween20にて3回洗浄した後に再度ブロッキングを行い、続いてAlexa 488標識化サル抗ヤギIgG抗体もしくはCy3標識化サル抗マウスIgG抗体とそれぞれ反応させた(4℃、3時間)。最後にPBS−Tween20にて3回洗浄した後に、Zeiss LSM510 レーザー走査型顕微鏡にて観察、解析した。
結果
マウス新生児より調製した膵臓細胞を、FACSを用いてまず生細胞(約80%)にゲートをかけ、次にCD45とTER119のそれぞれに対する抗体を用いて展開し、非血球細胞画分である[CD45−、TER119−]細胞画分(全体の約40%)を明らかにした。続いて、[CD45−、TER119−]細胞をc−Met(HGF受容体)とc−Kit(SCF受容体)のそれぞれに対する抗体でさらに展開した。[c−Met+、c−Kit+、CD45−、TER119−]細胞は全体の細胞の約0.01%であり、[c−Met+、c−Kit−、CD45−、TER119−]細胞は全体の細胞の約1.0%であり、[c−Met−、c−Kit+、CD45−、TER119−]細胞は全体の細胞の約0.8%であり、[c−Met−、c−Kit−、CD45−、TER119−]細胞は全体の細胞の約36%であった。各々の画分中に含まれる細胞を生きたままの状態で、回収、培養し(200細胞/cm2)、インビトロにおけるコロニーアッセイを行った。回収された細胞のいくつかは高い増殖能を示し、単一細胞由来のクローン性コロニーを形成する。培養8日目の観察において、形態学的に異なった細胞より形成されるコロニーが主に2種類観察された。上皮性の細胞により形成されるコロニーをepithelial colony、線維芽細胞様のコロニーをfibroblast−like colonyと命名した。これら異なるコロニーより別々にcDNAを作成し、PCRにより各種膵機能細胞のマーカーの検出を行った。その結果、epithelial colonyにおいてのみインスリンやグルカゴンといった膵機能細胞のマーカーが検出された。従って、epithelial colony形成細胞(epithelial colony−forming cell:ECFC)の中に膵幹/前駆細胞が含まれることが強く示唆された。ECFCの数を数えた結果、ECFCが[c−Met+、c−Kit−、CD45−、TER119−]細胞画分中に限定して且つ高頻度に含まれることが明らかとなった(ゲートかけていない細胞に比べて13.1倍、[CD45−、TER119−]細胞画分に比べて9.45倍)。
次に、これらのECFCが膵幹/前駆細胞の特徴の一つである多分化能を有するか否かをRT−PCR法と免疫染色法にて解析した。RT−PCR法にて合計30個のクローン性コロニーを解析した結果、これらコロニー中には、グルカゴン産生細胞であるα細胞、インスリン産生細胞であるβ細胞、膵ポリペプチド産生細胞であるγ細胞、ソマトスタチン産生細胞であるδ細胞の全て、もしくはそれらのうちのいくつかを含んだコロニーが多数存在し、さらにエキソクリン細胞のマーカーであるアミラーゼやリパーゼを発現する細胞を含むコロニーも多数見られた。免疫染色法を用いた場合も同様に、同一コロニー内にグルカゴン産生細胞であるα細胞とインスリン産生細胞であるβ細胞が混在することが確認された。これらの結果から、膵幹/前駆細胞の持つ重要な性質の一つである多分化能を有した細胞(ECFC)は、マウス新生児膵臓細胞中のわずか1%を占めるに過ぎない[c−Met+、c−Kit−、CD45−、TER119−]細胞画分中に高頻度に濃縮されることが判明した。さらに、これらの細胞は、FACSを用いて生きたまま分離、回収可能であることも同時に明らかになった。
実施例2
膵臓細胞の回収
実施例1と同様な方法で膵臓細胞を回収した。また、細胞培養液は実施例1と同じものを用いた。
フローサイトメトリー
実施例1で用いた各種標識抗体や標識試薬に加え、PE(phycoerythrin)で標識した抗Flk−1モノクローナル抗体(PharMingen,San Jose,CA)も用いた以外は、実施例1と同様な方法で行った。
細胞の回収
実施例1と同様にして得られた[c−Met+、c−Kit−、CD45−、TER119−]細胞をさらに、Flk−1陽性の細胞と陰性の細胞とに画分化した以外は、実施例1と同様な方法で行った。
In Vitroにおけるコロニーアッセイ
実施例1と同様な方法で行った。
RT−PCR
実施例1と同様な方法で行った。
免疫染色
実施例1と同様な方法で行った。
結果
実施例1で得られた[c−Met+、c−Kit−、CD45−、TER119−]細胞をFlk−1陽性と陰性の細胞に画分化した。[c−Met+、c−Kit−、CD45−、TER119−、Flk−1−]細胞は全体の細胞(回収した全膵臓細胞)の約0.7%であり、[c−Met+、c−Kit−、CD45−、TER119−、Flk−1+]細胞は全体の細胞の約0.3%であった。実施例1と同様にしてECFCの数を数えた結果、ECFCが[c−Met+、c−Kit−、CD45−、TER119−]細胞画分中に比べ[c−Met+、c−Kit−、CD45−、TER119−、Flk−1−]細胞画分中にさらに限定され且つ高頻度に含まれることが明らかとなった(ゲートをかけていない細胞に比べて19.7倍、[CD45−、TER119−]細胞画分に比べて14.1倍)。
次に、これらのECFCが膵幹/前駆細胞の特徴の一つである多分化能を有するか否かを実施例1と同様にRT−PCR法と免疫染色法にて解析した。その結果、膵幹/前駆細胞の持つ重要な性質の一つである多分化能を有した細胞(ECFC)は、マウス新生児膵臓細胞中のわずか0.7%を占めるに過ぎない[c−Met+、c−Kit−、CD45−、TER119−、Flk−1−]細胞画分中に高頻度に濃縮されることが判明した。さらに、これらの細胞が、FACSを用いて生きたまま分離、回収可能であることも同時に明らかになった。
実施例3
膵臓細胞の回収
実施例1と同様な方法で膵臓細胞を回収した。また、細胞培養液は実施例1と同じものを用いた。
フローサイトメトリー
実施例1で用いた各種標識抗体や標識試薬に加え、PE(phycoerythrin)で標識した抗Flk−1モノクローナル抗体(PharMingen,San Jose,CA)も用いた以外は、実施例1と同様な方法で行った。
細胞の回収
実施例1と同様にして得られた[c−Met+、c−Kit−、CD45−、TER119−]細胞をさらに、Flk−1陽性の細胞と陰性の細胞とに画分化した以外は、実施例1と同様な方法で行った。
In Vitroにおける培養
FACSにより回収した細胞を実施例1と同じ細胞培養液にて培養した(37℃、5%CO2)。培養開始から24時間後に、ヒト組換え肝細胞成長因子(rHGF)(50ng/mL;Sigma)と上皮成長因子(EGF)(20ng/mL;Sigma)を添加した。培養開始から30日目にフローサイトメトリーによって細胞を単離し、それらから形成されるコロニーに含まれる細胞の分化マーカー発現をRT−PCRで解析した。
RT−PCR
実施例1と同様な方法で行った。
結果
[c−Met+、c−Kit−、CD45−、TER119−、Flk−1−]細胞を30日間培養後、フローサイトメトリーによって単離し、それらから形成されるコロニーに含まれる細胞の分化マーカー発現を解析した結果、種々の膵臓細胞マーカーに加え、肝・胆管細胞マーカーとしての、アルブミン、α−フェトプロテイン、グルコース−6−ホスファターゼ、トランスチレチン(transthyretin)、サイトケラチン19、サイトケラチン18、サイトケラチン8、biliary glycoproteinを、胃・腸細胞マーカーとしての、fabp−2、GIP、CCK、TPH、ペプシノーゲンF、ガストリンの発現を認めた。
産業上の利用可能性
本発明の膵臓幹細胞もしくは当該幹細胞から分化した各種機能細胞は、糖尿病等の膵臓機能低下疾患患者の体内に移植することにより、膵臓機能を回復させ、糖尿病等の治療効果を期待することができる。さらには、肝・胆管又は胃・腸の機能低下疾患の治療効果も期待することができる。
また、当該幹細胞及び/又は機能細胞を用いることにより、膵臓幹細胞の分化を誘導する物質、肝・胆管又は胃・腸への分化を誘導する物質、膵臓機能調節物質、及び肝・胆管又は胃・腸機能調節物質をスクリーニングすることができる。このような物質は膵臓、肝・胆管又は胃・腸機能低下疾患の治療薬として有望である。
本出願は、日本で出願された特願2001−126315を基礎としておりそれらの内容は本明細書に全て包含されるものである。
配列表フリーテキスト
配列番号1:プレプログルカゴン(α細胞特異的マーカー)遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド。
配列番号2:プレプログルカゴン(α細胞特異的マーカー)遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド。
配列番号3:プレプロインスリンI(β細胞特異的マーカー)遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド。
配列番号4:プレプロインスリンI(β細胞特異的マーカー)遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド。
配列番号5:プレプロインスリンII(β細胞特異的マーカー)遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド。
配列番号6:プレプロインスリンII(β細胞特異的マーカー)遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド。
配列番号7:膵ポリペプチド(γ細胞特異的マーカー)遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド。
配列番号8:膵ポリペプチド(γ細胞特異的マーカー)遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド。
配列番号9:プレプロソマトスタチン(δ細胞特異的マーカー)遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド。
配列番号10:プレプロソマトスタチン(δ細胞特異的マーカー)遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド。
配列番号11:アミラーゼ2(エキソクリン細胞特異的マーカー)遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド。
配列番号12:アミラーゼ2(エキソクリン細胞特異的マーカー)遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド。
配列番号13:ホルモン感受性リパーゼ(エキソクリン細胞特異的マーカー)遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド。
配列番号14:ホルモン感受性リパーゼ(エキソクリン細胞特異的マーカー)遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド。
配列番号15:ipf1/pdx1遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド。
配列番号16:ipf1/pdx1遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド。
配列番号17:c−Met遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド。
配列番号18:c−Met遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド。
配列番号19:ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT、ポジティブコントロール)遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド。
配列番号20:ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT、ポジティブコントロール)遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド。
配列番号21:アルブミン(肝・胆管細胞マーカー)遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド。
配列番号22:アルブミン(肝・胆管細胞マーカー)遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド。
配列番号23:α−フェトプロテイン(肝・胆管細胞マーカー)遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド。
配列番号24:α−フェトプロテイン(肝・胆管細胞マーカー)遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド。
配列番号25:グルコース−6−ホスファターゼ(肝・胆管細胞マーカー)遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド。
配列番号26:グルコース−6−ホスファターゼ(肝・胆管細胞マーカー)遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド。
配列番号27:トランスチレチン(肝・胆管細胞マーカー)遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド。
配列番号28:トランスチレチン(肝・胆管細胞マーカー)遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド。
配列番号29:サイトケラチン19(肝・胆管細胞マーカー)遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド。
配列番号30:サイトケラチン19(肝・胆管細胞マーカー)遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド。
配列番号31:サイトケラチン18(肝・胆管細胞マーカー)遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド。
配列番号32:サイトケラチン18(肝・胆管細胞マーカー)遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド。
配列番号33:サイトケラチン8(肝・胆管細胞マーカー)遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド。
配列番号34:サイトケラチン8(肝・胆管細胞マーカー)遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド。
配列番号35:biliary glycoprotein(肝・胆管細胞マーカー)遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド。
配列番号36:biliary giycoprotein(肝・胆管細胞マーカー)遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド。
配列番号37:腸脂肪酸結合蛋白質(胃・腸細胞マーカー)遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド。
配列番号38:腸脂肪酸結合蛋白質(胃・腸細胞マーカー)遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド。
配列番号39:ペプシノーゲンF(胃・腸細胞マーカー)遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド。
配列番号40:ペプシノーゲンF(胃・腸細胞マーカー)遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド。
【配列表】
Claims (19)
- c−Met、c−Kit、CD45及びTER119からなる群より選択されるマーカー蛋白質又はそれをコードする遺伝子に特異的親和性を有する物質を2種以上用いて哺乳動物の膵臓から膵臓幹細胞を分離する方法。
- c−Met、c−Kit、CD45、TER119及びFlk−1からなる群より選択されるマーカー蛋白質又はそれをコードする遺伝子に特異的親和性を有する物質を2種以上用いて哺乳動物の膵臓から膵臓幹細胞を分離する方法。
- 特異的親和性を有する物質がマーカー蛋白質の抗体である請求項1又は2に記載の方法。
- c−Met、c−Kit、CD45及びTER119からなる群より選択されるマーカー蛋白質又はそれをコードする遺伝子に特異的親和性を有する物質を2種以上用いて哺乳動物の膵臓幹細胞を同定する方法。
- c−Met、c−Kit、CD45、TER119及びFlk−1からなる群より選択されるマーカー蛋白質又はそれをコードする遺伝子に特異的親和性を有する物質を2種以上用いて哺乳動物の膵臓幹細胞を同定する方法。
- 特異的親和性を有する物質がマーカー蛋白質の抗体である請求項4又は5に記載の方法。
- c−Met、c−Kit、CD45及びTER119からなる群より選択される2以上のマーカー蛋白質又はそれをコードする遺伝子の発現状況を解析する工程を含む哺乳動物の膵臓から膵臓幹細胞を分離する方法。
- c−Met、c−Kit、CD45、TER119及びFlk−1からなる群より選択される2以上のマーカー蛋白質又はそれをコードする遺伝子の発現状況を解析する工程を含む哺乳動物の膵臓から膵臓幹細胞を分離する方法。
- c−Met、c−Kit、CD45及びTER119からなる群より選択される2以上のマーカー蛋白質又はそれをコードする遺伝子の発現状況を解析する工程を含む哺乳動物の膵臓幹細胞を同定する方法。
- c−Met、c−Kit、CD45、TER119及びFlk−1からなる群より選択される2以上のマーカー蛋白質又はそれをコードする遺伝子の発現状況を解析する工程を含む哺乳動物の膵臓幹細胞を同定する方法。
- 請求項1、2、7又は8のいずれかに記載の方法によって哺乳動物の膵臓から分離され得る膵臓幹細胞。
- c−Met、c−Kit、CD45及びTER119の4つのマーカーをc−Met+、c−Kit−、CD45−、TER119−のパターンで呈する請求項11記載の膵臓幹細胞。
- c−Met、c−Kit、CD45、TER119及びFlk−1の5つのマーカーをc−Met+、c−Kit−、CD45−、TER119−、Flk−1−のパターンで呈する請求項11記載の膵臓幹細胞。
- 請求項12又は13記載の膵臓幹細胞又は当該幹細胞から分化した細胞を含む、膵臓の機能低下疾患の予防・治療剤。
- 請求項12又は13記載の膵臓幹細胞又は当該幹細胞から分化した細胞を含む、肝・胆管又は胃・腸の機能低下疾患の予防・治療剤。
- 哺乳動物の膵臓幹細胞の分化を誘導する物質をスクリーニングするための方法であって、以下の工程を含む方法:
(i)膵臓幹細胞と被検物質とを反応させる工程、
(ii)反応後の細胞について膵臓マーカーの発現を測定する工程。 - 哺乳動物の肝・胆管又は胃・腸への分化を誘導する物質をスクリーニングするための方法であって、以下の工程を含む方法:
(i)請求項12又は13記載の膵臓幹細胞と被検物質とを反応させる工程、
(ii)反応後の細胞について肝・胆管又は胃・腸マーカーの発現を測定する工程。 - 哺乳動物の膵臓機能調節物質をスクリーニングするための方法であって、以下の工程を含む方法:
(i)膵臓幹細胞又は当該幹細胞から分化した細胞と被検物質とを反応させる工程、
(ii)反応後の細胞について膵臓マーカーの発現を測定する工程。 - 哺乳動物の肝・胆管又は胃・腸機能調節物質をスクリーニングするための方法であって、以下の工程を含む方法:
(i)請求項12又は13記載の膵臓幹細胞又は当該幹細胞から分化した細胞と被検物質とを反応させる工程、
(ii)反応後の細胞について肝・胆管又は胃・腸マーカーの発現を測定する工程。
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