JP4344231B2 - dlkを用いた未分化肝細胞の検出及び分離方法 - Google Patents

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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、未分化肝細胞の検出方法に関する。また本発明は、肝臓組織等から未分化肝細胞を分離する方法、および該方法により分離された未分化肝細胞に関する。本発明により分離された細胞は、再生医療や人工肝臓へ利用され得る。また薬代謝のアッセイ系、肝炎ウィルスの増殖・感染モデル系、およびスクリーニング系に利用され得る。
【背景技術】
【0002】
肝臓は非常に再生力に富む臓器であり、理論的には2/3の細胞を失っても再生できることが知られている。しかし、慢性肝炎やアルコールの過剰摂取などによって肝細胞(肝実質細胞;肝機能を司る細胞)の炎症と再生を繰り返すうちに、破壊された肝細胞の再生が不可能になり、肝細胞の間に存在する結合組織の量が増大し肝硬変の発症につながっていく。その結果、肝機能の低下が生じ、凝固因子などの血清蛋白質合成能の低下による出血やビリルビンの蓄積による黄だん、アンモニアの蓄積による意識障害などの症状を引き起こす。さらに、繊維化し構造的に変質した肝臓は、再び機能を回復することができない。このような末期肝硬変に対する根本的な治療として考えられるのは肝臓移植であるが、国内においてはドナーの不足等の問題点が多い。そこで、他から供された、または自分自身の少数の未分化肝細胞を増殖、分化させることで、人為的に組織、器官を再構成する再生医学的手法が次世代の治療法として期待されている。純度の高い未分化肝細胞を効率的に調製することが可能になれば、体外での未分化肝細胞の増殖および分化により人工肝臓や細胞移植などの医学的な応用に極めて有用であることに加え、肝機能の特徴および作用機構の解析や薬代謝のモデル系、さらには肝炎ウィルスの増殖・感染モデル系としても利用することができる。
【0003】
本発明者らはこれまでに、胎生肝臓の初代培養系を用いて、胎生肝細胞の分化や造血機能についての知見を報告してきた(Kamiya,A.et al.(1999)EMBO J.18:2127−2136;Kinoshita.T.et al.(1999)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96:7265−7270)。しかし、さらに詳細なメカニズムを知るためには、細胞を分画しそれらの細胞間相互作用を明らかにしなくてはならない。
【0004】
成体肝臓の肝細胞と内皮細胞や星細胞などの非実質細胞とは、形態やサイズが異なるため、密度勾配遠心などの手法を用いて分離することがある程度可能であり、これまでに各細胞の性質や細胞間相互作用などが研究されてきた。しかしながら、この方法では得られる細胞の純度に限界があるだけでなく、形態やサイズに大きな差がない胎生肝臓では利用できないという欠点がある。一方で胎生肝臓では、血球とそれ以外の細胞を分画することができる程度で、肝細胞と非実質細胞を分離する方法はほとんど知られていない。
【0005】
最近、細胞移植を用いた再生医療を可能とするために、肝幹細胞の同定や精製にも注目が集まっている。胎生肝臓には肝細胞と胆管細胞への2分化能を持つ未分化肝細胞(肝芽細胞、肝幹細胞)が存在しており、既知の5〜6種類の細胞表面抗原の発現を指標にしてこの細胞を濃縮する方法が報告されている(Suzuki,A.et al.(2000)Hepatology 32:1230−1239)。このように抗体を使って細胞を分画する方法は、造血幹細胞の分離などに頻繁に使われているが、肝臓の細胞の表面抗原はほとんど同定されていないため、肝臓の細胞についてはこれまでほとんど用いられてこなかった。成体肝臓においては、oval cellと呼ばれる幹細胞様の性質を示す細胞の存在が報告(Golding,M.et al.(1995)Hepatology 22(4 Pt1):1243−1253)されているが、その単離方法は確立されていない。一方、細胞の大きさや形態を指標にして濃縮された小型肝細胞は、増殖能が高く幹細胞の性質を示すと報告されている(Tateno,C.et al.(2000)Hepatology 31:65−74)。
【0006】
胎生肝細胞特異的な表面抗原を同定することで、初めて肝細胞と非実質細胞とを簡便に分画することができ、肝臓の発生過程での肝実質細胞と非実質細胞との相互作用についての解析が可能となる。さらに、肝芽細胞(肝幹細胞)は、発生初期の肝臓により高頻度に存在すると考えられるので、特に肝臓発生初期に発現している表面抗原を同定すれば、幹細胞の濃縮、純化を可能にする。このように肝幹細胞の簡便な純化法を開発することは、細胞移植などの治療に利用可能な細胞を得る方法の確立につながると考えられる。
【発明の開示】
【0007】
本発明は、未分化肝細胞のマーカー分子を同定し、この分子を利用して未分化肝細胞を検出する方法を提供する。また本発明は、このマーカー分子を利用して肝臓組織等から未分化肝細胞を分離する方法、該方法により分離された未分化肝細胞、およびその利用を提供する。本発明者らは、シグナル配列を持った分子を特異的にクローニングするシグナルトラップ法を用いて、胎生肝臓の細胞の表面抗原となりうる分子を探索した。まず、胎生14.5日(E14.5)マウス肝臓の非血球細胞群のcDNAをシグナルトラップベクターに挿入したライブラリーを構築し、分泌シグナル配列を持つ蛋白質をコードするcDNAのクローニングを行った。本手法を用いることで、アルブミンなどの血清蛋白質、ビタミンD結合蛋白質やレチノール結合蛋白質など肝機能に関与する蛋白質、M−CSFなどのサイトカイン、インターフェロン受容体などサイトカインレセプター、ビトロネクチンなど細胞外マトリクス蛋白質といった既知の分泌蛋白質および膜蛋白質の遺伝子配列を多数得ることができた。さらにこのクローニングによって、Pref−1/dlkの配列が多数得られ、胎生肝臓で大量に発現しているα−fetoproteinやアルブミンに匹敵する量の発現が予想された。
【0008】
膜タンパク質dlkの発現パターンを解析したところ、dlkは胎生10日以前から胎生後期までの肝臓で非常に強く発現していることが明らかになった。次に、免疫組織染色および遺伝子発現を検討することでdlk発現細胞の同定を行った。免疫染色の結果、dlk陽性細胞とアルブミン陽性細胞が一致したことから、dlkは胎生肝細胞に特異的に発現していると考えられた。さらに、dlk陽性細胞の遺伝子発現を検討したところ、dlk陽性細胞は胎生肝細胞であることが支持された。これらのことから、dlkは胎生肝細胞などの未分化肝細胞の特異的な表面マーカーとなることが示された。そこで、dlk蛋白質に対する抗体(抗dlk抗体)を用いて胎生肝臓の細胞から未分化肝細胞を分離する方法を確立した。特に、本発明者らは、dlkに対する抗体と細胞分画システムAutoMACS(自動磁気細胞分離装置)を用いることで、純度95%以上でdlk発現細胞を純化できる系を構築することに成功した。この方法は血球を前もって除く必要がなく、極めて迅速で簡便に未分化肝細胞を分画することを可能にする。
【0009】
また、得られたdlk陽性細胞画分に2分化能をもつ肝幹細胞が存在するのかどうかを検討したところ、高い増殖能を持ち肝細胞と胆管細胞とに分化できる細胞が、このdlk陽性細胞画分に含まれていることが明らかとなった。
【0010】
このように本発明者らは、胎児肝臓の細胞を用いてシグナルトラップ法を適用することにより、未分化肝細胞特異的な表面抗原を単離することが可能であることを実証した。さらにクローニングによって得られた未分化肝細胞の表面抗原dlkをコードするmRNAの発現パターンを解析することで、dlkが胎児期の肝臓発生初期に特異的に発現している分子であることを明らかにした。さらに、免疫染色を行うことで発現細胞を同定し、dlkが未分化肝細胞特異的に発現することを見出した。そして、これにより得られた表面抗原dlkを利用して細胞の純化方法を確立した。これにより、個々の細胞集団の性質を詳細に調べることが可能となり、また未分化肝細胞の濃縮度などを知ることもできる。
【0011】
本発明者らが開発した、膜タンパク質dlkに対する抗体を用いたMACSによる未分化肝細胞の分離法によれば、わずかワンステップで未分化肝細胞を純化することが可能である。未熟な肝細胞を単独の膜抗原を指標にして精製する方法の開示は初めてのものである。これによって、肝臓の発生過程での血球と肝細胞との相互作用、肝細胞どうしの相互作用、さらには肝細胞と非実質細胞との相互作用などの細胞間相互作用の解析を行うことができるようになった。また、本タンパク質の発現は胎生10日以前から始まることから、肝幹細胞でも発現していると考えられるので、本発明の方法は肝幹細胞の簡便な純化方法確立へつながる。さらに本発明の方法を成体での未分化肝細胞の精製に適用できれば、細胞治療に利用可能な肝幹細胞の精製にも応用できる可能性がある。
【0012】
また、例えば胚性幹細胞(ES細胞)、骨髄、cord blood(臍帯血)からの肝細胞の作成、造血幹細胞からの肝細胞の分化転換などにおいて、初期の細胞表面マーカーとなる可能性もある。
【0013】
すなわち本発明は、肝細胞マーカー分子として新規に同定されたdlkを利用した未分化肝細胞の検出方法、dlkを利用して肝臓組織等から未分化肝細胞集団を分離する方法、該方法により分離された未分化肝細胞、およびその利用に関し、より具体的には、
(1)dlk遺伝子の発現を検出することを特徴とする、未分化肝細胞を検出する方法、
(2)dlk遺伝子を発現する細胞を選択することを特徴とする、未分化肝細胞を分離する方法、
(3)dlk遺伝子の発現の検出またはdlk遺伝子を発現する細胞の選択が、抗dlk抗体を用いて行われる、(1)または(2)に記載の方法、
(4)未分化肝細胞を分離する方法であって、
(a)未分化肝細胞を含むことが予想される細胞試料を調製する工程、
(b)該細胞試料に抗dlk抗体を添加する工程、
(c)該抗体が結合した細胞を分離する工程、を含む方法、
(5)工程(c)においてマグネティックセルソーター(MACS)を用いる、(4)に記載の方法、
(6)未分化肝細胞が胎生肝細胞である、(1)から(5)のいずれかに記載の方法、
に関する。
【0014】
なお、「dlk蛋白質」とはdelta−like(dlk)蛋白質を言う。また本発明においてdlk遺伝子とは、該蛋白質をコードする核酸を言う。dlkは、preadipocyte factor 1(pref−1)、zona glomerulosa−specific factor(ZOG)、またはfetal antigen 1(FA1)等とも称される(Smas,C.M.and Sul,H.S.(1993)Cell 73:725−34;Laborda,J.et al.(1993)J.Biol.Chem.268:3817−3820;Jensen,C.H.et al.(1994)Eur.J.Biochem.225:83−92)。dlk蛋白質をコードする遺伝子は、ヒト、ラット、およびウシ等において同定されている(Jensen,C.H.et al.(1994)Eur.J.Biochem.225:83−92;Takemori,H.(2001)Eur.J.Biochem.268:205−217;Fahrenkrug,S.C.(1999)Biochem.Biophys.Res.Commun.264:662−667)。本発明における「dlk蛋白質」は、特にその由来を記載しない限り、脊椎動物由来のdlk蛋白質(dlkと相同なタンパク質を含む)である。dlkは好ましくは哺乳動物由来の蛋白質である。
【0015】
例えばヒトdlk遺伝子の塩基配列は、accession番号U15979およびNM_003836等に示されている。ラットdlk遺伝子の塩基配列は、accession番号AB046763およびD84336等に示されている。ウシのdlk遺伝子の塩基配列は、accession番号AB009278に示されている。また、ウシdlk遺伝子のエクソン1およびプロモーター領域を含むゲノムDNA配列が、accession番号AB050725に示されている。
【0016】
「未分化肝細胞の検出」には、該細胞の直接的および間接的検出を含む。例えば、細胞画分に未分化肝細胞が含まれているかを検出したり、その割合を定量することが含まれる。また未分化肝細胞の検出には、該細胞の「同定」も含まれる。また、未分化肝細胞を「分離する」とは、細胞集団中を、該細胞または該細胞を含む細胞集団とそれ以外の細胞集団とに分離することを言う。本発明において未分化肝細胞の分離は、細胞集団中の該細胞の割合を高めることであってよい。本発明の未分化肝細胞の分離は、例えば該細胞の「純化」、「分画」、「選択」、「単離」、「回収」、あるいは「濃縮」などであってよい。
【0017】
「肝細胞」とは、「肝実質細胞(hepatic parenchymal cell)」を言う。肝細胞はhepatocyte(ヘパトサイト)とも呼ばれる。肝細胞は、肝臓において肝小葉を構成する主な細胞である。肝細胞は、内皮細胞や星細胞などの非実質細胞とは区別される。肝細胞には、成熟肝細胞および未分化肝細胞が含まれる。肝細胞の分化は、チロシンアミノトランスフェラーゼ(tyrosine amino transferase;TAT)、グルコース6リン酸ホスファターゼ(glucose−6−phosphatase;G6Pase)、カルバモイルホスフェートシンターゼ(carbamoylphosphate synthetase;CPS)などの分化マーカー遺伝子の発現などにより判定することができ、さらに肝細胞の成熟は、トリプトファンオキシゲナーゼ(TO)および/またはセリンデヒドラターゼ(SDH)等の成熟肝細胞のマーカー遺伝子の発現等により判定することができる。具体的には、TAT、G6Pase、またはCPSのいずれか、これら全ての発現が誘導されている細胞は、分化した肝細胞と判断され、さらにそれらの遺伝子に加えてTOまたはSDHのいずれか、あるいは両方の発現が誘導されている細胞は、成熟肝細胞と判断される。「未分化肝細胞」とは、成熟肝細胞に分化することができるが、まだ成熟肝細胞に分化していない細胞を言う。すなわち、分化によりこれらのいずれかの遺伝子の発現が誘導されるが、これらのいずれの遺伝子の発現も誘導されていない細胞は、未分化肝細胞と判断される。本明細書において、未分化肝細胞は、未成熟肝細胞または肝細胞前駆細胞等とも称す。未分化肝細胞には肝幹細胞も含まれる。「肝幹細胞」(hepatic stem cell)とは、肝細胞および胆管細胞への分化能を持つ未分化肝細胞を言う。「肝幹細胞」は、「肝芽細胞」(hepatoblast)とも言う。「胎生肝細胞」とは、胎児期または周産期の肝細胞、およびこれと同等の形質を有する細胞を言う。胎生肝細胞は、未分化肝細胞に含まれる。
【0018】
また本発明において「特異的」とは、それに限定するものではなく、「有意」であることも含む。例えば未分化肝細胞を特異的に検出するとは、無作為よりも有意に該細胞を検出することであってよく、未分化肝細胞を特異的に分離するとは、無作為よりも有意に該細胞を分離することであってよい。有意とは、統計学的有意であってよく、例えば有意水準5%またはそれより有意なことであってよい。本発明は、dlk遺伝子の発現を指標とする、未分化肝細胞の検出方法および分離方法を提供する。本発明者らは、dlk遺伝子が胎生肝臓における未分化肝細胞マーカーであることを見出した。dlk遺伝子を発現する細胞(dlk陽性細胞)を検出または選択することにより、未分化肝細胞を検出・同定したり、未分化肝細胞を特異的に分離することができる。本発明においてdlk遺伝子の発現は、dlk mRNAの産生および/またはdlk蛋白質の産生であってよい。すなわち、dlk mRNAまたはdlk蛋白質を検出することにより、dlk遺伝子の発現を検出することができる。例えば、dlk mRNAの検出は、dlk cDNA断片またはオリゴヌクレオチドを用いたノーザンハイブリダイゼーション、RNAプロテクションアッセイ、または逆転写−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)等の公知の方法により実施することが可能である。dlk蛋白質の検出は、抗dlk抗体等を用いたウェスタンブロッティング、免疫沈降、ELISA、免疫組織化学、FACS(fluorescence activated cell sorting;蛍光活性化細胞分離)を用いる方法等の公知の方法により検出することができる。本発明の検出方法および分離方法においては、dlk蛋白質を検出することによりdlk遺伝子の発現を検出することが好ましい。膜蛋白質dlkは細胞表面に発現し、未分化肝細胞の表面抗原となる。細胞表面に発現するdlk蛋白質の細胞外領域に結合可能な抗体やリガンドを用いてdlkの発現を検出することにより、細胞を固定したり溶解することなく、非侵襲的にdlk蛋白質の発現を検出することが可能である。この場合、FACSやMACS(magnetic cell sorting;磁気細胞分離)等のセルソーターを用いることで、効率的に細胞を検出または分画することができる。
【0019】
本発明の検出または分離に用いる細胞としては特に制限はなく、未分化肝細胞が含まれると予想される組織または細胞などが用いられ得る。例えば、生体肝臓の細胞などから未分化肝細胞を検出または回収することができる。細胞は脊椎動物由来の細胞であり、好ましくは哺乳動物細胞(例えば、マウス、ラットなどのげっ歯類、サル、ヒトなどの霊長類等の細胞)である。ヒトへの応用を考えた場合には、ヒト細胞が好ましい。胎生肝臓の細胞などは本発明において特に好適に用いられる。胎生肝臓の細胞は、増殖力が高く、大量に調製することが可能であるなどの利点を有している。例えば、マウスにおいては、特に10〜18dpcまたはそれ以前の日齢の胚の胎仔肝臓に由来する細胞が好ましい。これは、ヒト胎児においては、5〜30週齢またはそれ以前の胎児の肝臓に相当する。
【0020】
肝臓からの細胞試料の調製は公知の方法に従って行うことができる。例えば組織から未分化の胎生肝細胞を含む試料を調製するには、胎児肝臓などを回収してミンス後、コラゲナーゼ、ディスパーゼを含む酵素溶液[例えばLiver Digest Medium(GIBCO−BRL社)]で処理し細胞を分散させる。このようにして調製した細胞から未分化肝細胞を検出・分離することができる。
【0021】
肝臓から調製した細胞は適宜培養することができる。例えば上記で得られた細胞を低張液によって赤血球を破壊したのち、0.1%ゼラチンコートした培養ディッシュ等を用いて、DMEM培地(10%FCS,1×ITS,50μg/ml gentamycin,10−7M dexamethazone[Dex],1×non essential amino acidsを含む)等で培養を行う。数時間後、血球細胞や死細胞を洗い流した後に、サイトカイン等(20ng/ml OSM、20ng/ml HGF、または20ng/ml EGF、あるいはそれらの組み合わせ等)を添加して数日間培養する。本発明において、dlk陽性細胞はHGFの存在下で高い増殖能を示し、特にHGFとEGFの共存下で極めて効率良く増殖することが判明した。従って、HGFとEGFの共存下で培養することは好適である。胎生肝細胞は強い増殖能を有しているため、培地においては、一般的な培養条件よりも高濃度の栄養分を添加することが好ましい。例えば、成熟肝細胞の培養においては、一般に、WE培地が用いられるが、胎生肝細胞の培養においては、アミノ酸などの含有率の高いダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)を用い、さらに非必須アミノ酸(特に、プロリン)を添加すると好適である。
【0022】
胎生肝細胞を得るには、例えば、マウスにおける胎生12〜14日前後の胎仔肝臓またはそれと同等の時期または性質の組織・細胞を用いることができる。この時期の肝細胞は、肝実質細胞と胆管細胞の両方に分化できる能力を持つ肝幹細胞から分化した直後の細胞であり、肝細胞としての機能は幼弱であるが、高い細胞増殖活性を保持している。また、マウス胎生10〜12日またはそれ以前の胎仔肝臓またはそれと同等の時期または性質の組織・細胞を用いれば、肝幹細胞を高頻度で得ることができる。本発明の方法により分画され得る未分化肝細胞の中でも肝幹細胞は特に重要である。肝幹細胞の存在は、肝細胞と胆管細胞とを生成する2分化能を、例えば実施例に記載したように検出することによって確認することができる。胎生肝細胞としては、ヒトやその他の哺乳動物の未分化肝細胞に由来するものであってもよい。
【0023】
また、本発明の方法は株化細胞にも適用され得る。哺乳動物胎児もしくは新生児肝臓から調製した細胞を不死化し、本発明の方法により例えば成熟肝細胞への分化能を持つ未分化肝細胞を選択することもできる。
【0024】
ES細胞由来の細胞を用いてdlk陽性細胞を単離することも可能である。ES細胞からの肝細胞の生成と増殖は、ヒトES細胞の今後の応用において重要である。また、肝幹細胞または肝細胞に分化可能な細胞が胚の肝臓以外の組織にも存在する可能性がある。本発明の方法をこのような組織の細胞に適用して、肝幹細胞を単離できる可能性がある。
【0025】
また、新生児および成人の組織、例えば臍帯、胎盤、羊膜、または骨髄などから得た細胞試料にも本発明は用いられ得る。これらの細胞に本発明の方法を適用して未分化肝細胞を得ることは、肝細胞の臨床応用にとって極めて重要である。得られる細胞は、薬剤スクリーニング、肝炎ウィルスの増殖・感染モデル、および肝臓の再構成等に利用され得る。
【0026】
未分化肝細胞を検出する本発明の方法は、具体的には、(a)細胞におけるdlk遺伝子の発現を検出する工程、および(b)dlk遺伝子を発現する細胞を未分化肝細胞と関連付ける工程、により実施される。例えばdlk陽性細胞の存在または割合を測定する工程により、それぞれ未分化肝細胞の存在または割合を知ることができる。dlk陽性細胞を高い割合で含む細胞集団には、未分化肝細胞が高い割合で含まれていると判断される。従って、dlk遺伝子を発現する細胞を選択する工程により、未分化肝細胞を選択することができる。例えば、(a)細胞におけるdlk遺伝子の発現を検出する工程、および(b)dlk遺伝子を発現する細胞を分離する工程、により未分化肝細胞を分離することができる。あるいは予め細胞を分画しておき、分画された細胞においてdlk遺伝子の発現を検出し、dlk遺伝子を発現する細胞を選択することにより未分化肝細胞を分離・選択することができる。
【0027】
未分化肝細胞の分離は、好ましくは細胞表面に発現するdlk蛋白質に結合する抗体を用いて、以下の工程により行われる。
(a)未分化肝細胞を含むことが予想される細胞試料を調製する工程
(b)該細胞試料に抗dlk抗体を添加する工程
(c)該抗体が結合した細胞を分離する工程
分離した細胞を回収することにより、未分化肝細胞を回収することができる。例えば、ビーズやマトリックス等の水不溶性担体に抗dlk抗体またはdlk蛋白質に結合するリガンドを固定化し、これに細胞を直接的または間接的に結合させる方法、免疫吸着カラムによる分離、蛍光抗体標識細胞分離法、免疫磁気ビーズによる分離法などがある。
【0028】
分離においては、例えば細胞のサイズに基づいた分画や接着性の違いによる分画など、dlk遺伝子の発現以外の形質を指標とする分画を組み合わせることもできる。これらの分離方法としては、例えば遠心分離、密度勾配遠心、濾過などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0029】
未分化肝細胞を含むことが予想される細胞試料を調製する際に、血球を除去する工程を加えることにより、dlk陽性細胞の純度をさらに上昇させ得る。血球を除くためには、以下のような方法を用いることができる。すわなち、肝臓から酵素処理で得られた細胞に抗CD45および抗TER119抗体を反応させた上で、磁気ビーズを反応させる。磁気ビーズが付着した細胞をマグネットに付着させることで、細胞混合液からCD45もしくはTER119陽性の血球細胞を除去することができる。
【0030】
工程(c)は、FACSやMACSなどのセルソーターを用いて行うことが好ましい。これらのセルソーターを用いた細胞の分離は公知の方法により行うことができる。例えばAutoMACSによる細胞の分離においては、肝臓から酵素処理で得られた細胞に、抗dlk抗体(ハムスター)を反応させる。細胞をPBSで洗浄後、ビオチン化抗ハムスターIgG抗体を反応させる。さらに、細胞をPBSで洗浄後、ストレプトアビジンマグネティックビーズを反応させる。
【0031】
このように抗体およびビーズを反応させたサンプルを磁気カラムに吸着、洗浄、溶出させることで、約90%またはそれ以上の純度でdlk陽性細胞を得ることができる。得られたdlk陽性画分を再び磁気カラムに通す過程を繰り返すことで、95%またはそれ以上の純度でdlk陽性細胞を得ることができる。従って、高純度のdlk陽性細胞を得るためには、カラム操作を2回以上繰り返すことが好ましい。
【0032】
このように、autoMACS等のセルソーターを用いた細胞分画により、未分化肝細胞を簡便かつ高純度で分離することが可能である。本発明の方法により、dlk陽性細胞を約80%以上、好ましくは約85%以上、より好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上に純化することができる。
【0033】
細胞の検出または分離において、dlk遺伝子の発現に加えて、さらに他の表現型も有する細胞を分離することもできる。例えば他の表面抗原に対する抗体を用いて、dlk陽性の表現型を併せ持つ細胞を分画することができる。これにより、未分化肝細胞をさらに高頻度で含む細胞画分を調製したり、肝幹細胞など特定の未分化肝細胞を精製することも可能となる。このような表面抗原としては、例えばCD29、CD49f、cMet等を例示することができる。
【0034】
本発明において調製された細胞は、適当な培地を用いて培養したり保存したりすることができる。培地は、血清や増殖・分化因子などを補うことができる。培地としては、例えば、約10%ウシ胎仔血清(FCS)またはこれと同等の補剤を含むDMEMなどが挙げられるがこれに限定されない。培地には、肝細胞増殖因子(HGF)、上皮成長因子(FGF)、オンコスタチンM(OSM)、デキサメタゾン(Dex)、および他のサイトカイン類を単独でまたは組み合わせて添加してもよい。例えば、HGFおよびEGFの共存下で、未分化肝細胞を良好に増殖させることができる。本発明は、本発明の方法により分離された未分化肝細胞および該細胞を含む組成物を提供する。例えば本発明の方法により分離された未分化肝細胞を含む細胞画分または培地などは本発明に含まれる。また本発明は、本発明の方法により分離された未分化肝細胞の分化および/または増殖産物に関する。
【0035】
dlkが未分化肝細胞のマーカーとなることから、dlk遺伝子の発現を指標として未分化肝細胞をモニターすることが可能である。これを基に、例えば様々な薬剤や遺伝子の発現、その他の刺激などが未分化肝細胞に及ぼす影響を評価することができる。例えば、被検試料がdlkの発現に及ぼす効果を検出することにより、未分化肝細胞に作用する様々な薬剤をアッセイすることも可能である。このような方法は、(a)該被検試料存在下で未分化肝細胞を含む細胞を培養する工程、(b)該未分化肝細胞を含む細胞におけるdlk遺伝子の発現を検出する工程、および(c)該被検試料の非存在下における場合と比べたdlk遺伝子の発現の変化を、未分化肝細胞に及ぼす該被検試料の効果と関連付ける工程、を含む方法である。細胞の培養としては、細胞の維持、インキュベート、増殖、または保存などであってよく、例えばin vitroであれば、適当な培地中、37℃、5%CO、湿環境下でインキュベートすることが挙げられる。また、in vivoアッセイ等においては、個体に被検試料を投与し、その後肝臓を取り出してdlkの発現を検出することができる。発現レベルに変化がなければ、この被検試料は未分化肝細胞に対して効果を持たないことが示唆され、発現レベルに変異があれば、未分化肝細胞に効果を有することが示唆される。例えば細胞培養においてdlk遺伝子の発現レベルが上昇すれば、この培養中の未分化肝細胞の形成または増殖が促進され未分化肝細胞の比率が上昇していることを示唆し、低下すれば、未分化肝細胞の比率が低下していることを示唆する。これらの方法は、未分化肝細胞の増殖分化を制御する薬剤などの評価やスクリーニングに用いることができる。例えば、胎生肝臓の細胞培養中に被検化合物を添加し、dlk遺伝子の発現への影響を調べることにより、未分化肝細胞の分化や増殖を評価することが可能である。
【0036】
本発明は、また、未分化肝細胞を検出または分離するために用いられる、dlk蛋白質に対する抗体に関する。また本発明は、dlk蛋白質に対する抗体の、未分化肝細胞を検出または分離するための使用に関する。該抗体は、細胞表面のdlk蛋白質に結合する抗体が好ましい。このような抗体は、dlk蛋白質の細胞外領域に結合する抗体であり、例えばdlk蛋白質の細胞外ドメインを抗原として用いたり、あるいはdlk蛋白質を発現する細胞を免疫原として用いて作製することが可能である。
【0037】
免疫原としてのdlk蛋白質が由来する種に特に制限はなく、ヒト、サル、マウス、ラット、ウシ、ウサギ、その他の脊椎動物由来のdlk蛋白質を用いることができる(Jensen,C.H.et al.(1994)Eur.J.Biochem.225:83−92;Takemori,H.(2001)Eur.J.Biochem.268:205−217;Fahrenkrug,S.C.(1999)Biochem.Biophys.Res.Commun.264:662−667)。抗体は、公知の方法に従って作製することが可能である。例えば、モノクローナル抗体であれば、ラット足底部免疫法(Foot−Pad Immunization)などにより作製することができる(Hockfield,S.et al.(1993)”Selected Methods for Antibody and Nucleic Acid Probes”,Volume 1(New York:Cold Spring Harbor Laboratory Press))。また、ファージディスプレイなどを用いた単鎖抗体などの組み換え型抗体を作製し選択することもできる。上記抗体は、適宜生理食塩水、緩衝液、塩、安定剤などと組み合わせて未分化肝細胞の検出用試薬または分離用試薬とすることができる。またこの抗体は、未分化肝細胞の検査薬となる。例えばこの抗体を用いて組織中の未分化肝細胞の分布や量を検査したり、細胞試料中の未分化肝細胞の濃度(または比率)を測定したりすることができる。抗体は蛍光標識されていてもよい。
【0038】
本発明の未分化肝細胞の分離方法により単離された未分化肝細胞は所望の目的のために使用され得る。例えば、本発明の方法により得られた未分化肝細胞は、肝細胞の発生・分化にかかわる因子の解明や、肝細胞の成熟を調節する化合物のアッセイやスクリーニング、および肝炎ウィルスの増殖および/または感染モデルに利用することが可能である。例えば、dlk陽性細胞の培養中に被検化合物を添加し、細胞の増殖、分化、または代謝活性などに及ぼす影響を調べることができる。また、dlk陽性細胞を移植されたレシピエント(例えばマウスなど)に被検化合物を投与し、該レシピエントにおける移植細胞の分化や増殖への影響を調べることができる。肝細胞の成熟を調節する化合物は、肝関連疾患の治療薬や予防薬への応用が期待される。
【0039】
成熟肝細胞への分化を評価するには、肝臓特異的に発現する遺伝子または成熟段階特異的に発現する遺伝子を解析すればよい(Derman,E.et al.(1981)Cell 23,731−739;Panduro,A.et al.(1987)Genes Dev.1,1172−1182)。アルファフェトプロテイン(AFP)は初期段階にある胎児肝のマーカーであり、肝臓の分化が進むに従って、その発現量は減少する(Shiojiri,N.et al.(1991)Cancer Res.51,2611−2620)。一方、肝細胞で生合成され、最も含有量の多い蛋白質であるアルブミンの発現は、初期胎児肝細胞(例えばマウスE12)で始まり、成体肝細胞で最大レベルに達する(Tilghman,S.M.et al.(1982)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79,5254−5257)。妊娠後期や周産期の段階になると、肝細胞はグルコース6リン酸ホスファターゼ(glucose−6−phosphatase;G6Pase)やチロシンアミノトランスフェラーゼ(tyrosine amino transferase;TAT)など数多くの代謝酵素を生産し始め、肝臓の生理的役割の変化に対応する(Greengard,O.,”The developmental formation of enzymes in rat liver”(ラット肝臓における酵素の発生形成)(1970)In Litwack,G.(ed.),”Biochemical Actions of Hormones”(ホルモンの生化学的作用),Academic Press Inc.,New York,USA,pp.53−87;Haber,B.A.et al.(1995)J.Clin.Invest.95,832−841)。そして最終的に出生から数日後に、セリンデヒドラターゼ(SDH)とトリプトファンオキシゲナーゼ(TO)が肝細胞中に誘導される(Nagao,M.et al.(1986)Biochim.Biophys.Acta 867,179−186;Noda,C.,et al.(1990)Biochem.Biophys.Res.Commun.168,335−342;Noda,C.et al.(1994)Biochim.Biophys.Acta 1217,163−173)。その他、細胞の形態変化やクラスター形成、アンモニアの解毒作用などによっても肝細胞の分化を検出することができる。例えば周産期にかけて、肝細胞は薬剤の解毒に鍵となる役割を果たす様々なタイプのチトクロームP450(cytochrome P450s;CYPs)の発現を始める。
【0040】
また、本発明により提供される未分化肝細胞は人工肝臓の作成のために重要である。難治肝疾患に対する治療として期待されている人工肝臓は、成体肝細胞を用いる場合、増殖性が低く長期間の培養では肝機能を失いやすいという欠点がある。本発明において高い増殖能を保持する胎生肝細胞を高濃度で調製することができる。例えば本発明の方法により調製した未分化肝細胞において、OSMおよびデキサメタゾン等により肝分化を誘導することが可能である。このようにして得られた肝細胞は、生体への移植、また人工肝臓として利用されたり、あるいは肝移植や肝再生までの延命治療に用いられることを通じて、効果的な治療法の少ない肝不全、肝硬変、または進行肝がんなどの難治疾患の病態改善が可能になると考えられる。また、本発明により単離される未分化肝細胞は生体内での肝再構築への応用も考えられる。
【0041】
またin vitroで成熟させた肝細胞培養系または人工肝臓は、ある化合物が該肝細胞により解毒されるか否かなどを調べることにより、人体に毒性を有するか否かの検定に用いることも考えられる。さらに、肝炎ウィルスの増幅・感染モデル系として使用することで、抗ウィルス薬のスクリーニング系などとしても応用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、本明細書に引用された文献は、全て本明細書の一部として組み込まれる。
【0043】
【実施例1】
胎生肝細胞特異的マーカー分子の探索
シグナル配列を持った分子を特異的にクローニングするシグナルトラップ法(Kojima,T.and Kitamura,T.(1999)Nat.Biotechnol.17:487−490)を用いて、胎生肝臓の細胞の表面抗原を探索した。胎生14.5日マウス肝臓の非血球細胞群のcDNAをシグナルトラップベクターに挿入したライブラリーを構築し、分泌シグナル配列を持つタンパク質をコードするcDNAのクローニングを行った。これにより肝細胞などの表面マーカーとなりうる分子を探索した。本手法を用いることで、アルブミンなどの血清タンパク質、ビタミンD結合タンパク質やレチノール結合タンパク質など肝機能に関与するタンパク質、M−CSFなどのサイトカイン、インターフェロン受容体などサイトカインレセプター、ビトロネクチンなど細胞外マトリクスタンパク質といった既知の分泌タンパク質および膜タンパク質の遺伝子配列を多数得ることができた。さらにPref−1/dlkの配列が多数得られ、胎生肝臓で大量に発現しているα−fetoproteinやalbuminに匹敵する量の発現が予想された。dlkは、胎生10日以前から胎生後期までの肝臓で非常に強く発現していた。
【0044】
【実施例2】
dlkの発現パターンの解析
Dlkの肝臓の発生過程および胎生肝細胞の培養系での発現パターンを検討したところ、発生過程の肝臓では、胎生12日から16日までは強い発現が見られるが、18日には発現が非常に弱くなっており、成体の肝臓では全く発現が認められなかった(図1)。このことから、dlkは胎児期特異的に発現していると考えられた。
【0045】
【実施例3】
免疫組織化学によるdlk発現細胞の同定
胎生およびadultの肝臓組織において、dlk発現細胞を免疫染色により同定した。胎生10日と14日およびadult肝臓の凍結切片標本に、抗dlkモノクローナル抗体(ハムスターIgG)、ビオチン化抗ハムスター抗体(ヤギIgG)、さらにストレプトアビジンHRPをそれぞれ反応させ、DABを基質とした反応によって染色を行った。また、胎生12,14,16,18日の肝臓の細胞をサイトスピンした塗沫標本を作成し、抗dlk抗体および抗アルブミン抗体を用いて蛍光2重染色を行った。胎生肝臓の凍結切片は10日、14日ともに特異的な染色を示し、その染色パターンは非血球細胞がdlkを発現していることを示していた(図2)。一方、Adult肝臓では、特異的な染色は見られなかった。さらに詳しく発現細胞を特定するために、細胞の塗沫標本をdlkとアルブミンの抗体を用いて2重染色を行った(図3)。その結果は、dlk発現細胞とアルブミン発現細胞が一致していることを示していた。
【0046】
【実施例4】
Dlk陽性細胞の遺伝子発現
遺伝子発現解析のため、CD45およびTER119陰性の細胞に抗dlkモノクローナル抗体(Kaneta,M.et al.(2000)J.Immunol.164:256−264)、FITC抗ハムスターIgGを反応させ、FACSvantageを用いて、dlk腸性および陰性細胞を分取した。分画した細胞からそれぞれRNAを抽出し、First−strand cDNA synthesis kit(Amersham Pharmacia Biotech)を用いてcDNAを合成した。PCRを用いて、dlk陽性と陰性細胞の間でアルブミン、αフェトプロテイン、コネキシン、c−kit、HNF3、HNF4などの発現を比較した。
【0047】
非血球画分の細胞をFACSvantageを用いてdlk陽性細胞と陰性細胞に分画し(図4)、それぞれの遺伝子発現を比較した(図5および6)。アルブミン、αフェトプロテイン、Cx32などの肝細胞マーカーはdlk陽性細胞に非常に強く発現していた。一方、胆管細胞マーカーであるCK19はいずれの分画にも発現しておらず、Cx43は両方の細胞ともに発現していた。
【0048】
【実施例5】
Dlk陽性細胞のより簡単な分離法の確立
さらに迅速で簡便な方法を確立するために、細胞の分画方法の検討を行った。dlkは非常に発現量が多いので、AutoMACSを用いてより簡単に細胞が分離できないかと考えた。そこで、コラゲナーゼ/ディスパーゼ処理した細胞群に、抗dlk抗体、ビオチン化抗ハムスターIgG、ストレプトアビジンビーズを順に反応させ、AutoMACSを用いてdlk陽性細胞を分取することを試みた。その結果、血球を前もって除くことなしに分離を行っても、最終的に95%以上の純度でdlk陽性細胞を純化できた(図4および7)。
【0049】
【実施例6】
肝幹細胞の存在の確認
dlk発現細胞の中に、肝幹細胞が含まれているのかどうかを調べるために、dlk陽性細胞を低密度で培養し(50cells/cm)、単一の細胞から肝細胞および胆管細胞が派生してくるかどうかを検討した(2分化能の評価)。肝細胞のマーカーとしてはアルブミン、胆管細胞のマーカーとしてはサイトケラチン19を用いた。形成されたコロニーを両者の抗体を用いて染色した。
低密度でdlk陽性細胞を5日間培養した結果、単一の細胞から形成されたと考えられるコロニーが確認された。いずれのコロニーもアルブミン陽性細胞とサイトケラチン19陽性細胞を含んでいた(図8)。dlk陽性細胞の分画には、肝細胞と胆管細胞の両方に分化可能な肝幹細胞が含まれていることがわかった。
【0050】
【実施例7】
Dlk陽性細胞の増殖
Dlk陽性細胞の増殖能を調べるため、胎生14日の肝臓からAutoMACSを用いて分離したDlk陰性(Dlk−)およびDlk陽性(Dlk+)細胞をそれぞれ1,000cells/cmおよび50cells/cmの低密度で培養した。まず、最も増殖に適した条件を検討するために、EGF(epidermal growth factor;上皮成長因子)、HGF(hepatocyte growth factor;肝細胞増殖因子)、およびOSM(oncostatin M;オンコスタチンM)(それぞれ20ng/ml)の3種類のサイトカインをさまざまな組み合わせで培地に添加し、増殖に対する影響を調べた(表1)。5日間の培養後に形成された100個以上の細胞を含む大型のコロニーの数を比較したところ、EGFとHGFが存在している時に、最も数多くの大型コロニーが形成されることがわかった。従って、Dlk陽性細胞は、EGFとHGF存在下で最も効率良く増殖することがわかった。
【0051】
【表1】
Figure 0004344231
【0052】
(表1;DlkおよびDlk細胞をtypeIVコラーゲンをコートしたディッシュにそれぞれ1,000cells/cmおよび50cells/cmの密度で撒いた。500細胞から形成された大きいコロニーの数を表に示した。実験は独立に4回行った。)
さらに、Dlk陽性細胞の増殖能を詳しく調べるために、形成されたコロニーの大きさとそれぞれの数をカウントした(図9)。Dlk陽性細胞の約25%がコロニーを形成し、その中の10%は非常に高い増殖能を有しており、5日間の培養で100個以上の細胞を含むコロニーを形成した。
【0053】
【産業上の利用の可能性】
本発明により、dlk遺伝子の発現の検出を介して、未分化肝細胞を特異的に検出および分離する方法が提供された。dlkを認識する抗体を用いることで胎生肝臓から未分化肝細胞を高純度で分取できることが示された。特にdlkに対するモノクローナル抗体とAutoMACSを用いて、非常に簡単にしかも高純度で未分化の胎生肝細胞を純化できた。これまで、胎児の未分化肝細胞を単離することは、表面抗原が同定されていなかったためにほとんど不可能であった。本発明により、膜タンパク質dlkの発現を指標にして胎生肝臓から未分化肝細胞を簡便に純化することができる。本発明により、胎生肝臓での造血細胞と肝細胞の相互作用、肝細胞どうしの相互作用、さらには肝細胞と非実質細胞の相互作用などの細胞間相互作用を解析することが可能になった。また、本発明により、肝幹細胞の簡便な精製法を確立することができる。本発明により調製されたdlk陽性細胞画分には、高い増殖能をもち肝細胞と胆管細胞とに分化できる細胞が含まれていた。本発明に従い肝臓細胞からdlk発現細胞を分離することにより、胎生肝臓からの肝幹細胞の濃縮が可能である。dlk陽性細胞の遺伝子発現を詳しく解析することで、肝幹細胞の新たな特異的表面抗原の同定が期待される。
【0054】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、発生過程の肝臓でのdlkの発現を示す写真である。
【図2】 図2は、抗dlk抗体による免疫組織染色を示す写真である。
【図3】 図3は、胎生12日から18日の肝臓細胞の抗dlk抗体と抗アルブミン抗体による2重染色を示す写真である。
【図4】 図4は、胎生肝臓からdlk陽性細胞を得るプロセスを示す図である。
【図5】 図5は、dlk陽性細胞のアルブミンの発現を示す写真である。
【図6】 図6は、肝細胞および胆管細胞のマーカー遺伝子の発現を示す写真である。
【図7】 図7は、AutoMACSを用いたdlk陽性細胞の純化を示す図である。
【図8】 図8は、dlk陽性細胞から形成されたコロニーのアルブミンおよびサイトケラチン19の発現を示す写真である。コロニーには、アルブミン陽性細胞(赤色の蛍光)およびサイトケラチン19陽性細胞(緑色の蛍光)が含まれていた。
【図9】 図9は、dlk陽性細胞から形成されたコロニー数を、1つのコロニー中の細胞数別に示した図である。黒いカラムはDlk陰性細胞由来、白いカラムはDlk陽性細胞由来のコロニーを表す。

Claims (6)

  1. 細胞表面に発現するdlk蛋白質の発現を検出することにより、dlk遺伝子の発現を検出することを特徴とする、未分化肝細胞を検出する方法。
  2. 細胞表面に発現するdlk蛋白質の発現を検出することにより、dlk遺伝子
    を発現する細胞を選択することを特徴とする、未分化肝細胞を分離する方法。
  3. dlk遺伝子の発現の検出またはdlk遺伝子を発現する細胞の選択が、抗dlk抗体を用いて行われる、請求項1または2に記載の方法。
  4. 未分化肝細胞を分離する方法であって、
    (a)未分化肝細胞を含むことが予想される細胞試料を調製する工程、
    (b)該細胞試料に抗dlk抗体を添加する工程、
    (c)該抗体が結合した細胞を分離する工程、を含む方法。
  5. 工程(c)においてマグネティックセルソーター(MACS)を用いる、請求項4に記載の方法。
  6. 未分化肝細胞が胎生肝細胞である、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
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