JPWO2002067625A1 - スピーカ用保護素子及びスピーカ装置 - Google Patents
スピーカ用保護素子及びスピーカ装置Info
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Abstract
本発明は、スピーカ装置を過大入力から保護するための用いられるスピーカ用保護素子であり、スピーカユニットに直列接続されてスピーカユニットを過大入力から保護するランプ(15)を有するスピーカ用保護素子である。ランプ(15)は、遮光性を有するケース(16)に収納される。ランプ(15)を収納したケース(16)は、伝導性を有する材料により形成され、所定の伝導性を有するシーリング剤によりシーリングされる。また、ケース(56)に収納されたランプ(55)のリード線(153A)(153B)の間隔が所定の値とされるとともに、ランプ本体(151)内に所定の不活性ガスが封入されることにより、リード線(153A)(153B)の間に所定の電圧が印加されることにより放電が発生し、ランプ(55)のフィラメント(154)の電流が遮断され、ランプ(55)の温度上昇が阻止される。
Description
技術分野
本発明は、スピーカを過大入力から保護するためのスピーカ用保護素子及びこの保護素子を用いたスピーカ装置に関する。
背景技術
スピーカ装置若しくはスピーカユニットに許容入力以上のパワーが連続的に供給されると、スピーカユニットのボイスコイルの温度が過大に上昇し、その結果、ボイスコイルの皮膜が次第に炭化して、ついには部分的にショートしてしまう。すると、この部分的なショート状態では、ボイスコイルに過大な電流、例えば数Aから十数Aの電流が流れるので、ボイスコイルの残った正常な部分が赤熱して、発煙、ショート、異常発熱、断線などを生じ、異常発熱時に発火に至ることもある。特に、大出力のパワーアンプが多く使用されるようになると、異常発熱も増加し、かなり危険である。
そこで、スピーカユニットを過大な入力状態から保護するための回路を備えたスピーカ装置1として、図1に示すように構成されたものが提案されている。このスピーカ装置1は、過大な入力状態の保護対象となるスピーカユニット2を備えている。スピーカユニット2は、キャビネット3に取り付けられている。この例において、キャビネット3は、その前面にバスレフ用のポート4を有している。
キャビネット3の後面には、入力端子5A,5Bが設けられ、一方の入力端子5Aには、小型白熱電球の如きランプ6を介してスピーカユニット2が接続されるとともに、他方の入力端子5Bに直接にスピーカユニット2に接続され、入力端子5A,5Bに、パワーアンプ7が接続される。パワーアンプ7のオーディオ出力は、ランプ6を介してスピーカユニット2に供給される。その場合、パワーアンプ7の出力が小さいときには、ランプ6に流れる信号電流が小さいので、ランプ6は点灯しないとともに、その抵抗は小さい。したがって、パワーアンプ7のオーディオ出力は、ほぼそのままスピーカユニット2に供給され、所期の音響出力を得ることができる。
しかし、パワーアンプ7の出力が大きい状態が続くと、ランプ6に大きな信号電流の流れる状態が続くので、ランプ6が点灯するとともに、その抵抗が大きくなる。したがって、スピーカユニット2に供給される信号電力は制限され、スピーカユニット2は過大入力から保護される。
このように、図1示すスピーカ装置1は、ランプ6により過大入力からスピーカユニット2を保護することができる。
上述のスピーカ装置1の場合、過大なレベルの入力が連続的に供給される状態ではランプ6が点灯するので、ランプ6の発する光によりキャビネット3の内部が明るくなったり、ポート4から光が漏れたりして、ユーザに不快感を与えることがある。特に、映像機器と組み合わせて使用している場合には、光が漏れてくると、映像の鑑賞に支障をきたしてしまう。
また、上述のスピーカ装置1は、過大入力によりスピーカユニット2のボイスコイルの一部あるいは全体がショートしてそのインピーダンスが低下した場合でも、パワーアンプ7からは負荷としてのスピーカユニット2及びランプ6がショートしているようには見えず、パワーアンプ7が正常な動作を続けることがある。このような状態が続くと、パワーアンプ7の出力がランプ6に連続して流入することになり、ランプ6の温度が過度に上昇する危険がある。
発明の開示
本発明の目的は、上述したような従来のスピーカ装置若しくはスピーカユニットの問題点を解消し得る新規なスピーカ用保護素子及びスピーカ装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、スピーカ用保護素子として用いられるランプの光漏れを防止できるスピーカ用保護素子及びスピーカ装置を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、映像機器と組み合わせて有用なスピーカ装置を提供することにある。
本発明に係るスピーカ用保護素子は、スピーカに直列接続され、スピーカ装置若しくはスピーカユニットを過大入力から保護するランプと、このランプの周囲に設けられてこのランプの発する光を遮光する遮光部材とを有する。
本発明に係るスピーカ用保護素子は、過大入力によりランプが点灯しても、そのランプの発する光は遮光ケースにより遮光されるので、ランプの発する光がキャビネットの内部を照らすことがない。したがって、過大な入力状態になっても、キャビネットの内部が明るくなったり、バスレス用ポートから光が漏れたりして、ユーザに不快感を与えることがない。また、映像機器と組み合わせて使用している場合、光が漏れてきて映像の鑑賞に支障をきたすこともない。更に、ケースを金属製とすることにより、ランプの耐久性を損なうことを防止できる。
本発明に係る他のスピーカ用保護素子は、スピーカに直列接続されてスピーカを過大入力から保護するランプと、導電性を有する材料により構成された遮光ケースとを有し、ランプは、遮光ケースに納められ、所定の導電性を有するシーリング剤によりシーリングされている。
このような構成を備える本発明に係るスピーカ用保護素子は、過大入力によりスピーカのボイスコイルの一部あるいは全体がショートしたときには、ケースが冷陰極として動作してアーク放電が起き、この放電によりランプの電流が遮断され、ランプの温度上昇が阻止される。
この他のスピーカ用保護素子においても、過大入力によりランプが点灯しても、そのランプの発する光がキャビネットの内部を照らすことがない。したがって、過大な入力状態になっても、キャビネットの内部が明るくなったり、バスレス用ポートから光が漏れたりして、ユーザに不快感を与えることがない。また、映像機器と組み合わせて使用している場合、光が漏れてきて映像の鑑賞に支障をきたすこともない。更に、ケースを金属製とすることにより、ランプの耐久性を損なうことを防止できる。
本発明に係る更に他のスピーカ用保護素子は、スピーカに直列接続されてスピーカを過大入力から保護するランプと、このランプを収納した遮光ケースとを備え、ランプは、フィラメントと、このフィラメントを収納した容器と、フィラメントが接続された1対のリード線とを有し、容器内において、1対のリード線の間隔が所定の値とされるとともに、容器内に所定の不活性ガスが封入されることにより、1対のリード線間に所定の電圧で放電の起きるようにされている。
本発明に係る更に他のスピーカ用保護素子は、スピーカユニットのボイスコイルの一部あるいは全体がショートして過大な電流が連続的に流れたときには、リード線間のアーク放電が起きてランプのフィラメントの電流が遮断され、ランプの温度上昇が阻止される。
この更に他のスピーカ用保護素子においても、過大入力によりランプが点灯しても、そのランプの発する光がキャビネットの内部を照らすことがない。したがって、過大な入力状態になっても、キャビネットの内部が明るくなったり、バスレス用ポートから光が漏れたりして、ユーザに不快感を与えることがない。また、映像機器と組み合わせて使用している場合、光が漏れてきて映像の鑑賞に支障をきたすこともない。更に、ケースを金属製とすることにより、ランプの耐久性を損なうことを防止できる。
更にまた、本発明は、上述したようなスピーカ用保護素子を用いたスピーカ装置であり、上述したスピーカ用保護素子により実現される利点を有するものとなる。
本発明の更に他の目的、本発明によって得られる具体的な利点は、以下において図面を参照して説明される実施の形態の説明から一層明らかにされるであろう。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明のいくつかの実施の形態を図面を参照して説明する。
まず、本発明に係る第1の実施の形態を説明する。
ここに示すスピーカ用保護素子11は、図2Aに示すように構成されたランプ15を備える。このランプ15は、汎用品であるため、透明なガラスによりカップ状に形成されたランプ本体151を備える。ランプ本体151は、一端側の開口が不透明なガラスやセラミックスなどの絶縁材152により密封されている。この絶縁材152を貫通して、1対のリード線153A,153Bがランプ本体151内から引き出されている。ランプ本体151内に位置する一対のリード線153A,153Bの先端部間には、フィラメント154が接続されている。このフィラメントに電流が供給されることにより、発光しランプとして機能する。
本発明にスピーカ用保護素子11は、図2Aに示すように構成されたランプ15に対応して、例えば図2Bに示すようなケース16が用意される。このケース16は、遮光性及び放熱性を有する材料、例えば鉄、アルミニウム、銅などの金属により、カップ状に形成されている。ここで用いられるケース16は、その内径をランプ15の外径と同じかやや大きい程度とされ、その長さをランプ15の容器151の長さと同程度ないしやや長めとされている。なお、ケース16は、図2B中右側の一端側のみを開口部16aとした筒状に形成されている。
ランプ15は、図2Cに示すように、ランプ本体151の先端側を挿入端として開口部16aを通じてケース16内に収納される。ケース16に収納されたランプ15は、図3に示すように、ケース16の開口部16aに遮光性を有する接着剤155が充填されることにより、ケース16の内部に固定される。接着剤155は、ケース16に収納されたランプ15の光がケース16の外部に漏れないように、開口部16aを密封して充填される。なお、ランプ本体151の基端部側から引き出された一対のリード線153A,153Bは、図3に示すように、接着剤155を貫通してケース16の外方に引き出されている。
遮光性を有するケース16にランプ15を収納し、ケース16の開口部16aを遮光性を有する接着剤155によりシーリングした本発明に係るスピーカ用保護素子11は、ケース16の内部のランプ15が発光しても、その光はケース16の外部に漏れることがない。
遮光性を有するケース16にランプ15を収納した本発明に係るスピーカ用保護素子11は、前述した図1に示すスピーカ装置と同様に構成されたスピーカ装置内に配設される。
なお、本発明に係るスピーカ用保護素子11が配設されるスピーカ装置12は、基本的な構成を図1に示すものと共通するので、共通する部材には共通の符号を付して詳細な説明は省略する。
本発明に係るスピーカ用保護素子11は、図4に示すように、一方の入力端子5Aとスピーカユニット2との間にランプ15を直列に接続されてキャビネット3の内部に配設されている。なお、ランプ15は、一対のリード線153A,153Bを介して、一方の入力端子5Aとスピーカユニット2との間に直列に接続されている。
上述のように構成された本発明に係るスピーカ用保護素子11は、スピーカ装置12に配設され、入力端子5Aを介して過大なレベルの入力が連続した状態となると、ランプ15が点灯する。すなわち、パワーアンプ7の出力が大きい状態が続くと、ランプ15に大きな信号電流の流れる状態が続く。その結果、ランプ15が点灯するとともに、その抵抗が大きくなり、スピーカユニット2に供給される信号電力が制限され、スピーカユニット2は過大入力から保護される。
ところで、本発明に係るスピーカ用保護素子11は、ランプ15が点灯して発光する光が、ケース16及びケース16の開口部16aをシールする接着剤155により遮光されるので、ランプ15からの光がキャビネット3の内部に漏れることがなく、キャビネット3の内部を照らすこともない。本発明に係るスピーカ用保護素子11を用いることにより、スピーカ装置12は、過大な入力状態になっても、キャビネット3の内部が明るくなったり、ポート4から光が漏れ、ユーザに不快感を与えることもない。
本発明に係るスピーカ用保護素子11を用いたスピーカ装置12は、映像機器と組み合わせて使用している場合でも、光が漏れてきて映像の鑑賞に支障をきたすこともない。更に、ケース16が、熱伝導性の良好な材料、例えば、鉄、アルミニウム、銅などの金属により形成されることにより、ランプ15の放熱を妨げることもないので、ランプ15の耐久性を損なうことがない。
本発明に係るスピーカ用保護素子を構成するランプは、上述したようにランプ本体151の基端部側から一対のリード線153A,153Bを引き出したものに限らず、図5Aに示すように構成されたものであってもよい。図5Aに示すランプ25は、透明なガラスを用いて両端を開放した円筒状に形成されたランプ本体251を有し、ランプ本体251の両端からそれぞれリード線253A,253Bを引き出したものである。
図5Aに示すランプ25は、リード線253A,253Bが引き出されるランプ本体251の両端の開口部251A,251Bは、不透明なガラスやセラミックスなどの絶縁材252により密封されている。各リード線253A,253Bの基端部は、ランプ本体251の開口部251A,251Bを密封した絶縁材152を貫通してランプ本体251の外部に引き出されている。ランプ本体251内に位置する一対のリード線253A,253Bの先端部間には、フィラメント254が接続されている。このランプ25も、フィラメント254に電流が流れることにより、フィラメント254が発光してランプとして動作する。
ランプ本体251の両端からリード線253A,253Bを引き出したランプ25を収納するケース26は、図5Bに示すように、両端を開放した円筒状に形成されている。このケース26も、上述したケースと同様に、遮光性及び放熱性を有する材料、例えば鉄、アルミニウム、銅などの金属により形成されている。
ケース26は、図5Cに示すように、円筒状に形成されたランプ25を収納し得るように形成されてなるものであって、その内径を収納されるランプ25の外形とほぼ等しいか若しくはやや大きくなし、その長さをランプ本体251の長さとほぼ同じかやや長いものとされている。
この例のスピーカ用保護素子21は、図5Cに示すように、ランプ本体251がケース26内に位置するようにして、ランプ25をケース26に収納し、ランプ25のリード線253A,253Bが引き出されたケース26両端の開口部26a,26bに遮光性を有する接着剤255を充填しシーリングする。
このように構成されたスピーカ用保護素子21も、前述したスピーカ用保護素子11と同様に、一方の入力端子5Aとスピーカユニット2との間に直列に接続して配設されることにより、スピーカ装置12が過大な入力状態になったとき、ランプ25が点灯する。このスピーカ用保護素子21においても、ランプ15が点灯して発光する光は、ケース26の外部に漏れることがなく、キャビネット3の内部を照明したり、ポート4からキャビネット3の外部に漏れることが防止され、ユーザに不快感を与えることがない。このスピーカ用保護素子21を用いたスピーカ装置12も、映像機器と組み合わせて使用している場合でも、光が漏れてきて映像の鑑賞に支障をきたすこともない。
上述した各スピーカ用保護素子11,21を構成するケース16,26の内周面を、金属の光沢面のままとし、あるいは黒色に加工することにより、ランプ15,25が点灯したときの温度を制御できるので、ランプ15,25の耐久性やスピーカユニットに対する保護特性などを変更することができる。例えば、ケース16,26の内周面を黒色に加工することにより、ランプ15,25の耐久性を高めることができる。更に、ケース16,26の外周面に放熱用のフィン(ヒートシンク)を多数形成させてもよく、一層ランプ15,25の耐久性を向上させることができる。
上述したスピーカ用保護素子11,21は、いずれも、ランプ15,25を遮光性を有するケース16,26に収納しているが、ランプ15,25の表面に塗装などによりセラミックス層を形成して遮光性を得るようにしてもよい。ここで、用いるセラミックスは、熱伝導性が劣るが、ランプ15,25の表面に塗装されるセラミックス層を薄くすれば、ランプ15,25の放熱特性を劣化させることもなく、ランプ15,25の耐久性を劣化させることもない。
次に、本発明に係る第2の実施の形態を説明する。
本発明の第2の実施の形態に係るスピーカ用保護素子31は、前述した第1の実施の形態において用いた図2A及び図2Bに示すランプ15及びケース16を使用する。これらランプ15及びケース16の構成については、上述の説明を参照し、詳細な説明は省略する。
本実施の形態においても、ランプ15は、図2Cに示すように、ランプ本体151の先端側を挿入端として開口部16aを通じてケース16内に収納される。ランプ15を収納したケース16の開口部16aには、図6に示すように、適度な導電性を有するシーリング剤355が充填されシーリングされる。ケース16に収納されたランプ15は、ケース16の開口部16aにシーリング剤355が充填されることにより、一対のリード線153A,153Bをケース16の外方に引き出した状態でケース16内に固定される。
ここで、シーリング剤355は、図6に示すように、ランプ15をケース16内に挿入した後、ランプ15の基端部側に設けた絶縁材152を覆い、しかも、ケース16の内壁に至るまで開口部16a内に充填されることによってこの開口部16aをシーリングする。
ここで用いるシーリング剤355として、例えばシリコンボンドやセラミックボンドなどの接着剤にカーボン粉を混合したものが使用される。シーリング剤355を構成する接着剤自体には導電性はないとしても、この接着剤に混合されるカーボン粉が導電性を有するので、カーボン粉の接着剤に対する配合量(添加量)を調整することで、シーリング剤355は電性を有するものとなる。
このような導電性を有するシーリング剤355を用いると、ケース16に収納されたランプ15から引き出されたリード線153A,153Bとケース16との間の導電抵抗値を、例えば500kΩ程度とすることができる。この抵抗値は、接着剤に混合されるカーボン粉の量を調節することにより、適宜可変調整でき、例えば、接着剤に対するカーボン粉の混合量を多くすることにより、シーリング剤355の抵抗値を低くすることができる。
図6に示すように構成されたスピーカ用保護素子31も、前述したスピーカ用保護素子11と同様に、一方の入力端子5Aとスピーカユニット2との間にランプ15を直列に接続してキャビネット3の内部に配設されている。なお、ランプ15は、一対のリード線153A,153Bを介して、一方の入力端子5Aとスピーカユニット2との間に直列に接続されている。
ところで、本発明者等の実験によれば、本実施の形態のスピーカ用保護素子31は、ランプ15に加える電圧を大きくしていくと、ケース16の開口部16aをシーリングするシーリング剤355の導電率に応じた電圧値で、ランプ15内部のリード線153A,153B間でアーク放電が起きることが確認された。ランプ15より引き出されている一対のリード線153A,153Bのうち一方のみがケース16との間で所定の導電性をもつようになっても、両方のリード線153A,153Bがケース16との間で所定の導電性をもつようになっても、このようなアーク放電が起きることが確認された。両方のリード線153A,153Bが共にケース16との間で導電性をもったとしても、その導電抵抗値は、上述のように数100kΩ程度であるので、ランプ15の内部のフィラメント154の抵抗値に比べ極めて大きいので、通常の入力レベルの動作では何らその動作に影響はない。
また、ケース16の材質を代えたり、ケース16の内周面を、金属の光沢面のままにしたり、あるいは、黒色に加工したりすることにより、このアーク放電電圧が変化することも確認された。例えば、ケース16の材質がアルミニウムである場合の放電電圧は、真鍮で作った場合に比べて低くなることや、材質は同じでもその内周面を黒色に加工すると放電電圧が高くなることを、発明者等は確認している。
なお、発明者等は、シーリング剤として、カーボン粉を混合しないシリコンボンドやセラミックボンドなどの接着剤のみで構成された導電性がないものについても実験を行った。この場合でも、シーリングを施さない場合に比べて放電電圧が低くなることが確認された。この現象は、次のように説明される。ランプ15のフィラメント154より発せられた光の一部は、ランプ15の絶縁材152やランプ15とケースと16の隙間より外部に漏れて出てくる。シーリング剤によりランプ15を収納したケース16の開口部16aをシーリングすることにより、その光もケース16の内部に閉じ込められてしまい、同時に、発せられた熱もケース16内部若しくはランプ本体151の内部にこもってしまい、ランプ15の内部温度が上昇しやすくなったことによりアーク放電が起きる電圧が下がった、と考えられる。
このように構成されたスピーカ用保護素子31も、前述したスピーカ用保護素子11と同様に、一方の入力端子5Aとスピーカユニット2との間に直列に接続して配設される。スピーカ装置12に配設されたスピーカユニット2に過大なレベルの入力が連続的に供給されることにより、スピーカユニット2のボイスコイルの一部あるいは全体がショートしてそのインピーダンスが低下した場合に、ケース16が冷陰極として動作してアーク放電が起きるようになる。このアーク放電の発生により、ランプ15のフィラメント154を流れる信号電流が遮断され、ランプの温度上昇が阻止される。
本発明に係るスピーカ用保護素子31を取り付けたスピーカ装置にあっては、アーク放電の放電電圧を過大入力時の信号電圧とするようにすれば、過大入力時に、ランプ15がアーク放電により短時間で断線し、スピーカユニット2のボイスコイルのショートしていない部分やランプ15の過度の発熱を防止することができる。
更に、スピーカ用保護素子31のランプ15がスピーカユニット2の保護動作を正常に行っている場合に、スピーカユニット2に対する入力状態が大きくなると、ランプ15が点灯するが、ランプ15はケース16により遮光されているので、ランプ15が発する光がキャビネット3の内部を照らすことがない。したがって、スピーカユニット2に対する入力状態が過大になっても、キャビネット3の内部が明るくなったり、ポート4から光が漏れてたりして、ユーザに不快感を与えることがない。このスピーカ用保護素子31を用いたスピーカ装置も、映像機器と組み合わせて使用している場合でも、光が漏れてきて映像の鑑賞に支障をきたすこともない。
このスピーカ用保護素子31において、ケース16を金属により形成することにより収納したランプ15からの発熱を効率よく放熱させることができ、ランプ15の耐久性を損なうことがない。
本実施の形態におけるスピーカ用保護素子を構成するランプも、上述したようにランプ本体151の基端部側から一対のリード線153A,153Bを引き出したものに限らず、図5Aに示すように、透明なガラスを用いて両端を開放した円筒状に形成されたランプ本体251の両端からそれぞれリード線253A,253Bを引き出したものを用いて構成することができる。
この例のスピーカ用保護素子41は、図7に示すように、ランプ本体251がケース26内に位置するようにして、ランプ25をケース26に収納する。ランプ25を収納したケース26の両端の開口部26a,26bには、上述した導電性を有するシーリング剤355が充填される。ケース26に収納されたランプ25は、ケース26の各開口部26a,26bにシーリング剤355が充填されることにより、図7に示すように、一対のリード線153A,153Bをケース16の外方に引き出した状態でケース16内に固定される。
図7に示すスピーカ用保護素子41も、上述のスピーカ用保護素子31と同様に、一方の入力端子5Aとスピーカユニット2との間に直列に接続してスピーカ装置12内に配設される。このスピーカ用保護素子41を用いたスピーカ装置12も、上述のスピーカ用保護素子31を用いたスピーカ装置12と同様の作用を実現し、同様の利点を実現できる。
次に、本発明に係る第3の実施の形態を説明する。
本発明の第3の実施の形態に係るスピーカ用保護素子51は、前述した第1の実施の形態において用いた図2A及び図2Bに示すランプ15及びケース16と同様の構成を備えたランプ及びケースが用いられ、更には、図5A及び図5Bに示すランプ25及びケース26と同様の構成を備えたランプ及びケースが用いられる。
ここでは、図2A及び図2Bに示すランプ15及びケース16と同様の構成を備えたランプ及びケースを用いた例を挙げて説明する。なお、図2A及び図2Bに示すランプ15及びケース16と共通する部分には共通の符号を付して詳細な説明は省略する。
第3の実施の形態に係るスピーカ用保護素子51を構成するランプ55は、図8Aに示すように、透明なガラスによりカップ状に形成されたランプ本体151を備える。ランプ本体151は、一端側の開口が不透明なガラスやセラミックスなどの絶縁材152により密封されている。絶縁材152により密封されたランプ本体151内には、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンなどの不活性ガスが封入されている。
不活性ガスを封入したランプ本体151からは、絶縁材152を貫通して、1対のリード線153A,153Bが引き出されている。これらリード線153A,153Bは、図8Aに示すように、絶縁材152を貫通して同一方向に、かつ、互いに平行に延在されている。これらリード線153A,153Bのランプ本体151内に位置する部分の長さは互いに異ならされている。すなわち、リード線153A,153Bのランプ本体151内に位置する端部53a,53bは、互いに向き合う方向に直角に折り曲げられ、これら端部53a,53bの間にフィラメント154が接続されている。このとき、ランプ本体151の内部におけるリード線153A、153Bの最も狭い間隔Lが所定の大きさとされている。
図8Aに示すランプ55は、図8Bに示すように形成されたケース56内に収納されてスピーカ用保護素子51を構成する。ここで用いるケース56も前述したケースと同様に、遮光性及び放熱性を有する材料、例えば鉄、アルミニウム、銅などの金属により、カップ状に形成されている。
ランプ55は、図8Cに示すように、ランプ本体151の先端側を挿入端として開口部56aを通じてケース56内に収納される。ケース56に収納されたランプ55は、ケース56の開口部56aに遮光性を有する接着剤が充填されることにより、ケース56の内部に固定される。接着剤155は、ケース56に収納されたランプ55の光がケース56の外部に漏れないように、開口部56aを密封して充填される。なお、ランプ本体151の基端部側から引き出された一対のリード線153A,153Bは、図8Cに示すように、接着剤155を貫通してケース56の外方に引き出されている。
このスピーカ用保護素子51も、前述した各スピーカ用保護素子11等と同様に、一方の入力端子5Aとスピーカユニット2との間に直列に接続してスピーカ装置12内に配設される。なお、ランプ55は、一対のリード線153A,153Bを介して、一方の入力端子5Aとスピーカユニット2との間に直列に接続されている。
本例のスピーカ用保護素子51を取り付けたスピーカ装置12は、スピーカユニット2に過大なレベルの入力が行われ、スピーカユニット2のボイスコイルが部分的にショートした場合には、ランプ55のケース本体151の内部において、リード線153A、153Bの間でアーク放電が発生する。このアーク放電の発生により、ランプ55のフィラメント154を流れる電流が遮断され、ランプ15の温度上昇が阻止される。
なお、我々の実験によれば、リード線153A、153Bの間でアーク放電を開始する電圧は、間隔L及びランプ本体151をに封入されている不活性ガスの種類により必要な値に設定できることが確認された。例えば、ランプ本体151の内部におけるリード線153A、153Bの最も狭い間隔Lを一定とした場合に、ランプ内部を真空とする場合よりも、不活性ガスを封入した場合の放電開始電圧は高くなり、更に封入する不活性ガスとして、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンなどガスの種類を変えた場合には、その放電開始電圧はこの順で相対的に低くなる。そして、リード線153A、153Bの最も狭い間隔Lが狭いほど放電開始電圧を低くすることができる。
更に、ランプ55がスピーカユニット2の保護動作を正常に行っている場合には、大きな入力状態のとき、ランプ6が点灯するが、ランプ55はケース56に収納されて遮光されているので、ランプ55の発する光がキャビネット3の内部を照らすことがない。したがって、スピーカユニット2に対する入力状態が過大になっても、キャビネット3の内部が明るくなったり、ポート4から光が漏れてたりして、ユーザに不快感を与えることがない。このスピーカ用保護素子51を用いたスピーカ装置も、映像機器と組み合わせて使用している場合でも、光が漏れてきて映像の鑑賞に支障をきたすこともない。
なお、本例のスピーカ用保護素子51においても、ケース56の内周面を、金属の光沢面のままとし、あるいは黒色に加工することにより、ランプ55が点灯したときの温度を制御できるので、ランプ55の耐久性やスピーカユニットに対する保護特性などを変更することができる。我々の実験によれば、ケース56をアルミニウム製とし、その内周面に酸化膜を形成して黒色あるいは赤色とし、更に、塗料を添加して金色とすることで、放電開始開始電圧やランプの耐久性を変化させることができた。この現象は、フィラメントより発せられた光がケース56の内周面で反射され、再びフィラメントに吸収されて加熱されるので、ケース56の内周面での光の反射率、吸収率あるいはケース56の外部への熱の放熱率などにより変化するものと理解される。また、ランプ本体151に封入される不活性ガスも、複数の不活性ガスを混合したものを用いるようにしてもよい。
更に、ランプ55を導電性を有するシーリング剤を用いてケース56にシーリングすれば、過大入力によりスピーカユニット2のボイスコイルの一部あるいは全体がショートしたときには、ケース56が冷陰極として動作してアーク放電が起き、この放電によりランプ55を流れる電流が遮断され、ランプ55の温度上昇が阻止される。
上述の例では、ランプ55をケース56に収納するようにしているが、ランプ55の表面に、塗装などによりセラミックス層を形成して遮光性を得るようにすることもできる。ここで、用いるセラミックスは、熱伝導性が劣るが、ランプ55の表面に塗装されるセラミックス層を薄くすれば、ランプ55の放熱特性を劣化させることもなく、ランプ55の耐久性を劣化させることもない。
なお、本発明は、上述した各実施の態様で示される構成を適宜組み合わせて構成することも勿論可能である。
産業上の利用可能性
上述したように、本発明は、スピーカ保護用ランプを遮光性を有するケース内に装填したので、過大入力によりランプが点灯しても、このランプの発する光がキャビネットの内部を照らしたり、バスレフ用ポートから光が漏れたりして、ユーザに不快感を与えることがない。そして、ランプを収納するケースを金属製とすることにより、ランプの耐久性を損なうことがない。
本発明は、ランプのリード線と遮光ケースとの間を適当な導電性を有するシーリング剤によりシーリングしているので、過大入力時にケースが冷陰極として動作してアーク放電が起き、この放電によりランプの電流が遮断され、ランプの温度上昇が阻止される。このシーリング剤の導電率を調整することにより、この放電が起きる電圧が調整され、保護するスピーカユニットの許容入力電圧に対応させることができる。
更に、本発明は、ランプ内部に不活性ガスを封入したことにより、過大入力時にランプの一対のリード線間に所定の電圧で放電を起こすことができ、ランプのフィラメントの電流が遮断され、ランプの温度上昇が阻止される。このガスの種類に応じて、ランプが放電を起こす電圧を調整することができる。したがって、本発明が適用されたスピーカ装置は、過大入力時にランプの温度が過度に上昇することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
図1は、過大な入力状態から保護するための回路を備えたスピーカ装置を示す断面図である。
図2Aは、本発明の第1の実施の形態に係るスピーカ用保護素子を構成するランプを示す側面図であり、図2Bは、ランプを収納するケースを示す斜視図であり、図2Cは、ランプをケースに収納したスピーカ用保護素子を示す側面図である。
図3は、本発明に係るスピーカ用保護素子を示す断面図である。
図4は、本発明に係るスピーカ用保護素子を設けたスピーカ装置を示す断面図である。
図5Aは、本発明に係るスピーカ用保護素子を構成するランプの他の例を示す側面図であり、図5Bは、ランプを収納するケースを示す斜視図であり、図5Cは、他の例のランプをケースに収納したスピーカ用保護素子を示す側面図である。
図6は、本発明の第2の実施の形態に係るスピーカ用保護素子を示す断面図である。
図7は、異なる例のランプを用いた本発明の第2の実施の形態に係るスピーカ用保護素子を示す側面図である。
図8Aは、本発明の第3の実施の形態に係るスピーカ用保護素子を構成するランプを示す側面図であり、図8Bは、ランプを収納するケースを示す斜視図であり、図8Cは、ランプをケースに収納したスピーカ用保護素子を示す側面図である。
本発明は、スピーカを過大入力から保護するためのスピーカ用保護素子及びこの保護素子を用いたスピーカ装置に関する。
背景技術
スピーカ装置若しくはスピーカユニットに許容入力以上のパワーが連続的に供給されると、スピーカユニットのボイスコイルの温度が過大に上昇し、その結果、ボイスコイルの皮膜が次第に炭化して、ついには部分的にショートしてしまう。すると、この部分的なショート状態では、ボイスコイルに過大な電流、例えば数Aから十数Aの電流が流れるので、ボイスコイルの残った正常な部分が赤熱して、発煙、ショート、異常発熱、断線などを生じ、異常発熱時に発火に至ることもある。特に、大出力のパワーアンプが多く使用されるようになると、異常発熱も増加し、かなり危険である。
そこで、スピーカユニットを過大な入力状態から保護するための回路を備えたスピーカ装置1として、図1に示すように構成されたものが提案されている。このスピーカ装置1は、過大な入力状態の保護対象となるスピーカユニット2を備えている。スピーカユニット2は、キャビネット3に取り付けられている。この例において、キャビネット3は、その前面にバスレフ用のポート4を有している。
キャビネット3の後面には、入力端子5A,5Bが設けられ、一方の入力端子5Aには、小型白熱電球の如きランプ6を介してスピーカユニット2が接続されるとともに、他方の入力端子5Bに直接にスピーカユニット2に接続され、入力端子5A,5Bに、パワーアンプ7が接続される。パワーアンプ7のオーディオ出力は、ランプ6を介してスピーカユニット2に供給される。その場合、パワーアンプ7の出力が小さいときには、ランプ6に流れる信号電流が小さいので、ランプ6は点灯しないとともに、その抵抗は小さい。したがって、パワーアンプ7のオーディオ出力は、ほぼそのままスピーカユニット2に供給され、所期の音響出力を得ることができる。
しかし、パワーアンプ7の出力が大きい状態が続くと、ランプ6に大きな信号電流の流れる状態が続くので、ランプ6が点灯するとともに、その抵抗が大きくなる。したがって、スピーカユニット2に供給される信号電力は制限され、スピーカユニット2は過大入力から保護される。
このように、図1示すスピーカ装置1は、ランプ6により過大入力からスピーカユニット2を保護することができる。
上述のスピーカ装置1の場合、過大なレベルの入力が連続的に供給される状態ではランプ6が点灯するので、ランプ6の発する光によりキャビネット3の内部が明るくなったり、ポート4から光が漏れたりして、ユーザに不快感を与えることがある。特に、映像機器と組み合わせて使用している場合には、光が漏れてくると、映像の鑑賞に支障をきたしてしまう。
また、上述のスピーカ装置1は、過大入力によりスピーカユニット2のボイスコイルの一部あるいは全体がショートしてそのインピーダンスが低下した場合でも、パワーアンプ7からは負荷としてのスピーカユニット2及びランプ6がショートしているようには見えず、パワーアンプ7が正常な動作を続けることがある。このような状態が続くと、パワーアンプ7の出力がランプ6に連続して流入することになり、ランプ6の温度が過度に上昇する危険がある。
発明の開示
本発明の目的は、上述したような従来のスピーカ装置若しくはスピーカユニットの問題点を解消し得る新規なスピーカ用保護素子及びスピーカ装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、スピーカ用保護素子として用いられるランプの光漏れを防止できるスピーカ用保護素子及びスピーカ装置を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、映像機器と組み合わせて有用なスピーカ装置を提供することにある。
本発明に係るスピーカ用保護素子は、スピーカに直列接続され、スピーカ装置若しくはスピーカユニットを過大入力から保護するランプと、このランプの周囲に設けられてこのランプの発する光を遮光する遮光部材とを有する。
本発明に係るスピーカ用保護素子は、過大入力によりランプが点灯しても、そのランプの発する光は遮光ケースにより遮光されるので、ランプの発する光がキャビネットの内部を照らすことがない。したがって、過大な入力状態になっても、キャビネットの内部が明るくなったり、バスレス用ポートから光が漏れたりして、ユーザに不快感を与えることがない。また、映像機器と組み合わせて使用している場合、光が漏れてきて映像の鑑賞に支障をきたすこともない。更に、ケースを金属製とすることにより、ランプの耐久性を損なうことを防止できる。
本発明に係る他のスピーカ用保護素子は、スピーカに直列接続されてスピーカを過大入力から保護するランプと、導電性を有する材料により構成された遮光ケースとを有し、ランプは、遮光ケースに納められ、所定の導電性を有するシーリング剤によりシーリングされている。
このような構成を備える本発明に係るスピーカ用保護素子は、過大入力によりスピーカのボイスコイルの一部あるいは全体がショートしたときには、ケースが冷陰極として動作してアーク放電が起き、この放電によりランプの電流が遮断され、ランプの温度上昇が阻止される。
この他のスピーカ用保護素子においても、過大入力によりランプが点灯しても、そのランプの発する光がキャビネットの内部を照らすことがない。したがって、過大な入力状態になっても、キャビネットの内部が明るくなったり、バスレス用ポートから光が漏れたりして、ユーザに不快感を与えることがない。また、映像機器と組み合わせて使用している場合、光が漏れてきて映像の鑑賞に支障をきたすこともない。更に、ケースを金属製とすることにより、ランプの耐久性を損なうことを防止できる。
本発明に係る更に他のスピーカ用保護素子は、スピーカに直列接続されてスピーカを過大入力から保護するランプと、このランプを収納した遮光ケースとを備え、ランプは、フィラメントと、このフィラメントを収納した容器と、フィラメントが接続された1対のリード線とを有し、容器内において、1対のリード線の間隔が所定の値とされるとともに、容器内に所定の不活性ガスが封入されることにより、1対のリード線間に所定の電圧で放電の起きるようにされている。
本発明に係る更に他のスピーカ用保護素子は、スピーカユニットのボイスコイルの一部あるいは全体がショートして過大な電流が連続的に流れたときには、リード線間のアーク放電が起きてランプのフィラメントの電流が遮断され、ランプの温度上昇が阻止される。
この更に他のスピーカ用保護素子においても、過大入力によりランプが点灯しても、そのランプの発する光がキャビネットの内部を照らすことがない。したがって、過大な入力状態になっても、キャビネットの内部が明るくなったり、バスレス用ポートから光が漏れたりして、ユーザに不快感を与えることがない。また、映像機器と組み合わせて使用している場合、光が漏れてきて映像の鑑賞に支障をきたすこともない。更に、ケースを金属製とすることにより、ランプの耐久性を損なうことを防止できる。
更にまた、本発明は、上述したようなスピーカ用保護素子を用いたスピーカ装置であり、上述したスピーカ用保護素子により実現される利点を有するものとなる。
本発明の更に他の目的、本発明によって得られる具体的な利点は、以下において図面を参照して説明される実施の形態の説明から一層明らかにされるであろう。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明のいくつかの実施の形態を図面を参照して説明する。
まず、本発明に係る第1の実施の形態を説明する。
ここに示すスピーカ用保護素子11は、図2Aに示すように構成されたランプ15を備える。このランプ15は、汎用品であるため、透明なガラスによりカップ状に形成されたランプ本体151を備える。ランプ本体151は、一端側の開口が不透明なガラスやセラミックスなどの絶縁材152により密封されている。この絶縁材152を貫通して、1対のリード線153A,153Bがランプ本体151内から引き出されている。ランプ本体151内に位置する一対のリード線153A,153Bの先端部間には、フィラメント154が接続されている。このフィラメントに電流が供給されることにより、発光しランプとして機能する。
本発明にスピーカ用保護素子11は、図2Aに示すように構成されたランプ15に対応して、例えば図2Bに示すようなケース16が用意される。このケース16は、遮光性及び放熱性を有する材料、例えば鉄、アルミニウム、銅などの金属により、カップ状に形成されている。ここで用いられるケース16は、その内径をランプ15の外径と同じかやや大きい程度とされ、その長さをランプ15の容器151の長さと同程度ないしやや長めとされている。なお、ケース16は、図2B中右側の一端側のみを開口部16aとした筒状に形成されている。
ランプ15は、図2Cに示すように、ランプ本体151の先端側を挿入端として開口部16aを通じてケース16内に収納される。ケース16に収納されたランプ15は、図3に示すように、ケース16の開口部16aに遮光性を有する接着剤155が充填されることにより、ケース16の内部に固定される。接着剤155は、ケース16に収納されたランプ15の光がケース16の外部に漏れないように、開口部16aを密封して充填される。なお、ランプ本体151の基端部側から引き出された一対のリード線153A,153Bは、図3に示すように、接着剤155を貫通してケース16の外方に引き出されている。
遮光性を有するケース16にランプ15を収納し、ケース16の開口部16aを遮光性を有する接着剤155によりシーリングした本発明に係るスピーカ用保護素子11は、ケース16の内部のランプ15が発光しても、その光はケース16の外部に漏れることがない。
遮光性を有するケース16にランプ15を収納した本発明に係るスピーカ用保護素子11は、前述した図1に示すスピーカ装置と同様に構成されたスピーカ装置内に配設される。
なお、本発明に係るスピーカ用保護素子11が配設されるスピーカ装置12は、基本的な構成を図1に示すものと共通するので、共通する部材には共通の符号を付して詳細な説明は省略する。
本発明に係るスピーカ用保護素子11は、図4に示すように、一方の入力端子5Aとスピーカユニット2との間にランプ15を直列に接続されてキャビネット3の内部に配設されている。なお、ランプ15は、一対のリード線153A,153Bを介して、一方の入力端子5Aとスピーカユニット2との間に直列に接続されている。
上述のように構成された本発明に係るスピーカ用保護素子11は、スピーカ装置12に配設され、入力端子5Aを介して過大なレベルの入力が連続した状態となると、ランプ15が点灯する。すなわち、パワーアンプ7の出力が大きい状態が続くと、ランプ15に大きな信号電流の流れる状態が続く。その結果、ランプ15が点灯するとともに、その抵抗が大きくなり、スピーカユニット2に供給される信号電力が制限され、スピーカユニット2は過大入力から保護される。
ところで、本発明に係るスピーカ用保護素子11は、ランプ15が点灯して発光する光が、ケース16及びケース16の開口部16aをシールする接着剤155により遮光されるので、ランプ15からの光がキャビネット3の内部に漏れることがなく、キャビネット3の内部を照らすこともない。本発明に係るスピーカ用保護素子11を用いることにより、スピーカ装置12は、過大な入力状態になっても、キャビネット3の内部が明るくなったり、ポート4から光が漏れ、ユーザに不快感を与えることもない。
本発明に係るスピーカ用保護素子11を用いたスピーカ装置12は、映像機器と組み合わせて使用している場合でも、光が漏れてきて映像の鑑賞に支障をきたすこともない。更に、ケース16が、熱伝導性の良好な材料、例えば、鉄、アルミニウム、銅などの金属により形成されることにより、ランプ15の放熱を妨げることもないので、ランプ15の耐久性を損なうことがない。
本発明に係るスピーカ用保護素子を構成するランプは、上述したようにランプ本体151の基端部側から一対のリード線153A,153Bを引き出したものに限らず、図5Aに示すように構成されたものであってもよい。図5Aに示すランプ25は、透明なガラスを用いて両端を開放した円筒状に形成されたランプ本体251を有し、ランプ本体251の両端からそれぞれリード線253A,253Bを引き出したものである。
図5Aに示すランプ25は、リード線253A,253Bが引き出されるランプ本体251の両端の開口部251A,251Bは、不透明なガラスやセラミックスなどの絶縁材252により密封されている。各リード線253A,253Bの基端部は、ランプ本体251の開口部251A,251Bを密封した絶縁材152を貫通してランプ本体251の外部に引き出されている。ランプ本体251内に位置する一対のリード線253A,253Bの先端部間には、フィラメント254が接続されている。このランプ25も、フィラメント254に電流が流れることにより、フィラメント254が発光してランプとして動作する。
ランプ本体251の両端からリード線253A,253Bを引き出したランプ25を収納するケース26は、図5Bに示すように、両端を開放した円筒状に形成されている。このケース26も、上述したケースと同様に、遮光性及び放熱性を有する材料、例えば鉄、アルミニウム、銅などの金属により形成されている。
ケース26は、図5Cに示すように、円筒状に形成されたランプ25を収納し得るように形成されてなるものであって、その内径を収納されるランプ25の外形とほぼ等しいか若しくはやや大きくなし、その長さをランプ本体251の長さとほぼ同じかやや長いものとされている。
この例のスピーカ用保護素子21は、図5Cに示すように、ランプ本体251がケース26内に位置するようにして、ランプ25をケース26に収納し、ランプ25のリード線253A,253Bが引き出されたケース26両端の開口部26a,26bに遮光性を有する接着剤255を充填しシーリングする。
このように構成されたスピーカ用保護素子21も、前述したスピーカ用保護素子11と同様に、一方の入力端子5Aとスピーカユニット2との間に直列に接続して配設されることにより、スピーカ装置12が過大な入力状態になったとき、ランプ25が点灯する。このスピーカ用保護素子21においても、ランプ15が点灯して発光する光は、ケース26の外部に漏れることがなく、キャビネット3の内部を照明したり、ポート4からキャビネット3の外部に漏れることが防止され、ユーザに不快感を与えることがない。このスピーカ用保護素子21を用いたスピーカ装置12も、映像機器と組み合わせて使用している場合でも、光が漏れてきて映像の鑑賞に支障をきたすこともない。
上述した各スピーカ用保護素子11,21を構成するケース16,26の内周面を、金属の光沢面のままとし、あるいは黒色に加工することにより、ランプ15,25が点灯したときの温度を制御できるので、ランプ15,25の耐久性やスピーカユニットに対する保護特性などを変更することができる。例えば、ケース16,26の内周面を黒色に加工することにより、ランプ15,25の耐久性を高めることができる。更に、ケース16,26の外周面に放熱用のフィン(ヒートシンク)を多数形成させてもよく、一層ランプ15,25の耐久性を向上させることができる。
上述したスピーカ用保護素子11,21は、いずれも、ランプ15,25を遮光性を有するケース16,26に収納しているが、ランプ15,25の表面に塗装などによりセラミックス層を形成して遮光性を得るようにしてもよい。ここで、用いるセラミックスは、熱伝導性が劣るが、ランプ15,25の表面に塗装されるセラミックス層を薄くすれば、ランプ15,25の放熱特性を劣化させることもなく、ランプ15,25の耐久性を劣化させることもない。
次に、本発明に係る第2の実施の形態を説明する。
本発明の第2の実施の形態に係るスピーカ用保護素子31は、前述した第1の実施の形態において用いた図2A及び図2Bに示すランプ15及びケース16を使用する。これらランプ15及びケース16の構成については、上述の説明を参照し、詳細な説明は省略する。
本実施の形態においても、ランプ15は、図2Cに示すように、ランプ本体151の先端側を挿入端として開口部16aを通じてケース16内に収納される。ランプ15を収納したケース16の開口部16aには、図6に示すように、適度な導電性を有するシーリング剤355が充填されシーリングされる。ケース16に収納されたランプ15は、ケース16の開口部16aにシーリング剤355が充填されることにより、一対のリード線153A,153Bをケース16の外方に引き出した状態でケース16内に固定される。
ここで、シーリング剤355は、図6に示すように、ランプ15をケース16内に挿入した後、ランプ15の基端部側に設けた絶縁材152を覆い、しかも、ケース16の内壁に至るまで開口部16a内に充填されることによってこの開口部16aをシーリングする。
ここで用いるシーリング剤355として、例えばシリコンボンドやセラミックボンドなどの接着剤にカーボン粉を混合したものが使用される。シーリング剤355を構成する接着剤自体には導電性はないとしても、この接着剤に混合されるカーボン粉が導電性を有するので、カーボン粉の接着剤に対する配合量(添加量)を調整することで、シーリング剤355は電性を有するものとなる。
このような導電性を有するシーリング剤355を用いると、ケース16に収納されたランプ15から引き出されたリード線153A,153Bとケース16との間の導電抵抗値を、例えば500kΩ程度とすることができる。この抵抗値は、接着剤に混合されるカーボン粉の量を調節することにより、適宜可変調整でき、例えば、接着剤に対するカーボン粉の混合量を多くすることにより、シーリング剤355の抵抗値を低くすることができる。
図6に示すように構成されたスピーカ用保護素子31も、前述したスピーカ用保護素子11と同様に、一方の入力端子5Aとスピーカユニット2との間にランプ15を直列に接続してキャビネット3の内部に配設されている。なお、ランプ15は、一対のリード線153A,153Bを介して、一方の入力端子5Aとスピーカユニット2との間に直列に接続されている。
ところで、本発明者等の実験によれば、本実施の形態のスピーカ用保護素子31は、ランプ15に加える電圧を大きくしていくと、ケース16の開口部16aをシーリングするシーリング剤355の導電率に応じた電圧値で、ランプ15内部のリード線153A,153B間でアーク放電が起きることが確認された。ランプ15より引き出されている一対のリード線153A,153Bのうち一方のみがケース16との間で所定の導電性をもつようになっても、両方のリード線153A,153Bがケース16との間で所定の導電性をもつようになっても、このようなアーク放電が起きることが確認された。両方のリード線153A,153Bが共にケース16との間で導電性をもったとしても、その導電抵抗値は、上述のように数100kΩ程度であるので、ランプ15の内部のフィラメント154の抵抗値に比べ極めて大きいので、通常の入力レベルの動作では何らその動作に影響はない。
また、ケース16の材質を代えたり、ケース16の内周面を、金属の光沢面のままにしたり、あるいは、黒色に加工したりすることにより、このアーク放電電圧が変化することも確認された。例えば、ケース16の材質がアルミニウムである場合の放電電圧は、真鍮で作った場合に比べて低くなることや、材質は同じでもその内周面を黒色に加工すると放電電圧が高くなることを、発明者等は確認している。
なお、発明者等は、シーリング剤として、カーボン粉を混合しないシリコンボンドやセラミックボンドなどの接着剤のみで構成された導電性がないものについても実験を行った。この場合でも、シーリングを施さない場合に比べて放電電圧が低くなることが確認された。この現象は、次のように説明される。ランプ15のフィラメント154より発せられた光の一部は、ランプ15の絶縁材152やランプ15とケースと16の隙間より外部に漏れて出てくる。シーリング剤によりランプ15を収納したケース16の開口部16aをシーリングすることにより、その光もケース16の内部に閉じ込められてしまい、同時に、発せられた熱もケース16内部若しくはランプ本体151の内部にこもってしまい、ランプ15の内部温度が上昇しやすくなったことによりアーク放電が起きる電圧が下がった、と考えられる。
このように構成されたスピーカ用保護素子31も、前述したスピーカ用保護素子11と同様に、一方の入力端子5Aとスピーカユニット2との間に直列に接続して配設される。スピーカ装置12に配設されたスピーカユニット2に過大なレベルの入力が連続的に供給されることにより、スピーカユニット2のボイスコイルの一部あるいは全体がショートしてそのインピーダンスが低下した場合に、ケース16が冷陰極として動作してアーク放電が起きるようになる。このアーク放電の発生により、ランプ15のフィラメント154を流れる信号電流が遮断され、ランプの温度上昇が阻止される。
本発明に係るスピーカ用保護素子31を取り付けたスピーカ装置にあっては、アーク放電の放電電圧を過大入力時の信号電圧とするようにすれば、過大入力時に、ランプ15がアーク放電により短時間で断線し、スピーカユニット2のボイスコイルのショートしていない部分やランプ15の過度の発熱を防止することができる。
更に、スピーカ用保護素子31のランプ15がスピーカユニット2の保護動作を正常に行っている場合に、スピーカユニット2に対する入力状態が大きくなると、ランプ15が点灯するが、ランプ15はケース16により遮光されているので、ランプ15が発する光がキャビネット3の内部を照らすことがない。したがって、スピーカユニット2に対する入力状態が過大になっても、キャビネット3の内部が明るくなったり、ポート4から光が漏れてたりして、ユーザに不快感を与えることがない。このスピーカ用保護素子31を用いたスピーカ装置も、映像機器と組み合わせて使用している場合でも、光が漏れてきて映像の鑑賞に支障をきたすこともない。
このスピーカ用保護素子31において、ケース16を金属により形成することにより収納したランプ15からの発熱を効率よく放熱させることができ、ランプ15の耐久性を損なうことがない。
本実施の形態におけるスピーカ用保護素子を構成するランプも、上述したようにランプ本体151の基端部側から一対のリード線153A,153Bを引き出したものに限らず、図5Aに示すように、透明なガラスを用いて両端を開放した円筒状に形成されたランプ本体251の両端からそれぞれリード線253A,253Bを引き出したものを用いて構成することができる。
この例のスピーカ用保護素子41は、図7に示すように、ランプ本体251がケース26内に位置するようにして、ランプ25をケース26に収納する。ランプ25を収納したケース26の両端の開口部26a,26bには、上述した導電性を有するシーリング剤355が充填される。ケース26に収納されたランプ25は、ケース26の各開口部26a,26bにシーリング剤355が充填されることにより、図7に示すように、一対のリード線153A,153Bをケース16の外方に引き出した状態でケース16内に固定される。
図7に示すスピーカ用保護素子41も、上述のスピーカ用保護素子31と同様に、一方の入力端子5Aとスピーカユニット2との間に直列に接続してスピーカ装置12内に配設される。このスピーカ用保護素子41を用いたスピーカ装置12も、上述のスピーカ用保護素子31を用いたスピーカ装置12と同様の作用を実現し、同様の利点を実現できる。
次に、本発明に係る第3の実施の形態を説明する。
本発明の第3の実施の形態に係るスピーカ用保護素子51は、前述した第1の実施の形態において用いた図2A及び図2Bに示すランプ15及びケース16と同様の構成を備えたランプ及びケースが用いられ、更には、図5A及び図5Bに示すランプ25及びケース26と同様の構成を備えたランプ及びケースが用いられる。
ここでは、図2A及び図2Bに示すランプ15及びケース16と同様の構成を備えたランプ及びケースを用いた例を挙げて説明する。なお、図2A及び図2Bに示すランプ15及びケース16と共通する部分には共通の符号を付して詳細な説明は省略する。
第3の実施の形態に係るスピーカ用保護素子51を構成するランプ55は、図8Aに示すように、透明なガラスによりカップ状に形成されたランプ本体151を備える。ランプ本体151は、一端側の開口が不透明なガラスやセラミックスなどの絶縁材152により密封されている。絶縁材152により密封されたランプ本体151内には、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンなどの不活性ガスが封入されている。
不活性ガスを封入したランプ本体151からは、絶縁材152を貫通して、1対のリード線153A,153Bが引き出されている。これらリード線153A,153Bは、図8Aに示すように、絶縁材152を貫通して同一方向に、かつ、互いに平行に延在されている。これらリード線153A,153Bのランプ本体151内に位置する部分の長さは互いに異ならされている。すなわち、リード線153A,153Bのランプ本体151内に位置する端部53a,53bは、互いに向き合う方向に直角に折り曲げられ、これら端部53a,53bの間にフィラメント154が接続されている。このとき、ランプ本体151の内部におけるリード線153A、153Bの最も狭い間隔Lが所定の大きさとされている。
図8Aに示すランプ55は、図8Bに示すように形成されたケース56内に収納されてスピーカ用保護素子51を構成する。ここで用いるケース56も前述したケースと同様に、遮光性及び放熱性を有する材料、例えば鉄、アルミニウム、銅などの金属により、カップ状に形成されている。
ランプ55は、図8Cに示すように、ランプ本体151の先端側を挿入端として開口部56aを通じてケース56内に収納される。ケース56に収納されたランプ55は、ケース56の開口部56aに遮光性を有する接着剤が充填されることにより、ケース56の内部に固定される。接着剤155は、ケース56に収納されたランプ55の光がケース56の外部に漏れないように、開口部56aを密封して充填される。なお、ランプ本体151の基端部側から引き出された一対のリード線153A,153Bは、図8Cに示すように、接着剤155を貫通してケース56の外方に引き出されている。
このスピーカ用保護素子51も、前述した各スピーカ用保護素子11等と同様に、一方の入力端子5Aとスピーカユニット2との間に直列に接続してスピーカ装置12内に配設される。なお、ランプ55は、一対のリード線153A,153Bを介して、一方の入力端子5Aとスピーカユニット2との間に直列に接続されている。
本例のスピーカ用保護素子51を取り付けたスピーカ装置12は、スピーカユニット2に過大なレベルの入力が行われ、スピーカユニット2のボイスコイルが部分的にショートした場合には、ランプ55のケース本体151の内部において、リード線153A、153Bの間でアーク放電が発生する。このアーク放電の発生により、ランプ55のフィラメント154を流れる電流が遮断され、ランプ15の温度上昇が阻止される。
なお、我々の実験によれば、リード線153A、153Bの間でアーク放電を開始する電圧は、間隔L及びランプ本体151をに封入されている不活性ガスの種類により必要な値に設定できることが確認された。例えば、ランプ本体151の内部におけるリード線153A、153Bの最も狭い間隔Lを一定とした場合に、ランプ内部を真空とする場合よりも、不活性ガスを封入した場合の放電開始電圧は高くなり、更に封入する不活性ガスとして、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンなどガスの種類を変えた場合には、その放電開始電圧はこの順で相対的に低くなる。そして、リード線153A、153Bの最も狭い間隔Lが狭いほど放電開始電圧を低くすることができる。
更に、ランプ55がスピーカユニット2の保護動作を正常に行っている場合には、大きな入力状態のとき、ランプ6が点灯するが、ランプ55はケース56に収納されて遮光されているので、ランプ55の発する光がキャビネット3の内部を照らすことがない。したがって、スピーカユニット2に対する入力状態が過大になっても、キャビネット3の内部が明るくなったり、ポート4から光が漏れてたりして、ユーザに不快感を与えることがない。このスピーカ用保護素子51を用いたスピーカ装置も、映像機器と組み合わせて使用している場合でも、光が漏れてきて映像の鑑賞に支障をきたすこともない。
なお、本例のスピーカ用保護素子51においても、ケース56の内周面を、金属の光沢面のままとし、あるいは黒色に加工することにより、ランプ55が点灯したときの温度を制御できるので、ランプ55の耐久性やスピーカユニットに対する保護特性などを変更することができる。我々の実験によれば、ケース56をアルミニウム製とし、その内周面に酸化膜を形成して黒色あるいは赤色とし、更に、塗料を添加して金色とすることで、放電開始開始電圧やランプの耐久性を変化させることができた。この現象は、フィラメントより発せられた光がケース56の内周面で反射され、再びフィラメントに吸収されて加熱されるので、ケース56の内周面での光の反射率、吸収率あるいはケース56の外部への熱の放熱率などにより変化するものと理解される。また、ランプ本体151に封入される不活性ガスも、複数の不活性ガスを混合したものを用いるようにしてもよい。
更に、ランプ55を導電性を有するシーリング剤を用いてケース56にシーリングすれば、過大入力によりスピーカユニット2のボイスコイルの一部あるいは全体がショートしたときには、ケース56が冷陰極として動作してアーク放電が起き、この放電によりランプ55を流れる電流が遮断され、ランプ55の温度上昇が阻止される。
上述の例では、ランプ55をケース56に収納するようにしているが、ランプ55の表面に、塗装などによりセラミックス層を形成して遮光性を得るようにすることもできる。ここで、用いるセラミックスは、熱伝導性が劣るが、ランプ55の表面に塗装されるセラミックス層を薄くすれば、ランプ55の放熱特性を劣化させることもなく、ランプ55の耐久性を劣化させることもない。
なお、本発明は、上述した各実施の態様で示される構成を適宜組み合わせて構成することも勿論可能である。
産業上の利用可能性
上述したように、本発明は、スピーカ保護用ランプを遮光性を有するケース内に装填したので、過大入力によりランプが点灯しても、このランプの発する光がキャビネットの内部を照らしたり、バスレフ用ポートから光が漏れたりして、ユーザに不快感を与えることがない。そして、ランプを収納するケースを金属製とすることにより、ランプの耐久性を損なうことがない。
本発明は、ランプのリード線と遮光ケースとの間を適当な導電性を有するシーリング剤によりシーリングしているので、過大入力時にケースが冷陰極として動作してアーク放電が起き、この放電によりランプの電流が遮断され、ランプの温度上昇が阻止される。このシーリング剤の導電率を調整することにより、この放電が起きる電圧が調整され、保護するスピーカユニットの許容入力電圧に対応させることができる。
更に、本発明は、ランプ内部に不活性ガスを封入したことにより、過大入力時にランプの一対のリード線間に所定の電圧で放電を起こすことができ、ランプのフィラメントの電流が遮断され、ランプの温度上昇が阻止される。このガスの種類に応じて、ランプが放電を起こす電圧を調整することができる。したがって、本発明が適用されたスピーカ装置は、過大入力時にランプの温度が過度に上昇することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
図1は、過大な入力状態から保護するための回路を備えたスピーカ装置を示す断面図である。
図2Aは、本発明の第1の実施の形態に係るスピーカ用保護素子を構成するランプを示す側面図であり、図2Bは、ランプを収納するケースを示す斜視図であり、図2Cは、ランプをケースに収納したスピーカ用保護素子を示す側面図である。
図3は、本発明に係るスピーカ用保護素子を示す断面図である。
図4は、本発明に係るスピーカ用保護素子を設けたスピーカ装置を示す断面図である。
図5Aは、本発明に係るスピーカ用保護素子を構成するランプの他の例を示す側面図であり、図5Bは、ランプを収納するケースを示す斜視図であり、図5Cは、他の例のランプをケースに収納したスピーカ用保護素子を示す側面図である。
図6は、本発明の第2の実施の形態に係るスピーカ用保護素子を示す断面図である。
図7は、異なる例のランプを用いた本発明の第2の実施の形態に係るスピーカ用保護素子を示す側面図である。
図8Aは、本発明の第3の実施の形態に係るスピーカ用保護素子を構成するランプを示す側面図であり、図8Bは、ランプを収納するケースを示す斜視図であり、図8Cは、ランプをケースに収納したスピーカ用保護素子を示す側面図である。
Claims (20)
- スピーカユニットに直列接続されて上記スピーカユニットを過大入力から保護するランプと、
上記ランプの周囲に設けられてこのランプの発する光を遮光する遮光部材と
を備えるスピーカ用保護素子。 - 上記遮光部材が放熱性を有する金属ケースである請求の範囲第1項記載のスピーカ用保護素子。
- 上記遮光部材の内周面は黒色加工されている請求の範囲第2項記載のスピーカ用保護素子。
- 上記遮光部材は、その外周面に放熱用フィンが形成されている請求の範囲第2項記載のスピーカ用保護素子
- 上記遮光部材は、所定の厚さのセラミックス層である請求の範囲第1項記載のスピーカ用保護素子。
- 一対のリード線を備え、スピーカユニットに直列接続されて上記スピーカユニットを過大入力から保護するランプと、
上記ランプの周囲に設けられ、導電性を有する材料により構成された遮光性を有するケースとを有し、
上記ランプのリード線の少なくとも一方のリード線と上記遮光ケースとがシーリングされているスピーカ用保護素子。 - 上記シーリング剤は、所定の導電性を有する導電性シーリング剤である請求の範囲第6項記載のスピーカ用保護素子。
- 上記シーリング剤は、カーボン紛を混合した接着剤である請求の範囲第7項記載のスピーカ用保護素子。
- 上記遮光ケースは、上記ランプの形状に対応したカップ状あるいは円筒状の金属ケースである請求の範囲第6項記載のスピーカ用保護素子。
- 上記遮光ケースの内周面は黒色加工されている請求の範囲第6項記載のスピーカ用保護素子。
- 上記遮光ケースの内周面は、黒色加工されている請求の範囲第9項記載のスピーカ用保護素子。
- スピーカユニットに直列接続されて上記スピーカユニットを過大入力から保護するランプと、
上記ランプを収納する遮光性を有するケースとを備え、
上記ランプは、フィラメントと、上記フィラメントを収納したランプ本体と、上記フィラメントが接続された1対のリード線とを有し、
上記ランプのランプ本体内に不活性ガスが封入されるとともに、上記ランプ本体内において、上記1対のリード線が所定の間隔をもって配置されるスピーカ用保護素子。 - 上記不活性ガスは、ネオンあるいはアルゴンのガスである請求の範囲第12項記載のスピーカ用保護素子。
- 上記不活性ガスは、クリプトンあるいはキセノンのガスである請求の範囲第12項記載のスピーカー用保護素子。
- 上記不活性ガスは、複数の種類の不活性ガスを混合したガスである請求の範囲第12項記載のスピーカ用保護素子。
- 上記1対のリード線は、上記ランプ本体から同一方向に、かつ、互いに平行に引き出され、上記遮光性を有するケースは、カップ状の金属ケースである請求の範囲第12項記載のスピーカ用保護素子。
- 上記ランプが、導電性を有するシーリング剤により上記遮光性を有するケースにシーリングされている請求の範囲第16項記載のスピーカ用保護素子。
- スピーカユニットと、
上記スピーカユニットに直列接続されて上記スピーカユニットを過大入力から保護するランプとを備えるスピーカ装置において、
上記ランプは、その周囲に設けられてこのランプの発する光を遮光する遮光部材とを備えているスピーカ装置。 - スピーカユニットと、
一対のリード線を備え、上記スピーカユニットに直列接続されて上記スピーカユニットを過大入力から保護するランプとを備えるスピーカ装置において、
上記ランプは、その周囲に設けられ、導電性を有する材料により構成された遮光性を有するケースを有し、
上記ランプのリード線の少なくとも一方のリード線と上記遮光性を有するケースとがシーリング剤によりシーリングされているスピーカ装置。 - スピーカユニットと、
上記スピーカユニットに直列接続されて上記スピーカユニットを過大入力から保護するランプとを備えるスピーカ装置において、
フィラメントと、上記フィラメントを収納したランプ本体と、上記フィラメントが接続された1対のリード線とを有するランプと、
上記ランプ周囲に設けられて上記ランプの発する光を遮光する遮光ケースを備え、
上記ランプ本体内に不活性ガスが封入されるとともに、上記ランプ本体内において、上記1対のリード線が所定の間隔をもって配置されるスピーカ装置。
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