JPWO2002054894A1 - ブラジャーカップ及び衣類 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、バストラインを整えるため(胸部保形)若しくは補正するためにブラジャーやボディースーツなどの下着、或いは上着、更には水着などの各種衣類に適用されるブラジャーカップに関する。
背景技術
ブラジャーカップはバストラインを整えるためにある程度の形状サポート力が要求され、また、着用時に圧迫感無く且つ運動性も良好でなければならないため柔軟性も必要とされる。ブラジャーカップとしては例えばポリエステル系などの不織布を成形型にて加熱及び加圧して比較的柔軟に形成したものがある。このようなブラジャーカップを布地に一対縫製固定したブラジャーなどは、夫々の素材が比較的柔軟であるため、所要の形状サポート力を得ることができない場合がある。このため、ステンレスなどの金属ワイヤをブラジャーカップのボトムの湾曲形状に沿ってブラジャーの布地にブラジャーカップと一緒に縫製固定する構造が従来から採用されている。
しかしながら金属ワイヤを用いる構成は、ブラジャーなどの縫製工程を複雑化し、また、汗などで金属ワイヤが腐食しないようその材料も吟味しなければならず、コスト上昇をもたらし、その上、経時的に縫製部分が劣化するとワイヤが飛び出して怪我をする虞がある。
そこで、本発明者は、ブラジャーカップの縁辺に熱軟化性融着繊維を含む補強体を設ける技術について先に出願した(特開平8−246205号)。その後、本発明者は当該技術について鋭意検討した結果、形状サポート力の強化、そして製造容易化の観点より新たな改良の必要性を見出した。
本発明の目的は、金属ワイヤを用いることなく必要な形状サポート力を発揮させることができると共に製造が容易で、しかも、ワイヤ飛び出しによる事故を未然に防止することができるブラジャーカップ、並びに衣類を提供することにある。
発明の開示
本願発明に係る第1態様に係るブラジャーカップは、表面が湾曲凸状のカップ部及び前記カップ部から延在された鍔部を有し例えば不織布又はウレタンフォームから成る基体と、前記カップ部と鍔部の境界部分に沿って前記カップ部の湾曲凸状表面の一部に重ねて固定され例えば不織布又はウレタンフォームから成る補強体と、を有する。
第2の態様に係るブラジャーカップは、表面が湾曲凸状のカップ部及び前記カップ部から延在された鍔部を有し例えば不織布又はウレタンフォームから成る基体と、前記カップ部と鍔部の境界部分に沿って前記カップ部の湾曲凸状表面の一部及び鍔部の表面の一部に重ねて固定され例えば不織布又はウレタンフォームから成る補強体と、を有する。
第3の態様に係るブラジャーカップは、表面が湾曲凸状のカップ部及び前記カップ部から延在された鍔部を有し例えば不織布又はウレタンフォームから成る基体と、前記カップ部と鍔部の境界部分に沿って前記鍔部の表面の一部に重ねて固定され例えば不織布又はウレタンフォームから成る補強体と、を有する。
第4の態様に係るブラジャーカップは、表面が湾曲凸状のカップ部及び前記カップ部から延在された鍔部を有し例えば不織布又はウレタンフォームから成る基体と、前記カップ部と鍔部の境界部分に沿って前記カップ部の湾曲凸状裏面の一部に重ねて固定され例えば不織布又はウレタンフォームから成る補強体と、を有する。
第5の態様に係るブラジャーカップは、表面が湾曲凸状のカップ部及び前記カップ部から延在された鍔部を有し例えば不織布又はウレタンフォームから成る基体と、前記カップ部と鍔部の境界部分に沿って前記カップ部の湾曲凸状裏面の一部及び鍔部の裏面の一部に重ねて固定され例えば不織布又はウレタンフォームから成る補強体と、を有する。
第1乃至第5態様において、前記補強体の好適な一例は、熱軟化性の融着繊維を含む不織布であり、加熱及び加圧による前記融着繊維の溶融軟化にて基体に固定すればよい。基体にも同様に熱軟化性の融着繊維を含んでおけば更に良い。
上記加熱は、成形型を昇温して行い、或いは成形型による加圧前に素材それ自体に予じめ熱を加えておくようにしてもよい。
上記した手段によれば、加熱及び加圧等にて湾曲面が形成された基体だけでは不十分な形状サポート力を、第1に、カップ部から延在された鍔部で補強し、第2に、カップ部表面の補強体及び鍔部表面の補強体で強化する。したがって、本願発明に係るブラジャーカップを適用したブラジャーなどは形状サポート力強化のための金属ワイヤを縫製にて取り付けることを要しない。形状サポート力はカップ部と鍔部の境界部分近傍で強化されるから、補強体はブラジャーカップ全体の柔軟性を損なわない。また、補強体は面でブラジャーカップの形状サポート力を強化し、金属ワイヤのように線で強化するのとは異なるから、用途や柔軟性の好みに応じてカップの部位に対する形状サポート力の配分も自由に設定でき、その上、ブラジャーカップのデザインの自由度も向上させる。
さらに、補強体に融着繊維を含め、或は基体と補強体の双方に融着繊維を含めることにより、基体と補強体を同一の加熱及び加圧工程で一体的に成形するだけで双方を固定して成形する作業を効率化でき、上記ブラジャーカップの製造が極めて容易になる。ウレタンフォームと不織布、ウレタンフォーム同士の固定には熱接着を併用してよい。
補強体をカップ部の表面に配置することにより、基体に比べて硬い補強体を利用しても装着感を良好に維持することが容易である。
ブラジャーカップに要求される形状サポート力はハーフカップ、フルカップと言ったカップ形状、そしてカップの容積、さらには利用者の体格などによって相違されることが経験上見出されている。更にはデザインやプロポーションを重視する見地から形状サポート力の配分を考慮しなければならない場合もある。このような種々の要求に対して補強体の幅寸法を部分的に若しくは漸次変化させることによって対処できる。
上記ブラジャーカップは一対布地に縫製固定或は袋部分に挿入固定されて、ブラジャーやボディースーツなどの下着、或いは適宜の上着、更には水着などの各種衣類を構成することができる。
発明を実施するための最良の形態
第1図には本発明の第1態様に係るブラジャーカップが例示され、そのA−A線矢視断面は第2図に示される。
本実施例のブラジャーカップ1は表面が湾曲凸状のカップ部20及び前記カップ部20から延在された鍔部21を有し不織布の加熱及び加圧にて成形された基体2と、前記カップ部20と鍔部21の境界部分に沿って前記カップ部20の湾曲凸状表面の一部に重ねて固定された不織布から成る補強体3とを有し、図示を省略する成形型による加熱及び加圧にて一体的に成形されて成る。
前記基体2及び補強体3は、特に制限されないが、それぞれシート状のポリエステル系不織布を材料とする。不織布としては構成繊維の接着に合成樹脂ラテックス接着剤などを利用するもの、そして熱処理にて接着させる融着繊維(熱接着性繊維、バインダーファイバー)を利用するものがある。融着繊維は単一成分系のものと複合型のものとがあり、前者は、80〜220℃程度で解ける低融点の高分子化合物(ポリマー)からなる繊維であり、後者はそのような低融点ポリマーとそれよりも融点の高いポリマーとを芯鞘型に若しくは偏心型に複合したものである。現在市販されている単一成分系の融着繊維はポリエステル系のものがあり、複合型の低融点/高融点ポリマとしてはポリエステル/ポリエステル系、ポリエチレン/ポリエステル系、ポリエステル/ポリプロピレン系などがある。そのような融着繊維は非融着繊維と混合して利用することはもとより、それ単独でも利用できる。
前記補強体3及び基体2の夫々を構成するポリエステル系不織布は、ポリエステル繊維の他に当該ポリエステル繊維の溶融軟化点以下の温度例えば170℃程度で軟化する熱溶融性の上記融着繊維を含んでいる。融着繊維の配合比は基体2に比べて補強体3の方が多くされ、成形型による加熱及び加圧後の硬度は後者の方が高くなるようにされている。ポリエステル繊維と融着繊維との配合比率の一例を挙げると、基体2は、13デニールのポリエステル繊維を80%、4デニールの熱溶融性の融着繊維を20%含んで構成される。このとき補強体3は熱溶融性の融着繊維を50%以上含み、熱溶融性の融着繊維が100%であることを妨げない。
上記2種類の不織布を用いてブラジャーカップを成形するに当たり、その形状を規定するのに雄型及び雌型から成る成形型(図示を省略)を用いる。例えば、雄型の上に順次、第3図に示されるように、基体2の材料とされる不織布2a及び補強体3の材料とされる所定形状に裁断された不織布3aが位置決めされて積層配置され、その上を雌型で加圧する。そのときの成形型の温度は例えば170℃、圧力は1Kg/cm2とされる。そのように加熱及び加圧成形されると、不織布2a,3aはそれに含まれる融着繊維が溶融加圧された後に硬化する結果、成形型の雄型と雌型に挟まれた空間の形状を自立的に維持しようとし、且つ不織布2aと3aは融着される。加熱及び加圧成形後、ブラジャーカップ1はカップ部20に鍔部21を残した状態で裁断され、第1図に示される完成品とされる。
加熱及び加圧成形された後に裁断されたブラジャーカップ1において、第1図に示されるように、カップ部20は表面が湾曲凸状を呈し、カップ部20と鍔部21との境界部分はカップボトムBTMとされ、頂点部分はカップトップTOPとされる。鍔部21はカップボトムBTMから外方に延在されている。カップ部20の凸状湾曲面の形状は指で押せば容易に変形する柔軟性を有するが、前記融着繊維の作用によって指を離せば元に戻る。補強体3は、カップボトムBTMに沿った円弧を持つ概略扇形にされる。即ち、その長さ方向両端部から中央部に近づく程漸次大きくされた幅を持つようにされている。この補強体3は前記基体2よりも多く配合された融着繊維の作用によって基体2よりも硬くなっており、基体2に対するよりも大きな力を与えて初めて弾性変形する。
第4図には上記実施例のブラジャーカップ1を適用したブラジャーの一例が示される。1Rは右用のブラジャーカップ、1Lは左用のブラジャーカップであり、ブラジャーカップ1Rは第1図の形状を有し、ブラジャーカップ1Lは第1図に対して線対照の形状が設定されている。第4図のブラジャー5は、所定形状に裁断された綿布などの表地と裏地の間に一対のブラジャーカップ1R,1Lを挟み込んで縫製されて成る。
以上のように構成されたブラジャーカップ1は、加熱及び加圧にて湾曲面が形成された柔軟な基体2だけでは不十分な形状サポート力を、鍔部21及びその近傍に配置された補強体3が強化する。したがって、ブラジャーカップ1を適用したブラジャーなどは形状サポート力強化のための金属ワイヤを縫製にて取り付けることを要しない。形状サポート力はカップボトムBTM近傍で強化されるから、相対的に硬度の高い補強体3はブラジャーカップ全体の柔軟性を損なわない。さらに、前記補強体3を前記カップ部の湾曲凸状表面に配置するから、ブラジャーカップの使い心地若しくは装着感の悪化を未然に防止する事ができる。
さらに、ブラジャーカップ1の加熱及び加圧成形のために融着繊維を利用し、補強体3におけるその含有量を基体2に対するよりも多くすることにより、基体2と補強体3を同一の加熱及び加圧工程で一体的成形するだけで補強体3の硬度を相対的に高くすることができ、上記ブラジャーカップ1の製造を容易化することができる。
また、補強体3は、面でブラジャーカップの形状サポート力を強化し、金属ワイヤのように線で強化するのとは異なるから、用途や柔軟性の好みに応じてカップの部位に対する形状サポート力の配分も自由に設定でき、デザインの自由度も向上させることができる。例えば第5図のように補強体3の面積を第1図に比べて小さくすることができる。また、第6図のように補強体3が、カップボトムBTMの長さ方向両端部と中央部とで極大とされた幅を持つようにして、正面と共に左右側面部におても形状サポート力を相対的に大きくすることができる。或いは第7図及び第8図に示されるように、前記補強体3が、カップボトムBTMの長さ方向中央部から両端部に近づく程漸次大きくされた幅を持つようにして、ブラジャーカップの側面部での形状サポート力を相対的に大きくすることも容易である。そして、第9図のように補強体3の幅を一定にすることも可能である。さらに、第10図のように、補強体3を多層化する事も可能である。31,32は相互に硬度の相違される補強体である。用途や好みに応じ一方の補強体32に比べて他方の補強体31の硬度を相対的に高くしたり、その逆に設定することができる。
第11図には本発明の第2態様に係るブラジャーカップが例示される。同図に示されるブラジャーカップ1は、補強体3が鍔部21の表面に張り出して固定されている点が第1図と相違される。これにより、鍔部21による形状サポート力も補強体3により強化される。
第12図には本発明の第3態様に係るブラジャーカップが例示される。同図に示されるブラジャーカップは、カップ部20の形状サポート力を鍔部21とそこに設けた補強体3で実現した点が第1図の構成と相違される。
第13図には本発明の第4態様に係るブラジャーカップが例示される。同図に示されるブラジャーカップは、鍔部21の面積を大きくし、更に、第14図の断面からも明らかなように補強体3をカップ部2の湾曲凸状裏面に固定した点が第1図の構成と相違される。
第15図には本発明の第5態様に係るブラジャーカップが例示される。同図に示されるブラジャーカップは、鍔部21の面積を大きくし、更に、第16図の断面からも明らかなように、補強体3をカップ部2の湾曲凸状裏面から鍔部21の裏面に張り出して固定し、更に、補強体3の上から全体を被覆布4で覆って構成した点が第1図の構成と相違される。前記被覆布4には同じく不織布を採用してよいが、柔軟性を損なわないように融着繊維の含有量は少ない方がよい。
以上本発明者によってなされた発明を実施例に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。基体はポリエステル系不織布に限定されず、ポリウレタン系やポリプロピレン系不織布などを採用することも可能である。或いはポリエステル類又はポリエーテル類のウレタンフォームを用いることも可能である。補強体としても上記ウレタンフォームを採用することが可能である。ウレタンフォーム同士、ウレタンフォームと不織布との固定には熱接着を併用するとよい。更に、基体又は補強体には不織布又はポリウレタンフォーム以外に織布を用いてもよい。ブラジャーカップは上記実施例のフルカップのサイズに限定されずハーフカップなどその大きさや全体的な形状は種々変更可能である。鍔部の大きさ及び形状は適宜変更可能である。
また上記実施例では素材に対する加熱及び加圧をともに成形型にて行う場合について説明したが、予じめ素材を炉の中で加熱してから成形型にて加圧することも可能である。双方を併用してもよい。
更に、ブラジャーカップはボディースーツや水着などの種々の衣類に適用することができる。
産業上の利用可能性
本発明は、ブラジャーやボディースーツ等の下着、ドレス等の適宜の上着、或いは水着等の各種衣類に用いられるブラジャーカップに広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の第1態様に係るブラジャーカップの斜視図である。
第2図は第1図のA−A線矢視断面図である。
第3図は加熱及び加圧成形前後の状態を代表的に示す製造工程説明図である。
第4図は第1図のブラジャーカップを適用したブラジャーの一実施例正面図である。
第5図は第1態様のブラジャーカップに別の形状の補強体を採用した実施例を示す斜視図である。
第6図は第1態様のブラジャーカップに別の形状の補強体を採用した実施例を示す斜視図である。
第7図は第1態様のブラジャーカップに第1の別の形状の補強体を採用した実施例を示す斜視図である。
第8図は第1態様のブラジャーカップに第2の別の形状の補強体を採用した実施例を示す斜視図である。
第9図は第1態様のブラジャーカップに第3の別の形状の補強体を採用した実施例を示す斜視図である。
第10図は第1態様のブラジャーカップに第4の別の形状の補強体を採用した実施例を示す斜視図である。
第11図は第2態様に係るブラジャーカップの斜視図である。
第12図は第3態様に係るブラジャーカップの斜視図である。
第13図は第4態様に係るブラジャーカップの斜視図である。
第14図は第13図のA−A線矢視断面図である。
第15図は第5態様に係るブラジャーカップの斜視図である。
第16図は第15図のA−A線矢視断面図である。
Claims (8)
- 表面が湾曲凸状のカップ部及び前記カップ部から延在された鍔部を有する基体と、前記カップ部と鍔部の境界部分に沿って前記カップ部の湾曲凸状表面の一部に重ねて固定された補強体と、を有して成るものであることを特徴とするブラジャーカップ。
- 表面が湾曲凸状のカップ部及び前記カップ部から延在された鍔部を有する基体と、前記カップ部と鍔部の境界部分に沿って前記カップ部の湾曲凸状表面の一部及び鍔部の表面の一部に重ねて固定された補強体と、を有して成るものであることを特徴とするブラジャーカップ。
- 表面が湾曲凸状のカップ部及び前記カップ部から延在された鍔部を有する基体と、前記カップ部と鍔部の境界部分に沿って前記鍔部の表面の一部に重ねて固定された補強体と、を有して成るものであることを特徴とするブラジャーカップ。
- 表面が湾曲凸状のカップ部及び前記カップ部から延在された鍔部を有する基体と、前記カップ部と鍔部の境界部分に沿って前記カップ部の湾曲凸状裏面の一部に重ねて固定された補強体と、を有して成るものであることを特徴とするブラジャーカップ。
- 表面が湾曲凸状のカップ部及び前記カップ部から延在された鍔部を有する基体と、前記カップ部と鍔部の境界部分に沿って前記カップ部の湾曲凸状裏面の一部及び鍔部の裏面の一部に重ねて固定された補強体と、を有して成るものであることを特徴とするブラジャーカップ。
- 前記基体は不織布又はポリウレタンフォームから成り、前記補強体は不織布又はポリウレタンフォームから成るものであることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第5項の何れか1項記載のブラジャーカップ。
- 前記基体及び補強体の一方又は双方は、熱軟化性の融着繊維を含む不織布であり、加熱及び加圧による前記融着繊維の溶融軟化を介して基体に補強体が固定されたものであることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第5項の何れか1項記載のブラジャーカップ。
- 請求の範囲第1項乃至第7項の何れか1項記載のブラジャーカップが布地に一対取り付けられたものであることを特徴とする衣類。
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