JPWO2002051423A1 - 血管新生阻害剤 - Google Patents
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Abstract
2−デオキシ−L−リボース、2−デオキシ−L−リボースのヒドロキシル基のメチル化および/またはアシル化誘導体並びに2−デオキシ−D−リボースのヒドロキシル基のメチル化および/またはアシル化誘導体からなるなる群から選択される少なくとも1種の化合物を有効成分としてなる血管新生阻害剤およびTPによる腫瘍の転移亢進を抑制する薬剤。
Description
技術分野
この発明は、癌などの腫瘍に酸素や栄養を送り込むための血管の新生を阻害する活性を有する2−デオキシ−L−リボース、2−デオキシ−L−リボースのメチル化および/またはアシル化誘導体および2−デオキシ−D−リボースのヒドロキシル基のメチル化および/またはアシル化誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を利用した腫瘍の増殖、浸潤または転移抑制剤に関する。
本発明は、癌細胞の増殖を直接阻害する、あるいは癌細胞を殺すタイプの抗癌剤とは異なるものである。癌が転移を形成するためには、腫瘍原発巣からの癌細胞の遊離、血管内への侵入、血管内の移動、血管基底膜への接着、血管外への脱出、転移臓器内での増殖などの過程を経過する。したがって、癌転移抑制薬は、これらのいずれかの過程を阻害する薬剤であり、〔バイオサイエンス・シリーズ(Bioscience Series)、「癌の悪性化と転移」、清木元治 編、中外医学社、1993年〕、血管新生阻害活性物質を用いることにより、癌の転移などを抑制するものである。
背景技術
新しく血管が作られる過程は血管新生とよばれている。血管の新生は多くの病気と深くかかわっていることがわかっている。すなわち癌、糖尿病性網膜症、加齢性黄斑変性、尋常性乾癬、慢性関節リウマチなどの病態に血管新生がかかわっている。なかでも、癌における血管新生の研究は最近非常に注目されている。癌細胞が増殖して1〜2mm3の大きさになると、さらに大きく成長するために多くの酸素と栄養が必要となる。癌細胞は血管新生因子とよばれる血管新生を促す因子を放出し、近くの血管から新しい血管の造成を促して腫瘍内に血管を引き込むことにより、血液内の酸素と栄養物を利用し爆発的に増殖速度を増すことができる。また、この腫瘍内微小血管(microvessel)を経由して遠隔転移が可能となる。
前記癌における血管新生のこのように重要な役割を考えると、従来の化学療法とは異なるタイプの、癌の血管新生を阻害し、癌を兵糧攻めにして、癌の増殖、浸潤、転移を抑制する薬剤の開発は急務であり、事実、多くの血管新生を阻害する薬剤が開発され、臨床応用への努力が活発になされているが、現在までに血管新生阻害剤として承認された薬剤はない。理由としては、ペプチドであるために製造や使用が簡便でなかったり、副作用の出現などがあげられる。
副作用の少ない、製造や使用が簡便な低分子の血管新生阻害剤の開発が期待されている。
このように、血管新生を標的とする治療薬の開発は原発腫瘍の増大のみならず転移を阻止する可能性を有する。血管新生抑制剤は従来の抗癌剤とは異なり、腫瘍細胞そのものの殺細胞効果をめざしたものではなく、腫瘍への酸素と栄養を断つことをめざしており腫瘍の増大と転移を阻止することによって癌と共存していける可能性を秘めている。この概念はいわゆる癌の休眠療法とよばれるもので米国のフォークマン博士らにより、アンジオスタチンが発見されこのような概念が提唱された。血管新生抑制剤は抗癌剤に比べ、直接細胞を殺さないので副作用が弱く、耐性がおきにくく、抗癌スペクトルが広いという利点がある。従って、癌患者に対する負担が少なくて安全に長期投与できるという利点がある。
臨床試験中の血管新生阻害剤としては、内皮細胞の細胞内情報伝達を阻害する薬剤、基底膜分解酵素阻害剤、阻害機構不明のもの、などがある。このうち、抗体やペプチドは使用の時の利便性に疑問があり、基底膜分解酵素阻害剤には、筋肉痛などの予期せぬ副作用が出現し問題になっている。血管新生因子VEGF(vascular endothelial growth factor)の受容体であるKDR/F1k−1のチロシンキナーゼを特異的に阻害する薬剤は、VEGFによる血管新生のみを阻害することが予想される。広範な種類の癌で、チミジンホスホリラーゼ(TP)というピリミジンヌクレオシドの代謝に関与する酵素TPの発現が亢進している。これらの癌ではTPの活性あるいは発現レベルと微小血管数が関連性があり、TPはこれらの癌の血管新生に重要な役割を担っている。大腸癌、分化型胃癌、腎癌などの症例では、TPは予後因子である。
TPによる血管新生を阻害することにより、これらの癌の増殖や転移を抑制することができるのではないかと考えられる。発明者らは最近TPの酵素活性阻害剤TPIを開発した。TPIはTP発現腫瘍の増殖と転移を抑制した。TPIはTPの酵素活性を阻害することにより、TPの有する生体に重要な生理機能を抑制する可能性がある。実際にTPによる血管新生を担っているのは、TPの基質であるチミジンの分解産物2−デオキシ−D−リボース(2−deoxy−D−ribose)である(Nature 368,198,1994年参照)。2−デオキシ−D−リボースの作用を特異的に阻害する低分子物質は、より特異的にTPによる血管新生を阻害することが考えられる。
本願発明の課題は該血管新生阻害活性低分子物質を提供することである。
広範な種類の癌において、チミジンホスホリラーゼ(TP)というピリミジンヌクレオシドの代謝に関与する酵素の発現が亢進している。TPは、血管新生因子である血小板由来血管内皮細胞増殖因子(platelet−derived endothelial cell growth factor:PD−ECGF)と同一蛋白質である。
TPによる血管新生にはその酵素活性が必要であることから、TPの基質であるチミジンの分解産物中に血管新生活性を有する物質がないかを調べ、2−デオキシ−D−リボースに血管新生活性のあることを突き止め、さらに、該化合物の立体異性体である2−デオキシ−L−リボースが、TPによる血管新生を抑制することを発見し、前記本発明の課題を解決した。
発明の開示
本発明の第1は、2−デオキシ−L−リボース、2−デオキシ−L−リボースのヒドロキシル基のメチル化および/またはアシル化誘導体並びに2−デオキシ−D−リボースのヒドロキシル基のメチル化および/またはアシル化誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を有効成分とする血管新生阻害剤である。
本発明の第2は、2−デオキシ−L−リボース、2−デオキシ−L−リボースのヒドロキシル基のメチル化および/またはアシル化誘導体並びに2−デオキシ−D−リボースのヒドロキシル基のメチル化および/またはアシル化誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を血管新生阻害作用の有効成分として含む製剤である。
本発明の第3は、2−デオキシ−L−リボース、2−デオキシ−L−リボースのヒドロキシル基のメチル化および/またはアシル化誘導体並びに2−デオキシ−D−リボースのヒドロキシル基のメチル化および/またはアシル化誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を血管新生阻害作用の有効成分として含む腫瘍の増殖、浸潤または転移抑制製剤である。
発明を実施するための最良の形態
本発明を詳細に説明する。
A.2−デオキシ−D−リボースの血管新生作用を特異的に阻害する低分子物質としては、
(1)、2−デオキシ−L−リボース、2−デオキシ−L−リボースのヒドロキシル基の一部または全てをメチル化および/またはアシル化、例えば、アセチル化、ベンゾイル化2−デオキシ−L−リボース、および
(2)、2−デオキシ−D−リボースのヒドロキシル基の一部または全てをメチル化および/またはアシル化、例えば、アセチル化、ベンゾイル化したものを挙げることができる。
特に、前記(1)の群の化合物を好ましいものとして挙げることができる。
B.本発明の血管新生阻害剤、医薬製剤は、毒性が低く副作用も少ないので、哺乳動物(例えば、ヒト、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、サル、マウス、ラットなど、特にヒト)における種々の疾患、例えば、癌の転移などの予防および/または治療に有効で、かつ長期投与が可能である。
本発明の血管新生阻害剤、医薬製剤は、原末のままで用いてもよいが、通常、下記の医薬製剤用担体を適宜、適量用いて、常法に従って製剤化される。
該「医薬製剤用担体」としては、例えば賦形剤、増粘剤、崩壊剤、分散剤、分散助剤、溶剤(例えば、注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油など)、分散剤(例えば、ツイーン80、HCO60、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなど)、溶解補助剤(例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなど)、懸濁化剤(例えば、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシメチルセルロースなど)、無痛化剤(例えば、ベンジルアルコールなど)、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム、グリセリンなど)、緩衝剤(例えば、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩など)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、澱粉類、安息香酸ナトリウムなど)、着色剤(例えば、タール色素、カラメル、三二酸化鉄、酸化チタン、リボフラビン類など)、矯味剤(例えば、甘味類、香料など)、安定剤(例えば、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸など)、保存剤(例えば、パラベン類、ソルビン酸など)、生体内分解性高分子重合物(例えば、乳酸−グリコール酸共重合体、乳酸−酪酸共重合体など)、シクロデキストリン(例えば、マルトシル−β−シクロデキストリン、マルトシル−β−シクロデキストリンカルボン酸など)、水酸化ナトリウムおよびミグリオール類などが挙げられる。
製剤の製造法を以下に示すが、もちろんこれらに限定されるものではない。
錠剤血管新生阻害作用物質またはその塩をそのまま、または賦形剤、結合剤、崩壊剤もしくはそのほかの適当な添加剤を加えて均等に混和したものを、適当な方法で顆粒状とした後、滑沢剤などを加え、圧縮成型する。次いで、必要により、腸溶性あるいは持続性などの目的のために、適当なコーティング剤で剤皮を施されていてもよい。
注射剤血管新生阻害作用物質またはその塩の一定量を、必要により安定剤、溶解補助剤、懸濁化剤、乳化剤、緩衝剤、保存剤、シクロデキストリンシクロデキストリン、水酸化ナトリウムなどを加えて、注射用水などに溶解、懸濁もしくは乳化して一定用量とする。
本願の血管新生阻害剤、医薬製剤は経口投与(徐放性を含む)、非経口投与、すなわち静脈内投与(bolus、infusion、包接体を含む)、皮下および筋注(bolus、infusion、徐放性を含む)、経皮、腫瘍内および近位投与によって投与されるのが好ましい。前記剤の用量は、選択される化合物、投与対象に選ばれる動物種、その投与回数などにより変化するが、広範囲にわたって有効性を発揮する。
本発明の前記剤を経口投与する場合の一日当たりの投与量は、血管新生阻害作用物質の有効量として、通常、約0.01mg/kg体重ないし約100mg/kg体重、好ましくは、約0.1ないし40mg/kg体重、さらに好ましくは、約1ないし約20mg/kg体重である。
実際に投与される有効成分の量は、有効成分の選択、各種製剤形態、患者の年齢、体重、性別、疾患の程度、投与経路、その投与を実施する期間および間隔などの状況によって適宜決定されるものであり、医者の判断によって随時変更が可能である。
実施例
以下本発明を実施例によって更に詳細に説明する。これは本発明の有用性を更に明確にすることを意図するものであって、本発明を限定するものではない。
実施例1
BAE細胞(牛の大動脈の血管内皮細胞)のケモタクシスに対する2−デオキシ−L−リボースの効果についての実験結果を図1に示す。
接種細胞数400000、インキュベーション4.5時間、
chamber coated by type 1 collagen:MTT法
左から、1:DMEM+1%FCS(牛胎児血清)、
2:1+bFGF(血管新生因子)10ng/mL、
3:1+2DDR(2−デオキシ−D−リボース)1μM
4:1+2DDR10μM
5:1+2DDR100μM
6:1+2DDR10μM+2DLR100μM
4と6とを対比すると、2DLR(2−デオキシ−L−リボース)の効果は明らかである。
実施例2
製剤の調製。
2−デオキシ−L−リボース150mgを30mlの生理食塩水に溶解させ注射薬を調製した。
実験例
TPcDNAをトランスフェクトしたTP高発現KB細胞(KB/TP)とベクターをトランスフェクトしたTP非発現KB細胞(KB/CV)をリン酸緩衝液PBSで2回洗浄し、1×105個づつミリポアチャンバー(直径10mm、厚さ2mm、フィルターポアサイズ0.22μm)に入れ、7〜8週齢雄BALB/cマウスの背部皮下に挿入する。
2−デオキシ−L−リボース(100mg/kg/day)を12時間ごとに4日間腹腔内に投与する。移植後4日目にミリポアチャンバーを取り除き、ミリポアチャンバーに接した皮下の新生血管数(長さ3mm以上、ジグザグパターンを示すもの)を顕微鏡下に数える。
顕微鏡観測結果を図2(写真、A、B、C、D)に示す。
KB/TP細胞(B)による新生血管数は4.33個、KB/CV細胞(A)による新生血管数は2.67個、であった。2−デオキシ−L−リボースを投与すると(D)KB/TP細胞で2.83個、KB/CV細胞(C)で2.83個になった。これらの結果は2−デオキシ−L−リボースがTPによる血管新生を完全に抑制していることを示している。
実施例3
7〜8週齢のBalb/cヌードマウスをnembutal(Pentobarbital)で麻酔し、腹部に少切開を入れ脾臓を視下におき脾臓に実施例2で述べたKB/CVまたはKB/TP細胞を各々1×105個注入した。脾臓を1分後に摘出除去し切開部を縫合した。2−デオキシ−L−リボース(100mg/kg/日)を毎日朝夕2回に分けて、または隔日全量を1回、皮下注射した。
コントロール群には生理食塩水(Salin)を同量注射した。治療を開始して4週間後に開腹し肝臓を摘出して転移巣の数を数えた。
図3は一群6匹で実験を行い平均した転移巣の数を示す。KB/TP細胞の転移巣の数はKB/CV細胞の転移巣の数より明らかに多く、KB/TP細胞を脾臓に注入したあと、2−デオキシ−L−リボース(100mg/kg/日)を毎日朝夕2回皮下注射した群(LR)、または隔日全量を1回、皮下注射した群(3tim)では、転移巣の数がKB/CV細胞による転移巣の数より少なかった。
これらの所見は、2−デオキシ−L−リボースがTPによる脾臓から肝臓への腫瘍の転移の亢進を完全に抑制していることを示している。
産業の利用可能性
以上述べたように、2−デオキシ−L−リボースなどにより、TPによる血管新生および腫瘍の転移を完全に抑制できるという優れた効果がもたらされ、2−デオキシ−L−リボースなどを有効成分とする腫瘍の増殖、浸潤または転移抑制剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、2−デオキシ−L−リボースによる牛の大動脈の血管内皮細胞における遊走亢進の阻害特性を示す。
第2図は、2−デオキシ−L−リボースによる血管新生の阻害効果を顕微鏡観測した結果を示す。
第3図は、2−デオキシ−L−リボースによるTPによる肝臓への腫瘍の転移の抑制特性を示す。
この発明は、癌などの腫瘍に酸素や栄養を送り込むための血管の新生を阻害する活性を有する2−デオキシ−L−リボース、2−デオキシ−L−リボースのメチル化および/またはアシル化誘導体および2−デオキシ−D−リボースのヒドロキシル基のメチル化および/またはアシル化誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を利用した腫瘍の増殖、浸潤または転移抑制剤に関する。
本発明は、癌細胞の増殖を直接阻害する、あるいは癌細胞を殺すタイプの抗癌剤とは異なるものである。癌が転移を形成するためには、腫瘍原発巣からの癌細胞の遊離、血管内への侵入、血管内の移動、血管基底膜への接着、血管外への脱出、転移臓器内での増殖などの過程を経過する。したがって、癌転移抑制薬は、これらのいずれかの過程を阻害する薬剤であり、〔バイオサイエンス・シリーズ(Bioscience Series)、「癌の悪性化と転移」、清木元治 編、中外医学社、1993年〕、血管新生阻害活性物質を用いることにより、癌の転移などを抑制するものである。
背景技術
新しく血管が作られる過程は血管新生とよばれている。血管の新生は多くの病気と深くかかわっていることがわかっている。すなわち癌、糖尿病性網膜症、加齢性黄斑変性、尋常性乾癬、慢性関節リウマチなどの病態に血管新生がかかわっている。なかでも、癌における血管新生の研究は最近非常に注目されている。癌細胞が増殖して1〜2mm3の大きさになると、さらに大きく成長するために多くの酸素と栄養が必要となる。癌細胞は血管新生因子とよばれる血管新生を促す因子を放出し、近くの血管から新しい血管の造成を促して腫瘍内に血管を引き込むことにより、血液内の酸素と栄養物を利用し爆発的に増殖速度を増すことができる。また、この腫瘍内微小血管(microvessel)を経由して遠隔転移が可能となる。
前記癌における血管新生のこのように重要な役割を考えると、従来の化学療法とは異なるタイプの、癌の血管新生を阻害し、癌を兵糧攻めにして、癌の増殖、浸潤、転移を抑制する薬剤の開発は急務であり、事実、多くの血管新生を阻害する薬剤が開発され、臨床応用への努力が活発になされているが、現在までに血管新生阻害剤として承認された薬剤はない。理由としては、ペプチドであるために製造や使用が簡便でなかったり、副作用の出現などがあげられる。
副作用の少ない、製造や使用が簡便な低分子の血管新生阻害剤の開発が期待されている。
このように、血管新生を標的とする治療薬の開発は原発腫瘍の増大のみならず転移を阻止する可能性を有する。血管新生抑制剤は従来の抗癌剤とは異なり、腫瘍細胞そのものの殺細胞効果をめざしたものではなく、腫瘍への酸素と栄養を断つことをめざしており腫瘍の増大と転移を阻止することによって癌と共存していける可能性を秘めている。この概念はいわゆる癌の休眠療法とよばれるもので米国のフォークマン博士らにより、アンジオスタチンが発見されこのような概念が提唱された。血管新生抑制剤は抗癌剤に比べ、直接細胞を殺さないので副作用が弱く、耐性がおきにくく、抗癌スペクトルが広いという利点がある。従って、癌患者に対する負担が少なくて安全に長期投与できるという利点がある。
臨床試験中の血管新生阻害剤としては、内皮細胞の細胞内情報伝達を阻害する薬剤、基底膜分解酵素阻害剤、阻害機構不明のもの、などがある。このうち、抗体やペプチドは使用の時の利便性に疑問があり、基底膜分解酵素阻害剤には、筋肉痛などの予期せぬ副作用が出現し問題になっている。血管新生因子VEGF(vascular endothelial growth factor)の受容体であるKDR/F1k−1のチロシンキナーゼを特異的に阻害する薬剤は、VEGFによる血管新生のみを阻害することが予想される。広範な種類の癌で、チミジンホスホリラーゼ(TP)というピリミジンヌクレオシドの代謝に関与する酵素TPの発現が亢進している。これらの癌ではTPの活性あるいは発現レベルと微小血管数が関連性があり、TPはこれらの癌の血管新生に重要な役割を担っている。大腸癌、分化型胃癌、腎癌などの症例では、TPは予後因子である。
TPによる血管新生を阻害することにより、これらの癌の増殖や転移を抑制することができるのではないかと考えられる。発明者らは最近TPの酵素活性阻害剤TPIを開発した。TPIはTP発現腫瘍の増殖と転移を抑制した。TPIはTPの酵素活性を阻害することにより、TPの有する生体に重要な生理機能を抑制する可能性がある。実際にTPによる血管新生を担っているのは、TPの基質であるチミジンの分解産物2−デオキシ−D−リボース(2−deoxy−D−ribose)である(Nature 368,198,1994年参照)。2−デオキシ−D−リボースの作用を特異的に阻害する低分子物質は、より特異的にTPによる血管新生を阻害することが考えられる。
本願発明の課題は該血管新生阻害活性低分子物質を提供することである。
広範な種類の癌において、チミジンホスホリラーゼ(TP)というピリミジンヌクレオシドの代謝に関与する酵素の発現が亢進している。TPは、血管新生因子である血小板由来血管内皮細胞増殖因子(platelet−derived endothelial cell growth factor:PD−ECGF)と同一蛋白質である。
TPによる血管新生にはその酵素活性が必要であることから、TPの基質であるチミジンの分解産物中に血管新生活性を有する物質がないかを調べ、2−デオキシ−D−リボースに血管新生活性のあることを突き止め、さらに、該化合物の立体異性体である2−デオキシ−L−リボースが、TPによる血管新生を抑制することを発見し、前記本発明の課題を解決した。
発明の開示
本発明の第1は、2−デオキシ−L−リボース、2−デオキシ−L−リボースのヒドロキシル基のメチル化および/またはアシル化誘導体並びに2−デオキシ−D−リボースのヒドロキシル基のメチル化および/またはアシル化誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を有効成分とする血管新生阻害剤である。
本発明の第2は、2−デオキシ−L−リボース、2−デオキシ−L−リボースのヒドロキシル基のメチル化および/またはアシル化誘導体並びに2−デオキシ−D−リボースのヒドロキシル基のメチル化および/またはアシル化誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を血管新生阻害作用の有効成分として含む製剤である。
本発明の第3は、2−デオキシ−L−リボース、2−デオキシ−L−リボースのヒドロキシル基のメチル化および/またはアシル化誘導体並びに2−デオキシ−D−リボースのヒドロキシル基のメチル化および/またはアシル化誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を血管新生阻害作用の有効成分として含む腫瘍の増殖、浸潤または転移抑制製剤である。
発明を実施するための最良の形態
本発明を詳細に説明する。
A.2−デオキシ−D−リボースの血管新生作用を特異的に阻害する低分子物質としては、
(1)、2−デオキシ−L−リボース、2−デオキシ−L−リボースのヒドロキシル基の一部または全てをメチル化および/またはアシル化、例えば、アセチル化、ベンゾイル化2−デオキシ−L−リボース、および
(2)、2−デオキシ−D−リボースのヒドロキシル基の一部または全てをメチル化および/またはアシル化、例えば、アセチル化、ベンゾイル化したものを挙げることができる。
特に、前記(1)の群の化合物を好ましいものとして挙げることができる。
B.本発明の血管新生阻害剤、医薬製剤は、毒性が低く副作用も少ないので、哺乳動物(例えば、ヒト、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、サル、マウス、ラットなど、特にヒト)における種々の疾患、例えば、癌の転移などの予防および/または治療に有効で、かつ長期投与が可能である。
本発明の血管新生阻害剤、医薬製剤は、原末のままで用いてもよいが、通常、下記の医薬製剤用担体を適宜、適量用いて、常法に従って製剤化される。
該「医薬製剤用担体」としては、例えば賦形剤、増粘剤、崩壊剤、分散剤、分散助剤、溶剤(例えば、注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油など)、分散剤(例えば、ツイーン80、HCO60、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなど)、溶解補助剤(例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなど)、懸濁化剤(例えば、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシメチルセルロースなど)、無痛化剤(例えば、ベンジルアルコールなど)、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム、グリセリンなど)、緩衝剤(例えば、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩など)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、澱粉類、安息香酸ナトリウムなど)、着色剤(例えば、タール色素、カラメル、三二酸化鉄、酸化チタン、リボフラビン類など)、矯味剤(例えば、甘味類、香料など)、安定剤(例えば、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸など)、保存剤(例えば、パラベン類、ソルビン酸など)、生体内分解性高分子重合物(例えば、乳酸−グリコール酸共重合体、乳酸−酪酸共重合体など)、シクロデキストリン(例えば、マルトシル−β−シクロデキストリン、マルトシル−β−シクロデキストリンカルボン酸など)、水酸化ナトリウムおよびミグリオール類などが挙げられる。
製剤の製造法を以下に示すが、もちろんこれらに限定されるものではない。
錠剤血管新生阻害作用物質またはその塩をそのまま、または賦形剤、結合剤、崩壊剤もしくはそのほかの適当な添加剤を加えて均等に混和したものを、適当な方法で顆粒状とした後、滑沢剤などを加え、圧縮成型する。次いで、必要により、腸溶性あるいは持続性などの目的のために、適当なコーティング剤で剤皮を施されていてもよい。
注射剤血管新生阻害作用物質またはその塩の一定量を、必要により安定剤、溶解補助剤、懸濁化剤、乳化剤、緩衝剤、保存剤、シクロデキストリンシクロデキストリン、水酸化ナトリウムなどを加えて、注射用水などに溶解、懸濁もしくは乳化して一定用量とする。
本願の血管新生阻害剤、医薬製剤は経口投与(徐放性を含む)、非経口投与、すなわち静脈内投与(bolus、infusion、包接体を含む)、皮下および筋注(bolus、infusion、徐放性を含む)、経皮、腫瘍内および近位投与によって投与されるのが好ましい。前記剤の用量は、選択される化合物、投与対象に選ばれる動物種、その投与回数などにより変化するが、広範囲にわたって有効性を発揮する。
本発明の前記剤を経口投与する場合の一日当たりの投与量は、血管新生阻害作用物質の有効量として、通常、約0.01mg/kg体重ないし約100mg/kg体重、好ましくは、約0.1ないし40mg/kg体重、さらに好ましくは、約1ないし約20mg/kg体重である。
実際に投与される有効成分の量は、有効成分の選択、各種製剤形態、患者の年齢、体重、性別、疾患の程度、投与経路、その投与を実施する期間および間隔などの状況によって適宜決定されるものであり、医者の判断によって随時変更が可能である。
実施例
以下本発明を実施例によって更に詳細に説明する。これは本発明の有用性を更に明確にすることを意図するものであって、本発明を限定するものではない。
実施例1
BAE細胞(牛の大動脈の血管内皮細胞)のケモタクシスに対する2−デオキシ−L−リボースの効果についての実験結果を図1に示す。
接種細胞数400000、インキュベーション4.5時間、
chamber coated by type 1 collagen:MTT法
左から、1:DMEM+1%FCS(牛胎児血清)、
2:1+bFGF(血管新生因子)10ng/mL、
3:1+2DDR(2−デオキシ−D−リボース)1μM
4:1+2DDR10μM
5:1+2DDR100μM
6:1+2DDR10μM+2DLR100μM
4と6とを対比すると、2DLR(2−デオキシ−L−リボース)の効果は明らかである。
実施例2
製剤の調製。
2−デオキシ−L−リボース150mgを30mlの生理食塩水に溶解させ注射薬を調製した。
実験例
TPcDNAをトランスフェクトしたTP高発現KB細胞(KB/TP)とベクターをトランスフェクトしたTP非発現KB細胞(KB/CV)をリン酸緩衝液PBSで2回洗浄し、1×105個づつミリポアチャンバー(直径10mm、厚さ2mm、フィルターポアサイズ0.22μm)に入れ、7〜8週齢雄BALB/cマウスの背部皮下に挿入する。
2−デオキシ−L−リボース(100mg/kg/day)を12時間ごとに4日間腹腔内に投与する。移植後4日目にミリポアチャンバーを取り除き、ミリポアチャンバーに接した皮下の新生血管数(長さ3mm以上、ジグザグパターンを示すもの)を顕微鏡下に数える。
顕微鏡観測結果を図2(写真、A、B、C、D)に示す。
KB/TP細胞(B)による新生血管数は4.33個、KB/CV細胞(A)による新生血管数は2.67個、であった。2−デオキシ−L−リボースを投与すると(D)KB/TP細胞で2.83個、KB/CV細胞(C)で2.83個になった。これらの結果は2−デオキシ−L−リボースがTPによる血管新生を完全に抑制していることを示している。
実施例3
7〜8週齢のBalb/cヌードマウスをnembutal(Pentobarbital)で麻酔し、腹部に少切開を入れ脾臓を視下におき脾臓に実施例2で述べたKB/CVまたはKB/TP細胞を各々1×105個注入した。脾臓を1分後に摘出除去し切開部を縫合した。2−デオキシ−L−リボース(100mg/kg/日)を毎日朝夕2回に分けて、または隔日全量を1回、皮下注射した。
コントロール群には生理食塩水(Salin)を同量注射した。治療を開始して4週間後に開腹し肝臓を摘出して転移巣の数を数えた。
図3は一群6匹で実験を行い平均した転移巣の数を示す。KB/TP細胞の転移巣の数はKB/CV細胞の転移巣の数より明らかに多く、KB/TP細胞を脾臓に注入したあと、2−デオキシ−L−リボース(100mg/kg/日)を毎日朝夕2回皮下注射した群(LR)、または隔日全量を1回、皮下注射した群(3tim)では、転移巣の数がKB/CV細胞による転移巣の数より少なかった。
これらの所見は、2−デオキシ−L−リボースがTPによる脾臓から肝臓への腫瘍の転移の亢進を完全に抑制していることを示している。
産業の利用可能性
以上述べたように、2−デオキシ−L−リボースなどにより、TPによる血管新生および腫瘍の転移を完全に抑制できるという優れた効果がもたらされ、2−デオキシ−L−リボースなどを有効成分とする腫瘍の増殖、浸潤または転移抑制剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、2−デオキシ−L−リボースによる牛の大動脈の血管内皮細胞における遊走亢進の阻害特性を示す。
第2図は、2−デオキシ−L−リボースによる血管新生の阻害効果を顕微鏡観測した結果を示す。
第3図は、2−デオキシ−L−リボースによるTPによる肝臓への腫瘍の転移の抑制特性を示す。
Claims (3)
- 2−デオキシ−L−リボース、2−デオキシ−L−リボースのヒドロキシル基のメチル化および/またはアシル化誘導体並びに2−デオキシ−D−リボースのヒドロキシル基のメチル化および/またはアシル化誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を有効成分とする血管新生阻害剤。
- 2−デオキシ−L−リボース、2−デオキシ−L−リボースのヒドロキシル基のメチル化および/またはアシル化誘導体並びに2−デオキシ−D−リボースのヒドロキシル基のメチル化および/またはアシル化誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を血管新生阻害作用の有効成分として含む製剤。
- 2−デオキシ−L−リボース、2−デオキシ−L−リボースのヒドロキシル基のメチル化および/またはアシル化誘導体並びに2−デオキシ−D−リボースのヒドロキシル基のメチル化および/またはアシル化誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を血管新生阻害作用の有効成分として含む腫瘍の増殖、浸潤または転移抑制製剤。
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