JPWO2002043752A1 - インターフェロン治療効果増強剤 - Google Patents
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Abstract
本発明は、ラクトフェリンを有効成分として含有するインターフェロン治療効果増強剤;インターフェロン治療効果増強剤の製造のためのラクトフェリンの使用;インターフェロン及びラクトフェリンを有効成分とする薬剤;かかる薬剤の投与を含むことを特徴とする病気の治療方法に関するものであり、該インターフェロン治療効果増強剤及び該薬剤は、副作用がなく、インターフェロンによる各種疾病の治療効果を向上させることができる。
Description
技 術 分 野
本発明は、ラクトフェリンを有効成分として含有するインターフェロン治療効果増強剤に関する。更に詳しくは、本発明は、金属非飽和ラクトフェリン、金属飽和ラクトフェリン、又はアポラクトフェリン(以下、これらをまとめてラクトフェリン類と記載することがある。)を有効成分とするインターフェロンによる各種疾病の治療効果の増強剤に関する。さらに、本発明は、該ラクトフェリンの使用、インターフェロン及びラクトフェリンを有効成分とする薬剤、並びに該薬剤を用いた病気の治療方法に関する。
背 景 技 術
インターフェロンはB型慢性肝炎、C型慢性肝炎、腎がん、多発性骨髄腫などの疾病の治療に広く用いられている。しかしながら、その効果は必ずしも高くなく、特に、高ウイルス量の症例等では、インターフェロン抵抗性が認められ、十分な治療効果が得られないという問題点があった。例えば、インターフェロンα2bによるC型慢性肝炎に対しての著効率は29.8%、多発性骨髄腫に対しての著効率は20.8%にすぎない(日本医薬情報センター編、医療薬日本医薬品集2000年版、第275頁、薬業時報社、1999年)。
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、副作用がなく、安価なインターフェロンによる各種疾病の治療効果の増強剤、該増強剤の有効成分の使用、該増強剤の有効成分とインターフェロンとを有効成分とする薬剤、及び該薬剤を用いた治療方法を提供することを課題とする。
発 明 の 開 示
本発明者らは、インターフェロンの有効性を高める薬剤について鋭意研究を行った結果、ラクトフェリンに着目した。
ラクトフェリンは、涙、唾液、末梢血、乳汁等に含まれている無害、かつ天然の鉄結合蛋白質(1分子当たり2個の鉄イオンを結合可能)であり、分子量は、ウシ・ラクトフェリンが86,000、ヒト・ラクトフェリンが88,000である(今堀和友・山川民夫監修、「生化学辞典」、第2版、第1390頁、東京化学同人、1990年)。
ラクトフェリンは、大腸菌、カンジダ菌、クロストリジウム菌等の有害微生物に対して抗菌作用を示すこと[ジャーナル・オブ・ペディアトリクス(Journal of Pediatrics)、第94巻、第1頁、1979年]、ヒト及び動物の腸内にビフィズス菌、乳酸菌等の有用細菌を定着させるのに有効であること(特許第2532911号)、ビフィズス菌増殖因子であること(特開平2−225419号公報)、in vitroでC型肝炎ウイルスなどに対して抗ウイルス作用を示すこと(加藤 宣之編著、「C型肝炎ウイルス」、株式会社アイピーシー、第101頁、2000年)、並びにラクトフェリン経口摂取によるC型慢性肝炎患者に対する臨床治療効果が報告されている[バイオ・インダストリー(Bio Industry)、第17巻、第45頁、2000年]。
しかしながら、この治療効果は低ウイルス量の症例に限定された効果であり、インターフェロン抵抗性の高ウイルス量の症例では効果は認められていない[ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・キャンサー・リサーチ(Japanese Journal of Cancer Reserch)、第90巻、第367頁、1999年]。
更に、ラクトフェリンは、免疫賦活作用(特開平7−179355号公報)、細胞増殖作用(特開平6−48955号公報)、抗腫瘍作用[キャンサー・リサーチ(Cancer Research)、第54巻、第2310頁、1994年]、疾病の治療剤に応用した抗リウマチ剤(特開平5−186368号公報)、及び薬剤に起因する慢性肝障害に対する肝機能改善剤(WO00/06192号公報)等、様々な作用をもつ乳タンパク質として開示されている。
しかしながら、ラクトフェリンがウイルス性慢性肝炎に代表される各種疾病の治療におけるインターフェロンの有効性を高める作用を有することは知られておらず、文献も皆無であった。
本発明者らは、ラクトフェリンの投与が、ラクトフェリン非投与に比べ、インターフェロンによる各種疾病の治療効果を顕著に増強させる事実を見い出し、本発明を完成した。特に、前述のとおり、インターフェロン又はラクトフェリンのそれぞれ単独使用では、治療効果が低いか若しくはないインターフェロン抵抗性の高ウイルス量のウイルス性疾病に対して、両者の併用により、治療効果の増強が認められたことは予想外の驚くべき事実であった。
前記課題を解決する本発明の第一の発明は、ラクトフェリンを有効成分として含有するインターフェロン治療効果増強剤である。
また、前記課題を解決する本発明の第二の発明は、ラクトフェリンを有効成分として含有するウイルス性慢性肝炎治療用のインターフェロン治療効果増強剤である。
また、前記課題を解決する本発明の第三の発明は、インターフェロン治療効果増強剤の製造のためのラクトフェリンの使用である。
また、前記課題を解決する本発明の第四の発明は、ウイルス性慢性肝炎治療用のインターフェロン治療効果増強剤の製造のためのラクトフェリンの使用である。
また、前記課題を解決する本発明の第五の発明は、インターフェロン及びラクトフェリンを有効成分とする薬剤である。該薬剤は、B型慢性肝炎用、C型慢性肝炎用、腎がん用及び多発性骨髄腫用であることを好ましい態様とする。
また、前記課題を解決する本発明の第六の発明は、かかる薬剤の投与を含むことを特徴とする病気の治療方法である。
発明を実施するための最良の形態
次に本発明について具体的に説明する。
本発明の有効成分として使用するラクトフェリン類は、市販品であってもよく、あるいは哺乳類(例えば、ヒト、ウシ、スイギュウ、ウマ、ヤギ、ヒツジ等)の初乳、移行乳、常乳、末期乳等、これらの処理物である脱脂乳、ホエー等から、イオン交換クロマトグラフィー等の常法により分離したラクトフェリンであってもよい。さらにラクトフェリンから常法により鉄を除去したアポラクトフェリン、アポラクトフェリンに鉄、銅、亜鉛、マンがん等の金属を一部又は完全にキレートさせた金属非飽和ラクトフェリン、又は金属飽和ラクトフェリンであってもよい。
また、天然のヒト・ラクトフェリンは、大量に製造することはできないが、組換えDNA技術により得られる組換え真菌、組換え乳牛(トランスジェニック・カウ)等により生産されるヒト・ラクトフェリンも本発明に使用することができる。
本発明のインターフェロン治療効果増強剤は、ラクトフェリン及びその他の成分を配合し、公知の方法により種々の態様に製剤化され、投与される。具体的製剤として、錠剤(糖衣錠、コーティング錠、バッカル錠を含む。)、散剤、カプセル剤、(ソフトカプセルを含む。)、顆粒剤(コーティングしたものを含む。)、丸剤、トローチ剤、液剤、又はこれらの製剤学的に許容され得る徐放製剤、経口剤、経腸剤、注射剤等を例示することができる。
前記の製剤は、公知の製剤学的製法に準じ、製剤として薬理学的に許容され得る担体、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤等と共に医薬組成物として製剤化される。
これらの製剤に用いる担体及び賦形剤としては、乳糖、ブドウ糖、白糖、マンニトール、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、結晶セルロース、カンゾウ末、ゲンチアナ末等を例示することができる。また、結合剤としては、例えば澱粉、ゼラチン、シロップ、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等を例示することができる。
また、崩壊剤としては、澱粉、寒天、ゼラチン末、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、結晶セルロース、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、及びアルギン酸ナトリウム等を、それぞれ例示することができる。
更に、滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、水素添加植物油、及びマクロゴール等、着色剤としては医薬品に添加することが許容されている赤色2号、黄色4号、青色1号等を、それぞれ例示することができる。
錠剤及び顆粒剤は、必要に応じて、白糖、ヒドロキシプロピルセルロース、精製セラック、ゼラチン、ソルビトール、グリセリン、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、フタル酸セルロースアセテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メチルメタクリレート、及びメタアクリル酸重合体等により被膜することもできる。
本発明のインターフェロン治療効果増強剤は、有効成分であるラクトフェリンを薬剤1g当たり少なくとも1mg含むことが望ましく、投与量は年齢、症状等により異なるが、ヒト体重1kg当たり少なくとも1mgの割合で投与され、1日当たり20mg〜15g、特に100mg〜10g投与することが望ましい。
更に、本発明のインターフェロン治療効果増強剤の形態としては、医薬品に限定されず、特定保健用食品に代表される飲食品形態の製品を含む。
また、本発明のインターフェロン治療効果増強剤の投与時期は、インターフェロン療法開始以前、開始と同時、開始以降のいずれであってもよい。
本発明のインターフェロン治療効果増強剤により、その有効性が増強されるインターフェロン(IFN)は、天然型のインターフェロンα、インターフェロンβ、又は遺伝子組み換え型のインターフェロンα2a、インターフェロンα2bのいずれのインターフェロン若しくはそれらの製剤であってもよい。
本発明のインターフェロン治療効果増強剤の投与対象疾病としては、インターフェロンによりその治療効果が認められているB型慢性肝炎、C型慢性肝炎、腎がん、多発性骨髄腫などのいずれであってもよいが、特に、現代社会においては、ウイルス性慢性肝炎が全疾病に占める割合が高いことに照らして、本発明の第二の発明として明記したウイルス性慢性肝炎治療用とすることが、最も有効である。
また、本発明のインターフェロン治療効果増強剤は、インターフェロン抵抗性のウイルス性疾病に対して、極めて有効であることから、投与対象疾病として、インターフェロン抵抗性のC型慢性肝炎[具体的には、感染ウイルスの種類がゲノタイプ1bのHCV(C型肝炎ウイルス)であるC型慢性肝炎、又はHCV−RNA量が少なくとも100KIU/mlの高ウイルス量を示すC型慢性肝炎]を選択することが望ましい。
また、本発明の薬剤は、インターフェロンとラクトフェリンの両成分を有効成分として含有するものである。該薬剤は、B型慢性肝炎用、C型慢性肝炎用、腎がん用、多発性骨髄腫用として用いることが望ましい。本発明の薬剤は、インターフェロン抵抗性のウイルス性疾病に対して極めて有効であることから、投与対象疾病として、インターフェロン抵抗性のC型慢性肝炎[具体的には、感染ウイルスの種類がゲノタイプ1bのHCV(C型肝炎ウイルス)であるC型慢性肝炎、又はHCV−RNA量が少なくとも100KIU/mlの高ウイルス量を示すC型慢性肝炎]を選択することが、特に望ましい。
本発明の薬剤は、有効成分であるラクトフェリンを薬剤1g当たり少なくとも1mg含むことが望ましく、投与量は年齢、症状等により異なるが、ヒト体重1kg当たり少なくとも1mgの割合で投与され、1日当たり20mg〜15g、特に100mg〜10g投与することが望ましい。
本発明の薬剤は、インターフェロン、ラクトフェリン及びその他の成分を配合し、インターフェロン治療効果増強剤と同様の方法により、種々の態様に製剤化することができる。
次に、試験例を示して本発明を詳細に説明する。
試験例1
この試験は、ラクトフェリンによるインターフェロンの治療効果の増強作用を調べるために行った。
(1)試料の調製
ラクトフェリン(森永乳業社製)を使用した。
(2)被験者
感染ウイルスの種類がゲノタイプ1bのHCV(C型肝炎ウイルス)であるC型慢性肝炎患者、及び感染ウイルスの種類がゲノタイプ2aのHCV(C型肝炎ウイルス)でありHCV−RNA量が少なくとも100KIU/mlを示すC型慢性肝炎患者の計12名をインターフェロン単独療法群6名と、インターフェロン及びラクトフェリンの併用療法群6名の2群に無作為に分け、被験者とした。
(3)試験方法
前記両群とも、α型インターフェロンを、1日当たり1000万単位2週間連日投与後、週3回の割合で計24週間投与した。
加えて、併用療法群のみ、インターフェロン投与中及び投与後6ヶ月間ラクトフェリンを、1日当たり1.8gを連日経口投与した。
投与開始より経時的に採血し、血清中のグルタミン酸−ピルビン酸トランスアミナーゼ(glutamic−pyruvic transaminase、以下、GPTと略記することがある。)値及び血中のウイルス量を測定した。
これらの結果から、前記両群の治療成績を比較検討した。尚、インターフェロン治療終了後6ヶ月の時点で、ウイルスが排除され、肝機能(GPT値)が正常化したものを治療効果著効と判定し、インターフェロン治療中はウイルスが検出されなくなったが、インターフェロン治療終了後6ヶ月の時点で、ウイルスが再度検出されたが、GPT値は正常化したものを治療効果有効と判定した。これ以外のものを治療効果無効と判定した。
(4)試験結果
ラクトフェリンのインターフェロン治療効果の増強は次のとおりである。
各療法群による治療効果の有効率は、単独療法群が6例中全てが無効で有効率0%であったのに対して、併用療法群は、6例中4例(内2例有効、2例著効)が有効以上の治療効果を示し、有効率67%であった。
即ち、ラクトフェリンによるインターフェロンの治療効果の増強作用が認められた。
また、この試験の結果は、インターフェロン抵抗性の症例の治療に、ラクトフェリンとインターフェロンの併用が極めて有効であることを示している。
尚、感染ウイルスの種類がゲノタイプ2aのHCV(C型肝炎ウイルス)でありHCV−RNA量が100KIU/ml未満を示すC型慢性肝炎患者2名に対して、前記と同様に、併用療法試験を行ったところ、いずれも著効が認められた。
次に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実 施 例
実施例1(ウシ・ラクトフェリンを配合した錠剤の調製)
次の組成からなる錠剤のウイルス性慢性肝炎治療用のインターフェロン治療効果増強剤を次の方法により製造した。
ウシ・ラクトフェリン(ミライ社製) 20.0(%)
ビフィドバクテリウム・ロンガム菌末(森永乳業社製) 15.0
ラクチュロース(森永乳業社製) 20.0
還元麦芽糖(東和化成工業社製) 27.6
甘味料(日研化学社製) 15.2
滑沢剤(理研ビタミン社製) 1.8
香料(長谷川香料社製) 0.4
ウシ・ラクトフェリン、ビフィドバクテリウム・ロンガム菌末、ラクチュロース、還元麦芽糖、甘味料、滑沢剤及び香料の混合物を常法により打錠し、錠剤を得た。
実施例2(ウシ・ラクトフェリンを配合した錠剤の調製)
次の組成からなる錠剤のインターフェロン治療効果増強剤を次の方法により製造した。
ウシ・ラクトフェリン(ミライ社製) 40.0(%)
乳糖(森永乳業社製) 18.5
トウモロコシ澱粉(日清製粉社製) 30.7
ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業社製) 1.4
カルボキシメチルセルロースカルシウム(五徳薬品社製) 9.4
ウシ・ラクトフェリン、乳糖、トウモロコシ澱粉及びカルボキシメチルセルロースカルシウムの混合物に、滅菌精製水を適宜添加しながら均一に混練し、50℃で3時間乾燥させ、得られた乾燥物にステアリン酸マグネシウムを添加して混合し、常法により打錠し、錠剤を得た。
実施例3(ウシ・ラクトフェリンを配合したシロップ剤の調製)
次の組成からなるシロップ剤のインターフェロン治療効果増強剤を常法により製造した。
ウシ・ラクトフェリン(ミライ社製) 8.0(%)
果糖ブドウ糖液糖(参松工業社製) 12.4
クエン酸(上野製薬社製) 0.2
クエン酸ナトリウム(丸善製薬社製) 0.2
カルボキシメチルセルロースカルシウム(五徳薬品社製) 0.2
精製水(大塚製薬社製) 79.0
実施例4(カプセル入りウシ・ラクトフェリンの調製)
次のとおり、カプセル剤のインターフェロン治療効果増強剤を製造した。
乳糖(和光純薬工業社製)600g、トウモロコシデンプン(日清製粉社製)400g、結晶セルロース(和光純薬工業社製)400g及びウシ・ラクトフェリン(ミライ社製)600gを、50メッシュ篩(ヤマト科学社製)により篩分けし、厚さ0.5mmのポリエチレン製の袋にとり、転倒混合し、全自動カプセル充填機(Cesere Pedini社製。プレス式)を用い、前記粉末をカプセル(日本エランコ社製。1号ゼラチンカプセル、Op.Yellow No.6 Body、空重量は75mg)に内容量275mgで充填し、ラクトフェリン82mg入りのカプセル剤7,000個を得た。
実施例5(ヒト・ラクトフェリン散剤の調製)
次のとおり、散剤のインターフェロン治療効果増強剤を製造した。
予め6号篩(井内盛栄堂社製)で篩分けしたヒト・ラクトフェリン粉末(ミライ社製)100g及び乳糖(森永乳業社製)500gを乳鉢中で混和し、これに予め5号篩(井内盛栄堂社製)で篩分けした乳糖(森永乳業社製)400gを添加して混和し、全量を再度5号篩で篩分けし、1包5gずつ分包機(東京商会。OMP−90A)により分包し、10%ヒト・ラクトフェリン散剤200包を得た。
産業上の利用可能性
以上詳細に記載したとおり、本発明は、以下のような効果を奏するものであり、医薬品や健康食品等の分野に利用することができる。
(1)牛乳等の食品由来の蛋白質を主成分として含有するので、経済的で且つ長
期間連続摂取しても副作用がほとんどない。
(2)ウイルス性慢性肝炎に代表される各種疾病の治療におけるインターフェ
ロンの有効性を増強する作用を有する。
(3)インターフェロン抵抗性のC型慢性肝炎患者の治療に著効を有する。
本発明は、ラクトフェリンを有効成分として含有するインターフェロン治療効果増強剤に関する。更に詳しくは、本発明は、金属非飽和ラクトフェリン、金属飽和ラクトフェリン、又はアポラクトフェリン(以下、これらをまとめてラクトフェリン類と記載することがある。)を有効成分とするインターフェロンによる各種疾病の治療効果の増強剤に関する。さらに、本発明は、該ラクトフェリンの使用、インターフェロン及びラクトフェリンを有効成分とする薬剤、並びに該薬剤を用いた病気の治療方法に関する。
背 景 技 術
インターフェロンはB型慢性肝炎、C型慢性肝炎、腎がん、多発性骨髄腫などの疾病の治療に広く用いられている。しかしながら、その効果は必ずしも高くなく、特に、高ウイルス量の症例等では、インターフェロン抵抗性が認められ、十分な治療効果が得られないという問題点があった。例えば、インターフェロンα2bによるC型慢性肝炎に対しての著効率は29.8%、多発性骨髄腫に対しての著効率は20.8%にすぎない(日本医薬情報センター編、医療薬日本医薬品集2000年版、第275頁、薬業時報社、1999年)。
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、副作用がなく、安価なインターフェロンによる各種疾病の治療効果の増強剤、該増強剤の有効成分の使用、該増強剤の有効成分とインターフェロンとを有効成分とする薬剤、及び該薬剤を用いた治療方法を提供することを課題とする。
発 明 の 開 示
本発明者らは、インターフェロンの有効性を高める薬剤について鋭意研究を行った結果、ラクトフェリンに着目した。
ラクトフェリンは、涙、唾液、末梢血、乳汁等に含まれている無害、かつ天然の鉄結合蛋白質(1分子当たり2個の鉄イオンを結合可能)であり、分子量は、ウシ・ラクトフェリンが86,000、ヒト・ラクトフェリンが88,000である(今堀和友・山川民夫監修、「生化学辞典」、第2版、第1390頁、東京化学同人、1990年)。
ラクトフェリンは、大腸菌、カンジダ菌、クロストリジウム菌等の有害微生物に対して抗菌作用を示すこと[ジャーナル・オブ・ペディアトリクス(Journal of Pediatrics)、第94巻、第1頁、1979年]、ヒト及び動物の腸内にビフィズス菌、乳酸菌等の有用細菌を定着させるのに有効であること(特許第2532911号)、ビフィズス菌増殖因子であること(特開平2−225419号公報)、in vitroでC型肝炎ウイルスなどに対して抗ウイルス作用を示すこと(加藤 宣之編著、「C型肝炎ウイルス」、株式会社アイピーシー、第101頁、2000年)、並びにラクトフェリン経口摂取によるC型慢性肝炎患者に対する臨床治療効果が報告されている[バイオ・インダストリー(Bio Industry)、第17巻、第45頁、2000年]。
しかしながら、この治療効果は低ウイルス量の症例に限定された効果であり、インターフェロン抵抗性の高ウイルス量の症例では効果は認められていない[ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・キャンサー・リサーチ(Japanese Journal of Cancer Reserch)、第90巻、第367頁、1999年]。
更に、ラクトフェリンは、免疫賦活作用(特開平7−179355号公報)、細胞増殖作用(特開平6−48955号公報)、抗腫瘍作用[キャンサー・リサーチ(Cancer Research)、第54巻、第2310頁、1994年]、疾病の治療剤に応用した抗リウマチ剤(特開平5−186368号公報)、及び薬剤に起因する慢性肝障害に対する肝機能改善剤(WO00/06192号公報)等、様々な作用をもつ乳タンパク質として開示されている。
しかしながら、ラクトフェリンがウイルス性慢性肝炎に代表される各種疾病の治療におけるインターフェロンの有効性を高める作用を有することは知られておらず、文献も皆無であった。
本発明者らは、ラクトフェリンの投与が、ラクトフェリン非投与に比べ、インターフェロンによる各種疾病の治療効果を顕著に増強させる事実を見い出し、本発明を完成した。特に、前述のとおり、インターフェロン又はラクトフェリンのそれぞれ単独使用では、治療効果が低いか若しくはないインターフェロン抵抗性の高ウイルス量のウイルス性疾病に対して、両者の併用により、治療効果の増強が認められたことは予想外の驚くべき事実であった。
前記課題を解決する本発明の第一の発明は、ラクトフェリンを有効成分として含有するインターフェロン治療効果増強剤である。
また、前記課題を解決する本発明の第二の発明は、ラクトフェリンを有効成分として含有するウイルス性慢性肝炎治療用のインターフェロン治療効果増強剤である。
また、前記課題を解決する本発明の第三の発明は、インターフェロン治療効果増強剤の製造のためのラクトフェリンの使用である。
また、前記課題を解決する本発明の第四の発明は、ウイルス性慢性肝炎治療用のインターフェロン治療効果増強剤の製造のためのラクトフェリンの使用である。
また、前記課題を解決する本発明の第五の発明は、インターフェロン及びラクトフェリンを有効成分とする薬剤である。該薬剤は、B型慢性肝炎用、C型慢性肝炎用、腎がん用及び多発性骨髄腫用であることを好ましい態様とする。
また、前記課題を解決する本発明の第六の発明は、かかる薬剤の投与を含むことを特徴とする病気の治療方法である。
発明を実施するための最良の形態
次に本発明について具体的に説明する。
本発明の有効成分として使用するラクトフェリン類は、市販品であってもよく、あるいは哺乳類(例えば、ヒト、ウシ、スイギュウ、ウマ、ヤギ、ヒツジ等)の初乳、移行乳、常乳、末期乳等、これらの処理物である脱脂乳、ホエー等から、イオン交換クロマトグラフィー等の常法により分離したラクトフェリンであってもよい。さらにラクトフェリンから常法により鉄を除去したアポラクトフェリン、アポラクトフェリンに鉄、銅、亜鉛、マンがん等の金属を一部又は完全にキレートさせた金属非飽和ラクトフェリン、又は金属飽和ラクトフェリンであってもよい。
また、天然のヒト・ラクトフェリンは、大量に製造することはできないが、組換えDNA技術により得られる組換え真菌、組換え乳牛(トランスジェニック・カウ)等により生産されるヒト・ラクトフェリンも本発明に使用することができる。
本発明のインターフェロン治療効果増強剤は、ラクトフェリン及びその他の成分を配合し、公知の方法により種々の態様に製剤化され、投与される。具体的製剤として、錠剤(糖衣錠、コーティング錠、バッカル錠を含む。)、散剤、カプセル剤、(ソフトカプセルを含む。)、顆粒剤(コーティングしたものを含む。)、丸剤、トローチ剤、液剤、又はこれらの製剤学的に許容され得る徐放製剤、経口剤、経腸剤、注射剤等を例示することができる。
前記の製剤は、公知の製剤学的製法に準じ、製剤として薬理学的に許容され得る担体、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤等と共に医薬組成物として製剤化される。
これらの製剤に用いる担体及び賦形剤としては、乳糖、ブドウ糖、白糖、マンニトール、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、結晶セルロース、カンゾウ末、ゲンチアナ末等を例示することができる。また、結合剤としては、例えば澱粉、ゼラチン、シロップ、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等を例示することができる。
また、崩壊剤としては、澱粉、寒天、ゼラチン末、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、結晶セルロース、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、及びアルギン酸ナトリウム等を、それぞれ例示することができる。
更に、滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、水素添加植物油、及びマクロゴール等、着色剤としては医薬品に添加することが許容されている赤色2号、黄色4号、青色1号等を、それぞれ例示することができる。
錠剤及び顆粒剤は、必要に応じて、白糖、ヒドロキシプロピルセルロース、精製セラック、ゼラチン、ソルビトール、グリセリン、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、フタル酸セルロースアセテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メチルメタクリレート、及びメタアクリル酸重合体等により被膜することもできる。
本発明のインターフェロン治療効果増強剤は、有効成分であるラクトフェリンを薬剤1g当たり少なくとも1mg含むことが望ましく、投与量は年齢、症状等により異なるが、ヒト体重1kg当たり少なくとも1mgの割合で投与され、1日当たり20mg〜15g、特に100mg〜10g投与することが望ましい。
更に、本発明のインターフェロン治療効果増強剤の形態としては、医薬品に限定されず、特定保健用食品に代表される飲食品形態の製品を含む。
また、本発明のインターフェロン治療効果増強剤の投与時期は、インターフェロン療法開始以前、開始と同時、開始以降のいずれであってもよい。
本発明のインターフェロン治療効果増強剤により、その有効性が増強されるインターフェロン(IFN)は、天然型のインターフェロンα、インターフェロンβ、又は遺伝子組み換え型のインターフェロンα2a、インターフェロンα2bのいずれのインターフェロン若しくはそれらの製剤であってもよい。
本発明のインターフェロン治療効果増強剤の投与対象疾病としては、インターフェロンによりその治療効果が認められているB型慢性肝炎、C型慢性肝炎、腎がん、多発性骨髄腫などのいずれであってもよいが、特に、現代社会においては、ウイルス性慢性肝炎が全疾病に占める割合が高いことに照らして、本発明の第二の発明として明記したウイルス性慢性肝炎治療用とすることが、最も有効である。
また、本発明のインターフェロン治療効果増強剤は、インターフェロン抵抗性のウイルス性疾病に対して、極めて有効であることから、投与対象疾病として、インターフェロン抵抗性のC型慢性肝炎[具体的には、感染ウイルスの種類がゲノタイプ1bのHCV(C型肝炎ウイルス)であるC型慢性肝炎、又はHCV−RNA量が少なくとも100KIU/mlの高ウイルス量を示すC型慢性肝炎]を選択することが望ましい。
また、本発明の薬剤は、インターフェロンとラクトフェリンの両成分を有効成分として含有するものである。該薬剤は、B型慢性肝炎用、C型慢性肝炎用、腎がん用、多発性骨髄腫用として用いることが望ましい。本発明の薬剤は、インターフェロン抵抗性のウイルス性疾病に対して極めて有効であることから、投与対象疾病として、インターフェロン抵抗性のC型慢性肝炎[具体的には、感染ウイルスの種類がゲノタイプ1bのHCV(C型肝炎ウイルス)であるC型慢性肝炎、又はHCV−RNA量が少なくとも100KIU/mlの高ウイルス量を示すC型慢性肝炎]を選択することが、特に望ましい。
本発明の薬剤は、有効成分であるラクトフェリンを薬剤1g当たり少なくとも1mg含むことが望ましく、投与量は年齢、症状等により異なるが、ヒト体重1kg当たり少なくとも1mgの割合で投与され、1日当たり20mg〜15g、特に100mg〜10g投与することが望ましい。
本発明の薬剤は、インターフェロン、ラクトフェリン及びその他の成分を配合し、インターフェロン治療効果増強剤と同様の方法により、種々の態様に製剤化することができる。
次に、試験例を示して本発明を詳細に説明する。
試験例1
この試験は、ラクトフェリンによるインターフェロンの治療効果の増強作用を調べるために行った。
(1)試料の調製
ラクトフェリン(森永乳業社製)を使用した。
(2)被験者
感染ウイルスの種類がゲノタイプ1bのHCV(C型肝炎ウイルス)であるC型慢性肝炎患者、及び感染ウイルスの種類がゲノタイプ2aのHCV(C型肝炎ウイルス)でありHCV−RNA量が少なくとも100KIU/mlを示すC型慢性肝炎患者の計12名をインターフェロン単独療法群6名と、インターフェロン及びラクトフェリンの併用療法群6名の2群に無作為に分け、被験者とした。
(3)試験方法
前記両群とも、α型インターフェロンを、1日当たり1000万単位2週間連日投与後、週3回の割合で計24週間投与した。
加えて、併用療法群のみ、インターフェロン投与中及び投与後6ヶ月間ラクトフェリンを、1日当たり1.8gを連日経口投与した。
投与開始より経時的に採血し、血清中のグルタミン酸−ピルビン酸トランスアミナーゼ(glutamic−pyruvic transaminase、以下、GPTと略記することがある。)値及び血中のウイルス量を測定した。
これらの結果から、前記両群の治療成績を比較検討した。尚、インターフェロン治療終了後6ヶ月の時点で、ウイルスが排除され、肝機能(GPT値)が正常化したものを治療効果著効と判定し、インターフェロン治療中はウイルスが検出されなくなったが、インターフェロン治療終了後6ヶ月の時点で、ウイルスが再度検出されたが、GPT値は正常化したものを治療効果有効と判定した。これ以外のものを治療効果無効と判定した。
(4)試験結果
ラクトフェリンのインターフェロン治療効果の増強は次のとおりである。
各療法群による治療効果の有効率は、単独療法群が6例中全てが無効で有効率0%であったのに対して、併用療法群は、6例中4例(内2例有効、2例著効)が有効以上の治療効果を示し、有効率67%であった。
即ち、ラクトフェリンによるインターフェロンの治療効果の増強作用が認められた。
また、この試験の結果は、インターフェロン抵抗性の症例の治療に、ラクトフェリンとインターフェロンの併用が極めて有効であることを示している。
尚、感染ウイルスの種類がゲノタイプ2aのHCV(C型肝炎ウイルス)でありHCV−RNA量が100KIU/ml未満を示すC型慢性肝炎患者2名に対して、前記と同様に、併用療法試験を行ったところ、いずれも著効が認められた。
次に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実 施 例
実施例1(ウシ・ラクトフェリンを配合した錠剤の調製)
次の組成からなる錠剤のウイルス性慢性肝炎治療用のインターフェロン治療効果増強剤を次の方法により製造した。
ウシ・ラクトフェリン(ミライ社製) 20.0(%)
ビフィドバクテリウム・ロンガム菌末(森永乳業社製) 15.0
ラクチュロース(森永乳業社製) 20.0
還元麦芽糖(東和化成工業社製) 27.6
甘味料(日研化学社製) 15.2
滑沢剤(理研ビタミン社製) 1.8
香料(長谷川香料社製) 0.4
ウシ・ラクトフェリン、ビフィドバクテリウム・ロンガム菌末、ラクチュロース、還元麦芽糖、甘味料、滑沢剤及び香料の混合物を常法により打錠し、錠剤を得た。
実施例2(ウシ・ラクトフェリンを配合した錠剤の調製)
次の組成からなる錠剤のインターフェロン治療効果増強剤を次の方法により製造した。
ウシ・ラクトフェリン(ミライ社製) 40.0(%)
乳糖(森永乳業社製) 18.5
トウモロコシ澱粉(日清製粉社製) 30.7
ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業社製) 1.4
カルボキシメチルセルロースカルシウム(五徳薬品社製) 9.4
ウシ・ラクトフェリン、乳糖、トウモロコシ澱粉及びカルボキシメチルセルロースカルシウムの混合物に、滅菌精製水を適宜添加しながら均一に混練し、50℃で3時間乾燥させ、得られた乾燥物にステアリン酸マグネシウムを添加して混合し、常法により打錠し、錠剤を得た。
実施例3(ウシ・ラクトフェリンを配合したシロップ剤の調製)
次の組成からなるシロップ剤のインターフェロン治療効果増強剤を常法により製造した。
ウシ・ラクトフェリン(ミライ社製) 8.0(%)
果糖ブドウ糖液糖(参松工業社製) 12.4
クエン酸(上野製薬社製) 0.2
クエン酸ナトリウム(丸善製薬社製) 0.2
カルボキシメチルセルロースカルシウム(五徳薬品社製) 0.2
精製水(大塚製薬社製) 79.0
実施例4(カプセル入りウシ・ラクトフェリンの調製)
次のとおり、カプセル剤のインターフェロン治療効果増強剤を製造した。
乳糖(和光純薬工業社製)600g、トウモロコシデンプン(日清製粉社製)400g、結晶セルロース(和光純薬工業社製)400g及びウシ・ラクトフェリン(ミライ社製)600gを、50メッシュ篩(ヤマト科学社製)により篩分けし、厚さ0.5mmのポリエチレン製の袋にとり、転倒混合し、全自動カプセル充填機(Cesere Pedini社製。プレス式)を用い、前記粉末をカプセル(日本エランコ社製。1号ゼラチンカプセル、Op.Yellow No.6 Body、空重量は75mg)に内容量275mgで充填し、ラクトフェリン82mg入りのカプセル剤7,000個を得た。
実施例5(ヒト・ラクトフェリン散剤の調製)
次のとおり、散剤のインターフェロン治療効果増強剤を製造した。
予め6号篩(井内盛栄堂社製)で篩分けしたヒト・ラクトフェリン粉末(ミライ社製)100g及び乳糖(森永乳業社製)500gを乳鉢中で混和し、これに予め5号篩(井内盛栄堂社製)で篩分けした乳糖(森永乳業社製)400gを添加して混和し、全量を再度5号篩で篩分けし、1包5gずつ分包機(東京商会。OMP−90A)により分包し、10%ヒト・ラクトフェリン散剤200包を得た。
産業上の利用可能性
以上詳細に記載したとおり、本発明は、以下のような効果を奏するものであり、医薬品や健康食品等の分野に利用することができる。
(1)牛乳等の食品由来の蛋白質を主成分として含有するので、経済的で且つ長
期間連続摂取しても副作用がほとんどない。
(2)ウイルス性慢性肝炎に代表される各種疾病の治療におけるインターフェ
ロンの有効性を増強する作用を有する。
(3)インターフェロン抵抗性のC型慢性肝炎患者の治療に著効を有する。
Claims (10)
- ラクトフェリンを有効成分として含有するインターフェロン治療効果増強剤。
- ラクトフェリンを有効成分として含有するウイルス性慢性肝炎治療用のインターフェロン治療効果増強剤。
- インターフェロン治療効果増強剤の製造のためのラクトフェリンの使用。
- ウイルス性慢性肝炎治療用のインターフェロン治療効果増強剤の製造のためのラクトフェリンの使用。
- インターフェロン及びラクトフェリンを有効成分とする薬剤。
- B型慢性肝炎用である請求項5記載の薬剤。
- C型慢性肝炎用である請求項5記載の薬剤。
- 腎がん用である請求項5記載の薬剤。
- 多発性骨髄腫用である請求項5記載の薬剤。
- 請求項5記載の薬剤の投与を含むことを特徴とする病気の治療方法。
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