JP2024507417A - イヌパルボウイルス感染を治療するための組成物および方法 - Google Patents

イヌパルボウイルス感染を治療するための組成物および方法 Download PDF

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Abstract

本明細書では、イヌパルボウイルス感染に関連する症状を軽減し、回復にかかる時間を短縮し、かつ感染したイヌが隔離入院して過ごす時間を短縮する治療法が提供される。TIFF2024507417000002.tif76128

Description

関連出願の参照
本出願は、2021年2月24日に出願された米国仮出願第63/153,230号の優先権の恩典を主張するものであり、その全内容は参照により本明細書に組み入れられる。
1. 分野
本発明は概して、獣医学の分野に関する。さらに特定すると、本発明は、イヌパルボウイルス(Canine parvovirus)を治療するための組成物および方法に関する。
2. 関連技術の説明
イヌパルボウイルスは、幼い子犬の間では特に致死的な病気で、約80%の死亡率であり、幼い子犬では消化管障害と脱水症状、さらには心臓症候群をも引き起こす。それは、感染した犬の糞便に接触することで伝播する。症状としては、不活発(lethargy)、激しい下痢、発熱、嘔吐、食欲不振、および脱水が挙げられる。イヌパルボウイルス感染症の現在の治療法は、非特異的であって、主に支持療法(supportive care)と二次感染の予防を含み、通常は、伝染性が高いウイルスの拡散を防ぐために、隔離室での長期入院を必要とする。イヌパルボウイルス感染症にかかった犬を治療するために、新しい治療法が必要とされている。
概要
一態様において、本明細書では、鉄含有化合物、医薬用添加剤(excipient)、および任意でグルコースを含む薬学的組成物が提供される。いくつかの局面では、鉄含有化合物は第二鉄含有化合物である。いくつかの局面では、第二鉄含有化合物はクエン酸第二鉄である。いくつかの局面では、グルコースはD-グルコースである。いくつかの局面では、薬学的組成物は経口投与用に製剤化される。
いくつかの局面では、薬学的組成物は塩溶液をさらに含む。いくつかの局面では、塩溶液は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸カリウム一塩基性、リン酸ナトリウム二塩基性、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、および重炭酸ナトリウムのうちの1つまたは複数を含む。いくつかの局面では、薬学的組成物は、クエン酸第二鉄、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸カリウム一塩基性、リン酸ナトリウム二塩基性、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、重炭酸ナトリウム、およびD-グルコースを含む。
一態様において、本明細書では、その必要がある対象における疾患または障害を治療する方法が提供され、この方法は、治療有効量の本態様のいずれか1つの薬学的組成物を該対象に投与する段階を含む。いくつかの局面では、該対象は鉄輸送経路を使用するウイルスによるウイルス感染症を有する。いくつかの局面では、該対象はパルボウイルス科(Parvoviridae)感染症を有する。いくつかの局面では、該対象はパルボウイルス感染症を有するイヌである。いくつかの局面では、イヌは幼い子犬であり、かつ/または5ポンド未満の体重である。いくつかの局面では、この方法は疾患の経過を短縮する。いくつかの局面では、この方法は、嘔吐、下痢、不活発、および食欲不振を含めて、イヌパルボウイルス感染の症状の多くを改善する。いくつかの局面では、イヌは鉤虫感染症をさらに有する。いくつかの局面では、投与は経口的に行われる。いくつかの局面では、投与は1日2回行われる。いくつかの局面では、該対象はパルボウイルス科感染症を有するネコである。いくつかの局面では、該対象はアレナウイルス科(Arenaviridae)感染症を有するヒトである。いくつかの局面では、該対象は、鉄を囲い込む(sequester)ためにシデロフォア(siderophore)を使用する病原性細菌による細菌感染症を有する。いくつかの局面では、該対象は胃腸炎または貧血を有する。
本発明の他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、詳細な説明および具体的な実施例は、本発明の好ましい態様を示すものであるが、例示としてのみ提供されていることを理解されたい;なぜなら、本発明の精神および範囲内での様々な変更および修正が、この詳細な説明から当業者には明らかになるからである。
以下の図面は、本明細書の一部を構成しており、本発明の特定の局面をさらに示すために含まれている。本発明は、本明細書に提示された具体的な態様の詳細な説明と組み合わせて、これらの図面の1つまたは複数を参照することによって、よりよく理解することができる。
図1は、CPV感染の存在下で、鉄の利用可能性(iron availability)が細胞の生存を改善することを示す。 図2は、CPVウイルス感染の非存在下で、クエン酸第二鉄を添加しても、細胞生存率に変化がないことを示す。 図3は、増加する濃度のクエン酸第二鉄で犬を治療すると、CPVによる自然感染からの生存率が増加することを示す。 図4は、各濃度のクエン酸第二鉄で治療された子犬の体重中央値に有意差がないことを示す。
詳細な説明
本明細書では、グルコースを含む塩溶液中に、例えばクエン酸第二鉄などの、鉄含有化合物を含む溶液が提供される。また、本明細書では、この溶液を用いてイヌパルボウイルスを治療する方法も提供される。インビトロでは、この溶液は、イヌパルボウイルスにより誘発される細胞死から保護する。この溶液を、イヌパルボウイルスに自然感染した犬に経口投与すると、嘔吐、下痢、不活発、および食欲不振を含めて、イヌパルボウイルス感染の症状の多くが改善され、この疾患の経過が短縮され、完全な回復が初回治療後12時間という速さで始まる。
I. イヌパルボウイルス
以下でさらに述べるように、イヌパルボウイルス感染症の現在の治療法は、非特異的であって、主に支持療法と二次感染の予防を含み、通常は、伝染性が高いウイルスの拡散を防ぐために隔離室での長期入院を必要とする。本明細書では、イヌパルボウイルス感染に関連する症状を軽減し、回復にかかる時間を短縮し、かつ感染した犬が隔離入院して過ごす時間を短縮する、特異的な治療法が提供される。
イヌパルボウイルス(CPV、CPV2、またはパルボとも呼ばれる)は、パルボウイルス科の伝染性DNAウイルスで、主に犬が感染する。しかし、CPVは、キツネ、オオカミ、ネコ、スカンクなど、他の哺乳類にも感染する可能性がある。CPVは伝染性が高く、犬の糞便に直接または間接的に接触することで犬から犬へと伝播する。ワクチンによってこの感染を予防することができるが、未治療の場合には死亡率が91%に達することがある。治療にはしばしば動物病院への入院が必要となる。
CPVには2つのタイプがあり、イヌ微小ウイルス(canine minute virus)(CPV1)およびCPV2と呼ばれている。CPV2は最も深刻な病気を引き起こし、飼い犬および野生のイヌ科イヌ属動物(canid)に感染する。重症の場合、輸液による治療を受けなければ、犬は48~72時間以内に死亡する可能性がある。より一般的で、それほど重症でない形態では、死亡率は約10%である。年齢、犬種、ストレスの多い環境、細菌、寄生虫、イヌコロナウイルスによる同時感染などの要因は、犬が重症の感染症にかかるリスクを高める。
発症した犬は3~7日以内に病気の兆候を示す。その兆候には、不活発、嘔吐、発熱、および下痢(通常は血が混じる)が含まれる。一般に、CPVの最初の兆候は不活発である。二次的な兆候は、体重減少と食欲不振、または下痢とそれに続く嘔吐である。下痢と嘔吐は、電解質バランスを乱す脱水症状を引き起こし、犬に重大な影響を与える可能性がある。弱まった免疫システムの結果として、二次感染が起こる。正常な腸の内層も損なわれるため、血液とタンパク質が腸内に漏れ出して、貧血とタンパク質の損失につながり、また、内毒素が血流中に流出して、内毒素血症を引き起こす。
診断は、糞便中のCPVを、ELISAもしくは血球凝集検査のいずれかで、または電子顕微鏡法で検出することによって行われる。CPVの診断にPCRを利用できるようになっており、この病気の後期に使用することができる;後期には、糞便中に排出されるウイルスが少なくなる可能性があり、ELISAでは検出できないかもしれない。
生存率は、CPVがどれだけ早く診断されるか、犬の年齢、および治療がどれだけ積極的であるかによって異なる。承認された治療法は存在せず、現在の標準治療は支持療法であり、重度の脱水症状および腸と骨髄への損傷の可能性があるため、長期にわたる入院を必要とする。
II. 治療用組成物
本明細書では、任意でグルコースを含む、塩溶液中に、例えばクエン酸第二鉄などの、鉄含有化合物を含む、治療用組成物が提供される。
いくつかの局面では、鉄含有化合物は、第二鉄含有化合物、例えばクエン酸第二鉄などである。クエン酸第二鉄、つまりクエン酸鉄(III)は、クエン酸から誘導される数種の共役塩基のいずれかと第二鉄イオンとの結合により形成される数種の錯体のいずれかを表す。これらの錯体は、2つ以上のFe(III)中心を含む。いくつかの局面において、鉄含有化合物は、アスコルビン酸第一鉄、炭酸第一鉄、クエン酸第一鉄、フマル酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、乳酸第一鉄、コハク酸第一鉄、硫酸第一鉄、硫酸グリシン第一鉄、クエン酸アンモニウム第二鉄、塩化第二鉄、酸化第二鉄、リン酸第二鉄、ポリマルトース第二鉄(ferric polymaltose)、サクシニル化第二鉄タンパク質(ferric protein succinylate)、ピロリン酸第二鉄、ピロリン酸第二鉄ナトリウム、または硫酸第二鉄である。
いくつかの局面では、治療用組成物は、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、リン酸カリウム一塩基性(KH2PO4)、リン酸ナトリウム二塩基性(Na2HPO4)、硫酸マグネシウム(MgSO4)、塩化カルシウム(CaCl2)、および重炭酸ナトリウム(NaHCO3)のうちの1つまたは複数を含有する塩溶液をさらに含む。
いくつかの局面では、治療用組成物は、グルコース、例えばD-グルコースなどをさらに含む。
いくつかの局面では、治療用組成物は、クエン酸第二鉄(C6H5FeO7)、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、リン酸カリウム一塩基性(KH2PO4)、リン酸ナトリウム二塩基性、無水(Na2HPO4)、硫酸マグネシウム、無水(MgSO4)、塩化カルシウム、無水(CaCl2・2H2O)、重炭酸ナトリウム(NaHCO3)、およびD-グルコースを含む。
いくつかの局面では、治療用組成物は、2~50g/L(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、45、もしくは50g/L、またはそこから導き出される任意の値、例えば15g/Lなど)のクエン酸第二鉄(C6H5FeO7)、0~0.5g/L(例えば、0.01、0.1、0.2、0.3、0.4、もしくは0.5g/L、またはそこから導き出される任意の値、例えば0.185g/Lなど)の塩化ナトリウム(NaCl)、0~0.5g/L(例えば、0.01、0.1、0.2、0.3、0.4、もしくは0.5g/L、またはそこから導き出される任意の値、例えば0.4g/Lなど)の塩化カリウム(KCl)、0~0.2g/L(例えば、0.01、0.02、0.05、0.1、もしくは0.2g/L、またはそこから導き出される任意の値、例えば0.06g/Lなど)のリン酸カリウム一塩基性(KH2PO4)、0~0.2g/L(例えば、0.01、0.02、0.05、0.1、もしくは0.2g/L、またはそこから導き出される任意の値、例えば0.048g/Lなど)のリン酸ナトリウム二塩基性,無水(Na2HPO4)、0~0.2g/L(例えば、0.01、0.02、0.05、0.1、もしくは0.2g/L、またはそこから導き出される任意の値、例えば0.098g/Lなど)の硫酸マグネシウム,無水(MgSO4)、0~0.5g/L(例えば、0.01、0.1、0.2、0.3、0.4、もしくは0.5g/L、またはそこから導き出される任意の値、例えば0.185g/Lなど)の塩化カルシウム,無水(CaCl2・2H2O)、0~0.5g/L(例えば、0.01、0.1、0.2、0.3、0.4、もしくは0.5g/L、またはそこから導き出される任意の値、例えば0.35g/Lなど)の重炭酸ナトリウム(NaHCO3)、および0~5g/L(例えば、0.1、0.5、1、2.5、もしくは5g/L、またはそこから導き出される任意の値、例えば1g/Lなど)のD-グルコースを含む。
いくつかの局面では、治療用組成物は経口投与用に製剤化される。その治療用混合物は液体濃縮物として調製され、この濃縮物は、個別(すなわち、単回使用)の単位用量または複数回使用の用量形態で包装され得る。濃縮液体製剤は治療薬と溶媒(例えば、有機溶媒または水性溶媒)を含むことができる。経口投与用の液体組成物は、その濃縮液体製剤を水性媒体と混合して得ることができる。
別の局面では、そのような治療を必要とする患者に投与する場合、治療用組成物(医薬製剤、薬学的組成物、薬学的製剤、医薬製品、医薬品、薬品、薬剤、または医薬とも呼ばれる)は、指示された投与経路に適切な1つまたは複数の医薬用添加剤および/または薬物担体を用いて製剤化された、治療有効量の本明細書に開示の鉄含有化合物を含む。いくつかの態様では、本明細書に開示の鉄含有化合物は、ヒトおよび/または動物患者の治療に適している方法で製剤化される。いくつかの態様では、製剤化は、1つまたは複数の本明細書に開示の鉄含有化合物を、1つまたは複数の以下の医薬用添加剤と混和するまたは組み合わせることを含む:ラクトース、スクロース、デンプン粉末、アルカン酸のセルロースエステル、セルロースアルキルエステル、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸および硫酸のナトリウム塩とカルシウム塩、ゼラチン、アカシア、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、および/またはポリビニルアルコール。いくつかの態様では、例えば経口投与の場合、薬学的製剤は錠剤化、カプセル化、または液体の形態とすることができる。いくつかの態様では、化合物は、水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール、コーン油、綿実油、ピーナッツ油、ゴマ油、ベンジルアルコール、塩化ナトリウム、および/または種々のバッファーに溶解またはスラリー化され得る。いくつかの態様では、薬学的製剤は、滅菌などの薬学的操作に供することができ、かつ/または薬物担体および/または医薬用添加剤、例えば、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、脂質、デンドリマー、ポリマーなどのカプセル化剤、アルブミンなどのタンパク質、核酸、バッファーなどを含むことができる。
一態様では、治療用組成物は、クエン酸第二鉄(C6H5FeO7)を、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、リン酸カリウム一塩基性(KH2PO4)、リン酸ナトリウム二塩基性、無水(Na2HPO4)、硫酸マグネシウム、無水(MgSO4)、塩化カルシウム、無水(CaCl2・2H2O)、重炭酸ナトリウム(NaHCO3)、およびD-グルコースを含む溶液に溶解することによって調製される。
いくつかの局面では、液体経口治療用組成物は、少なくとも1つの緩衝剤を含む。緩衝剤の例としては、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、水酸化マグネシウム、乳酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、他のマグネシウム塩、水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム/重炭酸ナトリウム共沈物、アミノ酸とバッファーの混合物、グリシン酸アルミニウムとバッファーの混合物、アミノ酸の酸塩とバッファーの混合物、およびアミノ酸のアルカリ塩とバッファーの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。追加の緩衝剤には、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、酢酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、酢酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、乳酸カルシウム、炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、およびその他のカルシウム塩が含まれる。
いくつかの局面では、液体経口治療用組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含む。液体経口治療用組成物の薬学的に許容される担体は、緩衝剤として第IA族金属の重炭酸塩を含むことができ、第IA族金属の重炭酸塩、好ましくは重炭酸ナトリウムを、水と混合することによって調製され得る。該組成物中の第IA族金属の重炭酸塩の濃度は、一般に約5.0%~約60.0%の範囲である。
さらに、治療用組成物には、その安定性、無菌性、および等張性を高めるために、様々な添加物を配合することができる。抗菌防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、および追加のバッファーを加えることができる。種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などは、微生物作用の予防を強化し得る。
場合によっては、等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウムなどを含めることが望ましいことがある。さらに、メチルセルロースのような増粘剤が望ましい場合もある。
いくつかの局面では、治療用組成物は、代替的に、粉剤、錠剤、懸濁錠(suspension tablet)、チュアブル錠、カプセル剤、2部(two-part)錠剤またはカプセル剤、発泡粉剤、発泡錠剤、ペレット剤、および顆粒剤として製剤化することができる。
薬学的製剤は、様々な方法で、例えば、経口的に、または注射(例えば、皮下、静脈内、腹腔内注射)により投与され得る。投与経路に応じて、本明細書に開示の鉄含有化合物は、該化合物を不活性化する可能性のある酸の作用および他の自然条件から該化合物を保護するための物質でコーティングすることができる。非経口投与以外の方法で活性化合物を投与するためには、該化合物をその不活性化を防ぐための物質でコーティングするか、または該化合物をその物質と共投与する必要があるかもしれない。いくつかの態様では、活性化合物は、適切な担体、例えばリポソームまたは希釈剤中で、患者に投与され得る。薬学的に許容される希釈剤には、生理食塩水および水性緩衝溶液が含まれる。
本明細書に開示の鉄含有化合物は、非経口的、腹腔内、髄腔内、または脳内に投与することもできる。分散液剤は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物中に、または油中に調製され得る。通常の保存・使用条件下では、これらの製剤は微生物の増殖を防ぐために防腐剤を含むことができる。
注射用に適した薬学的組成物には、無菌の水性溶液剤(水溶性の場合)または分散液剤、および無菌の注射液または分散液を即時調製するための無菌の粉剤が含まれる。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例:グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、それらの適当な混合物、および植物油を含む、溶媒または分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティング剤の使用によって、分散液の場合は必要な粒子径の維持によって、および界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物作用の防止は、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなど、様々な抗菌・抗真菌剤によって達成され得る。多くの場合、組成物中に等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウム、またはマンニトールやソルビトールなどの多価アルコールを含めることが好ましい。注射用組成物の持続的吸収は、吸収を遅らせる物質、例えばモノステアリン酸アルミニウムまたはゼラチンを、組成物中に含めることによって引き出すことができる。
本明細書に開示の鉄含有化合物は、例えば不活性希釈剤または吸収可能な食用担体と共に、経口的に投与することができる。該化合物とその他の成分はまた、ハードまたはソフトシェルのゼラチンカプセル内に封入したり、錠剤に圧縮したり、患者の食事に直接混ぜ込んだりすることもできる。経口治療投与の場合には、本明細書に開示の化合物を医薬用添加剤と組み合わせて、摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁液剤、シロップ剤、ウエハー剤などの形態で使用することができる。該組成物および製剤中の治療用化合物の割合は、当然ながら、変化し得る。そのような薬学的製剤中の治療用化合物の量は、適切な投与量が得られるような量である。
鉄含有化合物はまた、皮膚、眼、耳、または粘膜に局所的に投与することもできる。治療用化合物の局所投与には、局所溶液剤、ローション剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、フォーム剤、経皮パッチ剤、またはチンキ剤としての該化合物の製剤が含まれ得る。治療用化合物を局所投与用に製剤化する場合、該化合物は、それが投与される組織からの該化合物の透過性を増加させる1つまたは複数の物質と組み合わせることができる。他の態様では、局所投与は眼への投与が考えられる。そのような投与は、角膜、結膜、または強膜の表面に適用され得る。いかなる理論にも束縛されるものではないが、眼の表面への投与は、治療用化合物を眼の後方部分に到達させると考えられる。眼への局所投与は、溶液剤、懸濁液剤、軟膏剤、ゲル剤または乳濁液剤として製剤化され得る。最後に、局所投与には、口の中などの粘膜への投与も含まれ得る。そのような投与は、歯、痛む部位、または潰瘍などの粘膜内の特定の場所に直接行うことができる。あるいは、肺への局所送達が望まれる場合には、治療用化合物を、乾燥粉末またはエアロゾル製剤で吸入によって投与することもできる。
III. 治療方法
本明細書では、グルコースを含む塩溶液中に、例えばクエン酸第二鉄などの、鉄含有化合物を含む溶液を用いて、特定のウイルス感染症、細菌感染症、および/または貧血を治療する方法が提供される。好ましい態様では、この方法はイヌパルボウイルスを治療する。他の態様では、この方法はまた、(例えば、トランスフェリン受容体に結合することによって)鉄輸送経路を利用する他のウイルス、例えば、ネコ汎白血球減少症ウイルスなどのパルボウイルス科の他のメンバー、およびヒトに急性ウイルス性出血熱を引き起こすアレナウイルス科のメンバーを治療する。
いくつかの局面では、前記方法は特定の病原性細菌感染症を治療するが、それは、多くの病原性細菌がシデロフォアを利用して宿主からの鉄を囲い込み、その結果として、宿主が局所的に(感染の近くで)または全身的に鉄欠乏になる可能性があるためである。局所的な鉄の利用可能性は、例えば、マクロファージの機能(例えば活性酸素種の産生による)およびCD4+ T細胞の活性化と増殖にとって極めて重要である。細菌感染症の場合、この治療法は、腸特異的感染症または全身感染症を治療するために、イヌパルボウイルス感染症の治療と同様に、経口的に適用することができ、または抗生物質療法と組み合わせて局所的に適用することもできる。
いくつかの局面では、前記方法は、原因不明の胃腸炎(イヌパルボウイルス陰性)を治療する。別の局面では、前記方法は、鉤虫感染が原因で貧血になっており、そのためイヌパルボウイルス感染からの重篤な合併症のリスクがより高くなっている犬を治療する;なぜなら、鉤虫は腸壁に直接付着し、そこで宿主(犬)から血液を抜き取るため、かなりの腸の痛みと貧血を引き起こすからである。
好ましい態様では、本明細書で提供される治療用組成物は、さもなければ、入院にもかかわらずパルボウイルス感染ですぐに死亡する非常に幼い/小さい子犬(<5ポンド)を含めて、イヌパルボウイルス感染症を治療するために使用される。この好ましい態様では、治療用組成物は、経口投与用の分配しやすい溶液として提供される。いくつかの局面では、前記方法は患者の生存の可能性を高める。
このような治療は、支持療法などの他の治療レジームと併用することもできる。支持療法は、クリスタロイドIV輸液および/またはコロイド(例:Hetastarch:ヘタスターチ)、嘔吐抑制注射薬(制吐薬)、例えば、マロピタント、メトクロプラミド、ドラセトロン、オンダンセトロンおよびプロクロルペラジン、ならびに広域抗生物質注射薬、例えば、セファゾリン/エンロフロキサシン、アンピシリン/エンロフロキサシン、メトロニダゾール、チメンチン、またはエンロフロキサシンで構成し得る。IV輸液が投与され、かつ嘔吐抑制注射薬と抗生物質注射薬が皮下、筋肉内、または静脈内に投与され得る。輸液は、無菌の平衡電解質溶液と、適量のビタミンB群(B-complex vitamins)、ブドウ糖、および塩化カリウムとの混合物であり得る。頻繁な下痢の発作により引き起こされる腸の苦痛を和らげるために、鎮痛薬が使用されることもある。
犬が水分を胃におさめておくことができるようになったら、IV輸液を徐々に中止して、刺激のない食物をゆっくりと与えることができる。白血球数および患者の二次感染防止能力に応じて、経口抗生物質を数日間投与してもよい。
治療用組成物の単回投与または複数回投与が企図される。複数回投与の送達に望ましい時間間隔は、ルーチン試験を用いるだけで当業者により決定され得る。一例として、患者には1日2回、約12時間間隔で投与することができる。いくつかの態様では、該薬剤は1日1回投与される。
様々な局面において、好ましい投与量は、0.1~10mg/kg、0.22~10mg/kg、0.1~5.5mg/kg、または0.22~5.5mg/kgのクエン酸第二鉄である。投与量は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、または10mg/kgのクエン酸第二鉄、またはそこから導き出される任意の値、例えば、0.22、1.1、2.2mg/kgなどであり得る。投与量は、1日2回、1、2、3、4、5日またはそれ以上の日数にわたって投与することができる。
治療用組成物は、ルーチンスケジュールで投与され得る。本明細書で使用されるルーチンスケジュールとは、予め決められた指定期間を指す。ルーチンスケジュールは、そのスケジュールが予め決められている限り、長さが全く同じであるか、または異なっている期間を包含し得る。例えば、ルーチンスケジュールには、1日2回、毎日、2日ごと、3日ごと、4日ごと、5日ごと、6日ごと、週単位、月単位、またはその間の任意の設定日数もしくは週数の投与が含まれる。あるいは、予め決められたルーチンスケジュールには、最初の1週間は1日2回基準、その後の数ヶ月間は1日1回基準での投与などが含まれる。他の態様では、本発明は、治療用組成物が経口摂取され得ること、およびそのタイミングが食物摂取に依存するまたは依存しないことを提供する。
投与される治療用組成物の正確な量は、医師の判断によって決まり、各患者に特有である。投与量に影響を及ぼす様々な要因には、患者の身体的および臨床的状態、投与経路、意図される治療目標、ならびに特定の治療用製剤の効力、安定性および毒性が含まれる。
患者に投与される本開示の治療用組成物の実際の投与量は、物理的および生理的要因、例えば、治療される動物の種類、年齢、性別、体重、症状の重症度、治療される疾患のタイプ、以前または同時の治療介入、患者の特発性疾患、投与経路などによって決定される。これらの要因は、当業者によって決定され得る。通常は、投与に対して責任を負う医師が、組成物中の有効成分(複数可)の濃度と、個々の患者に対する適切な用量(複数可)とを決定することになる。何らかの合併症が発生した場合は、個々の医師がその投与量を調整し得る。
IV. 定義
「含む」(comprise)、「有する」(have)、および「含める」(include)という用語は、オープンエンド型(open-ended)の連結動詞である。「comprises」、「comprising」、「has」、「having」、「includes」、「including」など、これらの動詞の1つ以上の任意の形式または時制もまた、オープンエンド型である。例えば、1つまたは複数のステップを「含む」(comprises)、「有する」(has)、または「含める」(includes)方法は、それらの1つまたは複数のステップのみを所有することに限定されず、記載されていない他のステップをもカバーする。
用語「有効な」とは、この用語が本明細書および/または特許請求の範囲で使用される場合、所望の、期待される、または意図される結果を達成するのに十分なことを意味する。患者または対象を有効成分で治療する文脈で使用される「有効量」、「治療有効量」、または「薬学的有効量」とは、患者または対象に投与したときに、疾患の治療または予防(これらの用語は以下で定義される)を達成するのに十分である、有効成分の量を意味する。
「医薬用添加剤」(excipient)とは、医薬、薬学的組成物、製剤、または薬物送達システムの有効成分(複数可)と共に製剤化される薬学的に許容される物質である。医薬用添加剤は、例えば、組成物を安定化させるため、組成物を嵩上げするため(したがって、この目的で使用される場合、しばしば「増量剤」、「充填剤」、または「希釈剤」と呼ばれる)、または薬物吸収を促進する、粘度を低下させる、溶解性を高めるなど、最終剤形中の有効成分に治療上の増強効果を付与するために使用され得る。医薬用添加剤には、抗粘着剤、結合剤、コーティング剤、着色剤、崩壊剤、香味剤、流動促進剤、滑沢剤、防腐剤、吸着剤、甘味剤、およびビヒクルの薬学的に許容される種類が含まれる。有効成分を運ぶための媒体として作用する主な医薬用添加剤は、通常、ビヒクルと呼ばれる。医薬用添加剤はまた、例えば、期待される保存期間中の変性や凝集の防止といったインビトロ安定性を補助することに加えて、粉末の流動性または非粘着性を促進するなどによって、有効物質の取り扱いを容易にするために、製造工程でも使用され得る。医薬用添加剤の適合性は、通常、投与経路、剤形、有効成分だけでなく、その他の要因によっても異なってくるだろう。
本明細書で一般的に使用される「薬学的に許容される」とは、健全な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症なしに、妥当なベネフィット/リスク比に見合って、ヒトおよび動物の組織、器官、および/または体液と接触して使用するのに適している、化合物、材料、組成物、および/または剤形を指す。さらに、動物への投与の場合、製剤は、FDA Office of Biological Standardsが要求する無菌性、発熱性、一般的安全性、および純度基準を満たす必要があることが理解されよう。
本明細書で使用される「薬学的に許容される担体」には、あらゆる水性溶媒(例:水、アルコール性/水性溶液、生理食塩水、非経口ビヒクル、例えば、塩化ナトリウム、リンゲル液ブドウ糖など)、非水性溶媒(例:プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、および注射用有機エステル、例えばオレイン酸エチルなど)、分散媒体、コーティング剤、界面活性剤、酸化防止剤、防腐剤(例:抗菌または抗真菌剤、抗酸化剤、キレート剤、および不活性ガス)、等張剤、吸収遅延剤、塩、薬物、薬物安定剤、ゲル、結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、香味剤、色素、水分および栄養補給剤、当業者に知られているような同様の材料およびそれらの組み合わせが含まれる。薬学的組成物中の様々な成分のpHおよび正確な濃度は、よく知られたパラメータに従って調整される。
「治療用組成物」(医薬、薬学的製剤、薬学的組成物、調合薬、医薬製剤、医薬製品、医薬品、医薬製品、薬品(medicine, medication, medicament)、または単に薬物、薬剤、もしくは製剤とも呼ばれる)は、疾患の診断、治癒、治療、または予防に使用される組成物であり、医薬品有効成分(active pharmaceutical ingredient:API)を含み、任意で医薬用添加剤とも呼ばれる1つまたは複数の不活性成分を含有する。
「予防」または「予防する」には、以下が含まれる:(1)疾患のリスクおよび/または素因を有する可能性があるが、該疾患の病理(pathology)もしくは徴候(symptomatology)のいずれかまたは全てをまだ経験していないまたは発現していない対象または患者において、該疾患の発症を抑制すること、ならびに/あるいは(2)疾患のリスクおよび/または素因を有する可能性があるが、該疾患の病理もしくは徴候のいずれかまたは全てをまだ経験していないまたは発現していない対象または患者において、該疾患の病理もしくは徴候の発症を遅らせること。
「治療」または「治療する」には、以下が含まれる:(1)疾患の病理もしくは徴候を経験しているまたは発現している対象または患者において、該疾患を抑制すること(例えば、病理および/または徴候のさらなる進展を阻止すること)、(2)疾患の病理もしくは徴候を経験しているまたは発現している対象または患者において、該疾患を改善すること(例えば、病理および/または徴候を逆転させること)、ならびに/あるいは(3)疾患の病理もしくは徴候を経験しているまたは発現している対象または患者において、該疾患またはその症状の測定可能な減少をもたらすこと。
本出願を通じて使用される「治療的利益」(therapeutic benefit)または「治療上有効」(therapeutically effective)という用語は、この疾患の医学的治療に関して対象のウェルビーイング(well-being:良好な状態)を促進または増強するあらゆるものを指す。これには、疾患の兆候もしくは症状の頻度または重症度の低下が含まれるが、これらに限定されない。
治療に対する患者の「応答性」(responsiveness)とは、疾患もしくは障害のリスクにさらされているかまたは疾患もしくは障害を患っている患者に与えられる臨床的または治療的利益のことである。そのような利益には、細胞性もしくは生物学的応答、完全奏効、部分奏効、病勢安定(進行または再発を伴わない)、または後に再発を伴う奏効が含まれる。
「単位用量」(unit dose)という用語は、1回の投与で単回治療有効量の有効成分を患者に提供するのに十分な方法で調製されるような、化合物または組成物の製剤を指す。使用できるそのような単位用量製剤には、単一の錠剤、カプセル剤、もしくは他の経口製剤、またはシリンジで注射可能(syringeable)な液剤もしくは他の注射製剤を含む単一のバイアルが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される「イヌ」(Canine)には、一般に犬と呼ばれているものが含まれるが、イヌ科(Canidae)の他のメンバーも含まれる。
本明細書で使用される「患者」または「対象」という用語は、生きている哺乳類生物、例えば、ヒト、サル、ウシ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、キツネ、オオカミ、スカンク、マウス、ラット、モルモット、またはそれらのトランスジェニック種などを指す。特定の態様では、患者または対象はイヌである。
本明細書で使用される「経口」投与とは、治療用組成物などの物質を、口を通して、または口を経由して、対象の体内に導入することを指し、嚥下もしくは口腔粘膜通過(例えば、舌下吸収または頬側吸収)、またはその両方を含む。気管内投与も経口投与の一手段である。
特定の成分に関して本明細書で使用される「本質的に含まない」とは、本明細書では、特定の成分が組成物中に意図的に全く配合されていないこと、および/または汚染物質としてもしくは微量でのみ存在していることを意味するために使用される。したがって、組成物の意図的でない汚染に起因する特定成分の総量は、0.05%をはるかに下回り、好ましくは0.01%未満である。最も好ましいのは、特定成分の量が標準的な分析方法で検出されない組成物である。
本明細書で使用される「a」または「an」は、1つまたは複数を意味し得る。特許請求の範囲で使用される「a」または「an」という語は、「含む」という語と共に使用される場合、1つまたは2つ以上を意味することができる。
特許請求の範囲における用語「または」の使用は、代替物のみを指すことが明示的に示されない限り、または代替物が相互に排他的でない限り、「および/または」を意味するために使用される;しかし、本開示では、ただ1つの代替物と「および/または」を指す定義が支持される。本明細書で使用される「別の」とは、少なくとも2番目またはそれ以降を意味し得る。
本出願全体を通じて、「約」という用語は、値が、デバイスに固有の誤差の変動、値を測定するために使用される方法に固有の変動、研究対象間に存在する変動、または記載された値の10%以内の値を含む、ことを示すために使用される。
上記の定義は、参照により本明細書に組み入れられる参考文献におけるどのような矛盾する定義にも優先するものである。しかし、特定の用語が定義されているという事実から、未定義の用語がどれも不確か(indefinite)であることを示していると考えるべきではない。むしろ、使用されている全ての用語は、当業者が本発明の範囲を理解して、本発明を実施できるような観点から、本発明を説明していると考えられる。
V. 実施例
以下の実施例は、本発明の好ましい態様を示すために含まれる。当業者には理解されるように、以下の実施例に開示された技術は、本発明の実施において良好に機能することが本発明者によって見出された技術を表しており、したがって、本発明を実施するための好ましい形態を構成していると考えることができる。しかしながら、当業者であれば、本開示に照らして、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、開示される具体的な態様に多くの変更を加えることができ、それでもなお同様または類似の結果を得ることができることを理解すべきである。
実施例1 - インビトロ試験
方法: イヌ線維芽細胞を、5%ウシ胎児血清、2mM L-グルタミン、0.1mM MEM非必須アミノ酸、1mMピルビン酸ナトリウム、0.05mM 2-メルカプトエタノール、10mM HEPES、100単位/mLペニシリン、および100mcg/mLストレプトマイシンを補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中に38℃で、5%CO2により培養した。イヌパルボウイルス2型(CPV2)を、自然感染した犬から採取された糞便サンプルより分離した。そのウイルスをイヌ線維芽細胞で増殖させ、1013.37組織培養感染量(TCID50)/mLの力価を生死判別アッセイに用いた。生死判別アッセイでは、細胞を定期的に継代し、96ウェルプレートで200μLの完全DMEM培地中に5×104細胞/mLで播種し、38℃、5%CO2で一晩インキュベートした。その後培地を除去し、細胞にCPV2を38℃、5%CO2で1時間感染させた。1時間後、クエン酸第二鉄(1μMまたは10μM)、デフェロキサミン(1μM)、または新鮮な培地をウェルに3つ組で加え、細胞を72時間培養した後、トリパンブルー排除を用いて細胞の生死を分析した。各アッセイについて、最低3回の独立した実験を行った。
CPV感染時の鉄の利用可能性の役割を調べるために、CPVを接種した細胞培養物にクエン酸第二鉄またはデフェロキサミンを添加した。処理から72時間後、細胞の生存をアッセイした。CPVのみに感染した細胞は、未処理の細胞と比較して、生存率が28%低下した(図1)。1μMまたは10μMのクエン酸第二鉄の添加により鉄の利用可能性が増加すると、結果的にCPV感染後の細胞の生存が有意に増加した;一方、1μMのデフェロキサミンの添加により鉄の利用可能性が減少すると、未処理の細胞と比較して生存率が45%低下し、CPV感染細胞と比較して生存率が23%低下した。このことは、CPV感染時の鉄の利用可能性が細胞の生存にとって極めて重要であることを示唆している。示されているデータは、平均値±SEMであり、3回の独立した実験からプールされた。
追加のクエン酸第二鉄が、CPV感染の非存在下で細胞の生存に影響を与えるかどうかを調べるため、細胞を1μMもしくは10μMのクエン酸第二鉄、または1μMのデフェロキサミンで72時間処理し、その後細胞の生存をアッセイした。いずれの場合も、未処理細胞と処理細胞の生存間に有意差はなかった(図2)。示されているデータは、平均値±SEMであり、3回の独立した実験からプールされた。
実施例2 - インビボ試験
この溶液を、イヌパルボウイルスに自然感染した犬に経口投与すると、嘔吐、下痢、不活発、食欲不振などのイヌパルボウイルス感染症の症状の多くが改善し、この疾患の経過が短縮され、完全な回復が初回治療後12時間という速さで始まる。
方法: CPVに対するワクチン接種歴のない13匹の子犬を、自然感染経路によりCPV感染症を発症させ、0.22、1.1、または2.2mg/kgのクエン酸第二鉄溶液の1日2回、最大5日間の経口投与を追加した標準的な獣医学的プロトコルに従って治療し、14日間モニターした。
嘔吐、下痢、血便、不活発、元気消失などのCPV感染の症状を呈する子犬を、IDEXX Laboratories SNAP(登録商標)Parvo Testをメーカーのプロトコルに従って用いて、CPV感染について検査した。CPV陽性であることが確認されたら、0.22、1.1、または2.2mg/kgのクエン酸第二鉄溶液を追加した、静脈内または皮下輸液、制吐薬、および抗生物質注射剤を含む、CPV感染に対する標準的な獣医学的プロトコルに従って、子犬の治療を開始した。
最高濃度のクエン酸第二鉄が補充された子犬の生存率は100%(5/5)であったが、より低濃度の溶液の生存率は、それぞれ40%(2/5)および33.33%(1/3)であった(図3)。
体重の少ない幼い子犬(5ポンド未満)は、CPVに感染すると死亡するリスクが高い。試験したクエン酸第二鉄の最低濃度0.22mg/kgでは、最も小さい子犬(5ポンド未満)の死亡を防ぐことができなかったが、試験した最高濃度2.2mg/kgでは、全ての子犬が100%の生存率を示した;最も小さい子犬は、治療開始時の体重が1.6ポンドしかなかった(図4)。
本明細書で開示され、特許請求される方法は全て、本開示に照らして、過度の実験をすることなく、実施しかつ達成することができる。本発明の組成物および方法は、好ましい態様に関して説明されているが、本発明の概念、精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される方法、方法のステップまたはステップの順序には変更を適用し得ることが、当業者には明らかであろう。より具体的には、化学的にも生理学的にも関連しているある種の薬剤を、本明細書に記載の薬剤の代わりに使用することができ、それでも同じまたは類似の結果が得られることは明らかであろう。当業者に明らかな、そのような類似の代替物および修正は全て、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神、範囲および概念の範囲内であるとみなされる。

Claims (25)

  1. イヌにおけるパルボウイルス科(Parvoviridae)感染症を治療する方法であって、
    鉄含有化合物および医薬用添加剤を含む薬学的組成物の治療有効量を投与する段階
    を含む、方法。
  2. 鉄含有化合物が第二鉄含有化合物である、請求項1に記載の方法。
  3. 第二鉄含有化合物がクエン酸第二鉄である、請求項2に記載の方法。
  4. イヌが幼い子犬であり、かつ/または5ポンド未満の体重である、請求項1に記載の方法。
  5. 鉄含有化合物、医薬用添加剤、および任意でグルコースを含む、薬学的組成物。
  6. 鉄含有化合物が第二鉄含有化合物である、請求項5に記載の薬学的組成物。
  7. 第二鉄含有化合物がクエン酸第二鉄である、請求項6に記載の薬学的組成物。
  8. グルコースがD-グルコースである、請求項5~7のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
  9. 塩溶液をさらに含む、請求項5~8のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
  10. 塩溶液が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸カリウム一塩基性、リン酸ナトリウム二塩基性、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、および重炭酸ナトリウムのうちの1つまたは複数を含む、請求項9に記載の薬学的組成物。
  11. クエン酸第二鉄、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸カリウム一塩基性、リン酸ナトリウム二塩基性、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、重炭酸ナトリウム、およびD-グルコースを含む、請求項5~10のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
  12. 経口投与用に製剤化される、請求項5~11のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
  13. その必要がある対象における疾患または障害を治療する方法であって、
    請求項5~12のいずれか一項に記載の薬学的組成物の治療有効量を該対象に投与する段階
    を含む、方法。
  14. 前記対象が、鉄輸送経路を使用するウイルスによるウイルス感染症を有する、請求項13に記載の方法。
  15. 前記対象がパルボウイルス科感染症を有する、請求項13または14に記載の方法。
  16. 前記対象がパルボウイルス感染症を有するイヌである、請求項13~15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記イヌが幼い子犬であり、かつ/または5ポンド未満の体重である、請求項16に記載の方法。
  18. 疾患の経過を短縮する、請求項16に記載の方法。
  19. 嘔吐、下痢、不活発、および食欲不振を含めて、イヌパルボウイルス感染の症状の多くを改善する、請求項16に記載の方法。
  20. 前記イヌが鉤虫感染症をさらに有する、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 投与する段階が経口的に行われる、請求項13~20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記対象がパルボウイルス科感染症を有するネコである、請求項13~15および21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記対象がアレナウイルス科(Arenaviridae)感染症を有するヒトである、請求項13、14、および21のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記対象が、鉄を囲い込むためにシデロフォアを使用する病原性細菌による細菌感染症を有する、請求項13に記載の方法。
  25. 前記対象が胃腸炎または貧血を有する、請求項13に記載の方法。
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