JPWO2002034445A1 - ワイヤ放電加工装置 - Google Patents
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Abstract
Description
この発明は、ワイヤ放電加工装置に関するものである。
背景技術
一般に、ワイヤ放電加工は、荒加工、中加工、中仕上げ加工、仕上げ加工というように、加工条件をエネルギーの大きいものから小さいものに切り換えながら、3〜7工程の加工行なう。これは、面粗さを段々に細かくすることにより加工時間を短縮するという目的に加え、加工面の真直度を出すという目的による。また、ワイヤ放電加工では、加工による、放電反発力、静電気力などによる、ワイヤの振動から、被加工物の中心部分に対向するワイヤの部分はへこんだり、あるいは、膨らんだいわゆる「たいこ形状」になることが知られている。また、ワイヤ放電加工は、1回目加工(荒加工)と、2回目以降の加工(中加工、中仕上げ加工、仕上げ加工等)とでは、全く加工状況が異なる。1回目の加工では、無垢のワークを加工するため、加工屑がワークから十分に排除されず、加工屑の残存が原因となってワイヤが断線する心配がある。
そこで、第14図に示す従来のワイヤ放電加工装置は、たとえば特公平7−16825号公報(日本公告公報)に示されているように、ワークの板厚、ノズル高さ等を入力する入力手段120、充電電圧、オン時間、オフ時間等を記憶した加工条件記憶手段121、ノズル高さ等からノズル液圧を計算する液圧計算手段122、計算されたノズル液圧に基づき加工条件を変更する加工条件変更手段123を備え、ノズルの高さから、ノズル液圧すなわち加工液圧を求め、加工液圧から加工条件を変更する。しかしながら、1回目の加工では、ノズルがワークから十分に離れていた場合、加工液圧ではなく、ワイヤの長さがワイヤの断線の原因となるため、加工液圧から加工条件を算出する方式ではワイヤの断線を確実に防止することが困難である。実際の実験でも、上ノズルからワークまでの距離2mm(板厚20mm、Φ.25ワイヤの場合)の場合、加工液圧は変化するが、それ以上離れても加工液圧は変わらない。しかしながら、ワイヤが長いとたわみやすく、短絡時の制御がききにくくなり、ワイヤが断線する可能性が高くなるという問題点があった。
この発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、ノズルがワークから離れてもワイヤが断線しにくいワイヤ放電加工装置を提供することを目的とする。さらに、ワイヤ放電加工では、加工面における面精度と加工精度が大切であるが、従来はこのような加工の精度について考慮されていなかった。
発明の開示
この発明の第1の構成によるワイヤ放電加工装置は、加工条件を保持する加工条件記憶手段と、ノズル高さと加工エネルギー量との関係を記憶する手段と、上記関係に基づき、荒加工における加工エネルギー量を決定する加工エネルギー決定手段と、加工エネルギー量から加工条件を変更する加工条件変更手段とを具備し、変更した加工条件によりワークを加工するように構成している。この構成によれば、ワイヤノズル高さから、加工エネルギー量を決定するようにしたので、ノズルが離れてもワイヤが断線しにくいという効果がある。
この発明の第2の構成によるワイヤ放電加工装置は、標準加工条件を保持する加工条件記憶手段と、ノズル高さと液流量との関係を記憶する手段と、上記関係に基づき、荒加工における液流量を決定する手段と、加工条件中の液流量パラメータを変更する液流量変更手段とを具備し、変更した加工条件によりワークを加工するように構成している。この構成によれば、ノズル高さにあった加工液流量になるため、ワイヤが断線しにくいという効果がある。
この発明の第3の構成によるワイヤ放電加工装置は、標準加工条件を保持する加工条件記憶手段と、ノズル高さとワイヤの傾きとの関係を記憶する手段と、該関係に基づき、加工におけるワイヤ傾き量を決定する傾き補正値決定手段と、加工条件中のワイヤの傾きパラメータを変更する傾き補正値変更手段とを具備し、変更した加工条件によりワークを加工するように構成している。この構成によれば、ワイヤのたわみによる傾きが是正されて、面及び加工の精度がでるという効果がある。
この発明の第4の構成によるワイヤ放電加工装置は、標準加工条件を保持する加工条件記憶手段と、ノズル高さとワイヤの寄せ量との関係を記憶する手段と、上記関係に基づき、加工におけるワイヤの寄せ量を決定する寄せ量補正値決定手段と、加工条件中のワイヤ寄せ量を変更する寄せ量変更手段とを具備し、変更した加工条件によりワークを加工するように構成している。この構成によれば、ワイヤのたわみ量を考慮した寄せ量になるため、面精度が良くなるという効果がある。
この発明の第5の構成によるワイヤ放電加工装置は、標準加工条件を保持する加工条件記憶手段と、1回目加工における加工状態を検出し、検出された加工状態からノズル離れ量を検出するノズル離れ量検出手段と、検出されたノズル離れ量から、次工程以降の加工条件を決定する加工条件決定手段を具備し、決定した加工条件によりワークを加工するように構成している。この構成によれば、自動的に正しいノズル高さが検出でき、ノズル高さに合わせた補正が行われるので、面精度がでるという効果がある。
この発明の第6の構成によるワイヤ放電加工装置は、この発明の第5の構成によるワイヤ放電加工装置において、加工状態を加工速度として検出するように構成している。この構成によれば、面精度が向上するという効果がある。
この発明の第7の構成によるワイヤ放電加工装置は、この発明の第5の構成によるワイヤ放電加工装置において、ワイヤノズル離れ状態をグラフィカルに表示する手段を備え、ノズル高さをグラフィカルに表示するように構成している。この構成によれば、設定ミスや入力ミスを防ぐことができるという効果がある。
発明を実施するための最良の形態
以下に、図面に基づいてこの発明の実施例を説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
実施例1
第1図はこの発明の実施例1を示す構成図である。図において、1は入力手段であり、通常はキーボードが用いられる。2は加工エネルギー決定手段、3は加工エネルギーデータベースであり、このデータベースには第2図に示すように、ワークの板厚、上ノズル高さ、下ノズル高さに対する、ワイヤが断線しない加工エネルギー量が、通常の上記標準加工条件に対する割合として記述されている。ここで、ノズル高さは、例えば上ノズル70が、第10図のAに示すようにワーク72から離れた状態を表している。この割合のデータは第1回目の加工に関するものだけである。加工エネルギー決定手段2では、加工エネルギーデータベース3から読み出された板厚、上ノズル高さ、下ノズル高さに関するデータに基づき加工エネルギーを決定する。加工エネルギー決定手段2で決定された加工エネルギーのデータは加工条件変更手段4に送られる。5は加工条件記憶手段であり、ノズル密着時(ノズルがワークに密着している)における標準加工条件(n工程:n≧1)として、充電電圧、オン時間、オフ時間、寄せ量等が記憶されている。加工条件変更手段4は、加工エネルギー決定手段2で決定した加工エネルギーを表すデータに基づき加工条件記憶手段から送られた加工条件を変更し、コントローラ7に出力したり、出力、表示手段6の画面(図示せず)に加工条件を表示する。ここで、ノズル高さは、例えば上ノズル70が、第7図のAに示すようにワーク72から離れた状態を表している。
第2図はこの発明の実施例1の動作を示すフロー図である。
次に第1回目の動作について第2図により述べる。入力手段1から、加工エネルギー決定手段2へ材質、板厚、ワイヤ径、上ノズル高さ、下ノズル高さ等が入力される(ST1−1)。加工条件記憶手段3には、材質、板厚、ワイヤ径等によって決定された、ノズルが密着している場合の、あらかじめ記憶された標準加工条件が記憶されており、該標準加工条件が、加工条件変更手段4へ送られる(ST1−2)。加工エネルギー決定手段2は入力手段1から入力された材質、板厚、ワイヤ径、上ノズル高さ、下ノズル高さ等に基づき、加工エネルギーデータベース3に保存されている第3図に示すようなテープルから、加工エネルギー量を決定する(ST2−3)。第3図において、例えば、板厚が10で、上ノズル離れ量が20、下ノズル離れ量が0の場合の加工エネルギー量は、第2図におけるNO.2の0.5になり、標準1回目の50%の加工エネルギー量が加工エネルギー決定手段2において決定される。この0.5という情報が加工エネルギー決定手段2から加工条件変更手段4へ送られる。加工条件変更手段4では、加工エネルギー量を50%にするのは、オフ時間を増やすことにより行う。加工条件変更手段4において、加工エネルギー量から、標準1回目の加工条件を変更する(ST2−4)。変更した第1回目の加工条件は変更していない第2回目以降の加工条件とともにコントローラ7に送られ、また出力、表示手段6の画面(図示せず)に表示される(ST1−5)。コントローラ7は、加工条件に従ってワークの第1回目の加工を行う。なお、第2回目以降の加工は、断線しないことから加工エネルギー量を小さくする必要はないため、加工条件を変更することなく加工を行う。この実施例1によれば、ノズル離れ量に応じて、エネルギー量をコントロールするようにしたので、断線が防止できるという効果がある。
実施例1において、加工エネルギー量は加工エネルギーデータベースで記述するようにしたが、ノズル高さと板厚から求まるエネルギー量の近似関係式で持ってもよい。
また、加工エネルギー量を50%にする方法は、オフ時間を増やす方法について述べたが、オン時間を減らす、サーボ電圧を増やすなど、いろいろな方法を適用することができる。
また、ワイヤノズル離れ量に対応する加工エネルギー量がわからない場合は、直接に加工エネルギー量、例えば、0.4などを入力できるようにしてもよい。
加工条件記憶手段5には、あらかじめ標準加工条件が記憶されているものとしたが、標準加工条件は、別の手段、例えば、ユーザによる入力等によって決定されるものでもよい。
また、エネルギー量の表し方は、標準加工条件の第1回目の加工に対する割合で記述されているが、オン時間、オフ時間等の電流波形情報から、直接に一定時間内のエネルギー量を計算した値でもよい。このエネルギー量は実際のエネルギー量自体を表している。一方第3図におけるエネルギー量は上述したように標準の加工条件に対する割合を表しいる点で両者は相違する。
実施例2
第4図はこの発明の実施例2を示す構成図であり、第5図はこの発明の実施例2の動作を示すフロー図である。図において、1は実施例1と同様の入力手段であり、通常はキーボードが用いられる。30は加工液流量(以下液流量という。)に関する液流量決定手段、31は液流量データベースであり、この液流量データベース31には第6図に示すように、ワークの板厚、上ノズル高さ、下ノズル高さに対する、ワイヤが断線しない量が、通常の上記標準加工条件に対する割合として記述されている。この割合のデータは第1回目の加工に関するものだけである。液流量決定手段30では、液流量データベース31から読み出されたデータに基づき液流量を決定する。液流量決定手段30で決定された液流量のデータは液流量変更手段32へ送られる。5は実施例1と同様の加工条件記憶手段であり、ノズル密着時(ノズルがワークに密着している)における標準加工条件(n工程:n≧1)として、充電電圧、オン時間、オフ時間、寄せ量、液流量等が記憶されている。液流量変更手段32は、液流量決定手段30で決定した液流量に基づき、加工条件記憶手段5から送られた液流量(液流量パラメータ)を変更し、変更された液流量がコントローラ7に出力されるとともに出力、表示手段6の画面(図示せず)に表示される。
次に第1回目の加工動作について第5図により述べる。入力手段1から、液流量決定手段30へ材質、板厚、ワイヤ径、上ノズル高さ、下ノズル高さ等が入力される(ST2−1)。加工条件記憶手段5には、材質、板厚、ワイヤ径等によって決定されたノズルが密着している場合の、あらかじめ記憶された標準加工条件が記憶されており、該標準加工条件が、液流量変更手段12へ送られる(ST2−2)。液流量決定手段30では、入力手段1から材質、板厚、ワイヤ径、上ノズル高さ、下ノズル高さ等が入力されると、液流量データベース31からの液流量に基づき、液流量を決定する(ST2−3)。例えば、板厚が10で、上ノズル離れ量が20、下ノズル離れ量が0の場合の液流量は第6図におけるNO.2の0.5になり、標準1回目の50%の液流量が液流量決定手段30において決定される。この50%という情報が液流量決定手段30から液流量変更手段32へ送られる。液流量変更手段32において、加工条件記憶手段5から送られた液流量について、標準1回目の加工に関する液流量(液流量パラメータ)を変更する(ST2−4)。変更した第1回目の液流量は変更していない第2回目以降の加工条件と共にコントローラ7に送られる。また、変更された液流量は表示手段6の画面(図示せず)に表示される(ST2−5)。コントローラ33は、変更された液流量に従ってワークの第1回目の加工を行う。なお、第2回目以降の加工はワイヤの片側が開放になり液流量の影響を受けないため、液流量を変更することなく加工を行う。
液流量を調整することにより、加工液の流れをスムーズにし、断線を防止する。例えば、上ノズルが離れた場合は、通常より、上ノズル液量を半分程度にした方が断線しにくいことが知られている。この実施例2によれば、ノズル離れ量に応じて、加工液量をコントロールするようにしたので、断線が防止できるという効果がある。
液流量は液流量データベース31で記述するようにしたが、ノズル高さと板厚から求まる液流量の近似関係式で持ってもよい。
また、加工条件記憶手段5には、あらかじめ標準加工条件が記憶されているものとしたが、標準加工条件は、別の手段、例えばユーザによる入力等によって決定されるものでもよい。
実施例3
第7図はこの発明の実施例3を示す構成図であり、第8図はこの発明の実施例3の動作を示すフロー図である。図において、1は入力手段であり、実施例1と同様、通常はキーボードが用いられる。50は傾き補正値決定手段、51は傾き補正値データベースであり、このデータベースには第9図に示すように、ワークの板厚、上ノズル高さ、下ノズル高さに対する、精度が補償されるワイヤの傾き補正値が、通常の標準加工における全工程のワイヤ傾きに対する補正値で記述されている。傾き補正値決定手段50では、傾き補正値データベース51から読み出されたデータに基づきワイヤの傾き補正値を決定する。傾き補正値決定手段50で決定された傾き補正値のデータは多工程傾き補正値変更手段52に送られる。53は多工程加工条件記憶手段であり、ノズル密着時(ノズルがワークに密着している)における標準加工条件(n工程:n≧1)として、充電電圧、オン時間、オフ時間、寄せ量、ワイヤの傾き等が記憶されている。多工程傾き補正値変更手段52は、傾き補正値決定手段50で決定した傾き補正値に基づき多工程加工条件記憶手段53から送られた加工条件(ワイヤの傾きパラメータ)を変更し、コントローラ54に出力したり、出力、表示手段6の画面(図示せず)に傾き補正値を表示する。
次に動作について第8図により述べる。入力手段1から、材質、板厚、ワイヤ径、上ノズル高さ、下ノズル高さ等が入力される(ST3−1)。多工程加工条件記憶手段53には、材質、板厚、ワイヤ径等によって決定されたノズルが密着している場合の、あらかじめ記憶された標準加工条件が記憶されており、該標準加工条件が、多工程傾き補正値変更手段52へ送られる(ST3−2)。傾き補正値決定手段50は入力手段1から材質、板厚、ワイヤ径、上ノズル高さ、下ノズル高さ等が入力されると、傾き補正値データベース51から送られた傾き補正値に基づき、傾き補正値を決定する(ST3−3)。例えば、板厚が10で、上ノズル離れ量が20、下ノズル離れ量が0の場合の傾き補正値は第6図におけるNO.2の5になり、この5という情報が傾き補正補正値決定手段50から多工程傾き補正値変更手段52へ送られる。多工程傾き補正値変更手段52において、傾き補正値5を用いて、標準加工条件の1回目〜n回目に対する加工条件の傾き(傾きパラメータ)を変更する(ST3−4)。変更した第1回目からn回目の加工条件はコントローラ54に送られると共に出力、表示手段6の画面(図示せず)に表示される(ST3−5)。コントローラ54は、加工条件に従ってワイヤを傾けて第1回目からn回目の加工を行う。
第10図はノズルがワークから離れた場合のイメージ図である。Cは上ノズル70と下ノズル71とがワーク72に密着している場合、A、Bの実線は、上ノズル70がワーク72から離れ、ワイヤ73にたわみが生じ、放電反発力、あるいは、静電気力により、ワーク形状にテーパ面Tが生じた場合を示している。そこで、例えばBの場合は、点線で示す通り、上ノズル70を矢印で示す外側方向に出し、ワイヤ73の傾き補正値分だけワイヤ73を角度θだけ傾けることにより、ワーク面は加工により垂直な面Pに仕上げることができるなお、実施例3では、全工程のワイヤ傾き量を傾き補正値データベース51に保存された同一の傾き補正値で補正するようにしたが、例えば、第n工程のみ補正するようにしたり、第1工程用、第2工程用、第n工程用と工程に応じ傾き補正値を別々に持ってもよい。
また、ワイヤの傾き補正値は傾き補正値データベース51で記述するようにしたが、ノズル高さと板厚から求まるワイヤの傾き補正値の近似関係式で持ってもよい。
また、この実施例3では、加工条件にワイヤの傾き補正値を持っているように記述したが、ワイヤの傾き補正値は加工条件とは別に持っていても、加工中にワイヤの傾きを補正できればよいものとする。
以上で述べた実施例1、2では、第1回目の加工における断線を防ぐよう加工条件および液流量を調整したが、実施例3では、加工面の面精度と形状精度とを向上することができる。
実施例4
第11図はこの発明の実施例4を示す構成図であり、第12図はこの発明の実施例4の動作を示すフロー図である。図において、1は入力手段であり、実施例1と同様に通常はキーボードが用いられる。81は寄せ量補正値決定手段、82は寄せ量補正値データベースであり、このデータベースには第13図に示すように、ワークの板厚、上ノズル高さ、下ノズル高さに対する、精度が補償される第2回目加工の寄せ量補正値が、通常の上記標準加工条件の第2回目加工における寄せ量に対する補正量で記述されている。寄せ量補正値決定手段71では、寄せ量補正値データベース82から読み出されたデータに基づき寄せ量補正値を決定する。寄せ量補正値決定手段81で決定された寄せ量補正値のデータは多工程寄せ量補正値変更手段83に送られる。84は多工程加工条件記憶手段であり、ノズル密着時(ノズルがワークに密着している)における標準加工条件データ(n工程:n≧1)として、充電電圧、オン時間、オフ時間、寄せ量等が記憶されている。多工程寄せ量補正値変更手段73は、寄せ量補正値決定手段81で決定した寄せ量補正値に基づき多工加工条件記憶手段84から送られた第2回目加工の寄せ量補正値を変更し、コントローラ85に出力したり、出力、表示手段6の画面(図示せず)に寄せ量補正値を表示する。
次に動作について第12図により述べる。入力手段1から、材質、板厚、ワイヤ径、上ノズル高さ、下ノズル高さ等が入力される(ST4−1)。多工程加工条件記憶手段84には、材質、板厚、ワイヤ径等によって決定されたノズルが密着している場合の、あらかじめ記憶された標準加工条件が記憶されており、該標準加工条件が、多工程寄せ量変更手段73へ送られる(ST4−2)。寄せ量補正値決定手段81は、入力手段1から材質、板厚、ワイヤ径、上ノズル高さ、下ノズル高さ等が入力されたとき、寄せ量補正値データベース72の寄せ量補正値に基づき寄せ量補正値を決定する。例えば、板厚が10で、上ノズル離れ量が20、下ノズル離れ量が0の場合の寄せ量補正値は第9図におけるNO.2の10になり、標準加工の第2回目の寄せ量補正値10が決定される(ST4−3)。この10という情報が寄せ量補正値決定手段81から多工程寄せ量補正値変更手段83へ送られる。多工程寄せ量補正値変更手段83では、多工程寄せ量補正値変更手段83において、寄せ量補正値から、標準2回目の加工条件の寄せ量を変更する(ST4−4)。変更した第2回目の寄せ量を変更した加工条件は、第1回目の加工条件や第3回目以降の加工条件と共にはコントローラ85に送られると共に出力、表示手段6の画面(図示せず)に表示される(ST4−5)。コントローラ85は、加工条件に従って加工を行う。
第14図は上ノズル80と下ノズル81が離れた場合のイメージ図である。ノズル離れ状態では、ワイヤ83にたわみが生じ、第2回目の加工を行う場合、ワイヤ73が実線の位置にあると、ワーク72の加工面が凹部になっているためワーク中央部に放電が生じなくなる。そこで、上ノズル80と下ノズル81を点線で示すように矢印方向へ移動して、寄せ量を変更することにより、加工精度を良くすることができる。ここで、寄せ量は、第14図において示すように、上ノズル80と下ノズル81とを同一距離だけスライドさせる(実線で示す両ノズルとワイヤの位置から破線で示す位置まで)ための距離を意味している。
なお、実施例4では、第2回目加工における寄せ量補正値をデータベースで持つようにしたが、別の工程のみ補正するようにしたり、第1工程用、第2工程用、第n工程用と工程に応じ補正値を別々に持ってもよい。
また、実施例4において、寄せ量に影響する他の加工条件を変更してもよい。例えば、オン時間、加工送り速度、放電電圧等を変更すると、寄せ量が変化するように構成してもよい。
実施例5
第15図はこの発明の実施例5を示す構成図であり、第16図はこの発明の実施例5の動作を示すフロー図である。図において、1は入力手段であり、実施例1と同様に通常はキーボードが用いられる。100はノズル高さを自動的に求めるノズル高さ検出手段、101は加工速度とノズル離れ量の関係が記述されている加工速度データベース、81は寄せ量補正値決定手段、82は寄せ量補正値データベースであり、このデータベースには第17図に示すように、ワークの板厚、上ノズル高さ、下ノズル高さに対する、精度が補償される第2回目加工の寄せ量補正値が、通常における上記標準加工条件の第2回目加工の寄せ量に対する補正量で記述されている。寄せ量補正値決定手段71では、寄せ量補正値データベース82から読み出されたデータに基づき寄せ量補正値を決定する。寄せ量補正値決定手段81で決定された寄せ量補正値のデータは多工程寄せ量補正値変更手段83に送られる。84は多工程加工条件記憶手段であり、ノズル密着時(ノズルがワークに密着している)における標準加工条件データ(n工程:n≧1)として、充電電圧、オン時間、オフ時間、寄せ量等が記憶されている。多工程寄せ量補正値変更手段83は、寄せ量補正値決定手段81で決定した寄せ量補正値に基づき多工加工条件記憶手段84から送られた第2回目加工の寄せ量補正値を変更し、コントローラ85に出力したり、出力、表示手段6の画面(図示せず)に寄せ量補正値を表示する。
次に動作について第16図により述べる。入力手段1から、材質、板厚、ワイヤ径等が入力される(ST5−1)。多工程加工条件記憶手段84には、材質、板厚、ワイヤ径等によって決定されたノズルが密着している場合の、あらかじめ記憶された標準加工条件が記憶されており、該標準加工条件が、多工程寄せ量変更手段83へ送られる。加工が開始される(ST5−2)。一回目加工中、ノズル高さ検出手段100は、加工速度を検出し、第15図に表された加工速度データベース101からノズル高さを抽出し(ST5−4)、表示手段6の画面(図示せず)に第18図のCで示すようにノズル高さを表示する(ST5−5)。ここで、第18図は表示画面を示しており、この画面には上ノズル70、下ノズル71、ワーク72、上ノズル、下ノズルの高さを入力するスペース75、76が表示されており、Cに示すようにスペース75には20の値が表示されると共に、この20の値が表示画面上の座標値に変換されて上ノズルの高さが20mmとなるような位置に上ノズル70が表示される。ノズルが離れると、ワイヤの振動幅が大きくなるため、実質の加工量が増加し、加工速度が遅くなることがわかっている。第12図によれば、例えば、加工速度が5の時はNo.2に示すように上ノズルが20、下ノズルが0となる。寄せ量補正値決定手段81は、入力手段1から材質、板厚、ワイヤ径が、ノズル高さ検出手段100から、上ノズル高さ、下ノズル高さ等が入力されたとき、寄せ量補正値データベース72の寄せ量補正値に基づき寄せ量補正値を決定する(ST5−6)。例え、板厚が10で、上ノズル離れ量が20、下ノズル離れ量が0の場合の寄せ量補正値は第9図におけるNO.2の10になり、標準加工の第2回目の寄せ量補正値10が決定される。この10という情報が寄せ量補正値決定手段81から多工程寄せ量補正値変更手段83へ送られる。多工程寄せ量補正値変更手段83では、多工程寄せ量補正値変更手段83において、寄せ量補正値から、標準2回目の加工条件の寄せ量を変更する(ST5−7)。変更した第2回目の寄せ量を変更した加工条件は、第1回目の加工条件や第3回目以降の加工条件と共にはコントローラ85に送られると共に出力、表示手段6の画面(図示せず)に表示される(ST5−8)。コントローラ85は、加工条件に従って加工を行う。
なお、実施例5では、検出されたノズル高さを表示手段に表示するようにしたが、ユーザが実施例1〜4でノズル高さを入力したときに、表示するようにしてもよい。その場合は、初期状態が第18図のAで、ユーザがBのようにノズル高さ「20」を入力すると、20の値を画面表示上の座標値に変換して、この変換値に基づいてCのようにノズルが20mm高くなった位置に上ノズルが移動したグラフィック画面が表示される。
なお、上記各実施例では、入力は、ユーザがキーボードから入力するようにしたが、他の入力手段や、あるいは、ノズルの高さを自動的に計測する外付けシステムなどから入力される値であってもよい。
この実施例5では、加工状態を加工速度として検出しているため、ユーザがノズル高さ等のデータを入力しなくても自動的にノズルの高さに適合した補正が行われ、面精度を向上させることができる。
以上で説明した全ての実施例において、ワイヤ放電加工装置の中に構成しているように記述したが、ワイヤ放電加工装置の外に、例えば、CAD/CAMシステムの上にあっても構わないものとする。このように場合も、分離されたCAD/CAMを含めてワイヤ放電加工装置が構成されるとして、本発明の範囲に包含される。
産業上の利用性
この発明は、ワイヤ放電加工装置におけるワイヤの断線を改善することができ、加工面の面精度、形状精度を向上させることから、ワイヤ放電加工には有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の実施例1による構成を示すブロック図である。
第2図はこの発明の実施例1の動作を示すフロー図である。
第3図はこの発明の実施例1における加工エネルギーデータベースの構成を示す説明図である。
第4図はこの発明の実施例2による構成を示すブロック図である。
第5図はこの発明の実施例2の動作を示すフロー図である。
第6図はこの発明の実施例2における液流量データベースの構成を示す説明図である。
第7図はこの発明の実施例3による構成を示すブロック図である。
第8図はこの発明の実施例3の動作を示すフロー図である。
第9図はこの発明の実施例3における傾き補正値データベースの構成を示す説明図である。
第10図はこの発明の実施例3におけるワイヤの状態を示す構成図である。
第11図はこの発明の実施例4による構成を示すブロック図である。
第12はこの発明の実施例4の動作を示すフロー図である。
第13図はこの発明の実施例4における傾き寄せ量補正値データベースの構成を示す説明図である。
第14図はこの発明の実施例4におけるワイヤの状態を示す構成図である。
第15図はこの発明の実施例5による構成を示すブロック図である。
第16はこの発明の実施例5の動作を示すフロー図である。
第17図はこの発明の実施例5による加工速度データベースの構成を示す説明図である。
第18図はこの発明の実施例1〜4におけるワイヤノズル離れ状態をグラフィックとして表示する構成図である。
第19図は従来におけるワイヤ放電加工装置の構成を示すブロック図である。
Claims (7)
- ワイヤとワークとの間隙に加工液を介在させると共に所定の加工条件によりワークを加工するワイヤ放電加工装置において、加工条件を保持する加工条件記憶手段と、ノズル高さと加工エネルギー量との関係を記憶する手段と、上記関係に基づき、荒加工における加工エネルギー量を決定する加工エネルギー決定手段と、加工エネルギー量から加工条件を変更する加工条件変更手段とを具備し、変更した加工条件によりワークを加工することを特徴とするワイヤ放電加工装置。
- ワイヤとワークとの間隙に加工液を介在させると共に所定の加工条件によりワークを加工するワイヤ放電加工装置において、標準加工条件を保持する加工条件記憶手段と、ノズル高さと液流量との関係を記憶する手段と、上記関係に基づき、荒加工における液流量を決定する手段と、加工条件中の液流量パラメータを変更する液流量変更手段とを具備し、変更した加工条件によりワークを加工することを特徴とするワイヤ放電加工装置。
- ワイヤとワークとの間隙に加工液を介在させると共に所定の加工条件によりワークを加工するワイヤ放電加工装置において、標準加工条件を保持する加工条件記憶手段と、ノズル高さとワイヤの傾きとの関係を記憶する手段と、該関係に基づき、加工におけるワイヤ傾き量を決定する傾き補正値決定手段と、加工条件中のワイヤの傾きパラメータを変更する傾き補正値変更手段とを具備し、変更した加工条件によりワークを加工することを特徴とするワイヤ放電加工装置。
- ワイヤとワークとの間隙に加工液を介在させると共に所定の加工条件によりワークを加工するワイヤ放電加工装置において、標準加工条件を保持する加工条件記憶手段と、ノズル高さとワイヤの寄せ量との関係を記憶する手段と、上記関係に基づき、加工におけるワイヤの寄せ量を決定する寄せ量補正値決定手段と、加工条件中のワイヤ寄せ量を変更する寄せ量変更手段とを具備し、変更した加工条件によりワークを加工することを特徴とするワイヤ放電加工装置。
- ワイヤとワークとの間隙に加工液を介在させると共に所定の加工条件によりワークを加工するワイヤ放電加工装置において、標準加工条件を保持する加工条件記憶手段と、1回目加工における加工状態を検出し、検出された加工状態からノズル離れ量を検出するノズル離れ量検出手段と、検出されたノズル離れ量から、次工程以降の加工条件を決定する加工条件決定手段を具備し、決定した加工条件によりワークを加工することを特徴とするワイヤ放電加工装置。
- 検出する加工状態は加工速度であることを特徴とする請求の範囲第5項に記載のワイヤ放電加工装置。
- ワイヤノズル離れ状態をグラフィカルに表示する手段を持つことを特徴とする請求の範囲第5項に記載のワイヤ放電加工装置。
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