JPWO2002022789A1 - 生体培養器による正常実質細胞、組織または臓器の生産方法 - Google Patents

生体培養器による正常実質細胞、組織または臓器の生産方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、かぎりなく同種移植に近い細胞、組織、臓器を生産する技術の開発を目的とし、異種哺乳動物の正常実質細胞、異種哺乳動物の正常細胞とその分泌物よりなる組織、および/または異種哺乳動物の臓器を有する非ヒト哺乳動物を提供する。

Description

発明の属する技術分野
本発明は、ヒト等哺乳動物細胞及びヒト等哺乳動物細胞とその分泌物よりなる組織、臓器を有する非ヒト哺乳動物及び非ヒト哺乳動物の一部機能を有する生体培養器の作製方法と、生体培養器を用いた、ヒト等哺乳動物の細胞、組織、臓器の作製方法に関する。
この生体培養器は、細胞特異的に発現する遺伝子を有する全ての細胞、組織、臓器の生産、特にヒトへ移植する細胞、組織、臓器の生産に利用することができる。
従来の技術
近年、欠損した遺伝子を補完するための遺伝子治療、臓器の損傷部位に外部から細胞を注入して損傷部分の修復を補助する再生医療、修復不能なまでに損傷した組織、臓器を交換する臓器移植、が新時代の技術として注目されているが、これらの技術に共通して必要となる正常ヒト細胞、組織、臓器の供給は人体に依存している。このため、必要な時に、最適な材料を、必要量供給するのは難しく、供給量の絶対的な不足が救命に問題となってきているだけではなく、技術の進歩を阻んでいる。
ヒト以外の哺乳動物においても、感染症及び感染に起因する発ガン等に対する、現状より安価なワクチンの製造、遺伝子導入細胞の導入による成獣への新規産業形質の付加、等の新技術への期待があるが、これらの新技術に必要な規格化された正常細胞の供給技術はまだない。
非ヒト動物の細胞、組織、臓器は比較的入手しやすい。したがって、非ヒト動物、特に産業動物の細胞、組織、臓器をヒトに移植する技術、いわゆる異種移植技術が確立されれば当面の材料不足は解決される。異種移植の当面の難関は、ドナー動物の異種抗原によって引き起こされる、レシピエントの免疫反応である超急性拒絶反応だったが、この反応の1段階を阻害する因子をコードする遺伝子を導入したトランスジェニックブタを作成し、細胞、組織、臓器の移植に伴う超急性拒絶反応の軽減に成功している。例えば、イギリスのイミュトラン社はDAF遺伝子を導入したブタの心臓がカニクイザルで63日間、アレキシオン社はHRF20遺伝子導入ブタの心臓がヒヒで48時間、ネクストラン社はDAFとHRF20遺伝子導入ブタの心臓がヒヒで69時間、生残したことを報告している。
ブタはその生産性(多産、短期性成熟)、比較的容易な飼育条件の制御(無菌飼育,等)、病原体に関する豊富な知見、等の特性のみではなく、臓器の大きさと構造及び生化学的な特性がヒトに類似するため、ブタの細胞、組織、臓器をヒトに拒絶されにくくして代替する方法は上記の遺伝子導入ブタによる方法以外にも、少なからずある。例えば、ブタ心筋細胞の表層抗原を試験管内で抗体処理し不活化する方法、遺伝子操作により細胞表層抗原の生合成を抑制する方法(ユニバーサルドナー細胞)、ブタの心臓弁等の構造体を化学処理することによって細胞を除去する方法、等があるが、上記遺伝子導入法は、免疫拒絶を能動的に抑制する物質を生産しつづける臓器を生まれながらにしてもつ新品種ブタであり、異種移植用細胞、組織、臓器の大量生産に適している。
一方、ヒト胚性幹細胞の発明により、ヒト正常細胞の生産分野の動向も大きく変化している。従来マウス胚性幹細胞の化学処理により、マウス筋肉細胞、神経細胞、血球細胞等を試験管内で分化させる系および胚様体を作製する系が報告されている。また、マウス胚性幹細胞の遺伝子操作により、マウス心筋細胞を試験管内で生産する方法の特許も存在する。
しかしながら、胚性幹細胞は採取元の動物種、系統、雌雄等いまだ未解明の遺伝的要因に左右されるため、マウスの代表的な胚性幹細胞を用いて開発された技術がそのまま現在までに得られているヒト胚性幹細胞に適用できるとは限らない。現に、多くの年月と人材による努力にもかかわらず、ウシ、ブタ等マウス以外の動物種では、マウスで定義された胚性幹細胞、すなわち生殖細胞にまで分化するような全能性の細胞株は確立されていない。
アカゲザルやヒトの胚性幹細胞も報告されているが、マウスで定義された全分化能を持つ細胞とは異なる基準の細胞であり、ヒトの卵細胞同様にすべてのヒト体細胞へ分化する能力を有するかどうかは不明である。そのため、ヒト胚性幹細胞の開発は、そのまま立体的な構成と機能分化をともなうヒト組織、臓器の生産に直結していないのが現状である。化学合成物質あるいは天然高分子を用いた人工的な構造物に、臓器細胞を加えて、人工臓器を製造する試みもなされているが、人工的構造物の構造と組成を変化させることができないため、臓器を構成する一部細胞の集団を作製するにとどまっている。したがって、この方法は天然の組織、臓器の一部を代替できるにとどまっている。
発明の概要
本発明は、従来とは異なる視点から、かぎりなく同種移植に近い細胞、組織、臓器(生体培養器)を生産する技術の提供を目的とする。
特に本発明は、ヒトの受精卵細胞を使用する必要なく、また、全分化能を有するヒト胚性幹細胞の存在を必要とせずに、かぎりなくヒトの臓器に近い臓器を異種の哺乳類動物で生産する方法および当該方法に使用する生体培養器を提供することを目的とする。本発明による生体培養器は、体細胞核移植、ヒト胚性幹細胞等を利用して固定した培養器では構築できない細胞、組織、臓器等を産生することができる。
詳細な説明
本発明は、非ヒト哺乳動物にクローン化された遺伝子を導入することにより、レシピエントへ移植可能とする細胞、組織、臓器を作製する従来の発想とは異なり、ヒト由来の細胞及びヒト由来の細胞とその分泌物より構成される組織、臓器を持つ非ヒト哺乳動物を作製することにより、人体に依存せずに、限りなく同種移植に近い細胞、組織、臓器の生産を可能にしようとする発想から生まれた。
本発明は、非哺乳動物の持つ能力の中、目的とする細胞、組織、臓器の生産に係る機能が使えれば十分で、乳あるいは食肉の生産を目的として改良された家畜及び野生動物とは異なる概念、生体培養器として提案できる。例えば、食肉生産を目的として改良されてきたブタの肉質及び肉量は問われず、イノシシの運動性を必要としない。さらには、耐病性、耐熱寒性、学習能力、摂食能力、消化能力、等、農場での飼育環境、あるいは自然環境下での生存に要する能力で施設で代替補完できる動物の能力は不要となる。一方、ヒトへ移植する際に問題となる、人体に有害な感染性病原体を保有しないこと、人体内でガン化する細胞を持たないこと、目的とする細胞、組織、臓器の形態学的生化学的特性がヒトに類似していること、感染防止のための閉鎖系飼育室で健全に繁殖し生育すること、さらに遺伝子操作及び胚操作に関する生物的属性、例えば多数の卵子が入手可能なこと、多産で、雌雄ともに短期間に性成熟期に達し、次世代の表現形質の解析材料が入手しやすく、大量繁殖が可能なこと、等の形質が重視される。
また本発明は、全分化能、あるいは多分化能を有する細胞、あるいは生体外で増殖可能な体細胞、等を立体的な人工構造物に付着させる、半人工臓器の作製方法とも異なる。すなわち、生体培養器は、固定したものではなく、目的とする細胞の増殖、分化に対応して、及び組織、臓器の形成過程に応じて、その形態と生化学的形質を変化させる。すなわち、従来の培養器の考え方を一部を含んで発展させた新しい培養器の概念となる。
体外で処理した細胞を生体を利用して培養する方法には、ハムスターの腹水中に注入した細胞を培養する方法、血球細胞を血管内に注入する方法、を代表とするいくつかの実例がみられる。これらの方法は、注入した細胞は組織、臓器等の構造体をつくらず、また、目的とする細胞の作製に構造体を形成する必要もないため、本発明の、変化する生体培養器とは異なる。
上記の例に類似した方法に、精子前駆体の細胞を異種動物の精子生産器官(精巣)に移植し、精子にまで成熟させた、という報道がある。この方法も、一定の秩序に従って構成される細胞集団(組織、臓器)とは異なり、産物である精液は、単細胞の懸濁液とも考えられるもので、本発明とは異なる。
本発明の哺乳動物の正常実質細胞、組織または臓器(臓器等という)の製造方法は、下記の工程からなる:
(1)製造すべき臓器等と同種の哺乳類の細胞であって、少なくとも目的とする臓器等に分化する能力を有する細胞(臓器用細胞という)、例えばヒト胚性幹細胞由来の多分化能細胞を用意し;
(2)臓器用細胞とは別種で且つヒト以外の哺乳類の多分化能または全分化能を有する細胞(培養器用細胞という)、例えばブタ胚細胞を用意し;
(3)製造しようとする臓器等で特異的に機能する遺伝子発現制御領域と、その支配下につないだ、活性型細胞毒または細胞毒前駆体を活性化する酵素をコードする遺伝子を含むDNA断片を、(2)の培養器用細胞のゲノムに導入し;
(4)上記(1)からの臓器用細胞と(3)からの培養器用細胞を一緒に培養してキメラ細胞塊を生じさせ;
(5)上記キメラ細胞塊を、その発生に適する条件下で培養して、主として培養器用細胞由来の形質を有する哺乳動物、その胚または胚様体からなる生体培養器となし、その際、該生体培養器の発生過程で形成される目的臓器等の培養器用細胞由来の細胞(例えば心筋細胞)において上記活性型、または不活性型の細胞毒前駆体を活性化する酵素を特異的に発現させ、活性化酵素の場合には細胞毒前駆体を添加し;そして
(6)上記生体培養器に、臓器用細胞由来の細胞から構成され、培養器用細胞由来の細胞を実質的に含まない目的の臓器等を製造させる。
製造可能な臓器等
本発明の方法により製造可能な哺乳動物の正常実質細胞、組織または臓器(臓器等)の例として、正常実質細胞には心筋細胞、膵臓β細胞、肝臓実質細胞、神経細胞、グリア細胞、脳下垂体β細胞があり、組織には膵臓ランゲルハンス氏島、乳腺上皮、血管内皮、脳下垂体前葉、間脳視床下部があり、臓器には心臓、腎臓、肝臓、乳房がある。しかし、本発明の範囲はこれらの例示に限定されず、目的とする細胞、組織、臓器でのみ機能する遺伝子発現制御領域及び目的とする細胞、組織、臓器以外の細胞、組織、臓器での細胞毒及び細胞毒前駆体活性化酵素の発現が、目的とする細胞、組織、臓器の生産を阻害しない遺伝子発現制御領域を有する全てに適用できる。
培養器用細胞
培養器用細胞は、製造目的とする臓器等の本来の哺乳動物のもっている臓器等と大きさ、機能、性質が近似する哺乳動物からの、全分化能細胞または多分化能細胞であることが好ましい。
培養器として完全な哺乳個体を目指すなら、培養器用細胞として全分化能細胞を使用する。全分化能細胞は、哺乳動物の心筋細胞形成初期までの胚が用いられるが、異種細胞導入に関連する技術的制約から、胚盤胞期までの胚が用いられる。例えば、実質的にヒトの細胞からなる心臓の生産を目指す場合、適する培養器用細胞は、ブタ由来全分化能細胞、特に心筋細胞形成初期までの胚が用いられるが、異種細胞導入に関連する技術的制約から、胚盤胞期までの胚が用いられる。なお、受精卵細胞の代わりに、全ての細胞に分化できる胚性幹細胞を使用してもよい。胚性幹細胞の厳密な定義は、生殖細胞を含む個体を構成する全ての細胞に分化し得ることとされる。すなわち、マウスにおいては試験管内で未分化の状態で増殖が可能で、その後完全な個体に分化発育させることができる胚性幹細胞が既に得られている(Evans,MJ,Kaufman MH:Nature 292:154−156(1981),Martin G:Proc.Natl.Acaa.Sci.USA 78:7634−7638(1981))。したがって、培養器用細胞としての哺乳動物種でそのような胚性幹細胞が得られれば、それを用いてもよい。
また、本発明の培養器は必ずしも完全な哺乳個体である必要はない。例えば、ウシ、ブタ等、マウス以外の動物では、現状の技術では個体を構成する細胞のうち、精子、卵子等の生殖細胞にも分化し得る胚由来細胞、即ち厳密な意味での胚性幹細胞の取得は困難とされているが、試験可能な幾種類かの体細胞に分化する能力を具えた細胞として、胚由来多分化能細胞が採取されており、本発明ではそのような多分化能細胞を培養器用細胞として使用することもできる。その場合には、臓器用細胞と共に形成されるキメラは、完全な個体に成長する代わりに、例えば胚様体を形成するが(Thomson JA,Kalishman J,Golos TG,Suring M,Harris CP,Becker RA,Hearn JP:Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:7844−7848(1995))、胚様体は臓器様細胞由来の細胞からなる目的組織等を形成する。
臓器用細胞
本発明により生産する臓器等の哺乳動物種には特別の制限はない。したがって、臓器用細胞として必要なことは、目的とする臓器等に分化する能力を保持していることである。そのような能力を保持する細胞として、胚性幹細胞のように全分化能をもつ細胞が目的とする細胞へ分化する可能性がもっとも高く、したがって技術的にはもっとも容易に使用できるが、目的とする細胞、組織、臓器に分化する能力があれば十分であるため、胚及び胚性幹細胞由来の多分化能細胞、組織、臓器の幹細胞、初期化された体細胞も用いられる。
実質的にヒト由来の細胞のみからなる臓器等を生産するという本発明の目的の一つにおいて、臓器用細胞として好ましいものは、ヒトの多分化能細胞である。この場合、細胞が生殖細胞へ分化する必要はなく、逆に生命倫理の観点からは、生殖細胞への分化は防止する必要があることから、特にヒト細胞の場合には本来の定義に基づく胚性幹細胞は不適当であり、目的とする細胞、あるいは目的とする組織、臓器への発生が運命付けられている細胞、すなわち目的とする細胞、組織、臓器の幹細胞が望ましい。このような観点から本発明に使用できるヒトの多分化能細胞としては、ウィスコンシン大学及びジョンズホプキンス大学により発明されたヒトの胚性幹細胞である。このヒト細胞は、生殖細胞は勿論、ヒト個体へ発生分化する能力は確認されていない(ウィスコンシン大(ヒト胚盤胞より作製)Thomson JA,Itskovitz−Eldor J,Shapiro SS,Waknitz MA,Swiergiel JJ,Marshal VS,Jones JM:Science 282:1145−1147(1998),ジョンズホプキンス大(中絶胎児より作製)Shamblott MJ,Axelman J,Wang S,Bugg EM,Littlefield JW,Donovan PJ,Blumenthal PD,Huggins GR,Gearhart JD:Proc.Natl.Acad.Sci.USA:95:13725−13731(1998))。
なお、クローンヒツジの誕生で注目を浴びた体細胞核移植法の重要なポイントは、分化した体細胞を試験管内で処理し、徐核した卵子に注入することにより未分化細胞の核の形質をとりもどす(初期化)技術の発明にある。すなわち、この発明以前の定説を覆し、細胞の分化は可逆的であり、一度分化した核も未分化状態に戻りうることが示された。初期化に必要な細胞質因子の解明は不充分ながら、当該発明においても細胞の可逆性を利用した方法も適用できることは当業者に明らかである。
つまり、ヒトの臓器に限りなく近い臓器の製造のために好ましい臓器用細胞として好ましいものは胚性幹細胞であるが、胚性幹細胞を用いる代わりに、分化程度の高い細胞として目的の臓器等に分化する能力を有する細胞、あるいは目的とする臓器等以外の組織に分化する細胞を用いることも可能である。例えば、ヒトに近い心臓を製造するに際して、ヒトの骨格筋に分化する細胞を臓器用細胞として培養器用細胞と共に培養して生体培養器を作製したとき、臓器用細胞が未分化の状態に初期化して、生体培養器に生じる心臓にヒトの心臓細胞が含まれる可能性が大きい。そのような方法も本発明の範囲に含まれる。
細胞毒素およびその遺伝子
本発明で用いる細胞毒は、ジフテリアトキシンのような活性型の細胞毒等でもよいが、生体培養器の大量生産と、人為的操作の便宜上、必要に応じて殺細胞効果を発揮できる細胞毒前駆体活性化酵素、例えばHSVtk(ヘルペスシンプレックスウイルスのチミヂンキナーゼ)、CD(バクテリアのシトシンヂアミナーゼ)、等、細胞、組織、臓器、個体に無害な物質を細胞毒へと活性化する蛋白質をコードする遺伝子がより好ましい。
HSVtkはそれ自体では毒性がないが、ガンシクロヴィルを活性化させ、殺細胞効果を発揮する(Mullen CA et al.:Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:13725−13731(1998),Moolten FL,Cancer Res.46:5276(1986))。
CDはそれ自体では毒性が少ないが、5‘−フルオロシトシンを有毒な5’−フルオロウリジンに変換し、殺細胞効果を発揮する。細胞毒前駆体とこれを活性化する遺伝子産物との組み合わせは上記2例に限定されることなく、例えばSearle et al.(Brit.J.Cancer 53:377−384)1986))に記載される種々の組み合わせを用いることができる。
プロモーター
細胞毒をコードする遺伝子の発現を制御するプロモーター等の塩基配列は、目的とする細胞、組織、臓器に応じて選択する。例えば心筋細胞の製造を目的とする場合には、心筋細胞で特異的に発現する遺伝子、ラットミオシン軽鎖2v遺伝子、ミオシン軽鎖Ivのプロモーター、βミオシン重鎖遺伝子のプロモーター、βミオシン等を使用する。同様に、膵臓のβ細胞ではインシュリン遺伝子、肝細胞での血清アルブミン、等、現在までに解明されただけでも、各細胞に特異的に発現する遺伝子が見出されており、したがって本発明は、使用する組換えDNAの遺伝子発現制御領域を目的とする細胞特異的に機能する遺伝子発現制御領域に入れ換えることにより、さらには、複数の組換えDNAを組み合わせて使用することにより、現在考えられる大部分の細胞、組織、臓器に適用できる。
上記遺伝子発現制御領域は、目的とする細胞、及び組織、臓器の形成に関与する細胞でのみ特異的に機能する領域が最も望ましいが、細胞毒の発現によって生体培養器の機能と生存を阻害しなければ、これらの細胞以外の細胞で機能するものでも使用できる。
遺伝子発現制御領域は、染色体上の位置によってその機能が左右される場合が多い(位置効果)。したがって上記遺伝子発現制御領域は、トランスジェニック動物を作成して、個体レベルでの機能が確認されたものが望ましい。
また上記遺伝子発現制御領域は、目的とする細胞で機能するために必要かつ十分な配列が特定されたものが望ましい。
培養器用細胞への遺伝子導入
臓器用細胞とのキメラ形成
キメラ胚形成方法には、臓器用細胞の発生段階の順に、混合培養法、集合法、注入法があり、注入法は胚盤胞期までの生体培養器に母体外で臓器用細胞を注入する方法と、子宮に着床後の生体培養器に注入する方法とに大別できる。混合培養法は実施例に示されるが、胚様体を形成する培養器細胞と未分化の臓器用細胞をあらかじめ試験された混合比で浮遊培養し、この時期の細胞の接着性により生じたキメラ細胞塊をキメラ胚様体へ発生分化させる。集合法も桑実期胚までの細胞の強い接着能を利用するが、混合培養法と異なり、桑実期までの異種の胚を実体顕微鏡下で軽く押し付けて密着させる。この時期の胚は透明帯に囲まれているので、酸処理あるいは蛋白質分解酵素処理により透明帯を除去して露出した胚を接着させる。接着させた胚は初期胚盤胞にまで体外で培養し、単一の胚盤胞を形成しているものをキメラ胚と判定して選抜し、擬妊娠雌の子宮に移植する。注入法では、微分干渉装置付顕微鏡下でマイクロマニピュレイターを操作して、胚盤胞期胚の胞胚腔内に、内部細胞塊に相当する発生段階の臓器用細胞、例えば異種動物の胚盤胞期胚の内部細胞塊あるいは胚性幹細胞を機械的に注入する。注入する細胞数によりキメラ形成率が左右されるので、用いる双方の動物種あるいは細胞の系統に応じてあらかじめ定めた細胞数を注入する。注入操作の終了した胚盤胞はこの発生時期で擬妊娠雌の子宮に移植する。着床後の胚への臓器作成用細胞の注入方法は、生体培養器とする胚の動物種、発生時期、目的とする臓器等の要因によって選択するが、一般的には開腹手術によって露出した胚に直接注入する。
生体培養器の作成
生体培養器の作成には、まず目的とする細胞、組織、臓器で特異的に機能する遺伝子発現制御領域と細胞毒前駆体活性化酵素の遺伝子との組換えDNAを作成する。次にこの組換えDANを生体培養器細胞のゲノムに導入し、導入した組換え遺伝子が正常に機能する細胞を選別する。選別の第1段階は、上記組換えDNAと同一DNA分子上に連結した選択マーカーによって、DNAの組み込まれた細胞を選択する。選択マーカーとしては、蛍光蛋白質をコードするGFP(Green Fluorescent Protein)遺伝子、G418耐性遺伝子等が用いられ、これらの併用もできる。第2段階では細胞毒前駆体添加により、目的とする分化段階の細胞の死を確認することがより望ましい。
細胞毒活性化による特定細胞の除去
上記の方法によって作成された生体培養器は細胞毒前駆体を添加すると、活性化酵素を十分量発現する細胞は死滅する。生体培養器が胚様体の場合には、培地に細胞毒前駆体を添加する。添加時期と量は目的とする細胞、組織、臓器によって定める。特に臓器の作成に際しては、生体培養器とした動物種の細胞を臓器用細胞の修復能力に応じて段階的に除去して、臓器の形態異常を防ぐことに留意する。
遠縁種間キメラの作製
本発明のもう一本の柱は、発生生物学的な性状の異なる遠縁種間キメラの作製が可能であることを確認したことである。
キメラ動物、すなわち異なる個体の細胞の混合個体は非人為的にも生じ、人為的に作成することも可能である。同種動物間のキメラ動物(同種キメラ)の作製は発生学的手法として確立し、細胞の分化過程の解明に貢献している。またヤギとヒツジ、等発生生物学的性状の比較的近い異種動物間のキメラ動物(近縁種間異種キメラ)の作製も報告され、ヤギとヒツジの両種の細胞と属性を持つキメラ動物は出生後も健全に生育した。
ヒト細胞の非ヒト動物への導入も近年盛んに行われるようになった。遺伝的に免疫機能を劣化させたヌードマウスへのヒト細胞の注入は実験手法として確立している。ヒト血液幹細胞を注入されたヤギの胎子は出生後も健全に成育し、二年後も正常なヒト血球を血中に産生しつづけた。しかし、血球細胞は組織を形成する細胞ではなく、また、組織を形成する細胞をマウスに注入しても、注入細胞の定着位置と細胞集団の構造は本来のものとは異なる。
出生以前の胎子は免疫機構が確立しておらず、この時期に接した異種抗原を、一生自己の抗原として認識しつづける(免疫寛容)。したがって、異種細胞の導入時期は、免疫寛容の成立する胎子期、特に目的とする組織、臓器の発生の始まる前が好ましい。しかし、個体の発生時期が早期であるほど細胞間の接触が密であり、異種動物間の細胞の属性の違いが影響する可能性が残されていた。
受精卵の発生分化過程で、動物種特異性がどの段階で決定されるかは充分解明されていない。また、動物種特異性が特定の遺伝子で決定されるのか、または、個々の遺伝子のわずかな違いの集積が動物種特有の属性の違いとなってあらわれるのかも不明である。
動物種の違いによる外見上の相違にもかかわらず、哺乳動物を構成する細胞、組織、臓器、及び生命活動にかかわる核酸、蛋白質、糖、等の生体物質の基本的機能と構造は哺乳動物に共通している。また、受精卵から個体が形成される個体発生過程も基本的には同等である。すなわち、精子と卵子の授精、受精卵の分割と桑実期胚の発生、栄養細胞層と内部細胞塊と分化した胚盤胞の形成、子宮への着床につづく、将来個体発生で出現してくるあらゆる器官の母体となる胚葉(外、内、中胚葉)の発生と細胞の分化能の特定方向への決定、胚葉の分化に続く各胚葉由来の諸組織、器官の分化と発生、産子の誕生、の諸過程は、動物種に共通の発生過程である。
妊娠期間と産子の大きさは種によって大きく異なるが、胚盤胞期までの発生速度の種による違いは大きくはない。すなわち、この時期の細胞分裂速度は比較的類似している。発生初期では大型動物の胎子が小型の動物の胎子より大きいとは限らない。理由は、小型の動物のほうが妊娠期間が短いので発生の進行が早いからで、例えば妊娠4週間目では、ブタ等中型動物の胎子のほうがウシ等大型動物の胎子より1.5〜3倍大きい。また同一種類の動物でも品種による差、個体差、性別による差もあり、多胎の場合には同腹の胎子でも子宮角での着床部位による発育差もある。
一方、受精卵を構成する細胞諸器官と生体物質は、その動物種のものから構成され、当該技術に関しては、細胞間相互作用にかかわる細胞表層抗原の違いがキメラ胚発生にどのような影響を与えるかが課題となっていた。また、受精卵のサイズも種により異なる。例えば、マウスの卵子は0.06mm前後の大きさであるのに比し、ヒトの卵子はその3倍ある。哺乳類の受精卵はいずれも透明体で限られたスペース内で均等に分割するので、割球(卵細胞)の大きさは卵子のサイズに比例し、種差がみられる。細胞のサイズの違いは、キメラにおいては立体構造の違いとなって現れる可能性があった。
後述の実施例に示すように、小さなマウスの細胞と大きなブタの細胞とがキメラ胚様体を形成し、しかも拍動するキメラ胚様体をも形成したことは、妊娠期間、細胞表層抗原、サイズ等の発生学的な属性の異なる遠縁種間でもキメラ動物ができることを示し、遠縁種間キメラ胚作製にかかわる最大の難関の1つが実施可能であることが示された。
発明の効果
ヒト細胞の治療薬としての重要性、遺伝子治療に用いる遺伝子の運び屋としての重要性、人口臓器作成に用いる素材としての重要性、及びこれらの目的のためのヒト細胞の絶対的な供給不足を記述した論文は多く、潜在的な市場の大きさをうかがわせる。
免疫拒絶の問題、それに供給源の問題から、患者から採取した細胞、組織、臓器を処理して再移植する方法、胎盤、臍帯等のヒト廃棄物から採取した細胞の利用、さらには、人工流産胎児の細胞の利用方法に関する研究、試験の著しい進歩がうかがわれたが、供給量の不足。とくに良質な細胞の入手に問題が残る。代替法として、ブタの細胞を処理して用いる方法が開発されているが(ブタ細胞の心疾患治療への利用United States Patent 5,919,4490。ブタ細胞のインシュリン依存性糖尿病治療への利用United States Patent 5,961,972)、体内での安定性、細胞導入効果等からヒト細胞に劣る。
試験管内で培養され、株化されたヒト細胞は少くない。研究目的に限定されて配布される理化学研究所のヒト細胞は30をこえる臓器・組織に由来する200以上の株化細胞がある。しかしいずれも正常な実質細胞ではなく、用途は限定される。特に人体への導入には適さない。
安定供給の一手段である、ヒト細胞の商品化の最大の障害は倫理性で、この点を指摘する論文は多い。倫理的視点は、細胞を供給するヒト及び供給されるヒト、医師からの視点のみではなく、動物福祉も含まれる。
実施例
マウス胚様体への異種細胞導入法と導入異種細胞の心筋細胞への分化系の開発に関して、以下に具体的実施例により説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
実施例1 心筋細胞特異的に発現する細胞毒遺伝子の作成
1.プロモーター(MLCpro)のデザイン
心筋細胞に特異的な遺伝子発現制御領域(MLCpro)は次の方法でデザインした。先ず心臓で発現する遺伝子を、インターネット上のメドラインで調査し、タイトルおよび抄録の記述よりCardiac specific(心臓特異的)という表現を含む文献を選択した結果、Cardiac Myosin Light Chain(MLC)とCardiac Myosin Heavy Chain(MHC)が抽出された。いずれも構造遺伝子とその上流域の塩基配列が報告されていたので、組み換えDNAの作製に使用可能と判断した。
遺伝子発現を制御する領域はDNA上の位置も長さも遺伝子によって異なる。したがって、遺伝子発現制御領域の塩基配列とその位置が特定されている遺伝子が望ましい。また、遺伝子を染色体に導入したとき、遺伝子発現は染色体上の位置に左右される(位置効果)。このため、クローン化された遺伝子を再度動物個体に戻し、心筋細胞で発現することが確認されているものが望ましい。当実施例では胚様体を用いることから、胚様体の心筋細胞での遺伝子発現をも報告されているものが望ましい。
MLC2v(ラットCardiac Myosin Light Chain 2v)は以上の条件を具えていたので選択した(図1)。わずか250bp(塩基対)の中に心筋細胞特異的な遺伝子発現を制御する領域が含まれることは、実験的にMLCproを入手する目的からも良好と判断された。
ラットのゲノムを鋳型とし、PCR法により250bpを増幅する方法は、初期の予測と異なり、時間と費用がかさむ上に、失敗する可能性もあることが判明したため、化学合成による3本の鋳型DNAの合成とPCRとの組み合わせでのMLCproの合成を試みた。予備実験の結果、TをはさんでGを11個くり返す配列(図1.−100から−114)を持つMLCproは、PCRによる塩基の読み違えの頻度が高いことが判明したため、全化学合成で作製できる長さのDNAをデザインした。
MLC2vに関する文献を詳しく調査し直した結果、議論のあったHF3(図1)は、心筋細胞特異的遺伝子発現を制御するためには不必要、と確定していることが判明した。さらに、TATA,AP−2,HF1A,HF1Bを含む領域のみでも、この領域を2分子連結させれば十分機能することも判明した。
2分子のくり返し配列は化学合成をしにくい、との判断により、HF3を除いた塩基配列で、全化学合成によって合成可能な長さの塩基配列を選択した(図2)。
2.MLCproの合成
図2に示されるDNAは、パーキンエルマー社製のDNA自動合成機(EXPEDITE)により化学合成した。合成したMLCproは、ストラタジーン社のベクター(pBluescript)に組み込んだ後、その塩基配列をパーキンエルマー社製のDNA塩基配列自動解析機(377シークエンサー)により解析し、MLCproの塩基配列が誤りなく合成されていることを確認した。
3.心筋細胞特異的に発現する遺伝子、MLCproTKの作製
自殺遺伝子(HSVTK)(注:HSVTKはsuicidal geneとよばれる、細胞毒前駆体を細胞毒化する酵素の遺伝子の1つである)を含む宝酒造株式会社販売のベクター(pKOselectTKを鋳型とし、化学合成によって得られた下記に示す2本のDNAをプライマーとして用いて、HSVTKの構造遺伝子をPCRにより増幅した。
Figure 2002022789
(細胞毒前駆体活性化酵素の遺伝子HSVTK増幅用プライマーセット)
増幅したDNAは、下記に示すプライマーを用い、DNA塩基配列自動解析機により、その塩基配列を確認した。
Figure 2002022789
(増幅されたHSVTK遺伝子の塩基配列決定用プライマーセット)
以上の操作によって得られたHSVTK構造遺伝子の塩基配列を図3に示す。上記HSVTK遺伝子は、pBluescriptに挿入されたMLCproの3´側に挿入した(図4)。
4.動物細胞導入ベクターpQBIMLCTK(図4)の作製。
pQBIpol(宝酒造(株))のBglIIサイトに図4に示す方法によって、上記MLCproTKを挿入し、E.coliJM109に導入した。アンピシリンに抵抗性を示すコロニーを培養増殖し、ストックとして保存、必要に応じてベクターpQBIMLCTKDNAを常法にしたがって調整した。
実施例2 キメラ胚様体の作製
本実施例において、臓器用細胞としてブタ細胞を用い、培養器用細胞としてマウスES細胞を用いた生体培養器の製造例を示す。
より簡便な共培養法を試験し、その成績が思わしくない場合に、顕微操作を必要とする。集合キメラ法、さらには注入キメラ法を試験する手順を踏んだ。今回は共培養法が成功したので、集合キメラ法及び注入キメラ法の試験は省略した。用いた共培養法は以下の通り。
1.ES細胞の培養
マウスTT2 ES細胞はライフテックオリエンタル(Cat.No.YE9285300)から凍結状態で購入した。ES細胞は融解後、培地に懸濁して、25mlフラスコ(FALCON 35−3014)に播き、37℃、5%CO/95%空気の条件下で培養した。フィーダー細胞としてマイトマイシンC処理により不活化したSTO細胞を用いた。培地交換は毎日行い、細胞がコンフルエントに達したら継代・凍結を行った。培地としては、Buffalo rat liver細胞コンディション培地とDMEMの3:2混合液に0.1mM 2−メルカプトエタノール、0.1mM MEM非必須アミノ酸溶液、ヌクレオシド溶液(0.03mMアデノシン、0.03mMグアノシン、0.03mMシチジン、0.03mMウリジンおよび0.03mMチミヂン)、2000IU/ml LIF、10ng/ml bFGFおよび20%FCSを加えたものを用いた。また、細胞凍結保存液としてはセルバンカー(日本全薬工業株式会社 905270)を用いた。
2.GFP発現ブタ脱出胚盤胞由来細胞の培養
東北大学大学院動物繁殖学教室で樹立した細胞株を用いた(下記文献参照)。細胞はゼラチン処理した100ml組織培養皿(CORNING 100mm/Tissue Culture Dish Cat.No.25020)で、38.5℃、5%CO/95%空気の条件下で培養し、細胞がコンフルエントに達したら継代・凍結を行った。培地交換は2日ごとに行った。培地および細胞凍結保存液としては、先のES細胞の場合と同様のものを用いた。
3.胚様体の作製
コンフルエントに達したES細胞とGFP発現ブタ脱出胚盤胞由来細胞をそれぞれトリプシン処理により単一化した後に、以下に示す細胞数となるように培養皿(SUMILON 35mlDish Cat.No.MS−1135)に播いて混合し、37℃、5%CO/95%空気の条件下で培養した。
Figure 2002022789
培養を開始した日をDay 0とし、Day 3に1回目の培地交換を行った。それ以後は2日ごとに培地を交換した。培地としては、ES細胞の培養に使用した培地からLIFを除いたものを用いた。
Day 11に各処理区から、胚様体を20個ずつ別の培養皿に移し、低密度培養区とした。胚様体の培養を継続し、低密度培養区および高密度培養区(20個を移した残り)における拍動およびGFP発現の有無を観察した。
細胞および胚様体の観察にはオリンパス倒立型システム顕微鏡(IMF−2)を、GFPの観察にはオリンパス落射型蛍光装置(IMT2−RFL)を使用し、ブタ細胞の検出には395nmの励起光を用いた。
4.pQBI MLC TK導入TT2の作製
25mlフラスコにコンフルエントに達するまでES細胞を培養し、トリプシンとEDTAによる処理(TE処理)により細胞をはがした後、培地(DMEM+10%FCS)を加えてトリプシンの活性を停止させ、ピペッティングにより細胞を単一化した。
フィーダー細胞として使用したSTO細胞をES細胞から分けるために、細胞浮遊液をゼラチン処理した100ml組織培養皿に入れて15分から30分間培養することにより、STO細胞を培養皿に付着させて除去した。
ES細胞を含む上清を回収し、遠心チューブに移してピペッティングにより再度細胞を単一化した。細胞数を測定した後に1000rpmで5分間、冷却しながら遠心分離し、上清を除去した後、細胞を氷冷PBS(−)で2回遠心洗浄した。上清を除去し、細胞数が4×10/mlになるように氷冷PBS(−)に浮遊させた。
キュベットに上記の細胞浮遊液500μl(2×10cells)および実施例1で作製したpQBI MLC TKベクターDNA 20μgを移し、氷上に10分間静置した。この間2回、ピペッティングにより細胞とベクターDNAを混合した。
エレクトロポレーションには、BIO RAD gene pulsarを用いた。ホルダーにキュベットをセットして、パルス(240V−500μF)を1回付加した後、キュベットを氷上に移して10分間静置した。
エレクトロポレーション後の細胞を50mlの培地に希釈した後に、マイトマイシンCにより不活化したSTO細胞をまいた100ml組織培養皿に移して、37℃、5%CO/95%空気の条件下で培養した。
エレクトロポレーションを行った翌日からG418(300μg/ml)による遺伝子導入細胞の選別を以下の方法で行った。STO細胞(Neo耐性)をまいた60ml組織培養皿に1枚あたり、3×10個のES細胞をG418(GIBCO BRL Cat.No.11811)を添加した培地に浮遊させ、37℃、5%CO/95%空気の条件下で培養した。培地としては、Buffalo rat liver細胞コンディション培地とDMEMの3:2混合液に0.1mM 2−メルカプトエタノール、0.1mM MEM非必須アミノ酸溶液、ヌクレオシド溶液(0.03mMアデノシン、0.03mMグアノシン、0.03mMシチジン、0.03mMウリジンおよび0.03mMチミヂン)、2000IU/ml LIF、10ng/ml bFGFおよび20%FCSを加えたものを用いた。培地は初めの数日間は毎日交換し、G418感受性の細胞が死に始めたら2日ごとに交換する。選別開始から約8日目まで培養を継続した。
5.ネオマイシン(Neo)耐性コロニーのクローニング
実験に使用するES細胞を均一にするために、1個の細胞に由来する細胞の集団を単離する必要がある。本実験では、ペニシリンカップ法によりコロニーのクローニングを行った。
G418による選別の開始から約8日目(コロニー中の細胞に分化細胞が出現する前)に、コロニーを囲むように培養皿の底をマークした。培地を除き、PBS(−)で細胞を洗浄し、PBS(−)を除いた後に、底面にワセリンをつけたクローニングカップ(IWAKI GLASS Cat.No.RING−12)を、マークしたコロニーの上に置く。カップ内にTEを加え、細胞をはがしてSTO細胞をまいた24穴プレートに移し、培養を継続した。
細胞がコンフルエントになったら、35ml培養皿へ移し、再びコンフルエントになったら25mlフラスコへ継代した。
25mlフラスコがコンフルエントになったら、再び継代を行う。これがコンフルエントになったら細胞が1チューブ(1ml)あたり5×10個になるようにセルバンカー(日本全薬工業株式会社 905270)に浮遊させ、−80℃で凍結・保存した。
6.TT2(pQBIMLCTK)細胞とブタ細胞とのキメラ胚様体の作製
上記「胚様体の作製」と同様の方法で、培地に5μg/mlのガンシクロヴィル(和光純薬 074−04483)を添加して行った。
結果と考察
表1の比率の細胞を培養皿に播いて11日間培養後に、各区における胚様体数を測定した結果、処理区1:176、処理区2:202、処理区3:162、処理区4:264、処理区5:192、処理区6:168、処理区7:0であった。よって、ブタ細胞だけでは、胚様体は形成されないことが明らかになった。また、培養11日目に初めて拍動する胚様体が観察された(処理区1−3:0、処理区4:1、処理区5:2、処理区6:7)。
Figure 2002022789
表2でDay 16の結果を比較すると、培養皿当たりの胚様体数を制限した方が拍動する胚様体の割合が高いようであった。また、ブタ細胞の割合が高い処理区(6)の胚様体の方が早い時期に拍動を開始する傾向にあった。しかしこの場合、拍動の有無にかかわらず、各胚様体に取り込まれているGFP発現細胞数は少なく、光っている胚様体でもそのごく一部でしか蛍光が観察されなかった。逆にブタ細胞の割合が比較的低い区(2、3、4)では、高い区と比較して拍動の開始は遅いものの、日数が経過すると拍動する胚様体数は、ブタ細胞の割合の高い区と差がなくなった(表3)。また、ブタ細胞の割合の低い区の方が、広範囲に渡って強い蛍光が観察される傾向にあった。
Figure 2002022789
表3より日数が経過すると拍動する胚様体数およびGFP発現細胞を取り込んだ胚様体数は減少することがわかった。しかしDay 40で拍動が観察された胚様体はその大多数で比較的強い拍動がみられ、それ以降もほぼ同様の強さの拍動が観察されている。
ガンシクロヴィル存在下で作製して、pQBIMLCTK導入心筋細胞を除去処理したキメラ胚様体を図5に示す。この胚様体には鼓動する緑色蛍光の細胞(ブタ細胞)の塊がみられる。
実施例3 ブタ胚由来細胞を導入したマウスキメラ胚の発生
1.マウス胚への遺伝子導入
心筋細胞特異的に細胞毒(HSVtk)を発現するマウスは、通常のトランスジェニックマウス作製方法(Hogan B et al.(1986)Cold Spring Harbor)により、MLCproTK遺伝子を導入して作製した。
・DNA溶液の調製
MLCproTKを含むプラスミドpBS/MLC/TKのDNAを制限酵素BglIIにより切断し、アガロース電気泳動法によりMLCproTKフラグメントを単離した。上記DNAをPBSに5μg/mlの濃度で溶解し、15000rpm、30分間の遠心処理により、不溶物を除去した。
・前核期の採取
過排卵処置したB6C3F1雌マウスを同系統の雄マウスと同居させ、翌朝膣栓で交尾の確認された雌マウスの卵管膨大部より前核期の受精卵を採取した。採取した前核期の受精卵を1mg/mlのヒアルロニダーゼを含むM16液に浸し、軽くピペッティングすることによって卵丘細胞を除去した。
・DNA溶液のマウス受精卵への注入
以下の操作は、マイクロマニピュレイター(成茂社製)およびマイクロインジェクター(成茂社製)を装備した微分干渉装置付倒立型顕微鏡(ニコン社製)下での顕微操作によって行った。上記受精卵をホールディングピペットを陰圧にして吸引固定し、1〜2plの上記DNA溶液を注入ピペットにより雄性前核に注入した。翌日まで培養して2細胞期まで発生したマウス受精卵を選択し、一匹当たり15個から30個を擬妊娠CD−1雌の卵管に移植した。出生後3週間目の離乳直後の産子の尾部より採取したDNAをPCR法によって検定し、MLCproを導入したトランスジェニックマウスを得た。
上記トランスジェニックマウスの初代雄を3系統選び、以下の方法で導入したMLCproTKが機能する系統を選別した。すなわち、上記トランスジェニック雄マウスを過排卵処理した通常雌マウスと交配し、膣栓により交尾を確認した雌に交尾後4日目より1日2回、50mg/kgのガンシクロヴィルを静脈注射により投与し、交尾後12日後に開腹して胎児の発生異常および着床痕を調べた結果、生残胎児のみられなかった雌の交尾相手(MLCproTKマウス)を選別した。
・注入法による遺伝子導入マウス胚へのブタ細胞の導入
B6C3F1雌マウスに過排卵処置をし、上記のMLCproTKマウスの雄と交配させてMLCproTK遺伝子を持つ胚盤胞期受精卵を採取した。マイクロインジェクターを顕微鏡下で操作して、注入ピペットの先端に20個内外のGFP遺伝子を導入したブタ胚由来細胞を吸引した。ホールディングピペットで固定した上記の胚盤胞期マウス受精卵の胚胞腔内に注入ピペットの先端を浸入させ、マイクロインジェクターを操作して、ピペット内のブタ胚由来細胞15個内外を注入した。
ブタ細胞を注入した上記の受精卵15〜30個を、数時間以内に擬妊娠CD−1雌の子宮に移植した。移植後2日目より1日2回、50mg/kgのガンシクロヴィルを仮親雌の静脈に注入し、移植後10日目に開腹して胎児を摘出し、蛍光顕微鏡下で観察した結果、心臓に蛍光を発するブタ細胞の集積が観察された。                参考特許
(1)US Patent 5,888,816 Mar.30,1999
”Cell culbures of and cell culturing method for nontransformed pancreatic,thyroid,and parathyroid cells”
Assignee:Human Cell Culture,Inc.(East Sebago,ME)
(2)US Patent 5,919,449 Jul.6,1999
”Porcine cardiomyocytes and their use in treatment of insufficient cardiac function”
Assignee:Diacrin,Inc.(Charleston,MA)
(3)US Patent 5,961,972 Oct.5,1999
”Isolated porcine pancreatic cells for use in treatment of disease characterized by insufficient insulin activity”
Assignee:Diacrin,Inc.(Charleston,MA)
(4)US Patent 5,679,340 Oct.21,1997
”Cells with multiple altered epitopes on a surface antigen for use in transplantation.”
Assignee:Diacrin,Inc.(Charleston,MA)
(5)US Patent 5,705,732 Jan.6,1998
”Universal donor cells”
Assignee:Oklahoma Medical Research.Foundation(Oklahoma City,OK)
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A Conserved 28−Base−Pair Element(HF−1)in the Rat Cardiac Myosin Light−Chain−2 Gene Confers Cardiac−Specific and α−Adrenergic−Inducible Expression in Cultured Neonatal Rat Myocardial Cells
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An HF−1a/HF−1b/MEF−2 combinatorial element confers cardiac ventricular specificity and establishes an anterior−posterior gradient of expression.
DEVELOPMENT 122,1799−1809(1996)
ブタ細胞株の樹立を報告する文献
(1)体外において作出したブタ胚盤胞からのES様細胞の樹立
三好和睦、佐藤英明
日本受精着床学会雑誌15,180−182(1998)
(2)Effect of hyaluronic acid on the development of porcine 1−cell embryos produced by a conventional or new in vitro maturation/fertilization system
K.Miyoshi,M.Umezu,E.Sato
Theriogenology 51,777−784(1999)
(3)Establishment of a porcine cell line from in vitro−produced blastocysts and transfer of the cells into enucleated oocytes
K.Miyoshi,Y.Taguchi,Y,Sendai,H.Hoshi,E.Sato
Biology of Reproduction投稿中
【配列表】
Figure 2002022789
Figure 2002022789
Figure 2002022789
Figure 2002022789
Figure 2002022789
Figure 2002022789

【図面の簡単な説明】
図1は、ラットMLC2vプロモーター領域(250bp)の塩基配列を示す。
図2は、MLCproの塩基配列を示す。
図3は、HSVTKの全塩基配列を示す。
図4は、pQBIMLCTK作製工程の詳細を示す。
図5は、ガンシクロヴィル存在下で作製したキメラ胚様体を示す。

Claims (14)

  1. 下記の工程からなる、ヒトまたはヒト以外の哺乳動物由来の正常実質細胞、組織または臓器(臓器等という)を製造する方法:
    (1)製造すべき臓器等と同種の哺乳類の細胞であって、少なくとも目的とする臓器等に分化する能力を有する細胞(臓器用細胞という)を用意し;
    (2)臓器用細胞とは別種で且つヒト以外の哺乳類の多分化能または全分化能を有する細胞(培養器用細胞という)を用意し;
    (3)製造しようとする臓器等で特異的に機能する遺伝子発現制御領域と、その支配下につないだ、活性型細胞毒または細胞毒前駆体を細胞毒化する酵素をコードする遺伝子を含むDNA断片を、(2)の培養器用細胞のゲノムに導入し;
    (4)上記(1)からの臓器用細胞と(3)からの培養器用細胞を一緒に培養してキメラ細胞塊を生じさせ;
    (5)上記キメラ細胞塊を、その発生に適する条件下で培養して、主として培養器用細胞由来の形質を有する哺乳動物、その胚または胚様体からなる生体培養器となし、その際、該生体培養器の発生過程で形成される目的臓器等の培養器用細胞由来の細胞において上記活性型または前駆体の細胞毒化酵素を特異的に発現させ、発現される細胞毒前駆体活性化酵素の場合には細胞毒前駆体を添加し;そして
    (6)上記生体培養器に、臓器用細胞由来の細胞から構成され、培養器用細胞由来の細胞を実質的に含まない目的の臓器等を製造させる。
  2. 細胞毒前駆体がガンシクロヴィルで、ガンシクロヴィルを細胞毒化する酵素がHSVtk(ヘルペスシンプレックスウイルスのチミヂンキナーゼ)であり、遺伝子発現制御領域が心筋細胞でのみ機能するラットミオシン軽鎖2v遺伝子のプロモーターである、請求項2の方法。
  3. ヒトまたはヒト以外の哺乳動物由来の心筋細胞または心臓を生産する、請求項1または2の方法。
  4. 臓器に特有の細胞で構成される臓器からなる群から選択される、請求項1ないし3のいずれか1項の方法。
  5. 培養器細胞が、ブタ、チンパンジー、ゴリラ、オランウータン、サル、イヌ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ラット、マウス、等胚操作が可能であるすべての哺乳動物の細胞からなる群から選択される、請求項1ないし4のいずれか1項の方法。
  6. 特定の臓器等に特異的に機能する遺伝子発現制御領域と、その支配化で発現が制御される、細胞毒前駆体を細胞毒に変換する酵素をコードする遺伝子とを含む、請求項1の方法において培養器用細胞のゲノムに導入するための組換えDNA。
  7. 細胞毒前駆体がガンシクロヴィルで、ガンシクロヴィルを細胞毒に変換する酵素がHSVtk(ヘルペスシンプレックスウイルスのチミヂンキナーゼ)であり、遺伝子発現制御領域が心筋細胞でのみ機能するラットミオシン軽鎖2v遺伝子のプロモーターである、請求項6の組換えDNA。
  8. ヒトまたはヒト以外の哺乳動物である異種哺乳動物の正常実質細胞、異種哺乳動物の正常細胞とその分泌物よりなる組織、および/または異種哺乳動物の臓器を有する非ヒト哺乳動物。
  9. ヒトまたはヒト以外の哺乳動物の正常実質細胞、組織および/または臓器を生産する培養器が、一定の法則で形態的、生化学的に変化し、目的とする細胞の増殖を支持すると同時に、その分化と成熟を継時的かつ立体的に誘導することによって、組織、臓器を形成せしめる生体培養器。
  10. 請求項6または7の組換えDNAを導入した非ヒト哺乳動物の胚である、請求項9の生体培養器。
  11. 請求項6または7の組換えDNAを導入した細胞、例えば胚性幹細胞であり、この細胞が目的とする正常実質細胞の増殖と分化・成熟を誘導し支持するに必要十分な能力をもつ、一定の法則で変化する構造体、例えば胚様体を形成しうる細胞である、請求項9の生体培養器。
  12. 非ヒト哺乳動物胚あるいは胚様体を形成しうる、ヒトを含む哺乳動物細胞とヒトまたはヒト以外の異種哺乳動物の未分化細胞とのキメラ胚あるいはキメラ胚様体を作製する方法。
  13. ヒトまたはヒト以外の異種哺乳動物の未分化細胞が、雌雄生殖細胞及びその前駆体細胞、胚細胞、胚由来の多分化能細胞、胚性幹細胞、胚性幹細胞由来の多分化能細胞、各種組織の幹細胞、初期化した体細胞からなる群から選択された、目的とする細胞、組織、臓器に分化する能力を有する細胞であり、これらの細胞を遺伝子操作等の人工的処理を施した細胞、細胞の一部機能を人為的に処理して改変した細胞、細胞の一部を人工物質で代替した細胞、人工的に合成した細胞、等目的とする細胞、組織、臓器の全機能及び一部機能を有する構造に発生し得る能力を有する細胞及び細胞様構造。
  14. 生体培養器に細胞毒前駆体を添加し、細胞毒前駆体を細胞毒に変換する酵素の遺伝子を発現する細胞のみを除去することによって、特定細胞のみを除去することによって、生体培養器に混入させたヒト細胞等の異種哺乳動物細胞の、目的とする細胞、組織、臓器への増殖,分化を促進する方法。
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