JPS649034B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、無線操縦による走行玩具の方向変
換装置に関するものである。

従来、この種の走行玩具における方向変換装置
としては、前輪に対し取付けたステアリングプレ
ートを、ウオームギヤ機構等を介してサーボモー
タの正逆転操作により左右に変位させ、前輪の方
向すなわち直進、右旋回もしくは左旋回の変換を
行うよう構成したものが知られている。

しかしながら、前記従来の方向変換装置は、走
行玩具を頻繁に左右へ方向変換させようとすれ
ば、サーボモータの正逆転切換操作の頻度も多く
なり、このためサーボモータの電気系統を構成す
る各種接点でスパークを発生する。

このようなサーボモータにおけるスパークの発
生は、サーボモータの電気系統の損傷と共に無線
操作機の誤動作を生じさせる。特に、サーボモー
タは制御性能に優れていることから高価であるた
め、スパークを生じないように制御回路を工夫す
れば一層製造コストの上昇を招く等の欠点があ
る。

また、従来の走行玩具における方向変換装置と
して、車輪の方向変換を行うリンク機構を設け、
このリンク機構の一部に鉄心を設けると共にこの
鉄心に対しその両側に電磁石を対称的に設け、こ
れら電磁石を選択的に付勢することにより前記鉄
心を吸引移動させてリンク機構の変位を行い車輪
の方向変換を行うよう構成したものが提案されて
いる。しかしながら、この種の方向変換機構は、
方向変換を行うためのリンク機構の変位量を大き
くしなければならず、また充分な変位を達成する
には容量の大きな電磁石を必要とすると共に反対
方向への変換のために複数の電磁石を必要とする
ことから、構造が大形化し消費電力を増大する等
の難点がある。しかも、この種の方向変換機構で
は電磁石を付勢しない場合に適正な中立状態に保
持するための手段を組合せるには機構上種々の難
点があり、実用化されるに至つていない。

さらに、従来の走行玩具における方向変換装置
として、ステアリング部材と一体的に旋回動作す
る制御子として二又部の両側にそれぞれ内側が同
極となるよう磁石を配置したりまたは棒磁石を配
置し、前記一対の磁石間に電磁石を配置するかま
たは棒磁石の両側に極片が位置するよう電磁石を
配置したものが提案されている。しかしながら、
この種の方向変換装置においても、制御子が電磁
石の両極部と接触する構成であり、方向変換を行
うための変位量を大きくするには前記と同様に大
形構造としなければならない難点がある。また、
中立状態を保持する手段として、二又状スプリン
グのみを使用して車輪の方向変換を行う揺動体の
中位部に設けた係合ピンを挾持するものも提案さ
れているが、この場合揺動体の中立復帰動作を迅
速に行うためスプリング弾力を強化すれば揺動体
の操作動力を大きくする必要があり、また揺動体
の操作動力を低減し得るようスプリング弾力を弱
めれば中立復帰動作が不安定になる難点がある。

そこで、本発明者は、前述した従来の走行玩具
における方向変換装置の問題点を克服すべく種々
検討を重ねた結果、所定の指令によつて左右に異
なる極性で付勢されるコ字状の鉄心からなる磁極
部を設けた電磁石と、この電磁石の一方の磁極部
と所定間隔離間しその一端部に磁石を対向配置し
た制御子とを設け、この制御子の略中心部をステ
アリング部材の中心部と係合させることにより、
前記電磁石の付勢状態によつて制御子に設けた磁
石が電磁石の一方の磁極部と反撥すると共に他方
の磁極部と吸引されて制御子を一定方向に変位さ
せることができ、この結果ステアリング部材も同
時に変位して車輪の方向変換を行うことができる
ことを突き止めた。なお、この場合、電磁石が消
勢状態の時、消勢された一方の磁極部に対し制御
子が磁石の作用により常に中立状態に保持するこ
とができる。

従つて、本発明の目的は、電磁石の磁極部と磁
石との対向位置関係において制御子を安定かつ確
実に旋回移動させることができると共に、中立位
置保持も安定化することができ、簡単な構成で故
障も少なく、小形にして低コストに製造し得るば
かりでなく、電力消費量も少なくて済む、機能性
に優れ経済的利点のある走行玩具の方向変換装置
を提供するにある。

前記の目的を達成するため、本発明において
は、相対する一対の車輪間の車体上に突設した軸
に制御子を旋回移動可能に枢支し、この制御子の
旋回する端部に磁石を配置し、前記制御子の旋回
移動する一部にステアリング部材の中心部を嵌合
し、このステアリング部材の両端にそれぞれ車輪
を結合し、前記制御子の磁石と対向して電磁石を
配置すると共にこの電磁石の鉄心部両端を異なる
極性に付勢することにより前記制御子を右旋回ま
たは左旋回のいずれかに旋回移動させて車輪の方
向変換を行うよう構成した走行玩具の方向変換装
置において、 前記制御子の旋回する一端部に配置する磁石は
端面を一定の極性となるよう設定し、 この磁石に対向して配置する電磁石はコ字状鉄
心を有し、前記制御子の中立位置に対する中心線
上において電磁石が制御子と接触することなく自
由に旋回し得るよう位置決めし、コ字状鉄心の一
端が中立位置にある制御子の一端部に設けた磁石
の中央部と対向しかつ該磁石の極性と同極性に付
勢されるよう設定すると共に該鉄心の他端が制御
子の旋回側に位置して磁石の一端側と近接しかつ
該磁石の極性と反対極性に付勢されるよう設定す
ることを特徴とする。

前記の方向変換装置において、ステアリング部
材は旋回移動する制御子の中心軸部に軸結合し、
制御子と一体的に旋回するよう構成すれば好適で
ある。

次に、本発明に係る走行玩具の方向変換装置の
実施例につき、添付図面を参照しながら以下詳細
に説明する。

第１図は、本発明装置を実施する無線操縦シス
テムによる走行玩具の車体構造の一実施例を示す
ものである。第１図において、参照符号１０は車
体ベースの前部、１２は車輪を示す。一対の車輪
１２，１２は、ステアリング部材１４の両端部に
結合される。従つて図示例において、ステアリン
グ部材１４を左側へ旋回させれば、車輪１２，１
２は左方向に偏向することになる。このステアリ
ング部材１４の下方には制御子１６を配設する。
制御子１６は、略中央部を車体ベース１０に突設
した軸１８に枢着し、一端部に磁石２０を固定配
置する。一方、この制御子１６に配置した磁石２
０と対向させて、電磁石２２を車体ベース１０に
固定配置する。なお、前記制御子１６の略中央部
には溝部２４を設け、この溝部２４内に前記ステ
アリング部材１４を装着すると共に制御子１６と
一体的に車体ベース１０に突設した軸１８を枢着
する。

しかるに、本実施例においては、前記電磁石２
２をそれぞれ異なる極性で付勢されるコ字状の鉄
心で構成した一対の磁極部２６，２８を備え、こ
の電磁石２２の一方の磁極部２６を中立状態にあ
る制御子１６の磁石２０の中央部と対向するよう
配設する。この場合、磁石２０と対向する電磁石
２２の一方の磁極部２６の極性を磁石２０と反撥
する極性となるよう設定する。従つて、例えば、
電磁石２２の一方の磁極部２６の極性がＮ極とな
るよう付勢されれば、制御子１８の磁石２０は電
磁石２２の他方の磁極部２８（Ｓ極となる）と吸
引関係となり、支軸１８を中心として左側へ偏位
する（第２図参照）。

このようにして、本実施例によれば、電磁石２
２を付勢状態とすることにより、車輪１２，１２
を左旋回可能に制御することができる。また、電
磁石２２を消勢状態とすれば、制御子１６の磁石
２０は電磁石２２の一方の磁極部２６と吸引作用
を生じるため、制御子１６およびステアリング部
材１４を第１図に示すような中立状態に確実に復
帰させることができる。

従つて、前記構成からなる方向変換装置を無線
操縦システムによる走行玩具に応用した場合、無
線送信機より単一の指令信号を発信してこれを無
線受信機３０で受信して電磁石２２を付勢し、車
輪を左旋回または設計変更により右旋回し得るよ
う制御することができる。

なお、前述した実施例においては、制御子に磁
石を設けた場合を示したが、制御子に電磁石を載
置し、これと対向する磁石を車体ベースに固定し
ても、前記実施例と同様の効果を得ることができ
る。

前述した実施例から明らかなように、本発明装
置は、コ字状の鉄心からなる磁極を有する電磁石
と磁石を設けた制御子との組合せからなるもので
あり、制御子は電磁石と接近してこれと接触する
ことなく自由に旋回移動しかつその旋回角度に応
じて車輪の旋回角度を決定するものであるから、
電磁石は必要以上に電磁エネルギーを要せず、単
なる電源の付勢によつて制御子の旋回コントロー
ルを容易に実現することができる。この場合、制
御子は、電磁石と接触することなく、自由に旋回
移動するよう構成したことにより、構成を小形化
しても旋回の変化量を大きく設定することがで
き、電力消費量も低減することができる。また、
前記電磁石の一方の磁極部と制御子の一定の極性
からなる磁石との構成配置は、車体の中立位置と
関係的に中心軸線上に位置決めすることができる
ことから、電磁石の消勢を行つた場合の中立位置
への正確な復帰も容易であり、しかもこれら構成
要素が省スペースでコンパクトに組立てることが
でき、製造コストの低減、制御性能の向上、省エ
ネルギー効果等と多くの利点を有する。

以上、本発明の好適な実施例について説明した
が、本発明の精神を逸脱しない範囲内において
種々の設計変更をなし得ることは勿論である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明装置の一実施例を示す走行玩具
の要部車体構造図、第２図は第１図に示す制御子
の動作と電磁石の制御機構を示す説明図である。 １０……車体ベース、１２……車輪、１４……
ステアリング部材、１６……制御子、１８……
軸、２０……磁石、２２……電磁石、２４……溝
部、２６，２８……磁極部、３０……無線受信
機。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 相対する一対の車輪間の車体上に突設した軸
   に制御子を旋回移動可能に枢支し、この制御子の
   旋回する端部に磁石を配置し、前記制御子の旋回
   移動する一部にステアリング部材の中心部を嵌合
   し、このステアリング部材の両端にそれぞれ車輪
   を結合し、前記制御子の磁石と対向して電磁石を
   配置すると共にこの電磁石の鉄心部両端を異なる
   極性に付勢することにより前記制御子を右旋回ま
   たは左旋回のいずれかに旋回移動させて車輪の方
   向変換を行うよう構成した走行玩具の方向変換装
   置において、 前記制御子の旋回する一端部に配置する磁石は
   端面を一定の極性となるよう設定し、 この磁石に対向して配置する電磁石はコ字状鉄
   心を有し、前記制御子の中立位置に対する中心線
   上において電磁石が制御子と接触することなく自
   由に旋回し得るよう位置決めし、コ字状鉄心の一
   端が中立位置にある制御子の一端部に設けた磁石
   の中央部と対向しかつ該磁石の極性と同極性に付
   勢されるよう設定すると共に該鉄心の他端が制御
   子の旋回側に位置して磁石の一端側と近接しかつ
   該磁石の極性と反対極性に付勢されるよう設定す
   ることを特徴とする走行玩具の方向変換装置。 ２ 特許請求の範囲第１項記載の走行玩具の方向
   変換装置において、ステアリング部材は旋回移動
   する制御子の中心軸部に軸結合し、制御子と一体
   的に旋回するよう構成してなる走行玩具の方向変
   換装置。