JPS647903B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は自動車の車体整備装置、更に詳しく
は、自動車を床面より持ち上げた状態でホイール
を外す工程から始まつて、自動車の下回りを洗浄
する工程及び下回りを点検整備する工程を一連の
連続した工程で行う自動車の車体整備装置に関す
るものである。

一般に、法律で義務づけられた車体検査時のよ
うに、自動車の下回りを点検整備する場合は、先
ず、全てのホイールを外して、一旦自動車の底を
洗浄した後、いわゆる増締めや錆止塗装を行つ
て、各種部品の点検を行うものである。ところ
で、ホイールは通常、自動車をリフトで持ち上げ
た状態で外されるため、リフトに支持したまま洗
浄を行おうとすれば、リフトが邪魔になり、隅々
迄十分や洗浄を行うことができず、また、最近、
多く使用されている床面を移動しながら蒸気のよ
うな洗浄剤を自動車の底に噴出させる洗車機も使
用することができないという問題がある。

本発明は上記の点に鑑みて為されたものであ
り、主な目的とするところは、ホイールを外す工
程より洗車を行つて整備を行う迄の自動車の移動
を速やかに行なえ、一台当りの点検整備に費やす
作業時間を短縮でき、作業能率を上げることがで
きる自動車の車体整備装置を提供することであ
る。また本発明では、効率的な整備作業を達成で
きる装置として、対象となる自動車のホイールベ
ース及び横幅に合して自動車を安定的に吊り下げ
る構造が開示される。更に本発明では、洗車場の
両側にリフト場を配置して１つの洗車機を各リフ
ト場で作業が行なわれる自動車に併用できて、二
台の自動車を効率よく点検整備できる構造が開示
される。

本発明を以下図に示す実施例に基いて詳述す
る。本発明に係る装置は、基本的に、リフト場Ａ
に備えたリフト１と、リフト場Ａの横に隣接する
洗車場Ｂに備えた洗車機２と、リフト場Ａの上方
と洗車場Ｂの上方との間に跨つて移動するクレー
ン３とより構成されるものであつて、本発明で
は、第１図に示すように、洗車場Ｂの両側にリフ
ト場Ａを配置した例を示している。リフト場Ａ及
び洗車場Ｂは建物Ｃ内に夫々各場所における自動
車が平行となるように配置される。リフト１は建
物Ｃの入口がわの床の定位置に設置する固定リフ
ト１ａと屋内がわの床上で前後移動する可動リフ
ト１ｂとより構成され、第２図及び第３図に示す
ように、テーブル４に自動車１０の底の前後を載
置して自動車１０をリフト１上に支持するもので
ある。固定リフト１ａ及び可動リフト１ｂは夫々
床面下に収められるシリンダ５及びシリンダ５に
供給される油や空気のような作動流体の圧力によ
つてシリンダ５上端より突出する柱６とから成り
第４図に示すように、固定リフト１ａはシリンダ
５を床面下のコンクリート７に固定して据え付け
られ、可動リフト１ｂはシリンダ５を床レール８
に沿つて前後に走行する基台９に固定して据え付
けられる。床レール８は、第４図及び第５図に示
すように、床面に開口する前後に長くなつた長溝
１１の開口縁の左右に配置され、上記の基台９の
左右に設けたランナ１２が夫々断面略コ字型の床
レール８内に支持され、長溝１１の一端に配した
モータ１４にワイヤ１３を介して連結され、この
モータ１２の正逆回転によつて可動リフト１ｂが
床レール８に沿つて前後に移動して、自動車１０
のホイールベースに合せて固定リフト１ａとの間
隔が調節される。各リフト１ａ，１ｂには夫々作
動流体が床下を通るホース１５によつて供給され
る。リフト場Ａ両側の床面上には夫々一対のレー
ル１６が配備されており、このレール１６に沿つ
てホイール受け台１７が前後移動するものであ
り、リフト１上の自動車１０から外されたホイー
ル１９はこのホイール受け台１７に載せられて所
定位置に移動される。一方、洗車機２は、第６図
及び第７図に示すように、下端に設けた車輪２０
を洗車場Ｂの両側に設けたガイドレール２１に係
合させて前後方向に沿つて移動自在に配設され、
内蔵したモータによつて往復動される。洗車機２
０の後部には前後左右へ所定の角度範囲内で首振
り自在となつたノズル２２が装着され、洗車機２
が前後移動する間にこのノズル２２より噴出する
蒸気によつて洗車場Ｂ上方でクレーン３によつて
吊り下げられた自動車１０の下回りを洗浄する。
またこの洗車機２の上面にはブロワーの吹出口２
３が設けてあり、この吹出口２３より吹出される
熱風によつて洗浄した後の自動車１０の下回りを
乾燥させるようになつている。この洗車機２への
蒸気及び熱風の供給は、別途に配備する発生機か
らホースを介して行なわれる。また洗車機２の両
側の上方には自動車の位置を検出するセンサー２
４が取付けられており、このセンサー２４にて自
動車１０の前後長及び幅を検知して洗車機２の前
後移動量やノズル２２の首振り角度が決定され、
自動車の大きさに応じて自動車１０の底を隅々ま
で自動的に洗浄するわけである。尚、洗車場Ｂの
床面は中央のピツト２５に向けて下り傾斜してお
り、洗浄時に床面に飛散する水をこのピツト２５
に集めるようになつている。一方、上記のクレー
ン３は、基本的に、第８図乃至第１１図に示すよ
うに、両リフト場Ａの上方に跨る前後一対の天井
レール３０と、両天井レール３０間に架設される
桁フレーム３１と、桁フレーム３１上でこの桁フ
レーム３１の長手方向、すなわち、前後方向に沿
つて移動する前後一対の台車３２と、各台車３２
上に固定した巻き上げ機３３、各巻き上げ機３３
より夫々吊下される一対のワイヤ３４、及び一対
のワイヤ３４の下端間に架設された支持バー３５
とより構成される。上記の桁フレーム３１は両端
の脚材３６下面に取付けた第１転動車３７を夫々
天井レール３０上面に載置して両天井レール３０
間に支持され、各脚材３６に備えた走行モータ３
８によつて天井レール３０に沿つて上記の両リフ
ト場Ａ間で移動する。台車３２は夫々桁フレーム
３１の長辺をなす一対の桁３９上を転動する第２
転動車４０を備えた各ベース４１と、両ベース４
１に跨がる形で両ベース４１に固定された矩形枠
４２とより構成され、各ベース４１に装着したモ
ータ４３によつて、各台車３２が独立して桁フレ
ーム３１上を前後方向に沿つて移動する。各台車
３２の矩形枠４２上には夫々巻き上げ機３３がそ
の回転ドラム３３ａの中心軸を桁フレーム３１の
長手方向に対して斜めに配向させて取着されてお
り、各回転ドラム３３ａに一対のワイヤ３４の一
端が巻き付けられており、回転ドラム３３ａの一
方向への回転によつて両ワイヤ３４が同時に巻き
付けられたり巻き戻されたりする。この回転ドラ
ム３３ａを駆動するモータ３３ｂや台車３２を前
後移動させるモータ４３及び桁フレーム３１全体
を左右に移動させるモータ３８は夫々下方に吊下
されるケーブル下端に設けた操作ボツクスによつ
て遠隔制御される。各巻き上げ機３３より吊下さ
れるワイヤ３４の一端は動滑車４５を経て台車３
２に固定され、ワイヤ３４の巻き上げ及び戻しに
よつて動滑車４５に固定したフツク４６が上下動
する。上記の支持バー３５は、第１１図及び第１
２図に示すように、Ｉ型鋼で形成され、長手方向
の両端上に突出する吊り金具５０を夫々吊り輪５
１を介して上記のフツク４６に取付けて、各巻き
上げ機３３より垂下する両ワイヤ３４の下端間に
吊り下げられる。この支持バー３５の上辺には一
対の載置台５３が長手方向に沿つて独立して摺動
自在となるように装着されており、対象となる自
動車１０の底面での望ましい支持箇所に合して各
載置台５３の位置調整が行なわれ、各種の自動車
の底面形状に応じて最適な箇所で自動車を支持バ
ー３５で支持できるようになつている。またこの
支持バー３５の両端の下面にはガイド輪５４が取
付けられており、自動車の前後長に合せて床面上
を容易に移動できるようになつている。この支持
バー３５による自動車の吊り上げは、リフト場Ａ
でリフト１によつて自動車１０の持ち上げ、ホイ
ール１９を外した後に行なわれるものであつて、
先ず、一対の支持バー３５をリフト場Ａの床面上
で移動させ、自動車１０下方の適切な位置に両支
持バー３５を配置してから、各支持バー３５を
夫々対応する巻き上げ機３３の両ワイヤ３４下端
に上記の吊り輪５１を介して取付けられる。尚、
支持バー３５両端のガイド輪５４は全方向に転動
できるように支持バー３５へピン５５によつて枢
着されており、床面に沿つて支持バー３５を前後
左右へ自在に移動させることができるようになつ
ている。次に、本発明方法に基く、自動車の整備
手順を説明すると、自動車１０を先ず、自力でリ
フト場Ａに進め、可動リフト１ｂの位置を調節し
た後、リフト１によつて自動車１０を床から持ち
上げて各ホイール１９を外し、取外したホイール
１９は夫々上記のホイール受け１７に載せてリフ
ト１より離れた位置に移動させる。次いで、前述
の如く、支持バー３５をリフト場Ａの床面上で自
動車１０の下方に移動させて対応する巻き上げ機
３３に結合し、各巻き上げ機３３を操作して自動
車１０をリフト１上より吊り上げてから、クレー
ン３全体を動かし、すなわち、桁フレーム３１を
天井レール３０に沿つて左右に移動させ、自動車
１０を洗車場Ｂに移動させて洗車場Ｂの床面より
上方に離れた位置で自動車１０の床面からの高さ
を調節し、上記の洗車機２を宙に浮いた自動車１
０の下方で前後に移動させ、前述の如く、自動車
１０の下回りを洗浄する。洗浄が済んだ自動車１
０は再びクレーン３によつてリフト場Ａに戻さ
れ、リフト１上に載せられ、このリフト１上で自
動車１０の点の点検整備が行なわれるものであ
る。

尚、本発明は、大型自動車の点検整備に最適で
あるが、他の小型や中型の自動車の点検整備も効
率よく行えるのは勿論のことである。

本発明にあつては、クレーンを用いてリフト上
でホイールが外された後の自動車をリフト場から
洗車場に送り、洗車が済んだ後再びリフト上に戻
すものであるから、ホイールを外した自動車を速
やかにリフト場と洗車場との間で往復させること
ができ、洗車工程を中間にはさむ、ホイールの取
外し工程から下回りの点検整備工程に至る自動車
の全作業工程を短縮できるという利点があり、特
に、洗車場の床面で移動しながら洗浄剤を自動車
の下面に噴射して自動車の下回りの洗浄を行う自
走式洗車機を使用する場合には、作業能率が高め
られるものである。又、本発明にあつては、洗車
場の両側に夫々リフト場を備えているため、各リ
フトでホイールが外される自動車を両リフト場に
跨がるクレーンを用いて交互に洗車場に送り込
み、一台の洗車機を利用して二台の自動車の洗浄
を行うことができ、またリフト場においてリフト
で自動車を持ち上げてホイールの取り外し作業や
リフト上での点検整備、あるいは最後のホイール
の取り付け等の作業をしながら、洗車場において
クレーンで吊り下げた状態で他の自動車の洗浄が
できるものである。このように一方のリフト場で
リフトに自動車を乗せて作業している時に同時に
洗車場においては隣りのリフト場からクレーンで
吊り下げてきた自動車の洗浄作業ができるもので
あつて効率のよい自動車の整備、洗浄作業ができ
るものである。更に、本発明にあつてはクレーン
における各巻き上げ機が夫々の台車によつて独立
して動くため、自動車の前後長に合わして最適な
位置に各支持バーを配置でき、自動車を安全な状
態で吊り上げることができる他、各支持バー上で
載置台が移動できることにより自動車の横幅及び
底面形状に応じて最適な位置で自動車を支持バー
上に載置できるものである。このようにクレーン
を自動車のサイズに応じて前後方向及び左右方向
において移動させて最も適した位置で安定して吊
下げることができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例におけるリフト場と
洗車場との位置関係を示す概略平面図、第２図は
同上のリフト場に設置したリフトを示す斜視図、
第３図は同上のリフトを用いて自動車を持ち上げ
た状態を示す斜視図、第４図及び第５図は夫々同
上のリフトの設置箇所を示す縦断面図、第６図は
同上に用いる洗車機の一動作状態を示す斜視図、
第７図は同上の洗車機を示す概略側面図、第８図
は同上に用いるクレーンを示す全体斜視図、第９
図は同上のクレーンを示す平面図、第１０図は同
上のクレーンの側面図、第１１図は同上のクレー
ンの正面図、第１２図は同上に用いる支持バーの
斜視図、第１３図は同上の支持バーの一使用状態
を示す斜視図であり、Ａはリフト場、Ｂは洗車
場、１はリフト、２は洗車機、３はクレーン、１
０は自動車、１９はホイール、３０は天井レー
ル、３１は桁フレーム、３２は台車、３３は巻き
上げ機、３４はワイヤ、３５は支持バー、５３は
載置台である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 自動車を底で支持して床面より持ち上げるリ
   フトを備えたリフト場が洗車場の両側に配置さ
   れ、洗車場の床面に自動車の底を洗浄する洗車機
   を移動自在に設け、自動車を吊り上げて自動車を
   リフト場と洗車場との間で移動させるクレーンを
   備え、クレーンは、リフト場の上方と洗車場の上
   方との間に跨る前後一対の天井レール間に架設さ
   れた桁フレーム上で長手方向に沿つて移動する２
   台の台車と、各台車に備えた巻き上げ機より垂下
   する一対のワイヤの下端間に架設されたバーであ
   つて自動車を前後の両端部で載置する支持バーと
   より構成され、両台車に吊下される各支持バーは
   互いに平行となり、両台車が自動車の前後方向に
   沿つて独立して移動することによつて、上記の両
   支持バー間の間隔が対応する自動車の前後長に合
   して調節され、各支持バー上には自動車を支持す
   る一対の載置台が自動車の幅に応じて支持バーの
   長手方向に沿つて摺動自在に配置されて成ること
   を特徴とする自動車の車体整備装置。