JPS647104Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は自動車用ステアリングの取付装置に
係り、特に２次衝突による衝撃荷重が加わつた際
に、コラムブラケツトからステアリングコラムを
容易にスライド移動させ、衝撃荷重を迅速・確実
の吸収緩衝し得る自動車用ステアリングの取付装
置に関する。

〔考案の技術的背景〕

自動車走行中、その前部を障害物に衝突させる
が如き事故が売生すると、車体前部は著しく破壊
され、ハンドル軸とステアリングコラム軸が車室
内に押し上げられ、更に衝突の反動でハンドルが
人体に衝突する２次衝突が発生する。このため、
ステアリングコラムには衝突時の衝撃荷重たる衝
撃力を吸収するエネルギ吸収装置が設けられ、更
にステアリングコラムが運転者に衝突する２次衝
突を避けるため、ステアリンクコラムは衝突の際
に車体から離間するように車体に取付けられる必
要がある。

〔背景技術の問題点〕

ステアリングコラムをコラムブラケツトにより
車体に取付ける従来方式においては、このコラム
ブラケツトのステアリングコラムに接触する軸方
向の長さ、つまり圧入代が短く形成されている。

そのため、ステアリングコラムに衝撃荷重が加
わつた際には、コラムブラケツトからステアリン
グコラムが離間する前にコラムブラケツトが変形
し、ステアリングコラムがコラムブラケツトから
離脱不能となり、ステアリングコラムがコラムブ
ラケツトの圧入部分から折曲してしまい、衝撃荷
重を吸収することができず、２次衝突を激化させ
る不都合があつた。

〔考案の目的〕 そこでこの考案の目的は、前記不都合を除去す
るために、コラムブラケツトを構成する保持体と
支持腕との関係姿勢を支承片により維持するとと
もにステアリングコラムの圧入荷重を調整し、衝
撃荷重が加わつた際にコラムブラケツトの変形を
防止し、ステアリングコラムをコラムブラケツト
から容易にスライド移動させ、２次衝突による衝
撃荷重を迅速・確実に吸収し得て、衝撃時の安全
性・信頼性を向上し得る自動車用ステアリングの
取付装置を実現するにある。

〔考案の構成〕

この目的を達成するためにこの考案は、上端に
ステアリングホイールを固設した上部ステアリン
グシヤフトと下端をユニバーサルジヨイントに連
絡した下部ステアリングシヤフトとを軸方向にス
ライド移動自在に嵌合するステアリングコラムを
設け、このステアリングコラムの上部をシヤピン
により車体側に取着する上部コラムブラケツトを
設け、前記ステアリングコラムの下部を車体側に
取着すべく前記ステアリングコラムの下部外径よ
りも内径が大なる中間部と小なる両端部とを有す
る保持体を形成するとともにこの両端部に夫々切
込みを形成し、この保持体に支持腕を固設すると
ともに支持腕には車体側への取付部を固設すると
ともに支持腕には車体側への取付部を形成し、前
記保持体と支持腕との関係姿勢を維持する支承片
をこの保持体と支持腕との間に架設するとともに
前記ステアリングコラムをスライド移動可能に保
持する下部コラムブラケツトを構成したことを特
徴とする。

〔考案の実施例〕

以下図面に基づいてこの考案の実施例を詳細に
説明する。

第１〜３図において、２はステアリングコラ
ム、４は上部ステアリングシヤフト、６は下部ス
テアリングシヤフト、８は車体の上部静止部材、
１０は車体の下部静止部材である。前記ステアリ
ングコラム２は軸受１２を介して上部ステアリン
グシヤフト４を回動自在に支承する。この上部ス
アアリングシヤフト４上端にはステアリングホイ
ール１４を固設する。そして、上部ステアリング
シヤフト４と下部ステアリングシヤフト６とをス
テアリングコラム２内において軸方向にスライド
自在に嵌合する。この嵌合により下部ステアリン
グシヤフト６側からの比較的弱い衝撃荷重たる押
し上げを防止するものである。

前記下部ステアリングシヤフト６の下端にユニ
バーサルジヨイント１５を連絡させて設け、この
ユニバーサルジヨイント１５を図示しないステア
リングギヤボツクスの入力シヤフトに接続させて
いる。また、前記ユニバーサルジヨイント１５
は、第１図から明らかな如く、第１，第２ヨーク
１５ａ，１５ｂとこの第１，第２ヨーク１５ａ，
１５ｂを結合する十字軸１５ｃとからなり、第２
ヨーク１５ｂには図示しないステアリングギヤボ
ツクスの入力シヤフトからの押し上げを吸収する
軸方向にスライド移動可能な吸収機構１５ｄが設
けられている。

前記ステアリングコラム２を車体の上部・下部
静止部材８，１０に夫々取着するための上部・下
部コラムブラケツト１６，１８を設ける。この上
部コラムブラケツト１６は公知のシヤピンにより
車体に取着するものである。また、前記下部コラ
ムブラケツト１８は保持体２０と支持腕２２、そ
して支承片２４とからなる。この保持体２０を筒
状に形成するとともに軸方向の長さを十分に長
く形成する。この保持体２０の中間部２６の内径
を前記ステアリングコラム２の外径よりも大きく
形成し、この保持体２０の両端部すなわち上端部
２８と下端部３０との内径をステアリングコラム
２の外径より小さく形成する。そして、この両端
部２８，３０の夫々には上部切込み３２ａと下部
切込み３２ｚ（この実施例においては第３図に示
す如く、円周等間隔に端部側から夫々４本のスリ
ツト）を設ける。この保持体２０の下部切切込み
３２ｚ近傍に板状の支持腕２２を溶接等の固着手
段により固着する。この支持腕２２には前記下部
静止部材１０に取付けるための取付部２２ａを折
曲形成する。そして、前記保持体２０と支持腕２
２との関係姿勢を堅固に維持するために、第１，
２図に示す如く、板状支承片２４をこの保持体２
０と支持腕２２の取付部２２ａとの間に架設す
る。

なお符号３４は支持腕２２の取付部２２ａに穿
設した取付孔である。

次に作用について説明する。

前記上部ステアリングシヤフト４を回動自在に
支承するステアリングコラム２に上部コラムブラ
ケツト１６を装着するとともに、下部コラムブラ
ケツト１８を所定の圧入荷重によりあつにゆうす
る。そして、この上部及び下部コラムブラケツト
１６，１８を車体の上部及び下部静止部材８，１
０に夫々取付ける。このとき、上部コラムブラケ
ツト１６と上部静止部材８との取付けには前述の
如き公知のシヤピンを使用する。また、下部コラ
ムブラケツト１８と下部静止部材１０との取付け
は後述の如く行う。まず、下部コラムブラケツト
１８の支持腕２２の取付部２２ａを下部静止部材
１０に当接する。そして、取付部２２ａの取付孔
３８に対し、ボルト・ナツト等の取付金具（図示
せず）により前記下部コラムブラケツト１８を下
部静止部材１０に取付ける。

自動車走行中、その前部を障害物に衝突させる
が如き事故が発生すると、車体前部は著しく破壊
され、下部ステアリングシヤフト６を車室内側に
押し上げる。このとき、図示しないステアリング
ギヤボツクスの入力シヤフトからの押し上げ力、
つまり１次衝突力は、前記ユニバーサルジヨイン
ト１５の吸収機構１５ｄにより吸収緩衝され、１
次衝撃を弱化させる。そして、ユニバーサルジヨ
イント１５により衝撃が比較的弱い場合には、ユ
ニバーサルジヨイント１５の吸収機構１５ｄ及び
下部ステアリングシヤフト４，６の軸方向のスラ
イドにより押し上げを防止することができる。し
かし、前記ユニバーサルジヨイント１５による吸
収緩衝後の衝撃が強い場合には、下部ステアリン
グシヤフト４、６のスライドが極限に達し、下部
ステアリングシヤフト６により上部ステアリング
シヤフト４とステアリングコラム２とを押し上げ
る。このとき、下部コラムブラケツト１８の保持
体２０と支持腕２２との関係姿勢を支承片２４に
より正確にかつ堅固に維持している。また下部コ
ラムブラケツト１８とステアリングコラム２との
関係姿勢は保持体２０の両端部２８，３０に形成
した切込み３２ａ，３２ｚによつて調整設定した
圧入荷重によつて維持している。そして、ステア
リングコラム２が上部コラムブラケツト１６の上
部静止部材８のシヤピンによつてステアリングコ
ラムの上方へのスライド移動が阻止され、ステア
リングコラム２が保持体２０の通常位置に保持さ
れることとなる。

更に、２次衝突による衝撃がステアリングホイ
ール１４に加わつた際には、ステアリングコラム
２が下部コラムブラケツト１８との設定圧入荷重
を越えることにより、下部コラムブラケツト１８
からステアリングコラム２が下方にスライド移動
し、ステアリングコラム２が保持体２０の通常位
置からずれ、ユニバーサルジヨイント１５側へ入
り込むこととなる。このため、衝撃時の下部コラ
ムブラケツト１８の変形を防止することができ、
ステアリングコラム２を下部コラムブラケツト１
８から容易にスライド移動させることにより、２
次衝突による衝撃荷重を迅速・確実に吸収緩衝す
ることができる。

〔考案の効果〕

以上詳細に説明した如くこの考案によれば、コ
ラムブラケツトを構成する保持体と支持腕との関
係姿勢を支承片により維持し得るとともにステア
リングコラムの圧入荷重を所望数値に設定し得
て、しかもステアリングコラムをスライド移動可
能に下部コラムブラケツトによつて保持し得るの
で、衝撃荷重が加わつた際にコラムブラケツトの
変形を防止しつつステアリングコラムをコラムブ
ラケツトから容易にスライド移動させることがで
き、衝撃荷重を迅速・確実に吸収し得て、衝突時
の安全性・信頼性を向上し得るという効果を奏す
る。

また、コラムブラケツトとステアリングコラム
との接触部分の長さ、すなわち保持体端部におけ
る小径部分の軸方向の長さ、あるいはこの小径部
分に形成した切込みの数、形状、切込み位置によ
り、圧入荷重を比較的容易に調整し得て、コラム
ブラケツトの離脱を理想的に行うことができる。

更に、前記下部ステアリングシヤフトの下端に
ユニバーサルジヨイントを連絡させて設けたこと
により、エンジンルームの変形をユニバーサルジ
ヨイントの吸収機構によつて効率良く吸収緩衝し
得て、エンジンルームの変形と下部コラムブラケ
ツトとが直接接続されることがなく、独立した関
係を維持し得て、実用上有利である。

【図面の簡単な説明】

第１〜３図はこの考案の実施例を示し、第１図
はステアリングコラム取付時の概略図、第２図は
第１図の矢視からの下部コラムブラケツトの一
部切欠き拡大断面図、第３図は第２図に示す下部
コラムブラケツトの左側面図である。 図において、２はステアリングコラム、１８は
下部コラムブラケツト、２０は保持体、２２は支
持腕、２４は支承片、３２は切込みである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上端にステアリングホイールを固設した上部ス
   テアリングシヤフトと下端をユニバーサルジヨイ
   ントに連絡した下部ステアリングシヤフトとを軸
   方向にスライド移動自在に嵌合するステアリング
   コラムを設け、このステアリングコラムの上部を
   シヤピンにより車体側に取着する上部コラムブラ
   ケツトを設け、前記ステアリングコラムの下部を
   車体側に取着すべく前記ステアリングコラムの下
   部外径よりも内径が大なる中間部と小なる両端部
   とを有する保持体を形成するとともにこの両端部
   に夫々切込みを形成し、この保持体に支持腕を固
   設するとともに支持腕には車体側への取付部を固
   設するとともに支持腕には車体側への取付部を形
   成し、前記保持体と支持腕との関係姿勢を維持す
   る支承片をこの保持体と支持腕との間に架設する
   とともに前記ステアリングコラムをスライド移動
   可能に保持する下部コラムブラケツトを構成した
   ことを特徴とする自動車用ステアリングの取付装
   置。