JPS646827B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、灯油や軽油等の液体燃料・水・薬溶
液・記録液等を、電気的振動子を用いて霧化する
液体の霧化装置に関する。

従来例の構成とその問題点 従来から液体の霧化装置には、種々のものが提
案されており、圧電振動子の振動現象を利用した
ものも多く見うけられる。

例えば、近年インクジエツト記録装置に実用化
されているものは、液室の一端に圧電振動子を設
け、他端にオリフイスを設けた構成で、圧電振動
子の振動による液室内の圧力変化を液体を介して
オリフイスに伝え、その結果オリフイスよりかな
りの飛散速度をもつた超音波霧化粒子を噴射する
霧化装置である。この霧化装置の駆動状態を第１
図に示す。第１図ａは、所定の周期をもつたパル
ス状の矩形波の駆動信号を示し、ｂは、前記駆動
信号が印加された場合の圧電振動子の振幅変化の
様子を表わしている。このインクジエツト装置の
場合には、１度に吐出するインクの量が少ないの
で、印加する振動エネルギーも小さくてよく、矩
形波を所定のレベルで初期から加えても霧化器構
成に故障を生ずることはない。

第２図では、前述のような圧電振動子を用いた
超音波霧化装置で多量の噴霧量を出す場合の、駆
動エネルギー制御手段の従来例を示す。圧電振動
子を機械的共振点付近で発振駆動させ、液室中の
液体を噴霧させるのであるが、噴霧量を制御する
手段に、駆動信号の印加時間と停止時間の比を変
えるデユーテイー制御がある。ａは、駆動波形を
所定のレベルでデユーテイー制御している時間特
性であり、ｂは、ａの駆動エネルギーに対応した
圧電振動子の振幅変化を示している。ａでは、駆
動信号の印加開始時から定常時の信号レベルでエ
ネルギーを印加しているが、ｂのように信号印加
開始時は機械的振幅が追従せず、所定の時定数を
もつて定常状態に達しているようすがわかる。す
なわち、信号印加開始時は、加えられたエネルギ
ー分が全て機械的振動に寄与しているのではな
く、大きなエネルギーを加えても熱損失となつて
いる。

このように、従来のデユーテイー制御では、立
ち上がり時の駆動エネルギーを初期から大きなレ
ベルで印加していたため、熱損失となつて変換効
率を下げていた上、圧電振動子の接合部に対する
機械的歪みも大きく使用上の寿命にも課題が残さ
れていた。

発明の目的 本発明はかかる従来の問題を解消するもので、
デユーテイー制御による霧化量調節時にも、駆動
エネルギーの熱損失を下げ、圧電振動子の接合部
に対する歪みを小さくし、スムーズな振動で十分
な霧化量を得ることを目的とする。

発明の構成 この目的を達成するために、本発明は、液体を
充填する加圧室を備えたボデイーと、前記加圧室
に液体を供給するための供給部と、前記加圧室に
臨むように設けたノズルを有するノズル部と、前
記ノズル部を付勢して前記ノズルを加振する電気
的振動子とからなる霧化器と、前記電気的振動子
を所定の周波数で駆動する発振駆動部と、前記電
気的振動子への駆動信号印加時間と停止時間との
比を制御するデユーテイー制御部と、前記駆動信
号印加開始時の所定時間は定常駆動時の振動エネ
ルギーよりも小さい振動エネルギーを印加する振
動エネルギー制御部を設けたものである。

この構成によつて、駆動信号印加開始時から所
定の時間、すなわち、圧電振動子の機械的振動が
所定のレベルに達する期間は、定常時の駆動エネ
ルギーレベルよりも小さいエネルギーを印加する
という作用を有する。

実施例の説明 第３図で本発明の一実施例である霧化器につい
て説明する。液体を充填する加圧室１を備えたボ
デイー２は、ビス３で取付板４に固定されてい
る。液体は供給パイプ５を介して前記加圧室１に
入り、霧化動作中は、気体排出用のパイプ６の途
中まで満たされる。７は加圧室１の一面に臨んで
配されたノズル部で、外周はボデイー２に接合さ
れている。ノズル部７の中央には、液滴吐出用の
微細な孔を有する球面状の突起８が形成されてい
る。さらにノズル部７には、円環状の電気的振動
子、ここでは圧電素子９が装着されている。この
圧電素子９は厚さ方向に分極された圧電セラミツ
クで、ノズルとの接合面及び反対側の面には電極
を有している。１０は、圧電素子９へ駆動信号を
伝達するリード線で、一方は圧電素子９の片方の
電極面へ半田接着され、他方はボデイ２へビス１
１で接続されている。駆動信号により圧電素子９
の機械的振動が励起されると、ノズル部７も付勢
されて振動するので、結果として加圧室１内の液
体が霧化粒子１２となつて吐出される。

ところで、加圧室１へ供給される液体は、霧化
器設置構成で前記気体排出用のパイプ６途中まで
充填してもよいが、別手段として、霧化器の設置
構成では加圧室１及び排気パイプ６中は空で、液
滴吐出シーケンスに入る前に、例えば排気パイプ
６を通じて負圧を加え、液体を加圧室１に充填す
ると共に排気パイプ６途中まで引き上げてもよ
い。後者の方法によれば、ノズル孔部で液体中の
不純物等が固化し、液滴を噴出できないという不
具合が生じない。

第４図は、本発明の霧化装置のブロツク構成図
を示し、９は圧電振動子で発振駆動部１３からの
信号で機械的振動が励起される。前記発振駆動部
の構成は、その内部に発振器を有する他励式であ
つてもよいし、９の圧電振動子の電気的特性を利
用した自励式でもよい。１４のデユーテイー制御
部は、発振駆動部１３からの駆動信号印加時間と
停止時間との比を制御し、その結果、霧化器から
の液体吐出量を調整する。１５は振動エネルギー
制御部で、前記発振駆動部からの振動エネルギー
量を加減するもので、前記デユーテイー制御によ
る駆動信号印加時間の初期所定時間は定常駆動時
の振動エネルギーよりも小さい振動エネルギーを
圧電振動子へ加えるように制御する。

上記構成において、駆動信号印加開始時は定常
時の振動エネルギーよりも小さい量が印加される
ので、機械的振動が追従するまでの熱損失が大幅
に軽減されると共に、霧化器構成で圧電振動子の
接合部に対する機械的歪みが減少されるという効
果がある。

第５図は本発明の他の実施例を示し、デユーテ
イー制御の振動エネルギー印加時のエネルギー量
加減の様子を表わしている。図は、包絡線だけを
示し、内部に超音波振動波形がある。横軸が経過
時間で、ｔ＝t₀から振動エネルギーの印加が開始
され、ｔ＝t₁までステツプ状に振動エネルギーが
増加している。ｔ＝t₁から定常状態に入り、ｔ＝
t₂までの所定の振動エネルギー量が加えられてい
る。前記ｔ＝t₀からｔ＝t₁までは、定常時の振動
エネルギーよりも小さい値で機械的振動がスムー
ズに励起されるようになつている。

第６図は、本発明の他の実施例で、振動エネル
ギーが指数関数的に増加し、定常状態に達してい
る。本図も包絡線だけを表わしている。第５図の
ようなステツプ状に増加する部分がないので、振
動的にも一層スムーズさを生じさせることができ
る。

第７図は、本発明の他の実施例で、ほぼ直線状
に振動エネルギーを増加させて定常状態に達せさ
せている。この増加方法は、振動エネルギーの増
大値が同一変化なので、機械的振動も所定のエネ
ルギー値で所定の振幅が徐々に発生する。

発明の効果 以上のように本発明の霧化装置によれば、次の
効果が得られる。

振動エネルギー印加開始から所定の期間は、実
際に噴霧させるときの振動エネルギーよりも小さ
な値を印加するので、機械的振動が徐々に励起さ
れ、初期から大振動エネルギーを加える場合に比
べて、熱損失が小さく、さらに、圧電振動子の接
合部における機械的歪みが少ないので、使用寿命
が伸びるという効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ，ｂはインクジエツト記録装置に用い
られている駆動波形図および圧電振動子の振幅変
化図、第２図ａ，ｂは従来の圧電振動子に対する
デユーテイー制御の駆動波形図および振幅変化を
示す図、第３図は本発明の一実施例を示す霧化器
の断面図、第４図は同霧化装置のブロツク構成
図、第５図、第６図、第７図はそれぞれ同振動エ
ネルギー印加の他の実施例を示す波形図である。 １……加圧室、２……ボデイー、５……供給
部、７……ノズル部、９……電気的振動子、１３
……発振駆動部、１４……デユーテイー制御部、
１５……振動エネルギー制御部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 液体を充填する加圧室を備えたボデイーと、
   前記加圧室に液体を供給するための供給部と、前
   記加圧室に臨むように設けたノズルを有するノズ
   ル部と、前記ノズル部を付勢して前記ノズルを加
   振する電気的振動子とからなる霧化器と、前記電
   気的振動子を所定の周波数で駆動する発振駆動部
   と、前記電気的振動子への駆動信号印加時間と停
   止時間との比を制御するデユーテイー制御部と、
   前記駆動信号印加時間の初期所定時間は定常駆動
   時の振動エネルギーよりも小さい振動エネルギー
   を印加する振動エネルギー制御部とから構成され
   た霧化装置。 ２ 駆動信号印加開始時の振動エネルギーを所定
   値から徐々に増加し、定常駆動時の振動エネルギ
   ー印加へと制御する振動エネルギー制御部とから
   構成された特許請求の範囲第１項記載の霧化装
   置。