JPS646382Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はハンドルに連結されたピニオン軸と操
向輪に連結されたラツク軸の歯を噛合するように
したラツクアンドピニオン式ステアリング装置に
関するもので、その目的とするところは操向輪の
キツクバツクによりラツク軸がサポートヨークを
変位させ、ラツク軸背面とサポートヨーク先端面
及びサポートヨーク後端面とヨークプラグ先端面
が衝突して振動打音を発生し、運転者に不快感を
与えることを防止せんとするにある。

第１図は従来のラツクアンドピニオン式ステア
リング装置のラツク支持装置である。ハンドルに
連結されたピニオン軸１のピニオン歯１ａと、操
向輪に連結されたラツク軸２のラツク歯２ａが噛
合し、該ラツク軸２の背面２ｂを支持するサポー
トヨーク３を、ハウジング４に形成したラツク軸
２と直角方向の孔４ａに摺動可能に取り付け、孔
４ａの基部には螺子４ｂを刻設し、ヨークプラグ
５を螺合し、サポートヨーク３後面孔３ａ内に装
着したスプリング６をヨークプラグ５で支持し、
ピニオン歯１ａとラツク歯２ａ等の熱処理歪や加
工誤差があつてもラツク軸２が円滑に摺動できる
様、予めサポートヨーク３の後端面３ｂとヨーク
プラグ５の先端面５ａ間に僅かな隙間を設けてあ
る。そのため操向輪からのキツクバツクによりラ
ツク軸２がサポートヨーク３を孔４ａに沿つて変
位させ、ラツク軸２背面２ｂとサポートヨーク３
先端の受面３ｃ間とサポートヨーク３で後端面３
ｂとヨークプラグ５の先端面５ａ間で変位を生
じ、振動打音を発生するという欠点があつた。

特にサポートヨーク３を強度上の問題から焼結
合金等で製作されている場合、カン高い打音とな
り運転者に不快感を与えていた。そのためサポー
トヨークを樹脂等の弾性体で構成して前記振動打
音を低下することも考えられたけれども、強度的
に弱く、又サポートヨークとラツク軸間に樹脂板
を配設することも考えられたが、ラツク軸に加わ
る荷重と熱のために樹脂板にクリープを生じ、そ
の為、サポートヨーク３の後端面３ｂとヨークプ
ラグ５の先端面５ａ間の隙間を増大させ、ラツク
軸２のサポートヨーク３軸方向の変位を増大さ
せ、よつてラツク軸が早期ガタを生ずるという問
題点があつた。

又実開昭56−18269号公報に示すように、ガイ
ド部材（サポートヨーク）を合成樹脂製とし、そ
の受面のラツク軸線方向に沿つて固体潤滑材から
なる２本の摺動片を突出埋設するラツクピニオン
型操向装置は公知であるが、摺動方向に摺動片を
設けているのでラツクガイドのため２本以上の摺
動片が必要であることからラツクのガイドが不均
一となり、偏摩耗が発生し音振動の原因となると
いう問題点があつた。

本考案はラツク軸背面を支持するサポートヨー
クを、ハウジングに形成したラツク軸と直角方向
の孔に摺動可能に取り付けバネによりラツク軸を
ピニオン軸に押圧する如くなしたラツクアンドピ
ニオン式ステアリング装置に於て、ラツク軸背面
に当接するサポートヨークを硬質材で構成し、受
面の一部に一定深さの溝を設け樹脂等の弾性体か
らなるシートをラツク軸摺動方向と直角に嵌合固
定し、シート表面がサポートヨーク先端面より僅
か突出する如く構成して従来の欠点を除くように
したものである。

次に第２図、第３図及び第２図の部分拡大図で
ある第４図に示した本考案の一実施例について詳
細に説明する。ピニオン軸１１の歯１１ａとラツ
ク軸１２の歯１２ａが噛合し、ラツク軸１２の背
面１２ｂを支持するサポートヨーク１３をハウジ
ング１４に形成したラツク軸１２を直角方向の孔
１４ａに摺動可能に取り付け、孔１４ａの基部に
は螺子１４ｂを刻設し、ヨークプラグ１５を螺合
し、サポートヨーク１３後面孔１３ａ内に装着し
たスプリング１６をヨークプラグ１５で支持して
いる。サポートヨーク１３は焼結合金で構成さ
れ、先端の受面１３ｃは第４図で明らかな様にラ
ツク軸１２の中心Ｏからラツク歯の方へ偏心した
中心O₁，O₂を中心とする２つの円弧面で形成さ
れる形状を有し、その中心を通る所定巾矩形状で
一定深さの溝１３ｄをラツク軸摺動方向と直角方
向に形成し、樹脂等の弾性体からなる矩形状で一
定厚さのシート１７を該溝１３ｄに嵌合固定し、
サポートヨーク１３の受面１３ｃより0.2〜0.5mm
程度突出してある。サポートヨーク１３はスプリ
ング１６の弾力でラツク軸１２の背面に押圧さ
れ、シート１７が背面１２ｂに当接し、サポート
ヨーク１３の後端面１３ｂとヨークプラグ１５の
先端面１５ａとの間には0.01〜0.15mm程度の隙間
が形成されている。

次に作用について説明する。今操向輪からのキ
ツクバツク等によりラツク軸１２の軸方向に加え
られた入力と、ラツク歯１２ａとピニオン歯１１
ａとの噛合いによるラツク軸１２の軸と直角方向
の分力によりサポートヨーク１３がこの軸方向に
変位し、サポートヨーク１３の先端の受面１３ｃ
のシート１７とラツク背面１２ｂ間で振動による
打音を発生しようとするが、樹脂等の弾性体から
なるシート１７により該打音は大巾に緩衝され
る。一方、パーキング時等過大負荷が入つてきた
場合は、シート１７がサポートヨーク受面と同一
面に変形し、シート１７より硬いサポートヨーク
１３の受面１３ｃで受け、該過大負荷がなくなる
と変形したシート１７は自己の弾力で元の状態に
戻る。

本考案によるとラツク軸背面を支持するサポー
トヨークを、ハウジングに形成したラツク軸と直
角方向の孔に摺動可能に取り付けバネによりラツ
ク軸をピニオン軸に押圧する如くなしたラツクア
ンドピニオン式ステアリング装置に於て、ラツク
軸背面に当接するサポートヨークを硬質材で構成
し、受面の一部に一定深さの溝を設け樹脂等の弾
性体からなるシートをラツク軸摺動方向と直角に
嵌合固定し、シート表面がサポートヨーク先端面
より僅か突出する如く構成しているので、ラツク
軸よりサポートヨークに伝わる通常の振動打音は
シートにより大巾に緩衝され、過大負荷はサポー
トヨーク受面で直接受けるのでシートが損傷する
ことがない。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来装置の正断面図、第２図は本考案
の一実施例正断面図、第３図は第２図のサポート
ヨーク左側面図、第４図は第２図のラツク背面部
の詳細拡大図である。 １１……ピニオン軸、１１ａ……ピニオン歯、
１２……ラツク軸、１２ａ……ラツク歯、１２ｂ
……ラツク軸背面、１３……サポートヨーク、１
３ｂ……サポートヨーク後端面、１３ｃ……サポ
ートヨーク受面、１３ｄ……溝、１５……ヨーク
プラグ、１５ａ……ヨークプラグ先端面、１６…
…スプリング、１７……シート。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ラツク軸背面を支持するサポートヨークを、ハ
   ウジングに形成したラツク軸と直角方向の孔に摺
   動可能に取り付けバネによりラツク軸をピニオン
   軸に押圧する如くなしたラツクアンドピニオン式
   ステアリング装置に於て、ラツク軸背面に当接す
   るサポートヨークを硬質材で構成し、受面の一部
   に一定深さの溝を設け樹脂等の弾性体からなるシ
   ートをラツク軸摺動方向と直角に嵌合固定し、シ
   ート表面がサポートヨーク先端面より僅か突出す
   る如く構成したラツク軸支持装置。