JPS64585Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は歪ゲージロードセルのゲージの腐食を
防止する密封構造に関する。

歪ゲージロードセルのゲージを構成する電気抵
抗は箔又は蒸着によつて成形した微小断面の抵抗
体なので腐食などにより抵抗変化を生じ、測定誤
差を起す。その為最近では樹脂で被覆密封するの
が普通で、特に精度の必要な時にはゲージを起歪
体上の凹みに接着した上で、凹みを金属板又は樹
脂板で被覆し内部に不活性ガスを満した上で密封
する。

本考案はこの密封を完全容易にするため歪ゲー
ジを接着するための起歪体の応力集中孔を円筒孔
で構成し、その円形孔周面に直角な凹みを置いて
その凹み中にゲージを接着した後その円形孔周面
を完全に被覆する金属又は樹脂の薄肉円筒管を軽
く圧入嵌合し、円筒管の端面で蓋を起歪体に溶接
其の他にて一体に密封する構造とする。

この様に起歪体の応力集中部を貫通円形孔とす
ることは多くの場合可能であり而も円形孔はドリ
ル又は旋盤で安価で精確に加工でき設計と製作誤
差が少ない。その上にこの孔を密閉するための蓋
も簡単な薄肉円筒管でよいので引き抜き其の他で
製作される鋼管其の他を利用できて構造が簡単な
ので旋盤又は研磨で安易精確に孔に嵌合して密封
が容易にでき、円筒管と起歪体との密封溶接もタ
ーンテーブル等で完全一様に行い得るのでロード
セルの耐久性を増加することができる。

又こうした歪ゲージロードセルで重要なのは歪
ゲージに起歪体の歪をそのまゝ伝えるためのゲー
ジの起歪体えの接着である。所が歪ゲージを接着
するのにはゲージをゲージ面全体に一様な強い圧
力をかけ其の上で加熱するなど挿作が必要であ
る。こうした操作を行つてゲージを起歪体に接着
してもゲージの厚さは有限で０にならないので、
円形孔の周面に薄肉円筒管を嵌合するためには前
述の様に円形孔周面に直角な凹みを作りこゝに歪
ゲージを沈めて接着し薄肉円筒管の挿入を妨げな
い構造とする必要がある。所がこの様に歪ゲージ
を圧力と熱で接着するのは円形孔の狭い空間内の
凹みの中で機械的に一様な圧力をかけるのは困難
である。その為に起歪体の応力集中円形孔表面を
異径の一つの段を有する大小２つの径の表面で構
成し、その段の大径となる表面に歪ゲージを接着
した後、残りの大径部に薄肉円筒管（内径は小径
と同じ）を挿入することにより歪ゲージ接着部を
中間凹みとし、円形孔に密着した蓋となる円筒管
を嵌装した上で、端面を起歪体と円筒環及び環と
円筒管とを溶着又は樹脂にて接着することにより
歪ゲージを密閉する空間を作ることも可能であ
る。

上述では、歪ゲージの接着を容易にするため
に、段付円形孔を作り、大径部に歪ゲージを接着
した後、薄肉円筒環（内径は小径と同じ）と小径
部に密着した円筒管とで、密封する構造とした
が、これら薄肉円筒環と円筒管とを一体とした段
付円筒管の構造としてもよい。そして、この円筒
管を両端面で起歪体に接着又は溶着し、内部に不
活性ガスを満した後密封すればゲージの腐食を完
全に防止することができる。この方法では環体が
不要なので環体と起歪体と溶着を省略することが
でき密封をより完全にすることができる。

以下図面によつて好ましい実施例を説明する。
第１図は本考案の１例を示すＳ字型のロードセル
１０の全体図で１２はその起歪体１４は測定せん
とする負荷の力線とその着力点を示す。起歪体１
２の中央部に応力集中円形孔１６が明けられ負荷
にはこの中央起歪体１８の左右に応力が集中して
左右が平行して変位するように加えられるのでこ
のロードセルの第１図及び第１図の面に直角な第
２図の断面図で明らかなように第２図の応力集中
孔１６（符号は第１図参照）の中央に造られた凹
み２０内にゲージ２２′，２２″，２４′２４″を起
歪体１２の孔１６の表面の凹み２０に接着すれば
２２′，２４″及２４′２２″とは夫々対称の歪変位
を受けるので夫々のゲージを対辺とした電橋を作
れば感度よく負荷Ｆを検出することが可能とな
る。こうした円形孔の内部に歪ゲージ収納凹み２
０を置く構造は旋盤作業のみで安価に而も精確に
作ることができその凹み２０の両側の孔１６の内
径円筒面２６′，２６″に密に嵌合する薄肉円筒管
２８を引抜管などから安価精確に作製可能で凹み
内にゲージ２２′…２４″などを接着した後ゲージ
を損傷することなく円周面２６′，２６″内に円筒
２８８を圧入又は挿入が容易で挿入後その両側端
隅３０′，３０″で起歪体１２に溶接すれば歪ゲー
ジを置く凹み２０を密封でき、不活性ガスを保つ
ことが出来る。３２は歪ゲージ接続線を引き出す
ための導出孔で接続線引き出し後密封材で密封す
る。

以上の実施例では歪ゲージを収納する凹み２０
を円形孔の中間に置いたものである。こうした応
力集中部を円形貫通孔とし、中間に歪ゲージを収
納する凹を作りこれを密封するのに薄肉円筒管を
用いることは製作が安価で精確で密封が完全で而
もその端面での接合が容易で工業的効果が大き
い。

所が歪ゲージの生命である歪ゲージが起歪体１
２（応力集中円形孔１６の周面）と同様の歪を受
けるためには歪ゲージが完全に起歪体１２に一体
となる様接着されていることが重要で、即ち接着
状態が歪ゲージロードセルの生命となる。このゲ
ージの接着の為には接着剤とその接着処理が最も
重要で特に接着時ゲージ上の一様な加圧と加熱が
重要でこの一様な加圧と加熱とを円孔１６の中間
にある凹み内で行うのは困難否不可能に近い。そ
こで、この点を改良した第３図に示す他の実施例
では円形孔１６の凹み２０の何れかの片側（図面
では右方）をそのまゝ開放して段３４付きとすれ
ば開放端より歪ゲージを凹み２０の面上に加圧す
るための拡大用コレツトなどを用いることができ
接着を完全にすることができる。ゲージ接着後に
段３４と同一厚で適当な長さのリング３６を孔１
６の開放端に圧入すればリング３６と円形孔１６
の段３４の間にゲージを収納する凹み２０が形成
され而も凹み２０の両側は同一内径２６′，２
６″（第２図参照）の孔が形成され円形孔１６の
中間に凹み２０を形成したのと同様で前述の薄肉
円筒管２８を凹み２０の両側にて円形孔１６に密
に嵌合することができ、その後に起歪体１６とリ
ング３６との接合面３８と円筒管２８とリング３
６との接合面３０′とを夫々密封すれば凹み２０
は中間凹み２０の前例と同様に密封され而も歪ゲ
ージの接着は容易である。但しこの場合、溶着す
べき接合面３８が新に増すのでこれを防止するた
めリング３６と円筒管２８とを第４図に示すよう
に一体とした段付円筒管２８とすれば接合面３８
を省略可能で密封を更に確実にすることができ
る。

上述の例はＳ字型ロードセルの応力集中孔を円
形孔にする例を述べたがＳ字型に限らず応力集中
孔を円形孔に構成することのできる第５図の様な
リング又はループ型力計のゲージ接着面の密封な
どにも同様に広用することが可能であるのは勿論
で図中の番号は上例に対応する。

本考案は上述の様に旋造の容易な円形孔と蓋と
の組み合せにより歪ゲージの密封を可能に併も段
付き円筒孔とリング又は段付き蓋とによりゲージ
の生命たる接着をも容易にしたものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示すＳ字型ロード
セルの正面図、第２図は第１図の−線に沿う
断面図、第３図は他の実施例の要部断面図、第４
図は更に他の実施例の要部断面図、第５図はリン
グ又はループ変形を用いる力計等へ本考案を適用
した場合を示す別の実施例の正面図である。 図中、１０……ロードセルの全体図、１２……
起歪体、１４……負荷の力線、１６……応力集中
孔、１８……起歪部、２０……ゲージ収納凹み、
２２′，２２″……歪ゲージ、２４′，２４″……歪
ゲージ、２６′，２６″……円形孔表面、２８……
薄肉円筒管、３０′，３０″……接合部、３２……
ゲージ接続引き出し孔、３４……凹み段、３６…
…リング、３８……リング３６と起歪体１２の接
合面。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) ロードセルの起歪体の応力集中用の孔を貫通
   した円形孔とし、この円形孔の一部内面に凹み
   を形成し、この凹みに歪ゲージを接着して歪を
   検出する構造となすと共に、前記円形孔の内面
   と密に嵌合する薄肉円筒管を嵌挿し、この薄肉
   円筒管の両端と起歪体とを溶接又は接着により
   密封することを特徴とする歪ゲージの密封構
   造。 (2) 前記円形孔が大小２つの径からなる段付円形
   孔であり、前記凹みが大径部で形成され、前記
   薄肉円筒管が、外径が大径に等しくかつ内径が
   小径に等しい円筒環と、外径が小径に等しい薄
   い円筒管とからなる実用新案登録請求の範囲第
   １項に記載の歪ゲージの密封構造。 (3) 前記円筒環と前記薄い円筒管とが一体的に構
   成された実用新案登録請求の範囲第２項に記載
   の歪ゲージの密封構造。