JPS645143Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、建造物等の振動体の振動を、可動
質量の運動によつて制御する防振装置に関するも
のである。

一般に最近の建造物は、増々高層化する傾向に
あり、それに伴つてビル振動対策が一つの大きな
課題となつてきている。その対策の一つとして、
第１図に示すマスダンパーが考えられていた。こ
のマスダンパーは、振動体１に、バネ２、アクチ
ユエータ３を介して可動質量４ａを取付け、振動
体１の振動に対応した制御力をアクチユエータ３
から可動質量４ａに与え、この可動質量４ａを往
復運動させ振動体１の振動を減衰させるもので、
つぎのような運動方程式でその動作が表わされ
る。

M_sX¨_s＋C_sX〓_s＋K_sX_s ＋K_d（X_s−X_d）＝F_ex−F_c …(1) M_dX¨_d＋K_d（X_d−X_s）＝F_c …(2) なおここで、M_sは振動体１の質量、X_sは振動
体１の変位、C_sは振動体１の減衰定数、K_sは振
動体１のバネ定数、M_d，X_dはそれぞれ可動質量
４ａの質量、変位、F_exは外力、F_cは制御力であ
る。

上記のように従来の振動制御装置は、振動体１
の振動速度X〓_sに比例した制御力F_c＝C_nX〓_S（C_nは
ゲイン定数）をアクチユエータ３に発生させ、可
動質量４ａを振動体１の振動を止める向きに動か
し振動を減衰させている。

この従来の防振装置においては、可動質量４ａ
の質量M_dは通常振動体１の質量M_sの1/10〜1/10
０の質量のものを使用し、建造物に新らたに付加
する必要がある。又、制御力を発生するアクチユ
エータ３を駆動するための電力源は商用電源から
供給されており、可動質量４ａの取付スペースの
問題、地震等災害、事故等によつて引き起こされ
る商用電源の停電による機能停止等の欠点を有し
ていた。

この考案は、可動質量４ａとして、電気蓄電用
のバツテリを使用し、かつ、電力源は、上記バツ
テリから供給することにより、停電時等の機能停
止をなくした防振装置を提供しようとするもので
ある。

以下図面に従つて、この考案の一実施例を説明
する。

第２図は、この考案の防振装置を示す図で、３
は高層ビル等の振動体１に固定されたアクチユエ
ータで、可動コア５と固定コア６とよりなり、こ
の可動コア５の先端には可動質量の役目をなすバ
ツテリ４ｂが固定されている。このバツテリ４ｂ
は、バネ２によつて、振動体１と連結しており、
可動コア５の往復動に従つて、往復動するように
なつている。

７は振動体１の振動を検出する加速度計、８は
上記加速度計７の信号を受けて、アクチユエータ
３を駆動するための制御器であり、振動体１の振
動速度に比例した制御力をアクチユエータ３に発
生させるための信号を出力している。又、制御器
８の電力は、バツテリ４ｂから供給されている。

バツテリ４ｂは、通常は、商用電源９で充電さ
れており、充電されたバツテリ４ｂの電力は、制
御器８へ供給されるとともに、振動体１であるビ
ル等の非常用電源１０としても利用される。

以上のように、この考案によれば、振動体１の
振動を制振する機能は従来と同じであるが、可動
質量にバツテリ４ｂを使用し、バツテリ４ｂの電
力を制御器８に供給するとともに、振動体１であ
るビル等の非常用電源１０として利用することに
より、商用電源９の停電時にも、その機能を停止
することなく、かつ付加価値の高い防振装置が提
供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来のマスダンパーの振動モデル
図、第２図はこの考案による実施例を示す図であ
る。 図中１は振動体、３はアクチユエータ、４ｂは
バツテリ、７は加速度計、８は制御器、９は商用
電源である。なお、図中同一符号は同一、又は相
当部分を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 外力を受けて振動する振動体の振動を検知する
   手段と、この振動の大きさに比例した制御力をア
   クチユエータに発生し得る制御器と、上記アクチ
   ユエータにより往復動が与えられる可動質量とを
   備えた防振装置において、上記可動質量としてバ
   ツテリを使用し、バツテリの電力を制御器に供給
   する手段とバツテリを非常用電源として利用する
   手段とを有してなる防振装置。