JPS6446Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は苗箱から土付きのポツト苗を容易に取
出し得ると共に移植能率を高め得る経済的なポツ
ト苗用苗箱の改良、特に苗箱に収納する苗室ユニ
ツトの改良に関するものである。

現在、土付きのポツト苗を得るための苗箱とし
ては種々の形状のものが用いられているが、何れ
も苗箱の組立性や収納性、ポツト苗の取り出し性
について充分とは云えず、必ずしも満足できるも
のは得られていない。

例えば、多数の育苗ポツトあるいは水苗室を一
体に連設した極めて一般的な苗箱で育苗されたポ
ツト苗は、ポツトの上部開口部からこれを抜き取
る以外に方法がなく、茎や葉をもつて引き抜くか
さもなければポツト底部から押し出すことになる
が、周辺部の苗以外は押し出しは著しく困難であ
るし、引き抜きは苗を傷めたり、土部が崩れ易い
という欠点がある。

これに対し、一方、第５図にその１例を示して
いるが、苗箱全体１５を平板状の仕切壁１２によ
り短冊状の小室に区切り、この小室の底面を塞ぐ
ことのできる大きさに形成した底板１１の上面に
仕切板を並列に配設して苗台１３を構成し、この
苗台１３を上記小室に着脱自在に嵌挿することに
よりポツト苗Ｓを育苗するポツト苗室を形成する
方式が例えば特開昭58−53541号公報などにより
提案されている。

しかし、この方式は第５図に図示したように、
苗台単位で苗箱から苗を容易に取り出せる長所を
有する反面、苗箱全体１５が平板状の仕切壁１２
により短冊状の小室に区切られた専用の外箱を必
要とする問題を有する。

又、更に、上記方式とは別に、水稲育苗用に安
価で広く普及している略箱型の苗箱を転用する方
式が例えば特開昭58−40019号公報などによつて
開示されているが、この方式による場合は組立て
時に横倒し易い平板状の仕切板を苗台と交互に挿
入する手間を要する。

しかも、上記各例に見られる苗台の如く苗箱か
らとり出した状態では両側面が開放された構造は
横方向にも苗を取り出し易い反面、苗台の取り出
し時に不用意に持つと、ポツト苗が転び出し易い
難があり、又、両側面がないため、苗台の剛性が
小さくなり、苗室を変形させ易い欠点を免れず、
と云つて、剛性をもたせようとすれば苗台にリブ
を付けたり肉厚にする必要があり、全般的にコス
トが高くなる。

本考案は上述の如き実状に鑑み、それら従来の
苗箱の欠点を是正し、苗箱の組立性、収納性、ポ
ツト苗の取り出し性と共に経済性の向上を図るこ
とを目的とするものである。

即ち、本考案は上記目的に適合するポツト苗用
の苗室ユニツトを提供するもので、その特徴とす
るところは、上面と前面のみを開放せしめた略角
鉢状ポツト苗室の複数個を互いに隣接するポツト
苗室の左右の壁面をその上縁において仕切部を介
して連結し、前記ポツト苗室を横一列一体に苗室
ユニツトに連設形成すると共に、該苗室ユニツト
の背面壁に苗室ユニツトの複数のポツト苗室の開
放された前面を実質的に密閉可能な形状寸法から
なる略帯状の背後壁を前記背面壁の上部に連結し
て設けた苗室ユニツトの構成にある。

ここで、上記ユニツトで連設されるポツト苗室
は上面と前面のみが開放された略角鉢状をなすこ
とが必要であり、その数は特に制限はなく、任意
の数が選定可能であるが、要は移植作業など、取
り扱いに支障を生じない適切な数であればよい。

そして、上記複数のポツト苗室は、横一列、一
体的に連設され、ユニツトに形成されるが、互い
に隣接し連結される両ポツト苗室は左右両壁と仕
切部からなる縦断面∧型の二重壁状部によつて連
結される。しかし、この断面形状の連結で上下方
向の剛性が不足する場合には、仕切壁を肉厚の１
枚板とし、あるいは∧型下部を更に連結し、例え
ば縦断面Ａ型状とすることも好適な態様である。

又、前記複数のポツト苗室からなるユニツトは
その背面壁の背後に本考案において要部をなす背
後壁が略帯状をなして付設されるが、この背後壁
は苗室ユニツトに剛性を付与すると共に後述の苗
箱収納時並列された背後の苗室ユニツトの前面を
実質的に密閉し、仕切壁をも兼ねるものであり、
好ましい形態としてポツト苗室の背面壁に対し一
体をなして連結される。

従つて、前記苗室ユニツトの背面壁と帯状の背
後壁との連結部も二重壁状となつて通常、縦断面
略∧型をなしており、前記ポツト苗室の連結部と
同様、略Ａ型とする変形も可能である。又、背後
壁は各ポツト苗室の仕切部毎に上下方向の切込み
を入れることも考えられるが、上下方向に切込み
を入れることなしに下部に切れ目をもたない帯状
にして各苗室を連結するようにしておけば上下方
向の剛性確保に有効で、苗室ユニツトのユニツト
としての役割発揮に有利である。

なお、背後壁は前述の如く、ポツト苗室の前面
を密閉するものであり、従つて、その大きさは各
苗室の開放された前面が密封される形状、大きさ
であればよく、例えば曲面や階段状屈曲の如く段
のある帯状の密着面であつても何ら差支えない。

本考案苗室ユニツトは上記の如くポツト苗室を
複数個連設し一体化することによつて構成される
ことを基本形態とするが、この場合、苗室ユニツ
のポツト苗室は原則として一列であり、複数列で
は実質上、要求に応ずる形態とすることは困難で
ある。そのため、本考案にあつては横一列として
使用される。

しかして、このようにポツト苗室が一列であれ
ば前面開放のため苗の取り出しは頗る容易である
が、とりわけ苗室の底面に適当な大きさの開口部
あるいは底面の開放側縁部にＵ字状切欠部などを
設けることにより更に苗を上方に押し出し易くな
り好適である。勿論、この場合、開口部あるいは
切欠部の広さは広い程、広い断面積の押し出し具
が信用できるわけであるが、大きすぎると苗箱か
ら苗室ユニツトを取り出すときなどに土が崩れ易
くなるため実際には余り広くするのは好ましくな
い。従つて、苗室の断面積にもよるが、開口部あ
るいは切欠部は底面積の最大限2/3、より好まし
くは1/2以下が適切で、この程度では土崩れの恐
れも殆んどない。又、切欠部の代りに穴をあける
方式でも苗の押し上げは可能であるが、切欠部の
方が例えば手指で押し上げた時など、そのまま苗
室底面に遮られて持ち直すこともなしに苗を取り
出すことができ好ましい。殊に手指での押し上げ
の場合には開口部あるいは切欠部は手指の巾より
稍広い目の、例えば20mm位よりも広いものであれ
ば好都合である。

ところで、上記苗室ユニツトを構成する各ポツ
ト苗室であるが、前記の如き各連結構造を採用す
ることから背面壁および左右両壁の肉厚を下に稍
厚く、上に稍薄くすることなしに簡単にポツト苗
室を上部程、稍広くしてポツト苗を上方向へ取り
出し易い形状にすることができる。これは材料節
約上、有効である。又、略角鉢状の上記ポツト苗
室のコーナー部分は土残りすることがあるので、
このようなことのないよう、例えば適度の曲面形
状にすることも好ましく、更に底面に排水作用を
良好ならしめるべく、適当な位置に、適数の排水
孔を設けること、また苗室ユニツトの持ち上げの
便を図るため苗室ユニツトの上面両端部に持ち上
げ用の耳部を付けることも頗る有効である。

かくして、叙上のような背後壁、仕切部を有し
て形成された苗室ユニツトは空の場合相互に上下
方向にコンパクトに重ね合わせることができて製
造、輸送、保管のスペースとコストの節約により
農家にとつても収納が楽になるが、重ね合わせた
製品の共通の課題である重ねたものが密着して離
れなくなる現象を防止するために苗室ユニツトの
重ね合わせ面にスペーサー又はその役割を果す小
突起などを設けておくことも好ましい態様であ
る。

次に、上記本考案苗室ユニツトを利用し、これ
をポツト苗用苗箱として構成するにあたつては、
略箱型の水稲用苗箱等に前記苗室ユニツトを並列
し、背後壁をその背後に位置する苗室ユニツトの
前面開放部に当接し、該開放部を密閉状態として
組合わせることによつて従来の如き専用の外箱を
必要とすることなく容易に組み立てることができ
る。

以下、更に上記本考案苗室ユニツトの具体的な
実施例を添付図面を参照しつつ説明する。

第１図は本考案ユニツトの構成単位をなすポツ
ト苗室４の斜視図であり、前面３と上面が開放
し、左右の両壁面１，１と、背面壁８と、底面９
の各部分によつてポツト苗Ｓ収容可能に構成さ
れ、上方に漸次、拡がる縦断面逆台形形状の略角
鉢状となつている。

そして、第２図は上記第１図に示すポツト苗室
４を複数個、図では５個連設した図で、隣接する
ポツト苗室４の左右壁面１，１を利用し、その上
縁部において仕切部２を介して横一列一体に連設
されて作られており、隣接する両ポツト苗室４，
４の連結部２′はポツト苗室の両壁面と仕切部２
によつて断面∧型をなして連結されている。

なお、上記第１図、第２図では本考案ユニツト
における背後壁を省略しているが、第３図は該背
後壁を含め本考案苗室ユニツトの１例を示してい
る。

即ち、第３図においてイ図は本考案苗室ユニツ
トを正置し、ロ図は倒立させて場合であり、前記
第２図で示したように横一列一体に複数のポツト
苗室４が連結された苗室ユニツト５からなり、そ
の背面壁８の背後に背後壁６が前記背面壁８の上
辺に連結して背面壁８と、背後壁６とで出来る二
重壁部７の縦断面を略∧型に形成して略帯状で設
けられており、ポツト苗室４の底面には開放側縁
部の中央部にＵ字状の苗押し出し用の切欠部１０
が形成されている。

なお、ポツト苗室４の連結部分をなす二重壁部
２′及び背面壁８と背後壁６で形成される二重壁
部７の剛性より強化するため断面Ａ型としたり、
あるいは肉厚の１枚板を使用することは前述した
通りである。

第４図は前述の如き苗室ユニツトを並列、密接
し組立てる場合の態様であるが、普通、組立に用
いられる水稲用苗箱は省略されており、並列密着
された状態のみを示している。なお、同ユニツト
の手前端のポツト苗室は壁面を除いた状態であ
る。この図において、苗室ユニツト５に含まれる
各ポツト苗室４の開放された前面３にはその前方
側に密着させられる苗室ユニツト５の背後壁６が
密接し、開放前面３は実質的に背後壁６によつて
密閉されている。そして、この並列密着した状態
において水稲用苗箱の如き汎用苗箱内に収容され
て育苗されるのである。

図中、１１は排水孔、１０は丸孔で前記切欠部
と同様、押し上げ用の開口部を示し、排水孔１１
は開口部１０以外に不要であれば特に設けなくと
もよい。又、前記各図と同一符号は同一部分を示
す。

なお、上記図示例は最も基本的な実施例であ
り、本考案の要旨を逸脱しない範囲において種々
の改変が許されることは当然である。

本考案は以上の如く上面と前面を開放せしめた
略角鉢状のポツト苗室を構成単位としてその複数
を横一列一体に連設し、かつ背面壁背後に開放さ
れた前面を密閉するに足る形状寸法の背後壁を連
設せしめて構成せしめたものであるから、その苗
室ユニツトを略箱型の水稲用苗箱等に並列に密着
させて組み合わせるだけで容易に組立てができ、
苗箱全体が平板状の仕切壁により短冊状の小室に
区切られた専用の外箱を必要とすることがなく、
しかも帯状の背後壁がユニツトに一体に付設形成
されているため、組立時に倒れ易い平板状の仕切
板を交互に挿入する手間もなく、従来の方式に比
べて組立の手間が半減し、組立性を大巾に向上す
る。しかも、移植時に際しては苗箱から苗室ユニ
ツト単位で取り出せるので従来の多数の育苗ポツ
トを一体に連接したタイプの苗箱に比較し苗の取
り出し性は頗る良好であり、取り出し能率を増進
すると共に苗室ユニツトの各苗室は一列で、かつ
前面が開放されているので扱い易く苗も取り出し
易い。殊に苗室底面に取り出し用の開口部を設け
ておけば更に苗を上方に押し出し易くなり便利で
ある。

又、例えば特開昭56−61926号公報に示されて
いる両側面開放の苗台タイプに比較すると略帯状
の背後壁を有することにより本考案は苗室ユニツ
トを取り出し移植する際にも全体を背後壁へ心持
ち傾けて扱えば苗を不用意に転び出させることも
なく、更に背後壁などにより上下方向の剛性もよ
くなり苗室が変形を起し難く、全体を肉薄化する
ことが可能となり、コストダウンにもつながる顕
著な効果を有する。

更に、空のユニツトは相互に上下方向に重ね合
わせることによつて製造、輸送、保管のスペース
とコストの節約となり、又、収納にあたつても極
めて楽となり、実用的効果が期待される。

【図面の簡単な説明】

第１図イ，ロは本考案苗室ユニツトの構成単位
をなすポツト苗室の斜視図で、イはポツト苗室の
み、ロはポツト苗を収納して示す。第２図は前記
ポツト苗室を連結しユニツト化した状態の斜視
図、第３図イ，ロは本考案に係る苗室ユニツトの
１例を示す斜視図で、イは正置の場合、ロは倒立
させた場合である。又、第４図イ，ロは苗箱収納
時の苗室ユニツトを並例密着して組み合わせる状
態の斜視図で、イは組合せ前、ロは組合せ時の状
態を示す。更に第５図イは既知の苗室ユニツトの
１例を示す斜視図、第５図ロは同既知ユニツト収
納状態を示す斜視図である。 １……ポツト苗室の左右の壁面、２……仕切
部、２′……連結二重壁部、３……ポツト苗室の
開放前面、４……ポツト苗室、５……苗室ユニツ
ト、６……背後壁、７……連結二重壁部、８……
ポツト苗室の背面壁、９……ポツト苗室の底面、
１０……苗押し出し用開口部、１１……排水孔、
Ｓ……ポツト苗。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 上面と前面のみを開放せしめた略角鉢状ポツ
   ト苗室の複数個を互いに隣接するポツト苗室の
   左右の壁面をその上縁において仕切部を介して
   連結し、前記ポツト苗室を横一列一体の苗室ユ
   ニツトに連設形成すると共に、該苗室ユニツト
   の背面壁に、苗室ユニツトの複数のポツト苗室
   の開放された前面を実質的に密閉可能な形状寸
   法からなる略帯状の背後壁を前記背面壁の上部
   に連結して設けたことを特徴とするポツト苗用
   の苗室ユニツト。 ２ 略角鉢状のポツト苗室がその底面にポツト苗
   押し上げ用の開口部を有している実用新案登録
   請求の範囲第１項記載のポツト苗用の苗室ユニ
   ツト。 ３ 略角鉢状のポツト苗室が底面開放側にＵ字状
   の切欠部を有している実用新案登録請求の範囲
   第１項記載のポツト苗用の苗室ユニツト。 ４ ポツト苗室の背面壁と仕切部と、略帯状の背
   後壁とが縦断面∧型で、二重壁部を形成してい
   る実用新案登録請求の範囲第１項、第２項又は
   第３項記載のポツト苗用の苗室ユニツト。