JPS644491B2 - - Google Patents
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- JPS644491B2 JPS644491B2 JP56122210A JP12221081A JPS644491B2 JP S644491 B2 JPS644491 B2 JP S644491B2 JP 56122210 A JP56122210 A JP 56122210A JP 12221081 A JP12221081 A JP 12221081A JP S644491 B2 JPS644491 B2 JP S644491B2
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- Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
- Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Oxygen Or Sulfur (AREA)
- Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
Description
本発明は、抗生物質76−11物質を有効成分とし
て含有することを特徴とする抗コクシジウム剤に
関するものである。 コクシジウム症は、エイメリア(Eimeria)属
の原生動物の感染によつて起こる病気であり、家
禽類に、下痢及び栄養障害を起こさせて、ついに
は死に至らしめる伝染病である。 この原虫の一世代であるオーシスト(Oocyst)
は、家禽類の糞と共に排泄され、胞子形成を行
い、次々と伝染する。これらの種の内、特に有名
なものは、エイメリア・テネラ(E.tenella)、エ
イメリア・アケルブルナ(E.acervulina)、エイ
メリア・ネカトリクス(E.necatrix)、エイメリ
ア・ブルネツチ(E.brunetti)及びエイメリア・
マキシマ(E.maxima)等である。これらの感染
を受けたものは、その市場的価値が極めて低下す
る。従つて、コクシジウム症を予防することは、
産業上極めて重要なことである。 そのため、従来から多くの予防治療剤が提案さ
れ、又広範な研究がなされている。例えば、ヒ素
剤、ニトロフラン剤、ビスフエノール剤、サルフ
ア剤、サイアジン誘導体、キノリン誘導体、ピリ
ジン誘導体、グアニジン等が提案されているが、
いずれもその効果は充分ではなく、又これらに対
して、耐性を有する原虫が出現しており、新たな
有効薬剤の出現が待たれている。 そこで、本発明者らは、上記の趣旨に鑑み、家
禽類のコクシジウム症に対して有効な薬剤につき
鋭意開発研究を行つた結果、ノカルデイア
(Nocardia)属に属する微生物を培養して得られ
る新規抗生物質76−11物質(以下、「76−11物質」
と称する。)が、家禽類のコクシジウム症に対し
て極めて有効であることを見出し、本発明の抗コ
クシジウム剤を完成するに至つたものである。 以下に本発明を詳述する。 本発明の有効成分である76−11物質は、本発明
者らによつてはじめて開発された新規抗生物質で
あり、その製造法及び理化学的性質について以下
に説明する。 まず、前記76−11物質生産能を有する微生物
は、ノカルデイア属に属する新菌種であり、例え
ば、ノカルデイア・エスピー・76−11(Nocardia
sp.76−11)(以下、「76−11株」と称する。)と称
される微生物が前記の特性を有する新菌株として
76−11物質を有利に生産することができる。 又、前記76−11株の自然的及び人工的変異株は
勿論、ノカルデイア属に属する菌種で、76−11物
質生産能を有する微生物は、すべて使用すること
ができる。 前記76−11株は、島根県益田市の土壤試料中よ
り分離された微生物であつて、工業技術院微生物
工業技術研究所に昭和55年8月21日に寄託され、
その微生物受託番号は微工研菌寄第5678号であ
る。76−11株は次の菌学的性質を有する。 76−11株の各種培地上の性質は特許庁産業別審
査基準に従つて各種の培地を調製し、20〜30日後
に観察した。又以下の色調の記載に於て( )内
の記号はデイスクリプテイブ・カラー・ネーム・
デイクシヨナリー(D.C.N.D)の色名記号に従つ
た。 () 形態的特徴 76−11株は、オートミール寒天培地、マルト
エキス・イーストエキス寒天培地上に生育する
が他の培地上に於ては生育しないか、又は生育
が極めて悪いので、オートミール寒天培地、マ
ルトエキス・イーストエキス寒天培地及びオー
トミール3%の液体培地上の形態を観察した。
その結果は次の通りである。 (1) 基性菌糸 基生菌糸は寒天培地上及び液体培地上によ
く伸長し分岐する。長期間培養すると分断
し、楕円形の胞子を形成する。その大きさは
0.8〜1.2μ×1.5〜1.7μである。気菌糸は各種
培地上に於て形成しないが、オートミール寒
天培地上に於て33℃20日間以上培養すると白
色の気菌糸を薄く形成する事があるが届曲
し、紐状又は束状で分岐は少く胞子の形成は
見られない。 (2) 気菌糸 各種培地上に着生しないか僅かに、オート
ミール培地上に於て30日以上培養すると着生
する場合がある。その気菌糸の状態は不規則
に屈曲し、電子顕微鏡下においても胞子の形
成は観察されない。 () 菌体組成 本菌株をグルコース1%、イーストエキスト
ラクト1%、オートミール0.1%の培地で33℃
7日間振盪培養し菌体を集め洗浄し、菌体組成
の分析の資料とし、ジアミノピメリン酸及び糖
組成を検討した。前者に於てはメソ体のジアミ
ノピメリン酸が後者に於てはガラクトースの存
在が認められた。 () 各種培地上の性質 (1) シユークロース硝酸塩寒天培地 生育:極めて悪く、30日後の観察に於て、生
育が見られる。透明、表面の色は明るい小
麦色(2ea)である。裏面の色は明るい象
牙色(2ca)である。 気菌糸:着生しない。 可溶性色素:生成しない。 (2) グルコース・アスパラギン寒天培地 生育しない。 (3) グリセリン・アスパラギン寒天培地 生育しない。 (4) 無機塩・澱粉寒天培地 生育:極めて悪く、30日後の観察に於てわず
かに生育がみとめられる。明るい黄褐色
(3gc)、で裏面の色は黄褐色(3ie)を呈す
る。 気菌糸:養生しない。 可溶性色素:生成しない。 (5) チロシン寒天培地 生育:極めて悪く淡い黄色(3ca)を呈す
る。 裏面の色は明るい象牙色(2ca)であ
る。 気菌糸:着生しない。 可溶性色素:生成しない。 (6) 栄養寒天培地 生育:極めて悪く、30日後の観察で明るい象
牙色を呈する。裏面の色は明るい象牙色
(2ca)を呈する。 気菌糸:着生しない。 可溶性色素:生成しない。 (7) イースト・エキストラクト・マルトエキス
トラクト寒天培地 生育:良好、表面にしわのある硬い被膜状の
生育をし、表面の色は淡褐色(2ne)時に
青み(10ie)をおびてくる。裏面の色は淡
褐色(2ne)、時に青み(10ie)を帯びてく
る。 気菌糸:形成しないが時に長期間培養すると
僅かに白色の気菌糸が形成される事があ
る。 可溶性色素:生成しない。 (8) オートミール寒天培地 生育:良好で表面平滑、被膜状の生育が見ら
れ、表面の色は青藍色(10ie)裏面の色は
白色を経て青藍色(10ne)となる。 気菌糸:30日後の観察に於て、時に白色の気
菌糸を生成する。 可溶性色素:生成しない。 (9) ペプトン・イースト・鉄寒天培地 生育:生育しない。 (10) 脱脂粉乳(37℃) 生育:生育遅く、凝固、ペプトン化する。 (11) グルコース ペプトン・ゼラチン培地(20
℃) 生育:極めておそく液化がみられる。 () 生理的性質 (1) 生育温度:27℃〜37℃に亘つて生育するが
33℃〜37℃に於て最も良好な生育が見られ
る。 (2) ゼラチンの液化:液化する。 (3) 澱粉分解力:分解しない。 (4) 脱脂粉乳:凝固する。ペプトン化弱い。 (5) メラニン様色素の生成:生成しない。 (6) 抗酸性:抗酸性菌である。 () 各種炭素源の利用性 プリダハム糖試験培地(デイフコ製)に各種
の糖を添加して76−11株を培養したがいづれの
培地においても生育が見られなかつたのでプリ
ダハム糖試験培地に酵母エキス0.1%を添加し
て試験した。その結果を次に示す。 L−アラビノース D−キシロース D−グルコース D−フラクトース シユクロース I−イノシトール L−ラムノース ラフイノース マンニトール 無添加 ± :非常によく生産する。 :よく生育する。 :生産する。 ±:対照。 <76−11株の特徴> 上記の如く76−11株の菌株の特徴は次の通りで
ある。 (1) 形態 76−11株は、気菌糸を通常形成しない
が、長期間培養する事により僅かに形成する。
基生菌糸は屈曲し、培養後期に断裂し、楕円形
の細胞を形成する。菌糸はグラム陽性、抗酸性
がある。 (2) 各種培地上の性質 特許庁産業別審査基準にもとずく各種培地上
に於て、オートミール寒天培地、イーストエキ
ストラクト・マルトエキストラクト・寒天培地
以外の寒天培地上における生育は極めて悪いか
全く生育しない。 本菌はオートミール寒天培地上において最も
その特性をよく示し、培養3〜4週間で青藍色
の水に不溶性の菌体内色素を形成する。 (3) 生理的性質 33℃より37℃でよく生育し、ゼラチン液化は
弱く脱脂乳の凝固、ペプトン化陽性である。メ
ラニン色素は生成しない。 (4) 糖の利用性 プリダハムの糖試験培地にイーストエキス
0.1%を添加して試験した結果、L−アラビノ
ース、D−キシロース、D−グルコース、D−
フラクトース、シユークロース、I−イノシト
ール、L−ラムノース、ラフイノース、マンニ
トールの何れもよく利用した。 上記の如く76−11株は胞子及び菌糸の形態的特
徴、各種培地上の生育の特性及び細胞壁構成成分
より放線菌ノカルデイア属に属する菌種であると
考えられる。しかしながら、ワツクスマン著ザ・
アクチノミセス(1961)及びデターミネイテイ
ブ・バクテリオロジイ第8版に記載されているノ
カルデイア属に属する菌種の諸性質と76−11株の
それとを照合すると、76−11株の如く、オートミ
ール培地上に於て青紫色の菌体内色素を生産する
菌種は記載されていない。そこで76−11株はノカ
ルデイア属に属する一新菌種であると結論した。 次に、76−11物質を生産するに当つては、新抗
生物質76−11物質生産菌を、抗生物質を生産する
通常の方法で培養することができる。培養の形態
は、液体培養でも固体培養でもよく、工業的に有
利に培養するためには、前記生産菌の培養菌体又
は培養液を培地に接種し、通気撹拌培養を行えば
よい。 培地の栄養源としては特に限定されることはな
く、微生物の培養に通常用いられる炭素源、窒素
源その他を培地中に含有させることができる。炭
素源としては、澱粉、デキストリン、グリセリ
ン、グルコース、シユークロース、ガラクトー
ス、イノシトール、マンニトールなどが、また窒
素源としてはオートミール、酵母、ペプトン、大
豆粉、肉エキス、米ぬか、〓、尿素、コーンステ
イープリカー、アンモニウム塩、硝酸塩、その他
の有機または無機の窒素化合物が用いられる。そ
の他、無機塩類、たとえば、食塩、燐酸塩類、カ
リウム、カルシウム、亜鉛、マンガン、鉄等の金
属塩類等を適宜に添加してもよく、必要に応じて
消泡剤として、動、植、鉱物油等を添加してもよ
い。培養温度、培養時間等の培養条件は使用菌の
発育に適し、しかも76−11物質の生産が最高とな
るような条件が選ばれる。たとえば培地のPHは4
〜9、特に中性付近がよく、培養の適温は25゜−
35℃程度がよい。 しかし、これらの培養組成物、倍地の水素イオ
ン濃度、培養温度、撹拌条件などの培養条件は使
用する菌株の種類や、外部の条件などに応じて好
ましい結果が得られるように適宜調節されるべき
であることはいうまでもない。このようにして得
られる培養物から、76−11物質を得るには代謝産
物を採取するのに通常用いられる手段を適宜に利
用して採取し得る。たとえば、76−11物質と不純
物との溶解度差を利用する手段、吸着親和力の差
を利用する手段のいずれも、それぞれ単独で、ま
たは組合わせて、あるいは反復して使用される。
具体的には、76−11物質は培養液及び菌体に存
在するが、その有機溶剤への溶解性の性質を利用
して酢酸エチル、酢酸ブチル、クロロホルム、ブ
タノールなどを用いて培養液より抽出すること
ができる。菌体は含水アセトン又は含水メタノー
ルで抽出し減圧下に有機溶剤を留去し、残つた水
溶液より酢酸エチルその他を用いて抽出すること
ができる。両抽出液を合せ減圧下に濃縮すると、
76−11物質の粗抽出物が得られる。このものは多
量の不純物を含んでいるので、シリカゲル、アル
ミナ等の吸着クロマトグラフイーに付して、更に
精製する。例えば、シリカゲルのカラムをベンゼ
ンで調製しておき、これに前記粗抽出物を少量の
ベンゼンに溶かしたものを流し込む。引き続きベ
ンゼンで次いでベンゼン−酢酸エチルの混合溶剤
を用いて、順次酢酸エチルの含量を上げながら展
開溶出を行う。溶出液をフラクシヨンコレクター
にて一定量づつ分取する。生物活性を示すフラク
シヨンを集めて濃縮すると精製物粉末が得られ
る。更に精製を行うために、同様のシリカゲルク
ロマトグラフイーをくり返して行う。更に必要に
応じ調製用薄層クロマトグラフイーによつて精製
を行う。減圧濃縮により精製物を得、これをメタ
ノールの少量に溶解し、冷蔵することにより76−
11物質は無色の結晶として析出する。これを取
乾燥することによつて76−11物質の純品を得るこ
とができる。 かくして得られた76−11物質の理化学的性質お
よび生物学的性状は次のとおりである。 〔76−11物質の理化学的性質及び生物学的性状〕 (1) 元素分析値 遊離酸 炭素 62.61% 水素 8.27% 窒素 0% Na塩 炭素 60.57% 水素 8.04% 窒素 0% (2) 分子量 843(滴定当量による) 873(FDマススペクトルによる) (3) 融 点 遊離酸 108−112゜ Na塩 210−212゜(分解) (4) 比施光度 〔α〕25 D+36.6゜(C=0.382、クロロホルム) (5) 紫外線吸収スペクトル:極大値 メタノール及び塩酸々性メタノール中: λnax=217mμ(E1% 1cm303) 262mμ(E1% 1cm182) 301mμ(E1% 1cm68) アルカリ性メタノール中: λnax=260mμ(E1% 1cm87) 308mμ(E1% 1cm50) (6) 赤外線吸収スペクトル(臭化カリ錠剤中の主
な極大値) 遊離酸:3450、2960、1720、1640、1610、
1578、1446、1380、1315、1292、1250、
1209、1151、1100、1035、975、940 cm-1 Na塩:3390、2960、1718、1640、1609、1578、
1450、1380、1340、1316、1250、1197、
1152、1108、1092、1060、1040、1002、980、
930 cm-1 (7) 溶解性 ベンゼン、クロロホルム、酢酸エチル、アセ
トンに易溶、 メタノール、エタノール、ジメチルホルムア
ミドに可溶、水、ヘキサンに難溶。 (8) 呈色反応 過マンガン酸カリ溶液を脱色するが過沃素酸
−ベンジジン反応は陰性。 (9) 塩基性、中性、酸性の区別 酸性物質でpKa′は4.6(66.7%ジオキサン中) (10) 物質の色 無色結晶 (11) 抗菌活性 ブイヨン寒天培地を使用し最少発育阻止濃度
を求めた結果は次の通りである。
て含有することを特徴とする抗コクシジウム剤に
関するものである。 コクシジウム症は、エイメリア(Eimeria)属
の原生動物の感染によつて起こる病気であり、家
禽類に、下痢及び栄養障害を起こさせて、ついに
は死に至らしめる伝染病である。 この原虫の一世代であるオーシスト(Oocyst)
は、家禽類の糞と共に排泄され、胞子形成を行
い、次々と伝染する。これらの種の内、特に有名
なものは、エイメリア・テネラ(E.tenella)、エ
イメリア・アケルブルナ(E.acervulina)、エイ
メリア・ネカトリクス(E.necatrix)、エイメリ
ア・ブルネツチ(E.brunetti)及びエイメリア・
マキシマ(E.maxima)等である。これらの感染
を受けたものは、その市場的価値が極めて低下す
る。従つて、コクシジウム症を予防することは、
産業上極めて重要なことである。 そのため、従来から多くの予防治療剤が提案さ
れ、又広範な研究がなされている。例えば、ヒ素
剤、ニトロフラン剤、ビスフエノール剤、サルフ
ア剤、サイアジン誘導体、キノリン誘導体、ピリ
ジン誘導体、グアニジン等が提案されているが、
いずれもその効果は充分ではなく、又これらに対
して、耐性を有する原虫が出現しており、新たな
有効薬剤の出現が待たれている。 そこで、本発明者らは、上記の趣旨に鑑み、家
禽類のコクシジウム症に対して有効な薬剤につき
鋭意開発研究を行つた結果、ノカルデイア
(Nocardia)属に属する微生物を培養して得られ
る新規抗生物質76−11物質(以下、「76−11物質」
と称する。)が、家禽類のコクシジウム症に対し
て極めて有効であることを見出し、本発明の抗コ
クシジウム剤を完成するに至つたものである。 以下に本発明を詳述する。 本発明の有効成分である76−11物質は、本発明
者らによつてはじめて開発された新規抗生物質で
あり、その製造法及び理化学的性質について以下
に説明する。 まず、前記76−11物質生産能を有する微生物
は、ノカルデイア属に属する新菌種であり、例え
ば、ノカルデイア・エスピー・76−11(Nocardia
sp.76−11)(以下、「76−11株」と称する。)と称
される微生物が前記の特性を有する新菌株として
76−11物質を有利に生産することができる。 又、前記76−11株の自然的及び人工的変異株は
勿論、ノカルデイア属に属する菌種で、76−11物
質生産能を有する微生物は、すべて使用すること
ができる。 前記76−11株は、島根県益田市の土壤試料中よ
り分離された微生物であつて、工業技術院微生物
工業技術研究所に昭和55年8月21日に寄託され、
その微生物受託番号は微工研菌寄第5678号であ
る。76−11株は次の菌学的性質を有する。 76−11株の各種培地上の性質は特許庁産業別審
査基準に従つて各種の培地を調製し、20〜30日後
に観察した。又以下の色調の記載に於て( )内
の記号はデイスクリプテイブ・カラー・ネーム・
デイクシヨナリー(D.C.N.D)の色名記号に従つ
た。 () 形態的特徴 76−11株は、オートミール寒天培地、マルト
エキス・イーストエキス寒天培地上に生育する
が他の培地上に於ては生育しないか、又は生育
が極めて悪いので、オートミール寒天培地、マ
ルトエキス・イーストエキス寒天培地及びオー
トミール3%の液体培地上の形態を観察した。
その結果は次の通りである。 (1) 基性菌糸 基生菌糸は寒天培地上及び液体培地上によ
く伸長し分岐する。長期間培養すると分断
し、楕円形の胞子を形成する。その大きさは
0.8〜1.2μ×1.5〜1.7μである。気菌糸は各種
培地上に於て形成しないが、オートミール寒
天培地上に於て33℃20日間以上培養すると白
色の気菌糸を薄く形成する事があるが届曲
し、紐状又は束状で分岐は少く胞子の形成は
見られない。 (2) 気菌糸 各種培地上に着生しないか僅かに、オート
ミール培地上に於て30日以上培養すると着生
する場合がある。その気菌糸の状態は不規則
に屈曲し、電子顕微鏡下においても胞子の形
成は観察されない。 () 菌体組成 本菌株をグルコース1%、イーストエキスト
ラクト1%、オートミール0.1%の培地で33℃
7日間振盪培養し菌体を集め洗浄し、菌体組成
の分析の資料とし、ジアミノピメリン酸及び糖
組成を検討した。前者に於てはメソ体のジアミ
ノピメリン酸が後者に於てはガラクトースの存
在が認められた。 () 各種培地上の性質 (1) シユークロース硝酸塩寒天培地 生育:極めて悪く、30日後の観察に於て、生
育が見られる。透明、表面の色は明るい小
麦色(2ea)である。裏面の色は明るい象
牙色(2ca)である。 気菌糸:着生しない。 可溶性色素:生成しない。 (2) グルコース・アスパラギン寒天培地 生育しない。 (3) グリセリン・アスパラギン寒天培地 生育しない。 (4) 無機塩・澱粉寒天培地 生育:極めて悪く、30日後の観察に於てわず
かに生育がみとめられる。明るい黄褐色
(3gc)、で裏面の色は黄褐色(3ie)を呈す
る。 気菌糸:養生しない。 可溶性色素:生成しない。 (5) チロシン寒天培地 生育:極めて悪く淡い黄色(3ca)を呈す
る。 裏面の色は明るい象牙色(2ca)であ
る。 気菌糸:着生しない。 可溶性色素:生成しない。 (6) 栄養寒天培地 生育:極めて悪く、30日後の観察で明るい象
牙色を呈する。裏面の色は明るい象牙色
(2ca)を呈する。 気菌糸:着生しない。 可溶性色素:生成しない。 (7) イースト・エキストラクト・マルトエキス
トラクト寒天培地 生育:良好、表面にしわのある硬い被膜状の
生育をし、表面の色は淡褐色(2ne)時に
青み(10ie)をおびてくる。裏面の色は淡
褐色(2ne)、時に青み(10ie)を帯びてく
る。 気菌糸:形成しないが時に長期間培養すると
僅かに白色の気菌糸が形成される事があ
る。 可溶性色素:生成しない。 (8) オートミール寒天培地 生育:良好で表面平滑、被膜状の生育が見ら
れ、表面の色は青藍色(10ie)裏面の色は
白色を経て青藍色(10ne)となる。 気菌糸:30日後の観察に於て、時に白色の気
菌糸を生成する。 可溶性色素:生成しない。 (9) ペプトン・イースト・鉄寒天培地 生育:生育しない。 (10) 脱脂粉乳(37℃) 生育:生育遅く、凝固、ペプトン化する。 (11) グルコース ペプトン・ゼラチン培地(20
℃) 生育:極めておそく液化がみられる。 () 生理的性質 (1) 生育温度:27℃〜37℃に亘つて生育するが
33℃〜37℃に於て最も良好な生育が見られ
る。 (2) ゼラチンの液化:液化する。 (3) 澱粉分解力:分解しない。 (4) 脱脂粉乳:凝固する。ペプトン化弱い。 (5) メラニン様色素の生成:生成しない。 (6) 抗酸性:抗酸性菌である。 () 各種炭素源の利用性 プリダハム糖試験培地(デイフコ製)に各種
の糖を添加して76−11株を培養したがいづれの
培地においても生育が見られなかつたのでプリ
ダハム糖試験培地に酵母エキス0.1%を添加し
て試験した。その結果を次に示す。 L−アラビノース D−キシロース D−グルコース D−フラクトース シユクロース I−イノシトール L−ラムノース ラフイノース マンニトール 無添加 ± :非常によく生産する。 :よく生育する。 :生産する。 ±:対照。 <76−11株の特徴> 上記の如く76−11株の菌株の特徴は次の通りで
ある。 (1) 形態 76−11株は、気菌糸を通常形成しない
が、長期間培養する事により僅かに形成する。
基生菌糸は屈曲し、培養後期に断裂し、楕円形
の細胞を形成する。菌糸はグラム陽性、抗酸性
がある。 (2) 各種培地上の性質 特許庁産業別審査基準にもとずく各種培地上
に於て、オートミール寒天培地、イーストエキ
ストラクト・マルトエキストラクト・寒天培地
以外の寒天培地上における生育は極めて悪いか
全く生育しない。 本菌はオートミール寒天培地上において最も
その特性をよく示し、培養3〜4週間で青藍色
の水に不溶性の菌体内色素を形成する。 (3) 生理的性質 33℃より37℃でよく生育し、ゼラチン液化は
弱く脱脂乳の凝固、ペプトン化陽性である。メ
ラニン色素は生成しない。 (4) 糖の利用性 プリダハムの糖試験培地にイーストエキス
0.1%を添加して試験した結果、L−アラビノ
ース、D−キシロース、D−グルコース、D−
フラクトース、シユークロース、I−イノシト
ール、L−ラムノース、ラフイノース、マンニ
トールの何れもよく利用した。 上記の如く76−11株は胞子及び菌糸の形態的特
徴、各種培地上の生育の特性及び細胞壁構成成分
より放線菌ノカルデイア属に属する菌種であると
考えられる。しかしながら、ワツクスマン著ザ・
アクチノミセス(1961)及びデターミネイテイ
ブ・バクテリオロジイ第8版に記載されているノ
カルデイア属に属する菌種の諸性質と76−11株の
それとを照合すると、76−11株の如く、オートミ
ール培地上に於て青紫色の菌体内色素を生産する
菌種は記載されていない。そこで76−11株はノカ
ルデイア属に属する一新菌種であると結論した。 次に、76−11物質を生産するに当つては、新抗
生物質76−11物質生産菌を、抗生物質を生産する
通常の方法で培養することができる。培養の形態
は、液体培養でも固体培養でもよく、工業的に有
利に培養するためには、前記生産菌の培養菌体又
は培養液を培地に接種し、通気撹拌培養を行えば
よい。 培地の栄養源としては特に限定されることはな
く、微生物の培養に通常用いられる炭素源、窒素
源その他を培地中に含有させることができる。炭
素源としては、澱粉、デキストリン、グリセリ
ン、グルコース、シユークロース、ガラクトー
ス、イノシトール、マンニトールなどが、また窒
素源としてはオートミール、酵母、ペプトン、大
豆粉、肉エキス、米ぬか、〓、尿素、コーンステ
イープリカー、アンモニウム塩、硝酸塩、その他
の有機または無機の窒素化合物が用いられる。そ
の他、無機塩類、たとえば、食塩、燐酸塩類、カ
リウム、カルシウム、亜鉛、マンガン、鉄等の金
属塩類等を適宜に添加してもよく、必要に応じて
消泡剤として、動、植、鉱物油等を添加してもよ
い。培養温度、培養時間等の培養条件は使用菌の
発育に適し、しかも76−11物質の生産が最高とな
るような条件が選ばれる。たとえば培地のPHは4
〜9、特に中性付近がよく、培養の適温は25゜−
35℃程度がよい。 しかし、これらの培養組成物、倍地の水素イオ
ン濃度、培養温度、撹拌条件などの培養条件は使
用する菌株の種類や、外部の条件などに応じて好
ましい結果が得られるように適宜調節されるべき
であることはいうまでもない。このようにして得
られる培養物から、76−11物質を得るには代謝産
物を採取するのに通常用いられる手段を適宜に利
用して採取し得る。たとえば、76−11物質と不純
物との溶解度差を利用する手段、吸着親和力の差
を利用する手段のいずれも、それぞれ単独で、ま
たは組合わせて、あるいは反復して使用される。
具体的には、76−11物質は培養液及び菌体に存
在するが、その有機溶剤への溶解性の性質を利用
して酢酸エチル、酢酸ブチル、クロロホルム、ブ
タノールなどを用いて培養液より抽出すること
ができる。菌体は含水アセトン又は含水メタノー
ルで抽出し減圧下に有機溶剤を留去し、残つた水
溶液より酢酸エチルその他を用いて抽出すること
ができる。両抽出液を合せ減圧下に濃縮すると、
76−11物質の粗抽出物が得られる。このものは多
量の不純物を含んでいるので、シリカゲル、アル
ミナ等の吸着クロマトグラフイーに付して、更に
精製する。例えば、シリカゲルのカラムをベンゼ
ンで調製しておき、これに前記粗抽出物を少量の
ベンゼンに溶かしたものを流し込む。引き続きベ
ンゼンで次いでベンゼン−酢酸エチルの混合溶剤
を用いて、順次酢酸エチルの含量を上げながら展
開溶出を行う。溶出液をフラクシヨンコレクター
にて一定量づつ分取する。生物活性を示すフラク
シヨンを集めて濃縮すると精製物粉末が得られ
る。更に精製を行うために、同様のシリカゲルク
ロマトグラフイーをくり返して行う。更に必要に
応じ調製用薄層クロマトグラフイーによつて精製
を行う。減圧濃縮により精製物を得、これをメタ
ノールの少量に溶解し、冷蔵することにより76−
11物質は無色の結晶として析出する。これを取
乾燥することによつて76−11物質の純品を得るこ
とができる。 かくして得られた76−11物質の理化学的性質お
よび生物学的性状は次のとおりである。 〔76−11物質の理化学的性質及び生物学的性状〕 (1) 元素分析値 遊離酸 炭素 62.61% 水素 8.27% 窒素 0% Na塩 炭素 60.57% 水素 8.04% 窒素 0% (2) 分子量 843(滴定当量による) 873(FDマススペクトルによる) (3) 融 点 遊離酸 108−112゜ Na塩 210−212゜(分解) (4) 比施光度 〔α〕25 D+36.6゜(C=0.382、クロロホルム) (5) 紫外線吸収スペクトル:極大値 メタノール及び塩酸々性メタノール中: λnax=217mμ(E1% 1cm303) 262mμ(E1% 1cm182) 301mμ(E1% 1cm68) アルカリ性メタノール中: λnax=260mμ(E1% 1cm87) 308mμ(E1% 1cm50) (6) 赤外線吸収スペクトル(臭化カリ錠剤中の主
な極大値) 遊離酸:3450、2960、1720、1640、1610、
1578、1446、1380、1315、1292、1250、
1209、1151、1100、1035、975、940 cm-1 Na塩:3390、2960、1718、1640、1609、1578、
1450、1380、1340、1316、1250、1197、
1152、1108、1092、1060、1040、1002、980、
930 cm-1 (7) 溶解性 ベンゼン、クロロホルム、酢酸エチル、アセ
トンに易溶、 メタノール、エタノール、ジメチルホルムア
ミドに可溶、水、ヘキサンに難溶。 (8) 呈色反応 過マンガン酸カリ溶液を脱色するが過沃素酸
−ベンジジン反応は陰性。 (9) 塩基性、中性、酸性の区別 酸性物質でpKa′は4.6(66.7%ジオキサン中) (10) 物質の色 無色結晶 (11) 抗菌活性 ブイヨン寒天培地を使用し最少発育阻止濃度
を求めた結果は次の通りである。
【表】
(12) 腫瘍細胞に対する作用
1〜100mcg/mlの濃度でフレンド白血病細
胞及び骨髄性白血病細胞に対して分化誘導作用
を示した。 (13) マウスに対する毒性 CMC懸濁液をマウス復腔内投与したところ、
50、100、及び200mg/Kgの投与で毒性を示さな
かつた。 以上の76−11物質の理化学的性質及び生物学的
性状を既知の抗生物質と比較すると、酸性物質で
そのNa塩が脂溶性である点、グラム陽性菌及び
抗酸性菌に対して強い活性を示す点、又、その分
子組成に窒素を含まない等の諸点に於て、所謂ポ
リエーテル系イオノフオア抗生物質に分類される
と思われる。しかしながら前述の76−11物質の理
化学的性質、特に特徴ある紫外部吸収に一致する
物質は見当らず、76−11物質を新抗生物質と結論
した。 また上記76−11物質の構造式は下記のとおりで
あることが明らかにされ、「カチオノマイシン」
と命名された。 次に、76−11物質の製造方法の一例を参考例と
して以下に説明する。 参考例 オートミール3%、グリセリン1.5%、肉エキ
ス0.5%よりなる培地にあらかじめ斜面培養した
前記76−11株(微工研菌寄第5678号)を接種し、
28℃11日間振盪培養する。この培養液を3mlづつ
新たな同組成の培地に連醸し、更に7日間同条件
で振盪培養を行う。 この培養液140mlを、同一組成の培地18に接
種し、ジヤーフアーメンターを用いて210時間、
28℃で通気撹拌培養を行う。このときの通気量は
毎分18、撹拌回転数は330回転/分である。 培養終了後ラジオライト700を400g加え培養液
を遠心過する。液(14、PH7.8)を8及
び5の酢酸エチルを用いて二度抽出する。一
方、菌体はアセトン9、及び6を用いて二度
抽出する。抽出液を減圧濃縮して水溶液2を得
る。この水溶液(PH8)を酢酸エチル1で2回
抽出する。先の培養液よりの酢酸エチル抽出液
と合し、減圧濃縮する。残渣を少量のベンゼンに
溶かし、予めベンゼンで調製したシリカゲルカラ
ム(3cm径×50cm)にかける。ベンゼン2、ベ
ンゼン−酢酸エチル(5:1)1、ベンゼン−
酢酸エチル(1:1)1を用いて順次展開溶出
する。活性部分はベンゼン−酢酸エチル(1:
1)の溶出画分に現れるのでこの部分を集めて減
圧濃縮してメタノールを処理すると粗結晶約1g
が得られる。これをメタノールより数回再結晶し
て76−11物質Na塩の純結晶400mgを得る。 本発明の有効成分を、抗コクシジウム剤として
使用する場合は、そのまま直接投与するか、ある
いは飼料に添加して投与するのがよい。飼料とな
りうるものとしては、例えば、大麦粉、小麦粉、
裸麦粉、とうもろこし粉、大豆粉、大豆粕、菜種
粕、米ぬか、脱脂ぬか、馬れいしよ粉、かんしよ
粉、その他各種の澱粉類、とうふ粕、酵母、魚
粉、醗酵残留物等を挙げることができる。又、通
常用いられている飼料添加物、例えば各種ビタミ
ン類、ミネラル類、防腐剤、酵素製剤、たん白
質、炭水化物、アミノ酸類、解熱剤、鎮静剤、消
炎剤、殺菌剤などに配合して用いてもよい。 有効成分の配合割合は、家禽の種類、症状、週
令等により異なるが、約50〜200ppmが適当であ
る。 本発明は、後述の試験例に示される如く、家禽
類のコクシジウム症に対して極めて有効であり、
且つ毒性及び副作用を示さない優れた抗コクシジ
ウム剤を提供するものである。 以下、本発明を試験例によつて示すが、本発明
は、何らこれらに限定されるものではない。 試験例 (供試薬剤) 本試験例に用いた薬剤は、いずれも所定濃度と
なるよう抗コクシジウム剤無添加の幼すう用完全
配合飼料(オリエンタル酵母(株)製、成分は第1表
に示す。)に均等に混和し、オーシストの感染2
日前より試験終了日(感染8日後)まで自由給餌
で与えた。なお対照薬剤は、サリノマイシンを用
いた。 第1表 トウモロコシ 61.2% 小麦粉 5.13 白絞油 3.07 大豆ミール 15.4 フイツシユミール 10.3 ルーサンミール(牧草末) 3.07 炭酸カルシウム 0.3 食 塩 0.5 ビタミンミツクス 1.03 (供試ひな) 本試験例に使用したひなは、産卵鶏種(シエー
バー・スタークロス)の雄ひなで、コクシジウム
の感染を完全に防止して飼育した7日令(感染時
9日令)の健康なひなを、1群5羽ずつ用いた。 (接種オーシストと接種量) 感染に使用したオーシストは、エイメリア・テ
ネラの感受性株で、それぞれの接種量は、ひな1
羽あたり成熟オーシスト5×104個を金属ゾンデ
にて経口的に素のう内に接種した。 (効果の判定) 効果の判定は、ひなの相対増体率を、生存率、
オーシスト値及び腸管の病変値より抗コクシジウ
ム指数(ACI)を計算し、指数値による判定を行
つた。 抗コクシジウム指数(ACI)=(相対増体率+生
存率)−(オーシスト値+病変値) (1) 体重測定 体重は、投与開始時(−2日)、接種時、2、
4、5、6、7及び8日後に測定した。試験終
了時に、各試験群毎の増体量を求め、無感染無
投与対照群を100として相対増体率を求めた。 (2) オーシスト値 感染8日後に、腸管ホモジネートにより盲腸
内オーシストを数え、オーシスト値は下記の如
く定めた。
胞及び骨髄性白血病細胞に対して分化誘導作用
を示した。 (13) マウスに対する毒性 CMC懸濁液をマウス復腔内投与したところ、
50、100、及び200mg/Kgの投与で毒性を示さな
かつた。 以上の76−11物質の理化学的性質及び生物学的
性状を既知の抗生物質と比較すると、酸性物質で
そのNa塩が脂溶性である点、グラム陽性菌及び
抗酸性菌に対して強い活性を示す点、又、その分
子組成に窒素を含まない等の諸点に於て、所謂ポ
リエーテル系イオノフオア抗生物質に分類される
と思われる。しかしながら前述の76−11物質の理
化学的性質、特に特徴ある紫外部吸収に一致する
物質は見当らず、76−11物質を新抗生物質と結論
した。 また上記76−11物質の構造式は下記のとおりで
あることが明らかにされ、「カチオノマイシン」
と命名された。 次に、76−11物質の製造方法の一例を参考例と
して以下に説明する。 参考例 オートミール3%、グリセリン1.5%、肉エキ
ス0.5%よりなる培地にあらかじめ斜面培養した
前記76−11株(微工研菌寄第5678号)を接種し、
28℃11日間振盪培養する。この培養液を3mlづつ
新たな同組成の培地に連醸し、更に7日間同条件
で振盪培養を行う。 この培養液140mlを、同一組成の培地18に接
種し、ジヤーフアーメンターを用いて210時間、
28℃で通気撹拌培養を行う。このときの通気量は
毎分18、撹拌回転数は330回転/分である。 培養終了後ラジオライト700を400g加え培養液
を遠心過する。液(14、PH7.8)を8及
び5の酢酸エチルを用いて二度抽出する。一
方、菌体はアセトン9、及び6を用いて二度
抽出する。抽出液を減圧濃縮して水溶液2を得
る。この水溶液(PH8)を酢酸エチル1で2回
抽出する。先の培養液よりの酢酸エチル抽出液
と合し、減圧濃縮する。残渣を少量のベンゼンに
溶かし、予めベンゼンで調製したシリカゲルカラ
ム(3cm径×50cm)にかける。ベンゼン2、ベ
ンゼン−酢酸エチル(5:1)1、ベンゼン−
酢酸エチル(1:1)1を用いて順次展開溶出
する。活性部分はベンゼン−酢酸エチル(1:
1)の溶出画分に現れるのでこの部分を集めて減
圧濃縮してメタノールを処理すると粗結晶約1g
が得られる。これをメタノールより数回再結晶し
て76−11物質Na塩の純結晶400mgを得る。 本発明の有効成分を、抗コクシジウム剤として
使用する場合は、そのまま直接投与するか、ある
いは飼料に添加して投与するのがよい。飼料とな
りうるものとしては、例えば、大麦粉、小麦粉、
裸麦粉、とうもろこし粉、大豆粉、大豆粕、菜種
粕、米ぬか、脱脂ぬか、馬れいしよ粉、かんしよ
粉、その他各種の澱粉類、とうふ粕、酵母、魚
粉、醗酵残留物等を挙げることができる。又、通
常用いられている飼料添加物、例えば各種ビタミ
ン類、ミネラル類、防腐剤、酵素製剤、たん白
質、炭水化物、アミノ酸類、解熱剤、鎮静剤、消
炎剤、殺菌剤などに配合して用いてもよい。 有効成分の配合割合は、家禽の種類、症状、週
令等により異なるが、約50〜200ppmが適当であ
る。 本発明は、後述の試験例に示される如く、家禽
類のコクシジウム症に対して極めて有効であり、
且つ毒性及び副作用を示さない優れた抗コクシジ
ウム剤を提供するものである。 以下、本発明を試験例によつて示すが、本発明
は、何らこれらに限定されるものではない。 試験例 (供試薬剤) 本試験例に用いた薬剤は、いずれも所定濃度と
なるよう抗コクシジウム剤無添加の幼すう用完全
配合飼料(オリエンタル酵母(株)製、成分は第1表
に示す。)に均等に混和し、オーシストの感染2
日前より試験終了日(感染8日後)まで自由給餌
で与えた。なお対照薬剤は、サリノマイシンを用
いた。 第1表 トウモロコシ 61.2% 小麦粉 5.13 白絞油 3.07 大豆ミール 15.4 フイツシユミール 10.3 ルーサンミール(牧草末) 3.07 炭酸カルシウム 0.3 食 塩 0.5 ビタミンミツクス 1.03 (供試ひな) 本試験例に使用したひなは、産卵鶏種(シエー
バー・スタークロス)の雄ひなで、コクシジウム
の感染を完全に防止して飼育した7日令(感染時
9日令)の健康なひなを、1群5羽ずつ用いた。 (接種オーシストと接種量) 感染に使用したオーシストは、エイメリア・テ
ネラの感受性株で、それぞれの接種量は、ひな1
羽あたり成熟オーシスト5×104個を金属ゾンデ
にて経口的に素のう内に接種した。 (効果の判定) 効果の判定は、ひなの相対増体率を、生存率、
オーシスト値及び腸管の病変値より抗コクシジウ
ム指数(ACI)を計算し、指数値による判定を行
つた。 抗コクシジウム指数(ACI)=(相対増体率+生
存率)−(オーシスト値+病変値) (1) 体重測定 体重は、投与開始時(−2日)、接種時、2、
4、5、6、7及び8日後に測定した。試験終
了時に、各試験群毎の増体量を求め、無感染無
投与対照群を100として相対増体率を求めた。 (2) オーシスト値 感染8日後に、腸管ホモジネートにより盲腸
内オーシストを数え、オーシスト値は下記の如
く定めた。
【表】
(3) 腸管病変度
ひなは試験終了時(感染8日後)に解剖し
て、腸管を肉眼的に精査して病変度を判定し
た。なお、病変度は次の如く定め、病変値は、
平均病変度の値を10倍した値とした。 0、(−)…盲腸は全く正常。出血斑があれば
+とする。 1、(+)…盲腸の形は正常。内容物はやや流
動性を帯び色も黄色がかる。盲腸粘膜は部分
的に軽度の腫張があり白つぽくなる。 2、()…盲腸の形はほぼ正常。粘膜の腫張
は全面にみられる。内容に出血はなく、粘液
は黄色みをおび褪色している。粘膜内には少
数の白色点状壊死巣や出血斑が見られる。 3、()…盲腸の萎縮・変形は明瞭で直腸よ
りもやや長い適程度となる。正常な内容物は
全くなく、凝血または灰白色チーズ状の変性
物が充満していることが多い。盲腸壁の肥厚
は顕著でもろくなり、点状出血斑がまだ残つ
ていることもある。病変は盲腸基部にまで達
するが直腸にまで達しない。 4、()…盲腸の萎縮、変形は顕著。一般
にソーセージ状を呈し、その長さは直腸と同
じかまたは短かくなつている。病変は直腸の
1/3〜1/4位の所にまで達する。その他は(3)と
同様である。 (4) 飼料要求率 各試験群毎に投与開始時から試験終了時まで
10日間の飼料摂取量を求め、該摂取量と平均増
体量より飼料要求率を算出した。 飼料要求率=飼料摂取量/増体量 これらの試験結果を第2表、第3表に示す。
て、腸管を肉眼的に精査して病変度を判定し
た。なお、病変度は次の如く定め、病変値は、
平均病変度の値を10倍した値とした。 0、(−)…盲腸は全く正常。出血斑があれば
+とする。 1、(+)…盲腸の形は正常。内容物はやや流
動性を帯び色も黄色がかる。盲腸粘膜は部分
的に軽度の腫張があり白つぽくなる。 2、()…盲腸の形はほぼ正常。粘膜の腫張
は全面にみられる。内容に出血はなく、粘液
は黄色みをおび褪色している。粘膜内には少
数の白色点状壊死巣や出血斑が見られる。 3、()…盲腸の萎縮・変形は明瞭で直腸よ
りもやや長い適程度となる。正常な内容物は
全くなく、凝血または灰白色チーズ状の変性
物が充満していることが多い。盲腸壁の肥厚
は顕著でもろくなり、点状出血斑がまだ残つ
ていることもある。病変は盲腸基部にまで達
するが直腸にまで達しない。 4、()…盲腸の萎縮、変形は顕著。一般
にソーセージ状を呈し、その長さは直腸と同
じかまたは短かくなつている。病変は直腸の
1/3〜1/4位の所にまで達する。その他は(3)と
同様である。 (4) 飼料要求率 各試験群毎に投与開始時から試験終了時まで
10日間の飼料摂取量を求め、該摂取量と平均増
体量より飼料要求率を算出した。 飼料要求率=飼料摂取量/増体量 これらの試験結果を第2表、第3表に示す。
【表】
【表】
〔考察〕
本薬剤は、感染無投薬対照群に比べて、血便、
盲腸病変及び検出オーシスト数とも著しい改善効
果が認められた。 又、本薬剤投与によれば、感染後も急性コクシ
ジウムの症状は全く発現せず、エイメリア・テネ
ラのオーシストの発育は、顕著に抑制されている
ことが認められ、本発明の薬剤は、抗コクシジウ
ム剤として極めて有効であることが分つた。
盲腸病変及び検出オーシスト数とも著しい改善効
果が認められた。 又、本薬剤投与によれば、感染後も急性コクシ
ジウムの症状は全く発現せず、エイメリア・テネ
ラのオーシストの発育は、顕著に抑制されている
ことが認められ、本発明の薬剤は、抗コクシジウ
ム剤として極めて有効であることが分つた。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 下記の式で表される化合物を有効成分として
含有することを特徴とする抗コクシジウム剤。
Priority Applications (12)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP56122210A JPS5823627A (ja) | 1981-08-04 | 1981-08-04 | 抗コクシジウム剤 |
| CA000397741A CA1183789A (en) | 1981-08-04 | 1982-03-05 | Antibiotic 76-11, process for the production thereof, anticoccidiosis agent and domestic animals growth accelerator comprising the same as an effective ingredient |
| AU85563/82A AU552328B2 (en) | 1981-08-04 | 1982-07-02 | Antibiotic 76-11 |
| NZ201243A NZ201243A (en) | 1981-08-04 | 1982-07-12 | Anti-coccidiosis composition and animal feed composition containing antibiotic 76-11 |
| PL1982237754A PL131791B1 (en) | 1981-08-04 | 1982-08-03 | Process for preparing novel antibiotic |
| SU823478751A SU1276248A3 (ru) | 1981-08-04 | 1982-08-03 | Способ получени антибиотика 76- @ |
| EP82107017A EP0071970B1 (en) | 1981-08-04 | 1982-08-03 | Novel antibiotic 76-11, process for the production thereof, anticoccidiosis agent and domestic animals growth accelerator comprising the same as an effective ingredient |
| AT82107017T ATE14319T1 (de) | 1981-08-04 | 1982-08-03 | Antibiotikum 76-11, verfahren zu dessen herstellung, anticoccidiosismittel und wachstumsbeschleunigungsmittel fuer haustiere dieses als wirksamen bestandteil enthaltend. |
| HU822498A HU190809B (en) | 1981-08-04 | 1982-08-03 | Process for preparing new antibiotic 76-11 |
| DE8282107017T DE3264771D1 (en) | 1981-08-04 | 1982-08-03 | Novel antibiotic 76-11, process for the production thereof, anticoccidiosis agent and domestic animals growth accelerator comprising the same as an effective ingredient |
| IL67797A IL67797A (en) | 1981-08-04 | 1983-01-31 | Antibiotic 76-11,its production and veterinary compositions and feeds containing it |
| US06/502,533 US4517178A (en) | 1981-08-04 | 1983-06-13 | Novel antibiotic 76-11, process for the production thereof, anticoccidiosis agent and domestic animals growth accelerator comprising the same as an effective ingredient |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP56122210A JPS5823627A (ja) | 1981-08-04 | 1981-08-04 | 抗コクシジウム剤 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS5823627A JPS5823627A (ja) | 1983-02-12 |
| JPS644491B2 true JPS644491B2 (ja) | 1989-01-25 |
Family
ID=14830271
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP56122210A Granted JPS5823627A (ja) | 1981-08-04 | 1981-08-04 | 抗コクシジウム剤 |
Country Status (3)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS5823627A (ja) |
| IL (1) | IL67797A (ja) |
| SU (1) | SU1276248A3 (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS58107141A (ja) * | 1981-12-22 | 1983-06-25 | Rikagaku Kenkyusho | 家畜の発育促進・飼料効率改善剤 |
-
1981
- 1981-08-04 JP JP56122210A patent/JPS5823627A/ja active Granted
-
1982
- 1982-08-03 SU SU823478751A patent/SU1276248A3/ru active
-
1983
- 1983-01-31 IL IL67797A patent/IL67797A/xx unknown
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| SU1276248A3 (ru) | 1986-12-07 |
| IL67797A (en) | 1986-12-31 |
| JPS5823627A (ja) | 1983-02-12 |
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|---|---|---|
| JPS6215560B2 (ja) | ||
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