JPS642638B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明はラベル・シール用、テープ用、建材
用、包装材料用などに使用される感圧性接着剤
で、物体面に貼着した後、経時とともに接着強度
が著るしく増す性能を有する新規の感圧性接着剤
組成物に関するものである。 従来、感圧性接着剤の成分としては天然ゴム、
合成ゴム等の弾性体またはアクリル酸エステル系
の合成樹脂が使われ、これら感圧性接着剤を支侍
体面に形成してなる接着ラベル・シート、および
テープ類は常温において指圧程度の圧力で物体面
に接着が容易であるため各種用途に幅広く普及さ
れている。 しかし、これら一般の感圧性接着剤は、貼着し
てから固化するまで、接着強度の上昇性に乏し
く、工業用分野への進出が難かしかつた。つま
り、近年、感圧性接着剤は工業用分野への進出が
目ざましい折から、屋外など比較的苛酷な条件下
で使用される場合が多くなつている。例えば、道
路標識、保安標識、表示用ラベル・シールなどで
ある。これらは接着剤層に連続して各種の応力が
負荷されたりした場合に接着剤層内部で流動が起
こり、物体面から剥離、脱落してはならず、故意
に剥奪されてはいけないものが多い。通常の感圧
性接着剤では貼着してから固化するまでの接着強
度の上昇が1.5倍〜２倍程度であり、この強度で
は剥離・脱落・剥奪などの事故は防止できない場
合が多い。 本発明者等は、従来の感圧性接着剤の欠陥を改
良すべく鋭意研究の結果、アクリル酸エステルを
単量体主成分とする重合体に塩化ビニリデン系樹
脂を配合することにより、貼着してから固化する
までの接着強度が３〜５倍まで上昇させることが
出来ることを見い出したものである。 しかも、本発明の感圧性接着剤組成物は、加
熱、加圧などを必要とせず、通常の感圧性接着剤
のラベル・シールやテープ類如きと同様に簡単、
且つ容易に物体面への貼着が可能である。また、
貼着ミスによる貼直し作業も出来る。特に耐熱
性、耐候性に優れるアクリル酸エステル系重合体
の感圧性接着剤にかゝる性能を保有せしめること
はより広範囲な要求を可能にする。 本発明に係わるアクリル酸エステルを単量体主
成分とする重合体（以下、アクリル酸エステル系
重合体と称す）は粘着と接着の基本的性質を与え
るもので、用いられるアクリル酸エステルのアル
キル基には炭素数４〜14を有するものが、好適で
ある。特に有利なものは、アクリル酸２−エチル
ヘキシルで、他にアクリル酸ブチル、アクリル酸
ヘキシル、アクリル酸オクチルなどが用いられ
る。その他のアクリル酸エステルとしてはアクリ
ル酸メチル、アクリル酸エチル等である。 アクリル酸エステル系重合体は通常アクリル酸
エステルの他に、共重合する単量体が用いられ
る。酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニル
エステルは主に凝集力を付与させる上で好ましい
単量体である。 他に共重合する単量体としてメタクリル酸メチ
ル、酪酸ビニール、アクリロニトリル、アクリル
酸アミド、スチレン、マレイン酸ジブチル、フマ
ル酸ジブチルなども併用して差支えない。またア
クリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸などの
カルボキシル基含有重合性単量体を少量共重合す
ると接着性と凝集力を向上することが出来るた
め、好適である。 その他、アクリル酸２−ヒドロキシエチル等の
水酸基を有する重合性単量体を用いてもよい。 カルボキシル基、水酸基等の官能基を有する単
量体をアクリル酸エステルと共重合して得られた
アクリル酸エステル系重合体に対してはイソシア
ネート化合物を併用することにより比較的苛酷な
条件下で使用される工業分野での利用をより可能
ならしめることが出来る。但し、イソシアネート
化合物の添加量が余りに多いと塩化ビニリデン系
樹脂による経時接着力上昇の機能が得られにくく
なるため注意が必要であるが、通常、アクリル酸
エステル系重合体100重量部に対して１〜10重量
部程度である。 本発明に係わる塩化ビニリデン系樹脂としては
通常塩化ビニリデンと塩化ビニルとの共重合体で
あり、重合度が400前後のものが望ましい。一部
酢酸ビニルを共重合させたものでもよく、著るし
い接着強度の上昇を示す。その他の塩化ビニリデ
ン系樹脂も使用出来る。 本発明の感圧性接着剤組成物はアクリル酸エス
テル系重合体100重量部に対して塩化ビニリデン
系樹脂の添加量は５〜100重量部の範囲で使用さ
れ、５重量部未満であると実質的に添加の効果が
得られず、100重量部を超えると感圧性接着剤と
して必要な粘着性および低温適性を劣化せしめる
から好ましくない。 本発明の感圧性接着剤組成物には一般の粘着付
与剤を併用することも出来る。粘着付与剤として
は融点70℃以上の反応型もしくは非反応型の樹脂
が貼着後の接着力の上昇機能がより一層の効果を
期待できるため好ましい。例えば、フエノール樹
脂、フエノール変性樹脂、エポキシ樹脂、ロジ
ン、ロジン変性樹脂等である。粘着付与剤の添加
量はアクリル酸エステル系重合体100重量部に対
し１〜50重量部が好ましく、50重量部を超えると
感圧性接着剤として必要な粘着性を劣化せしめる
ため好ましくない。 その他、感圧性接着剤に用いられる添加剤を併
用することも出来る。 次に本発明を実施例をもつてより具体的に説明
する。なお、例中「部」とあるのは重量部を示
す。 実施例 １ 下記単量体比にて溶液重合したアクリル酸エス
テル系重合体100部にジイソシアネート系架橋剤
（（コロネートＬ（日本ポリウレタン工業社製））３
部を添加し、組成物を得た。 アクリル酸２−エチルヘキシル 100部 酢酸ビニル 16部 アクリル酸 ３部 ベンゾイルパーオキサイド １部 酢酸エチル 180部 この組成物100部に塩化ビニリデン系樹脂（呉
羽化学社製、商品名クレハロンSO−Ａ）20部添
加して経日接着力上昇性を有する感圧性接着剤組
成物を得た。この感圧性接着剤組成物を厚さ
0.025mmのポリエステルフイルムに塗布し、100℃
−２分間加熱乾燥して試料片を得た。 この試料片を280番磨ステンレス鋼板に貼合わ
せ、JIS法に準じてロール圧締し、シヨパー型剥
離試験機にて180度剥離強度を測定した。測定結
果を下記の表に示す。 実施例 ２ 下記モノマー比にて溶液重合したアクリル酸エ
ステル系重合体100部にジイソシアネート系架橋
剤（コロネートＬ）３部を添加し、組成物を得
た。 アクリル酸２−エチルヘキシル 100部 アクリル酸ｎ−ブチル ９部 アクリル酸 ７部 ベンゾイルパーオキサイド 0.6部 酢酸エチル 175部 この組成物100部に塩化ビニリデン系樹脂（ク
レハロンSO−Ａ）を820部添加して、経日接着上
昇性が極めて良好な感圧性接着剤組成物を得た。 以下、実施例１と同様に操作して試料片を作成
し、経日に対する接着力を測定した。測定結果を
表に示す。 実施例 ３ 下記モノマー比にて溶液重合したアクリル酸エ
ステル系重合体100部とジイソシアネート系架橋
剤（コロネートＬ）３部を主体とする感圧性接着
組成物を得た。 アクリル酸ｎ−ブチル 100部 酢酸ビニール ８部 アクリル酸 ７部 ベンゾイルパーオキサイド 0.6部 酢酸エチル 170部 この組成物100部に塩化ビニリデン系樹脂（ク
レハロンSO−Ａ）20部添加して、経日接着上昇
性の極めて良好な感圧性接着剤組成物を得た。以
下、実施例１と同様に操作して試料片を作成し、
経日に対する接着力を測定した。測定結果を表に
示す。 実施例 ４ 実施例２の感圧性接着剤組成物100部に、更に
粘着付与樹脂（安原油脂社製フエノール変性樹
脂、商品名YSポリスター2130）を５部添加して
経日接着上昇性の極めて優れた感圧性接着剤組成
物を得た。以下実施例１と同様に操作して、試料
片を作成し、経日に対する接着力を測定した。測
定結果を表に示す。 比較例 １〜４ 実施例１〜４で得た溶液重合したアクリル酸エ
ステル系重合体100部とジイソシアネート系架橋
剤（コロネートＬ）３部を主体とし、塩化ビニリ
デン系樹脂を含まないそれぞれの感圧性接着剤組
成物にて比較を行なつた。その測定結果を表に示
す。

【表】 上記実施例および比較例からも明らかな如く、
本発明の感圧性接着剤組成物は塩化ビニリデン系
樹脂を添加することによつて、貼着後の接着力の
上昇機能が従来のアクリル酸エステル系樹脂感圧
性接着剤よりも、顕著である。粘着付与樹脂の添
加によつてもより一層の効果を得ることも顕著で
ある。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ アクリル酸エステルを単量体主成分とする重
   合体100重量部および塩化ビニリデン系樹脂５〜
   100重量部からなることを特徴とする感圧性接着
   剤組成物。 ２ アクリル酸エステルと官能基を有する重合性
   単量体との重合体を用いる特許請求の範囲第１項
   記載の感圧性接着剤組成物。 ３ 更に粘着付与剤１〜50重量部添加してなる特
   許請求の範囲第１項もしくは第２項記載の感圧性
   接着剤組成物。 ４ 粘着付与剤がフエノール樹脂およびフエノー
   ル変性樹脂から選ばれる１種である特許請求の範
   囲第３項記載の感圧性接着剤組成物。