JPS6398380A - 組織培養方法及びこれに使用するキヤツプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はらん、茸菌類、野菜、鑑賞孔等の園芸植物の組
織培養に使用する組織培養方法及びこれに使用する培養
容器のキャンプに関する。

〔従来の技術〕

植物体の器官や組織、細胞を植物体から分離して、適当
な培養条件下で無菌的に培養し、植物体として完全な機
能をもつ固体を再生させる、いわゆる組織培養にあって
は、無菌条件が維持されることを要する。同時に植物は
呼吸及び炭酸同化作用を行うため、酸素及び炭酸ガスの
供給、排除が必要であり、これら気体の通過に伴い細菌
を混入させないための種々の方法が提案されている。

更に、細菌の侵入を排除しながら通気性を確保しても、
長期間培養を続けると培地が乾燥し好ましい結果が得ら
れないことがあった。

培養容器としては、三角フラスコ、試験管、ビーカー等
も使用されている。これらの容器口は従来、繊維を固め
た綿栓、アルミ箔を被せ容器口からはみ出した部分を手
でひねってしわを作りながら閉じるいわゆるアルミキャ
ップが使用されていた。これは容器口周辺部に曲がりく
ねった隘路からなる外気と容器内部との通路を形成し、
この隘路を空気が通過するとき細菌が隘路にどどまって
細菌による汚染を防止するものである。

又、嵌合蓋も使用されているが、この場合はパツキンを
使用せず、必然的に残る蓋と容器間の間隙を外気が下か
ら上に流通するとき細菌が下から上には移動しがたいこ
とを利用して無菌に保っている。

これら従来の方法は培地の乾燥を防ぎ、細菌の侵入を防
ぐことを第一義的に考えているために、通気性に対する
配慮が消極的で、植物の光合成及び呼吸に充分な通気性
が確保されていなかった。

そこで、本発明者は特公昭５Ｂ−１１７１７号公報にお
いて、多孔性シートを貼着した通気性キャップシートを
開示した。

〔発明が解決しようとする問題点〕

植物を早（成長させるためには光合成に充分な二酸化炭
素の供給が必須であるが、充分な通気性を付与すると細
菌により汚染され、あるいは培地が乾燥し望ましい結果
を得難いため、通気性を制限することにより無菌状態を
維持する傾向があった。更に細菌汚染を防ぐため、フィ
ルターを通過した無菌空気を供給するクリーンルーム内
で培養することが必須要件であった。したがって、鉢へ
移植適期の大苗に成長するまで長期間クリーンルーム内
で育成する必要があった。

そこで、育成に充分な通気性を付与し、しかも培地の乾
燥及び細菌混入のおそれがなく、クリーンルームの使用
を極力排除できる組織培養手段が求められていた。

〔問題解決の手段〕

本発明は上記問題を解決することを目的とし、その構成
は、培養容器口を耐熱性ゴムキャップにより常に圧着す
ることにより容器口周辺部からの空気の流入を排除し、
ゴムキャップ上面にキャップ開口部を穿設し、該キャッ
プ開口部に直接または間接に微多孔性フィルムを張設す
ることにより微多孔性フィルムのフィルターを通過した
空気のみが、抵抗少なく自由に流通できるようにしたこ
とを特徴とする。

本発明に係る微多孔性フィルムは、０．０２μ以上、好
ましくは０．０１μ以上の細菌が通過できない大きさで
あればよく、長径と短径の差が小さい場合には孔の短径
が０．１μ以下、好ましくは０．０５μ以下である。ま
た、すのこ状の細長の孔の場合には最大の短径が０．１
　μ以下、好ましくは０．０５μ以下であれば、長径が
大きくとも細菌の通過を防止できる。

更に微多孔性フィルム素材はポリプロピレン、ポリエチ
レン、ナイロン等の疏水性フィルムが好ましい。細菌類
は主として水分と共に移動するため、同一の大きさの孔
であっても微多孔性フィルム素材が疏水性であると細菌
類が通過しがたい。

また、培地の乾燥は培地に含まれる水分の蒸発によるも
のであるが、疏水性微多孔性フィルムの場合は疏水性の
二酸化炭素や酸素はよく通過させるが水蒸気は通過させ
ず、したがって、充分な通気性がありながら培地の乾燥
を防止できる。

本発明に使用するゴムキャップは上板と、上板外周から
下方に延出する筒状のスカート部からなり、スカート部
は０．５〜４ｃｍ、好ましくは１〜３ｃｍであり、長い
ものは細菌混入の機会を減少するが長すぎると容器口へ
の脱着が困難である。更に、試験管や三角フラスコ等の
組織培養容器は容器口が肉厚になり外方に突出したリブ
を有するものであるが、キャップのリブに当接する部位
に窪みを設けるとリブがこの窪みに嵌合し、容器口とキ
ャップとの密着をより完全にすることができる。キャッ
プ素材は容器口と密着するためにゴム弾性を必要とし、
シリコンゴム、アクリルゴム等の耐熱性ゴムを使用する
。

微多孔性フィルムはキャップ開口部に微多孔性フィルム
を直接気密に貼着することもできる。或いは第１図及び
第２図に示すように開口部を有するパツキンを介して又
は開口部を有する剛性板を介して微多孔性フィルムを張
設する方法等の間接的手段が採用できる。

パツキンを使用する場合は、パツキン素材もまた加熱滅
菌に耐えるべく耐熱性プラスチック発泡体、耐熱ゴムな
どの耐熱性素材が好ましい。パツキンにも容器にキャッ
プを装着した状態でキャップ開口部と一致するパツキン
開口部を穿設する。

キャップ開口部とパツキン開口部とを一致させるために
はそれぞれの中央部に開口部を穿設することが最も好ま
しいが、上記条件を満足すればこの部位に限定されるも
のではなく、少なくとも両開口部の一致部位が存在すれ
ば足りる。パツキンは容器口上端部の全部と気密に密着
していることを要件とする。

剛性板を使用する場合は、剛性板がキャップ開口部に穿
設した溝に気密に嵌入できることを要する。更に剛性板
は耐熱性且つキャップ開口部の溝からの肌着が自在であ
ることが好ましい。剛性板には開口部を穿設し、該開口
部に微多孔性フィルムを気密に貼着する。

〔作用〕

本発明は、容器口を弾力性キャップの復元力により常に
締めつけた状態にあるため、容器の口径が多少変動して
も密着状態を維持することができる。更に、キャップ開
口部には微多孔性フィルムが直接または間接に張設され
ているため、空気の流通路は微多孔性フィルムのフィル
ターを通した部位に限定され、空気の流通に伴う細菌の
通過を完全に防止でき、クリーンルーム内でなく通常の
育苗室で培養できる長所がある。しかも微多孔性フィル
ターは薄いため、空気の通過抵抗が小さく、充分な空気
が供給できて育苗期間が半減する。更に疏水性フィルム
を用いれば、孔が小さいため水蒸気の通過が防止され、
長期間培養を継続しても培地が乾燥せず、好ましい培養
結果が得られる。

〔実施例〕 第１図は試験管口にキャップを装着する前のキャップと
パツキンを並べた状態の断面図である。

１は容器としての試験管、２は肉厚になったリブ、３は
容器口上面である。４はパツキンであり、試験管１のリ
ブ２に被さるような大きい径とした。

５はパツキン開口部であり、パツキン４の中央部に穿設
した。６はパツキン開口部５を被覆する微多孔性フィル
ムである。本実施例においては、パツキン４として低発
泡ポリプロピレンを用い、微多孔性フィルム５としては
ジュラガードＮｏ、２４００（商標名、セラニーズ社製
、孔径０．２　Ｘ　０．０２μのポリプロピレン製フィ
ルム）を用いパツキン開口部５の周囲に気密に溶着した
。７はシリコンゴムからなるキャンプであり、上板１４
と試験管上部外周と密着するスカート部１０とからなる
。上面中央部にキャップ開口部８を穿設した。９は試験
管のリブと嵌合する窪み、１４はキャンプよ」二板であ
る。

パツキン４を上板１４の裏側に接触させてキャップ７内
に挿入した状態で試験管１の容器口に被せると、第１図
の仮想線で示すようにリブ２は窪み９内に嵌合し、パツ
キン４の周縁部はリブ２の外周に沿って被さり、その上
からキャップ７の上板１４で押圧される。その結果、試
験管１の容器口周辺の外周はキャップのスカート部１０
により押圧され空気の流通が遮断される。キャンプ開口
部８から入った空気は微多孔性フィルム６を通過するた
め細菌はフィルムの細孔を通過できず、侵入しない。キ
ャンプ７の上板１４の裏側とパツキン４との間に多少の
空隙ができるが、容器口上面３及びリブ２の部分で、パ
ツキン４がキャップ７の上板とリブ２とにより押圧され
ているため、細菌の容器内への侵入を完全に防止するこ
とができる。また、微多孔性フィルムは薄いので空気の
流通抵抗が小さく充分な空気を供給できる。

容器口上面における通気性を完全に遮断する手段として
、本実施例においては容器口の径より大きい径を有する
パツキンを用いたが、容器口上面３の全体に当接する大
きさであればよく、キャップ４を被せた状態で、パツキ
ン４がキャップの上板１４と容器口上面３とにより押圧
されていればよい。この場合、窪み９の幅がリブ２の厚
みと同一かわずかに大きい程度であると、パツキン４が
気密に保持される。

第２図は他の実施例を示すキャンプの縦断斜視図である
。本実施例においては、微多孔性フィルムを間接的に装
着する手段として、ポリプロピレン類の剛性板１１を用
いた。キャップ開口部８に装着するにあたっては、キャ
ップ開口部８の周辺に溝１２を刻設した。剛性板１１に
は剛性板開口部１３を穿設し、この開口部１３に第１図
の場合と同一の微多孔性フィルム６を溶着した。剛性板
１１を装着するには剛性板を溝１２内に挿入すればよい
。剛性板１１の外周部はその両面をキャップのゴム素材
により押圧されているため、空気の流通を完全に遮断す
ることができる。剛性板の素材は溝内に挿入できる剛性
のあるものであれば、プラスチック、金属、セラミック
などを使用できる。

第１ステツプとして、滅菌した寒天培地入り容量１００
　ｃｃの三角フラスコに、無菌室で胡蝶らんの実生を播
種しフラスコ口をアルミキャップで覆い、クリーンルー
ムで約４０日育成した。第２ステツプとして薬分化して
３〜５　ｍ’ｍに成長し、緑色がかった幼芽を同じく無
菌室で滅菌した寒天培地入り容量１００　ｃｃの三角フ
ラスコに移植しフラスコ口をアルミキャップで覆い、ク
リーンルームで約４０日育成して約１ｃｍに育ったもの
を使用した。

第３ステツプで本発明キャップを使用した。無菌室で滅
菌した寒天培地入り容量５００ｃｃの三角フラスコに、
第２ステツプで育成した苗の根を水どけに１本ずつ包ん
で寒天培地に移植し、本発明キャンプで容器口を密封し
た後、通常の育苗に移した。この苗は成長が早く、約２
ケ月で鉢植えできる健康な苗に育った。鉢植え後は枯死
するものもなく、特に順化の必要がなかった。

一方、第３ステツプにおいて従来通り容量５００ＣＣの
三角フラスコに、上記実施例と同一の苗を同様に移植し
、アルミキャップで容器口を覆ったものは、クリーンル
ームで育苗しないと細菌汚染により発育を阻害されるの
で、クリーンルームを使用する必要があった。光、温度
、培地組成等の条件を上記実施例と同様にし、クリーン
ルーム内で育成したものは鉢植えできるまでに約４ケ月
を要した。更に育った苗は虚弱であり、鉢植え後枯死す
るものもあった。

〔効果〕

本発明により、鉢植えできるまでに育成する期間を半減
することができ、更にクリーンルームを使用しなくとも
或いは空気清浄度を低下したクリーンルームを使用して
も細菌の混入を防止できる。

本発明により育成された苗は充分な空気の供給下に生育
しているため、丈夫で鉢植え後の枯死率が低下し順化の
必要がなくなった。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示し、第１図はキャップの分解
断面図、第２図は縦断したキャップの斜視図である。 図面中、符号 １は試験管、２はリブ、３は容器口上面、４はパツキン
、５はパツキン開口部、 ７はキャップ、８はキャップ開口部、９は窪み、１０は
スカート部、１１は剛性板、１２は溝、１３は剛性板開
口部、１４は上板である。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. （１）上板と該上板外周から下方に延出するスカート部
   とからなり、上板にキャップ開口部が穿設され、スカー
   ト部の内径が組織培養容器の容器口の外径よりわずかに
   小さい耐熱性ゴムキャップを設け、該ゴムキャップを容
   器口に被せて容器口外周に密着させることによりキャッ
   プ開口部以外からの空気の流入を遮断すると共に、キャ
   ップ開口部には微多孔性フィルムを直接または間接に張
   設し、微多孔性フィルムを通過した空気のみが容器内に
   供給されることを特徴とする組織培養方法。
2. （２）上板と該上板外周から下方に延出するスカート部
   とからなり、上板にキャップ開口部が穿設され、スカー
   ト部の内径が組織培養容器の容器口の外径よりわずかに
   小さい耐熱性ゴムキャップを設け、上記上板の裏面全体
   にパッキンを介挿し、上記キャップを容器口に被せて容
   器口外周に密着させた状態で、上記パッキンに少なくと
   も一部がキャップ開口部と一致するパッキン開口部を穿
   設すると共に、パッキン開口部が微多孔性フィルムで被
   覆されていることを特徴とする組織培養容器のキャップ
   。
3. （３）上板と該上板外周から下方に延出するスカート部
   とからなり、上板にキャップ開口部が穿設され、スカー
   ト部の内径が組織培養容器の容器口の外径よりわずかに
   小さい耐熱性ゴムキャップを設け、該キャップ開口部の
   断面に溝を刻設すると共に、該溝内に剛性板を脱着自在
   に気密に挿入し、該剛性板に貫通孔を穿設し、該貫通孔
   が微多孔性フィルムで被覆されていることを特徴とする
   組織培養容器のキャップ。