JPS639588Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、繰糸装置において繰り上げられた糸
を捲き取る前に乾糸するためのドライヤーに関す
る。

繰糸機において繰り上げた糸は、一般には一旦
小枠に捲き取りそれを再度揚反機により綛に捲き
返えしているが、この揚返工程を省略して繰り上
げた糸糸を直接にボビン等に捲き取る所謂直繰も
行なわれている。本考案ドライヤーは、主として
上記直繰に用いられるもので、繰り上げた糸をボ
ビン等に捲き取る前に十分に乾糸するために用い
るものである。

従来、直繰に用いられるドライヤーとして、軸
支された一対の円盤の間に複数の糸ガイドバーを
差し渡してなる円筒籠状体を、その支軸を中心に
して回転させ、円筒籠状体の一端から他端にかけ
てその周囲に糸を捲き付け、捲き付け終端部にお
いて軸方向に糸を引き出し、円筒籠状体に捲き付
いた糸を、円筒籠状体の回転による風乾及び必要
ならば加熱管等よりの熱によつて乾糸すると共
に、繰糸速度とワインダーの捲き取り速度との差
を、円筒籠状体への糸の捲き付き数を変化させる
ことによつて調節していた。即ち、ワインダーの
捲き取り速度が繰糸速度より大となつたときは円
筒籠状体への糸の捲き付き量は少なく、ワインダ
ーの捲き取り速度が繰糸速度より小となつたとき
は円筒籠状体への糸の捲き付き量は大きくなる。
そこで、この捲き付き量を検出して所定値にある
ようワインダーの捲き取り量を微調整していた。

上記ドライヤーの円筒籠状体は、軸方向を上下
又は横方向にして設置されるが、円籠状体に捲き
付けられた糸は捲き付け初期にあつては、水分を
吸収しており、そのために円筒籠状体の糸ガイド
バーへの捲き付き初期には良く糸ガイドバーと密
接し、位置がずれることはないが、捲き付き後期
になると糸は乾燥し、そのために糸と糸ガイドバ
ーとの間の摩擦抵抗が少なくなり、糸が円筒籠状
体の端部から軸方向に引き出されるのにつれて、
円筒籠状体端部付近に捲き付いている糸が引きづ
られて円筒籠状体からずり落ちてしまうことがあ
つた。この現象は特に円筒籠状体の先端を下向き
にした場合に多かつた。この現象が生ずるとワイ
ンダーに捲き付ける際の糸の張力が少なくなりワ
インダーで作られた捲玉の糸層の固さが不定にな
り、また、糸のもつれなども生じることがある。

本考案装置は上記の事態に鑑みてなされたもの
で、円筒籠状体をその先端を下方に向けて垂下し
てなるドライヤーにおいて、乾燥等が円筒籠状体
からずれ落ちることにより、必要以上の糸が円筒
籠状体から引き出されるのを防止することを目的
としたものである。

次にその実施例を図面と共に説明する。

本考案ドライヤー１は、アングル等適宜の取付
部材２によつて機枠の適所に取り付けられる。３
は軸支持部材で、中心軸４を垂下支持する。中心
軸４の基部に近く、傘歯車５と一体に上部円盤６
を回転自在に支持する。また、中心軸４の先端
（下端）には、下部円盤７を回転自在に支持する。
上部円盤６と下部円盤７とは図示しない連結杆に
よつて一体に固定されている。上下両円盤６，７
間には端部を両円盤に支持され上下方向を向いた
複数の糸ガイドバー８，８……（本実施例では６
本）を垂直軸の周囲に設け円筒籠状体２０を構成
する。上記糸ガイドバー８，８……の上端は、上
部円盤６の中心から等距離の円周上に等間隔に支
持され、糸ガイドバー８の下端は下部円盤７の中
心から等距離の円周上に等間隔に支持されている
が、下部円盤７における糸ガイドバー８，８……
の支持半径の方が上部円盤６における糸ガイドバ
ー８，８……の支持半径より小となつている。ま
た、ガイドバー８，８……は上端にプーリー９を
構成し、かつ、糸捲付部分にあつては上部より下
部の方の太さを細くしている。中心軸４にもプー
リー１０を設け、中心軸プーリー１０を中心とし
て対称の位置にある糸ガイドバー８，８のプーリ
ーと中心軸プーリー１０との間にベルト１１，１
２を架け渡す。また、すべての糸ガイドバー８，
８……にわたるベルト１３をも架け渡す。これに
より、糸ガイドバー８，８……は上部円盤６、下
部円盤７の回転によつて中心軸４の周囲を公転自
転する。

下部円盤７は側面形状が台形となるようにその
下面１４の直径が上面１５の直径よりも大となる
ように周側面を傾斜面１６とし、下面１４には、
下面１４の直径より大なる径を有するフランジ１
７を設ける。そして、前記傾斜面１６には、傾斜
面１６に係止できる内径を有するリング１８を載
置する。

次に本考案装置の作用につき説明する。

繰糸された糸Ｙは皷車等の糸案内部材によつて
案内されて円筒籠状体２０の糸ガイドバー８の上
位に捲き付けられる。図示しない動力源から回転
を伝達された傘歯車５は回転し、傘歯車５と一体
の上部円盤６を軸４を中心に回転する。上部円盤
６の回転は、それと一体の下部円盤７、糸ガイド
バー８よりなる円筒籠状体２０の回転ということ
になり、糸ガイドバー８，８……は軸４の周囲を
公転することになる。そしてベルト１１，１２を
軸４のプーリー１０との間に架け渡されている糸
ガイドバー８，８は上記公転の際に公転１回につ
き自転を１回することになる。そして各糸ガイド
バー８，８……はベルト１３をそれぞれのプーリ
ー９に架け渡してあるためにすべて同方向に同一
速度の自転をすることになる。しかも各糸ガイド
バーは下端になるに従がい細くなり、かつ、複数
の糸ガイドバーは垂直方向より若干角度を持つて
ねじれた状態で垂下され円筒籠状態２０も下端が
細くなつているために上部に捲き付けられた糸は
等ピツチで次第に円筒籠状体２０の下端に進行
し、逐には下部円盤７の傾斜面１６からフランジ
１７に接して下方に引き出される。このときに糸
Ｙは傾斜面に嵌合する状態で位置するリング１８
と傾斜面１６との間に挾持されるような状態とな
り、糸Ｙはリング１８によつて傾斜面１６に押さ
え付けられる。このため、糸Ｙは図示する如く、
リング１８に接する部分とフランジ１７に接する
部分との２個所において「く」字状に屈曲するこ
とになり円筒籠状体から糸を引き出すためには若
干の張力を要することになる。このために円筒籠
状体２０の下部に捲き付いて乾糸が充分に行なわ
れ糸ガイドバーから離れやすくなつた糸が円筒籠
状体２０からの引き出しと共に必要量以上にほど
けて引き出されることを防止している。

本考案装置は以上詳述した如く、一対の円盤に
よつて複数の糸ガイドバーの上下両端をそれぞれ
支持することによつて円筒籠状体を構成し、該円
筒籠状体を一方の円盤を下位にして垂直に支持
し、下部円盤の周縁を、該円盤の下面が上面より
大径となる如く傾斜面とし、該傾斜面に係止して
リングを設けたために、下部円盤の周縁の傾斜面
とリングとによつて円筒籠状体から引き出される
糸がニツプされ、そのために、円筒籠状体からの
糸の引き出し時に必要量以上の糸が円筒籠状体か
らほどけて引き出されることがなく、そのため
に、ワインダーにおけるパツケージ等の糸玉形成
時に一定の張力で糸層を形成することができるば
かりでなく、ほどけてかたまり状になつた糸によ
る糸故障等の発生をなくすことができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案装置を示す側面図である。 １……ドライヤー、２……取付部材、３……軸
支持部材、４……中心軸、５……傘歯車、６……
上部円盤、７……下部円盤、８……糸ガイドバ
ー、９，１０……プーリー、１１，１２，１３…
…ベルト、１６……傾斜面、１７……フランジ、
１８……リング、２０……円筒籠状体、Ｙ……
糸。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一対の円盤によつて複数の糸ガイドバーの上下
   両端をそれぞれ支持することによつて円筒籠状体
   を構成し、該円筒籠状体を一方の円盤を下位にし
   て垂直に支持し、下部円盤の周縁を、該円盤の下
   面が上面より大径となる如く傾斜面とし、該傾斜
   面に係止してリングを設けたことを特徴とするド
   ライヤー。