JPS637420B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はカラー受像管の製造方法に係り、特に
電子銃が内装されたネツク近傍の内部及びまたは
外壁に磁化し得る少なくとも１個の磁性体が配設
され、この磁性体の所定位置に磁極を形成し静コ
ンバーゼンス及び色純度を調整し得るようになさ
れたカラー受像管の製造方法に関するものであ
る。

次に従来のカラー受像管の１例を第１図によつ
て説明する。

即ち内面に電子ビームの射突により、それぞれ
異なる発光色を呈する蛍光体層を規則的に配列し
た蛍光面１が被着形成されたパネル２と、このパ
ネル２の側壁部３にフアンネル４を介して連接さ
れたネツク５とこのネツク５に内装された電子銃
６と、この電子銃６に所定の電圧を印加するステ
ムピン７と、前記電子銃６に対設するネツク５外
壁に設けられた静コンバーゼンス及び色純度の調
整用磁石８と、前記フアンネル４からネツク５に
かけての外壁に装着された偏向装置９と、前記蛍
光面１に所定間隔をもつて対設されたシヤドウマ
スク１０とからなり、このカラー受像管を完成し
たとき及びテレビジヨン受像機に組込み稼動させ
る時、前記調整用磁石８により蛍光面１上の電子
ビームの静コンバーゼンス及び色純度を調整する
ようになつている。前述の調整用磁石８は一般的
には２磁極、４磁極、６磁極を有する磁石をそれ
ぞれ２枚ずつ使用し、これら磁石により電子ビー
ムの静コンバーゼンス、色純度を調整するように
なつている。然るにこれら磁石の調整は熟練した
作業者によつて行なわれているが、かなりの時間
を要し、かつ作業が経験にたよつて行われている
ため十分正確な調整が行なわれていないのが現状
である。

この欠点を補うため前述の調整用磁石８を省略
可能なカラー受像管が提案されている。

この様なカラー受像管の１例を第２図に示す。
図中第１図と同一符号は同一部分を示し特に説明
を行なわない。

即ち、このカラー受像管に於ては電子銃６とネ
ツク５内壁間に１個以上の磁化可能な、ほぼ円環
状をなす磁性体１１を設け、カラー受像管の最終
調整時にこの磁性体１１を２極、４極、６極、12
極などに分極着磁して磁極を形成させ、第１図の
調整用磁石８と同様な働きを持たせている。

この磁性体１１の分極着磁方法には例えば特開
昭52−117517号公報、特開昭54−18235号公報な
どに述べられている方法がある。

即ち特開昭52−117517号公報のものは調整用装
置でカラー受像管の静コンバーゼンス及び色純度
を取り、この調整用装置からの情報により磁化用
電流と磁化コイルを用いて直流磁界を発生させ、
それによつてカラー受像管の磁性体を磁化する方
法であるが、このような方法では磁性体を多極に
磁化した時、この磁性体の磁化を厳密に制御する
ことが出来ない。即ち、例えば２極、４極、６極
の磁界を組合わせた場合に磁化される磁極が変化
し易く、また磁性体の持つ磁化特性のために所望
な磁極の磁化強度が各磁化される磁極位置に対応
する部分において磁化磁界と直線的な関係が得ら
れないためである。前述した理由により磁性体に
２極、４極及び６極などの磁極を組合わせて磁化
することが出来ないし、また２極、４極及び６極
などの磁極を順次磁化することも不可能である。
その理由は各磁極の磁化にあたり、磁性体の他の
部分での磁化特性が変化するためである。更に磁
性体がカラー受像管のネツク内にある場合は磁性
体とこれを磁化する磁化用磁極の距離が大きくな
るため磁束が広がり、前述した影響は更に大とな
る。

次に特開昭54−18235号公報に示されている方
法は磁性体をヒステリシス曲線の両側で磁化飽和
させる減衰交番磁界によつて磁性体を磁化させる
と、この交番磁界の減衰後は前記磁性体に硬質磁
化が残り、この硬質磁化は外部から加えられる磁
界を中和し、この外部から加えられる磁界を反対
方向に向けるため、この外部から加えられる磁界
を除去した後には磁性体に所望磁極を形成するこ
とが出来るようになつている。

然るに、この方法に於ては、外部から加えられ
る磁界と直線的な関係にある磁化部を前記磁性体
に残存させるために、この磁性体全体に対して厳
密に等しく変化する減衰交番磁界を作らなければ
ならないし、かつ、この減衰交番磁界の初期最大
値は保磁力以上でなければならない。従つて保磁
力Hcが大きな磁性材料より磁性体を作つた場合
には、この磁性体を完全に磁化すること、即ち、
外部からの擾乱磁界によりほとんど影響を受けな
いような大きな保磁力を持つ材料を磁性体に使用
することは不可能である。

本発明は前記従来の欠点に鑑みなされたもので
あり、ネツク近傍の内部または外部に設けた磁性
体に静コンバーゼンス、色純度調整用多磁極の磁
化を小さな磁化用磁界によつて形成し、かつ、外
部磁界の擾乱に対しても強い硬質磁化を得ること
が可能なカラー受像管の製造方法を提供すること
を目的としている。

次に本発明のカラー受像管の製造方法の一実施
例を第３図によつて説明する。

即ち内面に図示しない３色に発光する蛍光体層
からなる蛍光面２１を被着形成したパネル２２
と、このパネルの側壁部２３にフアンネル２４を
介して連接されたネツク２５と、このネツク２５
に内装された電子銃２６と、この電子銃２６に所
定の電圧を印加するステムピン２７と、前記電子
銃２６から射出される複数の電子ビーム２８を選
択して蛍光面２１の各蛍光体層に射突させるシヤ
ドウマスク３０と、前記電子銃２６の所望位置に
配設された磁化し得る環状の磁性体３１とから形
成されている。

そして前記磁性体３１を２極、４極、６極など
の多磁極やこれらの組合せで磁化する時に使用す
る多極磁界発生装置３２が磁性体３１に対設して
ネツク２５外壁にそつて設けられ、この多極磁界
発生装置３２には磁化用直流電源３３と、磁化用
高周波電源３４が必要に応じて接続されるように
なつている。

また前記多極磁界発生装置３２近くまたはこれ
と合体して磁性構体３１を加熱または温度制御を
行なうための高周波加熱コイル３５及びこのコイ
ル３５に高周波を印加する高周波電源３６が接続
されている。

次にカラー受像管の製造方法即ち磁性体３１に
所望磁極を形成する方法について説明する。

先ずカラー受像管を動作させ電子ビーム２８を
パネル２２内面の蛍光面２１に射突するようにし
ておき、次に高周波加熱コイル３５により磁性体
３１を加熱する。この時の温度は磁性体３１がス
ピノーダル、バイカロイなどの折出硬化形部材の
場合には磁気変態点以下の温度でありまたSrフ
エライトなどの場合は自発磁化が消滅する程度の
温度とする。この様にすることにより磁性体３１
は保磁力が小さく、磁化されやすくなつているの
で外部から加える磁界は常温における値より小さ
くても所定の磁極が形成可能である。

次に多極磁界発生装置３２に磁化用直流電源３
３または磁化用高周波電源３４による静磁界か、
パルス磁界により磁化する。この時、カラー受像
管を動作させ、電子ビーム２８を良好な状態即
ち、静コンバーゼンス、色純度の調整用として必
要な磁極を磁性体に形成させる磁化用磁界の大き
さは従来使用される磁化用磁界と比較して極めて
小さくてよいことは前述の通りである。

例えば磁性体３１にSrフエライトなどの高保
磁力材料を用いた場合、従来の磁化用磁界の強さ
は10Kエルステツド以上必要であり、カラー受像
管の外部から磁化することは不可能であつたもの
が、高周波加熱用コイル３５で磁性体３１を自発
磁化が消滅する程度の温度とすることによつて小
さな磁界で磁化が可能となる。

上述のように加熱しながら磁性体を磁化するこ
とにより常温に戻しても大きな硬質磁化が残り、
外部磁界に対しても非常に安定な磁極を磁性体３
１に形成することが出来る。

また所定の温度に磁性体を加熱しながら磁化す
ることにより従来不可能であつた大きな保磁力を
持つ材料からなる磁性体も効果的にネツク近傍の
内部や外壁に装着することができ、静コンバーゼ
ンス、色純度特性の良好なカラー受像管を得るこ
とが可能となつた。

【図面の簡単な説明】

第１図は静コンバーゼンス、色純度調整用磁石
をネツク外壁に取着した従来のカラー受像管の簡
略断面図、第２図は静コンバーゼンス色純度調整
用磁極を形成し得る磁性体をネツク内部に装着し
た従来のカラー受像管の簡略断面図、第３図は本
発明のカラー受像管の製造方法を示す簡略説明図
である。 １１，３１……磁性体、３２……多極磁界発生
装置、３３……磁化用直流電源、３４……磁化用
高周波電圧、３５……高周波加熱用コイル、３６
……高周波電源。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 複数の電子ビームを射出する電子銃が内装さ
   れたネツク近傍の内部及びまたは外壁に少なくと
   も１個の磁性体が配設され、前記磁性体により前
   記電子ビームの蛍光面上における静コンバーゼン
   ス及び色純度をカラー受像管組立終了後前記磁性
   体を磁化し調整し得るようになされたカラー受像
   管の製造方法に於て、前記磁性体をこの磁性体の
   磁気変態点以下及びまたは自発磁化が消滅する程
   度の高温にし、その後に外部磁界を加えて所定の
   位置に所定の磁極を形成させることを特徴とする
   カラー受像管の製造方法。