JPS636791Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は楽器運搬時に使用する把手と楽器演
奏時に使用する譜面立てとを兼用させるようにし
た携帯用楽器に関する。

一般に携帯用鍵盤楽器等の携帯用楽器において
は、楽器運搬時の便を計るために楽器本体または
これを収納するケースに把手等の把手部材が取付
けられているのが普通である。例えば第１図ない
し第４図は、いずれも楽器運搬時に使用する把手
等の把持部材を備えた従来の携帯用鍵盤楽器の例
を示す図である。すなわち第１図に示す携帯用鍵
盤楽器Ａは、楽器本体１に把手２を固定してなる
ものである。また第２図に示す携帯用鍵盤楽器Ｂ
は、楽器本体１に把手２を取付けると共に、この
把手２を使用しないときにこれを楽器本体１に形
成した把手収納溝３内に収納し得るようにしたも
のである。また第３図に示す携帯用鍵盤楽器Ｃ
は、楽器を運搬する際に楽器本体１をケース４内
に収納するようにし、ケース４に把手２を固定し
てなるものである。また第４図に示す携帯用鍵盤
楽器Ｄは、楽器本体１に、これを運搬する際に用
いる把持部材としてベルト５を離脱可能に取付け
るようにしたものである。ところで、この種の楽
器に取付けられる把手等の把持部材は、楽器を運
搬する場合にのみ必要なものであり、これを例え
ば上記の携帯用鍵盤楽器Ａのように楽器本体に固
定した場合に、楽器の演奏時に単に不要となるば
かりでなく、楽器の外観を損うと共に楽器の設置
に際して邪魔な存在とさえなることがある。した
がつてこの種の楽器においては、通常上記の不都
合をなくすために、携帯用鍵盤楽器Ｂのように把
手２の不使用時にこれを収納溝３内に収納し得る
ようにしたり、携帯用鍵盤楽器Ｃのように把手２
を楽器本体１のケース４に設けるようにしたり、
携帯用鍵盤楽器Ｄのようにベルト５を楽器本体１
から取外し得るように構成されている。

一方、携帯用鍵盤楽器等の携帯用楽器において
は、これを演奏する際に譜面を置くための譜面立
てが必要である。第５図ないし第７図はいずれも
譜面立てまたはこれに相当する部材を備えた従来
の携帯用鍵盤楽器の例を示す図である。すなわち
第５図に示す携帯用鍵盤楽器Ｅは、楽器本体１に
取付孔６，６を形成し、これら取付孔６，６に金
属棒を折曲して形成した譜面立て７を取付け得る
ようにしたものである。また第６図に示す携帯用
鍵盤楽器Ｆは、楽器本体１に板状の譜面立て８を
取付けてなるものであり、同譜面立て８を使用し
ない場合にこれを楽器本体１に形成した収納穴９
内に収納し得るようにしたものである。また第７
図に示す携帯用鍵盤楽器Ｇは、楽器本体１に鍵１
０，１０…の設けられている面を覆う蓋体１１を
設け、楽器本体１の演奏時に蓋体１１を開放する
と共にこれを一定の角度をもたせて固定すること
により同蓋体１１を譜面立てとして使用するよう
にしたものである。ところで、上記の携帯用鍵盤
楽器においては、携帯用鍵盤楽器Ｅの場合同楽器
を運搬する際譜面立て７が邪魔となつてこれらを
運搬し難い欠点があり、また携帯用鍵盤楽器Ｆの
場合譜面立て８を収納する構造、同譜面立て８を
収納穴９から引き出してこれを一定の角度に固定
する構造等が必要となつて全体的に構造が複雑化
する欠点があり、また携帯用鍵盤楽器Ｇの場合形
状、重量共に大となり易い蓋体１１を一定角度に
固定する構造として特殊な構造を工夫しなければ
ならない等の欠点がある。

しかして、上記の如き従来の携帯用楽器におい
ては、楽器の運搬時に使用する把手等の把持部材
と楽器の演奏時に使用する譜面立てとが各自別個
に設けられており、これら各部材を設けるに当つ
てそれぞれ上述したような問題を抱えていると共
に、演奏状態のままで楽器本体を持ち運びできな
いという問題を抱えていた。

この考案は上記従来の携帯用楽器における問題
を解決すべくなされたもので、携帯用楽器の楽器
本体またはそのケースに設ける譜面立てと把手と
を一つの部材により互いに兼用し得るように構成
してなるものであり、前記譜面立て兼用把手は、
外観コ字状をなし、その両端が軸体により前記楽
器本体またはケースに取り付けられ、かつこの軸
体を支点として、楽器本体またはケースの上面に
対して略平行な面内にある位置から該上面に対し
て略垂直な面内にある位置まで回動可能とされ、
しかも、前記上面に対して略垂直な面内にあると
き、中央部が前記上面から離れた空間上に位置す
るように構成されており、また、前記上面に対し
て略垂直な面内にある状態で前記譜面立て兼用把
手を固定し得る固定機構を設けことを特徴として
いる。

以下、この考案の一実施例を第８図、第９図を
参照して説明する。

第８図、第９図はこの考案を適用した携帯用鍵
盤楽器Ｈを示す図であり、この図において符号２
１は楽器本体である。楽器本体２１は、その外観
が左右方向に長い箱形に形成されたものであつ
て、筐体２２の上面前半部に配設された鍵２３，
２３…を押すことにより演奏を行い得るように構
成されたものである。そしてこの楽器本体２１の
筐体２２には楽器本体２１を演奏する際に使用す
る譜面立てと楽器本体２１を運搬する際に使用す
る把手とを兼ねる譜面立て兼用把手２４が取付け
られている。譜面立て兼用把手２４は、金属棒を
外観コ字状に折曲してなるもので、その両端部が
それぞれ軸体２５を介して筐体２２の左右側壁部
で楽器本体２１の奥行方向の重心位置に取付けら
れている。この場合軸体２５は筐体２２に対して
回動自在に取付けられており、把手２４を例えば
第８図に示すよう位置（把手２４の中間部２４ａ
が筐体２２の前方に位置し、把手２４が全体とし
て筐体２２の上面に対し略平行となる位置）から
第９図に示す位置（同中間部２４ａが筐体２２の
後半部上方空間に位置し、把手２４が全体として
筐体２２の上面に対して略垂直となる位置）へ回
動し得るようになつている。またこの際筐体２２
の内部には、把手２４を回動させてこれを特定の
位置に止めた場合に、この把手２４が自重等によ
つてやたらに回動しないように軸体２５を一定の
力をもつて固定する固定機構（図示しない）が設
けられている。また筐体２２の上面には溝２６が
形成されている。

上記の構成からなる携帯用鍵盤楽器Ｈは、これ
を運搬する場合に譜面立て兼用把手２４を第８図
のように位置させる。すなわち第８図に示す状態
において把手２４の中間部２４ａを把持すれば、
楽器本体２１を安定した状態で吊下保持すること
ができ、もつてこれを自由に運搬することができ
る。またこの携帯用鍵盤楽器Ｈを演奏する場合に
は、この鍵盤楽器Ｈを第９図に示すように置き、
把手２４を同図に示す位置に回動させる。かくし
てこのように把手２４を位置させた場合には、こ
の把手２４が譜面立てとして機能し、把手２４の
中間部２４ａと筐体２２に形成した溝２６との間
に譜面２７を立て掛けることができる。この場合
把手２４は、軸体２５がその位置に一定の力をも
つて固定されるため、譜面２７の重さによつて回
動する等の惧れはない。かくして演奏者は、譜面
２７を見ながら演奏を行うことができる。

また、この実施例では把手２４を楽器本体２１
の奥行方向の重心位置に設けたので、第９図に示
す状態のままでも楽器本体２１を吊下保持し運搬
することができる。

なお、上記の実施例においては、譜面立て兼用
把手を楽器本体に取付けるようにしたが、楽器が
楽器本体と共にこれを収納するケースを有するも
のである場合に前記譜面立て兼用把手をケースに
取付けるようにしてもよい。

また、この考案の適用対象は、携帯用鍵盤楽器
に限られることなく各種の携帯用楽器に適用し得
るものである。

以上の説明から明らかなように、この考案によ
る携帯用楽器によれば、楽器本体を演奏する際に
使用する譜面立てと楽器本体を運搬する際に使用
する把手とを一つの部材、すなわち譜面立て兼用
把手で構成したから、譜面立て兼用把手を楽器の
演奏時、運搬時に無駄なく有効に利用することが
でき、楽器の構造の単純化を計り得て楽器を安価
に提供することができ、しかも楽器の外観意匠の
向上を計ることができる等の利点が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第４図は各々運搬時に使用する把手等
把持部材を備えた従来の携帯用楽器（携帯用鍵盤
楽器）Ａ〜Ｄを示す斜視図、第５図〜第７図は
各々楽器演奏時に使用する譜面立てを備えた従来
の携帯用楽器（携帯用鍵盤楽器）Ｅ〜Ｇを示す斜
視図、第８図、第９図はこの考案を適用した携帯
用鍵盤楽器Ｈの斜視図であつて、第８図は携帯用
鍵盤楽器Ｈの譜面立て兼用把手を把手として使用
する状態を示す図、第９図は同譜面立て兼用把手
を譜面立てとして使用する状態を示す図である。 Ｈ……携帯用楽器（携帯用鍵盤楽器）、２１…
…楽器本体、２２……筐体、２４……譜面立て兼
用把手、２４ａ……中間部、２５………軸体。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 楽器本体またはこの楽器本体を収納するケース
   に、前記楽器本体を演奏する際に使用する譜面立
   てと同楽器本体を運搬する際に使用する把手とを
   兼ねる譜面立て兼用把手を具備させてなる携帯用
   楽器であつて、 前記譜面立て兼用把手は、外観コ字状をなし、
   その両端が軸体により前記楽器本体またはケース
   に取り付けられ、かつこの軸体を支点として、楽
   器本体またはケースの上面に対して略平行な面内
   にある位置から該上面に対して略垂直な面内にあ
   る位置まで回動可能とされ、しかも、前記上面に
   対して略垂直な面内にあるとき、中央部が前記上
   面から離れた空間上に位置するように構成されて
   おり、また、前記上面に対して略垂直な面内にあ
   る状態で前記譜面立て兼用把手を固定し得る固定
   機構を設けてなることを特徴とする携帯用楽器。