JPS63677Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はサイド式のテープ巻き装置に関し、特
にこの装置内でテープに適当な張力を付与してい
るテープ張力付与機構部分の改良に関するもので
ある。

テープ巻き装置には、テープパツドの中心を心
線等の被巻装線条体が通過する構造の中心式のも
のと、テープパツドの脇を被巻装線条体が通過す
る構造のサイド式のものとがある。

中心式のテープ巻き装置は、使用中のテープパ
ツドから繰り出されているテープが使い果される
度に被巻装線条体を切断してテープパツドの交換
を行わなければならない欠点がある。

このため本考案では、このような欠点を伴わな
いサイド式のテープ巻き装置を改良の対象として
いる。

従来のサイド式のテープ巻き装置のテープ張力
付与機構は、回転系内に設置されていた。このた
め、高速化を図ると、遠心力の影響を受け、安定
したテープ張力を得ることがむずかしい欠点があ
つた。また、テープ張力を調整する時にはテープ
巻き装置を一旦停止させねばならず、しかもその
頻度も高いので作業時間のロスが多い欠点があつ
た。

このような欠点を改善するため本出願人は先に
第１図に示すようなテープ巻き装置（実公昭56−
2709号）を提案した。

このテープ巻き装置は、固定スタンド１を備
え、この固定スタンド１には軸受け２を介して水
平向きで回転自在に主中空軸３が片持ち支持され
ている。主中空軸３は、図示しないモータ等の回
転駆動源から回転力が伝動ベルト４及び伝動プー
リ５を介して与えられ回転駆動されるようになつ
ている。主中空軸３内には軸受６を介してホロー
シヤフト７が同心状に支持され、その中を被巻装
線条体８が矢印方向に通過するようになつてい
る。主中空軸３の先端寄り部分には、径方向に複
数本のテープパツド支持軸９，９′が植設され、
その外周にはテープパツドホルダー１０，１０′
が回転自在に支持されている。これらテープパツ
ドホルダー１０，１０′にはそれぞれテープパツ
ド１１，１１′が交換可能に取付けられている。
各テープパツド１１，１１′から引き出されたテ
ープ１２，１２′は、それぞれ主中空軸３に支持
されたガイドロール１３，１３′で案内されて主
中空軸３の回転につれて被巻装線条体８の外周に
巻き付けられるようになつている。

このようなテープ巻き装置本体１４のテープパ
ツド１１，１１′に適当なブレーキ力を付与して
所要のテープ張力が得られるようにテープ張力付
与機構１５が設けられている。この機構１５で
は、テープパツド１１，１１′に適当なブレーキ
力を付与するために固定系のスタンド１に電磁ブ
レーキ等のブレーキ手段１６，１６′が設置され
ている。これらのブレーキ手段１６，１６′の出
力軸には伝動プーリ１７，１７′がそれぞれ固着
され、これら伝動プーリ１７，１７′はそれぞれ
伝動ベルト１８，１８′を介して伝動プーリ１９，
１９′に連結されている。これらの伝動プーリ１
９，１９′は、主中空軸７の外周に軸受２０，２
０′を介して回転自在に且つ同心状に多重に設け
られた短い伝動中空軸２１，２１′の一端に固着
され、これら伝動中空軸２１，２１′の他端には
それぞれ傘歯車よりなる伝動歯車２２，２２′が
固着されている。これら伝動歯車２２，２２′は、
各テープパツドホルダー１０，１０′の外周にそ
れぞれ固着されている傘歯車よりなる伝動歯車２
３，２３′に噛み合わされている。これら構成部
材１７，１７′〜２３，２３′にてブレーキ力伝動
系２４が形成されている。

かかる構造のテープ張力付与機構１５は、テー
プ１２，１２′の引き出しにより生ずるテープパ
ツドホルダー１０，１０′の回転力が伝動歯車２
３，２３′及び２２，２２′、伝動中空軸２１，２
１′、伝動プーリ１９，１９′、伝動ベルト１８，
１８′、伝動プーリ１７，１７′を介してブレーキ
手段１６，１６′に伝えられ、ブレーキがかけら
れるようになつている。

このようなテープ巻き装置は、ブレーキ手段１
６，１６′を固定系に設けているので、テープ張
力の調整を装置を止めないで行うことができる利
点がある。

しかしながら、かかる構造のテープ巻き装置で
は、テープパツド１１，１１′の回転力を伝動す
るのに伝動中空軸２１，２１′を主中空軸３の先
端側の外周に同心状に多重に装着する構造なの
で、その構造上の制約により現状では主中空軸３
の先端部にテープパツドを２個支持させるのが限
度であつた。また、主中空軸３を固定スタンド１
に支持する複数の軸受２のうち伝動プーリ１９寄
りの軸受２の位置が限定され、図からもわかるよ
うに回転系がオーバーハングした状態になつて安
定性に欠け、高速化ができない欠点があつた。更
に、テープパツド１１，１１′の回転を伝動する
ブレーキ力伝動系２４が多重構造だと慣性モーメ
ントが大きく、低張力の制御が困難な欠点があつ
た。

（考案の目的） 本考案の目的は、主中空軸の先端部に対するテ
ープパツドの支持個数を増加させることができ、
回転系の安定性を改善でき、しかもブレーキ力伝
動系の慣性モーメントを小さくすることができる
テープ巻き装置を提供するにある。

（考案の構成） 本考案は、固定スタンドに回転自在に支持され
て回転駆動源により回転駆動される主中空軸の先
端寄りの外周に複数のテープパツドホルダーが径
方向に突出した状態で回転自在に支持され、前記
各テープパツドホルダーには固定系にそれぞれ設
置されたブレーキ手段とこれらブレーキ手段と対
応する前記テープパツドホルダーとを連結してブ
レーキ力を伝動するブレーキ力伝動手段とから成
る複数のブレーキ力付与機構が設けられ、前記各
テープパツドホルダーにそれぞれ支持されたテー
プパツドからの各テープが前記主中空軸の回転に
つれてその中を通過する線条体の外周に巻き付け
られるようになつているテープ巻き装置におい
て、前記各ブレーキ力伝動手段は前記固定スタン
ドの支持区間内で前記主中空軸の外周にその長手
方向に位置を異にして同心配置されて前記各ブレ
ーキ手段からブレーキ力がそれぞれ伝動される複
数のリング状歯車と、前記各リング状歯車に個々
に相対応して噛み合わされ且つこれらリング状歯
車に対する周方向の位置が異なるように配置され
た複数の遊星歯車と、前記各遊星歯車に相対応し
て前記主中空軸の外周に平行する向きで該主中空
軸の周方向に対する位置を異にして回転自在に支
持されて一端にその相対応する遊星歯車がそれぞ
れ固定されている複数の伝動軸と、前記各伝動軸
の他端側に個々に固定されている複数の第１の交
差軸歯車と、前記各テープパツドホルダーに個々
に同心状に固定されていて相対応する前記第１の
交差軸歯車に噛み合わされている複数の第２の交
差軸歯車とから成つていることを特徴とするもの
である。

このような構成にすると、従来のように伝動中
空軸を主中空軸に対して多重に同心配置する必要
がなくなり、伝動軸を主中空軸の外周に周方向に
位置を異にして配置しているので、ブレーキ力伝
動系の構造上の制約がゆるくなり、主中空軸の先
端部に対するテープパツドの取付け個数を増加で
きる。また、本考案では、ブレーキ力伝動系の片
側部分を固定スタンドの支持区間内に配置してい
るので、オーバーハング状態が短くなり、安定性
が向上し、高速回転も行うことができる。更に、
本考案のようにブレーキ力の伝動を複数本の細い
伝動軸で行うと、ブレーキ力伝動系の慣性モーメ
ントを大幅に小さくすることができ、テープ張力
設定範囲の下側領域を広げることができる。かつ
また、本考案によれば、多重構造と異つて、パツ
ド数を増加させても、全数慣性モーメントを容易
に均一化でき、各テープ間の張力を全体的に一様
にすることができる。

（実施例） 以下本考案の実施例を図面を参照して詳細に説
明する。なお、第１図と対応する部分には同一番
号を付して示している。

第２図は本考案に係るテープ巻き装置の第１実
施例を示したものである。本実施例においては、
被巻装線条体８はガイドダイス２５で位置決めさ
れてホローシヤフト７内を通過するようになつて
いる。テープ巻き装置本体１４側においては、各
テープパツドホルダー１０，１０′は、主中空軸
３の先端側に径方向に突出する向きで軸受２６，
２６′で回転自在に支持されている。各テープパ
ツドホルダー１０，１０′には、テープパツド１
１，１１′が装着されて、ナツト２７，２７′で着
脱可能に取付けられている。

テープ張力付与機構１５の電磁ブレーキ等より
なる各ブレーキ手段１６，１６′は、ブラケツト
２８，２８′を介して固定スタンド１上に支持さ
れている。固定スタンド１には主中空軸３のまわ
りに伝動系収納室２９が形成され、主中空軸３は
この伝動系収納室２９の長手方向の両側で軸受
２，２′により回転自在に支持されている。伝動
系収納室２９内における軸受２，２′の支持区間
において、主中空軸３の外周にはその長手方向に
位置を異にして複数の外歯型のリング状歯車３
０，３０′が同心状に配置され、それぞれ軸受３
１，３１′を介して回転自在に支持されている。
これらリング状歯車３０，３０′には、伝動プー
リ１９，１９′が一体にそれぞれ取付けられてい
る。各伝動プーリ１９，１９′には、伝動ベルト
１８，１８′を介してブレーキ手段１６，１６′か
らブレーキ力が伝動されるようになつている。各
伝動ベルト１８，１８′は固定スタンド１の外壁
を貫通して室２９内に引き込まれている。各リン
グ状歯車３０，３０′には、個々に相対応して複
数の遊星歯車３２，３２′が噛み合わされ、且つ
これら遊星歯車３２，３２′は各リング状歯車３
０，３０′の周方向に対する位置が異なるように
配置されている。これら遊星歯車３２，３２′に
対応して主中空軸３の外周には、これに平行する
向きで複数本の細い伝動軸３３，３３′が該主中
空軸３の周方向に対する位置を異にして軸受３
４，３４′でそれぞれ回転自在に支持されている。
各軸受３４，３４′はそれぞれ各伝動軸３３，３
３′の両端をそれぞれ支えていて主中空軸３に支
持されている。各遊星歯車３２，３２′は、対応
する伝動軸３３，３３′の一端にそれぞれ固定さ
れている。各伝動軸３３，３３′の外周には、こ
れらに対して交差する向きのテープパツドホルダ
ー１０，１０′に相対応してスクリユー歯車より
なる複数の第１の交差軸歯車３５，３５′が固着
されている。各テープパツドホルダー１０，１
０′の外周には、これら第１の交差軸歯車３５，
３５′に噛み合うスクリユー歯車よりなる複数の
第２の交差軸歯車３６，３６′が固着されている。
これらの構成部材１７，１７′〜１９，１９′及び
３０，３０′〜３６，３６′にて本実施例のブレー
キ力伝動手段２４が構成されている。

第３図は本考案の第２実施例を示したものであ
る。本実施例のテープ巻き装置におけるテープ張
力付与機構１５のブレーキ力伝動手段２４におい
ては、各リング状歯車３０，３０′をそれぞれ内
歯型にし、これらリング状歯車３０，３０′を伝
動系収納室２９の内壁即ち固定スタンド１の内壁
に軸受け３１，３１′を介して回転自在に支持さ
せた例を示したもので、その他の点は第１実施例
と同様の構成となつている。

上記各実施例では、第１の交差軸歯車３５，３
５′と第２の交差軸歯車３６，３６′としてそれぞ
れスクリユー歯車を用いたが、その代りに傘歯車
を用いることもできる。

第１実施例のような構成にすると、リング状歯
車３０，３０′等を主中空軸３の外周に横並びに
追加して行くことにより主中空軸３の先端側に設
置できるテープパツド１１，１１′等の数を６個
程度まで増加することができる。

第２実施例のように構成すると、主中空軸３の
先端側に設置できるテープパツド１１，１１′等
の数を第１実施例の６個程度より更に飛躍的に増
加させることができる。

（考案の効果） 以上説明したように本考案によれば、従来のよ
うに伝動中空軸を主中空軸に対して多重に同心配
置する必要がなくなり、伝動軸を主中空軸の外周
に周方向に位置を異にして配置しているので、ブ
レーキ力伝動系の構造上の制約がゆるくなり、主
中空軸の先端部に対するテープパツドの取付け個
数を増加できる。また、本考案では、ブレーキ力
伝動系の片側部分を固定スタンドの支持区間内に
配置しているので、オーバーハング状態が短くな
り、安定性が向上し、高速回転も行うことができ
る。更に、本考案のようにブレーキ力の伝動を複
数本の細い伝動軸で行うと、ブレーキ力伝動系の
慣性モーメントを大幅に小さくすることができ、
テープ張力の設定範囲を下側領域を広げることが
できる。かつまた、本考案によれば、多重構造と
異つて、パツド数を増加させても、全数慣性モー
メントを容易に均一化でき、各テープ間の張力を
全体的に一様にすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のテープ巻き装置の縦断端面図、
第２図及び第３図は本考案に係るテープ巻き装置
の第１、第２実施例の縦断端面図である。 １……固定スタンド、２……軸受、３……主中
空軸、４……伝動ベルト、５……伝動プーリ、６
……軸受、７……ホローシヤフト、８……被巻装
線条体、１０，１０′……テープパツドホルダー、
１１，１１′……テープパツド、１２，１２′……
テープ、１３，１３′……ガイドロール、１４…
…テープ巻き装置本体、１５……テープ張力付与
機構、１６，１６′……ブレーキ手段、１７，１
７′……伝動プーリ、１８，１８′……伝動ベル
ト、１９，１９′……伝動プーリ、２４……ブレ
ーキ力伝動系、２９……伝動系収納室、３０，３
０′……リング状歯車、３１，３１′……軸受、３
２，３２′……遊星歯車、３３，３３′……伝動
軸、３４，３４′……軸受、３５，３５′……第１
の交差軸歯車、３６，３６′……第２の交差軸歯
車。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 固定スタンドに回転自在に支持されて回転駆動
   源により回転駆動される主中空軸の先端寄りの外
   周に複数のテープパツドホルダーが径方向に突出
   した状態で回転自在に支持され、前記各テープパ
   ツドホルダーには固定系にそれぞれ設置されたブ
   レーキ手段とこれらブレーキ手段と対応する前記
   テープパツドホルダーとを連結してブレーキ力を
   伝動するブレーキ力伝動手段とから成る複数のブ
   レーキ力付与機構が設けられ、前記各テープパツ
   ドホルダーにそれぞれ支持されたテープパツドか
   らの各テープが前記主中空軸の回転につれてその
   中を通過する線条体の外周に巻き付けられるよう
   になつているテープ巻き装置において、前記各ブ
   レーキ力伝動手段は前記固定スタンドの支持区間
   内で前記主中空軸の外周にその長手方向に位置を
   異にして同心配置されて前記各ブレーキ手段から
   ブレーキ力がそれぞれ伝動される複数のリング状
   歯車と、前記各リング状歯車に個々に相対応して
   噛み合わされ且つこれらリング状歯車に対する周
   方向の位置が異なるように配置された複数の遊星
   歯車と、前記各遊星歯車に相対応して前記主中空
   軸の外周に平行する向きで該主中空軸の周方向に
   対する位置を異にして回転自在に支持されて一端
   にその相対応する遊星歯車がそれぞれ固定されて
   いる複数の伝動軸と、前記各伝動軸の他端側に
   個々に固定されている複数の第１の交差軸歯車
   と、前記各テープパツドホルダーに個々に同心状
   に固定されていて相対応する前記第１の交差軸歯
   車に噛み合わされている複数の第２の交差軸歯車
   とから成つていることを特徴とするテープ巻き装
   置。