JPS6366610B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 開示技術は油井管等の耐蝕二重管の製造に際
し、帯状鋼板をスパイラル状に巻装して製造する
技術分野に属する。

〈要旨の概要〉 而して、この発明は断面円形に完成されたステ
ンレス製等の冷却状態の耐蝕性内管に対し炭素鋼
製等の外管を加熱状態にして外装させて一体化さ
せ、外管冷却、内管昇温による収縮膨脹を介して
の内外管の嵌合代により緊結させるようにした二
重管製造方法に関する発明であり、特に、該内管
を冷却状態にして回転させ、これに対して外管素
材の帯状鋼板を加熱状態にしてスパイラル状に内
管外面に巻装密着させると共に巻装スパイラル帯
状鋼板相互の接合端縁を溶接等により結合して固
定し、該結合により外管部とされた部分は内管に
より冷却されて収縮していき、外管完成後は内管
が自然放置等の昇温により膨脹し、外管の冷却収
縮と相俟つて内外管が自緊し、高い嵌合度が得ら
れるようにした二重管の製造方法に係る発明であ
る。

〈従来技術〉 周知の如く、油井管、プラント配管等に於いて
は耐圧性、耐熱性機能を具備すると共に耐蝕性機
能をも具備し、しかも、軽量で安価な経済条件を
満たす腐蝕性流体輸送用の各種配管が採用され、
一般には第１図に示す様に、外管１に上記耐圧、
耐熱機能を持たせ、内管２に耐蝕性を具備させる
ようにした二重管３が採用されてきている。

而して、該種耐蝕二重管３に於いては稼動中に
内外管の間にギヤツプが生ずると、インプロージ
ヨン等の原因となるので、製造時に高い嵌合度を
必要とする。

そこで、これに対処するに、種々の二重管製造
が開発されてきているが、例えば、液圧拡管法で
は嵌合度が充分高く得られず、したがつて、高圧
稼動状態で内管に引張り応力が生じ、所謂応力腐
蝕割れが生ずる欠点があり、又、焼嵌め法では装
置が大がかりでコスト高となる不利点があり、
又、長尺管が得られ難いという難点等があり、均
一な嵌合度を得る精度管理も煩瑣である不具合が
あつた。

〈発明が解決しようとする問題点〉 この発明の目的は上述従来技術に基づく二重管
製造方法の問題点を解決すべき技術的課題とし、
冷却した内管を回転状態にし、加熱した帯状鋼板
を該内管外面にスパイラル状に巻装して接合線相
互を結合することにより、嵌合精度を均一にし、
しかも、長尺管が得られ、熱膨脹収縮を介して高
い嵌合度を得ることが出来るようにして各種産業
における配管技術利用分野に益する優れた二重管
製造方法を提供せんとするものである。

〈問題点を解決するための手段・作用〉 上述目的に沿い先述特許請求の範囲を要旨とす
るこの発明の構成は前述問題点を解決するため
に、ステンレス製等の耐蝕性内管を冷却状態にし
て回転させ、これに対し炭素鋼製等の帯鋼板を加
熱状態にして内管外面にスパイラル状に密着巻装
しつつ、巻装スパイラル状帯鋼板相互の端縁を溶
接等により結合して外管部を形成させていき、該
形成された外管部は内管により冷却されて収縮
し、緊結状態を現出するようにされ、而して、こ
のようにして内管に対して外管が一体緊結された
後は二重管を大気中に放置する等により内管が昇
温し膨脹し、外管は冷却して収縮し、両者相俟つ
て高い嵌合度が得られるばかりでなく、内管に圧
縮残留応力が形成されて据付後の稼動時に応力腐
蝕割れが生じないようにした技術的手段を講じた
ものである。

〈実施例〉 次に、この発明の１実施例を第２，３図に基づ
いて説明すれば以下の通りである。尚、第１図と
同一態様部分は同一符号を用いて説明するものと
する。

設定径、肉厚、長さのステンレス製の内管２は
所定のスイーベルジヨイント４，４′を介して図
示しない架台上に回転可能に載置セツトされ、一
端はモータ５により回転可能にされるようにされ
ている。

そして、上記スイーベルジヨイント４，４′の
一方は調圧弁６を有する給水管７を介して、例え
ば、10℃程度に冷却された水道水を圧送する図示
しないポンプに接続され、他方のスイーベルジヨ
イント４′は流量調整弁８を介して排水管９に接
続されている。

又、TIG溶接装置１０が溶接ガン１１を内管２
に近接するようにされると共にガイド１２を該内
管２に当接させ、図示しないレールに沿い適宜駆
動装置により内管２の軸方向に沿つて移動可能に
併設されている。

一方、１３は設定幅、厚みを有する炭素鋼製の
外管素材としての帯鋼板であり、リール１４から
繰り出され、高周波誘導加熱装置１５を通り、設
定温度に加熱されるようにされている。

尚、該高周波誘導加熱装置１５、及び、リール
１４は上記溶接装置１０と連係され、同じく図示
しないレールにより内管２と同軸方向に駆動装置
を介して進行可能にされている。

そこで、内管２をモータ５により設定速度で回
転させると共に調圧弁６、流量調整弁８を調整
し、スイーベルジヨイント４，４′を介して冷却
水道水を内管２内に所定圧力の加圧状態で充満裡
に流過させ、該内管２の断面円形状態を保持する
ようにする。

而して、リール１４、及び、加熱装置１５と溶
接装置１０を内管２と同軸方向に設定速度で移動
しながら帯鋼板１３を該ール１４から繰り出し、
高周波誘導加熱装置１５を通して設定温度に加熱
し、先端を図示しない適宜クランプ装置により内
管２端に固定し、該内管２に対しスパイラル状に
巻装していく。

この場合、溶接装置１０のガイド１２により内
管２の外面にスパイラル状に巻装される帯鋼板１
３の相互の接合端縁１６，１６を密着させるよう
にすると共に溶接ガン１１により該接合端１６，
１６縁相互をTIG溶接により結合（17）してい
く。

尚、この場合、第３図に示す様に、内管２に溶
融金属が溶け込み、相隣る帯鋼板１３，１３と内
管２とを一体溶接するようにしても良い。

このようにして外管部１′が形成されるが、前
述の如く内管２が水道水により冷却されているた
め、該外管部１′は伝熱と放射により冷却収縮さ
れて内管２に緊結され、充分な嵌合度を形成して
いくが、併せて、内管２に圧縮残留応力も形成し
ていく。

この場合、第３図に示す様に、内外管が溶接一
体化されている場合は、特に、その効果が著し
い。

このようにして外管１が形成される。

そして、最後に内管２の軸方向設定位置までス
パイラル帯鋼板１３が一体溶接巻装されたら適宜
カツタにより帯鋼板１３を切断して適宜に端部を
固定する。

そして、内管２に対する冷水供給を停止し、該
内管２内から冷却水を排水し、スイーベルジヨイ
ント４，４′から二重管３を取り外し、大気に放
置する。

それにより、内管２は自然昇温し、二重管３は
自然温度になり、したがつて、内管２は昇温膨脹
し、スパイラル外管１の大気放置による冷却収縮
と相俟つてより嵌合度が大きくなり、緊結強化さ
れ、内管２に圧縮残留応力がより大きく形成され
る。

したがつて、製品二重管３をユニツト二重管と
して継手を介して所定長に配管して稼動すると、
インプロージヨン、応力腐蝕割れも生じない。

尚、この発明の実施態様は上述実施例に限るも
のでないことは勿論であり、例えば、内管内に芯
金を入れたり、保形型を挿入する等したり、内管
に巻装する帯鋼板の端縁相互については工業用接
着材を介して結合したり、その場合、内管とも接
合することも可能であり、又、二重、三重以上の
スパイラル複重管も製造可能である等種々の態様
が採用可能である。

〈発明の効果〉 以上、この発明によれば、耐蝕二重管の製造方
法において、内管を冷却状態にして回転し、これ
に対して外管素材の帯鋼板をスパイラル状に巻装
してその相互端縁を溶接、接着等により結合させ
て一体化させることにより、外管はスパイラル巻
装過程で緊密に内管に接合され、しかも、長尺管
製造が可能になり、製造段階で形成された外管部
が冷却内管により冷却され、収縮して嵌合度を有
し、内管に圧縮残留応力を形成していくという優
れた効果が奏される。

又、製造後の二重管を大気中に放置する等によ
り内管が昇温され膨脹し、外管の冷却による収縮
と相俟つてより嵌合度が高まり、強い緊結状態が
得られ、圧縮残留応力も大きく得られる優れた効
果がある。

更に、スパイラル巻装過程で帯状鋼板に一定の
テンシヨンをかけて密着させていくため、全体的
に嵌合度、緊結の精度が均一に保証され、製品精
度が高まる効果も奏される。

【図面の簡単な説明】

第１図は二重管の部分切截斜視図、第２図はこ
の発明の１実施例の概略斜視図、第３図はスパイ
ラル帯鋼板溶接部の内管への嵌合断面図である。 ２……内管、１……外管、３……二重管、１３
……帯鋼板、１６……接合端縁、１′……外管部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 耐蝕性内管に対し外管を緊結一体化させる二
   重管の製造方法において、該内管を冷却状態にし
   て回転させ、而して予め加熱状態にした帯状鋼板
   を該回転内管の外面に対しスパイラル状に密着巻
   装しつつ、巻装する加熱状態の帯状鋼板相互の接
   合端縁を一体的に結合して外管部を形成させなが
   ら冷却させ、外管巻装後の内管を昇温させて内管
   と外管に緊結を生じさせるようにしたことを特徴
   とする二重管製造方法。