JPS6364816B2

JPS6364816B2 -

Info

Publication number: JPS6364816B2
Application number: JP2260681A
Authority: JP
Priority date: 1981-02-17
Filing date: 1981-02-17
Publication date: 1988-12-13
Also published as: JPS57138061A

Description

【発明の詳細な説明】本発明はマスタの抗磁力が比較的小さくても、
複写効率が極めて良い磁気複写方式を得ることを
目的とする。

従来、接触式磁気複写方式に於て、マスタの抗
磁力はスレーブの2.5倍以上が必要とされ、それ
以下の場合、マスタに消磁が発生しない範囲のバ
イアス磁界では充分な複写効率が得られないとい
う問題があつたが、ビデオテープの複写等の高密
度記録の複写に関しては、スレーブの抗磁力に少
なくとも600エルステツド、望ましくは800エルス
テツド以上が必要となり、マスタとしては2000エ
ルステツド程度の極めて高い抗磁力の磁気記録媒
体が必要とされてきている。ところがこのような
高抗磁力媒体は製造が難しく、価格も極めて高い
ため、高密度記録の複写装置の普及が著しく妨げ
られている。

本発明は上記現状に鑑み、斜方向に磁気異方性
を有する磁気記録媒体の画期的な活用により、マ
スタの抗磁力が比較的小さくても、複写効率が飛
躍的に高い磁気複写方式を提供するものであり、
以下図面を用い詳細な説明を行なう。

第１図は本発明による磁気複写方式の模式図で
ある。図においてｘ方向が磁気記録の方向であ
り、ｚ方向がマスタ及びスレーブに垂直な方向で
ある。なお本図はxz方向断面図である。１はマ
スタ、２はその基材、３はマスタの磁性層、４は
スレーブ、５はその基材、６はスレーブの磁性層
であり、７及び８は斜めに磁界を発生するバイア
ス磁界印加ヘツドである。xz面内に於てＡはｘ
軸と＋45゜の方向、Ｂは−45゜の方向とする。図に
於て、マスタ磁性層３はＢ方向に測定した残留磁
化の強さBr（−45゜）がＡ方向に測定した値Br（＋
45゜）より25％以上大きく、また、スレーブ磁性
層６はＡ方向に測定した残留磁化の強さBr（＋
45゜）がＢ方向に測定した値Br（−45゜）より25％
以上大きい斜方向磁気異方性の材料を用いている
ことが本発明の特徴である。図においてバイアス
磁界がマスタの磁化困難方向に印加されるため、
マスタの抗磁力が比較的小さくても消磁されにく
く充分なバイアス磁界を印加することが可能であ
る。さらに、スレーブはバイアス磁界方向が磁化
容易方向であるため、極めて複写効率が良くな
る。

次に第２図は本発明の効果について調べた実験
データを示し、バイアス磁界とマスタ及びスレー
ブの出力の関係を示す。図中は本発明に係るデ
ータで、マスタはBr（−45゜）がBr（＋45゜）より25
％大きく、ｘ方向の抗磁力が1400エルステツド、
ｘ方向の残留磁化の強さが2500ガウスのコバルト
合金系斜蒸着媒体を用い、スレーブはBr（＋45゜）
がBr（−45゜）より25％大きく、ｘ方向の抗磁力が
800エルステツド、ｘ方向の残留磁化の強さが
4000ガウスのコバルト合金系斜蒸着媒体を用い
た。は第１図の如き構成のバイアス磁極により
ほぼＡの方向の斜めのバイアス磁界を印加したデ
ータであり、はと同じマスタとスレーブを用
いソレノイドでほぼｘ方向にバイアス磁界を印加
したデータである。次にはマスタとしてはBr
（−45゜）がBr（＋45゜）とほぼ同じで、ｘ方向の抗
磁力が1400エルステツド、ｘ方向の残留磁化の強
さが2500ガウスの鉄合金粉末系塗布型媒体を用
い、スレーブはBr（＋45゜）がBr（−45゜）とほぼ同
じでｘ方向の抗磁力が800エルステツド、ｘ方向
の残留磁化の強さが4000ガウスのコバルト合金系
メツキ媒体を用いた。のバイアス磁界はと同
じ条件で印加した。第２図で明らかな様に通常の
の方式では抗磁力が800エルステツドのスレー
ブに対し1400エルステツドのマスタでは複写効率
が極めて悪く、充分な出力が得られないうちにマ
スタの消磁が発生してしまう。の如く斜異方性
の媒体を用いると複写効率が向上し、の如くさ
らに斜方向のバイアス磁界を用いると、さらに飛
躍的に複写しやすくなり、マスタ消磁も発生しに
くくなるため、1400エルステツドのマスタを用い
ても800エルステツドのスレーブに充分な高出力
の複写が可能になつた。尚、バイアス磁極の形状
に関しては種々の形状のヘツドを試作検討した結
果、適切なコア形状及びギヤツプ幅を選定すれば
通常の磁気記録或は消磁に用いられる様なリング
ヘツドでも斜磁界成分が利用できるため、とほ
ぼ同等の特性が得られることが明らかになつた。

第３図及び第４図はスレーブ及びマスタの斜異
方性の強さと実用特性の関係を求めた実験データ
を示す。第３図は第２図で用いたマスタとバイ
アス磁極を用いて、マスタ出力低下が１デシベル
以内でスレーブ出力を最大にする最適バイアス磁
界を印加した場合のスレーブ出力とスレーブの
Br（＋45゜）とBr（−45゜）の比との関係を示す。
Br（＋45゜）がBr（−45゜）に比べ25％以上高い磁性
層を用いたときに複写効率が著しく向上してスレ
ーブ出力が急増している。次に第４図は第２図
で用いたスレーブとバイアス磁極を用いてマスタ
出力低下が１デシベル以内でかつスレーブ最大出
力がを同程度であるためのマスタのｘ方向抗磁
力の値と、マスタのBr（−45゜）とBr（＋45゜）の比
との関係を示す。この場合もBr（−45゜）がBr（＋
45゜）より25％以上高いとき、マスタが消磁され
にくく、低い抗磁力のマスタで充分な特性が得ら
れるようになる。尚第３図はスレーブのｘ方向の
抗磁力及び残留磁化のほぼ等しいものどうしの関
係を示し、第４図は同様にマスタのｘ方向の抗磁
力及び残留磁化のほぼ等しいものどうしの関係を
示している。本発明者は後述の各種媒体製作条件
のもとで抗磁力400エルステツドから2000エルス
テツド、残留磁化の強さ1000ガウスから15000ガ
ウスまでの範囲で確認したが、特異点はなく、ス
レーブ及びマスタの限定要件は磁化の容易軸の方
向及び異方性の強さにあることを確認している。

次に本発明において用いるスレーブ及びマスタ
を得るための製造方法に関して述べる。

〔方法１〕真空中でコバルト或はコバルトを主成分とする
合金を斜め蒸着した。複写効果向上に必要な異方
性〔即ちBr（＋45゜）がBr（−45゜）に比べ25％以上
大きい或は小さい〕を得るためには、結晶軸異方
性が強いことが必要であり、結晶形がhcpでしか
も、そのｃ軸の配向性が良くなければならない。
実験の結果、蒸気入射角が15゜以上でしかも残留
ガス中の酸素分圧が５×10^-6Torr以上のとき、
蒸着速度が100Å／秒から2000Å／秒の範囲で目
的の特性が得られた。この方法ではBr比が＋25
％から＋80％の試料が再現性良く得られた。尚、
鉄及びニツケルを主成分とする合金を蒸着した場
合でも＋25％以上のものが得られたが、条件的に
狭く、＋30％以上のものの製作は困難であつた。

〔方法２〕コバルト・リン合金等をメツキした媒体におい
ても、メツキの際に50エルステツド以上の磁場印
加と、液の流れの最適化によりBr比が＋25％か
ら＋40％の試料が得られた。

〔方法３〕コバルト添加酸化鉄磁性粉を有機バインダに混
入し基材に塗布したのち、半硬化の状態において
斜方磁場を印加して配向させた。20キロエルステ
ツドの磁場で、ポールピース形状を工夫した結果
最高で＋30％の試料が得られた。

尚、本発明は上述の並列走行方式に限定される
ものではなく、一括巻取方式や熱転写効果を加味
した方法など種々の磁気複写方式に適用が可能で
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による磁気複写方式の構成を示
す図、第２図は本発明の効果を示す図、第３図は
本発明におけるスレーブの斜異方性の強さと効果
を示す図、第４図は本発明におけるマスタの斜異
方性の強さと効果を示す図である。１……マスタ、２，５……基材、４……スレー
ブ、３，６……磁性層、７，８……磁性層。

Claims

【特許請求の範囲】

１マスタとスレーブとを対向せしめ磁気複写を
行なう磁気複写方式に於て、磁気記録方向を含み
上記マスタ及びスレーブの磁性層に垂直な面内に
て上記マスタ及びスレーブの磁性層面となす角度
が45゜である方向をＡ方向、−45゜である方向をＢ
方向とすると、磁性層を上記Ｂ方向に測定した残
留磁化の強さが上記Ａ方向に測定した値より25％
以上大きなマスタと、同じく磁性層を上記Ａ方向
に測定した残留磁化の強さが上記Ｂ方向に測定し
た値より25％以上大きいスレーブを用い、上記Ａ
方向又はＡ方向に近い方向にバイアス磁界を印加
することを特徴とする磁気複写方式。