JPS6361885B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は溝切装置、播種装置、覆土装置及び
鎮圧装置を備えた播種機に装着した種子の繰出し
装置に関する。

従来の種子繰出し装置として、底面より若干上
部位置に種子繰出ロールの円周面一部へ臨む種子
繰出孔が開口された種子ホツパーと、そのホツパ
ーの内部に回転自在として軸架された種子繰出ロ
ールとからなり、その繰出ロールの円周面上に一
定間隔をおいて突設した種子掻出用の弾性突起に
より、その繰出ロールの回転に伴ない種子を弾力
的に掻き上げつゝ、上記繰出孔からホツパー外へ
放出させるよう設定したものがある（実開昭55−
29177号公報参照）。

しかしながら、この従来の種子繰出し装置は、
繰出ロールの円周面上に一定間隔をおいて突出さ
せた種子掻出用弾性突起により、そのロールの回
転に伴なつて種子を弾力的に掻き上げて放出する
ものであるから、種子に傷をつけることがないと
いう利点がある反面、弾性突起により種子を掻き
上げ放出させるときに、急激な振動の発生等によ
り種子が該弾性突起から落ちて確実に繰出孔へ送
り出すことができないという欠点がある。

あるいはまた、種子繰出孔がホツパー底面より
若干上部位置に設けられていようとも、種子を播
く場所が凹凸（起状）の激しいところであつた
り、傾斜面であつたりした場合、播種機全体が傾
斜することゝなり、種子繰出孔がホツパー底面よ
り若干上部に設けられていることが全く無意味と
なり、弾性突起によらなくとも種子繰出孔から連
続的に種子が放出されてしまうという難点があつ
た。

また一般に種子にはその内部に油があるため、
該種子が繰出時につぶれたりすると種子の繰出通
路に油がくつついてスムーズに種子を系外に放出
させることができないという事実がある。

この発明は上記の点に鑑みなされたもので、そ
の目的とするところは、種子の繰出しに際し、急
激な振動を発生等があろうとも、また種子を播く
場所が凹凸（起状）のある場所あるいは傾斜面で
ある場合でも、定量の種子を何ら損傷させること
なく確実に繰出孔に供給できるようにした種子の
繰出装置を一般に提供することにある。

以下、この発明の一実施例を図面により説明す
る。

なお、播種機は人力型手押式であろうと動力型
歩行式であろうと、いずれの場合にも適用できる
が、本実施例では後者の歩行用型トラクターにつ
いて説明する。まず歩行用型トラクターを概説す
ると、１は二軸の歩行用型トラクターで、二つの
動輪２の上に塔載したトラクター本体３にエンジ
ン４、燃料タンク５及び二本のロツド状のハンド
ル６を備えた通常のタイプのものが使用される。
７は動輪２の接地面と同一平面上にあり、該動輪
の後方に位置するように配設した整地ローラで、
トラクター本体３の縦杆８の下部に直交する如く
固設した横杆９を介して回動自在に支承されてい
る。１０は整地ローラ７の背後に所定間隔をおい
て設置した覆土板で、該覆土板上方に配設した棒
体１１の嵌合部分をボルト・ナツト１２で締結し
て適宜高さ調整ができるようにしている。１３は
覆土板１０の背後に所定間隔をおいて設置した鎮
圧ローラで、該鎮圧ローラは前記横杆９の両端部
に連結したそれぞれの連結棒１４の端部で支承す
ると同時にクツシヨン装置１５を備えている。１
６は整地ローラ７と覆土板１０との間に設けた播
種溝切り板で、該播種溝切板１６はトラクター本
体３と連結して垂下する突杆１７に固設されてお
り、その設置個数は１回に作条する条数によつて
１個又は複数個設ける（本例では巾方向に所定間
隔をおいて３個併設した場合を示す。播種溝切り
板１６はその後部底面が地面より溝の深さ分だけ
沈んでおり、その前部１６′は後部１６″より浮き
上り、次第に上方に反り上つた舟型形状１６ａを
しており、またその後部の中央に種子を落下させ
る略放物線状の切欠き部１８を設ける。

次に本発明に係る種子の繰出し装置について説
明する。

種子の繰出装置は、ホツパー２０と、該ホツパ
ーに管２１を介して連結した種子分配箱２２と、
該種子分配箱を貫通し、種子分配箱の内底面に摺
接状態で往復動する種子穴２４を備えた移送板２
３と、該移送板の移動一端部で合致する如く対応
する位置の分配箱２２の底面に穿設した種子繰出
し穴２５と、該種子繰出し穴相当の上方に位置
し、移送板２３上を弾圧する如く設置した弾圧部
材３３と、前記種子繰出し穴に連結し、種子分配
箱２２の外側に配設した導入管１９とよりなる。
移送板２３の往復移動手段は二つの動輪２を連結
するシヤフト２７に固設したスプロケツト２８
と、トラクター本体３の後方に軸架したカム２９
付きスプロケツト３０との両者にチエーン３１を
掛け、移送板２３の一端がスプリング３２の弾圧
力に付勢されて前記カム２９に圧接しており、該
カムの回動により移送板２３が往復移動するもの
である。なお、移送板の往復移動手段は、上記以
外に例えば人力型手押式の場合は、別の適当な手
段がとられることは勿論である。また分配箱２２
の底面に穿設した種子繰出し穴２５相当の上方位
置には、移送板２３上を弾圧する如くバネ等の弾
圧部材３３を設置しておき、移送板２３に穿設し
た種子穴２４に所定量の種子しか入らないように
一種のしごきを与えるようにしている。種子分配
箱２２を貫通して往復動する移送板２３を通して
１回当り種子繰出し穴２５に供給される種子量
は、種子穴２４の大きさと移送板２３自体の板の
厚み如何によつて決まるものであつて、種子穴２
４に種子がいつぱい充填され、さらにその穴の上
に種子が貯まろうとも、該種子は弾性部材３３に
より種子を傷めないようにしてしごかれ、それ以
上供給されないようになつている。

さらに移送板２３の他端部には、レバー３４を
取付け、ハンドル６の手元に設けたクラツチ３５
を押したときに、スプリング３２に抗して移送板
２３がカム２９から離反するように、レバー３４
とクラツチ３５の両者をワイヤー３６で連結す
る。図中Ａは種子を示す。２６は種子繰出し穴２
５に連通する如く種子分配箱２２の底部外側に突
出した接続管である。種子を落下導入する導入管
１９はその一端部を接続管２６に接続し、その他
端部を前述の播種溝切り板１０の切欠き部１８相
当の位置に配設している。本例では３本の導入管
１９からそれぞれ種子を落下させた場合を示す。

次に本発明の動作状態について説明する前に、
トラクターの概略動作状態について述べると、ま
ずトラクター１のエンジン４を始動させ、ハンド
ル６を持つて二つの動輪２を介して耕地の上を走
行させると、整地ローラ７によつて耕地の整地が
行なわれ、次いでその整地された後を播種溝切り
板１６によつて播種用の溝切りが行なわれる。本
例では一度に３条の溝切りができる。この溝切り
作業中に、該溝切り板１６はその底面が舟型形状
であるため、棒切れやゴミなどがこれにまつわり
つくようなことがなく、簡単に作条できる。そし
てその溝を切つた後を導入管１９を介して落下し
てくる種子Ａが播種溝切り板１６の切欠き部１８
の位置に播かれることゝなる。該播種用溝に種子
を播いた後は、その上に覆土板１０で土を覆せ、
最後に鎮圧ローラ１３で覆せた土を固めて一連の
作業を終る。なお、一方向の走行を終えて向きを
変えて隣接位置に播種機を移動しようとするとき
には、ハンドル６に設けたクラツチ３５をいつぱ
いに掴めば種子の落下が一時的に停止する。以後
上記作業を繰返し行なう。

本発明に係る装置の種子の繰出し操作は、第４
図ａ〜ｅに示すように、次のように行われる。

即ち、ホツパー２０に供給した種子が管２１を
介して種子分配箱２２に入り、該分配箱２２に入
つた種子は移送板２３の種子穴２４および該種子
穴上に盛られており（第４図ｂ参照）、常時カム
２９に圧接している移送板２３が一番左側に位置
しているときには（第４図ａ参照）、種子穴２４
は完全に種子繰出し穴２５から離れた位置にあつ
て種子は落下せず、またカム２９の回転に伴い次
第に移送板２３が右側に移動し、種子穴２４と種
子繰出し穴２５の一部が重なり始めると、移送板
２３上に弾圧している弾性部材３３によつて種子
穴２４上に盛られている種子が除外され、予め種
子穴２４に入つていた種子Ａの一部は種子繰出し
穴へと落下することゝなる（第４図ｄ参照）。そ
して種子穴２４と種子繰出し穴２５が完全に一致
した一番右側に位置したときには、種子穴２４の
上部は弾性部材３３で完全に塞がれており、種子
穴２４に入つている種子が完全に種子繰出し穴２
５側に落下する（第４図ｃ，ｅ参照）。こうして
移送板２３はカム２９の回転により一定の周期を
もつて左右に往復移動を繰返し、所定量の種子を
導入管１９を介して播種用溝に一定間隔をおいて
播くことができる。

この発明は上記の説明から判るように、溝切装
置、播種装置、覆土装置および鎮圧装置を備えた
播種機において、ホツパーと、該ホツパーに連結
した種子分配箱と、該種子分配箱を貫通し、種子
分配箱の内底面に摺接状態で往復動する種子穴を
備えた移送板と、該移送板の移動一端部で合致す
る如く対応する位置の分配箱の底面に穿設した種
子繰出し穴と、該種子繰出し穴相当の上方に位置
し、移送板上を弾圧する如く設置した弾圧部材
と、前記種子繰出し穴に連結し、種子分配箱の外
側に配設した導入管とを備えたことを特徴とする
種子の繰出し装置であるから、播種機の種類を問
わず、種子の繰出しに際し、該装置に急激な振動
等が加わろうとも、また種子を播く場所（耕地）
が凹凸（起状）のある場所あるいは傾斜面である
場合でも、移送板の種子穴中に充填された種子を
弾圧部材により何ら損傷させることなく定量とな
る如くしごきながら確実に繰出し孔に供給できる
という優れた効果を奏する。

従つて播種作業に何ら負担をかけることなく順
調に行なわれ、大巾な作業能率の向上が期待さ
れ、この種分野における利用価値は極めて高いも
のである。

【図面の簡単な説明】

第１図はトラクターに本発明装置を組込んだ場
合を示す斜視図、第２図は本発明に係る種子繰出
し装置の概略斜視図、第３図は移送板の平面図、
第４図ａ〜ｅは移送板の移動状況を示す断面説明
図である。 ７……整地ローラ、１０……覆土板、１３……
鎮圧ローラ、１６……播種溝切り板、１９……導
入管、２０……ホツパー、２２……種子分配箱、
２３……移送板、２４……種子穴、２５……種子
繰出し穴、３３……弾性部材。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 溝切装置、播種装置、覆土装置及び鎮圧装置
   を備えた播種機において、ホツパーと、該ホツパ
   ーに連結した種子分配箱と、該種子分配箱を貫通
   し、種子分配箱の内底面に摺接状態で往復動する
   種子穴を備えた移送板と、該移送板の移動一端部
   で合致する如く対応する位置の分配箱の底面に穿
   設した種子繰出し穴と、該種子繰出し穴相当の上
   方に位置し、移送板上を弾圧する如く設置した弾
   圧部材と、前記種子繰出し穴に連結し、種子分配
   箱の外側に配設した導入管とを備えたことを特徴
   とする種子の繰出装置。