JPS6361598B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、空調、冷凍機器などに用いられる
プレートフインチユーブ熱交換器に関する。

この種の熱交換器は複数枚の並設されたフイン
に直角に複数本の伝熱管を貫通し、拡管などの手
段によつてフインと密着させている。

上記伝熱管内には冷温水、冷媒などの１冷流体
を流通させ、フイン間には空気などの２次流体を
流通させ、両流体間で熱交換を行なわせる。

このとき、フイン間を流れる空気流には、フイ
ンに沿つて、流れの境界層が生じ、境界層内の温
度勾配は、きわめて大きい状態、換言すれば、境
界層部分が大きな熱抵抗となつてくる。

この境界層は２次流体の流れ方向にしたがつて
厚く発達し、そのためフインの下流部分では著し
く熱伝達が低下する。

このように、プレートフインチユーブ熱交換器
では、２次流体側（フイン側）の熱伝達率が低い
ことが最も大きな問題である。

このフイン側熱伝達率を向上させるためには、
上述の境界層の形成、発達をさまたげることが有
効であり、従来からフイン面上の加工形状に関す
る種々の提案がなされている。

これらの改良の方策は大きく２通りに分けられ
る。その一つには、フイン面を折り曲げたり、フ
イン面に凸部凹部などを形成することにより、フ
インを積層したときに生ずる空気流路の拡大、縮
小方向転換などによつて、流れに乱れを促進した
り、境界層の形成を防げるようにする効果を狙つ
たものがある。

他の一つはフイン面を流れ方向に分断すること
により、境界層が未発達なフイン先端部の所謂前
縁効果を繰り返して、境界層を全体的にうすくお
さえることによつて熱伝達の向上を計るものであ
る。

たとえば、第１図、第２図（第１図のＡ−Ａ線
の断面図）に示す第１の従来例は、管挿入口２を
有する平板状のフイン基板１に管挿入口２の管段
方向と直角に多数の切り込みを入れ、この切り込
み細片を押し上げて多数の橋状の切り起し片（ス
トリツプ）３を形成し、フイン基板１を積層した
ときに、小さなストリツプ３の群が、結果的に錯
列配置されるように構成されたものである。

このように構成された熱交換器においては、小
さなストリツプが、空気流１００の境界層を分断
し、その形成、発達を妨げるため、フイン側の熱
伝達率は向上する。

ところが、この従来例ではストリツプ３が流れ
方向に平行な同一平面上に多数存在し、互に近接
しているために、上流側のストリツプ３によつて
形成された境界成層の影響を後流側のストリツプ
３が受け、個々のストリツプ３の前縁効果は十分
に活用されず、また小さいストリツプ３の集合で
フインが構成されているため、フインの強度上の
問題が存在する。

他の例としては、第３図、第４図（第３図のＢ
−Ｂ線の断面図）に示す、実開昭56−58184号公
報によつて開示されたものがある。この第３図、
第４図に示す第２の従来例は、ストリツプ５をフ
イン基板面４を軸として傾斜させたものである。

この従来例はフイン１枚で考えれば、上記従来
例のような問題は生じないが、実際に熱交換器と
して用いるときのように、フインが数ミリ間隔で
積層された場合、熱交換器に流入する空気の主流
方向は各ストリツプ５の傾斜に沿つて流れていく
ため、第４図に示す、ストリツプａとストリツプ
ｂの位置関係が、流れ方向に平行な同一平面状に
存在することになり、第１の従来例と同じよう
に、ストリツプ５の前縁効果は十分に活用されな
い。

また、この例においては、フインの積層ピツチ
を小さくすると、隣合わせたフインのストリツプ
間隔がより小さくなり、ストリツプ５の前縁効果
が大部分失われてしまうため、フインの積層ピツ
チに制約があるという問題もある。

このような欠点を改善するために、第３の従来
例として第５図、第６図（第５図のＣ−Ｃ線の断
面図）に示す、実公昭52−35575号公報で開示さ
れたものがある。

この第３の従来例では、「ストリツプを気流方
向に対して傾斜させて設けることにより、境界層
の発達方向とは異なる位置にストリツプ７を並ば
せるとともに、気流に乱れを生じさせて熱伝達の
向上を計るようにした」ものである。

この第３の従来例は、上記実公昭52−35575号
公報にも書かれているように、前縁効果を十分に
機能させるために、ストリツプ７をフイン基板６
に対して傾斜させ、境界層の発達方向に他のスト
リツプが配置されることを無くするという考えに
おいて考案されている。

しかし、この第３の従来例は、空気の主流方向
に対して乱れを生じさせたり、流れのはく離が生
じたりする欠点がある。すなわち、流れ方を模式
的に示した第７図で説明する。

この場合、空気流の主流方向が、第４図に示し
た第２の従来例のように傾斜ストリツプに沿つて
滑らかに流れない。この点は空気流の可視化実験
によつて容易に観測できる。

つまり第７図に示すように、平行ストリツプｃ
と傾斜ストリツプｄが、交互に混在しているた
め、整然と傾斜ストリツプｄが配列された第２の
従来例である第４図のように空気流１００の主流
がきれいにストリツプに沿つて流れず、第７図に
示すように、傾斜ストリツプｄの後流部分に流れ
の剥離を生ずる。

この剥離が生ずるということは、その部分のス
トリツプ近傍の流速が殆ど０となるに等しいか
ら、その部分での熱伝達は非常に小さくなり、逆
に風圧損失が非常に増大してしまうのである。

この第３の従来例としての上記公報にも、この
点は認めており、前出のように「気流に乱れが生
じ」としている。

しかし、空調機などのように層流領域で使う場
合は、前圧のように乱れ（実際は剥離）が生じて
は実用上不都合を生ずる。

他の従来例としては、実開昭56−144988号公報
に開示されたものがあり、第４の従来例として第
８図、第９図（第８図のＤ−Ｄ線の断面図）に示
す。同様な考え方としては、特開昭55−105194号
公報、特開昭57−131995号公報などがあり、これ
らは大略同一なものと考えられる。

この第４の従来例は、第３の従来例および第４
の傾斜ストリツプ５の両端を屈折させほぼ右下り
の階段状に形成したものと見なすことができ、前
出の波形フイン、台形フインを分断したものでも
あると言える。

第４の従来例の目的とするところは、前述した
第２の従来例の欠点を改良しようとするものであ
ることは言うまでもない。

しかしこの提案も、第９図に示すように、隣設
する右下りの階段状ストリツプ９のｅ，ｆにおい
て、前置ストリツプｅによつて形成される境界成
層速度場が、ストリツプｆに影響をおよぼし後流
側のストリツプの前縁効果が十分に生かされず、
後述する実験によれば、熱伝達率も、第２の従来
例にくらべて逆に低く、さらには風圧損失が増大
し、送風動力の増大、騒音の増加を招来するとい
う欠点がある。

この発明は、以上述べてきた従来例の諸欠点を
除去するためになされたもので、右下りの階段状
のストリツプと鏡対称関係になる右上りの階段状
のストリツプの間に平板ストリツプを介在させる
ことにより、熱伝達率の大なる向上と、風圧損失
の低減を達成できるプレートフインチユーブ熱交
換器を提供することを目的とする。

以下、この発明のプレートフインチユーブ熱交
換器の実施例について図面に基づき説明する。第
１０図はその一実施例におけるフインの平面図で
あり、第１１図は第１０図のＥ−Ｅ線の断面図で
ある。

この第１０図および第１１図において、フイン
基板１０に複数の伝熱管の挿入口２を設け、この
挿入口２の段方向の間に、段方向とは直角に適宜
長さの切り込みを入れ、この切り込みを流れ方向
に一つおきに断面形状が右下りの階段状のストリ
ツプ１１と右上りの階段状のストリツプ１２を配
置し、第１１図に示すような断面構造に形成す
る。

第１１図はフイン２枚が積層したときの断面図
である。前の説明で明らかのように、フインの断
面は、フイン基板１０と同一平面上に位置する平
板ストリツプ１３と、フイン基板１０と同一平面
上の平担部を中心にしてフイン基板１０の表裏に
またがるよう右下りの階段状のストリツプ１１お
よびそれと鏡対称関係にある右上りの階段状のス
トリツプ１２が交互に流れ方向に配置されてい
る。

このように構成されたフイン１１，１２を多数
枚積層したとき右下りの階段状のストリツプ１１
および右上りの階段状ストリツプ１２が互いに平
行に隣接する右下りの階段状のストリツプ１１、
右上りの階段状のストリツプ１２で囲まれる空間
で、２回折れ曲り流れ流路ａ１と、このすぐ後方
で、鏡対称関係となる２回折れ曲り流れ流路ａ２
とが組み合さつた波形流れ流路を形成する。

このような波形流路を通過する空気流ａは方向
転換を右下りの階段状のストリツプ１１、右上り
の階段状のストリツプ１２の部分で２度ずつくり
返して、前縁効果と合わせて全体の境界層が薄く
なり、熱伝達は向上する。

さらに、この発明の特徴である平板ストリツプ
１３を加えることによつて、性能を高めることが
できる。

第１１図に示すように、平板ストリツプｉによ
つて形成された境界層は右下りの階段状のストリ
ツプ１１（符号ｇで示す方）によつて主流方向が
偏向されたため、次の平板ストリツプ１３（符号
ｊで示す方）には影響をおよぼさない。

また、右下りの階段状ストリツプ１１（符号ｇ
で示す方）と右上りの階段状ストリツプ１２（符
号ｈで示す方）との間に平板ストリツプ１３（符
号ｊで示す方）が存在することによつて、両者の
間の流れ方向の距離が長くなる。

このため、右上りの階段状のストリツプ１２
（符号ｈで示す方）の前縁に影響を与えるその前
に設けられた右下りの階段状のストリツプ１１
（符号ｇで示す方）の境界成層は第４の従来例と
は異なつて、殆ど消滅するので、後流側の右下り
の階段状のストリツプ１１（符号ｈで示す方）の
前縁効果は十分に生かされ、高熱伝達率を得るこ
とができる。

更に、平板ストリツプ１３は階段状のストリツ
プ１１，１２の平担部を通つてフイン基板１０と
平行に流れる気流に対しても境界層破壊を促進す
るため、この点からも熱伝達率の向上が得られ
る。

また、第１１図から判明するように、フインを
積層した場合でも、隣の並設フインのストリツプ
とは、第２の従来例とは異なり、互に境界層の影
響を与えて前縁効果を阻害することはない。

これも右下りの階段状のストリツプ１１の中間
に平板ストリツプ１３を入れ、並設されたフイン
各々の右下りの階段状のストリツプ１１の位置が
離れた効果である。

さらに、第１１図の空気流を示す矢印ａ１，ａ
２のように、フイン間を空気流はゆるやかなカー
ブを画いて流れることになり、流れにおける剥離
や乱れを生ずることがない。

この発明の他の実施例として、前述の右上りの
階段状のストリツプの形状を曲り部の角をなめら
かにした右上りの階段状のストリツプとしても前
記実施例とほぼ同様の作用効果を奏する。

以上説明したようにこの発明のプレートフイン
チユーブ熱交換器によれば、管段方向に直角に隣
接伝熱管の間のフイン部に多数の切り込みを入
れ、この切り込みを流れ方向に一つおきに断面形
状が右下りの階段状のストリツプと右上りの階段
状のストリツプを配列し、フイン切り起し部の断
面構造が、階段状のストリツプの平担部と同一平
面上に位置する平板ストリツプと、右上りおよび
右下りの階段状のストリツプが流れ方向に交互に
配置されることにより、前縁効果が十分に発揮さ
れ、右下りおよび右上りの階段状のストリツプの
傾斜に沿つて流れを滑らかに誘導するから、剥離
などの乱れが生ぜず風圧損失の小さい、かつ熱伝
達率を非常に大きくすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は第１の従来例のフイン平面図、第２図
は第１図のＡ−Ａ線の断面図、第３図は第２の従
来例のフイン平面図、第４図は第３図のＢ−Ｂ線
の断面図、第５図は第３の従来例のフインの平面
図、第６図は第５図のＣ−Ｃ線の断面図、第７図
は第５図のフインの空気流相の模式図、第８図は
第４の従来例のフイン平面図、第９図は第８図の
Ｄ−Ｄ線の断面図、第１０図はこの発明のプレー
トフインチユーブ熱交換器の一実施例におけるフ
インの平面図、第１１図は第１０図のＥ−Ｅ線の
断面図である。 ２…伝熱管挿入口、１０…フイン基板、１１…
右下りの階段状のストリツプ、１２…右上りの階
段状のストリツプ、１３…平板ストリツプ。な
お、図中同一符号は同一または相当部分を示す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 一定間隔で並設され、その間を気体が流動す
   る複数枚のフインとこれらのフインに直角に貫通
   した複数本の内部を流体が流動する伝熱管より構
   成されたプレートフインチユーブ熱交換器におい
   て、前記伝熱管の段方向の間隔部の前記フイン
   に、フイン間を流れる気体の流れ方向に直交する
   方向にその平担部を中心にしてフインの表裏にま
   たがるように断面形状が右下りの階段状のストリ
   ツプとこの右下りの階段状のストリツプと鏡対称
   の位置関係に断面形状が右上りの階段状のストリ
   ツプを配置するとともに前記右下りの階段状のス
   トリツプと右上りの階段状のストリツプとの間に
   前記平担部と同一平面上に位置するよう平板スト
   リツプを配置してなることを特徴とするプレート
   フインチユーブ熱交換器。