JPS636143Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の利用分野〕 本考案はクレーン吊荷の振れ止め機構に係り、
振れが生じにくいばかりでなく、特に振れの減衰
に好適な機構に関するものである。

〔考案の背景〕

クレーンの吊荷の振れを止める方法には横行体
の速度を制御して行う方法と、振れを強制的に止
めるためにフツクブロツクに振れ止め用ロープを
巻上げロープとは別に掛け、振れる方向と逆方向
に水平力を与えて止める方法があつた。

しかし、前者は制御装置が非常に複雑であるば
かりでなく、風などの外乱に対し振れ止めがむず
かしく、また、非常に高価であると言う欠点があ
つた。後者は、振れ止め用ロープを張りめぐらす
ため構造が複雑で、ロープ、シーブ等保守部品が
多く、張力をかけながら巻上ロープと同期して振
れ止め用ロープを巻取り、巻もどしを行うための
ウインチが必要であり不経済となると云う欠点が
あつた。

〔考案の目的〕

本考案は従来の欠点をなくし簡単な構造で振れ
止めを可能とする機構を提供しようとするもので
ある。

〔考案の概要〕

本考案は、クレーンから巻上げ下げ自在に垂れ
下げた２本の巻上ロープを吊具の２個のロープシ
ーブに掛け渡した装置において、前記各ロープシ
ーブが吊具の振れ動作で互いに異なる方向へ回転
するように一方の前記巻上ロープとは異なるロー
プ経路を他方の前記巻上ロープに設定して前記一
方の巻上ロープを一方の前記ロープシーブに掛け
渡し、前記他方の巻上ロープを他方の前記ロープ
シーブに掛け渡して設け、前記各ロープシーブ間
に摩擦機構を設けたことを特徴としたクレーンの
吊具振れ止め装置である。

〔考案の実施例〕

以下、本考案の一実施例を第１図、第２図、第
３図、第４図に基づいて説明する。

第３図は本考案をケーブルクレーンに適用した
例を示すクレーン側面図である。４は横行体で機
械塔５と副塔６の間に張られた主索７の上を横行
する。横行体４には第２図の如く配置したシーブ
８，８ａおよび９，９ａが設けられ、機械塔５の
上に設けられた巻上ウインチ１１からの巻上ロー
プ１０，１０ａを第２図に示すロープ経路のよう
に掛け渡す。巻上ロープ１０，１０ａの掛け方を
第２図によつて説明する。巻上ウインチ１１に一
端を固定したロープ１０は機械上塔５のガイドシ
ープ１２を通り、横行体４に設けた手前側シーブ
８を通り、吊具Ａのロープシーブ２に通して横行
体４の反対側のロープシーブ９へと導いてたすき
状ロープ経路に掛けた後、副塔６のイコライズ装
置１３に他端を固定する。もう一本の巻上ロープ
１０ａは前述の巻上ウインチ１１に巻上ロープ１
０と同様に固定し、機械塔５上のガイドシープ１
２ａを通り横行体４の反対側シーブ９ａを通り、
吊具Ａのシーブ１と横行体４の手前側ロープシー
ブ８ａに掛けてＶ字状ロープ経路とし、その後イ
コライズ装置１３に他端を固定する。吊具Ａの各
シーブ１と２の間に摩擦機構３を設ける。

第４図はこの摩擦機構３の構造を示す断面図で
ある。１４はフツクでトラニオン１５を介してハ
ンガープレート１６，１６ａにより吊られてい
る。

ロープシーブ１，２は中空軸１７の廻りを転動
する。中空軸１７はハンガープレート１６，１６
ａに固定された軸１８に軸受１９，２０によつて
回転可能に取付けらる。中空軸１７の一端にはつ
ば１７ａを設け、ロープシーブ１のボス部との間
にライニング２１をはさむ。また、ロープシーブ
１とロープシーブ２の間にもライニング２２をは
さんで設け、ロープシーブ２の反対側にも同様に
ライニング２３を設ける。コイルばね２４は押え
板２５と中空軸１７に組み付けたナツト２６の間
に荷重をかける。ナツト２６は中空軸１７にねじ
込まれナツト２６の左右進退動作でコイルばね２
５のばね力を調整する。

以上のように構成された機構では巻上げ、下げ
するためにドラム１１を回転駆動すると吊具Ａの
シーブ１と２は同じ方向に等速で回転し巻上げ、
下げされるため摩擦機構３は働らかない。第１図
のＢ矢印の振れが生ずるとロープシーブ１はＣ矢
印方向へ回転しロープシープ２はＤ矢印方向へ回
転して両シーブ１，２は互いに逆方向へ回転する
作用を生ずる。このために、両ロープシーブ１，
２がライニング２１，２２，２３に対してすべり
を起して、このすべりによる摩擦により振れエネ
ルギーが消費され、吊具Ａの振れが抑制される。

また、コイルばね２４のばね力発生量をナツト
２６を左右へ移動させて調整することで、振れの
抑制率を調整できる。この調整は、巻上ロープ１
０，１０ａとロープシーブ１，２とのすべり摩擦
をでるだけ抑制する場合に有効である。

また、固定の軸１８に回転自在な中空軸１７を
取付け、この中空軸１７に２つのロープシーブ
１，２をそれぞれ単独で回転するように取付けて
いる。このため、巻上げ下げ時のロープシーブ
１，２は中空軸１７と共に軸１８に対して回転す
る。一方、振れ止め時のロープシーブ１，２は中
空軸１７に対して回転する。このため、最もひん
度の高い巻上げ下げ時にはナツト２６やコイルば
ね２４は中空軸１７と共に回転するのでナツト２
６がゆるんだりする恐れを少くでるものである。
また、２つのロープシーブ１，２を軸端側から圧
接するので、ロープシーブ１，２は市販のものを
そのまま利用できるものである。これらによつ
て、構成が簡単で信頼性の高い摩擦機構にできる
ものである。

〔考案の効果〕

本考案によれば巻上ロープの掛け方と摩擦機構
を設けるだけで振れエネルギーを摩擦により消費
するので簡単な構造で経済的に吊具の振れ抑制を
することができ、また、構成が簡単で信頼性の高
い摩擦機構を構成できるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例による装置の振れ状
態における各ロープシーブの回転方向を示した
図、第２図は本考案の一実施例によるケーブルク
レーンの巻上ロープ経路図、第３図は本考案の一
実施例によるケーブルクレーンの全体図、第４図
は第３図に示した吊具の拡大縦断面図である。 １，２，８，８ａ，９，９ａ……ロープシー
ブ、３……摩擦機構、４……横行体、１０，１０
ａ……巻上ロープ、１１……巻上ウインチ、Ａ…
…吊具。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 巻上げ下げ自在な２本の巻上ロープのそれぞれ
   を横行体の走行方向の一端側から吊下げ、そして
   吊具の２つのロープシーブにそれぞれ掛けた後、
   前記横行体の走行方向の他端側に支持させてなる
   クレーンにおいて、 前記吊具に固定した水平な一つの軸に一つの中
   空軸を回転自在に取付け、該中空軸には２つのロ
   ープシーブが各々単独で回転するように取付け、
   前記中空軸の一端のつば側から前記２つのシー
   ブ、コイルばね、及び該中空軸の他端のねじにか
   み合うナツトを順次配置して２つのロープシーブ
   を軸方向に圧接しており、 前記２本のロープのうちの一方のロープは前記
   横行体の走行方向の一端側から前記２つのロープ
   シーブのうちの一方のロープシーブに前記走行方
   向の他端側から同じく一端側に掛けた後、前記横
   行体の走行方向の他端側に支持させており、 他方のロープは前記横行体の前記一端側から他
   方のロープシーブの前記走行方向の一端側から同
   じく他端側に掛けた後、前記横行体の前記他端側
   に支持させてなること、 を特徴とするクレーンの吊具振れ止め装置。