JPS6358299B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は繊維強化プラスチツク製リーフスプリ
ングに関する。

自動車等の車両の懸架装置用のリーフスプリン
グとして、例えば、ガラス繊維のみによつて強化
した繊維強化プラスチツク製リーフスプリングが
あるが、このリーフスプリングは鋼製のリーフス
プリングに比べて、同じ幅であると横剛性が不足
し、乗り心地や操縦安定性が劣ることとなる。と
ころが、横剛性を上げるために幅を大きくする
と、他の部品と干渉したり、重量の増大をきたし
て軽量化の程度が減少する、など問題がある。

リーフスプリングの主たわみ方向、すなわち厚
み方向に、炭素繊維とかアラミド繊維、その他の
高弾性繊維帯とガラス繊維帯とをサンドイツチ状
に積層して成形したいわゆるハイブリツドタイプ
のリーフスプリングも開発されている。このリー
フスプリングによれば、高弾性繊維はリーフスプ
リングの主たわみ方向の中立軸から所定距離隔て
て配置されていることにより、厚み方向の剛性を
合理的に上げることができ、またガラス繊維強化
プラスチツクよりも強度が強いことから、信頼性
のある軽量リーフスプリングが得られるとされて
いるが、幅方向の剛性、すなわち横剛性は、同じ
幅の鋼製リーフスプリングの横剛性に比しておよ
そ77％程度である（自動車技術会昭和55年春季学
術講演会前刷集801号、187〜190頁）。

本発明は前記に鑑み、横剛性を高めるものであ
りながら、幅の増大をもたらさない繊維強化プラ
スチツク製リーフスプリングを提供することを目
的とする。

本発明によれば、高弾性繊維とその他の繊維と
を含んでなる強化プラスチツクによつて成形され
たリーフスプリングが提供される。このリーフス
プリングは、リーフスプリングの幅方向両側縁部
に、主としてリーフスプリングの長手方向となる
ごとくあらかじめ配向された繊維の集合により形
成され、リーフスプリングの長手方向に沿つて配
置された高弾性繊維帯が設けられていることを特
徴とする。

以下に実施例について図面を参照して説明す
る。

第１図に示すように、本発明のリーフスプリン
グ２０は、各断面における最大応力が一定になる
ように、リーフスプリングの長手方向の中心付近
の肉厚が最も大きく形成されたリーフスプリング
本体２２と、車体に回動可能に支持されるフロン
トアイ部２４と、同じく車体に回動可能に支持さ
れるリヤアイ部２６とを備えて、繊維強化プラス
チツクにより一体成形されている。成形に際して
は、後述するように、ガラス繊維などの一般繊維
に加えて、高弾性繊維が本発明に従つて添加され
るものである。この場合用いるプラスチツクはそ
れ自体公知の繊維強化プラスチツク製リーフスプ
リングに用いられているものでよい。

第２図に示すように、リーフスプリング２０の
幅方向両側縁部２１，２３に、高弾性繊維帯３
０，３２が設けられている。この高弾性繊維帯３
０，３２は互いに間隔Ｗを保つて、リーフスプリ
ング２０の長手方向、つまりフロントアイ部２４
からリヤアイ部２６に向けて伸びている。高弾性
繊維としては、炭素繊維、アラミド繊維等が用い
られ、個々の繊維を集合状態として高弾性繊維帯
が形成される。この場合、帯の形態は、前記繊維
のロービング、クロスまたはマツト等に形成した
ものをさらに束状としたり、積層したりして、幅
Ａと厚みＢとが得られる。もつとも、幅Ａと厚み
Ｂとは全て高弾性繊維だけからなるということで
はなく、例えばロービングとロービングとの間、
またはマツトとマツトとの間には成形時のプラス
チツクが介在され、このようなものが渾然一体と
なつて帯が形成されている。この帯を形成する際
には、繊維が主としてリーフスプリングの長手方
向となるごとくあらかじめ配向された、ロービン
グ、クロスまたはマツト等が用いられる。例え
ば、クロスとかマツトと指称されるものでは、繊
維は縦横に配向されているので、繊維の一つの配
向方向をリーフスプリングの長手方向に合わせる
と、他の配向方向にある繊維はリーフスプリング
の長手方向とはならないが、本発明において「主
として」とは、このような場合は、繊維の１つの
配向方向がリーフスプリングの長手方向に位置さ
れることを意味する。

両側部２１，２３のうちの、高弾性繊維３０，
３２が設けられていないその他の部分や、中間部
分２５には、例えばガラス繊維のロービング、ク
ロスまたはマツト等が配置され、前記高弾性繊維
共ども補強繊維が構成されて、プラスチツク中に
挿入される。この場合、補強繊維３４は、第３図
および第４図に示すように、ガラスロービング３
６、高弾性繊維３８を横糸４０によつて編成して
繊維素材の形態とすることが好ましい。この補強
繊維３４のうち、ガラスロービング３６は主にリ
ーフスプリング２０の主荷重方向、つまり厚み方
向の補強のために使用され、高弾性繊維３８は主
にリーフスプリングの横剛性の増大のために使用
される。そして横糸４０は、ガラスロービング３
６および高弾性繊維３８を拘束し、うねりやばら
けを押さえて、成形作業性を向上させる効果があ
る。

前記高弾性繊維帯３０，３２は、幅方向の力に
よつて最大応力が発生するリーフスプリングの最
外側に近づけて配設されることが必要であつて、
その配置の例は第５図ないし第１１図に示され
る。

第５図の例では、第２図に示したものにおい
て、高弾性繊維帯３０，３２を厚み方向の両端ま
で伸ばしたものである。

第６図の例では、第５図に示したものにおい
て、高弾性繊維帯３０，３２をさらに幅方向の両
端に移して配置したものである。

第７図の例では、第６図のものにおいて、高弾
性繊維帯３０，３２を厚み方向に縮め、厚み方向
の中央部分に配置したものである。

第８図の例では、第２図に示すものにおいて、
高弾性繊維帯３０，３２を断面円形としたもので
ある。円形に代えて、楕円形や多角形などであつ
てもよい。

第９図の例では、第５図に示したものにおい
て、高弾性繊維帯３０，３２を厚み方向の両端部
分のみに配置したものである。

第１０図の例では、第６図に示したものにおい
て、高弾性繊維帯３０，３２を厚み方向の両端部
分のみに配置したものである。

第１１図の例では、第２図に示すものにおい
て、高弾性繊維帯３０，３２を厚み方向の中央部
分で削除したものである。

一般に高弾性繊維は衝撃に弱いため、第２図や
第８図、第１１図に示すような高弾性繊維帯の配
置が概して好ましいと言える。

高弾性繊維帯３０，３２はリーフスプリングの
長手方向にわたつて設けられるが、この場合、フ
ロントアイ部２４とリヤアイ部２６を含めて、リ
ーフスプリング２０の全長にわたつて配設される
外、フロントアイ部２４とリヤアイ部２６を除く
リーフスプリングの長手方向に配設されたり、ま
たは最も肉厚の大きな中心を含む長手方向のある
範囲にわたつて配設されることもある。

本発明によれば、リーフスプリングの幅方向両
側縁部に高弾性繊維体を設けることにより、横剛
性を高めることができ、乗り心地の改善や操縦安
定性の向上ができる。

また高弾性繊維体を配設しない繊維強化プラス
チツクの場合に同程度の横剛性を得ようとする
と、リーフスプリングの幅が大きくならざるを得
ず、他部品との干渉や重量の増大などをきたす
が、本発明によれば、リーフスプリングの幅を可
及的に小さくできるので、このような問題も生じ
ない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明リーフスプリングの正面図、第
２図は第１図の２−２線断面図、第３図は第２図
の３−３線に沿つて見た補強繊維の平面図、第４
図は第３図の側面図、第５図ないし第１１図は高
弾性繊維帯の配置の態様を示す斜視説明図であ
る。 ２０：リーフスプリング、２１，２３：側縁
部、２２：リーフスプリング本体、２４：フロン
トアイ部、２６：リヤアイ部、３０，３２：高弾
性繊維帯、３４：補強繊維、３６：ガラスロービ
ング、３８：高弾性繊維、４０：横糸。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 高弾性繊維とその他の繊維とを含んでなる強
   化プラスチツクによつて成形されたリーフスプリ
   ングであつて、リーフスプリングの幅方向両側縁
   部に、主としてリーフスプリングの長手方向とな
   るごとくあらかじめ配向された繊維の集合により
   形成され、リーフスプリングの長手方向に沿つて
   配置された高弾性繊維帯が設けられている、繊維
   強化プラスチツク製リーフスプリング。