JPS6355674B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はアナログ時刻表示を有する腕時計の時
刻をセツトするための機械装置に関するものであ
る。

さらに特定化すれば、本発明は薄形の腕時計に
用いるのに適当な、しかも時計を腕に装着してい
る時には見えないような、機械的な時刻セツト装
置に関するものである。

機械式腕時計には時刻をセツトするための操作
部が設けられ、この操作部は通常腕時計の巻き上
げのためにも用いられることは、良く知られてい
る。これら２つの機能が同１部分によつて達成さ
れるような場合には、この操作部は通常、時計ケ
ースの中およびムーブメントのプレートの中にお
いてスライド可能な制御軸または巻上げ軸の形状
を有するものである。レバーシステムの働きによ
つてこの軸はスライドピニオンを動作させ、その
位置に従つてスライドピニオンは時刻調整装置ま
たは巻上げ機構の丸穴車のいずれかとかみ合う。
ユーザーがこの軸を容易に操作できるようにする
ため、軸には腕時計のケースの外縁から突き出た
巻上げヘツド（竜頭）または冠形歯車が設けられ
る。

アナログ時刻表示を有する電子腕時計の場合に
は、腕時計の時刻セツトは腕時計の外周から突き
出た１つまたは複数の押しボタンによつて実施で
きる。同様の場合、時刻セツトは機械式腕時計で
行われるように、いくつかの異る位置にスライド
可能なロツドによつて同様に実施することも可能
である。

一般的に、巻上げ冠形歯車または押しボタンを
形成する突起部分は腕時計の最も装飾的な部分を
構成するものでないことは明らかである。また、
極めて薄形の腕時計においては、巻上げ部（竜
頭）または押しボタンは、それが操作し易い寸法
を失なわないでいるならば、はるかに可視的ない
し眼に入り易いことも明らかである。このため、
腕時計が装着された時に、これが見えないような
方法でこの部分を収容可能とすることは、大きな
利点である。

アナログ時刻表示を持つある種の電子腕時計が
ケースの後面に小さなプツシユロツド、これが押
された時にパルスが電子モーターに伝達されるよ
うなプツシユロツド、を設けているのはこの理由
によるものである。静止状態においては、このプ
ツシユロツドの頂部はケースの後面の外側表面に
関して平らになつている。しかし、極めて薄形の
時計では、プツシユロツドの頂部は極めて小さな
表面部分しか持つことができない。このことが、
プツシユロツドの操作を比較的微妙にする。即
ち、腕時計のダイヤルを見ながら同時にプツシユ
ロツドを操作することが要求されるためである。
さらに、この解決法は機械式腕時計の制御には全
く適用できない。

そのほか、操作部が単に時刻セツトのみのため
に準備されている何種かの時計が存在している。
これは自動巻き上げ装置を有する機械式腕時計の
場合に、巻き上げ分銅（ウエート）が手動巻き上
げ装置を不要とした結果である。また単に時刻表
示の機能のみを有するアナログ表示式電子腕時計
の場合も時刻セツト操作部のみである。さらに機
械式腕時計の場合でも、分離した操作装置が手動
巻き上げのために準備されていれば同様である。
このため、腕時計の時刻セツトのみの操作を確実
に行い得て、しかもそれが見えないような装置が
極めて興味深いものであることは明白である。

こうした観点から、本発明の第１の目的は腕時
計がそのユーザーに装着されている時は見えず、
またその機能を果たす際にいかなる不都合も生じ
させることのない、時刻セツトのみのための装置
を提供することにある。

本発明の第２の目的は操作が容易でしかも特殊
治工具の使用が不必要な時刻セツト装置を提供す
ることである。

加えて、本発明の第３の目的は極めて薄形の、
例えばその総てを含む厚さが２mmよりも小さいよ
うな、時計に用いて適当であるような時刻セツト
装置を提供することである。

本発明の第４の目的は自動巻き腕時計に用いて
適当であり得るような、時刻セツト装置を提供す
ることである。

本発明によつて、アナログ時刻表示を有し、裏
板を持つケース内の駆動部材列（伝達機構）と時
刻セツトキー（鍵）とを含む腕時計が提供され
る。時刻セツトキーは裏板を貫いて回転可能なよ
うに取り付けられた軸と、軸を回転させるため軸
の外側終端に枢軸的に取り付けられたブレードと
を有し、ブレードは開放位置と平坦位置、即ち軸
が所定角度位置となつてブレードが裏板に収容さ
れる位置、との間を旋回移動する。さらに時刻セ
ツトキーは軸の内側終端にギヤを有しており、こ
れは軸が所定角度位置にある時に駆動部材列のホ
イールとかみ合わし、軸が所定角度位置から回転
すると前記ホイールとかみ合うように構成する。

この配置によつて、この時刻セツト装置が時刻
セツト期間を除いては完全にケースの裏板に収納
されることは明らかである。しかも、ブレードが
旋回開放位置にある時にはブレードがケースの裏
板から外側に実質的距離だけ突き出ているため、
ユーザーは容易に腕時計の時刻セツトを調整でき
る。さらに、ブレードの収容着座が上記構成のギ
ヤの静止位置を定め、これによりこの目的のため
の機構を複雑にする必要のないまま、上記構成の
ギヤによる伝動部材列がロツクされるという危険
を回避できる。

本発明は添付図面を参照しながら実施例によつ
て、さらに詳細に説明される。

第１図は上から見た平面図として、本発明によ
る時刻セツト装置を有する特別薄い自動巻き腕時
計を示している。また、この腕時計ではケースの
裏板がムーブメントのプレートを構成している。

巻き上げウエート１０は振動質量１０ｂと、Ｙ
−Y′軸を中心に枢軸的に移動するようにケース
の裏板６にはめ込まれたアーム１０ａとを有して
いる。巻き上げウエートの動作は２つのポール
（歯止め）の１組によつて歯つきリング１２に伝
達される。このリングはホイール１６および１８
によつてスプリングバレル（バネ胴）２０のラチ
エツトホイール１４を駆動可能なように接続され
る。スプリングバレル２０はホイール２２によつ
て指針駆動ホイール２４を駆動可能なように接続
される。指針駆動部２４は１方でセンターホイー
ル２６に、また他方でキヤノンホイール２８とか
み合つている。指針駆動ホイール２４はまた、低
ブリツジプレート１００に回転可能に搭載された
ホイール３２，３４，３６および３８から構成さ
れる最終歯車列を駆動可能なように接続される。

脱進機ホイール３８はレバー／バランスホイー
ル／ヘアスプリング（ひげぜんまい）機構３０と
結合する。最後に、この腕時計は時刻セツトキー
を構成する機構１１０を含んでいる。

時刻セツト期間以外でこの腕時計がどのように
機能するかを次に説明する。腕時計の移動の結果
としての巻上げウエート１０の枢軸的運動は常に
１定方向で歯つきリング１２を回転させ、リング
１２はスプリングバレルのスプリングを巻き上げ
る。ホイール２２および指針駆動ホイール２４に
よつて、スプリングバレルはキヤノンホイール２
８およびセンターホイール２６に載せられている
指針に回転運動を伝える。

第２図から第４図は時刻セツトキー１１０の第
１実施例を示すものである。キーは第３図に示す
ように、ケースの裏板６を貫いて伸びるシリンダ
１１２を有し、これは裏板６の部分からなるチユ
ーブ１１４の中に回転可能なように取り付けられ
ている。その外側終端に、シリンダ１１２はシリ
ンダ１１２の軸Y₁，Y₁′と垂直な軸X₁，X₁′に関
して枢軸的に移動可能なように取り付けられるブ
レード１１６を有している。その内側終端、即ち
腕時計のケース内に伸びているその終端に、シリ
ンダー１１２はその軸が軸Y₁，Y₁′と１致する歯
つきギヤホイール１１８を有している。

ブレード１１６は例えばその頂点が２つのアー
ム１２０および１２０′で広げられたような２等
辺３角形の形をなす。アーム１２０および１２
０′には円筒状の回り継ぎ手（ないし旋回ピン）
１２２および１２２′が設けられる。シリンダ１
１２は軸方向の穴１１２ａを有している。加え
て、シリンダ１１２の外側終端にはその軸X₁，
X₁′に沿つて配置された２つのノツチ１１２ｂお
よび１１２′ｂが設けられる。回り継ぎ手１２２
および１２２′はノツチ１１２ｂおよび１１２′ｂ
と結合される。ボルト１２４は穴１１２ａの外側
終端部に挿入される。ボルト１２４のヘツド（頭
部）１２４ａはノツチ１１２ｂおよび１１２′ｂ
を閉じる。回り継ぎ手１２２および１２２′はこ
うして、ノツチ１１２および１１２′ｂの中に閉
じ込められる。ブレード１１６は外的な力がこれ
に加わつた時、軸X₁，X₁′に関して枢軸回転でき
る。加えて、ケースの裏板６の外面６ａには、ブ
レード１１６と実質的に同形状のシーテイング
（収容座）１２６が準備される。さらに、このシ
ーテイング１２６の深さは実質的にブレード１１
６の厚さに等しいものである。こうして、ブレー
ド１１６が平坦位置（ないし同一面位置）に折り
返されている時、即ちブレードがシート１２６に
位置している時は、ケースの裏板６の外側表面６
ａからブレードが突き出すことはない。明らか
に、同様のことがボルト１２４のヘツド１２４に
も適用される。平坦位置（ないし同一面位置）は
静止位置である。

これに対し、ブレードが軸Y₁，Y₁′方向に沿つ
て旋回開放位置に引き出されると、これはケース
の裏板の外側表面６ａを越えて実質的に突出し展
開される。こうして、シリンダ１１２をその軸
Y₁，Y₁′に関して回転させるため、指先でブレー
ドを捕えることが容易となる。

さらに、ブレード１１６と実質的に同等形状を
なすシーテイング１２６は、ブレード１１６がシ
ーテイング１２６に係合している時に軸Y₁，
Y₁′に関するシリンダの正確な角度位置を確実な
ものとする。

歯つきホイール１１８は次のような方法でシリ
ンダ１１２の内側終端に取り付けられる。シリン
ダ１１２の終端は、２つの平行な平坦面１１２ｃ
および１１２′ｃを有している。ホイール１１８
の軸性の穴１１８ａはそれに相当する２つの平坦
面１１８ｂおよび１１８b′を有している。これら
平坦面１１８ｂおよび１１８′ｂはシリンダ上で
平坦面１１２ｃおよび１１２′ｃと結合して、シ
リンダ１１２とホイールとを互いに回転できるよ
うに固定する。ホイール１１８はシリンダの軸方
向穴１１２ａに圧入またはネジ込まれたボルト１
２９によつてシリンダに保持される。ブレード１
１６が旋回されると、歯つきホイール１１８は軸
Y₁，Y₁′に関して回転可能となり、シリンダ１１
２は実質的に固定されて軸Y₁，Y₁′の方向におい
て回転運動が伝達される。

第１図に示すように、ホイール１１８はまた、
ホイール２２とかみ合うことができ、ホイール２
２は時刻セツト調整の装置としても動作する。し
かし、ホイール１１８は後退部１１８ｃに相当す
るその外周部において、歯の欠落したギヤであ
る。この後退部１１８ｃは、ブレード１１６が凹
状シーテイング１２６に導き入れられるような、
シリンダ１１２の方向においてのみ、可動部２２
と対面する。この可能性はシリンダ１１２の単１
の角度位置においてのみ発生し、アーム１２０お
よび１２０′が、ボルト１２４のヘツドの厚さに
相当する傾斜部位１２０ａ，１２０′ａを有する
位置においてのみ生ずる。

このことは、シリンダ１１２が前記単１の角度
位置から180゜置換された時にはブレードが後退部
に押し込まれることを防止する。

第６図は、ホイール１１８の回転によつて調整
開始される、指針のセツトを可能とする可動部材
列の運動を示すものである。ホイール２２は２つ
の歯つきホイール２２ａおよび２２ｂから構成さ
れる。ホイール２２ａはその心棒（転）に固定さ
れ、ホイール２２ｂはその心棒に関して自由回転
できるように取り付けられている。まさつ装置Ｆ
がホイール２２ａと２２ｂの間に設けられる。指
針駆動ホイール２４は、歯つきホイール９８と、
その心棒に固定されたピニオン９６とを有し、ま
た第２歯つきホイール１３０はまさつ装置F′を介
してホイール９８に結合している。時刻セツトホ
イール１１８はホイール２２の歯つきホイール２
２ａとかみ合つている。ホイール２２ｂはスプリ
ングバレル２０上の歯とかみ合い、１方ホイール
２２ａは指針駆動ホイール２４の歯つきホイール
９８とかみ合つている。最後にこのホイールの歯
つきホイール９８はセンターホイール２６とかみ
合い、ホイール１３０は最終歯車列の第１ホイー
ル３２とかみ合い、またピニオン９６はキヤノン
ホイール２８とかみ合つている。

通常動作（時刻セツトが行なわれていない）期
間、まさつ装置ＦおよびF′は１方ではホイール２
２ａと２２ｂを、また他方ではホイール９８と１
３０とを互いに固定させている。また、時刻セツ
トホイール１１８はホイール２２ａとのかみ合い
を解かれている。スプリングバレルの動きは、こ
のため指針駆動ホイール２４に、また指針駆動ホ
イールの動きは第１歯車列に伝達される。

時刻セツト調整が行なわれている場合には、ホ
イール１１８はホイール２２ａとかみ合つている
が、スプリングバレルにより生ずる反対トルク
は、まさつ装置Ｆの動作範囲を越え、ホイール２
２ａと２２ｂとの間の駆動を中断させるに十分で
ある。この結果、ホイール１１８からホイール２
２ａに伝達される回転は、ホイール２２ｂには伝
わらずまたこのため、スプリングバレルは駆動さ
れない。同様に、ホイール２２ａはホイール９８
とかみ合つているがしかし、最終歯車列により生
ずる反対トルクは、ホイール９８と指針駆動ホイ
ールとの間の駆動を、まさつ装置F′の動作を越え
ることにより、中断させる。こうして、ホイール
２２ａの動作は最終歯車列のホイール３２には伝
達されない。この結果、ホイール１１８の動作は
センターホイール２６およびキヤノンホイール２
８によつて指針を回転させるが、スプリングバレ
ル２０と脱進機３０とは静止したままである。

第５図は指針駆動ホイール２４の可能な構成の
１例を示す。このホイールは心棒９２に回転可能
な形で取り付けられ、この心棒は（ケースの）裏
板６に１体化して形成された突起９０上に圧入さ
れている。ホイール２４はベアリング９４によつ
て心棒９２上に取り付けられたピニオン９６を有
している。このピニオンは歯９６ａからなる外周
セツトおよび歯９６ａのセツトの間に設けられた
シヨルダー９６ｂとを有している。第１歯つきホ
イール９８はシヨルダー９６ｂのレベルに、ピニ
オン９６上に圧入された形で結合している。

第２歯つきホイール１３０はホイール９８の下
に、ピニオン９６の胴に自由性をもつて取り付け
られている。ホイール１３０はピニオン９６の第
２シヨルダー９６ｃに圧入されて結合しているワ
ツシヤ１３２によつて位置決めされる。まさつ装
置F′はホイール９８と１３０の間に挿入される。
例えばこれは、交互的にホイール９８およびホイ
ール１３０に向つて丸く曲げられた多数の放射状
アームを有する部分からなるものである。

第２図から第４図に示された時刻セツトキー１
１０は、時刻セツト調整がホイール１１８の完全
な１回転の操り返しによつて行なわれるものであ
るなら、極めて適当なものである。実際、この場
合には時刻調整の終りにおいて、欠損部１１８ｃ
はホイール２２ａと対向位置にありまた、ホイー
ル１１８はこのためホイール２２ａとかみ合つて
いない。もし、最も近い１分までに時刻セツト調
整を正確に行うことを望むならば、センターホイ
ールの回転の1/60回転がピニオン１１８の完全な
１回転と対応するようにすべきである。

時刻セツト調整のためのこのような装置は、時
計の通常動作による時刻表示の誤差を修正するた
めには完全に適しているものである。しかし、時
間帯変更による１時間の調整のためには、時刻セ
ツトキー１１０を60回も回転させる必要があり、
これはある種のユーザーにとつては容認できない
ことであると考えられる。

第７ａ図および第７ｂ図においてはこの不都合
を克服した時刻セツトキーの変形構成が示されて
いる。

この変形は、第３図のシリンダ１１２に類似の
シリンダ１１２′を有している。シリンダ１１
２′の外側終端上には、第２図および第４図のそ
れと同等のブレード１１６が枢軸的に取り付けら
れる。シリンダの他端上には、シリンダ１１２′
に固定された第１ホイール１１８′が取り付けら
れる。ピニオン１１８′とブレードの（枢軸的）
軸X₁，X₁′との間のシリンダ１１２′の長さｌは、
チユーブラ部１１４の長さl′よりも大きい。この
ため、シリンダ１１２′はチユーブラ部１１４の
内部を移動することができる。スプリング１３４
は１つのフオーク形状をなす終端部を有し、この
終端部はシリンダ１１２′の溝１１２′ｄに差し込
まれる。スプリングの他端は裏板６に固定され
る。スプリング１３４はシリンダ１１２′を第７
ａ図に示す位置にまで引込ませるよう働く。シリ
ンダ１１２′の内部末端はピニオン１１８′の末端
を越えて伸び、シリンダ１１２′に固定された第
２歯つきピニオン１３６が取り付けられる。ピニ
オン１１８′および１３６は同１の外径直径を持
つものである。ピニオン１３６には、その全周に
わたつて均等に配置された歯が設けられる。ピニ
オン１１８′は歯数が減じられたギヤであり、そ
の外周の残部分は第４図のピニオン１１８の欠損
部１１８ｃと同等の構造である。このピニオンの
歯数はセンターホイール２６の１回転に相当する
ものであり、分針の変位角単位、例えば１分、を
生ずるようなものである。スプリング１３４が静
止位置にある時、ピニオン１１８′は可動部２２
のホイール２２ａと対向する。もしシリンダ１１
２′が枢軸ブレード１１６によつて引き戻される
と、ピニオン１３６がホイール２２ａと対向し、
これとかみ合う。この状態は第７ｂ図に示され
る。ピニオン１３６の歯は明らかに、シリンダ１
１２′の軸方向移動によつてホイール２２ａとか
み合い係合するようにカツトされる必要がある。
ｎをピニオン１１８′の歯数であり、Ｎをピニオ
ン１３６の歯数と仮定する。ピニオン１１８′の
１回転が１分に相当する角度変化をもつて分針を
移動させるならば、ピニオン１３６の１回転は
Ｎ／ｎ分の指針の角度変化に相当することは明ら
かである。このためピニオン１３６は、指針位置
において行なわれるべき修正が大きなものである
時には、より速やかな時刻セツト調整を可能とす
る。

この時刻セツト調整の変形例が動作する方法は
前の説明により次のようになることは明らかであ
る。静止位置においては、ブレード１１６はその
シーテイング（収容座）１２６の中に折り曲げら
れていることは、第２図に示されていると同様で
あり、シリンダ１１２′はその持ち上つた位置に
あつて、歯のないピニオン１１８′の位置はホイ
ール２２ａと対向する。このピニオンは、そのシ
ーテイング１２６にある折り曲げられたブレード
１１６と共に、その位置を維持する。もしユーザ
ーが数分の誤差を修正したいと思えば、彼はブレ
ード１１６を、シリンダ１１２′に張力を加えな
いように持ち上げ、望ましい修正に相当する回数
だけシリンダを回転させる。そして彼はブレード
１１６をそのシーテイングに戻す。これは第７ａ
図に示されている。もしユーザーがさらに多くの
修正を必要とするなら、彼はシリンダ１１２′を
引く。これによつてピニオン１３６はホイール２
２ａに対向する。彼はシリンダを引いたまま、シ
リンダ１１２′を望ましい修正が得られるまで回
転させる。これは第７ｂ図に示されている。次に
彼は引張りをやめ、ブレード１１６をそのシーテ
イング１２６に戻す。この時刻セツト機構の第２
の使用は、時間帯の変更または腕時計の再スター
トなど極めて例外的であることを強調しておく。

時刻セツトキーの第３の構成形態は第８ａ図お
よび第８ｂ図に示される。この構成形態は時刻セ
ツトを、指針に伝達されるべき変位量に関りなく
容易に調整可能とするものであつて、第２図から
第４図に示される第１構成配置と同様にこのキー
は単に１つの歯つきホイールを有するものであ
る。実際に、第１および第３構成は互いに極めて
類似しており、このため、第８ａ図および第８ｂ
図においては既に第１構成で現われた部品の参照
記号は変更することなく再び使用される。シリン
ダ１１２″はチユーブラ部１１４の長さよりも長
く、このためシリンダは擢動できる。シリンダ１
１２″の内側末端には、第２図から第４図のそれ
と同様な歯つきホイール１１８、即ち歯のない欠
損部範囲を除いてはその外周にわたつて１様に歯
が分配されているようなホイール、が設けられ
る。シリンダ１１２″の外側末端には、第２図か
ら第４図に示されたと同様のブレード１１６が設
けられる。ブレード１１６がそのシーテイングに
導入されている時、ホイール１１８の欠損部がホ
イール２２ａと対向している。このためこの位置
関係にあつてはホイール１１８と２２ａとの間に
はかみ合い係合は存在しない。第１構成との差異
は、時刻セツトキーがその軸Y₁，Y₁′の方向に関
して２つの異る位置を有し得ることにある。この
目的のため、第７図に示したと同様なスプリング
１３４は、ケースの裏板６に固定された第１端
と、シリンダ１１２″に形成された溝１１２″ｄの
中に結合したフオーク形の第２端とを有する。静
止状態では、スプリング１３４はキーを第８ａ図
に示すような引込んだ位置に保つ。この位置で
は、ホイール１１８はホイール２２ａと同１の平
面にある。もし、ブレード１１６の動作によつて
キーに引張りが加われば、キーは第８ｂ図に示す
「突き出し」位置となる。この位置ではホイール
１１８はもはやホイール２２ａと対向しない。こ
のためホイール１１８は、ホイール２２ａがこれ
と共に回転することを必要とせず、自由に回転可
能である。この構成形態においては、ホイール１
１８の歯数および可動部２２，２４，２６および
２８の歯数は、時刻セツトキーを所定数だけ回転
させた後は、ピニオン１１８の１回転が時刻リセ
ツトを確実とするに十分な指針の前進を生ずるよ
うに設けられる。

この構成形態がどのように動作するかは前の説
明から明らかである。ユーザーは、ブレードのシ
ーテイング１２６からブレード１１６を引き出
し、これを動作位置に移動させる。シリンダ１１
２″に引張りを加えずに、彼は指針が望ましい位
置となるまで、ブレードによつてキーを回転させ
る。次にユーザーはシリンダ１１２″を引き、こ
れを引いたまま、ブレード１１６がシーテイング
１２６に入り得る位置となるまでシリンダを回転
させる。次にユーザーはブレード１１６を解放
し、これによりピニオン１１８の欠損部がホイー
ル２２ａに対向する。

次に、ブレードをそのシーテイング１２６の中
に折り曲げることのみを要し、これによりホイー
ル１１８の欠損部がホイール２２ａに対向したま
まとなる。

これらキーの構成形態のいずれにおいてでも、
ブレード１１６が２重の目的を果していることが
理解される。１方では動作位置においてブレード
は望ましい指針変位を得るために時刻セツトホイ
ールを回転させることを可能とし、他方ではそれ
がシーテイングの中に位置している時に、時刻セ
ツトホイールの欠損部がホイール２２ａに対向す
るようキーを位置決めし、さらにこの位置におい
ては腕時計に加えられるかも知れないあらゆる衝
撃による腕時計の動作の不意の停止を防止するよ
うホイールを保持する。

これまでの説明は、自動巻き上げ装置と指針装
置による時刻表示とを有する腕時計に関するもの
である。

事実、本発明の主体である機械式時刻セツト装
置の適用分野としては、そのような時計が望まし
い。しかし、この装置の適用はこの型式の腕時計
に限定されるものではない。このキーは、デイス
クにより時刻が表示されるような機械式時計にも
単に時刻セツト歯車列を変更するだけで完全に使
用できる。良く知られているような、スプリング
バレルがステツピングモータに置換されまた脱進
機が削除されたような電子腕時計にも、これは同
様に使用し得るものである。

この時刻セツト装置が、所期の効果を有効に達
成することを可能とした点について説明に付加し
ておく。時刻セツト期間を除き、時刻セツトキー
は完全にケースの裏に引込められまた他方では、
ブレードがそのシーテイングから突き出ている時
は腕時計のユーザーが時刻セツト調整を容易に行
い得るよう十分につかみ易いものであることは、
特に明らかである。

同様に、第２および第３の構成形態において
は、キーの軸方向運動の程度は極めて小さなもの
であつて、このため薄形の腕時計にも装備可能で
あることを強調しておく。さらに、これらの場
合、スプリング１３４は極めて短い期間のみ、ま
た少ない回数のみ作動させられるものであり、こ
れに加わるストレスは一定限度内である。

なお、シリンダ１１２，１１２′または１１
２″のためのガイドチユーブにおいては特殊仕上
げを要せず、この解決手段は極めて薄い、例えば
２mm以下の、腕時計に用いるに適当なものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による時刻セツト装置を有する
自動巻き腕時計の平面図、第２図は時刻セツト装
置を示すための、腕時計ケースの裏板の部分図、
第３図は第２図の線−に沿つた、時刻セツト
キーの垂直断面図、第４図は時刻セツトキーの第
１の構成形態を示すための、ケースの裏板の部分
図、第５図は第１図の線−に沿つた、時刻セ
ツト歯車列ホイールの１つの垂直断面図、第６図
は第１図に示した腕時計の運動伝達を描いた図、
第７ａ図および第７ｂ図はキーの第２構成形態の
２つの異る位置における２つの垂直半断面図、第
８ａ図および８ｂ図はキーの第３構成形態の２つ
の異る位置における２つの部分垂直断面図であ
る。 ６…裏板、１０…ウエート、１２…リング、１
６，１８…ホイール、２０…スプリングバレル、
２２，２４…ホイール、２６…センターホイー
ル、２８…キヤノンホイール、３２，３４，３
６，３８…ホイール、９６…ピニオン、１１０…
時刻セツトキー、１１２…シリンダ、１１６…ブ
レード、１１８…ギヤホイール、１２２…回り継
ぎ手（旋回ピン）、１２４…ボルト、１２６…シ
ーテイング、１３０…ホイール。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 裏板を持つケースと、アナログ時刻表示装置
   と、駆動装置および駆動装置の運動を時刻表示装
   置に伝達するための可動部の部材列とを有する腕
   時計の時刻をセツトするための機械装置におい
   て、 前記機械装置はキー（鍵状操作部）と、前記キ
   ーを前記可動部の部材列に、駆動可能に接続する
   時刻セツト装置とを有し、 前記キーには、それ自身の軸に関して回転する
   ようにケースの裏板に設けられ、また前記ケース
   の内部に突き出た内側末端、および外側末端を持
   つシヤフトと、前記シヤフトの内側末端に剛性的
   に固定され、前記時刻セツト装置とかみ合うため
   にその外周の一部に歯を、さらにまたその外周の
   残り部分を覆う欠損部（凹部）とを持つ第１歯つ
   きホイールと、前記シヤフトの軸に垂直な軸に関
   して枢軸的に運動するように前記シヤフトの外側
   末端に設けられたブレードとを有し、 前記裏板の外側表面は前記ブレードのためのシ
   ーテイング（収容座）を有し、 前記ブレードは、前記ケースの裏板からそれが
   突き出る動作可能な第１位置および、前記第１ホ
   イールの回転を妨げるように前記シーテイングに
   よつてそれが回転することを阻止される第２位置
   を占めることが可能であり、前記ブレードが前記
   シーテイングの中にある時は前記欠損部が前記可
   動部に対向することを特徴とする機械装置。 ２ ケースの内側において、ケースの前記裏板に
   は前記シヤフトのためのガイドチユーブが形成さ
   れ、前記シヤフトは前記チユーブの中での軸方向
   移動に関して実質的に静止状態を保つような、特
   許請求の範囲第１項記載の機械装置。 ３ 前記ケースの内側において、前記裏板には前
   記シヤフトのためのガイドチユーブが形成され、
   前記シヤフトは軸方向に移動でき、さらに前記シ
   ヤフトは弾力性素子を有し、前記弾力性素子が静
   止状態にある時は前記第１ホイールが前記時刻セ
   ツト装置に対向し続け、また前記弾性素子が静止
   状態にない時は前記ホイールが前記時刻セツト装
   置から解放されるような、特許請求の範囲第１項
   記載の機械装置。 ４ ケースの内側において、前記裏板には前記シ
   ヤフトのためのガイドチユーブが形成され、前記
   シヤフトは軸方向に移動でき、さらに前記機械装
   置が付加的に、前記シヤフトに固定され、その外
   周全体にわたつて１様に配置された歯を有する第
   ２ホイールと、弾力性素子とを有し、前記弾性素
   子が静止状態にある時は前記第１ホイールが前記
   時刻セツト装置に対向し続け、また前記シヤフト
   に軸方向変位を生じさせるようにシヤフトに加え
   られた力の作用により前記弾性素子が静止状態に
   ない時は前記第２ホイールが前記時刻セツト装置
   とかみ合うような、特許請求の範囲第１項記載の
   機械装置。 ５ 前記弾性素子がリーフスプリング（板ばね）
   であつて、その１端はケースの裏板の内側表面に
   固定され、またその他端は前記シヤフトに形成さ
   れた溝の中にかみ合う１つのフオーク形状を有す
   るような、特許請求の範囲第３項または第４項の
   いずれかに記載の機械装置。 ６ キヤノンホイールとセンターホイールとを有
   する時刻表示装置を持つ腕時計に用いられ、前記
   腕時計は最終（フアイナル）歯車列を有し、さら
   に前記時刻表示装置が、まさつ装置によつて駆動
   可能なように相互に連結された２つの歯つきホイ
   ールから構成される第１可動部と、時刻セツトキ
   ーとかみ合うよう適合される第１ホイールと、互
   いに回転するよう固定されたピニオンおよび第１
   ホイールならびにまさつ装置によつて第１ホイー
   ルに回転可能なように結合された第２ホイールを
   含む第２可動部を有し、前記第２可動部のピニオ
   ンは前記キヤノンホイールとかみ合い、前記第２
   可動部の前記第１ホイールは第１可動部の第１ホ
   イールならびにセンターホイールとかみ合い、ま
   た第２可動部の前記第２ホイールは最終歯車列の
   可動部とかみ合うような、特許請求の範囲第１項
   から第５項までのいずれかに記載の機械装置。